雄太郎 2020-01-21 03:40:27 |
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だってコウくんが腰悪くしたら困るんで。ま、まだ噛んで欲しいんで痩せる気はないんですけどね。──はは、そんなに楽しみにしててくれたんすね。嬉しいなぁ。言わずもがな、俺もすげー楽しみにしてましたよ。…お、じゃあ俺が瞬きする度にコウくんをときめかせられるって訳ですね。最高だ。…え…ええー…!これ俺が昨日買おうとしたやつじゃないっすか。すげー高かったでしょうに…ありがとうございます。もしかして4ヶ月記念のプレゼントですか?(唐突に膝の上に紙袋を載せられれば驚いて見開き、その重量感に手を震わせながら中身を覗き。見覚えのある品々に嬉しさと申し訳なさが入り混じった表情をしては、感謝を込め再び口付けを贈り。次いで猫と視線が合えばくすくすと肩を揺らし、己の腕の中へと迎え入れて愛しげに頬擦りをし)マジっすか。もしかしてココちゃんの本命彼氏は俺っすかねー…可愛いー。
そんなんで腰やる程柔じゃねぇつもりだけど…もうちょいちゃんと鍛えたら安心して抱っこさせてくれる訳?──悠チャンは表情豊かだからな、そーゆーのが似合う。気ぃ強そうな濃いめの色とも迷ったけど、それはちと色っぽくなりすぎて俺が困るからやめた。…ハハ、そーだっけ?俺が俺の成績伸ばす為に投資しただけの話だよ。日焼け止めは焼かせたくねぇからだけど。あー、それとも4ヶ月記念にってした方が気負わず受け取ってくれんならそれでも良いわ。(些か複雑そうな顔に小さく笑いを溢し、軽く首を左右に振ってあくまで利己的な考えの元の行動だと念を押す言葉は相手の笑顔の為を思えば強ち間違いでもなく、唇の柔らかな感触を楽しみ。愛猫が手元を離れれば緩慢に立ち上がりくしゃりと相手の頭を撫でてから浴室へと進み)フハ、略奪された?女心はわっかんねぇなぁ、あんなに俺にベタ惚れだったのに。──さて、化粧すんだろ?その間に俺シャワー浴びてくるわ。
今でも十分鍛えられた身体じゃないっすか。普通女運ぶのも怠いでしょうに、俺はプラス20キロくらいあるもんで。…でも、コウくんが嫌じゃないなら甘えちゃいます。運んで貰えるとドキドキするんで。──はは、コウくんが困るとこ見てみたかったなー。じゃあ次お店に行く機会があれば、それを買わせて貰います。──だって成績稼ぐにしては余りにも高いプレゼントっすよ。…でもすげー嬉しいっす。特にリップ。コウくんとキスする時に唇つるつるでいたくて欲しかったんで、買い逃して若干後悔してたんすよ。…えー、これ日焼け止めっすか?やったー、丁度欲しいなーって思ってたんすわ。ありがとうございます。…えへへ、コウくんだーい好き。(記念日の贈り物と己の中で理解をすれば感情は純粋な喜びになり、猫を抱きつつ1つ1つ丁寧に箱から取り出すと高級感のある真新しい品々に毎回感嘆の息を溢し、最後に嬉々として相手に抱き付き愛を伝え。次ぐ言葉に頷くと猫を一撫でしてから床へと下ろし、メイク道具を取りに寝室へと。再びリビングへと戻るとテーブルにメイクボックスを載せ、昨日購入した化粧水を使用してから手早くメイクを施しては、アイシャドウが引き立つ様に他を薄目に仕上げつつ最後にリップクリームを塗り香水を付け、アイロンで髪をセットしつつ恋人を待ち)
全然。だってお前がそんなん強請ってくんの後にも先にも俺だけじゃん、喜んでやってやるわ。──…まぁ、買っても良いしお前が粧し込む分にはあんま口出ししねぇつもりだけど。悠チャンの色気に関しては、他の奴には見せたくないかな。──…俺とキスする為って随分可愛い事言うじゃねぇの。そーゆー事言われると弱いんだよなぁ、堪んなくなる。折角ならデート中たくさんキスして確かめてやろっか。…ん、俺も大好きだよ。喜んでくれたんなら買った甲斐あるわ。(相手の表情が喜びを前面に出す様なものへと変わればつられて頬を緩め、愛らしい句を紡ぐ唇へと視線を送りつつ時間を忘れて口付けをしたい気持ちを堪えて冗談混じりの言葉に変えて。シャワーを浴び香水を付けてから総柄のヴィンテージシャツに着替えると微かに湿り気の残る髪をグリースで整え、鏡越しに首元で光る指輪を一瞥してはチェーンから外し左手に嵌めてリビングに戻り。恋人へと歩み寄ると普段と趣の異なる化粧に暫し見惚れつつしみじみと呟き、無意識に相手の頬に手を伸ばして軽く撫ぜ)…あー、やっぱ似合うな。可愛いよ。
──えへ、コウくんに褒められるためだけにやってるんで嬉しいですよ。因みに化粧水も変えてみたんです。肌の触り心地良くないですか?──…あ、指輪だ。デートって感じ。嬉しいですよ。…はぁ、それにしても今日も俺の彼氏は格好良いっすわ。惚れ惚れしちゃいます。俺も急いで着替えて来ますね。また昨日のパーカー着ちゃいますけど、数時間しか着てないんでご愛嬌って事で。(センターパートの髪を無造作にセットし終えたところで恋人が戻れば、褒め言葉に素直に双眸を細めつつ表情を綻ばせ頬を撫でる手を享受し。ふと相手の左手に嵌められた指輪に気付けば嬉々と笑みを深め、すらりと伸びる指を手に取り己の口元へと引き寄せ光り輝くそこへと口付けを贈り。改めて相手の仕上がった姿を惚れ惚れと眺めると手早く化粧品をボックスへと仕舞い、寝室へと向かい赤のパーカーとダメージ加工の入ったデニムを纏うと、リビングへと戻り恋人に手を差し出し)お待たせしました。さ、行きましょうか。
──すっぴんも普段のメイクも可愛いけど…正直今日のナチュラルめなメイク、全体的にめちゃくちゃ好み。言われてみりゃ肌もモチモチだな…このまんま触ってたくなるわ。いや……こりゃ落ち着いてデート出来ねぇなぁ。──ん、休みの日に出掛ける時くらいはちゃんと付けてやろっかなって。こっちのが好きだろ?…ハハ、どーも。かわい子チャンの隣歩くんならバシッとキメときてぇのよ。パーカーも気に入ってくれてて嬉しいわ。(相手の瞼が揺れるたびにそこに載ったアイシャドウが光を反射してより一層印象的になった目元に暫く注視し、漸く見つめ過ぎている自分に気が付けばはにかみながら視線を外しては後頭部を掻いて。指の根本から微かに広がる柔な感触にくつくつと喉を鳴らしてはするりと引き抜き、見せつける様に同じ箇所へと自分の唇を触れさせてから相手の背中を見送り。蹲み込み床で丸くなっている愛猫の背を撫でつつ恋人の戻りを待ち、再び立ち上がるとその手を取って玄関へと進みスニーカーを履いて扉を開け)全然待ってねぇよ。…どんな店見たいとかある?俺マジで拘りねぇから悠チャンの好みの所行こ。
マジっすか。じゃあ暫くはこのメイクでいきますわ。勿論コウくんの視線を奪っておくためだけに。…はは、そんなに褒めて貰えるとは。今日はデート中に沢山キスしてくれるんですもんね?楽しみにしてますよ。──やっぱコウくんにペアリング着けて貰えると、俺はコウくんの物だぞって自覚出来る感じがするんで嬉しいっす。気付いてくださってありがとうございます。(己へと注がれる視線に気付けば照れ交じりに口唇に弧を描き、目を細めて喜びを示し。相手に続きお揃いの靴を履き外へと出ると、心を躍らせながら手を繋ぎ歩みを進め、スマホを操作し然程離れていない駅ビルのマップを出し、甘い声で強請り)んー、マグカップですよねー。今のところ俺の中で動物的な可愛い系で行くか、コウくんっぽいオシャレ系にするかで迷ってるんすよ。どっちが良いですか?いずれにせよここの駅ビルにオススメの店が幾つか出店してるんで、バイクで連れて行って欲しいです。コウくんとドライブ。
…ぜってぇ他の奴の視線もついでに奪うじゃん。あーあ、もっと無難なの勧めときゃ良かったかなぁ。…ふ、アレは半分冗談だったのに。寧ろいーの?俺に好きにさせると人目あんま気にしねぇけど。──…だあって酔った勢いで俺に指輪嵌めさせるくらいだし、流石に気付くわな。仕事ん時だけ気をつけりゃ良いから、クラブ行ったりする時もちゃあんと付けてくよ。(歩きながら身を寄せて相手の手中のスマホを覗き込み緩く頷きつつ駐車場へと赴き。営業車の隣に鎮座するバイクへと近寄り、ヘルメットを取り出して手渡すと自分の分を装着する前に手始めとばかりに軽く口付けて)どっちでも良いけど…あー、でも割れにくいヤツが良いな。あとは見て決めりゃあ良いよ。…ん、オッケー。折角髪も可愛くしてんだからメット被って崩れない様にだけ気ぃ付けてな。
そう言ってくれるのはコウくんくらいっすよ。完全に恋人の欲目っすわ。でも万が一誰かに見られても、今の俺はお堅い男なんでノープロブレムっすよ。…んー、コウくんにキスして貰えるなら何処ででも喜んで。だってデートしてる時は2人だけの時間ですから。周りなんて知らないです。──…もう大体の俺の心情がバレててドキッとしますわ。クラブに指輪着けてって貰えれば、そりゃもう俺は安心してコウくんの帰りを待てます。ナンパされたら左手見せちゃえばそれで終了ですもんね。──了解っす。俺の狙ってるマグカップがコウくんの趣味に合うと良いんですけど。(相手がビルの場所を把握したのを認めるとスマホを仕舞い、ヘルメットを受け取って。不意に唇を奪われれば見開いた儘で口付けを享受してしまい、瞬く間に肌の色を朱に染め恥じらいげに視線を逸らしつつバイクへと跨り。心臓を高鳴らせつつヘルメットを被ると、気持ちが落ち着かない儘恋人の腰元を掴むべく両手を伸ばし)──…不意打ちは反則っす。好きが溢れてデートどころじゃなくなっちゃうじゃないですか。
いやだって、俺の事釘付けに出来る程イイ男なんだぜ?他の奴が見惚れねぇ訳ないんだよなぁ。…ま、でも悠チャンは魅力を1番理解してんのは俺だし、俺のモンって事実は変わらねぇから良いんだけど。…あらやだ、馬鹿ップル。ついつい家以外でもイチャつきそうになるから日頃から気ぃ付けてたんだけどなぁ。──お、当たった。まぁ最近チャラ箱に行こうって気ぃすら起きねぇんだけどな。音楽と酒楽しむなら別にパーティーライトでも買って悠チャンと家でやりゃあ良いし。…にしてもナンパ断る事を俺が考えるとはなぁ。成長したわ。(戯れ程度の触れ合いのつもりでいたものの、相手が頬を染め恥じらう仕草をすれば俄然興が乗り、意地の悪い声色で揶揄の句を口にしつつヘルメットを被ってバイクへと跨り。背中から伝わる相手の心音に愉快気に肩を揺らしながらも手をしっかり回す様に誘導してからキーを差し込みエンジンを掛けると車体を発進させ)──フハ、こんなんまだ序の口じゃねぇの。楽しみにしててくれなぁ。
確かにコウくんは日々美人ばっかり見てるから、その辺の評価基準は厳しそうな気がしますわ。じゃあ自惚れておくんで、もし俺が誰かに見られてたらちゃんと嫉妬してくださいね?…はは、馬鹿ップルは今更っすよ。只でさえ昨日はあんまりキスできなかったんで、今日は欲求不満なんです。期待してますね。…まあ暫くは感染症怖いんでなかなか行き難いっすわな。じゃあ雰囲気楽しみたい時は一緒に家で遊びましょ。作戦があるんで。…ネ。コウくんが俺にこうして配慮してくれるのはありがたいっすわ。ま、万が一ナンパに着いて行ったらチェーンソー持って追いかけ回すつもりなんすけどね。(視界の端に意地悪く笑む相手の顔を捉えれば、些か拗ねた様に唇を立てつつ誘導される儘に腰に腕を回し。発進するなり楽しげに目を細めると、走行音に掻き消されぬ様に些か大きな声で)──やっぱ何回乗ってもバイク楽しいっすわ。
まぁそれもあるし、俺は元からめちゃくちゃ面食いだから。言わずもがな、悠チャンに関しては外見と内面の両方で惚れ込んでるけど。あー…嫉妬っつーか多分牽制はするかなぁ。俺のモンに手ぇ出すんじゃねぇぞって。──…お、遊ぶって何してくれんの?雰囲気楽しむんなら何時でも喜んでって感じだぜ、俺の好きなモンばっか揃ってんもん。…フハ、マジで俺の浮気に関してバイオレンスさ出すよなぁ。笑うわ。そんな脅さなくてもするつもり微塵もねぇよ。(風を切る感覚を楽しみつつ相手の言葉を聞き前方を見据えた儘軽く頷いて返しては、疎らな車の間を縫う様にバイクを走らせ。駅が近づくにつれて車通りが増えてくれば緩やかに速度を落とし、信号待ちがてらハンドルから手を離すと腰に回った腕に手を這わせ緩く振り返り)──俺の好きなモン一緒に楽しんで貰えるなんて嬉しいねぇ。最初っからあんまビビらず乗ってくれてたしな、こんなん車じゃ味わえねぇっしょ。
コウくんの興味を引ける顔面に産んでくれた親に今程感謝した瞬間はないっすわ。…つか俺等面食いカップルでウケますね。勿論俺もコウくんの内面にベタ惚れなんですけど。──…えへ、牽制してくれるんすね。それは夢の様だ。じゃあ俺も嫌味ったらしく、「すんません、俺この人のモンなんで。」って言う様にしますわ。多分そんな瞬間は来ないっすけど。──何か一時期TikTokとかでDJごっこみたいなの流行ってたんですよ。それの真似事でもやろうかなって。…ん、コウくんが浮気しないのを知ってるから大袈裟な事言ってるんすよ。マジで浮気されたら…そうだな、経験上では許そうって努力するけど、やっぱ許しきれなくて別れちゃいますかね。(久方振りに目にする通行量の多い道路に安堵感を覚え目を細め。不意に手に触れられれば視線を合わせ微笑を刻みつつ頷き、ほんの少しの間も無駄にしない様にと相手の指に己のそれを絡め)スリルのある乗り物は好きなんすよ。…コウくんと出逢わなかったら一生乗らなかったでしょうし、本当に今良い経験してるなって思います。因みに車も好きなんで、いつか楽しみにしてますね。
今日も遅くまでありがとうございます。まだまだデートを堪能したいんで、置きにして貰えると嬉しいっす。でもって時間も時間なんで、前置きとか無しで大丈夫なんで蹴って休んじゃってくださいね。じゃあ、こっちも蹴りでお願いします。
ふ、悠チャンの親御さんには外見も勿論だけど、こんなに素直で愛嬌があって気の利くイイ男に育ててくれたのを感謝しとけって。──まぁ魅力的に見えちまうのも惚れるのも別に、お好きにどーぞって感じだけど手ぇ出すのだけは頂けねぇからなぁ。悠チャンの事好き勝手して良いのは俺だけだし。──TikTok全っ然見てねぇんだよなぁ…こーゆー時に4歳差の壁感じるわ…。ま、その分初々しい気持ちで見れるかしら。んじゃ楽しみにしとく。…ハハ、分かってんよ。んで、分かった上で何度でも言うけど俺が本気になったのなんて悠チャンだけだよ。それまでの相手なんか全部退屈凌ぎとストレス発散の、それこそ文字通りの浮ついたモン。だから未だにお前の元カノが浮気した信じらんねぇわ、他のモン全部霞んで見える位なのに。──…車はなぁ、ついつい運転中にタバコ吸いたくなるのがネックなんだよなぁ。渋滞に捕まった時とか。(ヘルメット越しに見える微笑みに自ずと笑みを浮かべるも、隣に並び立った軽自動車が動き出すのを視界の端で捉えては名残惜しさを感じつつ手を離し、再びハンドルを握り。程なくして駅ビルへと着くと駐車場へとバイクを停車させて)ほい、到着。ドライブ如何でしたかねぇ。
こっちこそ今日も遅くまであんがと。置きの件も了解、俺も折角ならゆっくりデートしたいから有り難ぇわ。んで、出来るだけ悠チャンにおやすみ言ってから寝てぇってのは俺のエゴだから気にしないでくれると助かるわ。勿論、マージでやべぇ時は普通に寝落ちるけど。因みに今日はまだもうちょい起きてられそうな予感がするからおやすみはまた後でって勝手に企んでるけど、悠チャンも無理せず寝ちゃってな。…てのだけ言いたかったから蹴ってくれな。
そんなにデキた人間じゃないんで恐縮っすよ。まあコウくんなら俺のポンコツ具合とかも受け止めた上で褒めてくれてると思うんで、ありがたく素直に受け取っておきますね。──はは、確かに今の俺らはお揃いの指輪してるんで、声掛けてから知らなかったですで済ませてやる必要はないっすわな。じゃあコウくんが声掛けられたら俺もボディーガードの如くすっと参上しますね。──…ん、本気になったらこんなに良い男のコウくんを擦れさせちゃった初カノさんの詰みは深いっすね。まあお陰様で俺が一生分のお兄さんの愛を頂けてるんで、サンキューとも思いますけど。別に前の奴の事思い出してる訳でも何でもないんで、安心してくださいね。只、チェーンソーは嘘だって弁解したかったんです。包丁は本当だけどネ。──お、とうちゃーく。運転ありがとうございました。乗り心地はもう最高。さて、行きましょか。…此処に小洒落たちょっとお高めの生活雑貨屋があったんすよ。…お、ここだ。(ほんの一瞬の戯れに満足げに口角を上げては、再び楽しげに風を受けつつ走行を堪能し。目的地へと辿り着くとヘルメットを脱ぎ収納し、先刻のお返しとばかりに口唇を奪い悪戯に双眸を細め手を繋ぎ。記憶を辿りつつ館内に入ると、カジュアルな内装で洒落た生活雑貨が並ぶ店へと足を踏み入れ)
──そ。最近は悠チャンのお陰もあって大分大人しくしてるけど、どちらかと言えば俺ぁ気性荒い自覚あるし。分かり易い虫除け付けてんのに無粋な事する奴笑って許せる程出来た人間でもねぇのよ。…フハ、カッコいいじゃねぇの。まぁそもそも俺みたいなガラの悪ぃ輩に声かける程酔狂な奴多くねぇよ。──それに関しちゃアイツが悪ぃのか俺が悪ぃのかって感じではあるけどなぁ…いや、多分どっちも悪ぃ。んで、ちゃっかり幸せになってる分俺のが業が深いわな。しかも昔の女に感けてやる気もねぇときた。…ハッ、チェーンソーの方がまだコミカルじゃね?包丁ってなると一気に刃傷沙汰だわ。(相手が降りたのを確認してからヘルメットを取り払うと同様にバイクから降り、意趣返しの口付けに些か驚くも直ぐに楽し気に肩を揺らしては緩く手を引かれた儘に館内へと進み。目当ての店に着くと、自分が疎い分野の商品が並ぶ店内を見渡しながらもセンスの良い品々に自然と声を弾ませて食器コーナーへと足を運び)──お。マジで洒落てんな。動物のヤツか洒落たヤツかで悩んでんだっけ?
なーに言ってるんすか。コウくんの気性が荒いなんて感じた事ないっすわ。でなけりゃ俺がクソ生意気にしてた時にとっくにシバかれてますわな。…でもって散々逆ナンに遭ってるの知ってるんで、ちゃんと手繋いで歩きましょ。今日は誰にも邪魔されたくないんで、ネ。──…まあでもコウくんが良い思い出で初めての恋愛を終わらせてたら、付き合う人全員を幸せにしてたと思いますよ。器が広いですし、色々覚えててくれますし、細かいとこも気付いてくれますし。同じく彼氏やってた俺が敵わねーって言うんで、間違いないっすよ。(割れ物を落とさない様にと些か緊張しつつ店内を進み、横目で相手の表情を窺ってはまずまずの反応に安堵し短く息を吐き。食器コーナーへと辿り着くと2種類のマグカップを指差し、意見を求める様に視線を相手の方へと向け)動物のは脆そうだったんで、コウくんをイメージした奴にしますわ。…あったあった、ル・クルーゼのグラデっぽい奴か、イルビゾンテの押し型ロゴっぽいモノクロの奴。前者ならカラバリ豊富だし、後者なら飽きが来なそうですし。いかがでしょ。
ハハ、お前のあれは戯れ付いてきてるだけって分かってたしシバく様なモンじゃねぇっしょ。生意気って言いまくってたけど嫌だった事なんざ一度もねぇし。…ん、久々のデートだしなぁ。悠チャンとこうやって手ぇ繋いで歩くの好きだよ。──…ふ、どーだろ。所詮タラレバ論だし…ま、でも悠チャンがそう思ってくれてんならそれ以上の事はないわ。だから後悔なんて微塵もねぇし、これで良かったんだって自信持って言える。(示されたマグカップをそれぞれ交互に見ては甲乙の付け難さに顎に手を当て暫し思案した後、シンプルながらも可愛さのあるグラデーションのものを顎で示し、相手へと視線を移せばそれを持つ姿を夢想し満足気に頷き)んー……1人で使うんならイルビゾンテ一択だけどなぁ。悠チャンと一緒に使うんならル・クルーゼだわ。…うん、ぜってぇ似合う。
はは、構って構ってって犬の尻尾でも見えてました?勿論喧嘩売る様なものではなかったっすけど、マジで気性の荒い人ならキレられてたかなとは思いますよ。──…思ったよりも早くデート出来る様になって幸せっすわ。そうだ、忘れない内に。もう少し暖かくなったら祭に行ったり花火したりしたいです。コウくん浴衣とか甚平とか持ってますか?(相手が己に配慮しカップのデザインを選べば、思わず愛しさが溢れ嬉しげに小さく吹き出し。深い赤のものとデニムの様な色合いの青のものの2つを手に取り好みを尋ねると、機嫌の良さに任せて愛嬌を見せるべく笑みを湛えつつ首を傾げ)…ふ、俺に似合うか考えてくれるなんて優しい。じゃあお言葉に甘えて、グラデの奴にしましょうか。コウくんならレッドかブルーかなって思ってたんですけど、いかがですか?
感覚的には犬っころっつーか、ちびっ子が構って欲しくてちょっかい掛けてくる感じに似てたかなぁ。フハ、舐められてなけりゃあ別にキレねぇよ。舐めて掛かる奴とか喧嘩売ってくる奴には相応の態度取るけど。──…あぁ、浴衣なら昔仕立ててもらったのがまだあるんじゃねぇかなぁ。祭りっつったら神輿担いでおっちゃんらの出店手伝って…って事のが多かったから鯉口に腹掛けのが馴染みあるけど。(笑みを浮かべる相手の両手がマグカップで塞がればほんの一瞬、悪戯に軽く口付けてから穏やかな青色のものを指で小突き、相手の手から抜き取り。次いで並んだカップから比較的彩度の高い幾つかを挙げて)──…こっちかな。赤もカッケェけど落ち着いた色味のが良いわ。悠チャンには黄色とか緑とか明るい色使って欲しいなぁ、完全に俺の好みだけど。
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