No title（〆）

生姜焼きかー…作れるかしら。──お、ちょろいな。ココちゃんちょっと待っててねん。（恋人からの連絡を受信すると、早々にスマホでレシピを確認し独りごちて。『了解でーす。早く帰って来てくださいねん。』とハートの絵文字を加え送信し猫をキャットタワーへと連れて行くと、大きな伸びをしてからキッチンへと向かいスマホでアップテンポな音楽を再生しつつ上機嫌に調理を始め）

(最寄駅が目前に差し迫った所でメッセージに目を通し、その儘電車を降りれば足早に自宅へ向かい。玄関を開けて鞄を寝室へと放り手洗いうがいを済ませてから、日中篭った暑さを払拭する様にネクタイとシャツの襟元を緩めつつリビングへと進むと、鼻腔を擽る香ばしい匂いに鼻を鳴らしながらキッチンを覗き込み)ただいまぁ。…あー、めっちゃ旨そうな匂いする。

（調理が概ね終わったところで恋人が帰宅する音が聞こえれば、スマホで再生していた音楽を止め手早く盛り付けを始めて。品数の少なさを誤魔化す様に生姜焼きとサラダとライスをワンプレートに載せ終えたところで恋人の姿を目にすると、喜びを隠す事なく満面の笑みを湛え歩み寄り肩口へと腕を回し抱き付き）お帰りなさい。久々のお仕事はどうでした？…えへ、匂いだけは上手く作れました。ご飯にします？お風呂にします？それとも俺？…なんて、飯一択ですわな。

(視界に映った食事に空腹感を煽られるも、歩み寄ってくる恋人に自然と意識を奪われては頬を緩ませながら腰元に腕を回し、囁かれる甘言に悩まし気に眉根を寄せ暫し唸り声をあげてからしたり顔を浮かべ)仕事はまぁ緩いもんよ。新卒の子もいい子っぽいし、何とかなるんじゃねぇかな。いや、全然見た目も旨そうだし期待値高いわ。…あー…んじゃあ悠チャンと一緒に飯食ってから一緒に風呂入るっつーフルコースで。

余裕がありそうなら何よりっすわ。部下の方ともやり易いならストレスにもならないでしょうし。──…一応愛情だけは山程入れてますわ。はは、風呂は一緒に入ったら長湯になりそうなんで週末ですかね。（得意げに告げられた言葉は冗句と受け止め一笑しては、名残惜しげに相手を開放し料理を載せた2人分の皿をリビングへと運んで。瓶ビールとペットボトルの水を持ちソファーへと腰を下ろすと、問いと共に視線を投げ）晩酌します？お水もありますよん。

まぁ百貨店が始まるって決まったら一気にバタバタすんだけどなぁ。それまでは余裕あるから新卒にもゆっくり教えてやれそう。──お、最高の隠し味じゃん。…チッ。んじゃ週末は予約しとこ。(自分の言葉を軽く躱されては巫山戯半分に舌打ちを返し、相手の後ろについてリビングに進めばソファーに腰を下ろし。掲げられた瓶に破顔しながらも緩く首を振っては手招きし)…いや、今日はやめておこうかなぁ。

そっすよねぇ…地域差あれどってとこでしょうけど、肩慣らしする時間はありそうですよね。良き上下関係を作るにはピッタリ期間とは言え、惚れられたら駄目ですよ。なーんて。──じゃあそのお言葉を本気にして、週末はお風呂用意して待ってますね。さて、早く食べて寝ましょうか。今週はまだ始まったばっかりですからね。（首を横に振る所作を認めては瓶をテーブルへと置き、水を差し出して。箸を持つと食事を次々と口に運び）

まぁでも、マジで入社してからこんなゆっくりしたGW初めてだったわ。惚れられねぇよ、そもそも今日早々に指輪の跡気付かれてるし。…悠チャンは？授業始まったんだろ？──お、マジ？んじゃ楽しみに今週頑張ろ。ん、頂きます。…うまっ。やっぱ悠チャン料理うまくなったな。(ペットボトルを受け取り傍らに置いては両手を合わせてから箸を手に取り。肉を一口に含み柔らかい肉の食感としっかりとした味付けに舌鼓を打てば大口で次々と食し始め)

そっか、世間が休みの時は書き入れ時っすもんね。レアな時期にコウくんと付き合えて幸せを感じざるを得ないっすわ。…あっは、すげー洞察力だ。滅茶苦茶仕事できそうっすね、新卒さん。俺の方は糞みたいに課題が出てぴえんって感じっすよ。月末から来月頭が山になって来そうなんで、今の内に人生を楽しんでおきますわ。──やった、コウくんに褒められるためだけに頑張ってるんで嬉しいっすわ。（告げられた感想に嬉しげに表情を綻ばせては、品数が少ない事もあり早々に皿を空にし。スマホで時刻を確認すると名残惜しげに眉を下げつつ）やべ、もうこんな時間だ。飯食って直ぐに寝たら牛になりますけど、休みましょうか。今日は疲れてるでしょうし、蹴って寝ちゃってくださいね。

…あら可愛い。でも俺も悠チャンといい時期に付き合えたと思うわ。すげぇ贅沢な時間だった。…意外と気付くもんだよなぁ、男には微塵もバレなかったのに。まぁバレて困る事も別にねぇし良いんだけど。…あー、マジか。まぁでもそりゃ皺寄せ来るよなぁ、可哀想に。しかも…来月頭か。まーた嫌な時期がピークだなぁ。──やっぱ愛情篭ってると違うわ。つか、こんな旨い飯食わされたんじゃマジで太りそうでやべぇ。(相手の表情に吊られて眦を下げながらみるみる内に皿の上を減らして行くも、あと少しで完食という所で箸を止めては不満気に顔を曇らせてから完食し、皿を片付けては相手に手を差し伸べ)別にまだ平気だけどもう寝ちまう？…いや、しゃーないか。でも少しでも長く話しててぇからベッド行こ。

贅沢も贅沢っすよ。交際３ヶ月目にして、4歳も歳上のお兄さんをコウくんって呼ぶくらいになってる訳ですから。…あれ、もしかしてコウくんの事が気になって左指を確認したんですかね。まあ良いや、流石に恋人が男だってバレなけりゃワンチャン狙う事もないでしょうし。──作品作りなんで、楽しみな忙しさでもあるんすよ。しかもコウくんもバタつくとしたらそのくらいの時期の可能性もあるでしょうし、返って寂しさ紛れて丁度良いっすわ。…はは、コウくんは太ってもカッコいいんで大丈夫っすよ。まだまだ体脂肪率増やしても問題ないっすわな。（相手の不服げな顔を見れば済まなそうに眉を下げ髪を撫で、差し出された手を握り寝室へと。衣服を脱ぎパジャマへと着替えると、ハンガーを持ち相手の服を受け取るべく手を差し出し）免疫力付けて貰わなきゃ不安なご時世なんで、疲れは一切溜めて欲しくないんです。…そう言えばコウくんのスーツ姿、改めて見ると惚れ惚れしちゃいますね。日々ときめかされて心臓が保たないっすよ。

だあって敬語にさん付けはちと勿体ない気がしてさぁ。本当は今でも敬語外して欲しいくらいだもん。…いや？同期にも気付かれたし多分そーゆーんじゃねぇよ。ま、男って隠す気もねぇけど。つか、お前に心配させる位ならいくらでも惚気てきてやんよ。恋人がめちゃくちゃ可愛いっつって。──あー…まぁ俺もバタついては居るだろーけど…6/9は予約な。出来るだけ時間空けるから。(寝室に着き、薄暗い部屋の中で申し訳なさそうな視線と自分を思い遣る言葉を受け取れば、気持ちを切り替えるべく眉を上げながら深く息を吐き。次いで妥協案とばかりに相手の額に唇を載せてからスーツを脱ぎ下着姿になり、脱いだ衣類を順番に手渡してベッドに横たわり、物足りなさを誤魔化す様に茶化した口調で笑えば恋人のスペースを空けゆっくりと目を瞑り)…悠チャンがそこまで言うんならしゃーないわ。まぁ今週の水曜は在宅デーだから、そん時までのツケって事で。あ、つっても悠チャンがバイトとか課題で忙しけりゃ気にしないでな。…お、嬉しい事言ってくれんじゃん。でも今日は暑くってスーツめちゃくちゃダルかったけど。誰かさんが良いもん付けてくれたお陰でシャツのボタン緩めりゃしねぇ。…フハ、マジで嫁さんみてぇ…あんがと。んじゃ、今日は大人しく寝る代わりにハグして。…おやすみ。愛してるよ、悠。蹴って寝ちゃってくれなぁ。

じゃあまた何かの機会で敬語外しましょうか。尤もすげー感じが悪くなるんで、オススメはしないですけど。…すげー、名探偵揃いの会社っすね。仕事柄爪とかに目が行く習慣があるんすかね。…ははっ、惚気は気持ちだけで嬉しいっすわ。あんまり影で噂されるとくしゃみが止まらなくなるんでね。取り分け明日はバイトなんで駄目駄目。──お、覚えててくれたんすね。あざっす。ゆーくん生誕祭はド平日なんで、マジで気にしないでおいてくださいね。これ以上幸せになると寿命が縮まりそうですし。──お、やった。在宅あるんすね。俺は手前の裁量次第なんで忙しくないんすけど、お兄さんのお仕事を邪魔しない様には気を付けますね。…あー、確かに今やシャツ1枚で歩くシーズンっすもんね。でも例のキスマークはお兄さんが悪いですからね。次浮気を仄めかしたらそんな事できない様に下着全部にぞうさん描きますから！（提案された言葉に表情を和らげ頷くと、瞼を伏せ額への口付けを享受。手渡された服を丁寧にハンガーに掛け吊すと、相手に次いで寝具へと横たえ首裏へと腕を回し己の胸元へと抱き寄せて。緩やかなテンポで背中を摩り眠りに就くまでを見守っては、瞼と唇に口付け己も次第に微睡み）ハグなんて喜んで。明日はもっとイチャイチャしましょうね。おやすみなさい、コウくん。愛してますよ。

あー、まぁこのご時世で歓迎会も暫くやれねぇだろうしなぁ。…オンライン飲みでもやる？そっちのが向こうも気負わないんじゃねぇの。(新卒を交え数人で昼食を済ませから同期と喫煙所へと連れ立てば程良い気楽さの中スマホ片手に言葉を交わし。『バイト順調？寝不足になってねぇと良いけど。』『今日は早めに帰れそう。お互いもうちょい頑張ろーな。』と送信してから紫煙を吐き出しつつスマホを仕舞い)

マジで暑いっすねー…俺アイスとアイスカフェラテにしますわ。勿論昼飯っす。（額に汗を滲ませつつ教育係と飲食店に入りオーダーを済ませると、テーブルへと肘を突きだらけながらスマホを手にして。恋人からの連絡を確認するとこっそりと表情を綻ばせ、『バイトは相変わらず楽勝っすわ。寝不足にもなってないんすけど、暑さに負けました。』、『やった。俺も早く帰ってコウくんとイチャイチャします。残りも頑張ってくださいねん。』と絵文字たっぷりに送信しスマホをテーブルへと置き）

(早々とオフィスを出れば翳り始めた陽の光と頬を撫ぜる柔らかな風を切って歩きつつ恋人からの連絡に目を通し、込み上げる愛おしさに自然と目を細めつつ『今日も暑かったよなぁ、そろそろ夏用スーツ出さなきゃ無理だわ。』『今から帰るよ。悠チャン不足で浩二クンはもう無理でーす。』と綴っては無気力なラグドールのスタンプを添え、一層足早に駅へと進み)

…やっべ、遅くなっちった。（アルバイトを終え足早にオフィスを後にすると、闊歩で往来を進みつつスマホを確認し『遅くなってすんません。もう帰っちゃいました？駅で待ち合わせして帰りましょー。』、『俺もコウくん不足で禁断症状起こしそうです。ぴえん。』と手早く入力し送信し、送られたスタンプと全く同じ物を送り返してから端末をポケットへと仕舞うと、小走りで駅へと向かい）

…ハハ、可愛い。(最寄り駅に着き改札を出た途端にスマホが振動すれば人の流れを避けて内容に目を通しては、揃いのスタンプを使う愛らしさに思わず小さく呟き。『お疲れさん、今駅着いたから外で待ってる。気をつけて帰っておいで。』と送信しては緩んだ表情の儘イヤホンを外しゆったりとした足取りで屋外へと出ると手近なベンチに腰掛けて)

（電車内で壁に凭れつつ恋人からの連絡を確認しては、最寄駅への到着を知らせるアナウンスを聞き流しつつ取り分け意味のない寿司のキャラクターのスタンプを送り降車して。オープンカラーシャツの上に肩掛けしたセットアップのジャケットを翻しつつ駅の外へと出ると、恋人を見つけるなり悪戯に笑みそっと隣へ腰を下ろし、ラウンドフレームの伊達眼鏡のブリッジを指で押し上げては気を引く様に咳払いをし）お兄さん待ち合わせですか？俺と遊びません？

(隣に腰掛ける人影を視界の端で捉えるも恋人から送られてきた見慣れたキャラクターのスタンプを微笑まし気に眺めていればその正体に気付かず。遅れて漂ってきた香水の香りと些かハスキーな声に視線を上げれば堪らず吹き出し。重心を相手の方へと移動させて顔を覗き込む様に膝へと頬杖をつけばその儘の手でニヤける口元を隠しつつ態とらしい抑揚の少ない口調で返し)フハ…今可愛い恋人との待ち合わせ中なんだわ。俺の恋人ちっとヤキモチ焼きなんだけど、オニーサンと遊ぶ許してくれるかなぁ？