雄太郎 2020-01-21 03:40:27 |
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(振り返る恋人の顔に軽く口角を上げ相手の手元の灰皿と吸殻を見留めれば鞄を愛猫とは逆側に軽く放るとベランダへと出てタバコを取り出し。隣へと並び立ち、タバコを咥え伏し目がちにジッポで火を灯して、紫煙と共に言葉を紡ぎながら柵へと腕を預けて)俺の方が帰んの早けりゃ迎えに行こうかなぁとは思ってたわ。ま、しゃーないなぁ。…ん、いーよ。何でも聞いてやんよ。
あ、成る程。それなら良かったっす。…んー、俺から話す事ねぇ…、…浩二さんのカーバ。(横へ並ぶまでの一連の所作を目で追い、相手に倣い新たな煙草を取り出し咥えて着火しては緩い口調で揶揄の句を紡ぎ一笑して。宙を仰ぎ見つつぽつりぽつりと溢すは)…ま、酔っ払い相手に色々考えちまった俺はもっと馬鹿野郎っすけど。でもね、酔っ払って理性が云々の行はイケてないっすわ。下衆い感情を俺で発散しなきゃ誰ですんの?って話っすよね。…賭けても良いっすけど、そんなんしてたら浮気しますよ。
ハッ、うるせぇガキンチョ。(相手の揶揄を鼻で笑って返せばタバコに灯る火を見つめながら深く吸っては相手の言葉に耳を傾け。嘆息と紫煙とが入り混じった息を吐いてからタバコを外へと向けながら頬杖を突いて相手を見遣り)まぁ、言葉選びが悪かったのは認めっけど……それに関してはそもそもさぁ、前提が間違ってんだよなぁ。誰が今更女と飲んで欲情すっかよ、そんなん最初の1週間で吹っ切ったわ。お前の顔見たから理性がどーのっつー事になんだよ。大事にするって決めた手前酒の勢いなんて示しがつかねぇからお前に会う前に酔い覚まそうとしてたんだよ、バーカ。
出たお得意のガキンチョ。立派な大人ですー。(鼻を鳴らし生意気な口調で軽口を叩いては、宙で煙草を叩き灰を風に乗せ飛ばして。暫し唇を閉し相手の言葉を傾聴。幾度か頷き手元の灰皿にまだ長さが残る煙草を押し付けては、相手にも同じ所作を求めるべく差し出し)なら姉ちゃん達と飲んだ云々言わなきゃ良かったんすよバーカ。つか俺も男なんで、んな大事にされてーとか思ってねーし。でも気持ちは把握しましたわ、ありがとうございます。仲良くしましょ。…他に言い残した事は?
おー、おー…自分でガキだって言ってたクセに。(眉を上げて揶揄すれば頬杖を解いた反動で落ちた灰気に留めるでもなく背中を起こし。求められるが儘にタバコを灰皿へと押し付けては、他人事の様な口調にて呟いてから暫し思案して)微塵もやましくねぇから言うんだけどなぁ。ま、聞きたくねぇってんなら今後は言わねぇわ、ごめんな。…言い残した事、ねぇ。悠チャンはもういいの?
今日はガキの気分じゃないんすわ。…聞きたくねぇっつーか、話の流れが悪かったんすよ。別に普段なら何とも思わないんすけど、あの日の浩二さんは俺を呼んでおきながらやっぱ離れろって言ったり。…寂しかったっす。(回想し瞼を閉じながら想いを紡いでは、ふと虚無感が蘇り目を薄く開き独り言の様に感情を呟いて。相手が煙草の火を消したのを認めれば灰皿を足元に置き、ふと笑みを湛えて諸手を広げて)言い残した事は、ちゃんと浩二さんの話を聞かなくてごめんなさいでした。あと、無駄な時間過ごしちゃったんで埋め合わせしてください。
あー…それに関しては、弁解の余地なしに俺が悪ぃ…ごめんな。しかも智チャンも隣に居たのにお前にだけ言っちまってさぁ…隣に居させてぇのに隣に居たら手ぇ出しそうだったんだわ。(公開を滲ませ苦い顔をしては表情に翳を落とす相手の頭を優しく撫でて。次いで相手が灰皿を下ろせばその腰に片手を回し引き寄せ2日ぶりの抱擁にホッと安堵の息を漏らし)あー…うん、次あーゆー事あったらさ、怒って良いから俺とちゃんとすぐに話しよ。んで、俺も昨日はマジでごめん。俺と一緒に居るより一日くらいお前が好きな事しに外出てた方がストレス解消になんのかなって思ったけど、悪手でしかねぇわな。
怒ってないですよん。悪気はないのは知ってましたし。只、俺の欲求が満たされなくて拗ねただけっすわ。…一緒に居たかったから、そう言うべきでした。(毒気なく柔らかに告げては、頭を撫でる優しい手を俯き加減で享受。次いで引き寄せられる儘に身を寄せ、両腕を肩口に回し瞼を伏せ抱擁しては、切望していた温もりに仄かに心臓を高鳴らせ喜びを噛み締める様に唇を結び)うん、あの日は色んな感情がぶわーってして話せなかったんすけど、次からはもう逃げません。すんませんした。…昨日のは俺も悪かったですよ。浩二さんの気持ちが解んなくて、本当は寂しいんじゃないかって思いつつも無難な道を選んじゃいました。…結論、お互い呆れる程不器用っすね。(愉快げに声を立て笑っては緩慢に相手から離れ、窓を開けて先に入る様にと手で動かし)んじゃ、今日は早めに寝ましょうか。
…まぁ、酔っ払いでんな事言われた日にゃあマジで何すっかわっかんねぇからなぁ……俺もちと酒の飲み方考えるわ。禁酒とかは無理だけどさぁ、付き合いもあるし。(言葉を口にする度に募る己の情けなさに思わず苦笑すれば、頭上に白い息を吐きながら小さく宣言する様な声色で。腕の中に収まる相手の顔を覗き見つつ緩く頷いては堪え切れず時間の穴を埋めるかの如く相手に頬擦りをして)ま、もちろん次が無い様に気をつけるけどな。…一昨日の事に関しても昨日の事に関しても、所詮俺らは他人だからさぁ、お互いちゃーんと話さなきゃわっかんねぇよなぁ。どっちも気ぃ強いから終始穏やかにっつーのは難しいかも知れねぇけど、不器用なりに最後にゃ一緒に笑って話せる様にしていこうなぁ。(相手が離れれば一頻り満足してはいるものの不満顔で促される儘室内へ戻り緩く振り返って)…明日から3連休のオニーサンにそんなツレない事言うかぁ?まぁ、明日は悠チャンのバイトが終わりゃデートだし疲れてるだろうから無理させたくねぇし…良いっちゃあ良いんだけどさぁ。
何されても良いっつってんのに解んねー兄貴だなーもう。別に禁酒とか望んでねえっすよ。寧ろ俺といる事で何かを制限されるくらいなら、俺は浩二さんの前から消えます。縛り付けたくて一緒に居る訳じゃねーんだし。(悩んだ末の台詞である事を察し語調は加減するも、相手の決断をきっぱりと切り捨て)…ね。とは言え、俺あんまり感情を言葉にするのが上手くないんで浩二さんをイラつかせちゃうかもなんすけど、次からは頑張ります。真剣なお付き合いなんでね。(相手に続き室内へと入り後ろ手で窓を閉めては、スマホを取り出し時刻を確認して。暫し逡巡するも自身の鞄から少年らしい字で書き綴った便箋を封入した封筒を取り出しては、ぶっきらぼうに相手の手に握らせ)あ、浩二さんが大丈夫なら余裕っすわ。…つか、0時過ぎましたね。記念日っすわ。口動かすのも怠いし、手紙にしたんで読んどいてください。俺はシャワー浴びてきまーす。(ぎこちなく視線逸らしつつ言葉を発すると、足早にバスルームへと足を運び)
浩二さんへ。
付き合って早1ヶ月っすね。こんなしょーもない俺を養ってくれて、ありがとうございます。先月の時点ではまさかこんな関係になるとは思ってなかったはずなのに、今じゃ浩二さんなしの生活って考えられないんすよ。すごい心境の変化じゃないっすか?
…えとねー、俺ね、浩二さんと会うまでは誰とも付き合う気がなかったんすよ。バーテンのバイトがしんどくなるから。だから似た者同士の浩二さんに惹かれ始めてるなーって思った時も気持ちを否定してたんですけど、顔合わせたらやっぱ楽しくて絡んじゃって。久々に中学生みたいな甘酸っぱい片思いを楽しませてもらいましたわ。
それでねー、浩二さんのどこが好きかって言うとね、顔と身長と体格とお金持ってるとこと、あと太っ腹なとこと、下衆なとこ、チャラいとこ、その辺を全部くつがえすくらい実はマジメで男前なとこ、キザだしそれがサマになってるとこ、実は寂しがりで動物好きのかわいいギャップをもってるとこ、…んー、あげきれない!良いとこも人間味があるとこもふくめて、全部まるっとまとめて愛してますよ。だからこれから何があっても、浩二さんは浩二さんらしく自由にすごしてくださいね。気分屋の俺の飼い主をするのは大変だと思いますけど、これからもよろしくお願いします。
愛してますよん。ゆーくんより
あらやだ、これもしかして俺据え膳されてる?…っつーのは冗談として。お前ね、そんな事言うんじゃありません…言ったろ?俺悠チャンが消えたらぜってぇズルズル引き摺んぞ。それこそ酒に逃げてアル中驀地だわ。つー事で…禁酒なんかしねぇから俺がハメ外しすぎねぇ様にちゃーんと側で見張っといて。(自制する様に態とらしく戯けては聞き捨てならない一言に眉根を寄せるのも束の間、最終的には折衷案とでも言いたげに口角を上げて)…ハハ、真剣なお付き合い、ねぇ…そりゃどーも。俺も真剣なお付き合いしてるつもりだわ…ちゃんと伝わってっと良いんですけどぉ。(相手が口にした慣れない響きに照れ臭そうに溢れた笑みを誤魔化す様に茶化すもむず痒さは消えずに顔を逸らし。手渡された便箋を不思議そうに見つめてから顔を上げれば既に相手の背中は消え、投げた言葉は宙に漂い。僅かに口唇を尖らせ恐る恐る手紙を開きながらソファーへと腰掛け)あー、そうだなぁ…1ヶ月か。いつもありがとうなぁ……って。なんだよ、これ──…逃げやがった。(手紙に目を落としゆっくりと読み進めては独り言を溢しながらもジワジワと込み上げる喜びに口元がニヤけるのを抑え切れず、一文字一文字噛み締めるように脳裏で反芻して。漸く読み終えれば恋人への愛情を存分に示したい気持ちが募りそわそわとリビングの扉を見つめながら小さく身体を揺らして待ち)…アイツこーゆーのマメだよなぁ…。…ふ、まだ養ってるって言える程じゃねぇわ。……褒めてんのか貶してんのか…ま、らしいわな。……これからも、ね。うん…。………あー、ダメ。早く戻ってこねぇかな。
(独りの空間に入ると、書き慣れない手紙を渡してしまった事への恥じらいと後悔から顔を両手で覆い悶えて。些か落ち着いたところで衣服を脱ぎシャワーを浴びると、終わる頃にはすっかりと忘れ去りいつものペースでルームウェアを纏い、髪の毛をタオルドライしつつ恋人の待つリビングへと戻りソファーへと腰を下ろして)うぃーす、シャワーサンクスです。浩二さんも入ってくださいねん。
(落ち着きなく視線を部屋中に巡らせては聞こえてきた足音にそちらへと顔を向け。前のめりに座り直せば隣に腰掛ける恋人の顔を覗き見る様に太腿へと頬杖をつき依然ニヤける口元を抑えては目を細めてながら次第に視線をずらして)ん、入る…入るけど。その前に手紙あんがと。嬉しかったわ…つか、正直めちゃくちゃ恥ずい。お前の顔見てぇのに、直視出来ないくらいには。
(落ち着きのない様子の相手を髪を拭いつつ不思議そうに眺めるも、その故を理解すれば口許を手の甲で覆い隠しつつ恥じらいげに笑い声を立てて。タオルを肩口に掛けては、隣に座る彼の肩をふわりと抱き締め愛しげに双眸を下ろして)いーえ。こちらこそ、読んでくれてありがとうございます。…一人の時間を有効活用したんすよ。本当はもっと書きたいことあったけど、小出しにしてく方が楽しいかと思って止めときました。…つかウケる。普通恥ずかしがるの逆っすよね。さあさあ、こっち見てください。
(行き場の無い視線を巡らせながら肩に回る手を大人しく甘受しては自分の心臓の音の煩さに負けた声色で呟き。観念したとばかりに深く息を吐いてから真っ直ぐに相手を見つめるも鏡を見ずとも自覚出来る頬の火照りに情けなさの残る笑みを浮かべて)俺の好きな奴が思ってた以上に俺の事好きで居てくれてるみたいで居た堪れねぇの…自分が言うのも、どうでも良い奴に言われんのも慣れちゃあ居るけど、本命は別。…はー、マジでどんな顔して何言ったら良いのかわっかんねぇなぁ。いつもならスラスラ言葉出てくんのに。…愛してるよ、悠チャン。お前が1番でお前だけが特別だわ。
(薄く目を開き表情を窺うと、珍しくも頬を朱に染める相手が。微笑ましい姿に笑みは益々と深まり、感染した様に自身も薄く肌の色を高潮させて。徐に頬へと口付けを贈ると、足元へと視線を這わせつつぽつりぽつりと)…もー、俺の事信じてなかったんすか?まあ出逢った時があんなちゃらんぽらんだったんでアレっすけど。…これでもね、俺素直なんでちゃんと感情に合わせて好き、大好き、愛してるって言ってるんすよ。愛してるを言ったのは…そうだな、あまりいないとだけ。…ははっ、ナンバーワン頂きました。それ以上の言葉はねえっすわ。(徐に相手の首に腕を回し直すと、うつらうつらとしつつ甘える様に頬を擦り寄せ)…浩二さん、眠くなってきましたー。歩くの面倒くさい。…あ、寝ちゃわない内に。明日は19時くらいにはバイト上がれると思うんでー、終わったらケータイで連絡するんで好きな時間に来てくださいね。あ、つかデート、明日ってか今日で大丈夫です?
(幾分落ち着きを取り戻せそうになるも頬への口付けで気恥ずかしさは更に募り。仄かに色づく相手の頬をひと撫でしてから相手の背中に腕を回し顔を隠す様に肩口へと額を下ろして)…信じてねぇ訳じゃ無かったけどさ、俺みてぇなクズのせいでお前が初めてん時の奴みたいになっちまったらどうしようっつー不安感はずっとあったわ。けど、ちと吹っ切れた気がする。…フハ、その含みのある言い方は気になっけど。ま、俺は最終的に悠チャンが俺の元に帰ってくりゃなんでも良いわ。俺もどこで何してても──…浮気はしねぇけど。何してても悠チャンの所に帰ってくるからさ、心配しないでな。(頭を上げては片手を相手の後頭部に添えて宥める様に軽く摩っては甘ったるい声色で)ん、いーよ。このまんま蹴って寝ちゃいな。ベッドまで連れてってやるから。…んで、デートも明日で平気、ちゃんと空けてあるし。悠チャンからの連絡来るまでに諸々の用事済ませておくから、気ぃ遣わずに終わったらすぐ連絡して来いよ。
(触れる肌から鼓動が伝わり相手の心中を察すれば、悪戯に口角を上げ今度は啄む様な口付けを贈り。肩口へと預けられた頭部を緩やかに撫でつつ)幾ら自虐されても、俺だって屑だと思ってる人とは付き合わないんでそこんとこ。後、しつこく言ってますけど、別段幸せにして貰おうなんざ思ってないんで前例の方の様にはなねーっすよ。なんつーか、そこはお互い努力してナンボじゃないっすか。浩二さんだけが背負う事じゃないんで、肩の力抜いといてください。──…あー、含みがあるっつーか。まともに付き合ったのがほぼいねーって事っすわ。まあ1人しかいねーんすけど、エグい浮気されて別れてるんで後グサれもねーし、何なら出不精なんで今はふらふらもしてねーんで安心してください。…んー、じゃあお言葉に甘えて寝ます。浩二さんも蹴って寝ちゃってくださいね。…えへへっ、明日楽しみっすわ。それじゃあ、おやすみなさい。愛してますよーん。(盛大な欠伸をすれば瞼を閉じ、幸せを噛み締めつつ眠りへと就き)
(相手の行動から自分を揶揄っていると判断しては触れた唇に本心では無い顰めっ面を見せて。頭を撫でられては相手の肩に笑声を零しながら軽く頭の角度を変えて横目で顔を見遣り)…ハッ、必死に取り繕ってんの。でもまぁ、更生中だからさ、お前の為に。ん、悠チャンのそーゆー所は男前だと思うわ…んで、結構助かる。色々やらかした事を悪いと思ってるし過去は変えらんねぇけど未来はどうにでもなるわな。そーゆー事言ってくれる所好きだよ。…は?1人?マジで?…なんつーか、意外だわなぁ。しーかも、何。…お前浮気性の奴好きになる呪いにでも罹ってんのって感じ…なら、尚更心配するの分かるわ。いやー…気ぃつけよ。(相手の寝息が鼓膜を揺らせばその儘の態勢で慈しむ様に頭を撫で続け。暫し堪能してから寝室へと運びベッドへ横たえると、手早くシャワーを浴びてから軽く髪を乾かして恋人の眠る寝具へと入り、相手の頭の下に腕を敷いて)俺も明日楽しみにしてる。おやすみ、悠チャン…俺も愛してるよ。遅くまでごめんな、ゆっくり寝てくれなぁ。
…やっべ、思いの外遅くなっちった。(タイトめなグレーのセットアップの中に黒のシャツを纏い、グレーのネクタイを巻いた姿で都会の街を闊歩し。予約していたリムジンの扉を開いては、クラブを彷彿とさせるライティングに目を細めつつBGMにEDMを設定して。恋人に集合場所を指定する連絡を入れては、赤い薔薇の花束を片手に車体に寄り掛かり、スマホを弄りながら待ち)
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