「主」 2019-11-24 22:36:01 |
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( 程よい甘さになった珈琲を冷ましながら一口啜り、次第に頭が冴えていくのを感じながら一息つく。相手がテレビをつける様を静かに見つめる。耳に入るは毎日のように犯罪や事件が起きていることを痛感させるようなニュースの数々。ニュースキャスターの冷静で聞き取りやすい声は変わることはないものの、悲嘆し啜り泣く被害者の遺族が映り込んでいた。それに胸を痛め目を逸らしたくなるほど心は揺れ動くが、事実をしっかり見据えなければいけないものだと揺らいだ瞳を落ち着かせるため一度瞼を閉じ、再び瞼を上げる。警察ならば己の正義や感情より瞬時の冷静な判断と行動が事件解決に導くものだとも学び、感情にはどちらかと言えば揺らぎやすい性格である己に喝を入れるようにテーブルへ置いた拳を握って、"真面目"と指摘されたことに対してそれは確かに間違いではないと苦笑を零す。そして、相手の後を追うように空になった皿を流しへと持っていき、腕を捲り皿洗いを申し出て皿を洗い始め、彼の話に警察内部の縦社会や浮き彫りになる社会の闇などが思い浮かび、眉間に皺を刻みながらも視線を相手に向けてこちらも同様に、まさか彼と仕事を組むことになるとは予想していない様子で冗談半分に笑って話し。 )
朝食の御礼に皿洗いくらいはさせて。──そうね。ただ、その辺は佐田ほど適当にはできそうにないわ。だから相棒になる相手には苦労かけるんじやないかしら。
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