No title（〆）

俺としては付き合う前はあんなに素直じゃなかった悠チャンが今はこーんなに素直になってるっつーのが最高。だからちょっとくらい意地悪しちまうのもしゃーないよなぁ。…へぇ、恥ずかしいのかよ…珍し。そんなん聞いたら常習犯になりそうだわ。──あー、まぁ俺とかギターのダチとかがテンション上がるとすーぐ脱ぐから女の方が多かったけど、男も普通に居たよ。曲が曲だったし。ただ、流石に2年連続ステージで脱いだら3年目やらしてもらえなくてゲリラやったわ。──お、色っぽい誘い。でもベッドで縋ってきたらきっと俺は喜んであしらうけど良いの？今の方がまだ優しいぜ？…うーわ、なんで悠チャンそんな怖いファン多いんだよ。変な奴惹きつけんのかねぇ…俺みてぇな。(相手が指でクリームを掬い上げ、尚も食べ続ける様を薄く笑みを浮かべながら見つめて、手中が空になり相手が指から口を離すと手を口元に持ってきては舐められた指を上から舐め。満足気な表情は相手の口から飛び出した言葉に片眉を揺らした途端に片側の口角を吊り上げた底意地の悪いものへと変わり、顎を持つ手を引き寄せては耳元で)…ご褒美ぃ？…ハッ、俺手ぇ使うなって言ったよな？言いつけも守れねぇ訳？──…っつー事で。今日はこのまま寝まーす。あーあ、悠チャンがちゃあんと上手に食えてりゃあとびっきりのご褒美やったのに。出来るようになるまではお預け。…ま、ベッドに運ぶくらいはしてやるからこのまんま蹴って寝ちゃってな。今日も遅くまであんがと。

ああ、懐いてる奴に意地悪したくなる心理っすか。全く、浩二さんらしいなぁ。…あっは、俺の恥ずかしがる事したいんすね。ほーんと良い趣味してますわ。常習的にやったら慣れて可愛げがなくなっちゃうかもですね。──ふっ、いたいたライブで脱ぐ奴。完全にお調子者じゃないっすか、ウケる。野郎が好む曲って言ったら何だろ。今度詳しく聞こ。…あー、やっぱ俺特殊なんすかね。でもお陰様で女好きには育たず好きな人が好き、でもって最高に良い男と付き合えたんで、今となっては不満はないっすね。──…ほっ…手は口を拭いただけなのに、それもアウトっすか。こんな夜中におやつ食って、ご褒美なしのストレスを抱えて寝たらマジで直ぐに肥えそうっすわ。…ぴえん。（相手の意地の悪い笑みを見ればしゅんと眉を下げ、不服げに口唇を立てわなわなと。スマホを片手に走って寝室へと向かえば、鼻を啜りつつ寝巻きへと着替えて拗ねた様に寝具の端で背中を向け横たえて。恋人に『ゆーくんおこです！でも愛してます。おやすみなさい。蹴っちゃって下さいね』と送ると、瞼を伏せ眠りへと就き）

ハハ、でもそーゆーの嫌いじゃねぇだろ？ココにすんのと一緒で悠チャンが可愛くてしゃーなくてすんだし。…ま、恥ずかしがらなくても良いんだけどな。お前の嫌がる事がしてぇの、俺。まぁでもこれ色々食わせるもん変えてやったら遊びまくれそうで良くねぇ？──だって盛り上がってくるとさぁ。あちぃし、なんつーか…こう…頭バカになるっつーかさぁ。客が俺に釘付けになるのが最高に楽しいんだよ。…フハ、確かに。その稀有な環境のお陰で今の悠チャンが出来たって思うと感謝しかねぇわなぁ。──そりゃ匙加減はぜぇんぶ俺次第だからさぁ。俺がアウトって言やアウトなの。詰めが甘いなぁ……次は──あ。逃げやがった。(厭らしい笑みを浮かべながら暴君のような物言いをしていれば、不意に恋人が背を向け寝室へと消えていき、背中に向かってポツリと溢せば不完全燃焼の儘後頭部の刈り上げ部分をガシガシと掻いて。ソファーに残った儘の自分のスマホが振動すれば届いたメッセージに目を通してから緩慢に立ち上がり、寝室へと向かい、衣類を脱いでから漸くベッドの端にいる恋人が視界に入ると子供のような姿に破顔し、依然として込み上げる意地の悪さを辛うじて飲み込んでは隣に仰向けに寝転び、ゆっくりと瞼を閉じて)…ハッ、これ離れて寝たら本格的に拗ねさせるかなぁ。でも抱き寄せちまったら思うツボだろーし。しゃーない、折衷案だわ。…おやすみ、悠チャン。愛してるよ。

（深い眠りから醒めると、昨日のやさぐれた感情を引き摺る事はなく伸びをしてから寝具を抜け出し。シャワーを浴びラフな服装へと着替えると、スマホを片手にコーヒーをハンドドリップし）…コツは蒸らす、ねえ。バリスタ目指そうかしら。

(午前中から続いた受け持ち店舗の店長らとのテレビ会議が終われば、髭隠しのマスクも申し訳程度にカットソーの上から纏ったジャケットも脱いで。鼻腔を擽る香りに誘われる様に恋人の元へと歩み寄り)…いー匂い。コーヒー淹れてくれてんの？

…よーし、出来た。（サーバーに溜まったコーヒーを満足げに眺めてから２つのマグカップへと注ぎ入れる最中、こちらへと歩み寄る恋人の姿を認めては穏やかに目を細め頷き、一方のカップを差し出して）そうなんです。お仕事頑張ってたんで、一服にって。どーぞ。…あれ、本日の業務はお終いですか？

ハハ、マジの嫁さんみてぇじゃん。えー…やべぇな、可愛い。あんがとなぁ。(相手の言葉に自然とニヤける口元を片手で隠した手は、反対の手でマグを受け取ると外し代わりにとばかりにコーヒーを一口啜っては、舌になれた芳醇な苦味に穏やかな息を吐いて)──あー、旨い。…ん、今日はとりあえずひと段落したから。後は悠チャンの時間。

想像以上に喜んで貰えて何よりっすわ。尤も、コーヒーすらスマホに頼んなきゃ淹れれない馬鹿嫁ですけど。（相手が口元へとカップを運ぶのを些か心配げに眺めるも、好反応を得れば安堵し表情を緩め、己の分のカップにミルクと多めの砂糖を入れてソファーへと向かい）無事淹れれたみたいで良かった。俺甘いのばっかり飲んでるんで、ブラックの塩梅が解んないんすよ。あっは、嬉しいなぁ。じゃあちゃんと待て出来たんで、ご褒美ください。

そりゃあなぁ。悠チャンが俺のためにって考えてくれんのは嬉しいよ。(恋人の後を追いソファーへと進むと腰を下ろしながら暫し思案する様に唸り声を上げ。漸く口を開けば冗談めかして笑みを浮かべると自分の太腿を軽く叩き相手を見つめ)ふ、ガキンチョ舌め。まぁカフェラテくらいは偶に飲むけど。…ご褒美ねぇ。んー、そうだなぁ。……あ、じゃあ膝枕でもしてやろうか？

うん、俺見た目に合わず尽くしたがりなんで、浩二さんの事考えてる時間が楽しいんすわ。…そ。粋ってブラック飲む日もありますけど、欲望に忠実になったらやっぱり砂糖美味いっすよ。ほぇー、カフェラテも飲めるなら今度からそっちにしますわ。胃袋心配なんで。（脚を組みカップを口元へと運びコーヒーを含んでは、口内へと広がる甘みにほっと息を吐き。次ぐ相手の所作に一笑しては、テーブルへと手中の品を置き相手の腿へと頭部を載せ横たえ、そっと頬に手を触れさせ）やった、ラブラブ感パないっすね。寝かし付けてくれるんですか？

ふは、悠チャンがそーゆー感じなのは薄々気付いては居たけど…やっぱ俺に向けてっつーのは酔狂なモンだと思うわ。…ま、糖分は頭働かせるにゃ必要だしなぁ。滅多にねぇけどすーげぇ疲れてる時とかは流石に甘いモン食いたくなる時ある。ん、砂糖無しのやつなら全然飲む。エナドリも酒も胃袋に悪そうだしなぁ。(案外すんなりと恋人が自分の腿へと頭を寄せれば、自分が提案したもののむず痒さが胸に広がり。照れ臭さを表情に滲ませつつ頬に伸びた手に自分の手を重ねては掌に口付けて、反対の手で頭を撫で遣り)…ハハ、冗談のつもりだったんだけどマジでやるとは。なぁに、眠いんなら寝かし付けてやってもいーけど？

酔狂かー。でも浩二さん、歴代の彼氏彼女から尽くされてそうっすよね。何となくですけど。──ははっ、糖分を脳味噌働かせる栄養くらいの認識でいれんのはスゲーっすわ。俺にとっては完全に嗜好品。酒、煙草、砂糖くらいの位置付けですよん。（下方から眺める相手の照れ臭そうな表情は普段よりあどけない印象で、愛しさが湧き上がり目を細めて。頭を撫でる手に心地良さそうに瞼を伏せては、すっかりとリラックスした声色で）俺にこの手の冗談は通じませんよ。全力で食い付くのが犬の性っすわ。…言わずもがな、眠くないっすよ。でも落ち着く。至福やー。

ん、まぁそーねぇ…俺の態度もあったんだろーけど、どいつもこいつもトチ狂ってんなって思ってたよ。──ま、筋トレするようになってからは昔より食うようになったけど。にしても酒とタバコに並ぶのは相当だわ。んじゃマジで甘いモンストックしとかねぇと。(瞳を閉じた恋人から発せられる穏やかな声に眦を下げ、出来るだけ振動を与えない様に背凭れへと身を預けて。髪を梳く感触に愛猫を彷彿とさせながら、ふと昨夜の喫煙所での会話を思い出し)おいおい、意地汚ねぇなぁ…まぁ膝枕嫌いじゃねぇから良いけど。甘えられてる感あるよなぁ。──あ。そーいや、昨日雨月さんと会った時に「今度は2人で顔見せろよ」って言われたわ。今度一緒に行くか。

まあトチ狂ってるかはさて置き、そう言う奴を寄せ付け易いんでしょうな。──寧ろここ最近酒も煙草も控え目なんで、砂糖への依存が増えてますよって。ははっ、あればあるだけ食うんで駄目です。（相手の膝の上で一息付けば瞼をゆっくりと開き、緩慢に上体を上げ乱れた髪を直し）あー、雨月さん居たんすね。最近挨拶出来て無かったんで、懐かしいな。何なら今から行きます？俺ちょっと化粧してからじゃなきゃ顔面厳しいんで、先行ってて貰う感じで。

まぁ俺大概偉そうだしなぁ…でも別に今までのは尽くされ始めたなって思ったら終わらせてたよ。だからこんな素直に甘えてんのはお前にだけ。──ふ、いーじゃねぇの。依存してて幸せなら別になぁんでも。ちゃあんと餌付けしてやっから(腿への負荷が無くなれば些か名残惜し気に口唇を立てるも相手の頬に口付けてから立ち上がり。緩慢に寝室へと進み迷彩柄のシャツジャケットを着るとリビングに声を掛けてから軽く手を振って玄関を潜り)…ありゃ、もう満足？──んじゃ、先に行ってくるかなぁ。ちゃんと待っててやるから慌てず化粧しておいで。悠チャンのすっぴんは独占しておきてぇし。…あー、あと俺はイマイチ物足んねぇから早めに帰ろ。んじゃ、あとでなぁ。

遊び人あるあるで出てきそうっすね、尽くさられ始めたら潮時って。ウケる。俺だけに甘えてくれるってんなら、そりゃ構い甲斐があるってなもんですよ。もっと寄り掛かって欲しいくらいですわ。──えー、ココちゃんのカロリーは気にして、俺のは気にしてくれないんですかー？…なーんて。ん、じゃあ軽く化粧してから行きます。現地で会いましょう、行ってらっしゃーい。（ソファーから降りリビングの扉前まで見送ると、マイペースに化粧道具を準備し身嗜みを整え始め。途中で思い出した様にスマホを操作し恋人の好みの音楽を再生しては、表情を緩めつつ化粧を再開し）

こんな時間まで居たの久々な気ぃすんなぁ。(喫煙所を出てポツリと呟けばスマホを取り出して時間を確認し。出入り口の横の壁に凭れ掛かってはイヤホンを付けて音楽を聴きながら恋人が出てくるのを待ち)

お待たせしましたー。寒くなかったですか？手とか手とか手とか。（暫し遅れて部屋から飛び出せば、喫煙所内でより幾分か甘い表情と声で恋人に語り掛け、冗談を告げつつ手を握り帰路へと足を向け）

…ん、そんな待ってねぇし、平──…ふ、いや。寒かったわぁ、めーちゃくちゃ冷えた。手とか頬とか。(喫煙所の扉が開閉したのに気がつくとイヤホンを外し、恋人に心配掛けまいと出かけた言葉は手を握られればすぐに止めて頬を緩めながら態とらしい口調に変え、自宅へと歩き出し) …いやー、良いタイミングで一緒に顔出せて良かったな。あんがと。

ははっ、頬も冷えちゃいました？それは申し訳ない、温めなきゃ。（繋いだ手は指先が些か冷たく、諸手で包み込んでは軽く摩って。態とらしく言い直された台詞に肩を揺らし笑っては、頬へと口付けを贈り目を細め夜風を感じつつ緩慢に往来を進み）ですねー。縁結び神社のお祭りに行った感じです。こちらこそありがとうございました。久々に皆で話せて楽しかったです。