「主」 2019-11-24 22:36:01 |
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ん、どうも。
──俺も逆に、おまえほど仕事熱心な奴と組める気がしねえよ。今だって同じ部署にいても、お互い持ち場が別ってことでやっていけてるわけだしな。
(彼女の好意にすんなり甘え、黒髪を?きあげながらその隣で何とはなしに様子を見守る。華奢な手は──折れそうな白い手首にどうにも目が引き寄せられる──要領よく二人分の皿を洗いあげていき、普段から万事をてきぱきとこなしているのであろう彼女のそつのなさをうかがわせた。
相棒、という言葉に、笑う彼女と自然と目が合い、その穏やかな表情を見つめる。今の彼女を見る限り、今朝の寝起きの時のように性根は生真面目であるものの、柔軟さも充分に感じ取れた。たとえ一課で幅を利かせている横暴な親父と組むことになっても、器量の良さもあってうまくやっていけるのだろう。こうして彼女と密に話すのも、今日が最後なのだろうな、などと思った、そのときだった。
ベッド脇に投げていた鞄のなかで仕事用のスマートフォンが震え、職業柄瞬時に部屋を横切って手に取る。電話口から少し音漏れするほどの声量で話しかけてきたのは、上司である鍋島だった。話を聞きながら、突然の出勤要請を受けたことをアイコンタクトで彼女に伝え──悪気もなく、プライベートで同僚とともにいることを上司にすんなりと話して。)
はい、佐田です。ええ、……今日……? ──各務なら、隣にいますけど。
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