ふれんず 2019-12-13 15:47:39 |
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ちょ、ちょっとミキ?!
(彼女の口からいつもの軽い口調で部長の悪口とも取れる言葉が出るとぎょっとして
慌てて相手の口を手のひらでふさぐと怒られると思い、ドキドキしながら部長を見て
すると別段怒った様子もなく
さっそく今日から部活に参加するように言われて)
あ…は、はい
ありがとうございます
あ、あの
よろしくお願いします!
(少なくとも表面上は怒った様子を見せない部長に戸惑いを感じながらも、はっと我に返ると慌てて頭を下げてお礼と挨拶をして)
『はいはい、よろしく…後、ミキは準備運動が済んだら朝練終了時間までグラウンド周回ね』
(そういう堅苦しいのはいらないとばかりに舞菜佳は手をヒラヒラ振って適当な感じで彼女の挨拶をあしらって、そのままミキへ向き直ると先程の罰とばかりに無慈悲な宣告を下すと「げっ、嘘でしょ!?うぅ…あんまりだー…じゃあね、つむぎ…ミキが生きて帰れたらまた後で…」ミキは先程までの元気はどこへやら死にそうな顔になって、彼女へとそう言い残してフラフラと準備運動をしている他の生徒たちへと合流していき)
あははー
が、がんばってね?
(グランドの周回がどれほど過酷なものなのか、50メートルを全力で走ったことすらない自分には想像がつかないけれどミキの様子からさぞやたいへんなことなんだろうと察し、気の毒に思いつつも身から出た錆とも言えるだけに苦笑いを浮かべつつ軽く手を振って彼女の健闘を祈って)
あ、あの部長
邪魔にならないようにするので練習、見させてもらっていいですか?
(ミキのあとを追って立ち去ろうとする部長の背中に向かって練習を見ていてもよいかたずねて)
『ええ、好きにするといいわ…それならついでにこのストップウォッチでミキの一周ごとのタイムを記録しておいてちょうだい。もしあの子が手を抜いて明らかにペースを落とすようなことがあったら私に報告…出来るかしら?』
(相手の問いかけに静かに頷くと、見学ついでにとストップウォッチを手渡し部員としての初仕事を任せることにして)
…あ、えっと
タイムを計ることはできますけど…ミキ…秋月さんのことを言いつけるようなことはできません
(言葉とともに、思っていたよりもずっしりと手ごたえのあるストップウォッチを手渡されると少し口ごもりながらも友だちのことを、いくらサボることが悪いこととはいえ言いつけるようなことはできないと言い切って)
それに…
秋月さんは与えられた課題をサボるようなことはしないと思います
(まったく迷いのない表情でミキがいいかげんなことをする子ではないときっぱりと話し
言ってから、いきなり先輩に生意気な口を聞いて叱責されるのではないかと不安を感じてドキドキして)
『そう…じゃあ貴女が責任持ってミキを叱咤してあげて、あの子持久走だと序盤に走りすぎるきらいがあるから後半はどうしてもバテてしまうの、勿論完璧なペース配分が出来る様になればそれが一番だけど、それ以前の問題としてそこからもう一踏ん張り本当の限界まで自分を追い込めてないのが今のミキの課題なのよ』
(彼女にお願いしたことは決してミキに対する意地悪などではなく部長として成長途上の部員のためを思ってのものであることを説明し、それを知った上で友達としてミキの尻を叩いてくれるというのなら彼女にこの場は任せると言って)
(部長の言葉を理解すると恥ずかしさで、かぁっと耳まで真っ赤になり深々と頭を下げて)
ごめんなさいっ
なにも知らないのに偉そうなことを言って
これがミキのためになるなら、あたし心を鬼にしてタイムを計ります!
(顔を上げると両手をぐっと握りしめて、気合いの入った表情でタイムを計測することを誓って)
あれ?つむぎ、どうしたの?部活への参加は午後からって言われてたからもう教室行ったのかと思った
(舞菜佳は相手の返事を聞くと無言で満足げに頷いて他の部員たちの元へと向かい、一方その頃罰として耐久マラソンを強いられることになったミキはストップウォッチ片手にグラウンド脇に立つ相手の存在に気づき近くを通りかかるとペースを落として足だけは止めずに何をしているのかを問い)
わあああ!?待たせてごめんね、飽きたとか調子が悪いとかそういうんじゃなくて上がってたのを見落としてただけなんだ…だから改めて上げてくれてすっごく助かったよー、本当にごめん、今度は気をつけるから愛想尽かさないでくれたら嬉しいなぁ…
部長にお願いしてミキのタイムを計る大役を任せてもらったの
(鼻息荒く、誇らしげにストップウォッチを見せつけると簡単に経緯を説明して)
ほら、ミキ
のんびりしている場合じゃないわよ
前の周に比べてタイムが落ちてきているわ
気合い入れなさい!
(音量は小さいけれどよく通る高い声でペースを上げるよう相手を叱咤激励して)
愛想を尽かすなんてあるわけないよ!
そもそもわたしのレスのペースが遅いから見落としたんだと思うし…
こっちもこんなにソッコーで上がってるって思わなかったから見落としてたし
とにかくなんともなくてよかった
気にしないで、こちらこそこれからもよろしくね?
おぉー、記念すべき初仕事だね。うぅー…正直しんどいけどつむぎには情けないところは見せられないね!ミキのカッコイイ走りをよーく見ててよ
(仕事を任せてもらえたという彼女に自分のことのように嬉しそうにして、ペースが遅れていると的確に指摘されると例の如く序盤から飛ばし過ぎて体力的に厳しくなってきていることもあって渋い顔をしたが彼女を前に弱音を吐いたり情けないところは見せたくないと意気込み力を振り絞ってペースをどうにか戻して)
(言われなくてもストップウォッチを握ってグラウンドに立ったときからずっとミキの一挙手一投足を目を皿にして追っている
周回のたびに少しずつ走るフォームが違うのも分かってきたしペースにムラがあるのも分かってきた)
ミキー
さっきより3秒遅れているわ!
それに歩幅も狭くなってるわよ!
もう少しで終わりだから、がんばって!
(彼女がトラックを周回して戻ってくるたびにタイムと気づいたことを自分としては大声で伝え、励ましの言葉をかけて)
いきなり厳しい…!部長と同じぐらいかそれ以上だって、これ…
(既に体力の限界を迎えており、自分でも最初よりもペースが明らかに落ちてるのは承知していたが、ここからペースを再び上げるのは至難の業で、かといって彼女に対してかっこいい走りを見ててなどと偉そうなことを言った手前みっともない姿は見せられず力を振り絞り。友人としての贔屓や忖度などは無しに自らの仕事をこなす姿に、部長との今日までの練習が思い出され、よろよろとよろめきどうにかゴールをして「はぁ…もう、無理ー…」とそれだけ吐いてその場に座り込んで呼吸を整えるので精一杯で)
(ミキがゴールをしてグラウンドに座りこんでしまうと、部で用意しているドリンクを断りもせずに紙コップに注いで、急いで彼女のもとに駆け寄って
ほんの10mたらず駆けただけで息を切らせながらポケットからハンカチを取り出して彼女の額を滴る汗を拭って紙コップを差し出して)
……
お疲れさま、ミキ
はい、ドリンク
がんばったわね
最後の1周、あたしが計ったなかで、いちばん速かったわよ!
(呼吸を整えながら、我がことのように嬉しそうにストップウォッチのタイムを見せながら興奮ぎみに話しかけて)
ありがとー…ふぅ、生き返るー。それにしても、新記録かぁ、つむぎが励ましてくれたおかげかも
(彼女が持ってきてくれたドリンクを受け取り一気に飲み干して深く息を吐き、興奮気味に見せつけられたストップウォッチに表示されたタイムは何気にこれまでの自分のベストタイムを更新しており、驚きや喜びよりも自分がここまで頑張れたのはきっと相手が自分の走りを見ていてくれたからだろうなと、そんな風に考えてニッコリ微笑んで)
んーん
ミキががんばったからよ
それに
一生懸命に走るミキ
すごくカッコよかったわ…
(おかげ、などと言われるとそれを否定して
相手のがんばりを讃えつつもそんなふうに人から感謝をされるのは生まれて初めての経験で
味わったことのない高揚感を感じつつ、汗を光らせてひたむきに走る彼女の姿をカッコよかったと話しながらもそれだけでは伝えきれない感情を心の奥に感じていて
でもそれがどのような感情なのかうまく表現できないもどかしさを抱えながら、白い頬に薄い紅いチークを乗せたように微かに頬を紅潮させて彼女のことを見つめて)
そう?いやーそれほどでもあるかなー、なんてったってミキはこの陸上部の次期エースですから?
(カッコいいというストレートな褒め言葉に照れ臭そうに頭の後ろを掻きながら笑うが、自分の実力には自信があるようで得意げに髪をかきあげるような仕草をして戯けてみせて「何はともあれ、お疲れ様つむぎ!」初めての仕事を無事にやり遂げた相手をねぎらう言葉を投げかけては拳を握って相手の方へ差し出して)
もぉ、ミキったら
すぐに調子にのるんだから
(相手の言葉を聞くとしかたない、といった様子で肩をすくめて苦笑いをして)
でも次期エースってホントなの?
もしそうならミキって見かけによらずスゴいのね?
(すまし顔でしれっと、冗談っぽい口調で相手の言葉の真偽をたずねて)
あ、ありがと?
(ねぎらいの言葉にお礼を言いつつ、向けられた拳にどういう意味があるのかが理解できずに首を傾げて)
あはは、いいじゃん友達の前でぐらいはカッコつけたい年頃なのだよー
(相手の物言いたげな反応など素知らぬ顔、調子に乗った様子でカッコつけたい年頃などとなんともいい加減な返しをしてニッコリと満面の笑顔を浮かべて「あ、ちなみに次期エースってのは本当だよ、入部の時のテストで部長が一年生の時に出した記録をミキが更新したんだ。ちなみに部長は国体にも出ちゃうぐらい凄い人で、ミキは憧れてるんだ。まあ、ミキがそこまで成長出来るかは今後の努力次第なんだけどね」調子のいいことを言っておちゃらけていた姿から一転、真剣な表情で部長への敬意と自分が名実共に本物のエースになるには現状に満足するわけにはいかないと語り「あっ、もしかしてつむぎわかってない?今のはこうやって拳と拳を突き合わせて仲間と喜びを分かち合うんだよ、こんな風に」そう言って片手で相手の手首を掴み、もう片方の手で握り拳を作り相手の手にコツンと軽く押し当てて)
ミキは黙っていたほうがカッコいいわね
(相手の緩い返しを一言でバッサリと切り捨てて)
…ふぅん
ミキも部長さんもホントにスゴいんだね?
(さっきのおちゃらけた態度とは一変、部長への憧れと目標を本気の表情で語る彼女の様子に胸がキュンとして
その部分に関しては彼女の言葉に偽りが無いことを確信しながら、彼女の本気に自分の存在が少しでも助けになれるのかどうか、漠然とした不安を感じて)
こ、こう?
(彼女に手を取られ、言われるままにきゅっと弱々しく拳を握り
ミキの日に焼けた血色のよい小麦色の拳と、青白く血管が透けて見えそうな自分の小さな拳が軽く、コツンと触れ合って
その瞬間、彼女のがんばりに比べれば自分のしたことなどささやかなことだと思いつつもお互いに喜びを共有できた気がして
少しくすぐったいような感覚とともに笑顔を交わして)
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