No title（〆）

…あれっ、俺いつ寝たんだろ…やっべ、悪戯できてねーじゃん。浩二さんに申し訳ねーや。（起床し昨日の記憶を辿ると、腹部を噛まれ激痛に悶絶したところでぷつりと途切れていて。衣服の布地を捲り上げ確認すると、歯列がしっかりと確認出来る程赤黒く染まった傷跡が刻まれており、小さく笑んで愛しげに一撫でし。隣で眠る恋人の髪を撫でつつ寝顔を暫し堪能しては、シャツの襟から微かに見える程の際どい位置に控え目な色のキスマークを刻んだ後に寝具から抜け出て。バイトへの道すがら、『おはようございます。控え目な悪戯しかできなくてすんません。あ、馬鹿犬が噛んだとこすげー痛いです。嫌でも一日中浩二さんの事考えちゃう。愛してますよ。今日も一日頑張ってくださいね。』と送り、格好付けた表情で大都市の街並みを闊歩し）

──どーせ明後日ホワイトデーっつってカモにすんだろ？今日は行かねぇよ。(出勤前に首元の薄い鬱血痕を見つけてはつい気になり時折摩り上げ。仕事終わりの至福の時間を社内の喫煙所で過ごす中で同期の女性社員の誘いを無碍に断りながらスマホを取り出し、朝確認していた恋人からのメッセージを再び開き『見えそうで見えないってエロいよなぁ。お陰様で落ち着かないのなんのってねぇわ。馬鹿犬はこれから真っ直ぐ帰りまーす。』と犬の絵文字を添えて返信しては退社して。自宅まで着けば恋人が帰宅していない可能性を理解つつもすっかり癖付いた帰宅の宣言をぽつり溢しながら玄関の扉を開けて)ただいまぁ。

ココちゃんただいまー。今日も可愛く待ってたねー。（アルバイトから帰宅するなり満面の笑みを浮かべ猫を抱え上げては、疲弊した身体を休めるべくソファーへと横たえて。間も無くして恋人からの連絡を受信しては、彼らしい文章に思わず笑いを溢し意味のないスタンプを送信。緩慢に立ち上がると収納からお手製のチェック柄の蝶ネクタイを２つ取り出し、1つを猫の首に着けて再びソファーへと着座。玄関から物音がするなり嬉しげに表情を緩めながら猫を抱いて出迎えに向かっては、靴を脱ぐ間も与えず唇を奪う様にキスして）おかえりなさーい。待ってましたー。…でも、飲みは大丈夫だったんですか？

…おー、ただいまぁ。(聞こえてきた足音に下ろしていた視線を上げた瞬間に口付けされれば暫し反応が遅れるも、それが誰からのものかは火を見るより明らかで。緩く笑みを浮かべ軽い口調で答えるも恋人の腕の中に収まる愛猫に目が止まれば破顔してその小さな頭を撫で遣り)ん、平気。別に約束してた訳でもねぇし、そろそろ誘ってくんだろーなって勘がしてただーけ。──…フハ、つかなーに。ココまーた可愛いモン付けてんじゃん。

ははっ、誘われる時期が予期出来るくらい仲良しなんすね。良いなー、俺もそんな同期が欲しいっすよ。──ね、可愛いでしょ？ちゃんとワンちゃんの分もあるんですよ。（恋人が猫を愛でる姿を穏やかな表情で眺めては、腕の中の子を差し出した後に意味深な言葉を残し一足先にリビングへと。蝶ネクタイを手に取り細く笑んでは、ソファーへと脚を組み着座し恋人を待ち）

ま、そりゃ付き合い長い分ある程度は分かるわ、愚痴溜まってんだろうなぁとかな。でもあんま節操なく飲みに行くのももう控えておきてぇからさぁ。(苦笑混じりに言いつつも愛猫を胸に抱けば暫し頬擦りを送りデレデレと緩む口元を隠さないで居たものの、恋人の言葉に嗜虐心を煽られれば喉奥で先程までとは種類の異なる笑いを溢し。リビングへと闊歩して進めば抱き上げていた愛猫は仄暗い感情を察したのか、するりと腕から抜け出ては我関せずといった風にキャットタワーへと向かう姿を一瞥してからソファーへ腰掛ける恋人の前に立つと不遜なら態度で見下ろし。相手の手中の蝶ネクタイを奪うように手に取り)──へぇ。そりゃ良いねぇ。んで？付けてくださいってか？

成る程。浩二さん良く人の事見れそうですし、ちょっとした変化でも気付いてあげれるんすかね。愚痴溜まってそうなら近々行ってあげなきゃ。（自身の思惑に相対して手中の品を奪われれば、刹那不服げに口唇を立てるも直ぐに煽る様に薄く笑み。自身のシャツの裾を捲り腹部の傷痕を曝しては、煽る様な些か子生意気な口調で）残念、俺ワンちゃんって言ったんすけど。こーんな悪い傷を作っちゃう犬。さぞ気持ち良く噛んで行ったんだろーなー。──…仮に首輪着けてくれたらどんな悪さでも許そうと思ったのに。あーでも、俺が忠犬で尽くすのも悪くねーや。お好きな方でドーゾ。（自身の服のボタンを幾つか外しつつ言葉を紡ぐと、首元を広く開き後の判断は相手に任せるとばかりに双眸を伏せ）

（猫の首輪を普段の物へと戻し恋人を寝室へと運べば、寝具へと横たえさてから寝巻きへと着替えさせ。疲労を慮る様に頬を撫で寝顔を見据えては、そっと囁く様に）…ちゃーんと休んで欲しいから運んでおきますね。この儘寝ちゃって下さい。おやすみなさい、愛してますよ。（自身も寝支度を済ませると、隣に横たえ瞼を伏せ）

ん…あー…クッソ、まーた寝てたのか。(不意に目が覚め、寝起きで霞む頭を片手で抑えつつ記憶を掘り返して理解すると上体を起こしながら苦い表情で呟き。傍らで寝息を立てる恋人を見つめながら言い知れないやるせなさを感じ漏れるため息を抑えきれない儘吐き出し、瞼を閉じる眠る顔からは相手の心中を読み取れずにただその頭を撫で遣る事しか出来ず)明日…つか、今日か。早く帰ってきて埋め合わせしてやんねぇとなぁ。

(引き継ぎの一環で後輩と店舗回りを済ませた後、表情の曇りを認めれば後輩を飲みに誘い酔わない程度に酒を抑えたものの近頃常用している鼻炎薬の影響で悪酔いする可能性と昨夜の事を加味しては早めに解散し、溜まった諸々の連絡を確認しつつ自宅へと足を向け。道中コンビニの前を通り過ぎようとするも、タバコが切れかけていた事を思い出し立ち寄れば、恋人の顔を思い出し。程なくしてビニール袋を片手に帰宅し、靴を脱いでは足早にリビングへと)──ただいまぁ。

…久しぶりに顔出すかぁ。(リビングに人気がないのを確認しては久しぶりのその感覚に小さくため息を吐いてはビニール袋の中身を冷蔵庫へと仕舞うとキャットタワーで大人しく丸まる愛猫を抱き上げ暫し戯れるも、口寂しさを覚えては彼女の額に口付けを送ってから立ち上がり。『ちとタバコ吸ってくるわ』と恋人に連絡してから真新しいタバコを掴み再び屋外へと)

（恋人宅へと帰宅を果たすと、真っ先に猫の元へと歩み寄り抱え上げて頬擦りし愛でて。キャットタワーへと戻すとジャケットを脱ぎ、ソファーの背凭れに掛けてから腰を下ろして）…改めて帰りが遅くなってすんません。浩二さんもお疲れでしょうから、サクッと寝ましょうか。俺は夜食食ってから寝ようとしてますけど。

(再び帰宅してはネクタイを緩めつつ、恋人が猫と戯れるのを穏やかに見つめ。相手の言葉に冷蔵庫の中を思い出し、軽く顎で示しては先に着替えるべく寝室へと進み)いや、全然いーよ。俺も明日は多分おっせぇし。…あー、そーいや冷蔵庫にシュークリームがあるわ。もし食えそうなら食いな。

まじっすかー。じゃあ今日が貴重なイチャ付ける日だったって訳だ。…はぁ、この身体を呪ってやる。──…え、マジっすか。じゃあありがたくいただきまーす。（悔やむ様に片手で髪を掻き乱すも、次ぐ言葉に目元を緩めてはそそくさと冷蔵庫に赴きシュークリームを取り出し、ソファーへと戻るなりマスクを外して頬張り）うめぇ…。

ハッ別に俺は年中無休でイチャつける日だわ。可愛い恋人が誘ってきたらいつだって尻尾振ってんだろ？(半袖のTシャツとハーフパンツに着替えてリビングへと戻れば相手の隣に腰掛け。背凭れに身を預けながら隣でシュークリームを頬張る相手を微笑まし気に見つめ)ま、食欲あんなら大丈夫かなぁ。…にしてもほーんと毎回毎回、平気って言っときなかまら見事に菌もらってくんだから悠チャンすげぇよなぁ。

年中無休でも足りないくらいっすよー。…じゃあ、明日の分先にイチャ付いておきたいです。そうしたら良い子で待ってます。（シュークリームを半分程食したところで一旦テーブルに載せると、相手の体温を記憶する様に瞼を伏せ肩口に腕を回し身を寄せ）多分風邪なんすよ。社員がポジション的に休めねーからってバイト先に来ちゃって。それかマジで知恵熱か…はぁ、やっぱ俺っちニートしか向いてないっすわー。

んー…ま、今のおねだりは可愛かったからいっか。昨日もなぁ、イチャイチャしまくろうと思ってたのに俺の眠気が邪魔したし。──…甘っ。(相手の物言いにくつくつと肩を揺らせば応える様に相手の腰に腕を回し、鼻先を摺り合わせて戯れ。つい我慢出来ず軽く唇に啄む様な口付けを落とすも、その味に小さく呟き)あー…いや、社員としては耳に痛い話だなぁ…俺もたまにそーゆー事やっちまうし。ま、インフルと似た症状でたらマジでちゃんと病院行けよな。…フハ、ニートの可愛い可愛いヒモに戻るぅ？大歓迎だけど？

あははっ、今週は擦れ違い多いっすねー。でも俺としちゃ、浩二さんが早く寝ると安心なんすよ。だって俺と居て心地良くて寝ちゃったんですもんね？（冗談めかす様にくすくすと笑いつつ紡ぎ、鼻先の戯れには嬉々と薄く眼を開き享受。唇が重なれば見開くも、次ぐ反応に愉快げに一笑し）浩二さんも風邪うつっちゃいますね。…あー、浩二さんが居ないと仕事回んねー事とかありそうっすもんね。大人って大変だー。…えへへっ、近々極めてヒモに近しい状態に戻ろうかと思います。あ、つかそろそろ浩二さん寝かさないと。遅くまですんません。

ハハ、本当になぁ…欲求不満になっちまうわ。…ふ、まぁそれもあるわな。お前の顔見ると安心する。あとは最近のは花粉症の薬のせいも多分あるわ、なんか合う奴ちゃんと見つけねぇと。(緩く頷きつつ返答すれば表情を確かめるように口角の上がった相手の頬を軽く撫でて。口の中の微かな甘味が消えれば気にも留めない様子で相手の首筋に繰り返し音を立てて軽く口付けては満足した所で立ち上がり)いやぁ、今風邪引いたら出勤停止だからなぁ…ま、テレワークに切り替える良いタイミングじゃね？そうねぇ…その分金貰ってっからなんも文句言えねぇけど。お、マジ？んじゃ忙殺されてる俺を存分に癒してもらおうかなぁ。…俺っつーか風邪気味の悠チャンを、な。そろそろベッド行くかぁ。結局夜更かしさせちまったし、謝るのは俺の方だわ。

欲求不満は俺もっすよ。若干21歳、やりたい盛りなのに。次時間が出来たら覚悟しておいてくださいね。…うわー、花粉症はやべーっすね。このマスクもティッシュもないご時世で…可哀想に。（心配げに眉を下げつつ言葉を紡いでは、指先で相手の鼻先を撫でて。首筋に口唇が寄せられれば短く息を飲み、相手に次いで立ち上がっては手を引く様にして寝室へと）出勤停止かー…ありがたい反面、それもそれで大変っすね。浩二さんがテレワークになったらー、俺がずっとコーヒー淹れたりお昼ごはん作ったり肩揉んだり邪魔して差し上げますね。えへっ、風邪菌頑張って浩二さんにうつってくれー。…ん、ベッド行きましょか。つか俺が浩二さんと話したかっただけなんで、ありがとうございますに言い換えておきます。