図書委員長 2019-11-24 02:38:36 |
通報 |
前もって言わねえとお前絶対文句とか言うだろ。
俺のはノーカンだ、てか見るな。
(相手の性格からして戸惑いはするものの文句は言うまい、否、言えまいとは思っているものの、理由が思いつかなかったためとりあえず理由付けて言い返し、撫でやすい相手を猫のように思うと、撫で続けて。)
!?、んな事言うから憑かれるんだ!
何霊だ!?悪霊!?浮遊霊か!?おい!レイ!
大丈夫なのか!?なぁ!
(相手がネガティブな事を言い、まさかそんなことは有り得ないと脳内判断するが、霊が憑くのを見ると慌てて服を着直し、相手に服を被せながら近くにあった木の棒のようなものを手繰り寄せると、相手をまず揺さぶり、焦っているのか何霊なのかの判断も上手くできず、相手を見つめて泣きそうになりながら何度も叫んで)
文句なんて…慣れてないだけだもん、桐島さんと違って。
ふふ、見てない見てない。
(恥ずかしくはあるが嫌ではなく、文句なんて言えないだろうと自分で予想するものの、自分と違ってかなり慣れている様子に見える相手に複雑な思いを抱き、ありのまま打ち明けるのも躊躇われて少し考えると、撫でられながら抗議するように視線だけで相手を軽く睨み、顔を赤く染めたまま、相手と違って、を強調しつつ口を尖らせ、拗ねたような言葉を返して。緩んでいるのを認めたような相手の言葉が微笑ましく、その反応だけで充分嬉しかったため引き下がろうとするものの、デレデレと更ににやけてしまうのを抑えられず)
うぅ、あああああッ!!!はぁ、はぁ…、
────触らないで。
(襲い来る苦しみに抵抗するかのように髪の毛を掻き毟り、大量の汗をかきながら悲鳴をあげ続けるものの、ビクッと身体を大きく震わせると、呼吸を乱しながら最後に一瞬だけ愛しさのこもった哀しげな眼差しを相手に向けて目を閉じ、身体中の力が抜けてぐったりとし、すぐに目を開くもののその瞳は虚ろで普段とは明らかに異なる雰囲気を纏っており、冷ややかな声色で相手を拒絶しながら揺さぶっている手を払いのけ、先程まで苦しんでいたのが嘘のように覚醒すると中途半端に服を被せられた状態のままふらふらと布団から出て、相手に目もくれずに図書室の出口へと向かっていき)
あー……あー…、うん、せやな。
見てないって言う必要ねえだろ、それ見てるか見た後に言うことだし。
(相手の言葉で自分が今まで見栄を張っていたことがバレそうになり、このまま余計なことを言うと慣れている見栄を張っていたことがバレ、私的にそれは嫌なため、ぺらぺらと話すよりとりあえずとせやなと適当な言葉を返し、相手の反応を待って。
相手の様子からして見た又は理解したと思うのは必然であり、相手とは逆方向を向いてぼそぼそと抗議するように言って)
…誰だ、お前は。
今すぐにレイの体から、精神から、出ていけ、そうしなければ俺はお前を殺さないといけない。
(相手から最後に向けられた目線と、無情にも払われた手が明らかに別のものが行ったという感覚があり、こっちを向かない何かの手首を掴むと捻り上げながら床に倒し、問答無用と言わんばかりな冷ややかな声で言い切って)
…練習。したいけど、桐島さんとじゃなきゃできないから──お、お手本!見せて…?
えへ。ばれちゃった?緩んじゃうものはしょうがないよ。
(分かってはいても、やはり肯定する相手にモヤモヤしてしまい、勢いに任せて普段ならば絶対に言えないような大胆なことを口走って、言いながら沸騰しそうなほど赤くなりつつも引っ込みがつかなくなり、自分から言い出しておきながら最後は自信なさげに小声になっていって。見たことを本気で隠す気もなかったためニコニコと笑いながら軽く流して、再び相手が向いている方向に回り込むと相手の手をきゅっと控えめに握り、嬉しそうに相手の表情を覗き込んで)
……殺せば?この非力な身体ごと。
(手首を掴まれ床に倒されても表情ひとつ変えることなく、相手の冷ややかな声にも動じず無視して再び振り払おうとするものの、桐島玲の身体では力で相手に敵わないと分かるとすぐに抵抗をやめ、身体ごと殺せるものなら殺してみろとばかりに淡々と無表情で返して)
はぁ!?無理に決まってんだろ!自分で恥ずい事は言うんじゃねえよ!
…お前にしては、よく言うじゃねえか。
(相手がとんでもないことを勢いのままに口走ったのを聞くと、当然未経験で内心ウブなため、顔を真っ赤にして叫び返し、そして相手の様子が自分と同じような感じだと理解すると、やはり叫んで。
相手にしては堂々と言い切ったため、少し恥ずかしがったと言うより、感心したように言って。)
ぐ……俺は、お前がレイの体から出ていくまで離さない。
(当然そんなことを言われても相手ごと殺すことなど出来ず、ならば手段のない今の自分に出来ることは何か、と考えると、離さないという判断をして。)
っ、それってあたしが下手だから?他の人と練習してってこと…?
うふふー、一緒に緩んじゃえば恥ずかしくないよ。
(まさか相手も恥ずかしがっているとは思いもよらないため、他の女の子とは出来て自分とは嫌な理由が下手だからという以外に思いつかず、他の人で練習して上手くならなければ相手にしてもらえないのかと誤解すると完全に落ち込み、込み上げてくる涙を必死に堪えながら顔を逸らし、俯いて。だらしなく顔が緩んでしまった恥ずかしさよりも、相手も同じように緩んでいる嬉しさが勝ち、握った手をぷらぷらと揺らしながら満面の笑みを浮かべていて)
触らないでと言ったはず。
聞こえないなら──手首ごと切り落とす。
(表情を変えないまま抑揚のない口調で離すよう告げ、少しの迷いもなく見せしめの如く暴風を巻き起こすと勢いよく窓ガラスが割れ、鋭いガラスの破片が桐島玲の顔に直撃して白い頬に一筋の鮮血が伝うものの、何事も無かったかのように脅すような言葉を口にして、奪った身体を返すつもりも丁重に扱うつもりも一切ないようで)
違ぇよ!?お前は俺以外の奴とキスなんてするんじゃねえ!
って違う!……いいか?お前にはまだ早い、分かってくれ。
そうか?…いや、俺は恥ずいな。
(自分は相手以外とキスするつもりはなく、相手はそもそも自分以外に人を知らないためキスする相手も居ないだろうとは考えるものの、キスして欲しくないという意思が表に出てしまい、急いで訂正し、そして相手になんと言えばいいのか少し考えると、まだ早いと逃げるような言い訳をして。
相手が満面の笑みをすると、まぁいいかと考えてしまい、だがどうしても、自分の緩んだ笑顔を他人に見られるのは恥ずかしいため素直に言って。)
あぁ、やれよ、俺の腕なんて2本ともくれてやる。
だが、お前のしたいことは永遠に達成できない、それでもいいならだ。
(迷いなく、相手を離して、そしてそのままどこかへ言ってしまうぐらいなら、腕なんてくれてやると一瞬で吐き捨て、相手に脅しをかけ返しているようだが、それは事実らしク)
しないよ。そんな事するくらいなら一生桐島さんにキスしてもらえない方がましだもん!……は、早い…?ど、どうすれば早くなくなるの…?
なんか、いつもと逆な気がするねー?ふふっ!
(相手以外となんて考えるのも嫌なようで、訂正されても否定せずにはいられず、真っ赤な顔で涙目になりながら相手の方に身を乗り出して、他の人で練習するくらいなら一生キスしなくていいと少しムッとした様子で断言し、早いと言われるとキョトンとして考え込むように首を傾げ、素直に信じ込むものの、やはり心の奥では他の女の子に追い付きたい、負けたくないというモヤモヤした想いを抱いてしまい、どうすれば早くなくなるのかと真剣な表情で聞いてみて。恥ずかしがっている相手のことを比較的落ち着いて眺められる機会などそうそうなく、新鮮な状況とあまり見られない姿にときめきを覚えて更に嬉しくなり、ニコニコと微笑んだまま無意識のうちに握った手の指をそっと絡めていて)
愚かな──、! 拒んだ…?
…っはぁ…!うぅ…!今返したところで、この身体は恰好の餌食。無知で非力で不安定。遅かれ早かれまた狙われる。
(簡単に腕を差し出す相手を冷たく見下したように切り捨てると、話にも聞く耳を持たず、望み通り腕ごと奪ってやろうと再び暴風を巻き起こし、散らばった鋭いガラス片の数々を意のままに操り相手目掛けて勢いよく向かわせるものの、切り裂く直前でピタリと止まり、そのままパラパラと力なく床に落ちてしまい、驚くと同時に呼吸を乱して酷く苦しみ始め、無表情かつ光のない瞳で相手を見上げながら、抵抗する身体と目の前にいる相手の両方に言い聞かせるように、どうせいずれまた他の霊からも狙われるのだから今寄越せと説得するような事を口にして)
釣り合ってなくね…?って、泣くな泣くな、お前の泣き顔は見たくないんだよ、ほら、可愛い顔が台無しって言うだろ?
いいか、恋愛にはABCがある、のちのちそれ関連の本渡すから読んでくれ。
それがなんだ、新鮮か?俺も男だからな、恥ずい時は恥ずい。
(自分が一生キスしないのと他人とキスしないが釣り合っているようには思えなかったが、涙目になった相手を見ると一転し、乗り出してきた相手の目じりにうかぶ涙を人差し指で拭ってやり、キザっぽい台詞を吐いて。
当然説明は恥ずかしく、本にぶん投げてやがて渡すと伝えて。
絡められた指に目を一瞬向け、少しずつ落ち着いてきたとか顔の赤みも薄くなり、指を絡め返して)
……お前にその体は渡せない。だけど、お前を野放しにもできない、なら俺に出来ることは1つ。
…未練はなんだ?霊になった以上、未練があるだろう。
あとレイは出来るならコイツを抑えてくれ、暴れられてお前の肉体に傷がつく。
(一転攻勢と言わんばかりに相手に馬乗りになると、冷たく言い放ち、木の棒らしきものを相手の胸に突き付け、そのまま突くのかと思いきや、やはり霊を殺すのもあまりいい気持ちでは無いため、とりついている霊の未練を問いて。)
だ、だって、練習しなきゃ出来るようにならな──っへ?か、かわっ…!?!?
本でお勉強できるんだ…、わ、分かった!頑張る!
あたしばっかりドキドキするより、一緒に恥ずかしくなった方が嬉しいな~と思って。
(自分が下手でまだ早いから相手がキスしてくれないのならば、他の人で練習しない限りは永遠に上達せず相手からもキスしてもらえないと思っているようで、まるでこの世の終わりかのような悲しげな顔をしてますます泣きそうになりながら声を震わせるものの、突然告げられた可愛いという言葉と目元に優しく触れてくれる指に目を丸くして、紅潮したまま固まってしまって。恋愛の本と言われても全く中身が想像つかずにキョトンとしながら相手を見つめるものの、読めば経験豊富な相手に少しでも近付けるのだと思うと細かいことは気にせずやる気になったようで、気合を入れるようにきゅっと眉を引き締めると元気よく返事して。指を絡め返されるとまた恥ずかしそうに少しもじもじするものの、嬉しそうにゆるゆると緩んだ笑顔は保ったままで、相手と同じ気持ちを共有出来るのが嬉しいと伝えて)
…甘い。身体を渡さないというのなら、存分に傷付けさせてもらう。
(苦しそうに呼吸を乱しながらも表情を変えることなく、殺さないどころか霊の未練をきくという甘さを見せた相手の発言をばっさりと却下し、相手が桐島玲に語り掛けた言葉を聞くなり、相手が駄目ならば玲の身体を傷付けてやろうと悪あがきし、余力を振り絞って暴風を操り先程すぐそばに落ちたガラス片の数々を舞い上がらせると、その全てを玲の身体に向かって一気に突き刺そうとして)
あのな、俺以外の奴と経験したって意味ねえ、少しずつ進展すればいいんだよ、急に難しい問題解くより簡単なやつで慣らした方がいいだろ?
そうそう、可愛いよ、お前は。
勉強は大事だぞ、頑張れ、お前に読めるかは分からんけど。
俺はこーいうの他人に見られたくねえ…。
(一言で紅潮した相手の肩を優しくつかみ、しっかりと目を見据えて言い聞かせるように正しいような間違っているようなことを教え、そして当然のことを当然のように、可愛い、と再度言って。
相手に読めるか、という意味とは少し違く、結構刺激的で経験のない相手に読み切れるかの心配をしており。
共有できて嬉しいという感情はあるものの、見られて恥ずかしいという乙女のような感情が勝り、言って。)
______Le。
聞き方を変えよう、教えろ、次はお前を炙る。
(自分の言葉に耳を傾けることさえせず、あまつさえ己の恋人に牙を向いた相手に『少し』怒ったのか,指を軽く鳴らすとと風で舞い上がったガラスが燃え上がり,一瞬で固体から液体となり溶け落ち,恐ろしく輝く瞳で相手を見据え,相手の頭に人差し指を置くと,玲ではなく,中に潜む相手を炙ると告げて)
…じゃ、じゃあ、簡単なキスなら、またしてくれるの…?
ありがと…でも桐島さんだって、か──…やっぱりやめる。
そんなに難しい漢字があるの?も、もしかして日本語じゃないとか…!?
あたしは色んな桐島さんが見れた方が、もっと、もっと……すき、になるんだけど…、
(相手の言葉にピクリと身体を震わせて反応し、絶望から救い出されたような、期待するような潤んだ目で相手を見上げて、何がどう簡単なのかはざっくりとしか分かっていないものの、簡単なキスならしてくれるのかと真っ赤な顔で大真面目に尋ねて。可愛いと言われるのは当然嬉しくはあるが、いつも相手に言ってもらってばかりでこちらから格好良いなんて言葉を口にしたことは一度も無いことにふと気が付き、思い立ったが吉日とばかりに覚悟を決め、大袈裟に表情を引き締めると思い切って口を開くものの、結局そんな勇気はなく、すぐに取り消しながら勢いよく顔を逸らして。相手の言葉を文字通りストレートに捉えると、そんなに難しい内容の本なのかと自信がなくなり、青ざめながら日本語じゃないのかとおそるおそる問い掛けて。普段の自分がそうであるように、恥ずかしい気持ちや見られたくない気持ちは痛いほど分かるものの、いざそんな相手の姿を眺める立場になってみればそういう姿さえ愛おしく、ますます好きになり、照れくさそうに下を向いてもじもじしつつも勇気を振り絞ると、微笑みながら感じたままの素直な気持ちを真っ直ぐ言葉にして)
………言ったところで即座に切り捨てられるか、この身体の持ち主が嫌がるだけ。だから身体を貰い、勝手にやらせてもらう。
(ただの人間では到底出来ないような真似をしてみせた相手に非常に驚くものの表情や態度には微塵も出さず、光のない瞳を逸らすことなくただじっと相手を見つめて制止したまま返す言葉を探っていて、ガラスを燃やされた事には一切触れずに、未練を打ち明けるつもりもなければ奪った身体を使って勝手にやりたいことをやるつもりだと淡々と答えて)
うん……?あぁ、そんくらいならできるぞ。
今お前なんか言おうとしたよな?…まぁ,お前が良いっつうなら俺も言及しないけどな。
日本語だぞー,日本語日本語,フリガナも振ってある。
だけどお前には読めないかもってだけだ。
__あー、そっか、そうだよなぁ。
…ちょっとだけだぞ。
(相手の潤んだ瞳を見ていると思考が溶け、相手の小動物のような姿とそれに反するような大真面目な感じで言われると、考えが重なって溶けた思考が戻らず、出来そうだから答える、と馬鹿のような感じで答えて。
相手が何か言おうとしたことだけは分かるが、聞き取れず、恐らく自分に対する多少なる不満を呟いたのだろうと判断すると、言及するのも野暮かと思いやめて。
日本語で、それでいて難しい漢字にはふりがなが降ってあるものの、読んだ瞬間赤面して閉じる所まで予想出来て、読めないかもと言って。
女の子にそこまで言わせたのなら、引き下がる訳にも行かないと腹を括り、相手の方を手を退かして見据えると、その顔は少しだけ赤く、いつもとは違う感じがして。)
お前が自分の未練を吐かねーってんなら、俺にも考えがある、お前を殺さず、それでいてダメージを与え続ける方法が。
(一瞬でいつも通りの軽いノリに戻ると、相手が未練を言わない、そしてレイの体を使って色々と暴れるつもりならば、コチラにも特殊な方法があると言って)
ほ、ほんとっ?──え、えっと、こ、今度!お願いします…?
っ、うん良い良い。全っ然大したことじゃないし!
え~何それ?難しい言葉だらけとか…?で、でもそれならちゃんと調べながら読むし、大丈夫っ!
…っ、……………。
(できると言われてぱぁっと表情が明るくなったはいいものの、後のことは何も考えず感情に任せて聞いてしまったため、まさか今すぐキスを強請る訳にもいかず、そんなことが出来るはずもなく、一瞬だけ相手との甘いキスを想像してしまい耳まで真っ赤になると途端にひとりで慌て始め、思わず敬語になりながら今度お願いと適当に返して。不満を呟いたと誤解されていることなどつゆ知らず、引き下がってくれた相手に感謝しながらコクコクと何度も頷き、大したことではないと付け足しておいて。自分が読めない理由が他に思いつかず、人差し指をちょこんと顎にあてながら軽く首を傾げて考え込み、難しい言葉が使われているのかと予想するものの、フリガナがあるなら調べれば良いだろうと、大して気にしていないようで。ほんのりと赤く染まった相手の顔をしっかりと視界に捉えると思わず息を呑み、きゅん、と胸の奥がときめいて鼓動が早まってしまい、完全に見とれて言葉を失ったまま相手につられて自分の頬も赤くなり、そのままじっと相手を見つめて固まってしまって)
…はったりは効かない。この身体ごと、好きなだけ傷付ければいい。
(単純に考えればそんな都合のいい方法があるはずがなく、はったりだろうときっぱり返すものの、相手ならばもしかしたらという思いがあるのか答えるまでに少し間があり、それでも変わらない表情や声の調子からは本音は何も伺えず、身体を奪っているという状況下でこちらが有利なのは疑いようがなく、既に玲も限界なのか抵抗する気配も感じなくなっており、全く苦しさも感じないため完全に余裕の色を見せていて)
______あ、ああ?了解。
そうか……大したことじゃ、ない、ね。
自分で調べる力を得るのは良い、今の人間からしたら調べるのは簡単すぎるが、お前らしく頑張れ。
?…おーい?
(今更理解しようとするものの、もうどうでもいいかと考えてしまい、そのままOKを出してしまい、結局理解できないまま思考を放棄して。
なんでもないのか、とホッとしたのも束の間、大したことじゃないと付け足した相手にムッと考えを浸らせ、大したことではないと言うなら何かあるのではないか、と考えてしまって。
相手が考える力を得、そして自分で調べる力を得る、それは良い事だと言って、相手らしい調べ方と考え方で頑張れと言って。
自分の顔がそこまで魅力的なのだろうかと馬鹿みたいなことを考え、相手の頬をぺちぺちと叩き、大丈夫かと聞いて。)
ほーん、そっか。ちなみにだけど、お前って男か?女か?
(余裕を見せる相手にまだてをあくすべきではないと判断すると、こちらも余裕と言うより、ムカつくような余裕顔を見せ、相手の性別をハッキリとした声で問い、何故か答えたくなるという強制力が働いて)
い、いいのっ?そ、そっか…え、えと、あ、あたしも…が、頑張るから…!
? 桐島さん?大丈夫…?
ありがとー。どんな本なのかな、すっごく楽しみ!
っ、あ、ごめんね、普通に見とれちゃってた。
(こちらも慌てて思考が回らないまま適当にお願いしてしまったため、相手が受け入れてくれたことに目を見開いて驚き余計に慌ててしまい、恋人ならキスくらい普通にするのが当然かと何とか自分を納得させて落ち着こうとするものの、事前にキスの約束をするというこの状況に緊張は更に高まってしまい、そわそわした様子で頑張ると謎の宣言を返して。自分が深く考えずに誤魔化した言葉を受けて何やら考え込んでいる様子の相手の顔を不思議そうに覗き込み、眉を下げながら心配そうに問いかけて。相手の反応から、調べれば自分にでも読める本なのだと解釈すると嬉しそうに微笑みながらお礼を述べ、経験豊富な相手に近づくために勉強するのだという意欲に燃えながら瞳はキラキラと輝いていて。頬を叩かれるとハッとして我に返るものの、ぼーっとしていた名残りのせいか、恥ずかしがる暇もなく正直すぎるほど正直にポロリと見とれていたと零してしまって)
失礼な、どこからどうみてもピチピチラヴリーな乙女じゃろう。まったく最近の若い者は──ッ!?
………ま、誠に申し訳ゴザイマセン。全て話すので今のは聞かなかった事にしてクダサイ。
(相手の問いかけに、答えたくもなく答える気もなかったにも関わらず意志とは関係なく口を滑らせたかのように普通に答えてしまい、それどころか素の口調が完全に現れてしまっていて、先程までの無表情が嘘のように思いっきり動揺した様子で慌てて口を塞ごうとするものの、相手が馬乗りになっているためそれも叶わず、自分の失態が恥ずかしくてたまらないのかポッと頬を染め、急に態度を翻してしおらしくなると、カタコトというより棒読みで謝り、経緯はどうであれ結果的には未練を打ち明ける気になったようで)
……!?…、そ、そうだな…頑張れよ。
大丈夫だ、少し考え事しててな。
…一つ言っておくぞ、絶対に読み切れよ?
ほーう……見とれてたのかぁ、そうかそうかぁ。
(相手のそわそわした様子を見るとようやく理解に至り、驚愕と羞恥で顔を真っ赤にし、しかしそれは一瞬で、相手が目線を逸らした間に、顔を頑張って戻し、苦笑しながら謎の宣言を期待と激動で返して。
心配そうな様子の相手が視界に映り込んで来ると咄嗟に大丈夫だと答え、考え事をしていただけと微笑んで。
勉強に燃える相手を他所に、本当に読めるだろうか、こんな無垢な少女に手を出して果たしていいものか、と今更のように冷静になるが、もはや後戻りなどできず、読みきれよ、と忠告して。
隠すことなく自分の意見を口にする相手にニヤニヤしながら言葉を復唱して。)
ッ…!…ッ……!
あ、あぁ…お前が大人しく…ッ、未練言うならな…?
(相手の口調と喋り方、言わないと豪語していた割にあっさりと掛かった、それを重ねてしまったため、爆笑を堪えて口を抑え、未だ笑いを堪えながら未練を言うならと、目尻に涙を浮かべながら言って。
そして大体、相手の口調から、元々人ならざる者か、だいぶ昔のお姫様か、と予想して。)
う、うんっ!と、ととところで!い、いつする!?キス……、
そっか、何か悩みがあるなら、あたしで良ければ何でもきくからねっ?
? そ、そんなに分厚いの…?もちろんちゃんと読むよ。
! ち、違…違うの!今のは間違えたっていうか、ぼーっとしてたっていうか!
(応援までされてしまっては完全に後に引けなくなり、図らずも相手とキスの約束を取り付けてしまうと、せめてそれまでに勉強と心の準備をして万全の体制で挑みたいという吹っ切れすぎた思考に至り、沸騰しそうなほど赤い顔でぐいっと相手の方に身を乗り出し、きりっと眉を上げながらいつするかと大胆に尋ねるものの、今更ながらにキスという言葉を口にするのも恥ずかしいらしく、最後に付け足した二文字はぼそぼそと小声になってしまい。微笑んでくれた相手にホッとしたように柔らかな笑顔を返しながら、悩み事なら何でも聞くと告げて。最後まで読み切るのは当然だと思っていたため相手の言葉にキョトンと首を傾げ、ぱちぱちと瞬きを繰り返しながら、恋愛の教材ともなれば辞書並みにページ数が多い本なのかも知れないと想像して少し戸惑うものの、どんなに時間がかかってもしっかり勉強する気でいるようで、ちゃんと読むときっぱり答えて。相手が繰り返したことで自分の発言の内容をようやく理解すると、慌てて顔と両手を勢いよく左右にぶんぶん振り、紅潮したまま言い訳になっていない言い訳を早口で並べていって)
…笑わない、怒らない、誓え。打ち明けた後も笑い続けたら、この部屋の本をすべて吹き飛ばす。
──結論から言う。この身体の持ち主に成りすまし、仲睦まじい2人を別れさせようとした。しかし即座に別人だと見破られ、叶わなくなった故、奪った身体を使って学校の…いずれは国中のかっぷるとやらを邪魔する算段でいた。全ては遠い昔、叶わなかった恋への未練による醜い嫉妬。報われるにはこうするしかないと信じて疑わなかった──だが、この学校が建ち、初代校長の顔を見て話は変わった。その昔恋焦がれた殿方に生き写しだった。彼の生まれ変わりに違いないと思った…以来、長年この地に住まい、彼が亡くなってからも毎日初代校長の銅像を眺める日々。──し・か・し。話が変わったといえど、自慢げにいちゃいちゃ、いちゃいちゃとする者どもを見る度、己はあの像に触れることさえ叶わないのにと…未だに、単純に、腹が立つ。出来る限り邪魔はしていきたい。この身体を狙ったのは儚げで憑き易かったのもあるが、若くて可愛い姿になりたかった。
──と、言う訳で、どうか別れて下さいオネガイシマス。
(すぐに無表情に戻ると、先程の失態をなかったことにしてキャラを保とうとするものの、明らかに笑いを堪えていてそうさせてくれない相手をじとりと睨み、もし未練を打ち明けた後も笑い続けていたら図書室の本を全て風で吹き飛ばすと脅して。無表情のまま淡々と事実を語っていき、その様子からは何を考えているのか伺い知れないものの、長い間募らせ続けてきた想いは確実に歪み切っていて、一通り語り終わると微塵も表情を変えずに当たり前のように別れるよう要求し、お願いしますの部分のみ明らかな棒読みで、今の話を聞けば別れて当然だと言いたげに、お願いする気などさらさら無いのが丸わかりで)
お前が頑張るんだからお前が決めろ、できる、と思ったなら俺はいつでもいい。
んー?…まぁ、いつか、な。
そうだなー、ちゃんと読むならいいんだぞー。
なら見とれてないのか?俺の顔は不満か?
(しっかりと聞いており、それを聞くのか!?とまた身を乗り出してくる相手に内心驚愕し、だとしても迷って答える訳にもいかず、今まで思考が死んでいた事から思考がフル回転し、決める時の相手の羞恥心とその姿を見たくもあるため、相手に決めろ、と最もな理由を付けて言って。
悩みの種が目の前に居るのに呑気なものだ、と思い、としてもストレートに言う訳にはいかず、いつかと答えて。
相手が何を言おうと、どうせ全て的はずれなため、適当な答えを返して。
言い訳をする相手に詰め寄り,先の自分の顔と同じような顔をして悲しそうな顔をして相手の目を見据えて。)
笑わねえ、分かってるよ。
苦労してきたんだな,恋慕と嫉妬に振り回された女。
だけど,さぁ?俺は玲とは別れないぞ?
…その代わりさ、少し提案があるんだ、お前にとって代わりになるかは分かんねえけど、お前と、俺、ほんの1週間でいい、付き合ってみないか?満足しなかったら好きにしていい、満足したら、大人しく出ていって欲しい、どうだ?
そうしないなら殺すけど。
(笑いを堪えていた顔から一瞬で真面目そうな顔に戻り、分かっていると脅しに答え、そして相手の話を聞き終えると、かなり複雑な環境と、そして死によって生まれた恋慕の霊、そして地縛霊でもある相手に同情しつつ、玲とは絶対に別れないと意志を示し、そして相手の言う初代校長とは自分の祖先であり、自分がこの高校で好きにできるのはその末裔だから、だからこそ、自分と初代校長は姿も中々似ており、気配も似ている、と身内から言われているため、付き合ってみないかと懇願のような問いをするものの、結局脅しで)
ええっ!?あ、あたしが!?えと、その、じ、じゃあ………、
いつかって…あんまり抱え込みすぎるの良くないよ?あたしなんかじゃ頼りないかも知れないけど、話すだけでもスッキリするかもしれないし。
桐島さんの彼女にふさわしくなるためだもん、どんなに分厚くても難しくても絶対ちゃんと読むよ!
っ!?ち、近いよ…!!
(こちらに決定権を渡されるというまさかすぎる展開に思わず声が裏返り、焦りまくりながらも逃げ場はなく、真面目に脳内で答えを探るものの、考えれば考えるほど恥ずかしく、甘い甘い想像も捗ってしまい、返事をするどころではないまま顔から火がでそうな勢いでどんどん赤くなっていき、言葉を失いフリーズして。いつか、と悩みがあることを否定しなかった相手に心配は募るばかりで、悩みの内容は見当もつかないものの不安そうに眉を八の字にし、抱え込むのはよくないと声をかけて。相手と釣り合う女性になるためならば出来る限りの努力を惜しむつもりはなく、むしろ本という勉強する手段が出来たことを嬉しく思いながらニコニコと微笑んで。詰め寄られて距離が縮まり、相手の整った顔がすぐ近くにくると再び胸は高鳴り、悲しそうな顔をされるとズキズキと心が痛んで泣きたくなる気持ちを抑えながら、ドキドキと心苦しさ、2つの意味で相手の顔を直視出来ず、湯気が出そうなくらいに熱を持った顔を咄嗟に逸らしてしまって)
……やはり若者は若者。考えが甘い。まず一つ。付き合ってくれるということは、この身体の持ち主ではなく妾…私のことを愛してくれるのか?もう一つ。仮に付き合い、私が満足したとして、余計にこの身体を返したくなくなる、余計に2人の仲を妨害したくなるとは思わないのか?そして最後に──この話を始めてから、身体の持ち主が明らかに嫌がっている、と言うより泣きながらやかましく騒いでいるが……この持ち主を黙らせ、持ち主よりも私を選んでくれる、それがお主に出来るのか?
……答えによっては、そんな事をせずとも今すぐ身体を返してもいい。
(相手の提案に心底驚くもののやはり表情には現れず、相手の姿に初代校長の面影があることは言われずとも薄らと気付いており、相手からの提案も相まって初代校長との関係も何となく察しがついて、本音を言えば相手からの提案はたった1週間だけでも2人の仲を引き裂くことが出来て好都合ではあるものの、自分のことは自分が一番よく分かるため、付き合ってしまえば相手に本気で惚れてしまうのではないかとそんな気がしており、そうなった末に相手が玲を選ぶのであれば余計に辛くなるだけということは痛い程理解もしていて。疲れ果てて抵抗を見せなくなっていた玲がこの話になった途端に全力で抗っているのが身体を通して伝わってくると、純粋に一人の殿方を想っていた頃の自分の気持ちを思い出して何とも言えない罪悪感や切なさに襲われて、ばっさり相手の考えが甘いと切り捨てるふりをすると、相変わらず感情の読めない淡々とした態度で、相手を試すような意地悪な質問を投げかけて)
……じゃあ?
いや、大丈夫だ、話さなくても多分近いうちに解決する。
いい心掛けだ、まぁお前に滅茶苦茶ハイスペックになられても釣り合わない俺が困るが。
近付けてるんだよ。
(言葉を失ってフリーズした相手に向けて、最後に言った言葉、じゃあ、を問いと共に復唱し、相手の目をしっかりと見据え、相手の頬を抑えて顔を逸らせないようにして、答えを待ち。
相手の献身的な態度と自分を心配してくれる心を知ると、相手を疑うのが馬鹿らしくなり、そしてまた疑う自分が嫌になり、すぐ解決すると言って安心させようとして。
簡単に自分を越えることは無いだろうが、天才肌という可能性もあるためそれを懸念し、かなり勝手なことを心配して。
いつも通り恥ずかしがる相手にぐいぐい行き、相手の背中に手を回すとグイッと抱き締め、しかしその抱擁は優しく、相手の耳たぶに生暖かい息をふっと吹きかけて)
玲は俺の彼女だ、俺は当然そっちを選ぶ。
ただ、俺は哀れなお前を放ってこの世界に意識を留まらせる訳には行かない、あと玲のじゃない器…身体だってある。
満足したら消えればいい、その器で天寿を全うするのも、それもまたいいだろう。
あと玲がマジ泣きするのは予想通りだ。
だけど、お前昔に生きてたから知らねえだろうが。
一夫多妻制って、知ってるか?
(相手の前提を全て覆すような提案を更に重ね、否が応でも相手をそのままにする気はないらしく、正直この霊だけにまた命を与えるのは贔屓じみているが、そうするしか手段がないのだからと自分を黙らせて、そして相手と、その中に居る玲に向けて、一夫多妻制というとんでもない提案をして。
正直自分が頭のおかしいことを言っていることの自覚はあるが、最早それしか方法はないと吹っ切れていて)
ぅ、……じゃあ、………み、3日後とか…!?
何かあったらなんでも言ってね?あたしに出来ることなら何でもするし。
桐島さんを超えるのは無理かもしれないけど、迷惑かけないようにはなりたいな。
んっ……ど、どうして…?
(頬に触れられてぴく、と大袈裟に身体が跳ね、さらに顔に熱を持ち、元々逃げ場はなかったものの余計に追い詰められると、早すぎても心の準備が間に合わないし遅すぎてもそれまでにキスできないのは寂しいし…と恥ずかしすぎることをぐるぐると必死で考え込み、考えるうちに早い遅いの基準もよく分からなくなって、ときめきで脳が溶けたまま何か答えなければと焦り、またしても適当な答えを口にしてしまって。相手の言葉に安心したように微笑むと素直に引き下がって、それでも相手に悩みがある時は出来る限り力になりたいと思い、いつでも相談するよう付け加えて。自分の中ではこれから相手以上の知識や経験を経るのはもちろん、そもそもそれに加えてかなり恵まれた容姿を持つ相手よりも魅力的な人物になることはハードルが高すぎてほぼ無理だろうと理解しているものの、知識不足でそんな相手に迷惑をかけるのは嫌なため、付き合うことで足を引っ張ってしまわないような彼女になりたいとは思っていて、憧れを語るように天井の方を見上げると、瞳を輝かせながら考えを告げて。優しく抱きしめられて耳元に息をかけられると思わず甘い声が漏れ、自分の発した声に恥ずかしがるというドキドキのループに陥っていて、バクバクと心臓は煩く暴れ続けてろくに頭も回らなくなり、その場しのぎのようにどうしてそんなに近づくのかという本題から逸れた質問を上擦った声で返して)
ほおぉぉ?──ふふ、案ずるな、今の言葉で妾は哀れでは無うなった。…〝妾は〟の。
そなた、優しすぎる程に慈悲深いが乙女心の理解に関してはまだまだじゃのぅ?それもまた魅力的じゃが、…女の嫉妬は恐ろしい物。これが何を意味するか…妾の嫉妬心を解消しようとするあまりに彼女を嫉妬させているようでは、所詮は若者──ん?ああ、言うてはならんかったかの?すまぬすまぬ。妾はお子様と違うて、大人の魅力溢れるせくしぃなれでぃじゃからな、幼稚な小娘の考えは分からぬわ。
妾と同じ目に遭うおなごをこれ以上増やすのも阿呆らしい…それに、目的の一つは恐らく達成されるであろう──本当に彼によう似ておる…だぁりん、そこまで言ってくれるならこの位は貰わねば──ご馳走様。これから大変じゃろうが、…楽しくなりそうじゃの?せいぜい頑張って。
(相手が迷うことなくきっぱりと玲を選ぶと答えたことで不思議と気持ちは軽くなり、無表情から一転して救われたように小さく笑い、2人の間に自分が入り込む隙もなければ邪魔をしようとするのも馬鹿らしく思えてきて、相手が自分のことを放っておけないと、一夫多妻制とまで言ってくれたのであればそれだけで気持ちは救われ、同時に自分が心から愛しているのは目の前の彼でも初代校長でもない、遠い昔の殿方ただ一人なのだと思い知らされると、哀れみの気持ちで付き合ってもらうことに意味を感じなくなり。身体を乗っ取っていることで玲の心の声が丸聞こえなのか、わざとらしく口を滑らせたふりをして余計なことを述べ、ニヤニヤと面白がっているような笑顔で思いっきり玲を煽るような発言を残しつつも、自分の恋心と重ねてしまい思うところもあるようで、自分と同じ思いはさせたくないと付け足し、しかし本音はこれだけ自分が煽れば間違いなくこの後一悶着起きるであろう、それを存分に楽しませてもらおうなどと良からぬことを企みつつ、当分は悪戯などしなくても楽しめそうだとほくそ笑んでいて。妖艶な笑みを浮かべると相手の制服を強引に引っ張って顔を近づけ、余裕を醸し出しつつも一瞬本気で見とれてしまったのは内緒、一方的に唇に軽く触れるだけの口付けをすると、ニヤリとからかうような言葉を告げ、〝ありがとう〟と口の動きだけで伝えると、そのままビクリと大きく身体を震わせ、次の瞬間にはぐったりと身体から力が抜けて意識を失っていて)
3日後な、楽しみに待ってるぜ?
…なんでも?
努力さえすれば俺なんか簡単に越えれるさ、お前が何だろうと、俺は迷惑なんて感じないしな。
…お前を愛してるから?
(相手の安易な答えを真実として受け取り、遅れることも、早まることも許されないと、待ってる、と相手を縛るような一言を口にし、相手の頬から手を滑らせ、相手の口内に指を押し込んで意地悪するように笑いながら掻き回し。
真剣に向き合ってくれた相手に感謝する心もあるが、真面目な感じで返すのも自分らしくないなと考え、何でもするのか?と聞き返して。
自分に憧れても、その憧れは砕かれることだろう、と考えるものの、それをストレートに言うのも気が引けるため、相手なら自分を簡単に超えれると言い、そして、相手がどうなろうと、相手を迷惑になる事などありえないとだんげんして。甘い声を聞くとこっちの理性も溶け始めて、更にそこへ上擦った声が届くと、相手の耳へ息を吹きかけながら、相手の耳たぶを甘噛みして。)
……そっか。そうかぁ。
色々引っかかるけど、お前がそう言うなら、俺はもう何もしない、言わない、いや、言えない。
!?………逝ったのか…うん、そうだな。じゃあな、おやすみ。
(相手はもう迷いないようで、ここから引き止める意味もない、そして何より、まだ引き止めたら本当に玲に愛想尽かされるかも知れないと恐れを感じ、言えないとキッパリ言い、そして相手が色々疑問を感じることを口にするものの、あまり気にしないようにして。
そして相手から軽めのキスをされると驚きに顔を歪め、しかしその直後、色々と言って倒れた玲の身体をそっと抱き、言ったことを確認すると、結局何かと言い返す暇もなく逝ってしまったな、と思い、おやすみと言い、寝ている玲の唇を強引に奪い、ここまでしたら起きるとは思うものの、我慢出来ず、相手の唇をむさぼって)
えっ、あ……は、はい…?っ!?
…もぉ、あたしのこと信じて?き、キスも、ちゃんとしたでしょ…?
ふふっ、ありがと。でも、まずは越えるより追い付くのを目指そっかな?同じくらいの方が、一緒に助け合えそうだもん。
ひゃ、っん……み、見とれてました…だから許してぇ……っ、
(念押しをするかのように相手に復唱されるとハッとするものの、正直キスをしたいという気持ちは大いにあるため咄嗟に誤魔化すような言葉も取り消すような言葉も出てこず、ぼーっとしたまま肯定し、相手の指が頬から動く度に触れられた箇所が熱く、口内に侵入されると目を見開いて一瞬で顔中の赤みが増すものの、もはや口内に触れられることさえドキドキと心拍数を早める要因にしかならず、どこか心地いいとさえ思いながらうっとりとした表情を浮かべていて。1つお願いを聞くと告げた時も似たようなことを尋ね返されたなと思い返しつつ、その時も今も相手の為ならば何でもしたいという考えは変わらないため、少しムッとした様子で頬を膨らませつつきっぱりと認めるような返事をして、以前お願いされた時もちゃんとキスしたと伝えようとするものの、それでもやはりキスという単語を口にするのは恥ずかしいようで、付け加えながらもじもじとして。相手の言葉が励ましだとしても本心だとしても全力で頑張ろうという気持ちに変わりはないため、素直に受け取って感謝し、しかし元々相手と張り合う気はなく、むしろ助けられてばかりいる現状から足を引っ張らない程度に、最終的にはお互いに助け合えるような恋人になりたいという憧れがあるため、ゆるりと微笑むと、相手に追い付くのを目標にしたいと口にして。耳元に息をかけられ、甘噛みされ、甘い言葉を囁かれると、逃げ出してしまいたいくらいに相手のことを意識してしまい、ぴくりと身体が反応して力が抜けていくようで、とろとろに蕩けきった甘い吐息が漏れてしまって恥ずかしくてたまらず、相手の方を見る余裕など一切なく紅潮した顔を逸らしたまま、あっさりと降参したように見とれていたと白状し、弱々しく許しを乞うように呟いて)
───ふ、ん…!?
ぅ、んんッ……ん、!
(意識を失っていたのも束の間、唇に感じた感触ですぐに覚醒し、状況を理解するまでは寝起きのようなはっきりとしない薄目でされるがままにキスを受け入れていたものの、少しして全てを思い出すと思いっ切り目を見開いて。全て夢であるか、いっそのこと乗っ取られている間の記憶がなければ良かったとさえ思うものの、残念ながらほぼ完全に覚えていて、直前に大好きな相手の唇が初対面の霊に奪われたことも、その霊にお子様だと煽られたことも、霊を思う優しさ故とはいえ相手が霊に向かって付き合おうと発言したことも、はっきりと覚えていて、気が付けば抵抗するように相手の身体を押し返そうとしてしまっており、大切に思っているはずの相手からのキスを素直に100%喜べないのは初めてのことで、胸の奥に抱いたモヤモヤとした気持ちや、このままだと相手に可愛くない態度を取ってしまいそうな自分自身が嫌になり、相手のことを避けるように顔を逸らそうとしながら、両目からは大粒の涙が流れ、静かに頬を伝っていて)
んー?…具合はどんなもんよ、蕩けた表情してるけど。
そうだなぁ、お前は嘘をつかないし、信じてる、だけど……
俺は心配性なんだ。
そういうのいいよな、お前が俺を助けてくれるなら、俺も安心だ。
ま、しばらくは俺が一方的に助けることになりそうだけどな。
…ッ……やめなーい。
(うっとりとした蕩けた表情の相手を愛おしいものを見る目で眺め、相手が苦しくないように指はあまリ奥には突っ込まず、相手の舌や頬の内側を指で撫で回し、答えれないとはわかっているものの、意地悪したいため具合を聞いて。
献身的な相手からして、言ったことは守るし、自分のためならば尚更だと理解してはいるものの、心配性という言葉だけを苦笑いしながら並べて片付けてしまい、心の底から相手を信じてやりたいといつも思っていて、そして今も、思っていて。
自分も、誰かから助けられるという経験が相手からしかなく、その唯一の経験でさえ、出会って救われた、という敬虔なため、相手の言う、互いに助け合う恋人、というのに同じく憧れており、しかし今は自分が相手を助けることしか出来ないと仕方ないことを言って。
ビクッと震えて、そして尚且つ、こちらの加虐心をくすぐってくる反応を見るともう我慢出来ず、やめないと面白いことをしている風に言うと、相手を優しく押し倒し、相手の耳たぶを相変わらず甘噛みし、更にもう片方の手を相手の手に絡ませ、抑えながら、なまめかしく腕をなぞって笑い)
ぁ……うん。
そうだよな、悪い、謝って許される事じゃねえと思うけど…ごめん。
あ、あぁ!お前が言うならさ、別にしばらく距離置いたって…ほら、俺とは……今、あんまり同じところに居たくないだろ…?こんな奴に慰められても迷惑だろうし……。
ちょ、ちょっと、俺出てくから!次帰ってきたらなんでも言ってくれ!別れるとか…、なんでもいいからさ!絶対その望みを叶えるから!
(相手に抵抗されると一瞬悲しそうな目をするものの、自分のせいだ、自分があんな事をしたから、と自負の念に駆られて仕方ないと無理矢理自分を納得させ、ただただ謝り、それで許されない、許せないなら、しばらく距離置いたって、別れたって、相手の意見に沿うと、下手に出るというか、拒絶されたことへの恐怖か、相手を失いたくないという確かな感情が混ざり合い、ただただ、言葉を重ね、そして大粒の涙を流し始める相手を見ると、今自分が慰めても、相手は自分を鬱陶しく感じ、更に嫌ってしまう、それなら、もういっそ自分から離れて、切り離してしまおうと判断し、流すべきではない、流してはいけない涙を堪え、部屋から出ていって。
そして部屋の外、図書室のテーブルに椅子に座って頭を抱え、彼にしては珍しく、取り乱して号泣し、どうすれば、そもそも自分が悪いのだ、と考えが堂々巡りし、訳の分からないことを相手に言ってしまったとさらに後悔し、どうすればよかったのか、と不安が重なり、言葉を発することも出来ず啜り泣いて)
んぅ……ひょんなの…、
…じゃあ、桐島さんが心配になったら、その度に何でもするよ。何回でも。それで、安心できない…?
ほんとは力も同じくらい強くなれたら、重い本を運ぶの手伝ったりも出来ちゃうんだろうけど…今のあたしに出来そうなことはお勉強くらいだよね。
へ……きゃ、……ふぅ、っん、…だめ、だってばぁ、
(口内の敏感な箇所を撫でられる度に心地よく、何より好きな人に触れられているというだけで気持ちがよくて幸福感と充実感に包まれ、口の端から唾液を垂らしながらふにゃふにゃに緩みきった表情を浮かべていて、ただでさえ恥ずかしい状況で感想など言えるはずがなく、そんなの言えない、と答えかけるものの、それさえも途中までしか言えずにすっかり相手の指の虜になっていて。苦笑いしながら告げられた言葉の響きはどこか寂しげで切ないものに聞こえてしまい、思わず両手で相手の手をそっと包み込むと、こちらもつられて少し悲しそうな表情になり、それでも真剣な瞳で相手の目をしっかりと見つめ、相手が心配になる度に、何度でも、安心してもらうためなら何でもすると断言し、首を傾げるとぱちぱちと軽く二、三度瞬きし、それで安心できそうかどうか尋ねてみて。既に相手から助けられたことは数え切れないほどあり、本当はすぐにでもお返しがしたくて、力の面でも協力できればそれが理想だとは思うものの、やはり現実的でない気がして、コツコツ勉強するくらいしか自分に出来ることはないと思うともどかしく、申し訳なさそうに眉を下げながら思わずため息をついて。押し倒されて驚くものの、力の抜けきった身体では為す術もなく、ただただ相手から与えられる甘い感覚に酔いしれるように堪えきれない声が出てしまって、必死にこれ以上甘い声を漏らさないように我慢しながら、吐息混じりの声でやめるように告げて)
────っ、
桐島さん、やっぱり………、
(相手のことが嫌いになったわけでも相手と一緒に居たくないわけでもなく、むしろ好きだからこそ他の女性と親しげにしていたことに傷つき、一緒に居たいからこそ、傷ついた感情に任せて相手に酷い態度をとってしまうのが、それで相手に嫌われてしまうのが怖くて堪らなかったにも関わらず、相手の方から自分を拒絶するように部屋を出ていき、別れてもいいと受け取れるような言葉を告げられたことで余計に不安になってしまい、先程キスを拒んでしまったことで相手を傷つけてしまったのか、嫌われてしまったのか、ヤキモチを妬いてしまったことがばれて我侭だと呆れられてしまったのか、やはり経験豊富な相手にとって自分はたくさんいる女の子のうちの一人に過ぎず、本音はもっと余裕のある大人の女性と付き合いたいと思っているのだろうか…と、考えれば考えるほど距離を置かれてしまう心当たりはたくさんあって、相手は自分と別れたいのだろうか、と思った瞬間、声を抑えることも出来ずに嗚咽が止まらなくなり、相手を追いかけたくても追いかける余裕もなく、虚しく床に横たわったまま、両手で顔を抱え込むように身体を丸くして号泣し続け)
…まぁこの辺にしとくか、ほら、溢れてるぞ。
何度でも…か、そっか、まだ少し不安は残るけどな、それなりに安心できた、ありがとな。ちなみに言質とったからな。
それはダメだ、お前はか弱いままでいい、だから大人しく勉強しとけ。
……もっと、して欲しいか?
(相手の言葉で少し別のことをしてみたくなり、自分の虜になってしまっている相手にわざとらしくお預けを食らわせ、そして相手の口の端から零れた唾液を相手の口から引き抜いた指で拭いとると、少しキザっぽいことを言って。
相手に包まれると、まだまだ心配が残るものの、少しだけ、否、かなり安心感が勝り、相手から逆に見つめられると安心できたと告げ、そして真面目な感じで話し続けるのが恥ずかしくなり、言質を取ったから、とニヤつきながら誤魔化すように答えて。
相手が自分並の力を得たら釣り合いが本当に取れなくなってしまうために、自分が守ってやるために、か弱いままでいい、勉強をしとけ、と言葉足らずではあるが言って。
相手の耳たぶから口を離すと、片手で相手の腕をなぞったまま、悩ましい態度をする相手に対しやはり加虐心が刺激され、もっとして欲しいか?と相手の顔をみながら笑い言って)
______お嬢さん。
(玲と三郎が互いに泣いて、すれ違ったまま終わりそうな時に、体を丸くして号泣している玲の背中に人の手が触れ、その直後に声がかけられて、その声は彼のものではなく、穏やかで力強いもので。)
……も、もうっ、
んふ、良かったー。でも、その。あたしに出来ることならねっ?
か弱い…あ、じゃあ、お料理やってみるとか!お料理だったら、切って焼いてドーンでしょ?たぶんあたしにも出来ると思うんだよね。
し…て、ほし……くないっ…!
(あっさりと引き下がった相手への驚きと、決して口に出せはしないが確かに感じた寂しさと残念さで、一瞬だけ悲しそうに、物欲しそうに潤んだ瞳を相手に向けるものの、唾液を拭われてドキッとしてしまい、恥ずかしさを誤魔化すように少し不機嫌な態度を装うと、真っ赤な顔で相手を軽く睨んで。相手の言葉にこちらも安心したように、包んでいる手をぎゅっと握って柔らかく微笑むと、嘘をつくつもりはないものの、自分に出来ることには限りがあるため、一応保険をかけるように出来ることなら、と付け足しておいて。知ってはいたものの、改めてか弱いと言われると自分の頼りなさがもどかしく、落ち込んだ様子で俯いてしまい、しかしすぐに料理という発想に至ると表情を明るくし、明らかに料理など一度もしたことがないような楽観的な言い方で簡単そうだと語り、すっかりやる気になっていて。耳たぶが自由になっても、すでに頭の中は相手のことでいっぱいで、すぐ近くから香ってくる相手の匂いにさえ胸は高鳴ってしまい、腕をなぞられる度に小さく反応して吐息が漏れてしまう自分自身が恥ずかしく、火照って紅潮した顔を見られるのに耐えられずに顔を背けながら相手の言葉を否定して)
!?──っ、誰…?
(突然背中に触れられると、油断しきっていたこともあり、此処には自分達以外に誰もいないはずと思い込んでいたこともあり、思いっきり驚き怯えた様子でビクッと肩を揺らし、涙でぐちゃぐちゃになった顔を隠す余裕もないまま、とりあえず顔を覆っていた両手を外しながら上体を起こし、考えるより先に声のする方へ顔を向けて)
______悪かったよ、今度からやる時はちゃんと、やる、って言うから、許してくれな。
じゃあキスとかは出来るな、お前にできることはだいたい俺でも出来るが、お前しか出来ないこともある。
……玲、後でお前は料理系の本も読め、厳選して貸すから。
ほー、そんなこと言うのかー、そっかそっかー。
…目を合わせろ。
(不機嫌そうな相手を見ると少ししょんぼりしたような表情をするものの、それが作った態度で、先のが本当の気持ちだと理解すると、相手をおちょくるように能天気な感じで、許してくれな、と軽い態度で反省してないように言い。
柔らかく微笑んで、そこまで自分のことを大切にしてくれる人にこんなふざけた言葉を返すのは少し気が引けるものの、こういえば相手は恥ずかしがるだろうな、と予想し、握られた手を握り返すと、相手にしかできないことがある、と言って。
相手の語り方からしてどう考えても料理のりょの字も知らないド素人であり、やる気があることは良い事のため、否定はせず、相手に本を貸すから学べ、と、相手にもできる、と遠回しに言って。
顔を背けながら否定の言葉を投げられるのは予想外であったため、確認のために少し残念そうな言葉を並べるものの、ここで日和る訳にも行かない、と、腕をなぞっていた手を相手の顔に当て、自分の方を向かせると相手の目を熱烈に見つめ、相手にキスをするのではなく、軽く唇を当てて。)
驚かせてしまったならもうしわけない。
___私はケイロン、貴女の恋人の師であり、古代のギリシアに生きた賢者、付き合いで言うならば、ドゥディスとは数百年程度でしょうか。
それより、この布で涙を拭きなさい、そのままではロクに話もできないではありませんか。
(相手が振り返って見たものは、半人半馬の金髪の男性で、相手が振り返る頃には微笑み、そこら辺で手にしたハンカチを差し出しており、その風貌は人外であることを指し示しているものの不思議と恐怖はなく、それどころか安心感を覚えるような声音と姿をしていて、自己紹介、そして何かの説明をし、また微笑み、涙を拭くように勧めて。)
や、やるって言われても、なんて答えればいいのか分かんないし…!
キス…はこの前したもん。……? あたししか出来ないことなんて、あるかな?
へ?お料理なら本読まなくても出来そうだけど…桐島さんが言うなら、読んだ方がいいのかなぁ。
ッ……!?
(軽い様子で告げられた発言をまともに受け止めて想像してみるものの、事前にやると宣言されても余計に照れくさく、その上こちらが返事をして許可を出さなければ相手に触れてもらえないというのは、それはそれで恥ずかしく、寂しく、不都合に思えてしまい、真っ赤な顔で困ったようにもじもじしながら、やると言われても返事に困ると伝えて。キスと聞いた瞬間に頬を染め、気まずそうに視線を逸らしてこの前したと答えつつも、自分しか出来ないことというのが気になる気持ちもあり、視線を逸らしたまま尋ね返して。本を貸すと言われると不思議そうにキョトンとし、料理をしたことがない者ならではの、切ったり焼いたりするだけの単純作業に果たして勉強が必要なのだろうか、とでも言いたげなお気楽な疑問を抱きながら、正直な感想をぽつり呟くものの、結局は相手が言うのであれば従うつもりのようで。触れられた顔が明らかに火照って熱を持ち、熱くてたまらず、今にも心臓が飛び出そうなくらいに胸はときめき、ドキドキと鼓動がうるさく、恥ずかしくて堪らないのに顔を逸らすことも出来ずに大人しく相手の方を向くしかなく、逃げ場のないこの状況に頭も胸も心も相手のことでいっぱいで、他のことは考えられなくて、真っ赤に染まった顔と期待に潤んだ瞳を相手に向けて言葉を失ってしまい)
? ……! あっ、矢の…?え、えっと、ありがとうございます……ぐしゅ、
変なところ見せちゃってごめんなさい、あたしは………、桐島玲です。あの、桐島さんならあっちに行きましたけど……、も、もしかして、あたしのこと怒りに来ました……?
(振り返って相手の姿を見れば驚きに目を丸くするものの、散々号泣した後で頭もよく回らず、それよりも今は別のことで頭がいっぱいのため、相手が何か説明してくれていることも申し訳ないとは思いつつもあまりピンと来ずに首を傾げていて、時間差で相手の師匠といえばあの時矢を放ってきた人物かと心当たりを思い出すと、矢の、とうっかり口にしてしまい、慌てて口を噤むと、ようやく少しは状況を理解したようでお礼とともに差し出されたハンカチを受け取り、目元を拭って。まだ目元は痛々しく腫れてはいるが涙だけはひととおり拭い終わると、改めてこちらも自己紹介をしようと相手の方に向き直るものの、今の状態で自分から桐島さんの彼女を名乗っていいものかと不安が押し寄せてしまい、悲しそうに眉を下げ、散々迷い間をあけてから無難に名前だけを告げると、相手は桐島さんに用事があって来たのだろうと思い彼が出ていった方向を手で指し示してみて、それとも以前相手に失礼すぎることを言ってしまった上に、勝手にヤキモチを妬いて相手の大事な弟子を傷つけてしまったことを叱りに来たのだろうか、という考えに至ると、相手から何か言われる前に申し訳なさそうに頭を下げ、下を向きながら弱々しい声でおそるおそる目的を問い掛けて)
じゃあできないしやらないぞ、流石に2度目は許可取らないと俺もできない。
…俺を安心させてくれる。
本は読め、全てに通じているぞ。
……もう1回だけ聞くぞ?
続き、して欲しいか?
(相手の考えをほとんど理解しており、それならば。
2度目という理由を付けて、最初は言うだけで勝手にやろうと考えていたが、意地悪したいから答えてくれなきゃできない、とわざとらしく言い、仕方ないよなー、みたいなニュアンスでまた意地悪をして。
相手に訪ね返されると多少考えるものの、自分が絶対の安息を得れるのは相手の傍だけで、そして相手が己を労ってくれるならば、苦労を吹き飛ぶだろう、そう考えて、それを言うのは少し恥ずかしいから、目線を逸らし短く言って。
あぁ、コイツはダメだ、と料理に関しては相手の知識を諦めるものの、それを真正面から言ってショックを受けさせるよりも、せめて知識をつけさせて何か出来ることをやらせるのが先決だと思い、いって。
期待を向けられるとそのまま続きをしてしまおうと思うが、相手の口で言わせてやると言う謎のこだわりによって、相手の頬を愛おしそうに撫でると、もう1回、だけ、を強調して聞き)
ええ、矢を放ったのが私です、弟子に仕置をするのも師の務めですから。
知っていますよ、ドゥディス…いえ、三郎から聞いていますからね。
……まさか、私は弁明、いや。
…昔話を、しに来たのです。
(涙を拭く間に相手の言葉を肯定し、相手に野蛮人と思われていないだろうかと心配を抱きながら、相手の存在は聞いていたし、言ってはいないが見守っていたため知っていると答え。相手が自分を叱りに来たと言うと、あるはずがないと真っ直ぐ答え、そして来た理由を言おうとするものの、何故か、昔話をしに来た、と答えて)
えっ……、──ッ!こ、これは、その……!
…! そ、それって、あたしにしか出来ないんだ…?
わかった。まかせて!桐島さんの胃袋をがっつり掴んでみせるからっ!
ん……して、欲しいの……おねがい、
(できない、と言われると酷く悲しそうな、今にも泣きそうな表情を浮かべて、咄嗟に縋るように、求めるように相手の服の袖口をぎゅっと掴んでしまい、少し間をおいてから自分の手元に視線をやり、ようやく自分がとった行動を理解すると紅潮したまま慌て始め、もじもじと気まずそうに狼狽えつつも掴んだ袖口は離さず、離せずにいて。相手の言葉に驚くと同時にぱああっと表情を明るくし、相手が自分の存在によって安心出来るというだけでも嬉しくてたまらないのに、その上それが出来るのが自分だけなのだとしたらと考えるだけで舞い上がってしまう気持ちが抑えられず、目線を逸らした相手にキラキラとした眼差しを向けながら、浮ついてトーンの上がった声色で喜びを噛み締めて。当の本人は、本で勉強することで簡単な料理が更に楽勝になるくらいの気持ちでおり、ますますやる気が湧いてきたのか、相手の胃袋を掴むつもりでいるようで、自信満々に胸を張りながらニコニコと微笑み、まかせてと元気よく宣言して。火照った頬を撫でられるだけでどんどん顔の赤みは増していき、ぴく、と軽く震えて甘い吐息が漏れてしまい、すっかり相手に夢中になっているような、蕩けた自分の声さえも恥ずかしすぎて逃げ出してしまいたいとは思いつつも、これ程までにドキドキさせられて、こんな状態で相手が離れていってしまうのは寂しく、辛く、それはそれで耐えられそうになくて、とうとう諦めたように潤んだ瞳で相手をじっと見つめると、恥じらいを必死に押し殺し、本音を絞り出すように、吐息混じりのか細い声でお願いと口にして)
昔話…?…あー、えと、…うーん、その。
せっかく来て下さったのに本当にごめんなさい、実はあたし、今……ちゃんとお話を聞ける自信がなくって、い、色々ありまして…!
(昔話と聞き、絵本等でよく見かける童話のようなものを思い浮かべると、正直今はそれどころではなく、せっかく相手が楽しいお話をしてくれたとしても笑顔でいられるかどうか、そもそも相手の話が頭に入ってくるかどうかさえ怪しいため、相手の好意を断るのは心苦しくはあるものの、正直に告げないまま適当に聞き流してしまう方がもっと失礼かと思い、申し訳なさそうに眉を八の字にし、言葉を選んで内容をぼかしつつも、今は桐島さんのことで頭がいっぱいで、昔話を聞く余裕がないと答えて)
…唐突にやられても困るんだろ?なら許可取らねえとできない……お前はどうなんだ?
そうだ、お前以外にはできない、お前以外には居ない。
…まぁ、うん、頑張れよ。
……りょーかい、大人しくしてろよ?
(相手の悲しそうな顔を見ると心が痛むものの、ここでコロッと意見を変えてしまうのも変だなと今更考え、至極真っ当な意見を述べ、許可の有無をまた言い、最終的には自然な流れで相手に判断を請い、袖を握る手をそっと包んで。
嬉しそうな相手を見るともっと言ってやりたいとは思うもののお世辞は苦手なため、本音をそのまま吐き出し、恥ずかしさに外面には見せない羞恥を抱え、言い切って。
相手の考えていることが容易に想像でき、見放したりはしない、そして否定したりもしないと思った以上、疲れた応援しかできず。
自分の欲を多少なり抑え込み、二言告げると軽く唇を相手の唇を当て、先のように当てるだけだと思わせると、その瞬間に相手の唇に強引なキスをし、舌をねじ込むとディープなキスを続け、片手で相手を抱き締め、もう片方の手で相手がどことは言わないが隠さないため、押さえつけて。)
貴女の恋人の大事な話ですが、それでも聞けませんか?
(言い方を変えたとしても言い方が悪かったと考え直すと、聞くのを拒否した相手に、向けてその昔話は相手の恋人、つまるところ桐島三郎の昔話である、と言って。)
っ、どうって、そんなの……、…答えなきゃダメ…?
──桐島さんっ、好きっ!
うふふー、何か食べたい物とかある?何でもどーぞっ?
…んッ…!?んぅ……ちゅ、……ふぅ、…はぁ……、
(答えなんて分かりきってはいるものの、あえて口に出して答えなければならないのは恥ずかしすぎて、尋ねられた瞬間に困ったように真っ赤な顔で俯き、下を向いたままもじもじとしていて、袖口を握る手に触れられているだけでも心臓はドキドキと暴れ続けており、困ったようにおそるおそる質問で返して。相手が口にした言葉も、それをきっぱりと断言してくれたことも嬉しすぎて、相手への愛しさで胸がいっぱいになってしまい、感動した様子で若干涙目になりながら頬を染めると、咄嗟に相手を抱きしめるように両手を広げ、大胆にも感情のままに相手の胸元に向かって抱きつくように飛び込んでいって。相手の考えなどつゆ知らず、きっと自分にも素敵な料理が作れると、そして相手を喜ばせてみせると夢を抱きながら張り切っていて、ニコニコと幸せそうに微笑んで相手の顔を見上げ、軽く首を傾げつつ、食べたい物を確認して。舌が入ってきたことに驚き目を見開いたのも束の間、口内に触れられる度に痺れるように気持ちが良くて、初めて知る感覚に酔いしれるようにあっという間に身体中の力が抜け、とろとろに蕩けた様子でうっとりと瞳を閉じ、すっかり夢中になってキスを受け入れていて、すでに脳内はいっぱいいっぱいで恥ずかしがる余裕もなく、抑えることのできない甘い声を漏らしながら、逃げるどころか求めるように自分から相手にぎゅっと近付いていて)
っ、聞きます!──聞いてもいいお話なら、聞かせてください…、
(大好きな彼の話だと耳にした瞬間、咄嗟に聞くと即答してしまうものの、今は状況が状況であるため、これから振られてしまうかもしれない彼のことを考えるのは辛くもあり、そんな自分が聞いてもいい話なのかという不安もあり、複雑な表情を浮かべて悩ましげに考え込み、それでも大好きな桐島さんのことはちゃんと知りたいし、逃げたくもないと思い、覚悟を決めたようにきゅっと眉を引きしめると、真っ直ぐな瞳で相手をしっかり見つめ、絞り出したような震える声で、話を聞かせて欲しいと伝えて)
ダメだ,答えろ。そうしなきゃしてやんない。
……俺も,好きだぞ?
勉強してから言え,無駄な自信は落胆に続くぞ。
ん…ぐ………はぁっ…,このまま,最後までしちまうか?
(下を向いて話をしない様子の相手の顔を覗き込み,笑顔で,相手が言わないなら自分は永遠にやってやらないと脅しをかけ,掴んでいる相手の手首を艶かしく撫で,もどかしい思いを募らせて。
相手にしては大胆な行動をしたことに少し驚くものの,相手が自分のことを真正面から受け止め,好意をぶつけてくれたのだから,自分も言わなきゃいけないと使命感を感じ,相手をそっと抱擁して愛を囁き。
張り切りすぎは現実に対する落胆と、そして夢見がちな意識も落胆に繋がる,故に先に勉強をさせ,その張り切りが空振らないように相手より考えていて。
相手の考えがまだ巡っていない中誘うのは少し悪いことだとはわかっているものの,こう言う状況でもないと相手は恥ずかしがって許可してくれないだろうと考え,唇を離すと指で相手の胸部をなぞり,相手に一応問い掛けて)
…そう言うと思いました,では,彼の始まりからお話ししましょう。
(相手の言葉に安心したように微笑み、一度話に区切りを付けるためか間を置き,馬の下半身を人間の下半身へ変身させると椅子に座り,相手にも座るよう促して)
……きもちよかったから、もっと、さわってほしい……かも……、
ふふ、なんか桐島さん、いい香りがする…安心する匂い…。
ぅ"ー、わ、分かった。とりあえずお料理も恋愛のことも、いっぱい本読んで勉強するっ。
っん、うん…もっとしたい。
(顔を覗き込まれると、恥じらい故に反射的に視線を逸らしてしまいつつも、大好きな相手にならば手首を撫でられるだけでドキドキして心地よく、そうやって中途半端に焦らされれば焦らされる程、もっと触って欲しいという気持ちは高まるばかりで、視線を逸らしたまま思い切って本音を口にするものの、恥ずかしさは隠しきれず、頬は更に赤く染まり、語尾はすっと消え入るように小さくなっていって。自分に応えてくれるかのように相手に包まれると、嬉しそうにすりすりと相手の胸元に頬を擦り寄せながら愛の言葉を受け止め、幸せでたまらないというようなデレデレとした表情を浮かべて、正直すぎる感想をぼそりと呟いて。料理に関しては謎の自信があるものの、相手の言う通りまだ何も勉強できていない状態なのは否定しようがないため、素直に頷いて。もはやすっかりキスの虜になっており、唇が離れたあとも今にも溶けていってしまいそうな甘い余韻は消えることなく頭の中を支配していて、もっと相手に近づきたいということしか考えられず、無意識のうちに相手の手に自分の身体を押し付けるように身じろぎながら、顔は赤いものの一切迷うことなく、迷う余裕などなく、緩みきった舌っ足らずな声で即答して)
! ──始まり?は、はいっ。
(相手の姿が瞬時に変わるという、まるで魔法のような出来事に目を見開き、始まりという発言からして、相手は桐島さんが生まれた時からの知り合いなのだろうかとその辺も非常に気になり不思議そうに首を傾げるものの、相手が話始める前に色々と突っ込んだり口を挟むのも気が引けて、とりあえず相手に従い返事をし、促されるままに腰掛けると、かしこまった様子で背筋をぴんと伸ばし姿勢を整えて、真剣な表情で相手を見据えて)
……また気が向いたらな。
嗅ぐな嗅ぐな,いやまぁ,安心するなら別に良いんだけどよ。
その調子だ,学んだ事は無駄にはならない,そう考えて精進するんだな。
…じゃあ,やるぞ。
(結局そこまで言わせたものの自分のやっていたことが恥ずかしくなり,意地悪を気取った照れ隠しで相手から手を離し,あらぬ方向へ顔を向けてそう告げ,しかし言ったからには相手がいまして欲しいと言えばやるしかなくなる状態で。
小動物のような相手を見ると微笑ましく思うが、自分の匂い嗅がれていると思うと恥ずかしく,そしてあまり良いモノでもないため嗅ぐなと言うものの,相手が安心するなら,まぁ,良いか,と認可して。
そこまでわかっているなら学んでそれなりのものは作れるようになるだろうと少し安心し,上から目線で応援して。
相手のゆるゆるな言葉でも理解でき,そのまま相手の服を剥くと,そのまま色々と行い,そしてそのまま行為を終えて)
…まず,彼の生まれは今より何千年と前,神がまだこの世界に座を置いていた時代。
古代ギリシャから続く島,ミコノス島,その時の彼はドゥディスと名付けられて生を受けました。
ミコノス島は全能神からの祝福を受けており,その為に彼は何の障害もなく十の年月を過ごしていました。
が,彼の親は突如大嵐に巻き込まれ,命を落としました。
しかし,十歳にして1人で生きる力と知恵を得ていた彼だった故,悲しむ事はせず,自分の生きる道を画策し。
あの手この手で島を渡り,飢えを凌ぎ,当時は賢者ケイローンと呼ばれていた私の元までやって来ると,私に知恵を乞いました。
私は幼子を見捨てる事もできず,知恵を享受し,今までの教え子と同等の扱いをしていました。
…そして彼が知恵を得,素晴らしき青年になった頃。
私が死んだのです。
(まず前提条件がおかしく,彼の言う通りならば桐島三郎もといドゥディスという人間は何千年と世界や生きていることになり,しかしそれはまた違った話のように飛ばし,彼がどうして自分のつながりがあるのか、どうしてそこまで生きているのか,その話につなげ,結ぼうとしたものの,前提条件としてそこから己は死んでいると説明し,一区切りして)
ええぇっ!?ひ、酷い…!
安心する、すっごく癒される。桐島さんの匂い、好き…全部好き。
…ねえねえ、逆に桐島さんの苦手なことってなぁに?
…………っ、
(相手の返事を聞くと信じられないとでも言いたげに目を丸くし、真っ赤な顔で思いっきり抗議の声を上げ、自分の先程の発言に対する恥ずかしさでいっぱいで相手の真意に気がつけるはずもなく、完全に意地悪されていると解釈すると、勇気を振り絞った結果はぐらかされてしまったことがショックで、しょんぼりと落ち込みながら悲しげな表情で酷いと呟いて。嗅ぐなと言われてもお構いなしに、愛しさに身を任せるように相手に擦り寄り続けながら、きっぱりと相手の匂いが、むしろ全てが好きだと呟き、うっとりと瞳を閉じたまま相手にぎゅっと抱きついていて。応援してくれる相手はなんでも知っているような、なんでも出来そうな気がして、改めて凄いと尊敬の念を抱くものの、もしそんな相手にも苦手なことがあるのならば、自分がそれを勉強し、力になることは出来ないかとふと思いつき、軽く首を傾げて相手の顔を見上げると、興味本位で尋ねてみて。幸せな時間を満喫し、ようやく少しずつ冷静さを取り戻すと、先程までの行為、それに対する自分の反応、言動の全てが恥ずかしく思えてきて、頭が回っていなかった反動が一気に押し寄せたかのように慌ててコートを手繰り寄せて身体を隠しながら、ぷいっと身体ごと相手の反対方向を向き、何と言葉を発していいのかも分からずに急に無言になってしまい)
…えーと? ──…?
そのドゥディスさんって人と桐島さんは、本当に同一人物なんですか?生まれ変わりとかじゃなくて?名前も全然違うし、年齢もたぶん……?
あっ、ごめんなさい。と、とりあえず、続けて下さい。
(聞いたことのない島の名前や見知らぬ人物の名前、複雑な話に頭が混乱しそうになりつつも、側にあった紙とペンを拝借してメモをとりながら必死に相手の話に耳を傾け、何とか話についていこうとするものの、やはり一番気になった点は、もしも桐島さんが何千年も前に十歳だったとするならば今の彼とは明らかに年齢が合わず、その上なぜ当時と名前が変わっているのかということであり、話に区切りがついたタイミングで思わず疑問を口にしてしまうものの、まだ相手は全て話し終えていない為、理解が追いつかないながらにも、とりあえず最後まで話を聞いてみようと思い、口を挟んでしまったことを謝り、続きを聞かせて欲しいと頼み込んで)
…今は,我慢してくれ。キツイ。
はぁ…お前がそこまでいうなら,好きにしたら良い。
んー?……俺の苦手なこと,かぁ。
そうだなぁ,薬を飲むのは苦手だ。昔色々あってな。
えっ…,ちょっ…な,なんか気に触ることしたか?痛かったか?
(自分勝手な言い分とは分かっているものの,今,相手の口に指を押し込んで先のような反応をされては理性が焼き切れてしまうように思い,悲しそうにする相手の頭をご機嫌とりのように撫で,我慢してくれと頼んで。
そこまでストレートに好意を告げられると小っ恥ずかしくなり,目線を逸らして相手の言葉を受け取るものの,少し受け取る声をシャットアウトし,すべては聞こえていないが,相手の頭をわしゃわしゃと犬のように撫でて。
相手が小さな興味で聞いてきたのは分かっているものの,そう言われると嘘をつくわけにもいかず,前々から薬を飲むことだけは嫌いで,苦手で,しかし理由は話さず。
そっぽを向かれると先まで身体を重ね合っていた相手とは言えすぐに焦りだし,乱暴だったのか,気に障ったのか,様々な可能性を考慮し,しかしその動機は一つ,相手に嫌われたくない,で,相手に理由を聞いて。)
……いえ,構いませんよ,理由をご説明しましょう。
ドゥディスは彼ではありません,厳密に言えば。
彼の前世です。
分からないとは思いますが,少し聞いていただくよう。
アスクレピオスという医神は,不死の薬を製造した故にゼウスの雷に打たれ,死にました,そして今,彼は正座としてこちらを見ています。
…しかし,彼の作った不死薬,そのサンプルは,どこへ消えたのでしょうか。
……お察しの通り,飲みました,ドゥディスが。
しかし不完全だった故,彼は半不死不老という結論へ至り,ギリシャが滅び,アトランティスが沈み,人の世が統一された後も。
彼は生きていましたが。三千年で,ようやく死んだのです。
…しかし,人間というのは不思議なもので,前世の記憶を赤子は少しばかり引き継いでいて,簡単に言えば。
人は皆前世の記憶を持ち合わせていますが,メモリー不足で古いものから順に消えてしまった。
しかし,この世界の桐島三郎は,メモリーが多かった。
故に前世の記憶を持ったまま,同じ世界で蘇った。
馬鹿げたお伽話ではありますが,これが事実なのです。
(難しい話を絡めているためわかりにくいが、簡単に言えば,桐島三郎がドゥディスの生まれ変わりである,ということだけで。)
きつい?なにが……っ!もしかして、体調悪かった?ごめんね?あたし、いっぱいいっぱいで、気づけなくて…!
えへへ、じゃあもうちょっとだけ、くっついてたい…。
桐島さんも苦いのダメなんだー、あたしも甘い物のほうが好きだから力になれそうにないかも、うぅ~。
う、ううんっ!全然そんなことないのっ、でも、あの……えと、こ、こういうの、慣れてないから、恥ずかしくなっちゃったっていうか──、どんな感じで居ればいいか、分かんなくて…?
(一体何がきついのだろうと、訳も分からないまま頭を撫でられながら、ぽかんとした表情で考えてみるもののさっぱり分からず、もしかして体調が悪い中無理をさせてしまっていたのだろうかという考えに至ると、申し訳なさそうに慌て始め、軽く背伸びをして相手を気遣うようになでなでと頭を撫で返しながら、心配そうに相手の顔を見つめて。好きにしていいと言われて頭を撫でられると、それはそれは嬉しそうに、遠慮なく、抱きつく腕にぎゅうっと力を込めて、大好きな気持ちを全てぶつけるかのように、撫でてくれる相手の手にすりすりと擦り寄り続けて。薬が苦手と聞けば苦い味がダメなのだろうと予想し、何か力になれたらと軽い気持ちで尋ねてはみたものの、自分も苦いものは得意ではないため力になれそうなことはすぐには思いつかず、しょんぼりと肩を落としながら、自分も苦いものは好きではないと残念そうに呟いて。焦っているような相手の様子ですぐに誤解をさせてしまったかも知れないと察すると慌てて相手の方に向き直り、両手のひらを相手に向けて大きく振りながら必死にそうではないと弁解し、しどろもどろで真っ赤になりつつも、慣れていない故に恥ずかしく、どういう反応をすれば良いか分からなかったと自信なさげに説明して)
──じ、じゃあ、桐島さんにはすっごく昔の記憶があるってこと……っ、あ、あの、その桐島さんが…ドゥディスさんが飲んじゃった薬って、他になにか副作用とか…身体に悪いこととか、ないですよね…!?
(自分がとった纏まりのないメモを見ながら、頭の中を整理するように少し考え込み、結論だけは何となく理解したようで、自分の理解した内容が合っているかを確認するように小声で呟き、しかしそんな難しい話よりも、大好きな彼が前世で得体の知れない薬、しかも先程相手が不完全だと言っていた物を飲んだという点が心配でたまらず、おろおろと慌てながら、桐島さんは本当に大丈夫なのかと真っ先に確認して)
そういうんじゃねえんだ……、お前は悪くない。
……そういうのいちいち言わなくてもいい、好きにやれ。
いや苦いのがダメって訳じゃない、本当にこっちの事情で、薬は飲みたくないんだ。
あっ、あぁ…それなら良かった……。
……。
(両手で顔を覆い隠して相手が自分の頭を撫でやすいように屈み、相手から心配されて、更に撫でられるというのは無かったため、温かみがじんわりとしみるのが分かり、撫でられながら相手は悪くないといって。
相手から強く抱きつかれてもその力などたかが知れているため痛がりなどはせず、相手が自分に有無を問い、応えるまもなく自分に擦り寄ると、好きにやれと言ったのだからいちいち許可を取るなと。
相手の予想は外れ、自分は苦いものが嫌いと言うよりその逆、甘いもの嫌いの苦いもの好きであり、それは関係ないため心のうちに留め、昔色々あったから飲みたくないと正直に答えて。
相手が怒ったり悲しんでないことを確認すると安心し、良かったとほっと撫で下ろすものの、相手が言った通り、こっちも初めてでどう今から話せばいいかわからず、相手を見つめながら無言になる、という意味不明な現状になってしまい。)
製造した本人が副作用などないと断言していますが、その実態は分かりません、何せ完成品は砕かれ、残ったサンプルもドゥディスが飲み干してしまいましたから。
ですが、彼の様子を見る限り副作用はありませんね、そもそも身体が別物という部分もありますが、彼は神話上の英雄から指南を受けています、アタランテ、ヘファイストス、ペーレウス、アキレウス、アスクレピオス、ヘラクレス。
その眼は見通すもの。その唇は真実を語るもの。その手は悪しきを砕くもの。その足は全てを駆けるもの。
……今の彼にもその性質は受け継がれている、滅多なことでは死にません、そして何より。
彼がその気になれば、邪魔者がいないこの世界で、不老不死薬を作ることだって出来る。
副作用など、気にする方が阿呆というもの。
(相手の心配はご最もであるが、そもそも前世と今世は身体が違う、今の彼は不老不死ではない、ただの人間、とも言い難い力は持っているものの、副作用などは生まれから今まで見据えてきた賢者がないと、そして医神も断言している、だから、ない、とキッパリ答えて)
それじゃあ疲れちゃった?休む?あたしばっかり気持ちよくなっちゃダメだよね。……はいっ!
好きに……う、うん。じゃあ遠慮なく。
そっか~…だったらいつまでも元気でいなきゃねっ!いっぱい栄養とって、ストレスためないとか…?桐島さんがずっとずっと健康で居られるようにあたしも頑張るっ!
………な、なんか、ごめんなさい…。
(体調が悪いわけではないと分かると少しだけほっとするものの、顔を覆い隠す相手の様子が気になり心配な気持ちは残っていて、優しく頭を撫でながら休むかどうか提案したり、どうするべきか考えていて、ふと思いついたように頭を撫でている手を離すとその場に女の子座りをし、ニコニコと微笑んで相手の方を見つめながら、自分の膝の上をぽんぽんと叩いて合図して。好きに、と小声で復唱しながら何を考えたのか頬を赤らめ、先程から遠慮なく抱きついてしまってはいたが、相手から正式に許可が出たため離れる気はまったくなくなったようで、ドキドキと胸を高鳴らせながら相手のぬくもり、感触、匂い全てを堪能するように、デレデレと表情を緩ませながらぴったりと相手にくっついて。薬自体を飲みたくないのならば、病気にならないようにすること位しか思いつかず、知識も記憶も何もない自分にはありきたりな、当たり前のようなことしか言えないものの、これから先の相手にストレスを与えないようにする、そのために学んだり努力することは頑張れば出来そうだと思い、張り切った様子で、相手の健康のために出来る限りの協力をすると伝えて。自分の返答で無言になってしまった相手と向き合っているのは気まずく、経験豊富だと思っている相手が初めてだとは思いもよらないため、やはり相手は気の利いた反応もできず可愛くない態度をとってしまう自分に呆れてしまったのだろうか、他の女の子と比べてそっちの方がいいと思っているのだろうかと不安になり、先程まであんなに幸せだったはずなのにこんなに気まずくなるものなのだろうか、自分のせいなのだろうかと考える内に相手の顔を見ていられなくなり、申し訳なさそうに眉を下げて震える声で一言謝り、再びそっぽを向いてしまって)
副作用はないんですね。良かった…!
──でも、どうしてあたしにこの話を教えてくれたんですか?
(副作用はない、そのことだけが分かれば十分であり、ほっと息を吐きながら落ち着くように一旦メモを置き、一呼吸置くとまだ腫れて濡れている大きな瞳を相手に向け、不思議そうにぱちぱちと何度か瞬きをしながら軽く首を傾げ、次に気になった点について、桐島さんがドゥディスさんの生まれ変わりだということは何となく理解したものの、なぜ相手が今こうして自分の前に現れ、その話を伝えてくれたのかという点を尋ねてみて)
………いいのか?
どーぞどーぞ。
俺は免疫力が馬鹿高いからな、未知のウィルスでもない限り病魔には侵されん、最近なんか外で流行ってるらしいから外出一切してないし。
外と言えば、お前、どっか行きたいところとかあるか?
なんで謝るんだ!?初々しい反応も俺は好きだぞ!?
(相手が撫でるのを辞めると名残惜しいとは一切思わず、否、思わないことにし、相手が前々から自分が、あざとい、と敬遠していた女の子座り、別称ぺたん座りをすると少し苦い顔をするものの、理由は自分の髪であり、風呂には一応入っているものの、滅多に人が来ないところ故に洗ったりとかは気紛れのため、いいのか?と不安げに聞いて。
相手が言葉を復唱しても、顔を赤くしても、そもそも相手が自分の胸に顔をうずめているため見えず、分からずで、しかし相手がいい気分なのはわかり、撫でて。
相手がいかに頑張ろうと病魔は襲い来る、自分が病魔に侵されるのは仕方の無いこと、相手に責任を感じられるとこちらも困ってしまう、だからその話題を断ち、頑張れ、とは言わず、外の話題に変えて。
相手が震える声で謝罪すると驚愕に顔を歪ませ、なぜ謝ったのかを考えると自ずと答えが見え、すぐに相手をフォローして。)
……星々の合意、善意、お節介。そして何より。
貴女しか、今の彼を愛せるヒトはいない。
(相手の疑問には答えるものの到底理解できないもので、しかし最後、深刻な声のトーンで放った言葉、それだけは、意味が確立され、理解できるもので。)
もちろん。ゆっくり…できるかは分かんないけど、休んで?
…匂いもだけど、桐島さんの手も好き。きもちい…。
行きたいところ?う~ん…、好きな人と一緒に手を繋いで、景色が綺麗なところを歩くのとか、ずっと憧れてるんだよね。デートとかしたことないから分からないけど、2人で美味しい物食べたり、お買い物したり、公園とか遊園地で楽しく遊んだり、くっつきながらお星様を眺めたり…?そういう恋人っぽいことはしてみたいかも。
っ、ほ、ほんと…?
(理由は分からないものの何故か遠慮している相手を促すようにぽんぽんと膝を叩き続けながら、柔らかい笑顔を向けてもちろんと即答して。素直モードに一度火がついてしまえばとことん素直になるようで、すでに抱きついてしまっていることもあり、相手からは自分の表情や反応が見えないこともあり、うっとりとした甘い声色で撫でられた感想まで正直に口にして、満足そうに幸せを堪能していて。突然行きたいところを尋ねられれば宙を見上げて少し考え込むものの、そもそも行ったことがない、行きたくても行けなかった場所の方が圧倒的に多いため希望や憧れを挙げればキリがなく、知識や経験がないなりに何となく行ってみたい、やってみたいと思っていることを深く考えずに羅列していって。相手に力強くフォローされると、予想外の反応にこちらも驚いて目を丸くしながらおそるおそる相手の方を向き、不安そうに、確かめるように揺れる瞳で相手を見つめ、弱々しい声で尋ね返して)
──ッ、………!あの、っ、ほんとに……ありがとうございます、でも、ごめんなさい…。あたし、……っ、も、もうすぐ、振られちゃうかも──っ、うぅ"……!!
(相手の最後の言葉に思いっきり目を見開くと同時に止まっていたはずの涙がじんわりと滲んできて、初対面の、しかも桐島さんの師匠の前でみっともない姿を見せる訳にはいかないと思い必死で堪えようとするものの、何か言葉を発しようとすればするほど声が震えてきて、相手の言葉は有難く、その通りであって欲しいと強く思うものの、先程の霊と桐島さんのやり取りを嫌でも思い出し、桐島さんの方は他の女性でも、むしろ他の女性の方が良いのではないかと考えてしまった瞬間、一気に両目からぽろぽろと涙が勢いよく溢れ出して止まらなくなり、せっかく相手が気遣ってくれたにも関わらず自分が至らないせいで大好きな人に振られて別れてしまうのかと思うと申し訳なくてたまらず、ぐちゃぐちゃの酷い顔を隠すように俯いて両手でごしごしと目を擦りながら号泣し、とうとう弱音を零してしまって)
あ、あぁ……そう、じゃあ失礼して…。
は______あ、お前そういうの良くないぞ、襲いたくなる。
意外とハードルの高いことを言うんだなお前。
ん______どうだろ、景色が綺麗かはわかんないけど、ま、今度そこら辺散歩して、お前の言う通り色々やるか?
ほんとほんと、マジマジ。
(歳は近いがあまり無知な少女にこんなことをさせるのは如何なものかと思うが、相手から提案してきたのだから悪くない悪くないと自分を押し殺し、ゆっくりと相手の膝に頭を置き、寝転がると、相手の顔が見えない方向を向いて。
甘い声色、その声を聞くと可愛さや色々な考えが渦巻き、結局それに通じてしまう自分が嫌になるものの嘘をつきたくないという理由から正直に言い、相手の髪に指を通すと直すようになでて。
相手の恋人っぽいことのハードルが自分からすると馬鹿みたいに高いが、よくよく考えると普通なため、しかしさすがに全てをやることは不可能だから、次の外出ついでに相手とのデートを提案して。
相手の揺れる瞳を前にするとフォローせざるを得なく、そもそもこれ以外の反応を見たことは無いため嘘にはならないと自分を押し殺し、首を縦に振って言うと相手の返事を待ち)
……大丈夫、見ていましたから。
私は誓約上答えになり得るものは言えません。
しかしです、ヒントを与えてやれる。
……いいですか、愛し子、人の子よ。
貴女は振られてなどいません、もう一度、彼と話し合いなさい、そうすれば、きっと、彼の真意が知れる。
(相手の号泣の理由はわかっている、すれ違いと勘違いが起こした事故だ、しかし答え、桐島三郎の心情を全て暴露してしまうのはできない、まず相手の涙をそっと拭き、涙が出ないように頬を抑えると相手の目を見て、冷静にさとしてやり)
……どう…?や、やっぱり普通に布団に寝た方がいいかな…!?
へっ!?え、…あ……、……良くない、の?
え!い、いや、本当に行こうと思って言ったんじゃなくて──、でも、うん。桐島さんがいいならお散歩したいな。
…ふふ、ありがと…嬉しい。
(自分から言い出しておきながら、当然膝枕など初めての経験で正しい姿勢や座り方もよく分かっておらず、いざやってみると意外とかなり恥ずかしくもあり、これで本当に相手はリラックス出来ているのだろうかと不安になり、再び相手の頭を優しく撫でながらおそるおそる感想を尋ね、ついでに相手に逃げ道を与えるかのように布団の方がいいかなとぎこちなく付け足して。相手の言葉に驚いて、擦り寄っていた動きが一瞬止まり、相手の身体に顔を埋めたまま相手の見えないところで耳まで真っ赤になってフリーズするものの、お互いに付き合っていて、こんなにも大好きで、そんな相手に襲われるのは果たして良くないことなのだろうか…と脳内で巡らせていた思考が、相手に抱きついているため非常に小さく篭った声ではあるが、気がつけばうっかり口に出ていて。ただ行きたいところを並べただけで実際に全てを叶えてもらおうなどとは考えていなかったため、ハードルが高いと指摘されると慌てて右手を振って否定し、それでも相手が叶えてくれると言うのなら、本当に相手とデートが出来るのならどんな内容でも舞い上がってしまいそうなほど嬉しくて、期待しすぎないように、相手の負担にならないようにとニヤニヤしたくなるのを必死に我慢しつつ、少し遠慮がちにもじもじしながら素直な想いを伝えて。相手の言い方では本心なのかフォローのための言葉なのかは分からなかったが、不器用な自分の態度に呆れられたりがっかりされた訳ではないことは伝わってきて、それだけで相手の言葉はとても安心出来るもので、ほっとしたように目を細めて微笑むと、まったく慣れておらず可愛げのない自分を受け入れてくれたことが嬉しいと勇気を出して言葉にし、まだ恥ずかしさや気まずさはあるものの、じっと相手を見つめて少しだけ、控えめに相手に近付いてみて)
見てた……あっ。そうですよね…!
う~……、……わ、分かりました…。信じます。このまま何もしないで振られちゃうよりは、ちゃんと話し合ってから振られた方が……っ、……何から何まで、ありがとうございます。
(相手が相手なため、冷静に考えればこれまでの経緯を全て見られていても何ら不思議はないものの、そんな当たり前のことにさえ気づけないほど頭の中はいっぱいいっぱいで、今相手に言われてようやく全てを見られていたことに気がつくと、先程まで必死に話をぼかして回りくどい言い方をしていた自分が少し恥ずかしくなり、ハッと口元を手で覆い隠して。ただしいくら相手の言うこととはいえ、先程部屋を出ていった桐島さんの様子や言葉から考えれば振られていないというのは正直なかなか信じ難く、戸惑っている様子で唸りながら悩みに悩み、ここは相手の言葉を信じてもう一度話し合ってみようと決意するものの、やはり自信はなく、振られる前提の返事をしてしまいそうになったため自分を奮い立たせるように首を振って言葉を止め、もう泣かないようにきゅっと眉間に力を込めると、濡れた瞳で真っ直ぐに相手を見据えて、改めてお礼を述べて)
…自分で休んでとか言ったくせに,そんなこと言うのか?
よくない、壊しちまうからな。
じゃ、近いうちにな、でもその服じゃ無理だな、また何か買ってくる。
……あんまり近づけないでくれ、また襲いたくなる。
(自分でも驚くほど安心できて,眠りに落ちそうになり、相手の言葉で眠気が覚める、しかしその声はこの居心地のいい枕を離すという選択肢を与えてくるもので。
相手から膝を叩いて誘ってきたくせに,自分で逃げ道を用意するのか?と言いたげに。
相手の言葉を聞き,相手を壊してしまうから,とさも当然のように言い返し,、相手の頭を撫で続けると恐ろしげに微笑んで。
相手とデートができる,それだけでかなり嬉しく,内容など二の次,相手と少し考えが合っていることなど知る由もないまま,相手が制服を剥がれてロクな服を着ていないことを思い出すと,相手の纏う勇逸のコートに隙間から指を引っ掛け,クイッと引っ張って。
相手が安心したのを確認して自分も安心するのも束の間,まだ見つめ合っていた相手が距離を詰めてくると互いの熱烈な視線に耐えれなくなり目線を外し,ウブな反応ではあるが脅しのように言って)
…当然のことをしたまでです。
彼を救う選択をできるのは貴女だけ,師として他人任せは恥ずべきことではありますが。
………貴女は愛されている。任せる価値がある。私の恥より,それは上回る。
…あとは頼みましたよ,私は,私達は,見守っています。
そして仲直りした際には,私の名を決して出さないよう。
……では。ペーレウスとドゥディスによろしく。
(相手を助けるのはあくまでドゥディスを助ける為だ,しかしそれ以前に,自分自身言い聞かせても彼女を見過ごせない,故に助ける。星々の総意を独断としたのだ。
これ以上は,相手に任せるしかないと,いくつかの約束と言葉,ペーレウスとドゥディスによろしく,と言い放ち。開いた窓から突風と共に駆け抜けて,空へ駆け上がると,見えなくなって。)
だ、だよねっ?でも、ちゃんと休めてるのかなーと思って…休めそうならいいの。
……?こんなに優しくて気持ちいいのに…?
あ、ありがと…し、下見ないでね…!
……嫌?
(相手の指摘はごもっともなため同意しつつも照れ臭さを隠すかのように早口で言い訳を付け加え、それでも相手がこのままで良いと思ってくれているならばそれは自分にとっても嬉しく、そうであって欲しいと願いながら大人しく引き下がって話しかけるのをやめると、相手に少しでも安らいでもらえるよう、ゆっくりと頭を撫で続けて。先程から自分に触れてくれている相手の手はとても優しくて心地良いため、そんな優しい相手と壊してしまうという発言がどうしても結びつかずにキョトンとし、再び頭をすりすりと擦り寄せてうっとりと撫でられながら不思議そうに尋ね返して。コートを引っ張られるとほんのり頬を染め、引っ張られた部分を覆い隠すように上から軽く手を添えながらお礼を告げ、このまま見下ろされると隙間からコートの中が見えてしまうかもしれないと意識し、赤い顔で相手を見上げると、焦った様子で下を見ないよう付け足して。先程はあんなに幸せな時間を過ごしたのだから、自分としては少しでも好きな相手の側にいたくて、近付きたくて勇気を出してはみたものの、相手に視線を逸らされた上に拒否されてしまえば従うしかなく、言われた通りに近づこうとするのをやめると悲しそうに眉を下げ、自分が近づくのは嫌かと聞いてみて)
ぺーれうす……あ、──えっ?居ない…。
……どうして言っちゃいけないんだろ…?──じゃなくてっ、……桐島さん、探さなきゃ…!
(しっかりと目線を合わせながら相手の話を聞いていたものの、最後に出てきた名前に軽く首を傾げ、自分がとったメモを見返してみればその名前が書いてあったため、先程の相手の話にちらりと出てきた名前だと気がついた瞬間、窓の方向から風のようなものを感じて再度顔を上げて見れば、メモを確認していた一瞬の隙に既に相手の姿は見えなくなっていて、立ち上がり窓の側まで行くと、なぜ相手の名前を出してはいけないのだろうかという疑問を無意識の内に呟きながら窓の外を眺めたまましばらく呆然と立ち尽くし、しかしこんなことをしている場合ではないと我に返れば考えるより先に身体が動き、メモを握りしめたまま駆け出し、勢いよく部屋を飛び出して)
……こんなガキみたいな眠り方,やるのいつぶりだろうな……5,216年前ぐらい…か,な…。
んー……そうだな,男は皆オオカミ,獣なんだよ。
少しぐらいよくねー?少しだけだからさ。
嫌じゃない…嬉しいよ,だけど恥ずかしいんだ。
(相手が何かを喋っていても,喋り疲れて眠くなり,好きな人の膝枕など普通なら緊張して眠れないものだが,例外らしく夢現ながらに喋り,最後にぽろっと言葉を溢すと,眠りについて。
相手の頭を撫でることだけはやめず,段々猫を撫でているような感覚になり,頭だけじゃなく無意識のうちに首筋を撫でたりしていて,しかしそこまで考え込んでいるということでもあり,相手にダイレクトな表現をするのはいかがなものかと思い,はぐらかして。
赤くなった相手を見ると虐めたくなり,相手の隠す手の上に手を覆いかぶせ、軽いノリで退かそうと少し力を込めて笑い言い。
自分の羞恥心は大事であるが,相手が悲しくなるならそんなもの投げ捨て,嬉しいよと言葉を重ねると相手を抱き寄せ,羞恥心は少しだけ残るものの,言葉にすると少し軽くなり)
!?……あ,あぁ、玲,か。
……決まったのか。
(かなりの間考え事をしていたらしく,過剰なストレスか色々な感情を抱きすぎたのか前髪の一部が白くなっており,相手が出てきたことに気付くと少し元気のなくなった顔で薄く無理に微笑むと,疑問形にはせず,離別をするか,決まったか否かだけ聞いて。)
──ふふ、やっぱり、かっこいい…。
んー…桐島さんなら絶対、優しい狼さんだよね。
む、無理ー!し、下、着てないんだから…!
あたしも恥ずかしいけど…、この方が好き。
(相手とは反対に恥ずかしさでいっぱいでドキドキしている内に、いつの間にか相手は寝言かそうでないか分からない言葉を呟いて眠りについており、相手が意識を手放した頃にようやく気持ちが落ち着いてきて、愛しそうに目を細めて相手の寝顔をそっと覗き込めば思わず笑みが溢れ、その姿に思わず見とれてしまいながら、相手が起きている時には恥ずかしすぎて決して言えないであろう本音を小さく口に出し、優しく相手の頭を撫で続けて。撫でられれば撫でられるほど、あまりの気持ちよさに頭がふわふわとしてきて、何も考えられないまま相手に触れられる感覚を堪能しつつ、首筋を撫でられると更に嬉しそうに声を漏らし、もっとと強請るように埋めていた顔を上げ、無意識に相手が撫でやすいような角度で頭を差し出しながら、蕩けきった様子で返事をして。からかうような相手の言葉に更に焦り始め、隠している手を退かされまいとこちらは全力を込めて抵抗し、本気で嫌がっているというよりは、本気で恥ずかしがっているという表現が相応しい様子で、慌てるあまり言わなくてもいいことまで口に出して説明しながら、真っ赤な顔で相手を見つめて。抱き寄せられると恥ずかしさはもちろん、それ以上の安心感と嬉しさに包まれて、やはり好きな人にはくっついていたい、恥ずかしがって離れてしまうより、こうして相手と触れ合っている方が断然幸せだと強く思い、少し恥ずかしそうにぎこちなくもじもじとしながらも、近付いている方が好きだと素直に呟いて)
っ!?え、と……その、…う、うん…?
(てっきり相手は図書室から出ていってしまったとばかり思っていたため、部屋から出た瞬間に相手が居たことにまず驚き、ぴくっと肩を揺らして足を止め、相手の前髪の色が変わり、やつれたような表情になっていることに重ねて驚き、これから相手を探しに行くつもりだったこともあり、感情に任せて勢いで部屋を飛び出したこともあり、心の準備が追いつかず、何も言葉が出てこずに目を丸くしたまま無言で相手を見つめて固まってしまい。驚きでうまく回らない頭でなんとか相手が発した言葉を理解しようとするものの、決まったもなにも、自分の中では端から相手と別れたいなどという選択肢は微塵もないため、噛み合っていない様子の相手の言葉にキョトンと首を傾げて考え込んでしまい、自分の中の相手への気持ちは、結論はたった1つしかなく、〝決まった〟というよりも〝元から決まっている〟が近いような気もするが、とりあえず頷いてみて)
ぐー……ぐー……。
いやぁ、狼なんてみんな怖いし獰猛で盛りがついたもんだぜ?俺が例外とは限らねえよ。
……流石にそりゃやめとくか、お前も乙女だもんな。
…そりゃ、良かった。
(いつもなら静かに眠って寝息を立てているのに、何故か今回だけ馬鹿みたいな鼾をかきながら、それほど居心地がいいのかは彼自身のみ知るため分からず、当然こぼした相手の言葉は聞こえない、だからこそ、静かな部屋で静かではない状態で眠り続けて。
相手に求められると撫でない訳にもいかず、やはり猫なのではという考えが巡るが気にしない事にし、相手が自分のことを優しい狼というものだから、少しぐらい、狼の、獣の怖さを味あわせてやってもいいか?と考えるが煩悩を打ち砕き、笑いながら変わらず撫で続けて。
まさか何も着ていないとは思っていなかったため、相手の手が無かったら相手の色々なところが見えていた、そう考えると途端に恥ずかしくなり手を離し、その話した理由を適当に作り、言って。
相手が自分と触れ合うことが苦手だったりしたらどうしようなどと考えていたため、相手の返答に安心し、優しく相手を抱き締めると耳元でそう囁いて。)
……そっか。一応聞くけどさ。
……俺と、居たいか?
(相手と会話が少し噛み合っていないことは理解しているものの、それもこれも、相手が離別を選べばどうでも良くなる。
相手に答えを聞くのではなく、自分からYESNO問題のような質問を投げかけ、断られる覚悟もしているのか、その微笑みは儚げであり、痛々しげで)
…………。
あたしには分かるの、桐島さんは優しくて素敵な狼さんだよ。
う、うんうん!…あたし、何言ってるんだろう?
っん…ずっとこのままで居られたらいいのに…。
(起きている時は自分より何でも知っていて、強くて頼りになっていつも自分を守ってくれる、そんな風に自分の目に映っていた相手が、今こうして自分の膝の上でこんなにも無防備な姿で眠りについてくれている、それだけ自分に気を許してくれているのだと思うと嬉しくてたまらず、幸せそうに微笑みながら相手の寝顔を眺め続け、その寝顔は普段の相手よりどこか無邪気で幼げに見える気がして、じっと見とれるあまりいつの間にか頭を撫でる手も止まってしまい、ただただ吸い込まれるように相手の寝顔を眺め続けて。脳が蕩けきっていてまともに思考が巡らず、相手のいう狼の意味など深く考えきれていないものの、自分の中で確かに言えることは相手は絶対に優しいということであり、それは今まさに自分を撫でてくれている手の優しさが物語っているため、心地良さに酔いしれて表情を緩めながらもはっきりと即答して。相手が手を離してくれると安心したようにこちらも手の力を抜いて、相手の言葉に同意するようにコクコクと大袈裟に何度も頷くものの、ほっとした途端に先程の自分はなぜ余計なことをわざわざ暴露してしまったのだろうかと別の意味で恥ずかしくなり、真っ赤な顔でもじもじとしたまま、なぜか疑問形で後悔の念を呟いて。抱き締められたまま耳元で囁かれると、耳に触れる吐息にさえドキッと反応してしまい小さく声を漏らして、頬を紅潮させながら自分からも相手の身体にぴたりとくっつき、幸せなこの時間がずっと続けば良いのにと、うっとりとした声色で願いを口にして)
……うん。居たい。好きだもん。
でも──好きすぎて、あたし、すごく我儘で贅沢なこと、いっぱい考えちゃったし、桐島さんのことも、こんなに傷つけて……桐島さんに謝らなきゃいけないこと、たくさんあるし、本当は……居たいなんて、思っちゃダメって、分かってるけど……っ、
(相手の痛々しく繕われたような笑みを目の当たりにし、やはりこれから自分は振られてしまうのだろうと改めて思い知らされると、こちらもどうしても重々しく神妙な表情になってしまい、自分の勝手で我儘なヤキモチのせいで相手を振り回してしまったどころか、自分と居るせいで相手がこんなにもやつれてしまっているのだと思うと、ここで相手と居たいなんて答えてはいけないのだと心の奥では分かっているものの、自分は相手の師匠の言葉を信じると決めたばかりで、何よりも自分の気持ちに嘘はつけず、特に相手には嘘はつけないため、躊躇う様子を見せつつもしっかりと相手を見据え、震える涙声ではっきりと自分の気持ちを告げ、たとえこれから振られてしまうのだとしてもきちんと相手に謝りたくて続けて言葉を紡ごうとするものの、相手の次の言葉を聞くのがたまらなく怖くて、足はがくがくと震え、紡いでいくうちに相手との様々な思い出やたくさんの想いと一緒に涙まで押し寄せてきてしまい、泣かないように堪えるのに精一杯で)
…玲……どこだ……。
お前は後で意味を調べような。俺もそこまで優しくはならないし。
自分で言ったことには責任を持つべし,俺が言えたことじゃないけど。
無限はない,無限は有限を定めてこその無限だ,だけど,その有限の続く限りは一緒に居よう。
(相手の自分を撫でていた手が離れると虚空へと手を伸ばし,相手の名を呼ぶと手をふらふらと振って,相手が手を握ってくれるのを眠りながら待って。
自分の言ったことに疑問を抱くならそもそも言わなければいいのだが,それをするのが難しいのが人間、仕方ないと割り切るのもいいが,ちゃんと直さないといけない。
責任を持つところから、自分もまだできていない事を相手に言ってみて。
相手の耳元から離れると抱きしめたまま,しかし抱きしめている都合上話した言葉は耳元に囁く形になってしまい。
要するに,自分の人生は相手と共にある,そういうことだ。)
……え…?
俺があんな事をして……まだ…,好きなのか?
…違う,違う,俺だってお前といたい,だけど……。
お前の気持ちを分かった気になって…だから,俺となんて居たくない,別れたほうがいい,って思い込んで……。
……俺,お前のコトなんも分かってなかった。
俺だってお前と居たいんだ、傷付いてない,お前が帰ってくるなら,傷付いたって,構わない。
……謝らなくちゃいけないのは俺だ,ごめん。
(相手の言葉で目を見開いて相手の方を恐る恐る見ると,泣きそうになっていることに気づき,自分はわかった体で何も分かっていなかった。
話が噛み合わないのも当然だ,互いに勘違いをして遠ざけていた。
……相手の言葉に悉く慈愛を返し,深く頭を下げて,相手の方へ手を伸ばして,許されるのならば相手とまたいたい,それを体で示して)
ここだよ、ちゃんと居るよ。
ん~…?うん、後でね?きもちいから、今は無理…。
は、はい、……い、今だけ、たまたまだから…くしゅんっ、
な、何かそれ──、
(名前を呼ばれると伸ばされた相手の手を優しく、でもしっかりと握りしめ、眠りながらでも自分のことを考えてくれていることが嬉しくて柔らかな笑みを浮かべ、空いた手で再び相手の頭を愛しそうに撫でながら呼び掛けに答えて。意味を調べることに異議はない、と言うよりもふわふわとした頭には相手の言葉がまともに入ってきておらず、今この心地良さを失ってしまうのは困るため、恍惚とした表情で相手にすりすりと擦り寄りながら、ほとんど何も考えていないような緩みきった口調で言葉を返して。正論すぎる相手の指摘に思わず敬語で返事をするものの、下に何も着ていないのは先程シャワーを浴びたせいでたまたま今だけであり、いつもそうだと思われるのはいち乙女としてかなり不都合があるため、更に顔を赤く染めながらもその点だけは訂正し、湯冷めしたのか、思い出した頃に寒気がやってきてくしゃみをして。抱き締められたまま至近距離で耳元にかけられた相手の言葉は、この良い雰囲気も相まってまるでプロポーズのように聞こえてしまい、勝手にひとりで意識してドキドキと心臓の音が煩くなり、耳の先から首元に至るまで真っ赤になったまま言葉を失って)
へ………?
……あたしの方こそ、桐島さんに呆れられちゃったかと思って、もうあたしとは居たくないのかなって……だから、一緒に居ない方がいいかもって、振られちゃうかもって、ずっと……だってあたし、すっごく我儘で最低なこと思ってたから。あの時…桐島さんが他の人と付き合おうとしたの、本当はすっごく嫌で、モヤモヤして……勝手にヤキモチ妬いてたの。ほんとに、ごめんなさい…桐島さんが誰と付き合いたいって思っても、そんなの自由なのにね…っ、…そ、それでも……ゆるして、くれる……?
(予想外の相手の言葉にこちらも目を見開いて、どうやらお互いにすれ違いが起きていたようだと理解し、伸ばされた相手の手をすぐにでも取ってしまいたかったがそれは出来ず、その手を泣きそうな顔で見つめたまま震える声でたどたどしく心の内を語っていって。霊が少し口を滑らせたとはいえ、きっと相手は自分が嫉妬していたことは知らないだろう、だからきちんと打ち明けて謝って、自分がどれだけ我儘で贅沢なのか、それを知った上で許して貰わなければ相手の手を取る資格はない気がして、不安に足を震わせ、瞳を揺らしながらも絶対に泣くまいと涙を堪えて全てを打ち明け、何を言われても受け入れる覚悟で、頭を下げる相手を見据えて)
……zzz
…あーはいはい,分かったから今は堪能しとけ。
ほんとぉ?……寒いのか?何か着るか?
?…どうかしたか?変なこと言った?
(相手に手を握られると安心しきり,相手の手を握ったまま静かに眠り直して,撫でられると寝息を立て,そのまま,眠り続けて。
今の相手に何を言っても反応しないだろうな,と予想すると,とりあえず今はこれを堪能させて,後々調べさせよう,とちゃんと後のことを考え,自分の理性をしっかりと押さえながら撫でて。
相手が今だけ下を着ていないというのも少し疑問に思い,にんまりしながら真意を問うものの,相手がくしゃみをすると寒いのかと思い,問いかけ,自分の黒コートを脱ぐと相手にかぶせて心配して。
この言葉がプロポーズ的なものになっているというのには気づかないというか,思っていないようで,変なこと言ったのか?と疑問のまま聞いて)
…許す,許さなきゃいけない,そうじゃなきゃ俺も許されない,一度誤った以上,お前はもう謝らないでくれ,俺も謝らない…許されるなら,許すなら,この手を,取ってくれるか……?
(相手を許さないわけはない,そんな理由関係なく,自分も悪い,だが相手も悪い,自分だけに悪を押し付けるとまた相手に責任を感じさせてしまう,だから,言った。
許して,そして相手日も許してもらうために,手を一度引っ込めると差し出し,取ってくれるか,と聞いて)
…夢、見てるのかなぁ?だといいな…。
はぁ…しあわせ……魔法みたい…。
ほ、ほんと!シャワー浴びたついでに洗──って、それはもうよくてっ!桐島さんが寒くなっちゃうからダメだよ。
変っていうか、その……えっと、
(相手がぐっすりと眠る姿に見入ってしまいながら、寝言で名前を呼ばれたことが余程嬉しかったらしくまだ余韻に浸っていて、今頃夢を見ているのだろうか、それは自分の夢なのだろうか、と想像してみればくすぐったいような気持ちになってきて頬を緩めつつ、手を握ったまま優しく頭を撫で続けて。撫でてくれる手がどこまでも優しいからなのか、それとも好きな人に撫でられているからなのか、いずれにしてもただ気持ちいいだけではなくこんなにも心が満たされるのは魔法のようだとぼんやり考えながら、とろとろに蕩けきった甘い声を漏らし、相手の言葉通りにたっぷりと癒されていて。相手の言葉に乗せられたようにムキになって真っ赤な顔で説明しようとするものの、余計なことを口走れば更に恥ずかしくなるだけだと思い直して言うのを止め、湯冷めしたせいで確かに寒くは感じるものの、相手まで寒くなってしまうのは避けたいため、相手がかけてくれたコートを慌てて脱ぎ、返そうと差し出して。相手の反応からしても、こんなに過剰に意識してしまっているのは自分だけだということがよく分かり、何とも思っていない様子の相手にどう説明して良いのか迷ってしまい、紅潮した状態のまま、もごもごとはっきりしない様子でまごついて)
ッ……あり…がと……っ、ずっと……す、好き……!
(はじめてときめいたことを自覚してから今この時まで、相手のことを想わない瞬間などはなく、お互いに誤解してしまっていた間ももちろんずっと相手のことが好きで一緒に居たかった、結果的にすぐ隣の部屋に居たとはいえ、相手が部屋を出ていってしまってから離れ離れになっていた時間はとても不安で、寂しくて、辛くて、長い長いものに感じられて、そんなことを考え、それでもこれから先も相手の側に居ても良いのだと知れば、洪水のようにたくさんの感情が押し寄せ、もう泣かないと決めていたにも関わらず泣かずにはいられなくて、堪えきれなかった涙で瞳をいっぱいにしながら、ゆっくり、愛しさや有り難さを噛み締めるように、差し出された手に向かっておそるおそる両手を伸ばし、遠慮がちに、それでも大切な宝物を包み込むかのようにそっと両手で握って)
………。
俺は魔法使いでもあるからナー,しょうがないよナー。
シャワー室で洗うんじゃない,あそこ他の生徒も使うんだぞ,きったねえし。
俺は寒くていい,寒く感じるならお前が着ろ。
?…言いにくいなら無理して言わなくていいぞ。
(寝息が少しずつ掻き消えていき,相手の言葉以外はこの空間には静寂しか残らず,先の自分の無意識的行動が相手を余韻に浸らせている,とは到底思わず,というか考えることもできなくて。
今の相手ならば何言っても気に留めないだろうなー,と考えると、撫でている手に少し力を込めると自分が魔法使いだのなんだのと普通ならあり得ないことを口にし,変わらず撫でて。
失言を追及することはなく,しかし相手がシャワー室で洗ったことだけは注意し,辛辣な物言いをし,そしてその後すぐに,お前は汚くないぞ!?とフォローを入れて。
差し出されると一度受け取るものの,ごく自然な動作で彼女へコードを掛け直し,主張を曲げないまま言って。
相手が恥ずかしそうにしているということは今のは失言だったのだろうと恥じ,言わなくてもいいと告げて)
…泣いていいんだ,泣きたい時は。それは糧だ,未来へのな。
(相手のことを想って過ごしてきた,相手が来るまでは空っぽで,いつか消えてしまいそうな自分,それをつなぎ止めてくれたのが唐突に現れた彼女だったのだ,それを失い、あまつさえ自分の善意で失うなど,己の善性を疑うこと他ならない,何より,相手を失いたくなかった。
その喜びは大きく,相手と同様涙が溢れそうになるものの,ギリギリで堪え,自分は泣かないのに相手は泣いていいと甘いことを口にし,繋いだ手に頭をそっと当てて)
……ふふ、
そうかも、だってこーんなにふわふわするし、とろとろするし、きゅんってするもん。
…あー、ごめんなさい。実は、洗濯機がボンって爆は…こ、壊しちゃったかも、知れない……です。
ええっ?……さ、寒くないから!
うん……ありがと。
(慣れない膝枕で足が痺れたりしそうなものだが、相手の寝顔を眺めるのに夢中になっているおかげか不思議と疲れを感じることはなく、幸せそうな笑みを零して大好きな人の頭をひたすら撫で続け、握った手を離すことなく愛しさを感じていて。溶けきった脳は魔法使いという相手の発言をすんなりと受け入れ、何の疑問を抱くこともなく肯定し、とうとう語彙力もいつにも増してなくなって、オノマトペで感想を綴りながら相手に身体を預けるように擦り寄り続けて。注意されたことに謝りつつも、それに関連して更に相手に報告すべきこと、謝らなければならないことを思い出せば後ろめたそうにしょんぼりとした表情で俯き、気まずそうに両手をいじいじと動かしながら洗濯機を爆発させてしまったことを今更ながらに打ち明けて。相手の優しさを有難く思う気持ちと、相手の寒さを心配し申し訳なく思う気持ちがせめぎ合った結果、後者が勝ってしまい、強がるような嘘が口をついて出てしまって。抱きしめられているため、今こうして話している相手の言葉も吐息が感じられるほど耳のすぐ近くで聞こえていて、既に意識してときめいている自分にとっては相手が話す度にドキドキと胸が高鳴ってしまい、余計な言い訳をする余裕もなく、相手の言葉に甘えることにして、真っ赤になったままお礼だけを述べて)
桐島さんっ……!!
あたし、これから……ちゃんと強い子に…良い子になるね……っ、
(相手の言葉が引き金となったように両目から大粒の涙がぽろぽろと溢れ、流れ出したそれを止めることもできないまま、我儘でまだ何も知らない、何も出来ない自分だけど、許してくれた相手の優しさを無駄にしないために、これからもずっともっと、愛している人に愛してもらうために、これから変わることを誓いながら、先程の涙とは違い、悲しさではなく相手と居られる嬉しさで、いつの間にか手を離れて床に落ちているメモの存在を忘れてしまうほどに号泣して)
……!
語彙力ゥ……なぁ,これいつ終わる?
そんくらい直せるさ,俺じゃないけど。
…ならいい,コートは着せないぞ。
どういたしまして,レイ。
(しばらく相手の膝枕で眠り,十分すぎるほど堪能すると目を覚まし,相手の膝の上で猫のように手で目を擦ると,周りの様子に目を向けて。
相手の語彙力低下に伴い可愛さが増してきて,しかも延々擦り寄ってくるためこちらも理性の鎖が焼き切れそうになり,嫌ではないが早く終わらないとまずい,と言う形になっていて。
打ち上げられて,謝られてもそれを笑い飛ばし,大丈夫大丈夫と軽く流して,どうやらアテがあるらしく,それも親密な関係らしく,直してくれるさと楽観視して。
相手がコートを受け取らないとわかると,仕方なくコートを引っ込め,しかしその瞬間に相手には着せないと言い,コートを着るためにふわっと浮かすと,彼の香りが相手の鼻腔をくすぐって。
ありがとう,には,どういたしまして,そんな当然のやりとりを,相手と行えたことさえ嬉しくて。)
…ゆっくりでいい,ゆっくり,強く,優しく,それでいて自分らしさを忘れずに過ごしてればいいんだ。
(泣いている相手の背中をあやすようにぽんぽんとたたき,愛せる人を愛し続けるため,ではなく,
愛せる人を愛し続け,それでいて相手に負担をかけさせない,と言う条件を,知らずのうちに自分に加算し,床に落ちていたメモを見つけると,明らかにおかしい動きで宙をメモが飛び,彼の手がそれを相手の眼前で掴んで)
おはよ、…ちゃんと眠れた?
まだ、おわらないで…!
本当っ?ごめんね、洗濯機…っていうか機械みたいなの、初めて使ったから…思ったより難しくて。
ぅ……、
…なんか、ドキドキしてムズムズする感じ。こういうので良いのかな…?すっごく幸せだけど。
(相手が起きるまでずっと手を握りながら頭を撫で続けていて、相手が目を開けてからも撫でる手は止めず、相手の顔を覗き込むようにして柔らかく微笑みかけながら、ちゃんと疲れは取れたかと声を掛けてみて。頭が回っていない今の状態では、いつ終わるかと尋ねられても相手が嫌がっているかもしれないという発想には至らず、たたただ終わって欲しくないという素直な欲求が現れたかのようにぎゅっと抱き着く力を強め、緩みきった口調で終わらないでと懇願して。直せると聞けば少しだけホッとしたように恐る恐る顔を上げて相手を見つめ、それでも申し訳なさそうに眉を八の字に下げて、洗濯機どころか機械の類いにまともに触れるのは初めてだったことを告げて。寒くはあったものの、コートを引っ込められると相手が寒い思いをすることはなくなったと安堵し、しかし同時に漂ってきた相手の香りにドキッとしてしまい、強がってしまったことをほんの少しだけ後悔し、相手からコートを奪いたい訳では無いもののどこか勿体ないことをしてしまったような複雑な気持ちで、無意識のうちに相手の方をじーっと見つめていて。誰かとお付き合いをするのは初めてで、恋人としてどのようなことをするのが正解かなど分かっておらず、特別なことは出来ないししていないものの、自分は相手とこうして触れ合っているだけで幸せで、恥ずかしいけれどとても充実した気分になっていて、相手にとってもそうであればいいなと願いながら、こういうので良いのかなと控えめに、照れくさそうに呟いて)
っ……?……あー!それっ…ダメー!!
(涙で滲んではっきりしない視界とろくな思考ができない頭では、相手が目の前で紙のようなものを掴むのを見てもすぐにはそれが何であるか理解出来ずに首を傾げるものの、時間差でハッとして自分の右手を確認し、先程まで握りしめていたメモがなくなっていることに気がつくと目を見開いて大声を上げ、内容を読まれてしまう前に返してもらおうと、オーバーリアクションであたふたと慌てながら、相手の方に必死に手を伸ばして)
……取れたよ,だから撫でるのを一旦やめてくれ。落ち着かない。
ッ……あーはいはい!分かりましたよ,しばらくこうしてやる。
あとで使い方とか色々教えてやるよ,それなら安心だろ。
……コートが欲しいのか?やっぱり。
そう言うのでいいんだよ,人は贅沢し過ぎるとそれが当然に思えて堕落して,そして傲慢になって,求めて,求めて。
_______最後には自滅するんだ,愚かな人間は。
(目を覚ますと相手から撫でられる感覚を頭を通じて味わい,少し堪能するが相手に聞かれると答えないわけにはいかず,取れた,と答えると,撫でられたままでは落ち着かないと相手の手を取って撫でるのをやめさせて。
相手から率直な言葉をぶつけられて,意地悪してやろうと言う気持ちもわかないまま,相手の言う通り,しばらくこの通りにしてやると仕方なく言って。
申し訳なさそうな相手とは裏腹に全く気にしていないらしく,それどころか相手が使い方を知らないなら自分が教えればいい,相手のやること,学ぶべきことが増える,それは,悪いことではない筈だ。
物欲しそうな視線を感じると相手の方を見て,微笑むとコートをまた脱ぎ,相手の頭にパサっと被せて,そうすると彼の香りがダイレクトに伝わってきて,しかし彼自身は寒いのだろうな,程度にしか思っていなく。
謙虚で今ある幸せを噛み締める,それは良いことだ,だから,今の幸せを壊さないように謙虚であり続ける。
少なくとも,自分はそうありたいと昔何かを見たような遠い目で呟き,最後の言葉には憎しみがこもっていて。)
……少し離れてくれるか。
……はぁーーーーーーー。
(相手が叫んだ瞬間にメモの中身が目に入り,表情を歪めると少し悲しそうな顔をして,そして相手から離れると,少し距離を置き,メモを目で追い見ると,そのあと,呆れたような,軽蔑するような,そんな長い長い溜息をつき,顔を手で覆って)
あ!う、うん、そうだよね!
んふふ~、桐島さんだいすきー。
良いの?嬉しい!機械とか使いこなすの、ちょっと憧れてたんだよね。
っ……あ、ありがとう。寒いから、借りるね…!
──桐島さん…?
(改めて指摘され、更に手を取られると、今まで相手の頭をずっと撫で回していたことが途端に恥ずかしくなり、相手の言葉に勢いよく頷きながら同意し、一瞬で頬を真っ赤に染めると覗き込んでいた顔を逸らして。幸せな時間がまだ続くのだという安心感と嬉しさで胸をいっぱいにして、ほわほわと満足げに微笑みながらなんの躊躇いもなく大好きと口にし、その気持ちを表現するかのように相手にくっつき、擦り寄り続けて。洗濯機をはじめとした家電、電子機器の存在は一応知っていたものの、これまでは実際に見る機会、ましてや使用する機会など皆無で、純粋な好奇心からそれらに憧れる気持ちがあったため、相手の言葉にキラキラと瞳を輝かせて喜んで。再びコートを被せられれば、相手の微笑みと、何よりも自分にとって魅力的すぎる香りの誘惑に耐えられるはずもなく、相手の好意を再度突き返すような勿体ない真似が出来るはずもなく、素直に借りることにして、香りを意識して何となく恥ずかしくなり、顔を隠すように両手でコートを手繰り寄せると、コートですっぽりと覆われた顔が大好きな匂いで包まれて逆効果だったようで、ますます真っ赤になり、ドキドキと鼓動が早まるのを感じながら、それを誤魔化すように寒いからを強調してお礼を述べて。相手の様子がだんだんと、この幸せな雰囲気に似つかわしくなくなっていくのを感じ取ると、不思議そうに、心配そうに緩く首を傾げ、相手の顔色を窺うように覗き込んで)
あ…あー、………本当にっ、ごめんなさいっ…!
(必死にメモを返して貰おうと足掻くものの叶わず、メモを目を通す相手の姿を為す術もなく見つめながら、何も言葉が出てこないまま絶望したような表情になり、相手の居ないところで勝手に過去の話を聞いてしまったことか、それを相手に黙っていたことか、相手の師匠に名前を出さないように言われていたのにこんなにもあっさりとメモを見られてしまったことか、それともそれら全てか、自分でも何が申し訳ないのか分からないほどに焦り、混乱しているものの、とにかく相手にも相手の師匠にも顔向けが出来ないほどの申し訳なさを感じてしまい、読み終えた相手の反応を見ればその申し訳なさは確信へと変わり、せっかく仲直りが出来たにも関わらず今度こそ終わったと強く思い、言い訳のしようもなく、相手の師匠と約束した手前余計なことも言えず、この世の終わりかのような顔をしてただ一言力なく謝ると、俯き気味に視線を落として相手に背を向け、逃げるようにとぼとぼと図書室を出て行こうとして)
…もしかしてずっと撫でてたのか?俺を?
分かってるよ、何度も言われなくたって分かる。
だけど俺が教えるのはあくまで使い方だ、手伝ったりはしない。
はいはい、寒いからな、暖かい服で居ろ。
……!、どうかしたか?
(相手の慌てた様子と、自分の何かに撫でられ続けて形が変わっている髪を触って知ると、膝枕から起きるとその場であぐらをかき、真正面から相手に聞いて。
脳が蕩けている相手に言葉は届かないとしても、何度も言われると恥ずかしい、だから、十分そうなのを装って相手の口を手で塞いで。
相手から期待を寄せられると途端に自信がなくなり、しかも自分は使い方を知っているだけで予報外のことが起きたら色々と、所謂レシピ通りには料理は作れない、アレである。
しかし引き下がる訳にも行かず、言い切って。
寒いから、という相手の意見を信じ、自分のコートを預けると微笑み、何ならあげたっていいが、それはさすがに自分が寒いな、と自分で考えて苦笑いして。
心配そうな声が耳に届くと我に返ったように笑って、どうかしたか?ととぼけたように聞いて。)
…待て、待て。
待ってくれ。お前は、会ったのか?ケイローン先生に?
(この紙に書いてあったことなどどうでもいい、相手が先生に何を言われてようが吹き込まれてようがどうでもいい、
ただ、この場から去ろうとする相手の手首をすんでのところで掴むと、彼の目じりに涙が溜まっているのが見え、そんな中でも、相手は本当にあったのか、と聞いて)
ま、まっ、まさか!ず、ずっと…じゃないよ、ずっとじゃ…、
むぐ……、……ッ!
もちろん分かってるよ。自分でしなきゃ花嫁しゅ──じゃなくてっ!練習にならないもんね!
…でも、これじゃ桐島さんが寒いよね。
桐島さんこそ、どうかしたの?すっごい顔してたよ…?
(図星をつかれてあからさまに動揺してどもりながら、相手の方を見ることが出来ずに真っ赤な顔をぶんぶんと激しく左右に振り、寝顔に見とれていた間は撫でる手が止まっていたような気がするのであながち間違いではないと、誤魔化すように、半分は自分自身に言い聞かせるように早口で唱えて。口を塞がれるととろんと細められていた瞼を見開いて驚き、驚いたことで脳の働きを多少は取り戻したようで、直前の自分の発言、相手との近すぎる距離、口を塞がれているこの状況、どれをとっても恥ずかしくなり、頬を色付かせて目を丸くしたまま相手を見つめて固まって。元から使い方だけ教わればそれで良いつもりだったようで、浮かれるあまりうっかりと心の声、家電の扱いに憧れていた魂胆を漏らしてしまいそうになりながらもすぐに言い直し、ニコニコと嬉しそうに微笑みながら学ぶ意欲に燃えていて。相手の寒さが心配なのは紛れもない本心で、しかし相手の良い香りがするコートを手放したくないのもまた本心で、借りたコートをしっかりと両手で押さえて頭ごと覆いながら幸せに包まれ、その手は全くコートを手放す気がないのに言葉では相手の寒さを案ずるという、一見矛盾しているかのような不思議な状況になってしまっていて。相手が何を想っていたかなど分かるはずもなく、先程感じた相手の様子の違和感をうまく言語化できずに稚拙な表現になってしまうものの、心配そうに、不安げな表情で相手を見つめて尋ね返してみて)
! ……………それは……い、言えない…、
(手を掴まれて咄嗟に首だけで振り返ると相手の涙が見えて罪悪感に押し潰されそうになり、目を合わせることが出来ずに顔を逸らして、相手に背中を向けたまま悩みに悩んで言葉に詰まり、それでもここで相手の師匠との約束を破ってしまえばわざわざ自分に話してくれた好意を、相手の師匠の気持ちを踏みにじることになる、そんな事をしてしまっては取り返しがつかなくなってしまうような気がして、かといって大好きな相手に嘘をつけるはずもなく、後ろめたさでキリキリと胸が痛むのを必死に堪えながら、弱々しく震える声で言えないと答えることしか出来なくて)
ずっとじゃない。
だって〝手が止まってる時があったから”とか思ってるだろお前,それはずっとって大体は一貫して言えるんだよ。
……?,もういいのか?まだ終わらないでとか言ってたのに。
え?なに?武者修行?
お,おう,そうだ,教えるから頑張るんだぞ。
大丈夫大丈夫,何のために毛布があると思ってる。
いつでもどこでも被る為だよ。
…あれ,こっちの方があったかいな,交換するか?
んーー……特に何もないぞ、ダイジョーブだ。
(同様している相手を眺めると大体予想でき,相手が思っていることを当てるマジシャンのように,相手の逃げ道を華麗に塞いで行って。
相手が擦り寄るのをやめ,羞恥心を今更感じていることなどつゆ知らず,相手が先まで甘えながら言ってた言葉を言って,相手の羞恥心を仰ぎ。
相手の言葉をとんでもない聞き間違いをして,相手がなにを言っていたかは気になるもののアレな事かもしれない為突っ込まず,同意して応援することしかできず。
ごそごそと部屋の隅っこに置いてあったダンボールを漁るとその中から暖かそうな毛布が出てきて,彼はそれを被ると,グッ,と相手へハンドサインだと思うものを送り、もしかしたらこっちの方が暖かいのでは,と思うと交換を申し出て。
相手の表現からして見られていたことは消せない,しかしこちらが否定し続ければ相手をあまり追求はできまいと考えるとバレバレな強がりをして。)
…そうか……そっかぁ……。
しょうがない______________ッ!?
『……我が名はペーレウス!アルゴー号の一員にして,イアーソーンの友!
賢者ケイローン!我が名に紐付けられしギリシアの賢者よ!
貴殿の誓約を今一度口にしようではないか!
《子供を悲しませてはならぬ》
《弟子を殺めてはならぬ》
《知識を露見させてはならぬ》
だがどうだ!子どころか弟子が悲しんでいる!蠍を牽制するのも飽きたであろう!どうだ!今一度弟子に顔を見せては!』
(相手が言ったならば言うつもりはないのだろう,仕方ないて割り切るしかない,そう考えると,また,ケイローンに会えないと分かり涙がぽたぽたと流れ落ち,相手は悪くないとフォローを入れようとした瞬間に,荒れ狂う風が突然空いた窓から吹き込まれ,窓から流れるように入ってきた青年,彼女のメモに書いてある名を高らかに叫ぶと、星座を見上げてそう叫び,三郎は無意識のうちにレイを庇うよう抱き寄せ,しかしそれは敵意ではなく,そもそもこの人物に問題があるらしく)
な!なんで分か──み、見てたの…!?
…ッ!?ち、違……言ってないもん!
そうそう武者修行、武者修行!武者修行大好きなんだよねー!
いっいや!交換しない!!…あ、暖かいなら桐島さんがそっちにして…!?
…そう……、
(見事なまでに心の声を言い当てられると、目を丸くして相手の顔をまじまじと見つめ、思いっきり焦った様子でなぜばれてしまったのか考えを巡らせ、撫でているところを見られていたとしか思えないという結論に至ると、図星だと認めたも同然の言い回しで見ていたのかと尋ねて。恥ずかしすぎる発言を相手にわざわざ繰り返されると身体中が熱くなって茹でダコのように赤く染まり、耐えられずに勢いよく相手から離れ、相手とは反対側の壁際までダッシュで逃げると、手で顔を覆い隠しながら顔を左右に振り、言っていないと言い張って。武者修行は聞いた事もなく知らない言葉だったが、都合よく相手が聞き間違えてくれたため適当に乗っかり、コクコクと何度も大袈裟に頷きながら知識もないのに話を合わせようとして。相手が毛布を被るのをコートの隙間から確認し、安心して微笑んだのも束の間、交換というとんでもない言葉が聞こえると激しく焦り始め、この幸せを失ってたまるかと言わんばかりに過剰反応してコートをがっしりと押さえつけると、必要以上に強めに交換を拒否し、不自然さを誤魔化すように、暖かい方を相手に譲るという言い訳をぎこちなく付け足して。明らかに相手が何か隠していることは察したが、人に言いたくないことがあるのは仕方がなく、隠し事をされるのも別に構わないと心の中で言い聞かせながら大人しく引き下がるものの、気がかりなのはその内容で、先程相手が呟いていた言葉が自滅など何やら物騒だったため、何か危険なことがあるのではないかと、ただただ相手の身が心配で、これ以上尋ねはしないものの、どこか心細そうにしょんぼりとしていて)
!?──な、なに……誰……?
(相手の涙に心を痛めるものの、突然窓が開いたことにも強風が舞い込んできたことにも驚いて咄嗟に固く目を閉じ、知らない声が聞こえてくると怖くて目を開けることが出来ずに、怯えた様子で小さく震えながら抱き寄せてくれた相手にぎゅっとしがみつき、目まぐるしく変わる状況に理解が追いつかないまま、おそるおそる絞り出した声は消え入りそうなほど小さいもので)
いんや,見てない。だけど分かる,あとお前それ自白と同じ,もう理由を言う必要もねえぞ。
いや言ってたろ,強がるなって。
………へぇ?,そういえばなんだけど。何とか修行って言葉,俺もう一つ心当たりあるんだよな。
花嫁修行っつーんだけど、お前には関係ないよな?
分かったよ、こっちがよかったらいつでも言うんだぞ、お前に風邪とか引かれたくない。
…………あーあ、言うつもりはなかったんだけどなぁ。
…トロイア戦争って、知ってるか?
(理由と言うのはまぁ、何となく,勘である、それで当たってしまったのはなんか自分が相手のことを熟知している気持ち悪い奴みたいで嫌で、だからとりあえず相手が自白したのをうまく使い,言う必要ないな,と答えて。
相手が逃げてしまうとどう見ても強がりだとわかり,言い張る相手に一瞬で距離を詰めると壁に追い詰め,世間一般では壁ドンというのだろうか,それをして強がるなと軽いノリで言って。
あぁ、嘘ついてるな,と瞬時に理解すると相手がこれ以外で修行と口にする言葉など心当たりしかなく,とりあえずカマかけるように花嫁修行と言って見て。
相手の側まで近寄るとコートの隙間から相手の額をさすさすと撫でて体温を確認し,風邪をひいて欲しくない,引かれたくないと相手を心配して言い。
相手が引き下がってくれたが,それもそれで後味も胸糞も悪く,仕方ないと言わんばかりに自分の額を手で押さえると,相手の知らないであろう名を口にして。)
ぺッ,ペーレウス!?何だお前!何しにきた!ケイローン先生に助けてもらってトロイア戦争の火種放って最後には目立たない死に方した恥晒し!!
(んー?と辺りを物色するように見回す粗暴そうな男,しかしその態度は至って冷静で,少なくとも礼儀も何も知らぬ荒くれ者ではないようだが,三郎は相手へ罵詈雑言を浴びせ,しっしっ!と追い払うように手を振り,玲をギュッと抱きしめ続けて)
あ。……桐島さんの寝顔見てたら、ここがきゅんってして、つい……。
…!?ッ……!
えっ!?も、もちろん!全然!関係な──関係、ないんだ……、
っう、うん……絶対、こっちの方が良いから……!
せ、戦争……?
(相手の言葉にハッとしたようにもうバレバレなのを自覚すると、イタズラが発覚してしまった子供のように後ろめたそうな様子で相手からゆっくりと視線を逸らし、許可なくひたすら撫でられていたことを相手がどう受け止めるかが分からない以上、まずは謝るしかないと思い、ほんのり頬を染めながら自分の胸元に手を当てると、おずおずと気まずそうに、ずっと撫でていたことを改めて打ち明けて。相手にとっては深い意味なく行ったであろう所謂壁ドンという動作は、既に逃げ出してしまいたくなるほど恥ずかしがっていた自分にとってはただただ恥ずかしさに追い打ちをかけるだけの、ある意味凶器でしかなく、脳内はパニック状態で、あまりの威力にドキッと心ごと射抜かれたように言葉を失い、茹でダコのように紅潮したまま瞳を湿らせ、フリーズしてしまって。一度は失言を聞かれていないと思い安心しきっていたため、相手の口から飛び出した言葉に思いっきり不自然に焦って真っ赤になりながら、花嫁修業などもちろん自分には全然関係ないと否定しようとするものの、自分で言っていて悲しくなり、何よりも相手から見ても自分と花嫁修業は関係ないと思われていたことが少なからずショックだったようで、カマをかけられていることなどつゆ知らず、がっくりと肩を落とし、弱々しく呟きながら俯いて。近づかれ、額に触れられると、相手の香りに包まれていることもあって、いつも以上に相手のことを過剰に意識してときめいてしまい、相手が触れている部分に身体中の熱が一気に集まるかのように顔が熱く、赤くなり、このまま触れられていると火照っているのがばれてしまいそうで、何よりもときめきに押し潰されてしまいそうで自分が耐えられそうになく、本当に発熱してしまいそうな、クラクラしてきたような気がして、相手の手を避けるように軽く身を引きながら、コートより毛布の方が良くなることは絶対にないと返して。耳にした名前は当然知らないものだったが、さすがに戦争という言葉くらいは何となく知っており、正式に学んだわけではないため知識はないものの、危険で物騒なイメージを持っており、ますます心配そうな声色で、不安げに眉を下げて相手を見つめて)
ちょ、…桐島さん?あ、あの人、お友達じゃないの…!?
(相手の口振りからして、突然現れた青年は相手の知り合いのようだと何となく察すると、ようやくペーレウスという名が先程相手の師匠から聞いた、自分がメモにとった名前と同じだということに気がつき、おそるおそる目を開き、キョトンとした表情で相手と青年の姿を交互に眺めながら自分なりに考えてみれば、見知らぬ青年に対する恐怖心や警戒心はまだあるものの、相手の師匠が青年の名を出し、彼によろしくと告げて去っていったくらいだから悪い人物ではないのではないか、もしかして相手の友人か何かではないのかという考えに至ると、そんな友人らしき人物を邪険に扱うような相手の態度が心配になってきて、相手を見上げながらきゅ、と軽く服を引っ張り、思わずヒソヒソ声で口を挟んでしまい)
それが恋だよ玲クン,ま,怒るつもりはないぞ,心地良かったからな。
?……おーい?生きてるかー?魂飛んでないかー?
いやぁそうだよなぁ?まさかどっかの男の為に花嫁修行なんてする訳ねえもんなー,だって。お前が名前も知ってて深く関わってるの,俺ぐらいだもんなぁー?
そっか,ならいいんだ。
幾千の時を遡る戦争の話だ,どこぞのペーレウス名乗る英雄が。
『この場に居る我が妻の次に美しい女性へ!』と結婚式の際にブーケトスをした。
その場にいた,ヘーラー,アプロディテ,その他1人の女神様がなぜか美意識故にそれを取り合い。
それを収集する為にパリス王子が投げ込まれたが,結果的に不和となり,トロイア戦争の引き金となった。
要するに神々の自意識が起こした馬鹿みたいな喧嘩だ。
(相手が白状し,謝る相手を見ていると,正に恋,純粋なる恋の形,それをすぐに感じ取ると相手を指差してそれが恋だと今更のように諭したあと,誤ったことに対して怒ってない,むしろ,と言葉を返し,ありがとうと伝えると頭を撫でてやり。
相手のフリーズには何度か経験ある気がするがそれはそれとして,いつも通り相手の眼前で余った手をひらひらと振ると,起きないならと優しく抱きしめて。
相手が否定して落胆しているような姿を見るとやはりというか何というか,分かりやすいと感じると更にカマをかけ,自分のために花嫁修行をしてくれているのか?と多少期待を込め。
にこりと優しく微笑むと手を離し,相手の感情など知る由もなく,いやこちらも中々に恥ずかしいとは思っているが表には出さず。
そしてその場からも立ち上がると,部屋に散らかっている本を拾ったり整理したりを始めて。
相手からすると危険なイメージだろうが,残念ながらその通り,何人も死ぬし何千と無駄死にする。しかしそれを隠すつもりはないのか,まるでその場に立ち会っていたかのように感情を込めて説明して。)
馬鹿言うな!ケイローン先生な知り合い,アルゴノーツの乗員,それだけだ!そもそもアイツは星座になんてなってないどころか死因が不明なほどトロイア戦争では影が薄いんだぞ!中言い訳あるか!
(相手がそんなことを言い出すとぎょっとして,相手の肩を掴むと相手がどれだけ自分と接点がないか,それとなぜこんなところにいてはおかしいのかを大声ながらも怯えないように多少なら調整して教えて。)
恋…んふふ。あたしも──だからこんなに心地良かったんだね、撫でられるの。
! ……生きてる、けど、死んじゃいそうだから…!離して…?
っ……あ、あたしだって、お嫁さんに憧れたり……花嫁修業くらいするもんっ!
──っ、あれ、ほんとに熱い……?…ちょ、ちょっとだけ、休も…、
そんなことで……でも、女の子なら可愛く居たいって気持ち、ほんのちょっとだけ分かっちゃうかも…あたしにはこうして桐島さんが居てくれて、可愛いって思われたいのも桐島さんにだけだし、一緒に居てくれたら他に何も要らないくらい幸せだけど。もしそうじゃなかったら、あたしだって──、
(相手の傍に居るといつも感じる暖かな気持ち、それに改めてはっきりと〝恋〟という名前を付けて貰えるのは、相手のことを撫でていた先程の行動だけでなく、相手に対して抱いている大切な気持ちごと認めて貰えたようで心が救われ、満たされる思いで、相手に触れたくなる気持ちと同じくらいに相手から触れられると心地良く、きっとこれも恋なのだろうと考えれば驚くほど腑に落ちてすっきりと晴れやかな気分になり、もし相手も同じ想いで居てくれたのならこんなに嬉しいことはないと、穏やかな表情で微笑みながら幸せを噛み締めるように撫でられていて。抱き締められるとハッと我に返るものの、壁ドンからの抱擁、そしてその前に自分がしでかした大胆な言動の数々、これらが重なった状況では嬉しさより恥ずかしさが勝り、今だけは相手の抱擁すら、更に自分をドキドキと追い詰める爆弾を投下されたようなもので、本来ならば有難いはずのシチュエーションを満喫する余裕もないままに、紅潮しきった顔でじたばたと身じろぎ、逃げ出そうとして。恥じらい故に必死で誤魔化し、隠そうとしていた花嫁修業への憧れだが、他でもない相手から自分がする訳ないと断言され、その上相手以外のどこかの男の人が候補に入っているような言い方をされるのは不服でしかなく、カマをかけられていることなど全く気付かずにムッと頬を膨らませて相手を睨むと、自分だって花嫁修業くらいするとムキになって反論してしまうものの、それが目の前の相手の為であることは言わず、言えるはずもなく。相手が自分から少し離れて本の整理を始めると、自分も手伝おうと立ち上がり、後を追いかけようとしたが軽い眩暈に襲われふらついてしまい、そこでようやく恥ずかしさから解放されても身体の火照りが治まらず、どこか様子がおかしいことに気がつくと、壁を支えに何とか立っていようとするものの身体が熱くてクラクラして顔を歪め、諦めたように壁にもたれ掛かりながらズルズルと力なく座り込むと、わざわざ相手を呼び戻すのも気が引けてしまい、少し休ませて貰おうと、ぐったりとその場で目を瞑って。相手が語ってくれた内容は、戦争になる動機としてはあまりにも単純で些細なことに思えてしまい、目を丸くすると思わず本音の呟きを漏らすものの、切ないことに、単純で些細だからこそブーケを取り合ったという人達の気持ちが少し分かってしまう部分もあり、もしもほんの僅かに状況が異なり、何かの歯車が狂っていたならば聞かされた話は決して他人事ではなく、自分だって些細なことから争いを起こしてしまうかもしれない、現に相手に出会うまでは知らず知らずの内に犯罪を繰り返しながら生きていたのだからと、そんな風に相手の話には思うところが存分にあるようで、感情の込もった相手の話し方も相まって感情移入してしまい、まるで自分のことのように神妙な面持ちで俯き、言葉を返して)
き、聞こえちゃうから、あの怖い人に!…でも、あの人は桐島さんに用事があって来たっぽいよ…?
(相手の大声に驚いてぴくりと肩を揺らすものの、大声に怯えるというよりは見知らぬ青年に警戒心を抱いて怯えており、そんな青年のことを相手が大声で影が薄いなどと言うため、青年の気に障ってしまうのではないかとそちらの心配をしているようで、相手の大声を止めるためにこちらも声を張って訴えかけるものの、焦って怯えるあまり、訴えかける自分の声が大きいことを自覚する余裕は皆無で。相手はこう言うものの、青年の方は相手に用があって来たと考えるのが自然であり、おそるおそる青年の方へチラリと視線をやりつつ、何か用があるのではないのかと言ってみて)
そそ,恋は甘い毒だ,思い人無しじゃ生きられない,そんな毒,ただ共にあれば甘いだけ,そう言う毒なんだよ。
……嫌でーーす!
…へぇ,誰の?誰のお嫁さんに憧れてるんだ?
?……!?,玲!………風邪?…いや熱か?助けてアス_______はい分かってます,地上にいる限りは貴方の医力には頼りませんよ,アドバイスお願いします。
それだけならまだ可愛いもんだ。
トロイア戦争は始まる際に盟約を結んでいた。
神々は手を出さないこと。だ。
……それがまぁ,見事に破られまして,神々はダイレクトに手を出し,その結果,戦争は激化,関係のない者達まで駆り出され,無意味に死んだ。
有名どころで言うならアキレウス,パリス,ヘクトル,色々と有名だけど,そのうち2人,アキレウスとヘクトルは死亡確認した。
アキレウスは人生の半分以上を戦いに注ぎ込んだらしいが,弱点であるかかと,アキレス腱をパリスに射抜かれて死亡。
ヘクトルはアキレウスの鉄戦車に三日三晩引き摺り回されてオーバーキル。ひどいもんだよ
(自分も相手に恋をしている,しかし相手は恋というものを本質的には理解していない,なら適当なこと吹き込んでもバレないのではなかろうか,と少し考えてしまい,恋は毒だと例え,まぁ,恋は盲目ともいうし,あながち間違いでもないだろうと笑いながら伝え。
相手の姿を見ていると急に離したくなくなり,身体を捩らせる相手の唇にキスをし,相手が大人しくなるまでそのキスを続けて。
相手がムキになることも想定の範囲内,だから返しは。
そう,相手が憧れているというなら,誰の嫁に憧れているかを聞く,女として憧れているというのは当然だが,今の相手なら多分狼狽えるだろう。そう考え何気なく聞いて。
相手が倒れたことに一瞬で気づくと持っていた本をそばに置いて急いで駆けつけ,相手の額や身体を触って確認し,どちらか医学力がない為判断がつかず,誰かに頼ろうとするものの思い出したように呟き,しかし結局アドバイスを貰い、相手を寝転がすと流石に裸体を見るわけにはいかないと目をつぶってコートを脱がすと代わりに布団をかけ、色々と誰かに聞いていて。
相手が言うレベルだったのならまだマシだった。
神々はルールを破ってドンパチ始め,何人も関係のない人が死んだ、そして,彼はその2人の英雄の死に立ち会ったような口ぶりで話して)
『…ドゥディス,俺の伝説は見ていないか?活躍と最後,俺は最後まで本に記されているぞ。
それを知らぬか?己が無名の弟子とはいえ嫉妬はよくあるまいて。
……それはそれとして,お前の隣にいる女,16を越えているか?ならば俺と契約せねば。
そうすれば俺はようやく天より自由になれる。』
「あ”あ”ん"?喧嘩売ってんのか無能,ダイダロスの剣と祝福の権能があってようやく一人前の半人前剣士がよォ。
俺は俺にまつわる本を全て焼却したんだよ!今も生きてる奴がさも何千年も前に活躍を終えたみたいな書き方されるのは尺だからな,故人が。
手前にはその女は勿体無い,それに俺の女だ,手ェ出すならまた天に縛るぞ,クソジジイ。」
『……やるか?若造。』
「やれよ,老いぼれ。剣を抜け。」
(ペーレウスと呼ばれた青年は見た目に反して以外と粗暴では無かったものの,初っ端三郎を煽り。
何が,ならば,なのか分からない理論で玲に詰め寄ると三郎に手首掴まれて止められて。
そして血走った目でペーレウスを睨む彼は玲を守る為に言っているものの本人の意見そっちのけで未だ腰にあった矢を引き抜くと,長さを利用して槍のような構えをし,そしてペーレウスは一応と言わんばかりに問いを投げ,答えを得ると。
彼を上から睨みつけ,と腰にあった鞘から剣を抜き,玲と彼から何歩か距離を置くと,剣を肩に担ぎ,今まさに死合おうと言う状況に,自然となっていて)
…そんな素敵な毒なら、いっぱい浴びたい。桐島さんと一緒に。
(毒という言葉に一度は怯えるような素振りを見せるものの、相手と共に居たくて堪らなくなるような、相手の傍に居れば甘く幸せになれるような毒ならば、そんな毒に溺れてしまうのも悪くはないのではと考えてしまって。相手への真っ直ぐな気持ちごと恋という毒を受け入れるかのように、満更でもなさそうに薄く色付いた頬を緩ませ、相手の胸元に擦り寄って)
んんっ…!?──ぅ、ふぅん……ッ、
(恥ずかしさでいっぱいということはそれだけ相手を意識しているということ、そんな中で甘いキスをされてしまえば驚きに目を見開いたのも一瞬のこと、あっけなく身体の力は抜け、痺れるような気持ちよさにふわふわとしてきて頭が回らなくなり、うっとりと吐息を漏らしながら目を閉じ、素直にキスを受け入れていて)
だ、だ、誰のって……!──っ内緒!!
(誰のお嫁さんになりたいか、答えなど分かりきっているものの、面と向かって本人に告げるのは恥ずかしすぎるのは言うまでもなく、更に相手にどう思われるかが非常に不安だという観点からもハードルが高すぎて、軽々しく答えられるはずもなく、困ったようにまごつきながらますます赤く染まっていくばかりで。誰のお嫁さんか尋ねなければ分からないほどに自分の愛は相手に伝わっていないのかと思えば、それもそれで悲しくて。いたたまれなくなり睨んでいた視線をふいっと逸らすと、どうして良いか分からず真っ赤な顔ではぐらかすように、投げやりな言葉を返して)
……っごめ……んね……。
(湯冷めしたせいか、慣れない出来事が立て続けに起きたことによる疲労のせいか、原因は分からない上に風邪なのかどうかも不明ではあるものの自分が体調を崩してしまったことは間違いなく、弱々しく瞳を開くと、すぐに駆けつけて助けようとしてくれている相手の姿を薄目で確認して申し訳なさそうに謝罪の言葉を絞り出し、それ以上の元気は出ずにぐったりと横たわったまま再び目を閉じ、表情を歪めて火照るような辛さに耐え続け)
──っ……でも、どうして今、その戦争のこと……、
(伝えられた内容は自分が理解するにはあまりにも規模が大きく、想像を絶するもので、おそらく自分には半分も理解出来ていないだろう、それでも分かる範囲で想像してみても耐え難いほどに無残さが伝わってきて胸が締め付けられ、衝撃的な内容に言葉が出てこずにただ息を呑んで。しかしまだ、この話と先程の相手への違和感がうまく繋がらず、なぜ相手が大昔の戦争のことにこんなにも詳しいのか、そしてなぜ先程のように恨めしそうな表情をしていたのか、尋ねて良いものか迷い躊躇いつつも、ここまで聞いてしまったのだから触れずにはいられず、おそるおそるその疑問を口にして)
……?──ッ!?!?
桐島さんっ、怒らせちゃダメっ!
っあ、あのっ!…契約って何の話ですか?あ、あたしに出来ることなら何でもしますから!お、お願いします、桐島さんに怪我させないで下さい……!!
(契約など全く意味の分からない話についていけずにキョトンと首を傾げるものの、青年に詰め寄られるとびくりと身を強ばらせ、怯んでいる内にみるみる険悪な状況になっていくのを感じ取りながら表情が青ざめていって。何も出来ずに立ちすくんでいたが、二人が武器を取り出したのを視認すると目を見開き、恐怖心も一瞬で吹き飛ぶほどに焦り、相手に青年を刺激しないようにと涙目で訴えかけながら、考えるより先に身体が動いて二人の間に割り込み、震える足で相手の目前に立ち、何の契約なのかはさっぱり分からないものの相手が傷付くよりは遥かにましなはずである、真っ直ぐに青年を見つめながら何でもすると告げ、納刀するように必死で説得して)
(/長くなってきましたので、ロルを分けてみました。不都合がありましたら元に戻して下さい…!(蹴り可))
ダメだ、毒は毒なんだから。
それに、俺は誓った、次死ぬまでに、愛する人を幸福にしなければいけない。
だから、毒なんかより幸せっつー大量の感情に溺れてくれれば、俺は満足だ。
(自分からそんな毒を説明しておいてなんだが、毒は毒なのだ、相手に浴びせるわけにはいけない、何せ、毒には嫌な思い出しかないどころか、憎むしか感情が生まれない。
だが、そんな事より相手を幸せにする、その誓を果たす。
相手には、そんなものに溺れて欲しい、そう考えて抱きついて来た相手の頭をゆっくりと撫でて。)
……はい終わり、無理やりキスなんてして悪かったな、お前の言う通り、離してやるよ。
(相手がうっとりとした表情になった瞬間に唇を離し終わりと言い、強引なキスをしたことを誤り、そして相手が身動ぎして自分から離れようとした、その願いを叶えてやる。
だから、相手からぱっと手を離して)
えーー……俺じゃねえの?俺以外居ないだろ。
(意地悪のし過ぎも良くないな、と考え、相手がフイっと顔を逸らしてしまうと、納得のいかない抗議の声を上げるものの、仕方ないと思い、相手が内緒といったのは。
まぁ要するに、居る、ということで、それで接点があるなら、まぁ、自分しかいないワケで、そういう簡単な理論の末、相手に言葉を当然のように投げかけて)
…静かにしろ、病人は黙って医者の言うことを聞いて眠れ、それが出来ないならそのまま眠れ、その内に済ませる。
(病人の相手にしゃべらせてお礼を言わせるのはただただ相手に負荷をかけているだけに過ぎず、それからもう眠っていてくれと思うと、相手が耐えている事を知り、眠ってくれと大人しく伝え、苦しそうな相手の頭をそっと撫で、眠れない子を寝かしつける親のように。)
……当時の俺の盟友が、その戦で戦死した。
死体は無惨にも本人か分からないほど荒らされ、アイツが誉れとして付けていた輝く剣と銀のペンダントは全て奪われているか、ひび割れて輝きを失っていた。
相手の軍は英雄の誉れを踏みにじり、油断を許さず、不意打ちで殺した、そしてペンダントがひび割れていたのは…。
それは神があいつを見捨てて加護を消したことに他ならない、憎まずに居られるか、神なんて、結局はクズばかりだ。
トロイア戦争も起こしたのも神、大きくしたのも神、人を死なせたのも神、簡単に収束できたのも神。
それをしなかったのも神。クソ野郎だ、滅ぶべきして滅んだんだよ、ざまぁねえ。
(相手に聞かれるとしばらくの沈黙を貫くものの、思い出せば思い出すほど彼の顔は憎悪に歪み、そして哀しみにも浸り、憤怒と悲哀の入り混ざるなんとも言えない表情になるものの、最後の最後で、神という存在を嘲笑する時、それだけは、本物、曇りのない真っ直ぐな嘲笑いで。)
「玲!?前に出て……いやそれ以前に!馬鹿言うな!お前は俺の女だ!」
『……ふむ、確かにそうだ、契約の説明をしようか。
マドモアゼル、私はこの世に厳戒する為に楔を用意する必要があるのです、それは番であり、何より愛し愛される関係となる地上の女性、否、感情など不要。
繋がれている、その事実さえあれば、私は楔から解き放たれる』
「……よし改めて思った、お前に玲は渡せない。
玲、何度でも言う、お前は俺の女だ、まさかこんなクズの願い、聞き届けたりしないよな?」
(突然眼前に飛び出してきた玲に2人とも驚き武器を落とし、一瞬でひろいあげるもののその瞬間に玲の肩を掴むとこちら側に三郎が抱き寄せ、俺の女だと堂々と宣言し。
そして契約内容はとんでもないもので、どう考えても迂闊に結んでは行けないもので。
そしてそれを聞くと玲の答えを待つまでもなく三郎が玲を抱き寄せ、守るように言って、一応というか保険として、聞いて。)
幸せなら、もういっぱい貰ってるよ?今も…、こんなに幸せだらけでいいのかな。
(相手と出逢えたこと自体が最大の幸せであり、相手と一緒に居られることも、優しく撫でられ甘い愛を注いで貰えることも、贅沢すぎるくらいに幸せで。毒という代償がなければ、この恋はひたすら甘くて幸せで、自分にとってあまりにも都合の良いものであるため、嬉しすぎる反面、こんなに幸せで良いものなのか、いつか反動がきて罰でも当たってしまうのではないかと呟きつつ、それでも出来ることなら相手と一緒に幸せに溺れたくて、幸せを噛み締めるように、甘えるように、抱きつく腕にぎゅ、と力を込め)
え……?あ、
(相手の唇が離れてしまうと、寂しいようなまだ物足りないような、何とも言えないもどかしさを感じ、悲しげな声を漏らしながら、離れていく相手を引き止めるように、咄嗟に伸びた右手で相手の服を掴んでしまい。気まずさや後ろめたさ、恥ずかしさがぐるぐると入り交じった複雑な表情を浮かべ、濡れた瞳で求めるように相手を見上げて黙り込んで)
ッ!………。
(聞こえて来たのは自分にとって当たり前すぎる内容で、もちろん図星だったため、ピクっと大きく反応して身体を揺らし、顔を逸らしていてもばれてしまいそうなほど耳の先まで真っ赤になり。相手の口から正解を言われてしまえば否定できるはずもなく、否定なんかしたくもなくて、紅潮した顔をおそるおそる、ゆっくりと相手の方に向けると、無言でこくりと控えめに頷く、というよりもそのまま俯いてしまって)
……ん…、
(意識が朦朧とする中でも相手が誰かとやりとりをしているような気配は何となく感じ取っており、相手の口から医者という言葉が出てくると誰と話していたのだろうかと軽く疑問を抱くものの、その疑問を深く考える気力はなく、苦しみに耐えながら返事にもならない声を絞り出し、言われた通り目を閉じていれば、次第に意識が遠のいてきて、眠ったか気絶したかは定かではないが、いつの間にか気を失っていて)
そんな……、…あたし、何にも知らなかった…。
(何の知識もない自分は相手の話を聞くまで、神様に対して清らかで神聖なイメージを漠然と抱き、万能で完全な存在であるかように認識していたものの、相手の話はそんな自分の無知さや呑気さが憎らしく思えてくるほどに壮絶なもので。大昔の戦争のことも神様のことも、何より大好きな相手の過去も相手が抱えている思いも、自分は何一つ知らなかった。そんな自責の念に襲われてしんみりと呟き、相手の悲しみを少しでも拭えたら、相手の気持ちを少しでも晴らせたらと心の底から願うものの、今の自分に出来ることなど何も思いつかず、無知で無力な自分を責めながら、無意識の内に相手の手を取り、ただ握りしめることしか出来なくて)
…はぁ…!?
聞くわけないでしょー?絶対にイ──…そ、それは出来ませんっ…!
(青年の言う契約が予想外すぎるとんでもない内容だったため、信じられないと言いたげにあからさまに顔を顰めてしまい、相手が自分を庇うように抱き寄せてくれたことも相手の言葉も嬉しくはあったが最早それどころではなくて。契約内容への嫌悪感を隠す余裕もないまま、相手を見上げながらそんなお願い聞くわけがないと強めに否定し、その勢いで絶対に嫌だと言いかけるものの、そこでようやく多少の冷静さを取り戻し、武器を持っている青年を怒らせたくない、相手に危害が及ぶようなことにはなって欲しくないと思い直すと、喉元まで出かかった本音をぐっと飲み込んで青年の方を向き、なるべく穏やかな口調になるよう心がけながら断りを入れて)
幸せなんていくらあっても困んないんだ、貰えるものは貰っておけ。
(相手は心配をしているが、考えてみると幸せは毒であり、恋こそが根源の毒、それはつまり、毒を既に2人ともたっぷり浴びているということに他ならない。
だがそれは言わず、抱きついている相手の頭を優しく撫で、貰えるものは貰っておけと言って。)
もの欲しそーな顔してんなぁ、自分の口で言ってみな、何して欲しいんだ?
(相手が自分を引き止めるとニヤリと嫌らしく笑い、相手の方へ振り向くと相手の顎をクイッと指で上げ、何して欲しいのか、自分の口で言ってみろと。)
やっぱりな、俺はいつだってウェルカムだぜ、近いうちに高校生の結婚が国に認められるらしいしな、正確には18歳から成人扱いになる、ってことだが。
(相手が頷くと、やっぱりなと予想通りだったらしく、バッと手を開き、相手を招くように相手が自分の胸に飛び込んでくるのを待つものの、結婚自体は時を経たないとできない、早く適応されろ、と思いつつ口にし、相手が来るのを待って)
……ぐー………ぐー………フゴーッ………
(しばらく相手を誰かの指示のもと看病し、よく冷えたタオルを相手の額に、そしてあまり暖かくするのも現状相手の病では良くないという言葉を聞き、まぁとりあえずと薄めの布団を裸の相手にかけて、その相手のすぐ近くで看病を終えて、場所を選ぶ余裕もなく相手に背中を向けて謎の寝息と寝言を放ちながら眠っていて)
知らなくてよかった。
知る必要がなかった。
知らせたくなかった。
…これに尽きる。
(聞かれたら答えるつもりだったが、結局自分の不注意で話す理由を作ってしまった、そんな自分が言うのもなんだが、3個、言わなかった理由を上げ、握られた手を握り返すとこれに尽きると言い切って)
『______ならば、我の流儀にて貰い受けるのみ』
「…シッッ!
逃げるぞ!玲!」
(玲の否定を聞いてしばらく何かを考える仕草をしていたが、ダイダロスの剣を持ち直すと刺突の構えをして短くそう告げると、例を抱き寄せていた彼が靴のつま先で突然飛んできた剣先を上にズラし、避けるが。
靴の先端が持つはずもなく足の親指から少し出血する、しかし動けると判断したのか、玲のをお姫様抱っこするとすぐ近くと扉から外に出て、さらに廊下の窓をこじ開けるとそのまま飛び降りて)
そうだよね………やっぱり困るかも。あたし、桐島さんのことばかり考えてる…、
(幸せすぎて困ることなんてない、相手の言葉に一度は同意するものの、撫でられてほわほわとした気分になっていくにつれて、相手の傍に居れば居る程どんどん相手を好きになっていく自分に改めて気がついて。勉強したいと思うのも努力したいと思うのも、可愛くて良い子になりたいと思うのも、生きていたいと思うことさえ、思い返してみれば自分の意欲の根底には全て相手の存在があって。気持ちよさそうに撫でられながら、本当にこんな調子でいいのだろうかと、幸せすぎる状況で幸せすぎる悩みをぽつりと零して)
い…いじわる……。
(相手の表情からして、こちらの気持ちを知った上で言わせようとしているのだろうとすぐに察し、それが分かっていてもやはり直接言葉にするのは恥ずかしく、真っ赤に染まってしまい。相手の言動全てに余裕があるように思えて、自分ばかりがこんなにいっぱいいっぱいなのは悔しくて。悔し紛れに悪態をつき、潤んだ瞳でせめてもの抗議に相手を睨みつけてみて)
や、や、や、やっぱりって!な、なんで、どうして知っ──うぅ、
(ぽぽぽ、まさにそんな音が聞こえて来そうなくらいに更に顔に熱が集まり、反射的に顔を上げて。必死に誤魔化したはずなのに既に相手にはばれていたという事実が恥ずかしさに拍車をかけ、余裕もなく冷静さの欠片もない今、あわあわと大きく身振り手振りしながら先程の会話だけでなぜばれてしまったのかと焦りまくり、しかし目の前で腕を広げている相手の姿を見ればすぐにでもその胸に飛び込みたくなってしまうくらい、単純に相手にベタ惚れなわけで。結局は相手が受け入れてくれたことへの嬉しさと正直すぎる欲望が勝ち、自分の言い訳などどうでも良くなって、諦めたように小さく唸ると真っ直ぐに相手の胸元へ向かっていき)
ぅ"っ……!ッ!?
──はぁ、はぁ……、…夢……?桐島さん……、
(どのくらい経っただろうか、大量の汗をかきながら酷くうなされて目を覚ますと、夢から覚めたはずなのに苦しくて堪らず、掻き毟るように強く胸元を押さえながら荒い呼吸を繰り返して。ようやく意識がほぼ戻ってくると、眠っている間に自分が見た映像を思い出すように頭を抱え、言うまでもなくそれはお世辞にも良い内容とは言い難いものだったようで、リアルすぎる映像が果たして本当にただの夢だったのかと考え込んで。そのうち無性に何処かの何かに呼ばれているような気がしてきて、自分の意思とは関係なくふらふらと立ち上がり、すぐ側で眠っている相手の姿を視界に捉えるもののその場に留まることはなく、ただ切なげに名前を呼ぶと、覚束ない足取りで図書室を後にして)
……それでも、あたしは聞けてよかったと思う。正直ね、聞いた話だけじゃ神様達のことはまだよく分からないし、神様がどうとか、そういうことは全然言えないんだけど……。でも、桐島さんがどういうことを経験して、どういうことを思いながら生きてきたのか、あたしは知りたいし、知れて良かった。もしかしたら単純で、バカっぽいって思われちゃうかも知れないけど……桐島さんのことが大好きだし、これからも桐島さんと一緒に居たいって思うから。だから、話してくれて、ありがとう。
(相手にとっては言いたくなかったかも知れないし、そんな相手の考えを何も知らずに追求してしまったことを申し訳なく思うものの、話を聞いて後悔する気持ちは湧いてこなくて。自分が軽々しく言葉を返してはいけない気がして、軽々しくコメント出来るような内容でもないものの、それでも自分の素直な気持ちは、例えどんな内容であっても大切な相手のことは知っておきたい、これからも知っていきたい、知った上で出来る限り力になりたい、そうやってずっと一緒に居たいというもので。少し躊躇いながらもありのままの本心を告げ、辛い話をさせてしまったことに罪悪感を抱きつつも、今はごめんねより、話してくれたことにありがとうと伝えたくて、握る手にきゅっと力を込めて)
! 桐島さ──えっ、ちょ……、
な、何する──ッ!?きゃあああああ!
(突然のことで、動きも速すぎて、正確には見えなかったものの、見るからに危険な行動で剣先を防いだ相手のことが心配になって思わず呼びかけようとしたが、相手に抱えられたことにより遮られ、代わりに驚きの声を漏らして。あっという間に廊下に出ると、窓を開ける相手に再び驚いて目を丸くし、何をするつもりなのかと抱えられたまま騒ぎ、見ていられなくなって窓に向かっていく瞬間にきつく目を瞑り。まさかとは思ったものの身体が宙に浮く感覚に完全にパニックになり、必死に相手にしがみつきながら悲鳴を上げて)
それで別に良いだろ、俺にはお前が必要でお前には俺が必要,違うか?
(相手の欲の根底の全てに自分があるとして、それはそれで良い、互いに互いを必要とし、相手を行動の根源とする、それもまた愛の形だろう。
だから、相手の頭を撫でながら違うかと聞いて。)
へぇー、なら何もしなくていいな?俺意地悪だもんなー。
(相手は自分のことを意地悪と言う、なら自分は意地悪く相手を虐める、だから、睨まれて仕方ないと、相手を愛でるのはやめよう、相手が自分をいじわるというのだから、仕方ないだろう?と言いたげな目で相手を見下し、言って)
おーよしよし、いい子だなー、正直なのは好きだぞー。
(相手が諦めて自分の胸元に擦り寄ってくるとそっと抱きしめ、愛子を愛でるように頭を優しく撫でてやり、相手の耳元でダイレクトな好意をぶつけて。)
ぐー………ぐー………タマ…ネギ……はっ!?
(相手がこの場を去ってしばらく後、呑気に眠っていた彼は目覚め、謎の寝言の直後に瞼を開けるが、相手がいないのを確認すると飛び起き、周りを見回すものの痕跡が無く、自室のドアをぶち開けると探し初めて)
…その言葉が、1番ありがたいよ、玲。
ありがとう。
(記憶に変なコメントをされるよりは触れられない方が気が楽で、だから、相手の愛を確認できて、それでいて優しさのみちる手が握ってくれる、それが一番嬉しく、にこりと微笑むと握り返して)
ジリ貧だぞこりゃ……玲、走れるか?
(しがみつく相手を他所に綺麗な着地をし、そのまま学校内を駆け、その内ペーレウスは2人を見失うものの見つかるのは時間の問題、だからせめて、相手だけは逃がせるか、走れるのか、と聞いて。)
違わない。違わないから、もっと…ずっと一緒に居たい。
(相手のことでいっぱいな自分を受け入れて貰えるのなら、相手にとっても自分を必要として貰えるのなら、ありのままの恋心を否定する理由などもうどこにもなくて。撫でられている頭を上げて真っ直ぐに相手の瞳を見つめると、恥ずかしさに頬を染めながらも嬉しそうにはにかみ、相手の言葉をきっぱりと肯定して)
や、やだ……いじわるしないで…?
(向けられた視線と言葉に困ったように眉を下げ、何もしてくれないのは嫌だと答えるものの、それ以上の願望を口にするのは躊躇われ、先程の甘いキスの余韻と現状の恥ずかしさで火照った頬はますます紅潮し、もじもじしながら濡れた瞳で相手を見上げると、何かを訴えかけるような、助けを求めるような眼差しを向け返して)
好き…?じゃあ、もっと正直になる…!
(抱き締められて頭を撫でられると、それだけで相手に触れている箇所が痺れるようにきゅんとして心地よく、あっという間に幸せで満たされていって。耳元で告げられた好きという言葉にドキドキして鼓動が早まり、一瞬で真っ赤になると、相手が正直なのが好きならばもっと正直になる、そんな真っ直ぐで単純な想いをぽつりと呟きながら相手にくっついていて)
……呼んでる、帰らなきゃ……、
(意識こそあるもののその目は虚ろで明らかに様子がおかしく、衣服を纏っていない自分の姿にも何の感情も抱いていない、というよりも全く気にも留めずにそんな事には気が付いていないようで。何かに導かれるようにして校舎の屋上まで辿り着くと、迷うことなくある一点を見つめながら覇気のない声色で呟き、ふらふらとふらつきながらその方向のフェンスまで歩み寄っていき、よじ登ろうとしているのだろうか、そのままそっとフェンスに手をかけて)
これからも…何かあったら、何でも言ってね。言いたくないことを無理やり聞こうとは思ってないの、でも、桐島さんのことはもっと知りたいから。
(相手の微笑みに少し安心したように笑みを返し、結ばれた二人の手に視線を落としてじっと見つめながら、繋がれたこの手のようにいつまでも強い絆で繋がっていたい、そのためにたとえどんな内容であっても自分は大好きな人のことを知っておきたいと強く思い、そんな正直な気持ちを照れくさそうに、遠慮がちに、けれどはっきりと言葉にして)
ちょ、ちょっとなら……!速くないけど……、
(飛び降りの恐怖や驚きで混乱し、表情も青ざめていて、ろくに身体に力が入りそうにないものの、そんな事を言っている場合ではなく逃げなければならないという事は理解しており、少しなら頑張れそうだと答えるものの、元々筋力など皆無な上に腰が抜けてしまいそうなこの状況化である、不安げに相手を見つめ、走れたとしても速くはないと付け加え)
…はは、一応言っとくぞ。
後悔すんなよ。
(最後の警告、と言わんばかりに、はにかむ相手の唇に指を押し付け、少しだけ笑って表情をなんとも珍しく、転々と変えると、最終的には相手と同じようなほほ笑みをして)
言え、そうしないとやってやんねー。
(相手がどれだけ訴えかけ、助けを求めても、今自分は意地悪なのだ、意に介するワケもない、だから、そう。
子供っぽく、もじもじしている相手の首筋を人差し指で一瞬だけ撫でて。)
すまないがドストレートに好意をぶつけられるのもちょっとぉ…
(自分はダイレクトな好意をぶつける割に、相手からのストレートな好意を何度も受け取ると爆発するレベルで羞恥心が溜まる、だから、まぁ、自分勝手ではあるがもごつきながら言って)
______どこへ帰る。お前の場所は此処だろう?
桐島 玲。
(文字通り死にものぐるいで駆けずり回っていたが、上から見下ろせばいいという考えに至って階段を飛ぶようにして駆け上がっていたものの、誰かいるのを悟ると息を整え気配を消し、少しだけ寄ると声が届き、だからそのまま。
相手の方へ手を差し伸べ、相手の脳内に、精神に、真名を語ることで直接的に干渉し、声を届かせて。)
…いつか、また、話す時が来たら話すよ。
(結ばれた手は離さない、離せない。呪いだろう、それは確かに呪いで、毒だ、しかしそれは人を溶かすワケでも、殺すワケでもない。
共依存の毒だ、自分自身は知らぬうちにたっぷり浸かっている。
だからこそ、ここで一気に話してしまうのはもったいない、後で、後で、ゆっくり話していこう。)
「ならダメだ!何せアイツは……」
『大英雄 アキレウスの親父、だからな、俊足は親譲りだ』
「知ってたよちくしょう!玲!お前逃げろ!
くそ……《一騎打ちの戦火》だ!逃げるなよ!ペーレウス!」
(久々の超絶技巧戦闘がこれだ、当然体にもガタが来るし、疲労がドッと溢れ出てくる、今の自分では相手を抱いて逃げ切れる自信が無いし、しかも相手は俊足の英雄の親、遅いわけもない、少なくとも自分に追いつけるのは明確。
そう考えた言葉は律儀に扉から…否、扉を蹴破った音で掻き消され、思った通りの回答をする。
そしてこのままじゃマズいと思ったのか、1階ということを利用して窓を指さし逃げるように伝え。
そして指に灯った小さな火をペーレウスに飛ばしてそう叫び)
しないよ、するわけない。自分の気持ちに嘘つく方が、後悔するに決まってるもん。
(相手を求めるこの気持ちが愛だろうと毒だろうと、それが自分にとって大切な気持ちであり、今の自分が幸せであることに変わりはない。自分の想いをはっきりと受け入れてくれた相手に背中を押されるように、自分自身の中でも既に決意は固まっていて、答えなど一つしかなく。清々しいほどに真っ直ぐな瞳で後悔などしないと、むしろこの恋心を否定してしまう方が後悔すると、きっぱり言い切って)
っ……さっきの続き、して欲しいの……、
(確実に相手はこちらの考えを把握している、把握した上で言わせるつもりで、言葉にしなければ絶対に自分の望む展開にはならない、それを改めて確信すると、紅潮した顔ごと視線を床に落として困ったように考え込んで。たった一瞬首筋に触れられただけでもピクリと反応してしまい、ドキドキと期待は高まるばかりで、焦らされているようでもどかしく。もじもじと下を向いたまま、直接的な表現こそ出来なかったものの、今にも消えてしまいそうなか細い声でぽつりと呟いて)
何それぇー?そんなの分かんない。難しすぎる。もっと分かりやすく、あたしにも出来るように言ってー?
(正直なのが好きなのにストレートすぎるのは駄目、相手の言葉を耳にするなり顔を上げて不服そうに頬を膨らませ、相手を軽く睨むと冗談混じりにポコポコと両手で交互に相手の胸元を叩いて抗議して。曖昧なさじ加減など分からないから、自分にも分かるように、自分にも出来るような言い方で好みを教えて欲しいと、こちらも勝手で我儘な内容ではあるものの、好きな人の好みに近づけるなら近づきたい、そんな素直な想いを隠すことなくぶつけて)
! 桐島さん……どうして……。
──変な夢、見たの。それだけじゃなくて、あっちの方から呼ばれてるみたいな、吸い寄せられそうな感じがして……。
ねぇ、桐島さん。あたし、本に呼ばれてるんじゃないのかな…?このまま此処に居ちゃ、いけないんじゃ……、
(背後から聞こえた声にハッと目を見開いてゆっくりと振り返るものの、フェンスにかけた手は離さずにいて。相手の声が届いたおかげか虚ろだった目は晴れ、正気に戻った様子だが、その表情は未だに晴れず、重苦しく思い悩んでいるような、憂いを帯びた雰囲気で。どうして相手は自分の場所が分かり此処に居るのか、そしてどうして自分はこんな所に居るのか、二つの意味での〝どうして〟を呆然と絞り出しながら、相手と、そして自分自身と向き合うようにぐるぐると考えを巡らせてしばらく立ち尽くし、ようやく少しは状況を整理できた頭で屋上に来るまでのことを知りうる限り語りながら指差した先は、行ったこともない、知るはずもない、自分が元いた本が置かれている、相手の実家がある方角で)
…うん。
(焦る必要も急かす必要もない、これからもずっと傍に居られるなら、少しずつお互いのことを知り、距離を縮めていきたい、相手の顔を見ていると穏やかな気持ちになり余裕が生まれて。ふいに、まさに衝動的に、相手に近づきたい、現在も過去も未来もずっと相手の存在を包み込みたい、そんな想いからか相手に引き寄せられるように自然に身体が動いて、初めて能動的に、相手の頬にちゅ、と唇を触れさせ、すぐに離れると、自分でも自分の行動に驚いたよう口元を手で覆いながら、照れくささを誤魔化すように控えめに微笑んで)
そ、そんなの嫌っ!あたしだけ逃げるなんて出来ないよ!
(青年に見つかってしまったことで余計に焦りパニックになり、相手が指差した窓に一瞬視線を向けるものの、すぐに相手へと向き直ると、必死の形相で嫌だと断言して。自分が逃げずに留まったところで何も出来ないどころか、却って足手まといなのは百も承知である、しかしそれでも今ここで相手を置いて自分だけ逃げたとして、万が一相手の身に何かあったら…と想像するだけでも恐ろしく、相手を失うことも離れてしまうことも自分には耐え難くて、一人で逃げるという考えには微塵も至らずに、涙目で出来ないと叫び返して)
…あぁ、いい言葉だな、心に響く、いい言葉だ。
(人は己に嘘をついて生きていく、ただしそれは納得でも理解でもない。
それをせざるを得ない状況だからだ。
自分はそれを幾度となく経験して、同じく後悔も味わった。
だから相手の言葉が深く突き刺さる。
…故に、今回だけは、相手に嘘はつかない、自分に嘘はつかない、相手の言葉に深い意識を表すと、相手をもっともっと強く、抱きしめて)
声がちいせえ、もっと大きく頼む。
(とことんまでいじめてとことん熟すのを待つ、果実のような感覚だ、待てば待つほど、甘みは増す。
相手の言葉は当然聞こえていた、だが、これでしてしまうというのも味気ない、だから、ワンモアプリーズ、と耳を傾けそう言って)
だから、な?直接的に言うんじゃなくて遠回しに……。
……って!言えねーよ!罰ゲームか畜生!
(要するに加減の具合ではあるがおそらく相手にはまだ早い、だから遠回しに好意を伝えて貰うのが今最も合う。だが、それは自分がされて嬉しいことを晒しているような感覚になり恥ずかしく、叫んで口を閉じて)
……俺は決めない、言わない。
帰りたいなら帰れ。
残りたいなら残れ。
その二択だ、それは俺が定めることじゃない。
人を縛るのは好みじゃない、ただ言えるのは。お前が本に戻れば、二度と俺とは会えないし、登場人物として決まった行動を本が忘れ去られるまで行う機会となる。
それでもいいなら、帰れ。
嫌なら、残れ。
自分の居場所は、自分で決めろ。
(相手は本に呼ばれている、登場人物の欠けた本はそう遠くないうちに物語に矛盾が生じ、崩壊する。
だから呼ばれているのだ、必要だから。
しかし、今回ばかりは自分で決めてもらう。己の居場所は自分で定めるものであり、他人に決められて居ては何も出来ない。過去の師から頂いた言葉だ、それを少し借り、冷たく言い放って)
…玲。
(理解してくれた相手が寄ってくるのを拒む必要も無い、相手を包み込んで、蕩けて、解けるように互いにねむる。それがいつも通りとなる。
と思っていた矢先、相手からのキスが飛んできて困惑し、理由もなく辺りを見渡した後、可愛い動作をする相手にきゅんときたのか、短く名前を呼ぶと相手を抱きしめて)
『命奪わば奪われよ!忘れた訳ではないだろう!』
「っち……黙れやペーレウスゥ!忘れるわけねえだろ!初歩中の初歩だからな!あと、玲!
逃げないなら巻き込まれないように部屋の隅でうずくまってろ!今すぐ!」
(玲が逃げないと見るや今すぐ強奪せんと迫ってくるペーレウス、心得らしきものを言うとガキのように叫び返し、へし折れた矢の先端を放りかわさせ、その隙に玲の前に経つと、そう伝えて)
こんな気持ちになれたの、桐島さんのおかげだよ。…桐島さんが教えてくれたから、こんなに幸せになれたの。
(相手がいい言葉だと言ってくれたそれは、自分にとっても心に響く大切な言葉。自分が相手に初めてときめいた日、どうせ自分には身分がないから、どうせばれたら迷惑がられてしまうから、どうせ本を探し終わったらすぐに出て行かなければならないからと、心の奥では気付いていたはずの気持ちに向き合おうともせず、傷つくことや恥ずかしさから逃げるように誤魔化してしまおうとしたあの日に、自分に嘘をつくのは良くないと教えてくれたのは他でもない目の前の相手で。もしもあの時、誤魔化し通していたならば相手との今の関係も、尊い思い出も、この幸せも全てが無かった。そんなことをしみじみと考えれば、少し苦しいくらいに自分を抱き締めている相手の腕の力も今はとても心地よく感じられて、痛いくらいのぬくもりが愛しくて、そっと目を細め、嘘をつきたくないと思えるほど大切な気持ちを知れたのは相手のおかげだと嬉しそうに告げると、甘えるように相手の胸元に顔を埋めて)
…えぇっ!?そんな………!
────の…。
(相手にとってはどんなに小さな声だったとしても、全く聞こえていなかったとしても、自分からしてみれば恥ずかしくてたまらない台詞を既に一度言い、更に二度目を求められている状況である。求められたからといって平然と二回も繰り返せるはずもなく、相手の言葉に驚いたように勢いよく顔を上げると、その瞳は余計に潤み、顔から火が出そうな程にますます紅潮し、両手で大きく意味のない動作をしながらあたふたと動揺していて。こんな状態の自分が意地悪モードの相手に敵うわけもなく、諦めたように下ろした両手の拳をぎゅっと握りしめて小さく息を吸うと、今度は下ではなく相手の目を見つめながら先程と同じ言葉を口にするものの、一度目よりも二度目の方が恥ずかしいのは当然か、震えている上に語尾以外はほとんど聞こえないくらい、先程よりも小さな小さな声で)
遠回し………、
(相手が恥ずかしがっていることなどつゆ知らず、相手は遠回しに愛情を表現する方が好きなのだと、貴重な情報が得られたということで頭はいっぱいで。好きな人のことは何でも知りたい、好きな人の好みはもっと知りたい、そして好みに近づきたい、そんな乙女心ゆえに浮かれてしまう気持ちが抑えられずにニヤニヤと表情が緩んでしまいつつ、相手の言葉を復唱し、自分の顎に人差し指を当て視線を宙に向け考え込むような仕草をしながら、遠回しとはどんな言い方をすれば良いのだろうかと真剣に考えを巡らせていて)
……決める前に、教えて?
あたし、本の中に戻ったら、…本の中のあたしは、次の誕生日、17歳になった日に───、
(帰りたいなら帰る、残りたいなら残る。相手が示した二択のどちらでもない、〝残りたいのに帰る〟という選択を今まさにとろうとしている自分の中には、先程見た嫌な夢、リアルすぎる夢の内容が色濃く纏わりついていて。それは自分が次の誕生日を迎えた時の夢、その日に自分は───それが実際の本のストーリーなのだとしたら、それが本来の自分の運命なのだとしたら。思い当たる節は無いわけでもなく、フェンスを握っている自分の手に一瞬視線を向けて。ただ本が呼んでいるだけなら屋上に導かずとも普通に一階の昇降口から出ていけば良いだけの話で、こうして屋上に導かれ、フェンスを乗り越えるような行動をとろうとしている意味、もしかしたらそれは、本の世界に戻らずとも結果的にこの世界の自分が本来のストーリーと同じ目に遭えば、誕生日までに同じ結末を辿えれば辻褄が合うように出来ているのではないかと、必然的にそうなるように出来ていて、この世界に留まったとしても運命には抗えないのではないかと…考えているうちにガクガクと足が震え、相手に本の内容を確認しようとするも、冷たく吹き抜ける風がそれ以上を語るのを拒んでいるようで、見えない風に遮られるようにその先は言葉にならずに詰まってしまい、物悲しく髪を靡かせながら視線を足元に落とし、そのまま黙り込んでしまって)
…名前呼ばれるの、好き。あたしの名前が好きだし、…桐島さんに呼ばれるのが、大好き。
(記憶のない自分にとって、今の自分の名前は相手が与えてくれたも同然の、とても尊くて愛しいもの。そんな大好きな名前を大好きな相手に呼ばれる度、存在を認められているように、自分を求めてくれているように感じられて、とても満たされ、優しい気持ちで胸がいっぱいになる。キスをしてしまった恥ずかしさより、名前を呼ばれて抱きしめて貰える嬉しさに身を任せていたくて。大好きな相手の香りに包まれてドキドキと胸を高鳴らせながら、ただ名前を呼ぶだけの行為に込められた大きな愛を噛み締めるように、ほんのりと頬を染めつつふわりと微笑み囁いて)
わ、分かった!
…お願いします、桐島さんに酷いことしないで…!!
(自分だけ安全なところに避難するのは非常に情けなく罪悪感があるものの、ただでさえ足手まといなのだからこれ以上迷惑をかける訳にはいかないと、相手の言葉に素直に従い、部屋の四隅のうち一番遠い角まで何とか駆けていってうずくまり。顔を伏せていても二人が争うような音は絶えず耳に入り、このまま自分は何も出来ないまま、ただ相手が傷ついてしまうかも知れないのを見過ごすのかと思うと耐え難くて。被害は少ない方が良いに決まっている、ダメ元でも良いから何とか話し合いで解決出来ないものかと、甘い考えかもしれないが何も言わないよりはましだろうと、うずくまった体勢のまま、声を届かせるために顔だけを上げ、必死になるあまり裏返った声で青年へ訴えかけ)
……俺、そんなこと言ってたっけなぁ……
悪い、あんまり覚えてないんだ……
(己の言葉に責任は持てない、何せ、相手の為なら嘘だって偽りだって、それならば何だって口にして、相手を抱き締める、滅茶苦茶だと、無責任だと、詰られたって構わない。
もう自分は死ぬほど嘘で塗り固められた存在だ、だから、相手と居る時、言葉には嘘を交えようとも、自分の愛には嘘をつきたくない。
そう思い、言って、抱き締める手を少し弱める。愛らしく、優しく、再度抱きしめる。)
わんもあぷりーず、はよはよ。
(相手がこんな状態になるのは分かっていた、ただ、ここでコロッと言葉を覆すのはなんかスッキリしない。
しかも、今回ばかりは本当に聞こえていないのだ、仕方ないと自分に言い聞かせると耳元を相手の方へ寄せると、どこかおかしいテンションでわんモアを求めて)
真面目に考えるなよ…
(恥ずかしさのあまり目を逸らしたというのに、それを真面目に思案されるほどこと恥ずかしいことは無い。
泣きそうになりながら顔を覆い、小さい声で言って)
………
…バカが!!決まった運命なんぞある訳ねえだろ!確かに!お前はこのまま行けば思った通りになる!
だけど、だけどな!
『選択する自由のない世界』を俺は認めない!
辻褄合わせのために殺される『人間』が居てたまるか!
そんなもん、そんな人生!俺が書き換えてやる!
分かったか!分かったなら、そこから離れるか、運命に従って死ぬか!決めろ!『生きている人間』の、他ならぬ、お前が!
(相手の言葉に間違いはない、ストーリー上避けられない死はよくあることではあるが、もし、その子が震えて何ともならない状況で、その子に手を差し伸べれるならば、自分は差し伸べたい、ずっとそう考えていた。
何より相手を助けたい、人間であり、自分の想い人を。
だから手を伸ばして、最後は相手に委ねる。叫んで、激情を、ぶつけて)
っ……そりゃ、良かったよ…。
(理性のタガを抑えつける。抑える意味は分からないが、抑えなければいけない気がして、抑える。
囁きでタガは外れそうになるが、相手を強く強く抱きしめることでどうにかして)
『……マドモアゼル、貴女にはこれがひどいことに見えますか?』
「他人の意見に口出しすんな**!」
(相手の言う、ひどいこと、さもそれが今の状況、果たし合いに似合わぬ言葉のように玲の方を見て聞く、しかしその問は途中で文字通り横槍を入れてきた彼によって中断されて)
いいの、あたしがちゃんと覚えてるから。
(覚えていないのが悪いことだとは思わなかった。むしろ自分の心に響いた、自分の人生に影響を与えてくれたといっても過言ではない言葉は、相手にとっては気負わず自然に出てきた言葉だったのだろうと解釈し、そんな素敵な言葉が自然に出てくる相手の考え方そのものが素敵とさえ思えて、ますます胸の奥が暖かくなる。相手が自分に嘘やいい加減なことを言ったことなどないし、言うような人だとも思っていない。どこまでも相手の言葉を、相手の愛を信じていて、自分はその愛に救われている、だから同じくらい、できればそれ以上の愛で応えたくて。幸せに浸りながら頬を緩め、弱められた腕の力に反して今度は自分がありったけの愛を込めるように、相手の背中に回した腕にぎゅっと力を込め、よりぴったりとくっついて)
…キス!して欲しい……!
(はっきりと言わなければ何度も聞き返されるはめになり、長引けば長引くほど恥ずかしさは増していく。そんな事実にようやく気がついてしまって、完全に逃げ場をなくしたと悟れば困ったように、真っ赤な顔で再び俯いてしまい。それでも、そろそろこの恥ずかしさにも、何より焦らされ続けるもどかしさにも耐えられそうにない。こうしてもじもじとしている間にもきっと、近くに寄せられた相手の耳には、自分の熱っぽい息遣いが聞こえてしまっているのだろう、そんなことを考えつつ、一刻も早くこの状況から解放されたくて、もうヤケだと言わんばかりに相手の肩に手を添え、ぐいっと更に相手を自分の方に引き寄せると、寄せられた耳のすぐ側で、はっきり、直接的な表現で、甘い甘いお願いを口にして)
ご、ごめんなさい…桐島さんの好きなこととか、あまり知らなかったから嬉しくて…、
(相手が恥ずかしそうにしている理由はよく分からなかったが、それでも照れたように顔を覆う相手の姿を見ると、それにつられてなぜかこちらまで恥ずかしくなってきて。どんなに些細なことでも、相手の好みは自分にとっては貴重な情報。恋人なのに好みをあまり知らないというのも不思議な感じがするが、恥ずかしくて自分から聞く勇気もなければ、今の相手の反応を見る限りきっと相手も恥ずかしくてなかなか教えてくれなかったのだろう。薄く頬を染めて反射的に謝りながらもその頬は緩み、嬉しくてつい真面目に考え込んでしまったのだと正直に告げて)
──ッ!?
…………決めても、いいなら…………、
(叫ぶようにきっぱりと言い切られた言葉に思わず顔を上げ、目を見開く。やはり本の世界の自分の未来はあの最悪な夢の通りになってしまうらしい、そこまでは予想出来ていて、心のどこかでは覚悟もしていて、想定通りだったのに。真っ直ぐ過ぎるほどに真っ直ぐに放たれた相手の言葉がどこまでも予想外で、あんぐりと口を開いたまま固まってしまって。普通の人間と身体の造りは何ら変わりなくても、本の世界から一歩出てしまえば、この世界では自分はただの紙と文字の集まり。触れれば暖かく、怪我をすれば痛くて血だって出るのに、人間として扱ってもらえるか、生きていると見なされるかどうかも怪しい、そんな自分がいつかどこかで死んだとしても誰も何も思わないのではないかと、そう思っていた。けれどそんな自分のことを〝人間〟だと、〝生きている〟と真っ直ぐな瞳で告げられ、手を差し伸べられれば、丸く見開かれた両目から大粒の涙が溢れて止まらなくなってしまって。大好きでたまらない相手が、この先すぐに死んでしまうかもしれない自分を〝生きている人間〟として扱ってくれた、書き換えてやるとまで言ってくれた。それは自分が一番求めていた、一番欲していた言葉のような気がして、これまで自分の運命に勝手に傷つきながらも、自分を一番人間扱いしていなかったのは他でもない自分だったような気もした。もし運命に抗えるのなら、人生を自分で決めてもいいのなら…濡れてぼやけた視界でも分かる、視線の先に立っている、手を伸ばしてくれている相手の元へと近づきたくて、フェンスに添えていた手を離すと、素直な感情のままに、引き寄せられるように足を踏み出して)
…ああいうの、嫌いだった?
(抱き締められて落ち着いてくるにつれて、慣れない自分の行動に、今更ながら不安になってしまう。恥ずかしさはさておき、女の子の方から積極的にキスをしてしまうというのは、相手にはどう映っただろうか。当然経験もなく、普通はどうなのか基準もさっぱり分からないため、はしたないと思われていないか、引かれていないかと心配で、要は相手に嫌われたくなくて。相手を想うあまり勝手に身体が動いてしまったものの、何だかいけないことをしてしまったような気がして、どこか後ろめたくなって。抱き締めてくれている相手の顔色を伺うように見上げながら、少し落ち込んだような表情で軽く首を傾げ、相手の気持ちを聞いてみて)
…見えます。怪我しそうだし、危ないから──だから、言葉で何とかなりませんか?
(青年の問いからしてつまり、このような状況は青年にとっては酷いことでも危ないことでもない、ひょっとしたら当たり前の、日常茶飯事なのではないかと思ってしまったが、無知で争いごととは無縁な自分にとっては紛れもなく危険な暴力で、酷いことである。青年のことを何も知らない自分がそう断言してしまうのは気が引けたが、そう思ってしまったのは事実で、二人のことに自分が口を挟むのはおこがましいとは思いつつも、桐島さんのことが心配な故に出来れば危険なことはやめてほしいのも本心である。だから、危ないからと理由までつけて正直に答え、用件や目的があるのなら力ではなく言葉でどうにか出来ないかと、怯えたような目で青年を見つめながら、頼み込むようにおそるおそる尋ねて)
…なんか、お前と軽々しく約束したくねえな。
(抱き締めて相手から言葉を返されると、やはりと言うかなんと言うか、後に羞恥心が纏めてやってくる。
だから、相手からのダイレクトな純愛は、やっぱり恥ずかしい、自分らしく、そう軽いノリで言う。
軽々しく言ってしまった言葉を空いては全て覚えている、なら自分が軽く言ってしまった約束も相手は覚えているだろう、言ったからには応えるが、なんか、こう、変な感じがする。
微笑みながら言うと、片方の手を相手の頭を撫でるのに回して)
……言えるじゃねえか、最初からそうしとけよな。
(いつもの彼だったらダイレクトな言葉を受けてだいぶ仰け反っているだろうが、意地悪な彼のためそんな事はなく、一瞬で相手の肩を掴むと一気に体の向きを変え、相手の唇に唇を重ね、優しさも気遣いもない、本当の獣のような貪るようなディープなキス、それをして)
わかる、わかるけどな、本人の前でそうやって知って喜ぶヤツ俺初めて見たし、やっぱ恥ずかしいんだわ…
(相手が喜ぶ理由はよくわかる、好きな人のことを知りたい、別側面だろうが、何だって知りたい、知れば嬉しい、けど直接聞くのはなにか小っ恥ずかしい、よーく分かる。
だけれど、相手の反応が思っていたのと違く、本気で受け止められるとやっぱり恥ずかしい、それを言えないまま、とりあえず恥ずかしいことを伝えて)
決めろ、決めちまえ、お前の人生だ。
(自分の言っていたことは正直子供で、正論を前にしたら叩き潰される脆い言葉だ。
だけど、それでも助けたい、それで動いてはいけないのか?
目の前に泣きそうな少女が居ても、ダメなのか?しかし、今、ここには二人しかいない、好きにしてもいいだろう。
相手に決めさせる、相手が決める、相手の人生だ。
自分は手を出すが、掴むのは相手だ。
自分からは一歩も近づかない、ただ、もっと、もっと、手を伸ばして、相手が掴みやすいようにして。掴まれるのを、待つ。)
…すっげー可愛いよ、今も、さっきのヤツも。
(相手の動作、相手の言葉に一々ドキドキしてしまう、いつから自分はチェリーボーイ並の心情になったのだ?と考える暇もない、抗い、抑える、その必要性は最早感じないが、獣の矜持というやつだ。
だから可愛いとだけ、そして抱き締めることだけをする。)
『!?……はは、ハハハハッ!
いや失礼、あまりにも甘ったれた戯言だった故、つい笑いが零れてしまった。
あー、いや、非礼を詫びよう、マドモワゼル。
そして同時に、敬意を示そう。先の言の葉、今を生きる人間ならば震え上がるほどの波圧を込めたはずなのだがね。
それを諸共せず言葉を放った貴女の言葉、聞き届けよう。
それで?どんな言葉で納得させてくれるのかね?』
「ぐぐぐ……って、は?
…今を生きる人間…?…あっ。なるほど……。」
(まず、向かってくる彼の手を掴むと玲と会話をしたいがために多少なり強く拘束する、力の差は歴然だが、トドメは刺さないらしい、そして言葉に笑い、そしてまた変わった口調、どうやらこれが素らしく、ぺらぺらと話すと。
今を生きる人間、限定の攻撃、本から出てきた今の生きる人間枠には一応外れたもの、それを気に入ったかどうかは分からないが、どう自分を納得させるかが気になったのも事実。
彼は何かを察したようで彼の拘束から外れて玲の方まで駆けていき、敵対しないなら、と玲の言葉を待ち)
でも桐島さんなら、絶対守ってくれるでしょ?
(わざわざ尋ねるまでもなく、相手は約束したからには必ず守ってくれるだろう。例えそれがうっかりしてしまった約束だとしても、最終的に守られるのであれば軽々しくなどなく、十分誠実だと思う。相手には揺るぎない信頼を寄せているから、きっと軽々しい約束はしないし、したとしても守ってくれると安心しきっているのだが、それを面と向かって言葉にするのは少し擽ったくて。照れ隠しも兼ねた微笑みを返しながら、軽いノリの相手に調子を合わせるように真面目な本心を冗談めかして告げると、頭を撫でられる感覚に酔いしれるように瞳を閉じ、そのまま幸せそうに心地良い手の感触を堪能して)
んン!───はあっ、
(恥ずかしさなんて一瞬で吹き飛んでしまうくらいの、これまでの甘く柔らかなキスよりも何倍も何十倍も、きっとそれ以上に刺激的で痺れるようなキスに、本気で腰が砕けてしまいそうになる。散々焦らされたそれは信じられないほど、全身が痺れるくらい気持ちよくて、力の入らない身体はこのままふわふわとどこかへ浮いていってしまいそうで、まともに立っているのも難しいくらいにうっとりと、強引なキスの虜になっていて。気分が高まっている中で焦らしに焦らされた挙句の、待ちに待った大好きな相手との触れ合い。これだけの条件が重なった最高のキスに、次第にくらくらと頭が真っ白になってくるものの、未だかつて味わったことのない強い快感に溺れるように甘い声を漏らしながら、ぎこちないながらも無我夢中で応え続けて)
え、えと…、これからは桐島さんの前で喜ばないように頑張るね…?
(嬉しかったからつい真に受け、つい態度に表れてしまった、ただそれだけの事なのだが、目の前で相手に恥ずかしそうにされると、やはりこちらにも恥ずかしさが伝染ってしまって、ほんのりと染まった頬の熱を冷ますかのように、無意識に自分の頬に手を添えて。ただし自分の場合はこの雰囲気に何となく照れているだけでよく分かっておらず、脳内は相手の好みのことでいっぱいでろくに頭も回っていないため、次からは相手がいない時にこっそり喜ぶようにしようという単純な発想に至りつつ、文字通りよく分かっていない様子で、自信なさげにどこかずれた宣言をして)
………ッ!
(勝手に本から抜け出して、勝手に人を好きになって、勝手に〝生きたい〟と思い始めて、勝手に運命に抗う…そんなことが本当に許されるのだろうか。自分が此処に居たいと思うこと自体が大変な罪なのかもしれない、もしかしたらその罪に相手を巻き込むことになってしまうかもしれない。そのことには気がついていたが、それでも、他の誰に許して貰えなくても目の前のただ一人の愛する人に受け入れて貰えればそれで良いと、それが良いと、どこまでも勝手なことを思ってしまった。相手が決めてもいいと言ってくれるなら、自分で決めた人生を、自分の生きたい人生を、堂々と過ごしたい。罪悪感に押し潰されそうになりながらも、相手を求めて動く身体を止めることは出来なくて。止められないならこれが自分の本心で、これが答えなのだろう。伸ばされた相手の手に届く距離まで歩み寄ると、躊躇うことなく優しいその手を掴んで握りしめようと──触れた瞬間に感極まり、顔をぐちゃぐちゃにして激しく泣きじゃくって)
! 可愛いっ?……う……、
(自分から尋ねたくせに、返事を聞けば目を丸くして紅潮し、そのまま何も言えなくなってしまう。だってあまりにも予想外だったのだ。嫌か嫌じゃないか、単純にそのどちらかの答えが返ってくることしか頭になく、それ以外は何の覚悟もしていなかったため、不意打ちで褒められると、嬉しすぎたり恥ずかしすぎたりする感情を隠す余裕もなく、少しだけ困ってしまって。それらの感情を全てぶつけるかの如く、相手の胸元に顔を埋めて押し付けるようにぎゅ?っとより強く抱きついたまま、顔を上げることも出来なくなって)
…いっ、一緒に考えましょう!あなたがあたし達を追い掛け回したりしなくても楽しくなれて、気分よく帰ってもらえるような方法を──あ、あなたにとって一番楽しいことを教えてください、そ、それを今から皆で一緒にしませんか?…いいよねっ?桐島さんっ!
(正直、青年が追い掛け回したり暴れたりするのを何とか止めようということで頭がいっぱいで、青年が桐島さんに変なことをしないように頼み込むのに必死で、その先のことは何も考えずに勢いで発言してしまった…なんて、口が裂けても言えるはずがない。ダメ元で口にした発言を、まさか青年が聞き入れてくれるなんて思ってもみなかった上に、とても口には出来ないが青年の風貌もなかなかに恐ろしくて、今更ながら焦りと恐怖でおろおろと慌て始めて。しかし言い出したのは自分である、何か言葉を返さなければと無い知恵を振り絞るものの、そもそも青年のことをよく知らないのに、納得してもらう方法を思いつくわけもなく。追い詰められるあまり、どうやって納得してもらうかを青年本人にも考えてもらおうというぶっ飛んだ思考になり、まずは青年の一番好きなことを聞いてみようと、それを一緒にすれば危険なことをするよりも楽しいと思い、満足して貰えるのではないかと考えて。桐島さんは嫌がるかもしれないが、このまま二人で争って怪我をしてしまうよりは絶対にましなはずである。平和に解決するために、今だけは我慢してもらって後でめちゃくちゃ謝ろう…なんてことを思いつつ、青年の瞳を真っ直ぐに見つめながら、安直すぎるようで自分にとっては精一杯考えた結果を口調だけは明るくハキハキと提案するものの内心はかなり不安で、青年から見えないところで近くにいる桐島さんの服をぎゅっと握りしめながら口調の明るさに似合わずぷるぷる震えているという、陰では何ともちぐはぐな感じになっており)
守る、守るさ、お前が俺を信頼してくれてる限りは。な。
(ニッと笑い、約束は守るとちゃんと伝えるが、しかし、それは限定的で、相手が自分を信じてくれて、それでいて相手と自分が愛し合っているのならば、相手との約束は破らない、しかし条件は意外と厳しい、まぁ、相手と自分となら、関係ないだろう。
そして口にしたことが少し恥ずかしくなり、相手の耳タブを甘噛みして)
んぐ……じゅるっ……む…
(答えてくれるのならば自分もそれ相応の愛を示す、相手を蕩かして、腰を砕いてその後たっぷり愛撫してやろう、そんなことを考えて舌と舌を絡め、呼吸困難になりかねないキスを更にして)
そーいうんじゃなくて……好きな人のことを知ってそのことを本人の前で喜ぶヤツ見ると恥ずいんだよ…喜ぶなら俺の前で、いや俺以外の誰にも喜ぶな。
(言い方が悪かったのかなと感じ、しっかりと言い直してまぁ恥ずかしさは全く変わらない、だから、相手が自分の前で喜ばないというのは嫌で、それは困る、だからと思って言おうとするが、相手を独り占めしたいがためにかなり相手を縛ることを言って)
…よし、よし、泣いていい、泣き止むなら、結果オーライだ。
(感極まって泣き出す相手の手を引いてそっと抱きしめ、子供を寝かしつけるような親の手でぽんぽんと背中をリズミカルに優しく叩き、安心できるよう、ここが相手の居場所になるよう願って、抱きしめて離したくないから、もう二度と離したくないから、優しくキスをしてやり)
そう、可愛い、んー……いい匂いもする、やっぱり女の子なんだな。
(相手が恥ずかしがって顔を上げられない状態になると逃げれないようにがっちりとホールドし、相手の頭にそっと鼻先を当ててくんくんと嗅ぎ、セクハラまがいのことを当然のように言って)
『……好きなこと、か。
探求だ』
「戦いじゃねえのか……ほら玲、大丈夫、大丈夫だぞ。」
(相手の言葉には大人しく従い、好きなことを包み隠さず伝えるが、彼自身は首を傾げて他の候補をあげるもののないらしく、不審に思うものの震える玲の手をそっと握って安心させて)
じゃあ、ずっとだね……、っ!
(大好きな相手に寄せている信頼が、ちょっとやそっとのことで簡単に崩れるとは思えない。となれば必然的に、相手の言う条件はこれからもずっと約束を守ってくれると言っているようなもの。相手の腕に包まれて微笑みながら嬉しそうに、当然のように即答する…が、うっとりと瞳を閉じていたため、ふいに耳たぶに甘い感覚が走ると驚くと同時にぴくんと大袈裟に反応してしまい)
…ん、……ちゅぅ、
(こんなに身体中が痺れるようなキスをしたのは初めてで、強烈な快感に脳がとろとろに溶けてしまったようで、もう何も考えられない。恥じらう気持ちなど完全に置き去りになっており、かろうじて耳に入ってくる唾液の音も、ドキドキと気分を盛り上げる要素にしかならなくて。ふにゃふにゃに蕩けきった表情を浮かべて刺激的なキスに夢中になっていたが、とうとう身体の力が抜けきって自力で立っているのが難しくなると、舌同士を絡めたまま、縋り付くように相手の首元に両腕を回して)
あ……う、うん…桐島さんの前で喜ばないようにする方が難しそうだし…、
(改めて言い直されると、ようやく相手の言いたいことを理解したようでハッとするものの、気がついたら気がついたで、自分がとった行動を真正面から指摘されているようでかなり恥ずかしく、一気に顔に熱が集まるのを感じ、頬に当てていた両手で顔を覆い隠して。独占欲が込められた強引な言葉にさえドキッとときめいてしまう自分は、相手の傍に居るだけで嬉しくて、既に相手のことばかり考えている。だからもう言われるまでもなく重症で、相手の前で喜ばないようにする方が難しいだろうと思い、照れたようにもじもじと視線を逸らすと、困り顔ながらも満更でもなさそうに呟いて)
……ッ、い、いま……しょっぱいから…っ、
(堰を切ったように溢れ出した涙は止まることを知らず、完全に子供のように、時折しゃくり上げながら相手の胸におさまり、心の中でぐるぐると巡っている様々な感情をすべて吐き出すかのように泣き続けて。そんな中降ってきたキスに目を丸くして頬を染めるものの、涙だらけの決して綺麗とは言えない状態の顔を見られたり触れられたりするのは、こんな状況でも気になるし申し訳なく感じてしまい、びしょ濡れの顔を隠すように俯き気味に顔を逸らして)
も、もぉ!…あんまり、嗅がないで…?
(自分に分かるように堂々と匂いを嗅がれ、感想まで言われると、恥ずかしさに更に追い討ちをかけられたかのように真っ赤になり、抗議するように軽く頬を膨らませて文句を言うものの、正直こればかりは人のことは言えない。実は相手の香りが大好きで、ここまでストレートではないにしてもこっそり嗅いでみたり、喜んでみたり、何なら今もドキドキしている…なんて絶対に言えるはずもなく、何となく後ろめたそうな様子で、相手を咎める語気も大して強くはなく、どこかはっきりしなくて)
探求?素敵ですね。危なくもないし、とっても良い趣味だと思います!…それで、何を探し求めてるんですか?言い出したのはあたしなので、お手伝いします!
(探求という返事が返ってくると、見かけによらず青年は努力家なのだろうと感心したように瞳を輝かせて、素直な感想を口にして。表情を輝かせたのは、危険な内容の答えが返って来なくて安心したという理由もある。何をどう探求しているのかは分からないが、追いかけ回されたり桐島さんと戦い始めたりするよりは、青年の探求を手伝い、求めているものを見つけて満足してもらった方が遥かに安全に解決するだろうと考えて。桐島さんに手を握ってもらっているおかげもあり、返事を聞く前とは打って変わってすっかり安心しきった様子で微笑みながら、探求を手伝うといきいきと申し出て)
流石にもう居ねえかな……。
言い訳はしない、遅れたのは事実だからな。
居なくても文句は言わない、文句を言われるべきは俺なんだからな。
…さて、と、一応返信しますかね、きっと、最後の。
可愛い反応するじゃねえか、不意打ちには弱いか?
(誰しも予想の外からの行動には弱いものだが、相手の反応が思った以上に可愛いと感じてしまって、とりあえず耳朶からは口を離すものの、わしゃわしゃと犬の毛並みを乱暴に撫でるように、玲の頭を撫で)
むぐ……ぷはっ……。
気分はどうだ?蕩けそうだろ。
(相手の体から力が抜けると、相手の少し運んで、布団の上に下ろすと絡めていた舌を解き、口付けをやめて。
そして、相手の頬を愛おしそうに撫でながら、そんな質問をして更に蕩かして)
…そりゃ、良かった。
お前は俺のものだからな、血の一滴から、お前の心の隅から隅まで、全部、俺のもんだ、他の誰にも渡さない。
(相手の言葉を聞くと安心して、そしてそれと同時に、相手を自分のものだと証明したくなって。音もなく一瞬で相手の耳元まで口を寄せると、独占欲の強い言葉を囁いて)
そっか、それなら…
(顔を逸らされてしまっては、今更ながら強要するのも申し訳なく、相手の顔をそっと自分の方へ向けさせると、泣きやすいように自分の胸に相手の顔を埋めて、好きに泣いていい、と短く言ってみて)
えー、だって、本当にいい匂いするし。
(相手が文句を言おうとこっちを向いて頬をふくらませた瞬間、くんくんとまた犬のように相手の頬に顔を擦りつけ、匂いを嗅いではいい匂いがするとナチュラルに答えてみせ、そして、自分の服の裾を相手の鼻っ柱の前にチラつかせたりもしてみて)
『この世に留まる方法』
(胡座をかくとその足の真ん中にちょこんと玲を座らせ、ナチュラルに仲の良さを見せつけると、少し不機嫌そうに答える男、しかし、それはあまり理解のできないもので)
桐島さんっ!おかえりなさい!!
(相手の姿見かけてぱあっと瞳を輝かせながら一目散に駆け寄り、勢い良く相手の胸の中にダイブして)
居なくなるわけないでしょ?信じて待ってるって約束したし。何かあったのかなぁってちょっぴり心配はしたけど…でも無事ならいいの。帰ってきてくれて本当に良かったー!
…えへへ、嬉しすぎてこっちだけ急いでお返事しちゃった。本編のお返事はお時間もらってもいいかな…?
絶対にお返事するから、待っててくれたら嬉しいなー。だからもう最後なんて言わないでねっ?
(冗談めかすような口調で軽くムッとしながら頬膨らませ)
おおっとと……
…ただいま、玲。
(自分の胸に飛び込んできた玲をそっと撫でると、ただいま、と言って)
まぁ、色々あってな。
でも、約束を律儀に守っててくれて俺は嬉しいよ、俺はこんなに誠実な彼女を置き去りにしていたとは……。
後悔が深まる……ま、まぁ、俺は無事だよ。
ありがとな、心配してくれて、待っていてくれて。
分かったよ、待つ、俺が待たせちまったからな、待つよ。
お前の心意気に俺も答えねえとな、だから、もう最後なんて言わない。
不意打ち、っていうか……髪の毛乱れちゃうから…!
(不意打ちをくらった所為なのもあるにはあるが、こんなにも過剰に反応してしまうのは他でもない相手からの戯れだからで。それを言葉に出来るはずもなく、きっと一方的に恥ずかしくなるだけなので言葉にしようとも思わずにもごもごと濁したまま、言葉とは裏腹に幸せそうな表情で撫でられながら相手の手に擦り寄っていて)
…っ、桐島さん、ずるい。
(自分はこれ程までに蕩かされて身体中の力が抜けきっているのに、相手は自分を運ぶどころか恥ずかしすぎる問い掛けをしてくる余裕まであるようで、すっかり火照った頬に触れられて余裕を見せつけられると先程まで吹き飛んでいた恥ずかしさが再び押し寄せてきて、質問に答えることも出来ずに顔を真っ赤にし、ただ相手を潤んだ瞳で見つめるだけで)
うん、絶対…他の人に渡すとか言わないで欲しい…、
(耳元で囁かれる言葉のひとつひとつにいちいちときめいてしまい、強引なはずの言葉でさえ大好きな彼の傍に居ることを許されているような、居場所を与えられているような気分になれば悪い気はしないどころか喜んでいる自分がいて。一瞬だけ相手に視線を向けて相手の言葉を肯定するもすぐに照れてしまい、紅潮した顔をささっと逸らして)
うぅ……、……っ、
(相手の胸に顔を埋められたこの状態では泣き顔を見られてしまうこともなく、咄嗟にそこまで配慮をしてくれる相手の優しさも胸の奥に染み渡るほど暖かくて、溢れ出した涙は一向に止まる気配がなく、相手にぎゅっと強く抱きつきながら涙を流し続けて)
!!はっ、恥ずかしいよ…!
(至近距離で漂う相手の香りにドキドキと鼓動を早めながら、更に自分の匂いを嗅がれている状況を意識してしまえば顔に熱が集まっていくばかりで、林檎のように真っ赤になったままこの状態から目を逸らすかのように固く目を瞑って)
留まる方法?えっと…今は留まれてないんですか?
(どこか不機嫌そうに見える青年に首を傾げつつ、帰ってきた答えを復唱してみるものの、自分から見れば青年は今まさに目の前に問題なく存在しているように見え、留まりたいならこのまま留まればいいのでは…なんてことを単純に思いながら不思議そうに目を瞬かせて)
桐島さーん、お待たせっ。
時間かかっちゃってごめんね?
ううん、無事に帰ってきてくれたらそれでいいの。
これからもあたしは待つの平気だし、あんまり無理しないでね?
ゆっくりでも楽しくお話できたら嬉しいな。
じゃあ、よろしくお願いしますっ。(ぺこり(蹴り可))
あとで直してやるから。
……犬みてえだな、やっぱ
(髪を撫でながら少しずつ整え、その撫でる手にすり寄って来る相手を見ると微笑ましく、そしてよく懐いた犬を相手に幻視するものの、それを振り払ってまた荒く、今度は両手で相手の頭を笑いながらわしゃわしゃと撫でて)
あぁそうだとも、俺はズルい。
……分かってるよ、お前がとっくに蕩けきってることなんて。
(見つめられるとこのまま意地悪するのもあまり良い気分もしなくて、相手の頬から手を離すと相手の肌を服越しに指でなぞり、そしてそのまま相手に覆い被さると、耳元でそう囁き、相手の反応を待って)
渡さねえ、絶対にな。
(ギューッと相手を強く抱き締め、その目は澄み切って、いっそ清々しいほどの独占欲、束縛で。
しかしそれさえ喜ぶような反応を示す相手に嬉しく、顔をそらされても抱き締めることは辞めず)
大丈夫…大丈夫だぞ、ここにはお前の場所がある。
(優しく、愛おしく、包み込むように相手を撫で、そして抱くように抱きしめて、ここには居場所があると、もう一度、実感させるかのように伝え、泣く子供を宥める親のように撫で続けて)
恥ずかしいのか?もうこんな距離感だったら恥ずかしいも何も無いと思うけどなぁ。
(変わらずすんすんと鼻を鳴らして匂いを嗅ぎ、そうしているうちに恥ずかしがる相手に疑問を感じるものの、相手がそう思うならそうなのだろうなと思い、気にせず匂いを嗅いでいると、その内自分の香りが相手の鼻を突いて)
『楔だ、楔。
神々は星座にその原点の人間を縛り付け、空で光らせた。
ケイローン、アスクレピオス、蠍、オリオン、全員、今の空で輝いている。
俺もそのうちの1人だった。
…だった、んだ。』
(簡単に言ってしまえば、今この場に居たとしてもその内空に引き戻されて縛り付けられる、それが嫌で嫌で、この世に留まりたいと願っているらしく)
…なんか遊んでなーい?
(犬みたいと言われると、褒められているのかどうかも怪しく微妙な気分になり少しだけ不服そうに膨れてみせて、笑われていることといい相手の撫で方といい何だか愛でられているというより自分を使って遊ばれているのでは…なんてふと思ってはそんなことを一応尋ねてみるものの、理由はどうあれ撫でられるのが嬉しいため答えは対して気にしていなくて)
ツ、…やっぱり、
(案の定自分が答えるまでもなく相手には全てお見通しで、それだけ相手には余裕があるのだと思い知れば経験の差を見せつけられているような気がして、少しだけ相手に釣り合うように背伸びしたい、強がってみたいという気持ちが芽生えてしまいやっぱりと口にしてはみたものの、相手に触れられる度に心臓が身体を突き破ってしまいそうなほどドキドキしていて余裕などなく、耳にかかる相手の吐息にぴくりと身体を震わせながら期待するような目で相手を眺めていて)
…んふふ。
(苦しいくらいに強く抱きしめられると物理的にも精神的にも相手に包まれ、満たされ、相手のことで頭はいっぱいで、ドキドキして恥ずかしいのにやはり嬉しくて幸せで、顔を逸らしていてもきっとバレてしまう程に顔は緩み、にやけてしまうのが声にも出てしまっており)
──…ありがと、桐島さん…でも制服…、
(相手の優しさに甘えて暫く泣き続け、少しは落ち着き次第に冷静さを取り戻してくると相手から離れて緩く微笑みながらお礼を言うも、自分が顔を埋めていた相手の胸元は予想通りぐっしょりと濡れて悲惨な状態になっていて、それを目の当たりにし申し訳なさそうにしゅん、と眉を下げて)
恥ずかしいに決まってるでしょ?そ、そんな、こ、こんなに近くでっ、…す!すき…な人に、……匂い、嗅がれる………とかっ!
(不思議そうに尋ねてくる相手に恥ずかしいに決まってると食い気味に即答するものの、わざわざ言葉でこの状況を解説しているみたいで答えているうちに余計に照れてしまい、一度意識してしまえばとうとうどの単語もとても恥ずかしいもののように思えてきて、更に相手の香りが鼻腔をくすぐればもう何を喋っても真っ赤になるのではないかという程過剰に恥ずかしくなり、ぷるぷる震えてどもりながら顔の赤みは増すばかりで)
お空に帰りたくなくて、ずっとこっちに居たいってこと…?うーん、桐島さん、何とか出来ないかな?
ほかに同じ状況で留まるのに成功した人とか居ないんですか?
(青年の話は自分には難しく、ましてや青年の求める方法など分かるはずもなかったが、聞いてしまった以上は知らないと突き放す気にもなれず、出来ることなら力になりたいと思い…とは言っても自分だけでどうにかなりそうな話でもないため、うーんと唸りながら考え込むような仕草をし、桐島さんに何か知らないか尋ねてみたり、青年に過去に同じ状況からこの世に留まれるようになったことのある人物は居ないのかと聞いてみて)
遊んでない遊んでない、愛でてるんだよ
(そう言われるとまぁ遊んでいた気がしないでもないが、意図せずそんな形になってしまっただけの事。
だから、今度は言った通り、花を撫でるように繊細な手つきで相手の頬や頭を優しく撫でて、相手を慈しむように愛で撫でて)
…さてと、目を逸らすなよ?顔も逸らすな、お前の面がよく見えねえからな
(経験などなくても、ハッタリと強がりでまぁ行けるものなのだなと思い、相手の耳に吐息をフッと吹きかけると、また強がりで言葉を並べ、しかしボロは一切出さず、そのまま、言うなれば、相手とじっくり愛し合って、そのまま2人とも寝落ちして)
……はい終わり、一旦離れろ。
(しばらく相手を抱きしめていたものの、長く続けるとやはり冷静になってきて、とても恥ずかしく、赤くなった顔を強引に元に戻すと、相手の肩を掴んで押し、自分から離し、抱きしめるのもやめる、そうして自由になると、近くにあった椅子に気が抜けたように座り込んで)
こんな制服変わりはいくらでもあるっての、それより自分のことを考えろ、これからとか。
(相手の涙で濡れてしまった制服の上を脱ぐとシャツ1枚になり、その制服を軽く畳むとても自分の肩にヒョイッとかける。
そして、悲しそうな顔をする相手の頭をポンポンと叩くと、これからのことを考えようと提案をして)
へぇー…好き、ね。
それはいいことを聞いた、もっと虐めてやる。
(結局はそういう考えに至り、真っ赤になって震える相手の肩をガシッと掴むと、相手の首元に顔を寄せて、また匂いを嗅いだ後に、服の袖を相手の鼻に押し付け、少し強引ながらも匂いを嗅がせ、黙らせて)
「うーんとな、成功者は俺しか居ないかな」
『そいつ、不死性を示す星座に縛られたドゥディスは、とある方法で下界に再臨し、今こうして生きている』
(尋ねられると正直、いや正直すぎる答えを相手に伝え、それはもうサラリと、流れるように伝えて。
そしてそれを聞くと、彼を指さし、とある方法と言葉を濁すものの、とりあえず成功者だと言うことは分かって)
えへー、…こっちの方が好きー。
(頬や頭を優しく撫でられ少し照れくさそうにはにかみながらも、相手からの愛をたっぷりと受けて優しさに包まれると幸せで嬉しくて堪らないのが丸わかりなほどデレデレと顔を緩ませては満足げに頭を差し出していて)
…ぅ…?………、
(どの位時間が経ったか定かではないが暫くして半目を開けばすぐ側に相手の顔があって眠りにつく前のことを思い出しドキッとしつつも、何だかまだ離れたくなくてもう一度寝てしまおうかなんてことをぼんやりと考えつつ、相手がまだ寝ているのをいいことに更に少しだけ距離を詰めてぴったりと相手に寄り添ってみて…自分からそんな行動を取っておきながら勝手に恥ずかしくなり顔を紅潮させて)
えー残念…でも、一旦ってことは……?
(幸せな温もりが離れてしまうと少し寂しくて冗談じみた口調で残念と本心を口にするものの、椅子に向かう相手を視線で追いながら相手の発言に一旦という言葉が含まれていたのを思い出すと、何かを考えている様子でニヤニヤしてしまい)
これから……う~ん…?
(頭に触れられればまだ僅かに濡れている瞳で相手を見上げ、これから、という相手の言葉を復唱しながら頭を悩ませ、それでもすぐにはこれといったものが何も思いつかなくて困ったように首を傾げて黙り込み、本当にこれから自分はどうなってしまうのだろうかと物思いに耽って)
……っ…、桐島さん……分かってて、やってる…?
(先程から相手の匂いがダイレクトに香ってきてもうドキドキして仕方ないのだが、相手はこんなに近くで平然と自分の匂いを嗅ぎ続けていて、その余裕そうな様子に無自覚なのかわざとなのか段々分からなくなってくれば、これ以上ドキドキさせられてはこっそり相手の香りを好いている自分の恥ずかしい考えもバレてしまいそうだと焦り、思わず声が裏返ってしまいながら火照った顔で遠回しな質問を投げかけて)
…えっ!?桐島さんが……!?!?
じ、じゃあもう解決してますねっ!そのとある方法をやっちゃいましょう!
(さらっと衝撃の事実を告げてくる桐島さんに目を見開きあんぐりとしたまま暫くフリーズし、しかしそうと分かれば青年の件も同じ方法を使えば良いだけだと思い、既に解決した気でニコニコと嬉しそうな笑みを浮かべて喜び始めて)
そっかー、こっちの方が好きかー。
(やはり犬に見える相手を同じ手法で撫で続け、そのうち考えるのも面倒くさくなって、脳死してだらけた表情で相手の差し出されて頭を撫で続け、そのうち無意識に口付けとかしたりして)
……ぁ…?
(誰が寄り添う感覚、それを感じて目を覚ます、夢うつつの中二度寝を考えるものの、なんだかしっくり来ず、すぐ近くにあった何か、否、誰かを抱き寄せ、温もりを感じながら夢の中に意識を落とそうとして)
…また今度な。
(明らかに期待している相手に顔を隠しつつまた今度と伝え、相手の一途で可愛らしい様を再度目の当たりにするとさすがに恥ずかしく、相手に見られているというのに顔が赤くなってしまって)
そう、これからだ。
これから俺とどうするか、これからお前はどうするか、
これから、これから、何でもある、何だっていいんだぞ
(これから自分はどうなるか、ではなく。
どうするか、相手は人間で自由意志があるのだから、これから、のことを自分で考えるのだ、という意味を含んだ言葉を伝わるかは別として言って)
わざとだぞ、これが意図的じゃないと思うのか?
(話しながらも匂いを嗅ぎ、まぁ、相手が自分の匂いを好いていることは大体気付いていたため、やはり意地悪であり、一応ということで、相手から離れると、にこりと笑いながら悪びれる様子もなく伝えて)
「えっと……そのぉ、あのぉ」
『……それがな、ないんだ』
(達成者が目の前にいるというのにその本人が、なぜか話すのを渋っているかのように見え、それが気まずくて言い出せないと察した男が、ないと答えて)
再募集してるなら、参加したい…です。(図書室のドアから顔を覗かせて)
17歳、高校三年生女子、クラスで浮いてる学級委員長、読書家。名前とか容姿は参加許可が降りたらちゃんと考えてきます。
勉強で忙しいから、話せるのは二週間くらいだと思う。今月末までの相手でよければ、おじゃまさせて下さい。
桐島さん、ずっと来れなくてごめんね。
新しいお相手様がいらっしゃるから声掛けるべきじゃないのかも知れないけど、何も言わずに居なくなっちゃうのはダメかなって…だから最後に一言、挨拶だけさせてもらうね。
今までお話してくれてありがとう。桐島さんと過ごした時間は、一生忘れないくらい幸せだったよ。
これでもう何も思い残すことはないから、あたしは元いた本に帰るね。
それじゃ、さようなら。桐島さんもお幸せに…!
そんな事言われたら心苦しいっての…。
ま、人には人の幸せがある、少なくとも、お前は『人間』だったぜ、玲。
……さてと、気を取り直して。
女子生徒、参加許可を出すぞ、もう居ない可能性もあるから、参加したい奴は一応声をかけてくれ。
しばらくここを覗けなかった理由だが……アレだ、テスト、テスト週間ってあるだろ?つまりアレだよ、悪かったな。
以上、参加したいやつ、居るなら声をかけろ、女子生徒、まだ居るなら詳しいプロフをな。
じゃ、俺は気長に待つとする。
参加許可ありがとうございます。まだ居るんで、プロフ貼らせてもらいますね。
菊池双葉。身長160cm、標準体型。茶髪の三つあみ、目はつり目ぎみ、赤縁眼鏡で制服の上にベスト。ブレザーは着てない…って、夏だから当たり前か。その他の設定は前述の通り。
箇条書きみたいになったけどこんな感じかな。必要なら補足します。
特にはねえな、歓迎する。
おっと、その前にだ、季節が変われば当然衣服も変わる、夏に黒コートにモコモコなんて着てられねえってことだ。
衣服を夏モノ、まぁ夏服ってやつ、薄い白色の服、下は特に変化なし。
あぁ、あと、悪いが絡み文はそっちから頼む、以上だ。
(図書室に入ってきて相手の方を一瞥、本棚からハードカバーの少々分厚い本三冊を抜き取るとカウンターテーブルに置いて)貸し出し、してますか?
衣更え把握しました。絡み文はこんな感じでいいですか?
あー、少し待て。
No.1017と1005、そんで1016か。
問題ないな、貸出期間は1週間だ、ちゃんと守れよ。
(ちらり、と入ってきた相手に目を向けるがすぐに目を逸らし、少し経って本を持ってくるとその本を確認、表紙だけで理解して、問題ないと応えると本を返し、軽く笑って出るよう促し)
(問題は無い、よろしく頼むぞ)
──おいちょっと待て、ここは寝る場所じゃねえぞ。
(そんなことを見逃すはずもなく、なぜ読書スペースで突っ伏しているのか、そもそもそんなことをするならなぜ本を借りたのか、色々な疑問が湧き上がる、それを呑み込んでとりあえず注意をする)
教室は騒がしくて居心地が悪いので。
(相手の声にほんの少しだけ顔を上げると淡々と答え、これで話は終わりだといわんばかりに顔を背けてそそくさと寝なおし)
ンなモン知り合いと過ごせばいいだろ、ここは眠るトコじゃねーの、帰った帰った。
(当然特別扱いなどするはずもなく、薄めの本で寝ようとする彼女の頭をペシペシと叩き、呆れたように帰るのを促して)
はじめましてー、ここはまだ募集してるのかな?自己紹介だけはしておくからお相手候補として検討してもらえたら嬉しいかな
名前は白鷺(しらさぎ)アリス。身長156cm、亜麻色のストレートロングヘアーに黄色いリボンのついたカチューシャ。制服は特に着崩しとかはしないで普段着はヒラヒラしてたりフリフリのレースとかついてるのが好き。他は…何か気になることがあればなんでも聞いて貰えば答えるね。
それじゃ、またお返事待ってるね!
ありがとう、受け入れてくれて嬉しいよ。絡み文書いてみたからこんな感じで問題なければお返事もらえたら嬉しいかな
うーん…これでもない、これも違う…
(図書室の中の本棚の前で一冊一冊手に取り表紙を確認しては本棚へ戻すを繰り返していて)
……何か本をお探しで?
(先ほどから目に入ってはいたが、すぐに帰るだろうと思っていた相手がずっと探したまま戻らないため、仕方なく、そして怠そうに話しかける)
わっ、ビックリしたー…あー…えっと、ちょっとね…あはは
(どうやら他に人が居るとは思わなかったようで、声をかけられると大袈裟に驚いてみせて、投げかけられた問いには気まずそうに視線泳がせて言葉を濁し)
……本を探してるんだろ?
ここにある本なら番号で丸暗記してある、力になれると思うが、あと本を無駄に抜き差しされると擦れて傷が付くんだ。
(じぃっ、と泳ぐ視線にきっちりと目を合わせてもう一度聞く、今度は逃がさないとばかりにこちらから話を投げて、そして本棚に入った本を指で撫ぜる、傷が付くのは嫌らしい)
ご、ごめんなさい…えっと…面白そうな推理小説とかないかなぁって思って探してたんだ
諦めて相手を視界の中央に捉えると、その指摘ももっともだと思い素直に謝罪をして、それからほんの少しだけ間を置いて具体的に何の本を探していたのかについては濁して)
?……ここの本タグはミステリーでも推理でもなくてファンタジー系統なんだが?
(謝罪などは一切気にすることはなく、相手の探していた本を聞いて顔をしかめてもう一度本棚を指でなぞる、そして行き当たったプラスティックのタグ、《ファンタジー》のタグを抜き取り、見せながら再度問いかける)
………ワタシニホンゴヨメマセーン
(咄嗟のこちらの嘘に対する指摘にやってしまったというような表情を一瞬浮かべ、今更取り繕うことは無理だと悟りながらもどうにでもなれと半ばヤケクソになり、肩を竦めてみせて)
んだよ外人かよ……話せるけど読めないってのは結構稀なケースだけど、それなら納得だ。
(はぁ?と大きくため息をついてそんな適当な言い訳に丸め込まれてしまう、そうなるとどうしようかと思考を巡らせ、その末に相手に『言葉は理解できるんだな?』と聞いてみる)
あ…うんうん、そうなの!正しくはハーフなんだけど、耳で聞くのと読むのって全然違うよね、うん
(よもやこんな適当な言い訳が通用するとは思いもしなかったため逆に驚きのあまり固まってしまったが、通ったなら通ったでラッキーだとそうたたみかけて)
なるほどねぇ……日本語、マジで読めないのか?
(それなら仕方ない、と納得したように一冊の本を抜き取りぱらぱらとめくる、そして少し間を置くともう一度相手に質問する、心配したように)
…ごめんなさい!本当は思いっきり日本語読めるし、ここがファンタジー関連の本のコーナーだっていうのも知ってましたーっ……だけど、何を探してたのかはちょっと詮索しないで欲しいんだ、お願い!
(心配したような目線に嘘をつき続けることで良心が痛めば耐えきれず頭を下げて、目的があったのは確かだがそれについて触れてほしくなかったからとっさにあんな嘘をついたのだと全部正直に話し)
俺も知ってた、日本語読めないのに本探す馬鹿居ねえだろ。
詮索禁止ってのは、なんだ、訳アリか?でもここは俺の図書室だ、ここに居るからには俺の言葉が絶対だ。
(下げられた頭に目もくれず淡々と知っていたと言葉を並べる、しかし、詮索禁止というのは些か納得がいかないらしく、吐くか、去るか、冷ややかな目と声で告げる)
うぅ…そんな意地悪言わないで見逃してくれないかなあ…?そのかわり私にできることならひとつだけ言うこと聞くから
(困ったように眉尻を下げて、見逃してくれるようにとお願いをするのと同時に、その代わりとして交換条件を提示して)
じゃあお前、名前は。
(言うことを聞くと言ってもそこまで異性に飢えている訳でもないので、とりあえず名前だけ聞いておく、情報としてはそれで十分だ)
私は白鷺アリス、高等部の二年生だよ。…えっと、白鷺財閥ってわかる?全国的に色々な事業を取り仕切ってる大きな財閥なんだけど…多分知ってるなら名前を聞いた時点で、おや?って思うだろうから言っちゃうけど私のお父さんはそこの代表なんだ
(ひとまず探し物について追及から逃れたことに安堵し、尋ねられるまま本名を嘘偽りなく答え、自己紹介をした時に大抵の相手が「白鷺」の名に何かしらの反応を見せることから何か聞かれる前に先回りして自己紹介の中で素性を明かすのは自分の中では半ば決まりきった流れで)
あぁ、あのガワだけは一丁前、取り仕切るのは部下や秘書、本腰上げるはクソ重く、上の連中無能だらけなせいでもはや別の企業……というか家に吸収されてるあの白鷺か。
じゃあ次の質問だが、そんなお嬢様がなぜこんな平凡な高校に居る?
(なぜか知り尽くしているような別の立ち位置から言葉をたんたんと並べ、最後には額に手を置いて呆れたように言い終える、良いところのお嬢さんというところは間違いないだろうが、ここは単なる高校だ)
あはは…辛辣だね、だけどその情報は少しだけ古いよ。…と、そんなことは今はどうでもいいね、別に私もお嬢様だからって特別扱いされたいとかそんな考えはないんだ、家の方針で子育ては自主性を大事にするべきってことで学校選びから何まで私が自分で責任を持つ限りは好きにしていいって言われてるのです。私も名門校とかルールに縛られるばかりで堅苦しいのは好きじゃないし…その点ここは自由な校風だしここでなら私でも普通の高校生みたいに青春を過ごせるかなーって
(確かに事実としてそういう側面もあった、それについては返す言葉もなく苦笑を浮かべるが、それは最新の情報ではないとだけ匂わせるだけ匂わせ、相手からの質問に話題をシフトして自分がお嬢様であることは自覚しているがそれをひけらかしたりそれによって特別扱いみたいなのは望んでおらずむしろ窮屈さを感じてしまう質で、幸いにも家庭の方針は比較的放任のため校風の自由なこの学校を自分で選んだのだと答えて)
ここってそんな自由……いや自由か。
一生徒に図書室の管理をぶん投げるほどだもんな。
ていうか、青春したいならこんな陰気くせえ場所に居ないで部活でもしてろよ
(長々とした言葉にくらりとしつつも論点をそのままズラし、相手の言う自由な校風について少し考えた、まあ、自由というか放任主義と言うべきだろう。
しかし相手の最後の言葉、青春を過ごせるかな、という単語に反応して言い返し)
ふふん、それは偏見じゃない?図書室でお勉強したり調べ物したりというのもまた青春の一ページなのだよー
(確かに相手の言うようなわかりやすく青春という感じの活動なんかは勿論のことだが、図書室のような場所にだって学生らしさ、青春というものは転がっているものなのだと得意げに胸を張って言い)
お前が青春するために数人の苦労人が青春を謳歌できないってことだけは覚えておくんだな
(得意げに言うものの彼はニッコニコな顔をし、どこか恨みがこもった、意味深な威圧のある言葉を放って)
…どういうこと?私ここに居たら迷惑かな…?
(まるで身に覚えのない敵意に戸惑ったように眉尻下げて首を傾げ、俯きがちになって相手にとっては自分がここに居ることが気に入らないのかと問いかけて)
いやなに、お前がここに居ると俺はここから出られない、ここの管理者は俺だ、というかお前が居なかったらとっくに鍵かけて篭ってる。
(相手が居ることが迷惑と言うより、ここに自分以外の人間が存在すること自体が足枷のようになっていて、自分なりの青春を謳歌できない、と主張し、手元の鍵束を手で弄ぶ)
あ、なるほど、ごめんすぐ出るね。また明日調べ物の為にここに来てもいいかな?今度は本の扱いとか気をつけるから
(ようやく相手の言葉の真意を理解出来れば急いで図書室を出る支度をして、そうして相手の方を振り返ると本が傷つくなどといったことには十二分に配慮するからと明日もまた立ち寄っていいか問いかけて)
なんのためにネットがあると思ってんだお前は、本なんて古臭いもん使う意味はあんのか?
てかお前何かの本探してたんだろ
(調べ物やその他もろもろ、ほとんど全てがインターネットで済ませてしまうこのご時世にわざわざ図書室に調べ物しに来る意味は感じない。
だからこそ、相手は本を探すのを目的に来ているのだろうと当たり前の推測をして)
それは確かにそうなんだけど…出来ればこの件には部外者を介入させたくないんだよね、それにそもそもそれがこの図書室にあるって確証もないし。キミもこの件の当事者として協力してくれるっていうのなら教えてもいいけど…どうする?
(ここまできて探し物があるという事実を隠し通すことは出来ないと悟って相手の憶測混じりの問いに素直に頷き、その上で秘密裏に動きたいことと、その探し物がここでみつかるという保証はなく、もしも見つかったとしてその全容を知った以上は協力者として動いてもらいたい旨を伝えて)
じゃあ協力してやるよ、俺も部外者をあんまりここに立ち入らせたくはねえし、当事者と成るなら俺はお前を歓迎しよう、知り合いには寛容だ。
(別に抵抗はない、ここは自分の図書室だ、そこを部外者に踏み入り、荒し回ることはそもそも嫌、だが知り合い、又は友人というのなら話は別、深く関わっておいて損は無い。
簡単に言えばそんなに興味無いけどとりあえず、といった形だ)
よし、交渉成立だね。私が探してるのは白鷺財閥の名義でどこかの図書館に寄贈された一冊の本だよ、表向きはどこにでもあるただの童話の本だけど、その本には先代の会長だった私のおばあちゃんが開発した特別なプログラムのアクセスコードが特別な道具を使わないと目視出来ないよう仕掛けを施して記されてるの。でも、財閥内部でのいざこざの中でそのことを知らない役員が蔵書整理だとかで全国各地の図書館にその本ごと大量の蔵書を纏めて寄贈しちゃって…だけど、私のお父さんが進めようとしているプロジェクトにはそれは絶対に必要になるものだって…プロジェクトさえ成功すればまた白鷺の元に財閥は一つになれる、だから必ず見つけ出したいんだ
(協力の約束をとりつけると自分が探しているのはどこにでもあるようななんの変哲もない童話の本に扮した社外秘の所謂ブラックボックス的なプログラムのパスコードが記された一冊の本であることを説明し、同時にそれが白鷺の名前の元に社運をかけたプロジェクトに関わるものであることから自分もそのために動いており、探し物の正体が正体だけに何を探しているのか話せなかったようで「それで、さっきまで一冊一冊これで確認してたって訳」そう言ってポケットからさっきの会話の中でも出てきた特別な道具であろう小さなルーペを取り出して見せて)
忙しすぎて顔見せさえできなかったとは……不甲斐ない。
ここでの立ち回り方もすっかり頭から抜けちまったが、募集して来るかね……?
まぁ、来なかったら単なるオレのジゴージトクなんだけどよ。
……っつーわけで、再募集する、ルールに変化はない。
不定期に募集かけるから、オレなんかと話したい物好きは好きにプロフ置いていってくれ、んじゃーな。
名前 嶋村未羽(シマムラミウ)
容姿 身長154cm。薄桃色のセミロングの髪の先端を二つに分けて結んでいる。紫色のタレ目。風紀委員の証である制服に合わせたマントを身につけている
ええと…こんばんは。こんな私でもお話ししてくれますか…?
ずっとここには興味があったんですけどいつも先客さんが居たので今回はタイミングが合って良かったです…
ええと…絡み文はこちらから出した方がよろしいですか…?それと、先に何か決めておいた方がいいこととかあれば話し合いましょうか…?
なんでか1000を超える言葉を交わしてるからなぁ、なんでだろ、まぁそりゃ何よりだ。
こちとらここに帰ってくるのが4ヶ月ぶりぐらいなんでな、そっちからで頼む、決めておいた方がいいこと……は、そっちの女に何か設定があるなら、それ以外は求めねぇ。
お話しの進行に合わせて少しずつお互いのことを知っていければと思っているので、とりあえず前情報としては私は風紀委員で図書室へ来るのも最初は委員会のお仕事絡みということぐらいでも大丈夫ですか…?
問題無いようでしたら初回出しますね?
失礼します…桐島先輩、居ますかー…?
(図書室へと入ってきて、控えめに図書委員長である相手の名前を呼びながら図書室内を一通り見て回ってからカウンターの前へとやってきて)
──人か。
居るよ、ご用件は……風紀委員か、オマエ。
(僅かな物音と声で人が来たことを察知し、本を整理する手をピタリと止めてカウンター席に立った。
そして適当な対応をしようと言葉を並べたが、相手の風貌を見て声色を変え)
は、はい、風紀委員所属一年の嶋村未羽といいます。えっと…あの…中央評議より通達です『図書委員長桐島三郎 左記の者の役員総会への参加義務の履行を要請する』…とのことです
(風紀委員と見るや態度が変わった相手に戸惑いオドオドしながらも自らの身分も添えて丁寧に名乗り。ここへ来た要件、即ち中央評議、正式名称は中央生徒評議会、いわゆる生徒会からの要請文をやや遠慮がちに読み上げて。やや形式ばった文章を意訳すれば委員会の代表者などの集う会議へ図書委員長である相手が参加義務を果たしていないことへの警告と出席を促すもので「会長は他の役員たちの手前桐島先輩だけを特別扱いは出来ないと言っていました。形式的にでも協力的な姿勢を見せてくれなければ庇いきれないとも…顔だけでも出しては貰えませんか…?」申し訳なさそうに眉尻下げて通達を出した張本人である会長からの伝言もついでに伝えて深々頭を下げて)
………チッ、中央評議のヤツらかよ。
出なきゃ立場は保証できない、って感じだろ、分かりやすい脅迫だ、まァ、出てないオレが悪いんだけどよ。
(内容を聞くなり態度を崩し、椅子に腰を下ろして背を預ける。代表者会議に出てないのはシンプルに出る必要が無いと感じているからであり、自分が体裁を守っていないのが悪いとは思っているが、どうにもやり方が気に食わず黙り込んで。
しかしこのまま黙りを決め込んで参加しない、なんてやっていては立場が危ういのは言った通り承知していて。
「……代表者会議ってのはいつやるんだっけか」
相手の様子を見て渋々、本当に仕方なさそうに、不機嫌な様子で聞いて)
………チッ、中央評議のヤツらかよ。
出なきゃ立場は保証できない、って感じだろ、分かりやすい脅迫だ、まァ、出てないオレが悪いんだけどよ。
(内容を聞くなり態度を崩し、椅子に腰を下ろして背を預ける。代表者会議に出てないのはシンプルに出る必要が無いと感じているからであり、自分が体裁を守っていないのが悪いとは思っているが、どうにもやり方が気に食わず黙り込んで。
しかしこのまま黙りを決め込んで参加しない、なんてやっていては立場が危ういのは言った通り承知していて。
「……代表者会議ってのはいつやるんだっけか」
相手の様子を見て渋々、本当に仕方なさそうに、不機嫌な様子で聞いて)
脅迫だなんてそんなつもりは……ごめんなさい…でも出ていただけるんですね、良かったです
(文面からしてそんな風に捉えられても仕方のない内容であり、まかり間違ってもそういった意図はないなどとは擁護のしようもなく自身は評議会の直属の組織である風紀委員の一員として評議会の意志を代理で伝えにきたいわゆる使いっ走りの立場でありながら強引なやり口については我が事のように謝罪をして改めて頭を下げ。それでも不服そうながら前向きな返答が得られれば顔を上げて安堵の笑みを浮かべ「次回の総会は明後日の放課後の予定になっています。予定とかは大丈夫ですか…?」次回の開催予定日を伝えてから、今日こうして声をかけてから大して日にちも開かないため急な事で大丈夫か相手を気遣って問い)
あー謝んな謝んな、悪ィのは中央の奴だろ。
……礼儀も知らないヤツが来たら即刻追い返してた、お前で良かったよ。
(彼女のような誠実で真面目そうな後輩が自分の責任でもないのに頭を下げるのは我慢ならず、謝らないよう言う、そもそもこうなってしまったのは自分のワガママであり、そう考えると中央評議の奴らの掌の上で踊らされている感があってまた腹が立つが、言ってしまった手前仕方なく耐えて。
「…明後日ならまぁ空いてる、顔出すだけだぞ」
相手の笑みから目を逸らし、本をぺらぺらと捲りつつ適当に返答して)
はい…参加さえしていただければ会長も納得されると思います。その、お優しいんですね?前にも何人か風紀委員からこうして出向いたものの一切とりあってもらえず門前払いにされたと聞いていたので本当はここへ来るのは少し怖かったんです
(聞いていたイメージよりはずっと柔らかい相手の態度に最初のような緊張したような雰囲気は幾分か和らぎ、穏やかな口調で本音を交えて少し饒舌にそう語りつつ胸元で両手を合わせ瞳を細めて。自分はよくて先人たちは悉くダメだった、その原因を突き詰めていけばきっと彼にとって礼儀のなってない人たちだったのだろうという考えに至り、単に相手の人間性の問題ではなくこちらの組織のあり方にも何か問題があるのではないかと少し考え、同時にもう少し目の前の桐島三郎という人物について知りたいと感じ「あの…それとは全然関係のない話しなんですけど…桐島先輩のオススメの本とかって何かありますか?せっかく図書室に来たので何冊か借りて帰りたいなって思うんです…」用が済んだと見るや読書に勤しむ相手におずおずと語りかけて)
ハイハイ……って、優しい?
…馬鹿言ってんじゃねえぞ、オレはただオマエの態度が前のヤツらよりマシだから通してるだけだ、勘違いするな。
(軽い返答をしていたものの、優しいという単語に瞬間で反応を示す、本に栞を挟んでパタンと閉じ、まず否定する。
言った通り、彼女と先人を比べての妥協のようなものである、これ以上押しかけられるのも迷惑だと思っていたから。
説明を終えるとすぐにまた本を開き、相手の考えなど知る由もなくぺらぺらとページを捲っていく。
そして相手から話題を切り出されるとまたもや栞を挟み本を閉じ、肘をカウンターに着いて。
「好みのジャンルは、オレのお勧めはオマエの趣味に合うかは分からん、情報が無けりゃ決めることすらできねぇぞ」
備え付けられた引き出しから眼鏡を取り出して目に掛け、同じく備え付けのPCを起動しつつ逆に聞いて)
はぅ…そ、そうですよね…調子に乗っちゃってごめんなさい……
(刺々しさを隠そうともしない相手の反応にビクッと身を竦ませて、今のは明らかに自身の距離の詰め方が不味かったと察すれば素早く頭を下げて謝罪を口にし。漠然とオススメについて聞いたが確かに好きなジャンルなどの情報が無ければ対象も絞りにくいだろうと納得すれば「ええと…そうですね…割とどんな作品も好きで色々なジャンルの本を読みますけど、強いて言うなら今日はミステリーとか推理小説を読んでみたい気分です」少しだけ考えた後で、手広く様々なジャンルを齧っておりそれなりに読書が好きということを示した上で敢えてその中で絞り込むならと今日の気分を相手へと伝えて)
……あァ、もういい、謝るな、オマエは今から風紀委員じゃなくて本を借りに来た1人の生徒だ、そうだろう?
(どうにも、健気な彼女が謝罪しているのを見るのは気に食わない、というか良心が痛んで見たくなく、扱いを風紀委員から単なる一生徒として切り替えることにし、頭を上げるように言って。
彼女から貰った情報と気分をとりあえず脳内で組み合わせ、どんな本が合うかを考えて。色んなジャンルを齧っていて本が好きなら、単純なものではなく中身が捻ってあり、尚且つ少し長めなモノが必要だろうと言う結論に至り、そんな本があるかとまた思考を巡らせて。
「長くて難解なミステリーか…。
『使者達の木曜日』があったな、図書番号5024番」
初対面の彼女に対してもだいぶ頭を捻りチョイスを決め、ようやく決まったとPCのキーボードに文字を打ち込んで)
は、はい、ごめんなさ…ありがとうございます
(頭を上げるよう言われて気を遣わせてしまったと思い再び反射的に再び謝罪をしてしまいそうになるが、そもそも謝るなと言われているのに謝罪を繰り返すのは逆に失礼かと思い、感謝の言葉を言い直して遠慮がちに上目で相手を見やりモジモジとして。何気なく話しの種としてオススメを尋ねてみただけであったが真剣にこちらの提示した条件に合う本を探してくれているのを見ればやっぱり良い人だなと思ったがそれを言えばまた怒らせてしまいそうなため胸の内に留めておき「まだその本は読んだことないです。桐島先輩のオススメですしそれにします」聞いたことのない本のタイトルに未知の物語へ触れるワクワク感を感じてそれにすると即決して)
それでいい、やれば出来るじゃねぇか、上出来だ
(次にまた謝罪をしたら叩き出そうかと考えていたため、ギリギリで感謝の言葉に言い直した相手に満足気な笑いを見せ、上目などは全く気にせず賞賛の言葉を送ってやり。
検索欄を開いて5024番を検索し、眼鏡を直ぐに外して何か言いたげだった相手に目線を移す、言わんとしていることを追求したくはあるが、そんなことよりと居場所の割れた本のある棚に視線をズラし、椅子に座り直して。
「ミステリーの棚のNo5、1番上の棚の端っこだ、自分で取ってこい、俺がやんのは検索だけだ」
ピッ、とかなり遠くでかなり高い本棚を指差し、しっしっと追い払うように手を振り')
あ、はい、行ってきます…!
(目的の本のありかを指さす相手の指先を視線で追って、少しばかりぞんざいとも思える相手の物言いと態度にも嫌な顔一つせず素直に指定された本棚の方へと向かって。本棚に記載されている番号とカテゴリーを確認しながら目的の本棚を探して、少しして見つければその本棚の一番上の列を見上げ「えっと…あれかな……んん、届かない。もうちょっとなんだけど…」言われた通り棚の端っこの本を手に取ろうと手を伸ばすが身長が足らず届きそうになく、背伸びをしてみたりするもののそれでもギリギリ届かず困り果てて)
………
(健気な彼女の姿を遠くから眺め、意地悪にニヤニヤする、あの場所に本があるのは事実だがわざわざこの本をチョイスしたのはこの様子を眺めるためだ、行動パターンとは意外にも読みやすいもので思い通りの行動をするのを見ると、自然とニヤニヤが零れて)
うぅ…桐島せんぱーい、あの…手を貸してください、私の背だとどうしてもあそこの本棚に届きそうになくて…
(しばらく悪戦苦闘してみるもののどうしてもあと少しが届きそうになく、自分でとってくるよう言われた手前、手間をかけさせるのは忍びなかったが仕方ないと、カウンターへと歩み寄り間延びした声で名前呼びながら申し訳なさそうに助けを求めて)
あークソっ、忙しさがズルズル続きやがる。
やっと落ち着いたぞ……
まだ居る……とは思えねぇな…。
こう何度も再募集かけるのもなんだが、再募集だ。
俺にとっての居場所はここしか無いからな、オレと話したいとか、図書室、本に興味があるヤツはテキトーにプロフィールを置いてってくれ。
特にルールに変化はない、図書委員と図書室は生徒の来訪を待ってるぜ。
あークソっ、忙しさがズルズル続きやがる。
やっと落ち着いたぞ……
まだ居る……とは思えねぇな…。
こう何度も再募集かけるのもなんだが、再募集だ。
俺にとっての居場所はここしか無いからな、オレと話したいとか、図書室、本に興味があるヤツはテキトーにプロフィールを置いてってくれ。
特にルールに変化はない、図書委員と図書室は生徒の来訪を待ってるぜ。
名前/真宮寺美穂(じんぐうじみほ)
容姿/肩口まで伸ばした赤みがかった少しだけ癖のあるふんわりした黒髪を一房だけ左側で結っていて、ぱっちり二重の瞳はオレンジ色をしている。スカートは超ミニでレザーのジャケットを羽織ったりとパンクスタイルっぽく制服を着崩して着用している。身長は160センチで手足はスラッとしていて長め
チョリーッス!入っちゃってよき?あんた、図書委員っしょ?ちょいと探して欲しい本あるんだけど
(図書室へ入ってくるなりカウンターに居る相手へと駆け寄り)
見るからにハイカラでシティーなガールだな…。
だが本を探しに来たのなら図書委員として断る理由はない。まぁ……歓迎しておこう。
探してるのはどんな本だ、ちなみに雑誌は無いぞ。
(距離感の近い相手に少しだけ苦手意識を覚えるものの、すぐに備え付けのPCを起動して図書委員としての対応を始め)
ハイカラ?シティーガール?あはは、それは流石に今時ヤバみが深いっしょ!でも一周回って新しいかもね
(絶妙に古い表現にケラケラと笑って)
あざまる水産!ちな、探してる本はコレなんだけど置いてる?
(パチっとウインクをしてお礼言い、メモを手渡して。中に書いてあったのはごく普通の文学作品で)
ヤバみが……水産……?
何言ってんのかサッパリ分かんねぇ。
……これは、確か置いてある。文学系なら確か向こうの本棚に……いや面倒だな、検索するから少し待て。
(聞いたことのない単語に頭を抱えつつも手渡された軽くメモにしっかりと目を通してマウスをスイスイと動かし)
マジ?助かるわー、近所の本屋じゃ全然置いてなくてぴえんって感じだったし!
(テンションが上がって詰め寄ればパソコン画面を横から覗き込んで)
おい、このPCは閲覧禁止だ。
……あと近い、離れろ。
(少しだけ苦い顔をしつつ、やりにくいと言わんばかりに貴女の額を人差し指で軽く押し、側から離れるように促して)
えー!いいじゃん、堅いこと言いっこなしなし!ウチとあんたの仲じゃんかー…あ、もしかして調べごとしてると見せかけてエチエチな画像とか見ちゃってる的なパティーン?
(しつこく食い下がり、もしかして…とニヤっと笑って)
会ったばかりだろうが……あんま巫山戯たことばっか言うと追い出すぞ。
それに、このPCでそんな事できるか。
(はぁ、と呆れたように息を吐き、この女には何を言っても無駄だと割り切るとPCの操作に集中して)
エンカして言葉交わせば秒で人類皆友達っしょ!
んでんで?本は見つかった?
(自信満々に言い切ってサムズアップをし、目的の本の場所はわかったか尋ねて)
友達って単語を軽々しく使うんじゃねぇよ…
見つかった、図書番号2011……あの本棚の上から3番目辺りだ、さっさと取ってこい。
(冷たく呆れた声色で言葉を返して立ち上がり、奥の方にある本棚を指差すと再び椅子に座り込んで)
んじゃあ、ズッ友なら良き?
とりま、サンキュー!とってくるぜー
(ピースサインを顔に当てがってポーズ決めてから、言われた本棚へと真っ直ぐ向かって目的の本を見つけて手に取り戻ってきて)
ほいほい、じゃあ貸し出し手続きよろー
なんで逆に進化してんだ関係性が。
貸し出し手続きとか面倒だからナシだ、どうせ本の管理をしてるのは俺だけなんだし、読み終わったら返しに来い。
(きっちりツッコミを入れると、戻ってきた貴女に対して本をぺらぺらと捲りながら雑なのかしっかり考えたのかよく分からない対応をして)
そこはノリ?フィーリング的な?なんかウチとあんたは長い付き合いになる気がしてんだよねー
てか、あんたもけっこーテキトーだね。ま、とりあえず、おけまる水産!…そーだ、今度あんたのオススメの本とかも教えてよ!エモくてバイブス上がる感じのやつ!
(ツッコミに対して感覚で返し、貸し出し手続きは必要ないとのことなので本を鞄へと仕舞うと胸元でポンと手を合わせて話を振り)
…訂正する、進化じゃなくて悪化だな、これは。
エモとかバイブスとか言ってることはイマイチ理解できんが、まぁ、俺のオススメを教えればいいんだな。
(今すぐ帰れと言いたかったがグッと堪え、頭を抱えながら悪化したと言葉を零す、そして自分の顎に手を当てると振られた話に食いついて)
そそ。さっすが話しが早いね。最高に尊くてやばたんな一冊に期待!
(乗り気になってくれた相手に軽く身を乗り出しながら期待の眼差しを向けて)
また今度、思いついたらオススメしてやるよ。
でも今は忙しいんだ、主にお前の相手で。
(こちらは逆に身を引き、忙しいと言いつつも置いてあった本を手に取り自分の眼前で開くことで視線を遮って)
そ?暇そうに見えるケド…ま、いいや目的の本は見つかったし!
てか、自己紹介まだだったよね、ウチは真宮寺美穂。ちな、一応あの真宮寺だけど家のこととかカンケーなく絡んで!
(まあいいかと追及はせずにおき、自己紹介をしていなかったことを思い出し、名乗ってから苗字についてツッコまれる前に自らの身分を明かして。『真宮寺家』とは代々政治家や大きな会社の社長などを輩出しているこの辺りでは有名な名家である)
見えるだけだ、見えるだけ。
真宮寺……ね、俺は桐島、桐島三郎だ。
一応言っておくが、個人的に絡む気はない。
(真宮寺の名前を聞くと苦々しい笑みを漏らすが、相手だけに名乗らせるのは良くないとすぐに自分も名前を名乗り、それを終えるとすぐに読書に戻って)
おけ!桐島っちね。てか、初っ端から拒絶ムーブとかマジぱおんだし
(早速あだ名呼びをし、ウインクをして。それから相手をジーッと何か物言いたげな目で見て)
あだ名を付けるな、それにぱおんってなんだ…。
(相手の言動が全く理解できないらしく読書に集中できないと頭を抱えて、視線には気付いているが変な事を言われて絡まれるのも嫌なのでシカトして)
えー、あだ名あった方が親しみあっていいっしょ!それともさっちんとかのがよき?
てか、ぱおんわかんないってマジ?流石にぴえんはわかるっしょ?
(あだ名をつけるのは既定路線のようで別の候補を出して。言葉の意味が理解できないという相手に信じられないというような顔をして)
親しくない、親しくなる気もない、だからあだ名をつけるのもあだ名で呼ぶのもやめろ。
ぴえんはまぁ耳に入るが、ぱおんは知らん。
(それに対して冷たく言葉を返して、その後すぐにまた本に目を通しながら答える、言い方からして意味はイマイチ理解していないようで)
えー、でもそれだとなんて呼んだらいいか困るし、やっぱ桐島っちで。まあまあ、仲良くなるかどうかは今後の付き合い次第ってことでよくね。
いやー…mjk…こういうのってジェネレーションギャップってゆーんだよね?あれ?同じぐらいの年だし違う?ま、いっか
(冷たくあしらわれても怯まずお気楽に言葉を返して。引き続き驚いたような顔をしていたが最終的に適当な感じで思考を止めて)
本当にお前は……まぁいい、好きにしろ。
だけど図書室の外ではあだ名で呼ぶなよ、いらん誤解を招く可能性がある。
…やっぱ何言ってるか分かんねぇ。
というか、お前いくつで何年だ。
(そこまで気楽だと1周回って諦めが付いたようで図書室ではあだ名で呼ぶことを許してやり、今更ながら年齢確認と先輩か後輩か同学年かを確認して)
いらん誤解…?あー、アレっしょ?彼女がいるから気安く声かける女がいたら嫉妬されるとかそういう系?
んー?そーいや言ってなかったっけ?うちは3年で年は18だよ。桐島っちは多分タメじゃないよね?桐島っちケッコーイケメンだしタメならどっかで会ってるだろうし一度見たら忘れないと思うんだよね
(誤解というのが何なのか最初はピンと来ない表情浮かべていたが、そういうことかと自分なりにそう推理をしてみて。自分の年齢と学年を答えると、顔に見覚えがないことから恐らく同学年ではないだろうと聞いてみて)
お久しぶりですね…三郎さん。お元気ですか?あの時は突然一方的にお別れを告げてしまってすみませんでした!
なんて、今更帰ってきても最後の書き込みから3年も経ってしまってますし、きっともう三郎さんはここには居ませんよね…。
でも、もし叶うならまたもう一度だけでもお話しできたらなって、そんな事を考えちゃってるんです…なので、ちょこは勝手ながら少しだけここで三郎さんの留守を守りながらお待ちしていますね
(/既に他の方とのやりとり中なのに、そのような書き込みをするのは如何なものかと思いますが……。そもそもが古いトピとはいえ、仮に主様がいらっしゃったとしても、主様の書き込みで止まっているなら兎も角、現在のお相手様もお返事を待っている状態ですしそちらを差し置いて1174様にお返事をするのは失礼でしょう。)
(/1175です。誤解を招くような表現になってしまったかと思い、少し補足させてください。まず、先程の書き込みがお節介でしたら申し訳ありません。具体的には名乗りませんが、実は私もこちらのトピでお相手して頂いていた事があり、4年以上忘れられずにいます。既に新しいお相手様がいらっしゃるため身を引いてしまったのでお気持ち痛いほどお察しします…。しかし、一度自ら身を引いた以上実際に上記のような書き込みをしてしまうのは、現在のお相手様に失礼ですし望ましくない気がしてしまいます……。)
なんか盛り上がってる感じ?ま、今は一応ウチが相手してもらってる形だし。
待ってんのもそーだし、返事くんならあわよくば?みたいなんも一緒。割り込み的なのはちょい勘弁してほしいかな
>>真宮寺美穂
生憎、色恋沙汰とは現状無縁だ。
いらん誤解っていうのはな……まぁ、「俺とお前が付き合ってる」とかの下らないモンだよ。
下らねぇけど面倒だし、お前も嫌だろ。
……俺は3年の17歳だ、お前とは同学年になる。
ただ……俺はずっとここに篭ってたからな、顔を見る機会すらなかったんだろ。
(返ってきた推理を軽く一蹴すれば目を細める。
下らない誤解、そこから生じる噂とはいえ、相手をそれに巻き込みかねない可能性を危惧している態度を見せて。
相手が歳上という事実に少し驚きつつも他の言葉には驚かず淡々と言葉を並べ、「ここ」という言葉を口にする時には視線をぐるりと回し、図書室を一瞥して)
(何も言わずしれっと戻るのは不義理だな。
桐島三郎、図書委員。
待たせに待たせて戻ってきた、3年も空けてた理由は非常に個人的な要因だから伏せさせてもらうが……
3年待たせちまったのは、本当に悪かった。
これからは定期的に返事をさせてもらう、これ以上の説明は言い訳がましくなっちまうからあんま言わねぇ。
図書委員は、変わらず図書室に居る。
話してくれると、有難いな)
あの…そもそも>>1174はなりすましです。三郎さんなら惑わされないって、信じてはいますが…。
それにもう終わった話ですし、お伝えするか悩みました。でも偶然お見かけして、いてもたってもいられなくて。
3年も経ってから偽物が現れるなんて悪質ですが、それはちょこも同じですよね。すみません。
願わくば、三郎さんが偽物にだけは惑わされませんように。
お久しぶりですが、まさかこんな形になってしまうなんて。そして、これで最後にします…さようなら
>1180
(/確かにお相手が返事待ちしている中で声をかけたのは不義理であったと思いますが嘘はやめてくださいね。
人になりすまししてまで一方的に別れを告げさせるのは悪質な行為ですよ)
トピック検索 |