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No.19
by 妖精 2020-03-18 23:37:31
過去の手紙のやり取り
ジュリーへ
可愛い便箋を買ったから誰かに手紙を書こうと思った時に一番最初に浮かんできたのがジュリーでした。だって大好きな友達だもんね。
普段手紙なんて書かないから何を書いたらいいのな迷ってるんだけど、多分こういうのってあんまり悩んだら駄目だと思うから書きたい事を連ねる事にするよ!
えーっと、取り敢えず今は私の部屋にジュリーの家を作るのがすごい楽しみ!ちょっと奮発して、お家は絶対二階建て以上にしようね!それで、お庭なんかもついてたら素敵かも。
大きめのクローゼット買えばジュリーのオシャレな洋服もたくさん入れられるし、洗面台の鏡は三面鏡にしよう!後はゆっくり足を伸ばして入れるお風呂もね!
それから私は魔法の勉強頑張らなきゃ!学校の勉強が先ってのは聞かないからね、だってつまらないんだもん。今浮遊魔法で二つ以上のものを浮かせて動かせらるようになったから、次はもっとたくさんの数!最終的には自分が飛べるくらいまで頑張るつもりだよ!
でもね、浮遊魔法以外にも治癒魔法に興味があるんだ。後は薬草にもね。欲張りだけど、どれもぜーんぶ頑張る!
何だか書きたい事が多すぎてこのままじゃ便箋10枚くらい使っちゃいそうだから、この辺でやめておく事にするよ。ねぇジュリー、また一緒にパーティーとか森の探検しようね!美味しいお菓子用意するからさ。
P.S. ジュリーってユニコーンに会った事ある?私ね、今ユニコーンの血を少し分けてもらいたいんだ。
夜より
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だーいすきな友人のヨルへ
手紙なんて久しぶりに貰ったわ。それも人間の友達からなんて、とっても嬉しかった。ありがとねヨル!それにヨルが言うように、なかなかかわいい便箋ね。いいセンスだと思うわ。ヨルから貰った初めての手紙として大事に引き出しの中にしまっておくわね。
私もお買い物はすごく楽しみ!二階建て以上で家具もそんな感じだと、私が今住んでる家よりも立派になりそうね。でもお金であまり無理しちゃダメよ!私もなるべくお金になりそうな物は見つけてくる気ではあるけどね
勉強は、まぁヨルがそうしたいならそれでいいんじゃないかしら?私は応援してるわ。もしヨルが飛べるようになったら、遠くへ遊びに行きましょうね!?
いろいろと頑張るのはいいけど、魔法のことばっかり集中して倒れないように気を付けなさいね
便箋十枚って、紙の上でもとってもおしゃべりなのね、ヨルって。えぇそうね、パーティーや探検もまたしましょうね。楽しみがたくさんあって今からワクワクしちゃうわ!
それと最後のユニコーンの件。私は見た事は無いのだけれど、居るかもしれないって噂の場所なら知ってるわ。でも、ユニコーンから血なんて採ろうとしようものなら、暴れだして危険だと思うわよ?またエルフの課題なら、私はあまりオススメしないわ
それじゃ、私もこの辺りで終わりにするわね
改めて手紙ありがとね、また気が向いたら頂戴
私も可愛い便箋見つけて送るからさ
じゃ、またねヨル
ジュリーより
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魔法使いさんへ
お元気ですか?魔法使いさんに手紙を書いてみたんだけどよくよく考えたら家を知らないから出せないなって諦めてた所、梟を見つけました。この梟が野生か魔法使いさんの相棒かはわからなかったんだけど、託してみる事にします。9割形届いてはいないと思うんだけどまぁ、それならそれで。
私、魔法使いさんと会ってない時間も魔法の勉強頑張ってるよ。いつか書いた手紙を魔法で魔法使いさんの所まで飛ばせるようにしたいしね。
あ、それから前に魔法使いさんが言ってたユニコーンの血の話。ちゃんと覚えてるよね?絶対絶対探して持ってくるから!
あんまり長い手紙だと万が一届いた時に読んでくれなさそうだからこれで終わります。あ、返事とかぜーんぜん期待してないからね!また魔法使いさんに会えるのを楽しみにしてます。
夜より
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(相手が手紙を梟に託して一週間後、相手の部屋の窓枠に一枚の小さな白い紙切れが挟まれており、広げてみれば黒のインクにて、適当さの伺える書き流したような文章が英文にて綴られており)
律儀な鳥が貴様の手紙を俺の所まで寄越してきた。無視してはその鳥の行為が無駄になる故、仕方なく返事を書くが今後は止めろ。俺にも、勝手に貴様に伝書鳩扱いされた奴にも迷惑だ。
貴様が森をうろちょろしているのは知っているが、そんな魔法を貴様が使えるようになるとは思えんし、再三伝えているが、貴様に今後魔法を教える気は俺には一切無い。ユニコーンの件も、気持ちだけではどうにもならない己の無力さを思いしる良い切っ掛けとなるだろう。
貴様がどう言おうとも、俺は貴様に会いたくない。迷惑だ。遊び相手が欲しければ羽虫と戯れていろ。もう送ってくるな。紙の無駄遣いだ、分かったな。用件は以上だ。
──
ヨルへ
こんにちは、それともこれを呼んでいる頃はこんばんはかしら?
勝手にお邪魔しちゃったけど居ないみたいだから、手紙残しておくわね。今日か明日くらいには、前にヨルが話してくれた、大事な人やお世話になっている人に甘いお菓子を送り合う、バレンタインデーって日なんでしょ?
だから、これ作ってきたわ。ヨルには小さいかもしれないけど、大好きって気持ちはいっぱい込めてきたし、人間の味覚ともそんなにズレてないはずよ、コレは。
味の感想や文句は、次会った時に教えて頂戴。それじゃ、またねヨル。
ジュリーより
(相手が学校から帰ってきてテーブルを見れば、あめ玉程のサイズで赤い箱に金のリボンでラッピングされたプレゼントと、その傍らに淡いパステルピンクの小さな便箋の手紙が置かれていた。文章を読んでみれば、魔法を使って鍵を開けたのか妖精が午前中に訪れていたようで。プレゼントの箱を開けてみれば、小粒の赤や白のベリーがハート型に沿って並べられ、たっぷりの生クリームでデコレーションされたホールケーキのような菓子が納められていて。材料こそ違う故に、食べてみれば不思議な甘さが体験出来る事だろう)