「主」 2019-11-24 22:36:01 |
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──…それは一理あるわね。
( 皿洗いをしている最中、前髪を掻き上げる彼の仕草に見惚れ、しかしすぐにふいっと手元の食器へ視線を戻す。まだまだ彼のことを詳しく知っているわけではない。先程のように鎌をかけるようなことをするため一概にいい人とは言い切れず、どことなく掴めない雰囲気を持っている印象である。正直なところ、もし彼と組むことになればどんな日々になるのかと想像ができない。相手とは仕事へのスタンスも異なるのだから、衝突もあるかもしれない。
それならば、今のように部署は同じでも役割が違うくらいの方が気楽だろう──などと考えて深く頷いている耳にスマートフォンが震える音が聞こえ、相手が電話に出る。しかも自分にまで聞こえる声の主は先程異動の件で話に出た上司。相手と視線が絡めば察しがつき表情を引き締めて緊張しながらも皿洗いを終えて蛇口を閉めたが、誤解を生むような言葉が彼の口から飛び出れば一瞬だけ動揺を孕んだか肩を揺らす。すぐ様冷静になり、つかつかと髪をたなびかせながら相手の元へ向かって耳にあてがわれたスマートフォンを奪う。そして良からぬ誤解を否定しようと首を振って上司に述べ、指示を仰いだ。
しかし、上司から告げられた言葉に呆気に取られ目を大きく見開きつつも相槌を軽く打っていれば、上司からの電話は切れてスマートフォンを耳から離したが、まさかこんなことになるとは、と表情が物語っていて。 )
──おはようございます。誤解です。昨日の飲み会で佐田が飲み過ぎて送っていっただけですから。それで出勤は──え?一課に異動ですか。私と佐田が。……はい、わかりました。今向かいます。
(/ 連投を申し訳ございません、読みにくかったため訂正、加筆いたしました。後ほど>22は削除依頼しようかと思います。 )
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