「主」 2019-11-24 22:36:01 |
通報 |
>18
真面目だねぇ……そんじゃ、同じ部署で働くのはあと数日になりそうだな。
(彼女も自分も、ともに警察学校でも交番勤務でも優秀な成果をあけ、だからこそ比較的若い年齢で刑事部に配属された。とはいえ、自分には彼女のような向上心はない。それなりの仕事でそれなりの給料を貰えたらいい、きつい部署に飛ばされるのはごめんだ。だからせいぜい、彼女とは別の道を往くことを祈ろう──そう思って発した言葉が、まさかある種のフラグになるなど思いもせず、呑気に朝餉を口に運び。
少食といえどやはり食べるペースは早く、先に皿を空にすると、品よく食事を続ける彼女を数秒ほど静かに見つめる。人と朝食を食べるなどしばらくなかったことだと言うのに、何故か不思議なほど違和感がなかった──むしろ、穏やかな心地良さすらあった。何故かその事実から目を逸らしたくなり、リモコンを手に取って24インチテレビを点け、ここ数日世間を騒がせているニュースの数々を流し見する。
風俗業界での違法薬物の蔓延、若者の不良グループの衝突、必ず動物の死体が残されている連続放火、幼い少女が失踪して6日が経つこと、芸能人に繰り返し送られる殺人予告。そしてこれらの中にはないが、最近、刑事部の人間が事件の犯人に襲われて負傷するケースも多々あった──だからこそ異動が生じたのだろう。人の業に顔をしかめながら、やがて腰を上げ、自分の皿を流し台へと持っていき。)
──ま、どこに行くにしろ、あんまり頑張りすぎるなよ。ただでさえ危険な仕事だってのに、クソみたいな上司の下で無理した結果心身を壊す奴だって多い。人間のクソな部分を毎日目の当たりにする職業なんだから、程々に適当にやろうぜ。
トピック検索 |