「主」 2019-11-24 22:36:01 |
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――ン……んん……
(眠い。ふと目が覚めたようだが、とにもかくにもいまだに眠い。からだは異様に気だるく重く、かけている毛布にこもった熱は麻薬のように心地よい。
と、目は閉じたまま、ふと自分の腕のなかに何か温いものを感じ取る。我知らず抱きしめていたらしいが、はてさて独り身であるはずの己が抱く相手などいないはずだ。酒でもやってどこぞの女でもひっかけたか、あるいは人肌恋しさにその手の嬢でも呼んだのだったか――だが、あまりにも眠たくて事の些末など気にならない。
うなり声を漏らしながらすり、と相手の後頭部に己の額を擦りつけ、わずかに相手に回した腕を狭め。きゅ、と体を密着させ、相手のからだのぬくもりをもっと奪おうと貪欲になる。心地よい――人肌とはこんなに安心するものだったか。意識がはっきりした後の面倒のことは忘れたふりをし、ただただ夢うつつのままに暖かな惰眠を貪って。)
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