図書委員長 2019-11-24 02:38:36 |
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悪いか?(ムッとしてケラケラ笑う相手の頬をむにいと掴んで)
まぁそりゃそうなんだけどよ……
(相手に言われると何も言い返せず,最後には黙り込んでしまい)
分かってるなら良いんだ,家族は大事だ。俺が言えたことじゃねえんだけど。
…認めてもらえなかったらどうなるんだろうな……
(いつもの彼とは違うように,流石に親などが絡んでくると不安なのか,不安そうにそう言って)
最後に判断するのはお前で,俺はあくまで見るだけだ,
他人の嘘は人目でわかる,俺の嫌いなタイプは。
中身を見ずに判断する奴だからな。
(詩奈に微笑みかけて,自分の意思を大事にしてほしいのかそう言い,最後は知っているかのようにどんよりしながら言って)
2人は俺をなんだと思ってるんだ,矛盾性質の面倒な男だぞ。(真顔で言う詩歌と智代子に呆れたように自分を自分で見、判断したことを言って)
いやダメな部分継いでるからな!?(惚気る相手にそう突っ込んで)
だって…違わねえし,なぁ?
(同意を求めるように詩歌を見て)
わうー…いひゃいれすよー…!(頬をつままれると、そう抗議をしては手をバタつかせ)
「つまり私たち家族の幸せはこの場にいる全員以外ではあり得ないということです…それを覚えておいてください」(口調は落ち着いているが目線は力強く相手を見据えていて)
三郎さんのことだから心配してないですよー、三郎さんなら絶対に認めて貰えると信じてますし…もしも万が一のことがあっても諦めないで私のために戦ってくれますよね?(珍しく弱気な相手に全面的な信頼を寄せた笑顔でそう問いかけて)
『でも…パパが嫌いな人なら多分私も嫌い、になります…』(選択権は自分にあると言われてもしっくり来ないのかそう答えて)
「知ってます…こんな面倒くさいお母さんをお嫁に貰うくらいですからパパも相当な曲者です。でも、私を守り育ててくれた人…この血で今私が苦しまずにいられるのはパパのおかげなんですから」(相手の抱える問題点を理解したうえで、自分の背負った宿命に一緒に向き合ってくれた相手は特別なのだと譲らず)また思いっきりディスられた気がしますけど…でも、訳ありならちょこだって同じです。同情や哀れみではなく私と正面から向き合ってくれました、そんな人三郎さん以外にはどんなに探しても見つかりません(詩歌の発言に少しムッとしながらも相手がどれだけ自分にとって特別で、この想いが些細なことでは揺るがない強固なものであるかを話して)
「わ、私に振らないでください。お母さんが落ち込むと面倒臭いんですから…パパもいくら本当のことでももう少しオブラートに包んで…あっ…」(勢いで本音という名の言葉のナイフを突き立ててしまって、ハッとして止めた時には既に遅く、ジメジメとキノコでも生えてきそうな感じになっている智代子がいて)そうですよね…詩歌の言う通りどうせちょこは面倒臭くてお子ちゃまな母親ですよね…
痛いからやってんだろ?(一瞬で?から手を離すと,相手の首筋に指を這わせ,今度はくすぐって)
俺が俺じゃなくなっても大丈夫かなぁ,その幸せ。
(相手に見据えられると、聞こえていないとでも思っているのか,そう小声で呟いて)
俺が気にしてるのは,その親が桐嶋の家に関わりがあるか否かだ,俗に言う本家と元祖だったら……
ダメだ,それだけは。いくら俺と言っても抗えない。
(笑顔の智代子の目を手で無理矢理見開かせると,じっと見つめてそう良い,最後には気がまいってしまったかのようにくらりと揺らいで)
それつまり俺が気に入った相手はお前も気にいると思う,ってのと同じ意味だぞ?お前の意思は俺の意思じゃないんだ,お前がピンと来たやつで判断すれば良い(相手の未来を心配して,そう上手く説得しようとするものの結局ヤマカンで)
智代子は俺が今まで見てきた色で染まって決まり切った女とは違ったからな,異色というか……無色だったんだよ。
お前は混ざり血だからな,そして娘,守り育てるのは当然だ,あと,抗えたのはきっと自分のおかげだ。
(かなり悩んでそういうと,相手をそっと抱き寄せると安心したような声でそんなことを言って)
まぁお前に関しては会って少し経っただけで幽霊って気付けたし,俺以外のやつだったら縁切りだろうな。
ただ……因果だったんだろう,俺以外にそんな因,引っかかる奴居ないからな。
(ムッとする相手にニヤリと笑うとそんなことを言い,昔のことを思い出すようにそうぼやき,未来で愛しているから過去現在に至っても心の内では愛していたんだろう,と付け足すように言って,そんなことを話している間に家の前まで来ていて)
ま,こういう時はアレで行く,丁度家まで来たしな。(気付けば家の前まで歩いてきていて,ニヤッと笑うと智代子を軽くお姫様抱っこして)
______今から,お前を,抱く,OK?
(抱っこしたまま,耳元でガチトーンでそんなことを言って)
んんっ…ぅ…さ、三郎さん…意地悪ですよう…(ぞわぞわする感触に頬を上気させ、悩ましい声を漏らし)
「自我が死ぬことは=その人の死です…大丈夫な訳がないじゃないですか」(ジトっと相手を軽く睨むようにみやって)
私の血族…ですか…(相手の言葉に自分が異質な力を持っているという事実のせいか、もしも関わりのある一族だったならと気が気ではなく、俯いて)「それはないと考えていいです…私は前に神崎家について調べましたが、元は神裂(カンザキ)と呼ばれる一族であったようです…神裂の家は代々、特に女子が生まれつき人ならざる力を持って生まれることが多く昔はその力を使って各地の邪を祓う歩き巫女をしていたようですね、そしてそれがこの地に定住して今の神崎家になったということです…ただ…いえ、これについては気にする必要はないでしょう…」(二人の危惧しているようなことは無いだろうと話したが、最後に少しだけ言葉を濁して)
『パパがそう言うなら…しっかり自分で考えます…』(結局は相手の意見をそのまま受け止め、主体性のなさは相変わらずで)
「パパはそこまでわかっているんですね…確かに今無事なのは結果的には自分の力かもしれませんが、苦しい時不安な時我慢出来たのはパパがそばにいてくれたからです」(こちらからも背中へと手を回し、すり寄って)
あはは…そもそもあの頃のちょこが見えたのは三郎さんだけでしたし、縁も因果も他の人だとそれ以前の問題でしたね。ちょこを見つけてくれたのがあまりにも嬉しくて適当な口実つけて喧しいぐらい三郎さんに絡みにいったのも今となってはいい思い出ですねー(腕を組みうんうん、と頷きながら当時に想いを馳せ)
…えっ、えっ…えええええっ!?そ、そんな、三郎さん、ちょこはまだ心の準備というものがですね…えと、気持ち的にはオッケーといえばオッケーなんですけど…あううううっ…(落ち込んでいたのが嘘のように顔を真っ赤にしてあたふたしていたが、結局は抵抗も何もなく相手の腕の中で大人しくしていて)「…詩奈、今日は夕飯は外に食べに行きましょう…」『はい…それなら美味しいハンバーグ食べたいです…』(二人して空気を読んでそそくさと出かけていき)
今更気づいたのか?(パッと手を離すとニヤリと笑って)
だろうなぁ……娘に睨まれると、意外と凹むわ。
(知っていたような反応を返すと、相手に睨まれて悲しい表情でそんなことを言って)
へぇ神裂……神裂?
そりゃ……桐島には関係ねえけど………
まぁ大丈夫だろう,安心しろ智代子,今んとこは大丈夫だ。
(話を聞く限りは危険因子はないらしく微笑んで智代子にそう言って)
…将来が心配だぁ……(溜息をついてそう言って)
……そうか…俺は誰かの支えになれてたのか……
(少し泣きそうになりながらも,言葉を絞り出し,抱きしめる手に力を込め言って)
ほんとな,しつこいほどだったが,嫌と感じなかった俺もその時から知っていたんだろう。
(同じく思い出に浸るように過去を思い出してそう言って)
2人も居ねえし,水入らずに,楽しもうぜ?
(2人が出かけていくのを見ると,家の中に入りトサッと彼女をソファに落とし組み伏せると,体を重ねつつ耳元でそう囁いて)
知ってます、知った上で抗議しているんですよー!…でも、相手が三郎さんだから本気で怒れなくて困っちゃってるんです(そう拗ねた様子で頬を膨らませながら)
「私だって好きでパパを睨んでるわけじゃないです…ですから、私にこんな顔をさせないよう精一杯努力をしてください」(こちらもすぐに寂しそうな顔に変わると相手へとそう真っ直ぐに訴えて)
そうですかー、良かったですよー…えへへ、じゃあ後はお父さんとお母さんに許可を貰うだけですね!(相手と詩歌がそう言うのならきっと大丈夫だろうと納得すれば安堵して微笑みながら浮かれたようにそう言ってのけ)「……パパはどこまで知っているというのですか…」(神裂の名を口にした時の相手の微妙な引っ掛かりにポツリと独り言のように呟き)
『大丈夫です…パパには心配をかけさせません…でも、心配かけさせた方がもっと気にかけてくれる…?』(最初は頷いて見せたものの、少しして真剣にそんなことを考え始めて)
「当然じゃないですか…パパがいるから私もお母さんも詩奈も今幸せなんですよ、月並みな言葉ですが人はみんな支え、支えられ生きているんです」(泣き出しそうな声に顔を上げて、そう微笑み)
しつこいって、その言い方はどうかと思いますよー…なんて、三郎さんなりの照れ隠しですよね、知ってます(唇を尖らせて不満そうにしていたのも束の間、すぐにそんな調子のいいことを言って満面の笑顔で首を傾げ)
……はい、せっかく久しぶりの二人きりの時間ですから…沢山愛してください(いつになくしおらしくなって、相手と唇を重ねれば身を委ね)
じゃあ何しても怒らないか?(ふと疑問に思い,そう聞いてみて)
善処いたしますっと…いやでも他に表情あるじゃん、お前も智代子の娘なんだから、笑う顔が似合うと思うぜ?(渋りつつも答えた後、相手の口の端に指を置くとグイッと引っ張り,無理やり笑わせて)
その親は何処にいるんだよ、お前が死にかけてた時も音信不通だったんだろ?(相手は浮かれているが、子を諭すようにじっと見つめてそう言い)
…強いていうなら、全部、だな。
(耳は良いらしく、智代子に絡むような形をとりつつ、詩歌の耳元で囁いて)
んー、まぁ俺は完璧な女より少し抜けてて可愛いヤツが好みだな,智代子がドンピシャだ。
(サラッと自分の好みと好意を同時に口にして)
じゃあ,次はお前らが俺を支える時だぞ?
(泣きそうな顔から一転,ニンマリとした満足げな顔をしてそう言い)
おー,分かってるじゃねえか,ただ。
素直にそういうこと、言わない方がいいぞ?智代子。
(感嘆の息をつきそう称賛するものの,すぐに恥ずかしくなったのか,智代子の?をむいーと伸ばしてそう言い)
ん……(身を委ねられると,以前の同じように,肌を重ね,たっぷりと愛し合い,そのままソファで2人して眠りにつき)
三郎さん…その手には乗りませんよ!私だって学習するんです、何しても怒らないとヘラヘラ笑いながら安請け合いしちゃう私はもういないんですよー(思いっきり胸を張って相手をジト目で見上げ)
「なっ…ちょっと、やめひぇくらひゃい…!」(頬を無理やり引き伸ばされ歪な笑顔になりながら、手を出してささやかに抵抗をしていて)
えーと…そうですね、私も海外にいるって事しか…私が眠っていた6年間連絡をとっていたのは詩歌ですし(相手の問いかけにハッキリとは知らないと少しバツが悪そうにしながら詩歌へと目をやり)「今はアメリカです…私が後で連絡をとってアポを取ってみますからそれまで待っててください。……パパにはまた後で個人的に話しがあります…」(智代子の目線に小さなため息を吐いてからそう話して、それから相手の方へ向き直れば二人には聞こえないほどの小さな声でそう語りかけ)
『ん…パパが惚気てきます…私、ダシにされました…』(口をへの字にして相手を見上げ)もう、三郎さんってばしょうがないですねえ、ちょこ的には少し抜けてるっていうところに少し物申したいところでしたけど、そんな風に言われたら怒れなくなっちゃいましたよー…えへへへ(ぺしぺしと相手の肩を叩いてデレデレと笑い)「はいはい、諦めてください…パパとお母さんは昔からこうなんですから今のうちに慣れておいてください」(慣れた様子で詩奈を宥めて)
「当然です…沢山親孝行をさせて貰うつもりなんですから覚悟しておいてください」(深く頷き、冗談めかしてそう口にして)『私も頑張ります…だから頼ってください』(小さな子供なりに使命感を燃やし)
だからいひゃいですってばー!…それに、智代子じゃなくてちょこって呼んでください(頬を引っ張られるとイヤイヤして振り払い、そして少し警戒したような目を向けながら呼び方を訂正させようとして)
ん…三郎さん………(安らかな寝顔で、相手の名前を甘えたような声で寝言で呼んで)
!…そうか…ダメ,か……(相手に断られると明らかに落ち込み,しゅんとした顔で俯いてそう呟いて)
……じっとしてろよ。(相手に抵抗されると,そう小さく囁き,手で広げられた唇にキスをして)
そういえばお前6年も寝てたな……
アメリカ……ランプティフューゼルが出たと聞くし……
生きてるといいな,お前の両親。
(自分にしかわからない何かの名前を口にして心配そうにアメリカにいる両親の事を言って)
…りょーかい。(そう小声で言葉を返し)
ダシにしてやったぜハハハ。
(明らかに棒読みだが,智代子の頭を少しだけ撫で,少し詩歌の発言に違和感を抱きつつも言い切り)
まだ先の話になりそうだが,期待しておくぞ,お前達。
(にこりと笑い返すと,二人を抱きしめて)
それは2人っきりの時っつー約束だろ,俺も恥ずいんだよ察せ。(ズボッと引っ張って開いていた相手の方に人差し指を軽く入れ,察せと少し無茶な事を言って)
……ちょこ…(2人きりと本能が理解したのか,そう呼称して,力強く抱きしめると詩歌と詩奈が帰ってくるまでそうしていて)
あっ…や、やっぱりダメなんかじゃないです、三郎さんからならどんなことでもウェルカムです!(落ち込んだ相手を見ればすぐに意見を180度曲げて)
「んんっ…ぱ、パパ…」(突然のキスに目を丸くして呆然として立ち尽くし)
ちょ、ちょっと!?三郎さん、なんて不穏なことをいうんですかー!大丈夫に決まってるじゃないですか!ね、詩歌?(不安を煽るような相手の発言に取り乱したが、すぐに落ち着きを取り戻し詩歌へと確認をして)「そうですね…つい先日も連絡をとりましたがその点については問題なさそうでした…」(智代子の不安を取り除くようにそう答えるものの、表向きではわかりにくいが少し煮えきらないようでもあって、嘘もついていないが同時に隠し事もあると言わんばかりの様子で)
『パパにはやっぱりかないません…でも二人が幸せそうだと私も幸せ……』(智代子を撫でる相手の様子を眩しそうに見つめていて)
「それは残念ですね…私としてはいつでも準備万端なのですが…」(今ではない先だと言われて少しだけ残念そうにしながらも抱きしめる腕には嬉しそうで)
むう…三郎さんが意地悪をするので私だって少しぐらい意地悪したくなったんですよー、三郎さんを恥ずかしがらせてやろうと思ったんです(そんな滅茶苦茶な理屈を得意げに述べ)
……あ、三郎さん、二人が帰ってきたようです…(暫くそのまま眠り続けていたが、たまたま目が覚めたタイミングが二人の帰宅した声が聞こえると相手を揺り起こしてそう告げて)
それならよかった。
(スンッと元の態度に戻り,微笑んでそう言い)
……(無言で唇を話すと,相手の顔から手を離し,そのまま目を逸らして何も言わず)
それなら大丈夫そうだな,ただ,俺はお前の方が何倍も大事だがな,智代子。
(結局惚気に走り,落ち着いた彼女の手を握って)
…(だいたい察しているものの口には出さず,詩歌をじっと見つめるだけでその場を済ませ)
お前も娘なんだから幸せになってもらわないと困るしな。
(智代子を撫でるついでに詩奈を抱き寄せ,相手の顔を自分の胸に埋めて)
それはそれで良いじゃねえか,あとの楽しみとして取っておける。(相手の耳元で囁くような形になりつつも,そう言って)
言ったなお前,なら俺もお前に意地悪するぞ?
(相手の理屈通りなら,という事で,一旦相手から離れて,両手をわきわきさせながら怪しい笑みを浮かべてそう言い)
…も少し……このままで…(寝ぼけ調子で2人が帰ってきたことなど眼中にも耳にも届いていないのか,揺らしてきた智代子を抱きしめてそう言い)
もう、三郎さんってばしょうがないですね…私ぐらい寛大な子は中々そうはいないんですからね(何故かそう威張って言い、腰に手を当てて胸を張り)
「口にキスは反則です…禁じ手です、嫌か嫌じゃないかで言えば嫌じゃないですが…」(少し取り乱しながらも、気持ちを落ち着けてそうぼそりと呟いて)
それは私だってそうですよー!家族は勿論大事ですが未来の家族である三郎さんだって大事で特別です!未来が不確かで約束された未来なんて無いとしても、どんな分岐の果てにもちょこは三郎さんとの未来にたどり着いてみせます(約束です、と微笑みかけて繋がれた手をもう片方の手で包み込み)
『パパがいて、お母さんがいれば私はそれで幸せ…』「……」(詩奈の言葉を聞き、物言いたげな目を向けていて)
『詩歌お姉ちゃんも…』「っ……」(視線に気付いて慌ててそう付け加えた詩奈を堪らず抱きしめて)
「ええ、それもそうですね…長い時間をかけてゆっくり返していくそんな未来も楽しみです…」(相手の言うことももっともで、コクリと頷いて見せて)
えと…それはいいんですけど、場所が場所なので手加減してもらわないと立場が危ういのは三郎さんですよ…?(相手の迫力に気圧されながらも、一応まだ自分たちがいるのは外だということを忘れないようにと忠告をしておき)
うう…わ、わかりました…もう少しだけ、ですよ…?(最終的には相手のそんな要望に逆らえず、抱きしめ返して甘い声で囁き)
「…いいですか詩奈、こういう時娘というのは空気を読まなければいけません。気配を殺してさも何も見えず聞こえないフリをして通り過ぎるんです」(二人の様子をチラリと見てから後ろに続く詩奈へと小声でそう話して)『ん…わかりました…そろりそろり…』(短く答えて詩歌に倣って抜き足差し足でその場を通り過ぎて自室へと向かい)
______閃いた。
(相手が寛大だの何だのいうため,相手が胸を張っている時,そう呟くと相手の胸に手を置いて,怒られるか試してみて)
…その,〝自分のモノ″には証を付けておきたい獣的本能というか……(サラッと詩歌は自分のモノだとめちゃくちゃを言いつつ,赤面して相手の顔を見て,ごにょごにょと言い訳のような事を言って)
まぁ正直,ただ幸せになりたいだけなら乗り換える事を勧めるけどな,俺との結婚は茨どころか針山の道だし。
(本心ではそんな事思ってもいないが,そんな事をつい言ってしまい,相手の手首を掴むと,自分の口元まで持ってきて手の甲に片付けをして)
…一番子供が気を遣えるって,どうなんだろうな。
(苦笑しながらそんな事を言い,抱き合う2人を素早い動作でいつのまにか手に入れていたスマートフォンで撮影し,保存して)
花婿を迎える頃には返し切れよ,いつまでも縛って置くわけにはいかないんだ。(なんやかんやで娘達の未来を一番心配しており,そう言って)
じゃあ帰宅したら何でもしていいんだな?
(そういう意味ではないはずだが,思考がバグっているらしくそう解釈して智代子の手を取り,子供のように言って)
わかってる,わかってるよ……
(甘い声,甘い香りのする相手を更に力強く抱き締め,第二回戦を始めたいという欲望を抑え、わかってると言葉だけは言いながら、貪るような,ディープなキスを智代子と交わして)
なっ…もう、閃いた!…じゃないですよー!そ、そんなにちょこのここがいいんですか…?(耳まで真っ赤になって抗議をするが本気で怒っている感じではなく、むしろ自身に触れるその手をチラリと一瞥しては上目で問いかけ)
「とかなんとか言って本当は実の娘に欲情しちゃってるんじゃないですか?」(少し頬を赤らめながらも平静を装ってそうニヤリと笑い)
三郎さんは嘘つきですね。この二人がこうして健在であることが何より三郎さんの本心を示してます、三郎さんがその気になったらちょこがどれだけ追いすがってみたところで無力なのは私が一番よく知ってます(自分たちの愛の結晶たる二人が消えずに存在していることはすなわち自分の気持ちが一方通行などではないことを示していると自信ありげに頷き)
ふふふー、これも未来のちょこの教育の賜物ですよー。…あっ、後でその写真私にも送ってください(ここぞとばかりにドヤ顔でそう答えて、娘二人の抱き合う姿の写真を要求して)『今の私があるのはお母さんとパパのおかげです…』(相変わらず空気を読んでそう頷いてみせて)
「何を言ってるのですか…結婚しても恩は返し続けますよ。だって、可愛い孫の顔を見せるのも立派な孝行じゃないですか」(ふふん、と得意げに笑って小首傾げ)
えっ…あぅ…その、えっと…そ、そういうことになりますかね…(こちらも大概マトモな思考をしていないようで瞳泳がせながらも許容してしまっていて)
んっ……えへへ…なんて言ってるちょこが一番この展開を望んでいたのかもしれませんけど(唇を重ねて貪り、それから顔をゆっくり離せばそう冗談めかして口にしては肩を小さく竦めて)
嫁ならどこでも好きだぞ,俺は。
(パッと手を離すと,相手の頭をぽんぽんと叩き恥ずかしげもなくそう言って見せて,しかしそれは話題逸らしと同義であり)
安心しろ,欲情してたら問答無用で寝込み襲ってる。
(にこりと笑いながらそういうものの,冗談には聞こえず、本心からその一言を言っていることがすぐにわかり)
言うようになったな、いや今更か。
そうだな,お前の言うことは正しい、俺はお前を愛しているし、その娘も愛している。そりゃそうだよ。
(いつも通りそう言うものの訂正し,すぐ後に苦笑を智代子に向けてそう言い,2人を見て,智代子を見て,そう言い)
未来の俺家庭放ったらかしにしてたらしいし、そうといえばそうなのか……?あ,写真送っとくわ。
それで,どうなんだ、詩歌,詩奈。
(未来の自分をまた恨みつつそう言うものの,しつけや教育をしたのは一体どっちなんだ,と言う疑問が湧き,経験者である2人に聞いて)
いやあのな,結婚しても俺にべったりみたいな感じは絶対ダメだからな?結婚したら相手との時間を最優先にしろよ。
孫云々はまた面倒な話になるし,まだまだ先だっつーの,
(未来の家系図がおぞましい事になりそうだと震えつつ,今のままだと本当にそうなりそうな為,一応注意して額を小突き)
言ったな,言ったからな,あとで泣いても知らんからな。
(三段活用をしつつ嗜虐的な笑みを浮かべ,舌舐めずりをしてそう言い)
お前も大概だなぁ……
(緩い顔をしながらだらけた顔でそう言い,しばらくそのままでいたものの)
さて……もう終わりだ終わり,お前はまだ孕まないようにしとけよ。(切り替え,立ち上がると服を着直して相手の服を押し付け,サラッととんでもない事を言って)
も、もう…恥ずかしいじゃないですか…ていうか、そういうセリフはもうちょっとタイミングを選んで言って欲しかったですよー(嬉しいことを言われて照れ臭そうに、にへらと笑うが胸を触ったことは帳消しにはならないと言わんばかりに小さくため息つき)
「そうですか…確かにそうですね、パパは据え膳食わぬは男の恥を地で行く人ですから…残念です」(智代子への相手の普段の態度を思い返し、納得して頷き最後に冗談とも本気ともつかない口調でそんなことをポツリと付け加え)
えへへ…知ってますよ!それが分かるから私は尚更三郎さんから離れられなくなってしまうんです、余計に好きになっちゃうんですよ(相手の気持ちがわかるだけに余計に自分の想いも上乗せされていくのだと胸元に手を当てて微笑み)
「そうですね…パパと家族らしく一緒に過ごせたのは短い期間ではありましたが、勢いとテンションで家事をするお母さんにパパは毎日振り回されて、私にはあんな風にはなるなとよく言ってました…ああいった手合いはあいつ一人で手一杯だと…」(ある意味智代子を反面教師的に見ながら相手の言葉に従った結果が今の自分だと話して)『ん…私も同じような感じです…』(コクリと頷き)うわーい、それ素直に喜んでいいのか凄く複雑ですよー!(ある意味自分が娘二人の人格に影響していることがわかったが内容が内容だけに素直に喜べず、そう声をあげ)
な、泣かすような酷いことをするんですか…!?どうせ泣かすなら鳴かせて欲しいです…な、なーんて!(言葉だけでは伝わりづらいニュアンスでそんなことを言ってはすぐに顔を真っ赤にして冗談と笑い)
なっ…何を言ってるんですかー!ていうか、三郎さんもそんなことを言うなら中じゃなくて外に………(相手の爆弾発言にそうムキになって反論し、そして最後は消え入るような声でごにょごにょと呟いていて)
悪いな,そう言うの察するの苦手なんだ。
(苦笑しながらも申し訳なさそうに言い,ため息を吐く相手に思わず悲しみを感じ,抱きしめてみて)
ならお前一回抱かれてみるか?
(相手の発言を一言一句聞き流しておらず,相手にずいっと顔を近づけると,本気でそんな事を言って)
俺知ってるぞ,それ依存って言うんだろ
(ニヤリと笑いながら,言うまでもなく相手は自分に依存しきっていると自信ありげに言って)
未来の俺は苦労してるなぁ……他人事で済まねえってのがまた……智代子,お前あとで家事学べ。
(情報を提供されると空を見上げながら黄昏るようにそんな事を言い,智代子の方を向くと,みっちり仕込むと言わんばかりの笑顔と言葉を口にして)
俺は鳴かせるのも好きだぜ,お前が言うならそうしてやるよ。(相手の意思を汲み取ったようにそう言い,嗜虐的な笑みを浮かべ続けて更に囁いて)
外に出したらソファー汚れるし……何より,
気持ち良かったろ?(そう言い訳じみた事を言いつつも,相手の耳元で生暖かい息と共にそう囁いて)
苦手なんじゃなくて、わざと鈍感なフリをしてるんだと思ってました(腕の中に収まり、上目で見上げながらそう冗談めかし)
「本気ですか…!?一応時間軸は違えど親子ですよ…?それに、それはお母さんへの裏切りになってしまいます…」(いざ相手にそう言われると尻込みしてしまい、俯き)
確かに今のちょこは三郎さんのその声、その笑顔に生かされて息をしていると言っても過言じゃないです(うんうん、と相手の言葉に頷き断言し)
「ええ…とても苦労してました…ちなみにお母さんは家事はちゃんと覚えてはいたんです…ただ、何でもない日に年末大掃除的なノリで掃除を始めたり、突然思い立って満漢全席を作ろうとしたり…頑張る方向性がアレでした」(当時を懐かしむように呟けば遠い目をして)三郎さん!未来のちょこは敏腕ですよ!フルコースだって振る舞ってあげちゃいますね(詩歌の発言を何故か都合よく好意的に受け止めて満面の笑顔浮かべていて)『パパ…頑張って』(親指をグッと立てて生暖かい目をしていて)
えと…うぅ…よろしくお願いします…(相手が承諾をしてくれるとは思わなかったのか緊張したように身を竦め、ボソボソとそう呟いて)
それは…はい…って、女の子になんてこと聞くんですかー!うぅぅ…もうお嫁に行けません、なので三郎さんが責任取ってください…(そう口実をつけて、改めて彼を見やりこちらから唇を塞ぎ)
それもある。(正直に答え,上目遣いな相手の唇に唇を重ね,外だと言う事を正に失念していて)
この時間軸じゃお前はただの女だ,智代子もそれくらいは許してくれるだろ。(そんな浮気相手のような会話をサラリと進め,相手のことを1人の女として見ていると初めて告げて)
それもはや生命維持を俺がしていると同義じゃねえか,怖えよ。(依存を治せるだろうかと割と真剣に考え,頷く相手に悩むような顔を向けて)
やりかねんのが智代子なんだよなぁ……あとお前は引っ込んでなさい。(頭を抱えて思い詰めているようで,調子に乗る智代子の額を小突き,詩奈も道連れと言わんばかりに手を引いて抱き寄せて)
お前ホントちょろいな(相手の手を引きながらエスコートし,いつも通りさんな軽口を口にし,手を絡めて)
お前後半声出してるだけでされるがままだったもんなー,
責任なんて取るに決まってんだろ,娘もう居るんだから。
______そんで?詩歌と詩奈はいつまで覗く気だ?
(思い出すと少しクるものの,すぐに切り替えて2人の娘を思いそう言った直後,部屋に戻ったはずの2人の気配を扉の隙間から目線と共に感じ,そう言葉を投げかけて見て)
んっ…あぅ…人が見てたらどうするんですかー…(キスを受けて頬を上気させながら辺りを見回してみるが幸い誰もおらず)
「パパ…私は…どこまでいってもパパの娘です…でも、同時に一人の女性…です」(ドキドキ胸を高鳴らせながらそれでもハッキリとそう告げて頷き)
ふふふ、そうですちょこは三郎さんで出来ていたんです…って、流石にこれは冗談というか例え話というか、そんな感じなんですけど…(てへへ、と頭の後ろをポリポリ掻いて)
「このままだと間違いなくやります…でも、なんだかんだ言って家族として過ごしたパパの表情はいつ見ても楽しそうでしたけど…」(今は苦悩している相手も未来ではそんなとんでもない智代子に振り回されながらも幸せそうだったと事実を告げ)あう…引っ込んでなさいって思いっきり子供扱いじゃないですかー(プックリと頬を膨らませて)『パパの腕の中…温かい…』(心地良さそうに瞳細め)
三郎さんが巧みなんです、ちょこはそれに翻弄されているんです、不可抗力なんですよー!まあ…三郎さん相手ならちょろくても困らないですけど(慌てて否定をしようとしたがすぐに落ち着いてそんなことを言ってのけ)
うぅ…そういうことを言わないでください…って、え!?(まさかの相手の発言に思わずリビングの入り口へと目をやり)「…ちょ、詩奈、重いです、体重をかけないでください…」『…だって、私も見たいです…!?』(相手が指摘するのと同時ぐらいのタイミングで二人して重なるようにして倒れ込んできて)
あぁ……ほらあの、野外プレイとかあるじゃん?
(すっかり忘れていたことを思い出して,だいぶ苦しい意味不明な言い訳をして)
じゃあ一回家戻るか……(優しく微笑むと相手の手を握って,家まで歩いて行き,詩歌に優しく口付けをして)
マジだったらやべえよ,てか怖えよ,
(相手の言うことに苦笑しながら言葉を返して)
そりゃ,多分慣れてたんだろ,愛している妻のためなら何でもしそうだし,てかすると思うし
(人は成長するものだ,としみじみと言い,きっぱりと何でもすると言い切り)
当たり前だ,お前は大人である前に子供だ。
(自分で言うと訳が分からないが,合っている為にそう言って)
______(腕の中に収まっている詩奈を,愛しいものを見るような目でじっと見つめて)
いやぁ,それにしてもちょろいだろ,まぁそれがいいんだが,簡単に楽しめる。(否定に対し否定を返したものの,やはりと言うか,楽だと言って笑って)
なーぁ、詩歌,詩奈,素直に謝るか,俺に襲われるか,どちらか選んでいいぞ?(重なるように倒れている2人のそばまで近寄ると,そんな選択肢を出し,どうせ謝るだろう,と微笑んで)
三郎さんはそういうのが好きだったんですね…あ、ちょこは少し驚いただけで引いてませんよ?ちょこはどんな三郎さんでも好きですからね!(相手の発言に一瞬だけ白い目を向けたがすぐに気を取り直し、そう言い直し)
「はい…私、初めてですけど、好きなように、パパの思うように愛してくれて良いですから…」(口づけを受けてやや俯きがちに隣を歩きながらそう呟いて)
だけど、ちょこは大袈裟でもなんでもなくそれぐらい三郎さんを大事に思っているということはわかってくださいね(などと惚気たように口にして)
「パパは基本的に苦労人ですね…そして、愛情の為なら苦労を買ってでもするタイプです…」(そんな相手だから家族みんなにこれほど慕われてるのだろうと小さく笑い)
身体は大人頭脳は子供ってことですかー!(両手を振り上げ子供のように抗議して)『ん…?』(相手の熱烈な視線に気づき顔を上げて首を傾げ)
だからって出来れば面白がらないで欲しいんですけど…三郎さんだから許しますけどね(少し不貞腐れたような表情を浮かべたが、すぐにそう言って笑うという相変わらずのちょろさで)
『「襲ってください」』(綺麗に二人声をハモらせて)こらー!詩歌、詩奈!ダメですよー!三郎さんは疲れてるんですからね!(注意の方向性がどこかズレていて)
その気遣いやめろ、獣っつーのはお行儀良く何かをするのは苦手なんだよ畜生,あとそんな趣味ねーからな。
(白い目を向けた相手の額を何度も突き,呆れたように自分の頭に手を当てて、相手を指差し、言って)
いやぁ、娘の初めてを奪うほど俺は傲慢じゃねえ、
お前の言う通り、好きに、智代子とは別途の手法で愛すさ。
(つまり本番はしないと遠回しに言っており、バツが悪そうで)
わーってるよ、要するに2人で1人的なアレだろ。
(ひらひらと適当に相手をあしらい,とりあえずそれっぽいことを言って見て)
やめろそう言うこと言うな、やり難くなる。
(バレるとやり難くなるタイプ…らしく、顔を手で覆い隠して恥ずかしいようにそんなことを小さく呟いて)
他に何があるよ。
(そんな中でも智代子いじりはやめずに)
っぅ……!(相手に見られると目線を逸らし,悶えるようにそう唸って)
なら色々してやるよー、可愛がってやる。
(自分だから許される、と言うことを言われるのは初めてで、調子に乗り始めそんなことを言って)
おうあとで襲ってやるからとりあえず謝れや。
(サラリと言いながらも2人に向けて冷たい目を向け,にこりと笑うもののその目は笑っておらず)
そうですか?まあ、三郎さんにもしそんな趣味があったら合わせないといけませんしちょっと大変だったので安心ですけど(とはいえ、相手がそう望むなら合わせるつもりはあったようで)
「そうですか…残念な反面少しだけ安心しました…もし初めてを捧げたら本当にパパだけを思って生涯独身を貫いていたかもしれません…」(そんなことを真顔で呟き)
そう、ズバリそういうことなんですよ!三郎さんは私にとっての対の片方(かたえ)なんです!(ピッタリ当てはまる相手の表現にやや興奮気味に身を乗り出しながら頷き)
「そして何より天邪鬼…」(相手の反応を見て楽しげに笑いながら分析をやめず)『ツンデレ…?』(そんな詩歌の発言を聞き、またもどこで覚えたのかそんな言葉を口にして首を傾げ)
ふふふー、三郎さんもちょこ相手には勝てても二人の前じゃ形無しですねー(自分を散々弄り倒す相手が詩歌の発言にタジタジになってるのを見れば満足げに微笑み)
『………』(何も言わずにただ腰の辺りに腕を回して抱きつき、顔をすり寄せ)
わーい!…あ、でも、エッチなのは時と場合と節度を守ってお願いしますね…?(嬉しそうに両手を上げて喜ぶが、すぐに思いついたように少しだけ警戒するようにしてそう上目で訴えて)
『「…ごめんなさい」』(相手の雰囲気に即座に謝罪を口にする時まで二人揃って息ぴったりで)
お前少しぐらい反発の意思を見せろよ、合わせる必要ねーんだから。(自分一筋なのは理解していたが、ここまで来ると呆れ,ため息を吐くとそう言って)
まるで俺を既婚者みたいに扱うのやめて欲しいんだが、俺も世間一般で言うに彼女持ち,まだ既婚者のラインにさえ立ってねーんだわ。(苦い顔をし、側からみれば二十歳越え,中身は未だ高校生の自分のことをそう揶揄し,相手の頭を乱暴に撫でると,言って)
んー,刀と鞘の方が合ってると俺は思う。
(さっき自分が言ったことを呆気なく返し,相手の顔をさりげなく押し返しながら男女関係という部分もあるのか,上記を述べて)
お前らマジ一回黙れ……
(詩歌と詩奈にそう責められると呆気なくギブアップし,智代子の言う通りタジタジになると2人の頭をぐっと押し込み,空を見上げてそう言葉を絞り出し)
あざとい……(ぐぬ、と苦戦するような顔をすると,詩奈の首筋に手を這わせて)
善処しまーす(完全に何も考えていないままそう適当にいい,上目遣いされてそんなことを言われると本能的に逆えず,相手の服の内側に手を入れて,しかし外のため,家までその調子で行くつもりらしく)
よし良い子,じゃーメシでも作っかな……
(2人の頭を穏やかな顔つきで1撫ですると,キッチンの方は大きく伸びをしながら向かって行き)
私としても考えなしになんでも許容しているわけじゃないんですよ?重要なのはそこに愛があるかどうかです!つまり、さっきの例で言えば、その…ちょこを外でどうにかしてしまいたいぐらい愛おしいということなら仕方ないかなぁ、と(ビシッと相手を指差し、自分の中で一応のルールみたいなものはあると話すが後半は自分で言いながら照れ臭そうにしていて)
「それは仕方ないです…この世界ではまだ違ってもどこまでいっても私にとってはパパはパパです…」(自分にとっての親という印象はどうしたって拭えるものではなく、親である以上は既婚者なのだと言いたげに)
刀と鞘って…三郎さんがそれを言うとちょっとだけイヤらしい感じに聞こえちゃいますね(ふふふ、と深みのある笑顔でそんなことを冗談めかして語り)
「はーい…」(相手のいっぱいいっぱいな反応を見てクスッと笑いながら悪戯っ子のようにそう返事をして)『パパ、怒りましたか…?』(相手を茶化したという自覚はあるようで少しだけ不安そうに首を傾げ)
『んん…くすぐったいけど、気持ちいいです…』(瞳細めて心地良さそうに呟いて)
んっ…あぅ…さ、三郎さん…言ってるそばから…ぁん…(あまりにも大胆すぎる相手の行動に身をよじりながら悩ましい声を漏らし)
そういえばちょこはもうお腹ペコペコですよー!お腹と背中がくっつきそうです!(相手の言葉を聞き、そういえばと思い出したようにそう口にしてはお腹を軽くさすって)
それならお前,俺のすること全部許容することになるけど,良いのか?(照れ臭そうな相手と対になるように,全く顔色を変えないまま,自分の行動は智代子への愛ゆえ,と恥ずかしげもなく,当然のように遠回しながらも言って)
一応言っとくけどな,俺はこう言う事象に慣れてるだけで,本当はめちゃくちゃ困惑してるんだよ,当然だろ,
未来からの娘とか,単純に考えて素直に受け止める奴の方がおかしい。(相手の言葉は理解できるが,未来の自分と今の自分を混合されては困るため,そう弁解し,あくまで自分は困ってあると告げて)
何?俺そんなにいやらしい奴に見える?
(側から見ても普通の青年だが,智代子にはそう見えているのだろうかと心配になり,冗談とは思わず真面目にそんなことを聞いていて)
怒ってる,そりゃ怒る,大人を揶揄うのはやめなさい…
(ガチになるぞ,と小さくつぶやきを足し,首を傾げる詩奈と悪戯っ子のような詩歌に自分は大人ではないもののそう言って)
…猫のような,愛犬のような,何だろうコレは。
(相手の反応で何かを思い,考えに夢中だからか無意識に片手で詩奈の耳たぶをむにむにと揉んでいて)
しー,あんまり声出すとバレるぞ?
(悪戯をする子供のようにそんな事をニヤリと笑いながら言い,周りを歩く人々を人目見て,側からはカップルがイチャついているようにしか見えず,這われた手は届く範囲,背中や胸元を這い,肌を直接くすぐって)
そりゃ,あんな激しくしたら腹も減るだろうよ,何かリクエストあるか?洋食以外で(サラリとまた言いつつ,キッチンから顔を出してそう聞き)
それならそれで望むところです!(胸をドンと叩いて迷いなくそう答えて)
「それは確かにそうですね…私がパパをパパとしてしか見られないようにパパも私を未来の娘として簡単に受け入れる訳にはいかない、と…それぞれの時間軸でお互いの認識が違うのですから当然ですが…」(相手の言葉にふむ、と顎に手を当てて考え込み)
いやー、多分そんな風に考えちゃうのは私だけだと思いますよ?ほら、ちょこはあんな風にに獣のように激しくちょこを求めてくれる三郎さんを知ってますから…(頬に手を当てながら軽く身体をくねらせて)
「…未来ではパパとこんな風に冗談を言って戯れたりなんて出来なかったんです…ですから大目に見てください」(少しだけ俯きがちに、咎めるように口にする相手を見やり呟いて)
『んん…愛娘…?』(心地良さそうにしながらチラリと相手を見やり小首傾げ)
そ、そんなこと…ひゃんっ…言われても…んぅ…自然に声が…(顔を真っ赤にしてピクピク身体を震わせながら必死で声を抑えようとするも耐えきれず声が漏れ出て)
えへへ…ですよね。それじゃあ肉じゃがが食べたいです!(相手の言うことももっともだと苦笑し、それからビシッと敬礼ポーズとりながらリクエストを告げて)
そりゃ面白い,ありがたく色々試させて貰うぞ
(相手の口に指を突っ込んで掻き回しつつ,ニヤリと笑って言い)
そう,俺はお前を娘としてまだ受け入れてない,多分そのうち受け入れる事ができるだろうが,まだ受け入れてないからこそ,俺はお前を1人の女として抱いてやれる。(結局そう話題を変え,困っていたときの自分はどこに行ったのか、と自分でも思いつつ,相手の腰にスルッと手を回して)
あー……アレな,そんなに激しくしたつもりはねーんだよ,だから,まぁ,もっと激しく出来るってこった。
……うん,まぁ,お前の意思を尊重するけど。
(くねらせる相手に?を掻きながらバツが悪そうに言い,相手を少しだけいやらしい思いを含んだ目を向け,すぐ逸らし,相手の意思を尊重すると言って)
何で未来の俺の咎を俺が負うんだよ……ま,良いけどな。(同じ自分だが全く違うためそう納得のいかない顔でそう言い,すぐに切り替え,ギュッと優しく抱きしめて)
そうそう,そんな感じだ。
(相手の例えに反応し,笑いながら同意するものの,その拍子に手が詩奈の獣耳を触って)
静かにしろ。(声が漏れ出て,周りから少し視線が集まると少し厄介そうな顔をし,相手に静かにしろと告げるとそのまま相手の口を唇で塞ぎ,くすぐりはやめず)
はいはい,詩歌,詩奈,手伝えるか?
(相手のリクエストに応えつつ,2人に料理の有無を聞いて)
んぅ…んんん…!?(唐突に口に突っ込まれた指に目を見開き、かき回すような動きに思わず声を上げて)
「そうですね…それに、こんな経験普通の親子なら出来ませんしラッキーです」(そんな風に少し不謹慎なことを口走り、ふふ、と笑い)
基本的には優しくしてくれた方が嬉しいですけど…でも、たまにならいいですよ…?(頬を赤らめ、しおらしくそう囁くように口にして)
「とかそんなことを言いながら優しくしてくれるんですから…パパは本当罪作りな男ですね」(智代子が惚れたのも頷けるなとそう茶化すように口にして)
『んっ…く、擽ったいです…』(ビクビクと身震いをしては、瞳潤ませて相手を見やり)
んんっ…もごもご…!(耐えきれずに発した声は口を押さえられたことで、声にならず)
「和食は滅多に作りませんが…パパと一緒に台所に立つチャンスをむざむざ逃しません」(当然だと言わんばかりに頷き)『お料理、お手伝い頑張ります…』(コクリと一つ頷き二人の後に続いて)
……(声をあげる相手を面白そうに見つつ,指を抜くとべったりと指についた涎をハンカチで拭いて)
ラッキーかは知らんぞ,何せ相手が俺だからな,今からでも断っても良いんだ。(いつも通りに過小評価し,そんな事を言いつつも相手の腰に手を回している為逃す気はなく)
あー……そうか,偶に,だからな,俺的にはお前の嬉しい事をしたい(やはり相手重視らしく,相手を優しく抱きしめると相手にささやき返して)
ただ優しいだけなら他の男でも良い気はするんだけどなぁ。
(茶化されると苦笑いしつつ,詩歌の考えもよく分からないままそんな事を言って)
______(何かピンと来たらしく、両手で両方の獣耳の先っぽを指で挟んで)
……一旦家戻るか。(相手から唇を離し、手を服から抜くと上気した相手の顔に囁いて)
2人は智代子以上に働くなぁ…
(チラリと智代子を横目で見つつそう言って)
もう…三郎さんって、ちょこの口の中大好きですよね?すぐに指入れたがりますし…そんなにいいんですか?(少しだけむくれながらも、そう問いかける表情はどことなく楽しげで)
「私は出来た娘なのでパパを悲しませるようなことはしません…だからといって自分を安売することもしないつもりですが…」(腰辺りに回された手と相手の表情とを見比べてそう真顔で呟いて)
ふふ、三郎さん、それはちょこだって同じなんですよ?私だって三郎さんが嬉しく思ってくれることをしてあげたいです(こちらからも自然と背中に手を回して相手の顔を見上げて小首を傾げてはにかんだように笑い)
「それにかっこいいですし…頼りになって男らしくて…真の強さは優しさだということを体現しているのがパパだと私は思っています…」(恥ずかしげもなくそんな本音を口にして)
『あぅぅ…パパ…駄目、です…』(再び身体震わせたかと思えば、モジモジとしながら呟き)
そうですね…えへへ、三郎さんってば大胆ですよね…でも、本気で嫌だって気分にならないのはやっぱり三郎さんが相手だからなんですよね(そう言ってにこやかに笑いながら相手と手を繋いでぷらぷら揺らして帰路について)
ぶー…いいんですよ、ちょこが手伝っても。でも、それで失敗をしても恨んじゃやですよ?つまりこういうのは適材適所ってことなんですよ?(頬膨らませながらそう相手に反論をして、何故か偉そうにして)
あぁ……寒いからな,体内の方があったけえと思うのは当然だろ?(寒いから,と理由を述べると生暖かい息を相手の耳に吹きかけ,笑うとそう言って)
もう既に俺っていう男に安売りしてるじゃねえか。
(相手を茶化すようにそんなことを言い、ニヤッと笑うと真顔の相手をつまらなく感じ,突然首筋をくすぐって)
______そうかぁ……そうだよな,なら我慢しなくてもいいって事か?(相手の言葉に感慨深そうに二回言うと,どこか吹っ切れたように相手を期待に満ちた目で見つめて)
過言過言過言,俺はそんな奴じゃねえよ。誰だそいつは。
(ないないと相手の言葉を一方的に否定し,相手の求める男性の理想かと勘違いして)
______なんか面白え(面白くなってきて,獣耳を舐めたりくすぐったり,行動がエスカレートしてきて)
嬉しい事言うじゃねえか,家に帰ってからはもっと色々やるから,覚悟しとけよ?(嬉しそうに笑みを返し,振られる手を少しずつ収めるものの手は繋ぎ続け,そのまま帰宅するとすぐにコートを脱ぎ捨て,ソファに寝転がり相手を誘って)
あぁ……確かにそうだ,死ぬよりマシだな。(相手の言葉にやけにすんなり納得し,そう言って)
もう、しょうがないですねー、ちょこは三郎さんにとっての鞘ですもんね…?体内の方が温かくて落ち着くのも無理はないですよね…んっ…(えへへ、とだらしのない照れたような笑顔でそんなことを口にしていたが耳に息を吹きかけられると一層顔の赤みが増してみじろぎして)
「んぁ…パパは本気でそう考えて娘の将来を思うのなら今のような行為はすぐにでも辞めるべきではないですか…?ですが、パパ相手に安売りだというなら私はこの純潔を一生守り通すことになるでしょうし、事実と異なるので今更辞めさせてあげませんけど…」(首筋をなぞる手に悩ましい声を漏らして、それでも決して拒絶などはせずむしろ挑発的にそんなことを口にしては腰あたりに腕を回して)
あれだけ好き放題やっておいて、まだ我慢してたって言うんですか?…もう、三郎さんってば、今度はどんなことをしちゃうんですか?(頬を赤らめながら上目で期待半分不安半分といった様子の表情で問いかけ)
「私の中のパパのイメージです、後多分お母さんも同じように考えているはずです」(相手が自分でそう否定をしようが自分の中ではそうなのだと一蹴して、同意を求めるよう智代子の方を見れば無言で首を大きく縦に振っていて)
『ん…はあはあ…パパ…なんだか、気持ちよくなってきました…私、変…?』(呼吸を乱し、初めての感覚に戸惑いを隠さずに不安そうに相手を見上げ)
今日はちょこが三郎さんを喜ばせてあげます。いつもいつもしてもらうばっかりじゃ悪いですからね(そう言ってソファの上の相手に覆いかぶさるようにしてキスをしては早速舌を絡めにいって)
なっ!?失礼ですよー!流石に死人なんて出すほど酷くないです!そこまでいうならちょこだって手伝います、三郎さんをギャフンと言わせてやるんですからね!(相手の発言にムッとしたような表情になり、ムキになってそう言いながら腕まくりをして台所へと入っていこうとして)「ちょっと、パパ…言葉は選んでください…お、お母さん落ち着いて、ね?」
言い方考えろ,ヤラシイ意味に聞こえるだろうが。
(相手の言動に少し顔を赤くし逸らし,ぼそぼそとそう言って)
ほーぉ、言うな,お前も,智代子とはまた違って面白い,たっぷり可愛がってやるから覚悟しろよ?
(その内家の前まで来ると,きょとんとした顔からニヤリとした笑みに変化し,相手の腰に手を回したまま自宅の中に入ると,階段を登って自分の部屋までやってきて)
んー…生半可な人間だったら壊れるレベルのこと,か?
(サラリとそんなことを言ったのけ、付き合ってくれるよな?と相手を抱き寄せて逃げれないようにし)
すげえな,俺物凄く美化されてるじゃねえか。
…え,もしかして他人から見たら俺そんな奴なの?
(未だ自覚していなかったらしく,智代子まで首を振ると今更気付いたようでそう言って)
変じゃない変じゃない,安心して体を委ねてくれればいい。
(そっと相手にそう耳打ちすると,耳の先っぽをパクッと口に含んで,舌で弄り)
_なら俺を満足させれるよう,頑張れ。
(優しく笑うと,相手の服に手をかけ,しかしかけるだけで,脱ぐのは相手自身がやれ,付け足し,そして自分を満足させてみろ,と言って)
ギャフンってか死ぬからやめろ,事例があるのを忘れたか。
(キッチンに入ろうとした相手の首根っこを掴み,子供を説教するようにそんなことを言うと,ソファに放り投げて)
わざと、ですよ…三郎さん?(そう言って扇情的な笑み浮かべ)
「元より覚悟は出来てます…半端な覚悟や冗談でそんなことは言いません」(何の躊躇いもなくそう頷き)
じゃあちょこで試してみますか…?私はこの先三郎さんと一緒に生きることを心に決めています、であれば三郎さんの全てを受け入れるだけの覚悟が無ければ未来はありません(とんでもないことを口にした相手にもそれほど怯んだ様子もなく、強い決意を胸にそう言ってのけ)
「少なくとも私たち家族からはそうですよ…自分のことというのは意外に自分ではわからないものです」(淀みない口調でそう断言すると智代子もそれに同調するように再びコクコクと首を縦にふり)
『んっ…あぅ…変、じゃないならパパの好きにしていいです…』(ところどころ甘ったるい声を漏らしながら相手を全面的に信用して言葉通り身を委ねて)
……えへへ、なんだか凄く疲れました…ねえ?今日は満足してもらえましたか…?(辿々しいながらもどうにか最後まで今回は自分が主導となってやり遂げて、まだ少し弾んでいる呼吸を整えながら笑顔でそう問いかけ)
あうっ…三郎さん酷いですよー!もう…(ソファへ向けて投げ捨てられ、頬を思いっきり膨らませて抗議していて)
____ほぉ。
(相手の言葉に少しいやらしい笑みを浮かべると,両手の指3本ずつを相手の口に無理やりと押し込み,生々しいぐちゅぐちゅという音と共に口内をかき回して)
そりゃそうだな。
____ほら,脱がすぞ。
(躊躇いのない相手にコートを脱ぎ,結構な大きさのあるベッドに相手を引き倒すと,子供の着替えを手伝うような速さで相手の服を脱がせて)
じゃあ試すわ。
(一瞬で答え,相手の後頭部をガッと掴むと強引なキスをし,本気で獣が貪っているように舌を入れ,ぐいぐい押し込んで相手の息が詰まるほどのキスをして)
えー,じゃあ後でゆっくり聞くわ,俺の良いとことか秒で言い終わるだろ?(同調する2人に困惑しながら苦笑いし,あはは,と笑いつつそう聞いて)
……悪い。(一度耳から口を離すと,そう言って相手の手を引いて道すがらの公園までやってくると,相手の服に手を突っ込み,服の内側から胸を触りつつ優しいキスをして)
んー……それなりだな,やっぱ俺が攻めないと唆らない。
(あまり呼吸は荒くなっておらず,冷静にそう答え,相手を逆にまた押し倒すと,すぐに二回戦を開始しようとしていて)
……ほら,やるぞ,あのバカがまた来る前に。
あと,お前らのさっき約束しちまったし。
(ソファを横目にキッチンに入り,2人の肩を叩いて料理を促し,相手2人を纏めて襲う,という約束を律儀に守るようにそう言って)
んむぅ…むぐぐぐぐ…!?(口の中いっぱいに入り込んできた指に苦しげな声を漏らしながらも顔つきはだんだんと恍惚の表情へと変わっていき)
「あぅ…流石はパパ、手慣れてますね…」(あっという間に服を脱がされてしまい、少し恥じらいの声を漏らすがすぐに気を取り直し平静を装って)
はい、来てください…!!んっ、はっ…ちゅ…(強引なキスを受け入れて、息苦しさに目尻に涙溜めながらもこちらも必死に舌を絡めにいって)
「その言葉きっと後悔することになりますよ…昔からお母さんはパパのことになると話しが長いんですから…勿論私もパパへの思いならお母さんに負けるつもりはありませんが」(ふっ、と口元に笑みを浮かべながら小首傾げ)
『んっ…はぁ…パパ…なんだか足から力が抜けて…』(足がガクガクと震えて熱っぽい息を吐いて)
ぶー…そこは嘘でもよかったって言って欲しかったですよー…まあ、そういう容赦ないところも三郎さんらしいんですけどね…それはそうと、続きの前に、はいこれ!良かったら受け取ってください。ちょこからの愛情たっぷりチョコレートですよ(押し倒されながら少し不満そうにボヤき、第二回戦に臨もうかという相手を一旦押しとどめ、ポケットからチョコレートの入った包みを取り出して顔の前に持っていき)
「そうですね…あまりのんびりしてたら夕飯が遅くなってしまいますし、その後の楽しみも待ってますから…詩奈はジャガイモの皮むきをお願いします」『怪我をしないようにそっと優しく…』(相手の言葉に少しだけ急いで支度を始めて、詩奈と分担して材料の下ごしらえを中心に作業をして、詩奈はやはりまだ子供だからか辿々しく少しだけ危なっかしい手つきで)
______気分はどうだ?
(相手の恍惚に満ちた顔を見ると,少し嗜虐的な笑みを浮かべ,相手の耳元へ口を寄せるとそう甘く囁いて)
そんなに手慣れてるかね,普通だろ普通。
さ,始めるぞ。
(相手の言葉に顔をしかめながら答え,そうするとすぐに相手に覆い被さるように押し倒し,本番はしなかったものの相手が蕩けるまで散々焦らしたりさまざまな方法を使い,一夜を過ごして)
____(ただただ無言で,相手の涙を見ても尚止まる事はなく,自分の欲望に忠実になり,相手のことを気遣わずに,唾液が交わり,呼吸が交わり,遂には手を相手の背に回し,グッと押し込む事で勢いを増し,何分,何十分と濃厚なキスを交わして)
同類の匂いがするのは俺だけだろうか。
……俺だけだろうな。二人の熱意はよーくわかった。
(ぽふっと相手の頭に手を乗っけて,薄く微笑みながら目を閉じ,優しく言って)
…悪いが,か弱い子供は獣に喰われちまうぞ?
(足が震えている相手をお姫様抱っこすると,耳元でそう囁き,近場の草薮に入っていくと相手を押し倒し,上着,制服のネクタイをシュルッと解いて,子供相手に覆いかぶさり,キスをしつつ獣耳をにぎにぎして)
……チョコレート?なんで今?
(相手の渡してきたものを訝しげに見て,受け取りチョコレートと告げられると,バレンタインデーを知らないらしくきょとんとした顔で聞き返して)
二人まとめて蕩かすから覚悟しとけー,
っと,詩奈,危ないぞ,これはこうしてだな。
(分担してやる作業を少し微笑ましく思い適当にぼやくが,危なかっしい詩奈の動きを見ると詩歌の会話を断ち,詩奈に密着して手取り足取り教えてやり)
はぁ…少し苦しかったですけど、でもなんだか気持ちいいです…(深く息を吐いて瞳を潤ませながら感想を口にして)
「パパ…ありがとうございました、沢山愛してくれて幸せです」(ベッドに横になりながら、相手の優しさと想いの詰まった行為にまっすぐな想いを述べて)
っ…!!(次第に息苦しさ以上に悦びの方が大きくなっていき、こちらからも深く求めるようになっていけば求め合うキスへと変わっていき)
「それはそうです…私はパパの娘でありお母さんの娘でもあるのですから…」(同類と言われるような似通った面があるのも無理はないだろうと頷き)
『ん…?パパが獣…?それなら食べられてもいい…』(恐怖心や不安は不思議と感じず、相手の言葉と行為へと完全に身を委ねて)
三郎さん知らないんですか?2月14日はバレンタインデー、女の子が好きな男の人に親愛の証としてチョコレートを送る日なんですよー(とぼけている様子もなく本当に知らない様子の相手へと今日がどういう日であるかをかいつまんで話して)
「楽しみにしておきます」(覚悟とは程遠い期待に満ちた目を浮かべながらほくそ笑み)『ん…こう、ですか…?』(相手に教えられるままに手を動かして、そして確かめるように相手を振り返って問いかけ)
お前やっぱ被虐体質的な部分あるよな。
(相手を見て,潤む瞳の目尻を拭いながらも前もこんなことあったなー,と色々考えた末にそう言って)
以外と落ち着いてるな,慣れてんのか?
(結構頑張ったつもりだったが,かなり加減していた為そんなことをからかいのつもりで言い,ベッドでぐったりしていて)
……はぁっ……はぁ……
…大丈夫か?
(かなり長めのキスを交わしていた為,口を離した際には息切れして息が上がっており,蕩けたような相手の顔を見ると?に手を置いて聞いて)
なんやかんやで二人の遺伝子継いでるな、確かに似るのは当然だ。(安心したように微笑み,相手の頭をぽんぽんと叩くと歩き出して)
…言ったな,容赦しねえぞ。
(子供相手に大人がないとは思いつつ,相手の貧相な体を楽しみつつ,詩歌とは違い勢いで本番までして,そのまま行為を終えて)
へー……バレンタインってそんな行事だったのかー。
知らなかったわ(興味深そうにそんなことを言いつつ,その単語だけは知っていたらしくあまり驚いた様子もなく,チョコレートをテーブルに置いて)
マセガキめ…泣かせてやる。
(余裕そうな詩歌を見ると何処か苛立ち,そう決意をすると料理を進めて)
そうそう,筋いいぞ,頑張りゃ詩歌なんて余裕で越せると思うぜ。(詩歌を横目でチラ見しつつ,詩奈を煽ててそのまま皮剥きを進めさせ)
そうですかね?自分じゃよくわからないですけど…でも、多分どんなことも相手が三郎さんだからですよ(相手の言葉に少しだけ考えてから、どんなことも嬉しいのは相手がしてくれるからだと自分なりに答えを出して)
「そんな訳ないです…実際私はパパのリードが無ければどうすればいいかすらわからなかったんですから…余裕に見えるとするならそれは多分パパが優しくしてくれたからです」(からかいに対して少しだけ不満げに反論し、落ち着いて見えるのは偏に相手のおかげだと断言し)
はい…でも、少し酸欠気味で頭がボーッとしますよー…(えへへ…と笑いながらそう答えては大きく息を吐いて)
「二人とも大好きなパパとお母さんですから、そりゃ影響だって受けます…」(家族への想いの強さを示すようにそう口にして微笑み)
『んん…あぅ…パパ激しい…なんか足元変、です…』(許容範囲外のものを無理矢理受け入れたからか内股気味になってカクカク震えていて)
はい!ですからちょこから心尽くしのプレゼントです!不本意ですが、今回は市販で妥協しました…来年こそは絶対美味しい手作りチョコを食べさせてあげますからね!(少しだけ悔しそうにしながら拳をグッと握り、そう意気込みを口にして)
「そうですね、泣いてしまうかもしれません…幸せのあまり」(なんとなく相手の反応を見ているとおちょくりたくなってきてしまい、そんな冗談とも本気ともつかないようなことを言ってのけ)『本当…?頑張ります…パパに褒めて欲しいですから』(表情の変化は乏しいが確かに瞳に光が宿り、器用に皮むきをしていき)
話が堂々巡りしてる気がするなぁ,ま,それなら気が楽だ,お前らしくもある。(前にもこんなことを言った気がすると話題を切り替え,はは,と乾いた笑みを浮かべて言い)
そうか?それなりに厳しくしたつもりなんだが。
でも,そうだな,お前は純潔が合う,奪わなくて正解だ。
(不満げな相手に満足させるように、納得させるように甘い口付けをすると首を傾げつつそう疑問を口にし,その後に相手の下の口を一瞬撫で,ベッドから降りて)
それ大丈夫じゃねえよ、どうする?人工呼吸でもするか?
(相手の顎を掴みながら、息を吹き込もうと,というよりキスをする目的で相手の目を真っ直ぐ見据えて)
俺の影響はあんま受けて欲しくねーな,世渡りし難くなる。
(苦い笑みを浮かべ,母親七割父親三割,そんな感じがいい,と付け足して)
…痛かったら言えよ。
(震える相手の肩を掴むと,先より動きを激しくして,舐る、そして焼くような熱いキスを同時にかわして)
そん時は詩歌の手伝いが必要だな。
(あはは,と愉快そうに揶揄い、笑って)
泣いたとしても容赦しねーぞ、俺はやると言ったらやる。
(幸せのあまり、という単語だけを聞き逃し、ムッとした顔になると相手のボディラインに目を移しながら料理を進め)
お、おう…
頑張れよ。
(相手の心意気を少し感じ,自分の言葉でここまでやる気になるのか、と疑問に思いつつ、人間体の方の耳をぺろりと舐め,同時に囁き言って)
ですよね、でも事実としてそういうことなんだから仕方がないです。三郎さんにとっての都合のいい女だとしても構わない…ちょこはそれぐらいあなたにゾッコンみたいです
(相手の言葉に言われてみれば…と過去を振り返って口にして、同時に相手への想いを再確認すれば背伸びをして相手の首回りに腕を回すようにして抱きつき)
「奪ってくれても良かったのに…なんて、冗談です」(ベッドから降りた相手の後ろ姿へとボソリとそんな言葉をなげかけ)
…あ、はい、それじゃあお願いしてもいいですか?もう少ししてもらえればきっと呼吸も整うと思いますから(人工呼吸が口実に過ぎないことはこちらもすぐに理解して、しかしそんな無粋なことは言わずただキスを求めるように顔を上に向けて)
「それは難しいですね…パパも知っての通り私はパパっ子なので、どう甘く見積もってもパパ6のお母さん4ってところです」(その点に関してはいくら相手のお願いでも聞けないと平然と言い切って)
『ん…少しだけ、痛いです…でも、平気………』(言葉少なにそれだけ口にして相手と唇重ねれば蕩けたような目になって)
むう…そのうちちょこ一人でもしっかり家事が出来るようになって三郎さんを見返してやりますからね!なので三郎さん好みの味を把握する為にこれからは味見お願いしますね(絶対に見返してやると闘志を漲らせ、最後にサラリととんでもないことを言ってのけて)
「容赦なんてしなくてもいいですよ、だって私も詩奈もすでに覚悟は出来てるんですから…」(生意気な態度を取り続けるのは何も相手を茶化しているからではなく、今更慌てたり取り乱したりする必要がないぐらい相手を受け入れる準備が出来ていることに他ならないことを口にし、野菜を食べやすい大きさに切っていき)『んっ…!?あう、パパ…』(作業に没頭していたタイミングで突然耳を舐められるとビクッと肩を跳ねさせ、手元が狂って指先を切ってしまい)
……バーカ,俺もてめーにゾッコンだよ。
(抱きついてきた相手に薄く微笑みながら,手を相手の方に伸ばすと頭に手を置き,ぽんぽんと叩くとそのまま相手と同じように首に手を回して)
ジョーダンじゃ無かったら俺困る,仮にも俺親だし,今んとこは我慢するよ。(今んとこ,という部分を強調し,やれやれと言わんばかりな声質で言うと振り向いて言い,部屋から出ようとドアノブに手をかけて)
アイヨ、じゃあ早速…
(理解の早い相手にやはり好意を抱き続け,相手の後頭部を手で支えると,顔を下ろして人工呼吸という名目のキスをして)
マジかよ,それじゃ世渡り難しくなっちまうなー。
(あはは,と適当な笑みで答え,平然と言い切る相手に少し慌てるものの,気を取り直して)
強い子だな……お前は。
(相手の言葉に安心したように行為を続けると,ほんの数十分で行為は終わり,ちゃっかり外ではなく中に出しており,それには本人さえ気付いておらず,服やズボンを着直していて,気付いているのは詩奈本人だけで)
俺の命は持つ限りは付き合ってやる,期待してるぜ。
(遠い目をしながら絶望しつつ,なんやかんやで付き合ってやるらしくそう優しく笑いながら言って)
何の覚悟だよ……襲われる覚悟か孕む覚悟が初めてを奪われる覚悟か,言っとくけど獣は発情期ってモンがあること忘れんなよ。(今の彼は至って冷静であるものの,暗がりに入ると生存本能が強くなるらしくそう言い,覚悟というものが多すぎて候補をあげるもののイマイチピンとこず,ほおを掻きながら詩歌の方を向いて)
!?,指切ったのか!?あーくそ,俺の馬鹿野郎……
すまん,詩奈,許してくれとは言わんが今後は控える。
(相手の痛そうな声を聞くと,一瞬取り乱して詩奈の手を取り,包丁を置くと切ってしまった指の傷口から滲む血を獣らしく舐めとり,当たり前のように血を吸い出して絆創膏で塞ぐと,こういう行為は控える,と,遠回しな生殺しをして)
わわっ…えへへ、こんなに幸せでいいのか怖くなっちゃいますね(予想もしていなかった相手からの愛の言葉に目を丸くして、抱き寄せられれば幸せそうに胸元に顔をくっつけてすりすりと顔をすり寄せて)
「パパが我慢しないといけないほど私を魅力的に思ってくれているんですね…そんなに大事に思ってもらえて嬉しいですよ、とても」(やれやれといった風に部屋を出て行こうとする相手の背中へ向けて、そう冗談めかして笑いながらそう言葉を投げかけて)
はい…来てください……んっ……(迷いなくそう答えて相手のキスを受け入れ、相手の口腔内へと舌先を伸ばして)
「別に世渡りなんて上手くならなくていいです、人の顔色を伺って嫌いな人の前でもヘラヘラして愛想を振りまくような生き方をするぐらいなら人付き合いなんて下手なままでいいです」(相手の言葉に対し、冷たい口調でそう返して深い息を吐き)
『ん…パパのが中で熱い…なんだかわからないけど幸せ、です』(行為の意味や中に出されたもの、それらが意味するものはまだ理解できていなかったがとにかく今幸せを感じているとストレートな感情を述べて)
もう、大袈裟ですよー、ちょこはやれば出来る子ってところを三郎さんにも見せてあげちゃうんですからね(過去の実績からすれば妥当な評価なのだが、本人はそう思っていないようで)
「その全部ですよ、お母さんの言葉を借りるならパパになら何をされてもいい、つまりはそういうことです」(挙げられた選択肢全てを問題としていない様子で、智代子がよく言っている相手になら何をされても構わないという言葉をそのまま言い放ち)
『大丈夫です…これぐらいは舐めておけば治ります…だからパパは気にしないでください』(心配と申し訳なさの入り混じった相手の表情を見て首を横に振り、指先の血を舐め取ってくれた相手にこれで大丈夫だとばかりにそう口にして)
それな,俺も真面目に悩んでる。
色々あったからな,俺自身にも。
(以外に真剣に悩んでいるらしく,胸元に抱き寄せてきた相手の頭を押さえ,今自分がしている冷たい目と震える指先を隠し,星の流れる空を眺め,しっかりと,大事に智代子を抱きしめて)
あー,いや違え,お前は魅力的っつーか,俺の目が腐ってる。(ニヤリと振り返ってそう悪態をつき,部屋から出て行って)
んっむ……
(唇を重ねると,先とは打って変わって全く控えめなキスで,一応人工呼吸という体裁を保っていて)
む……俺と同じような事言いやがって。
愛想笑いも大事だぞ,俺はよく知ってる。
(またもや相手の知らぬ己の過去を思い出しているようで,遠い目をしながら経験者の声で言って)
______やらかした,やらかしたぞ俺。
未来の俺よ,今の俺を許してくれ………
…なぁ,詩奈,もし,もしだぞ?
俺の子供孕んだりしたらどうする?
(頭を抱えつつ己の撒いた種で苦悩し,震える手と恐怖で萎縮した目線を相手に向け,まだ知らぬ相手をしっかり騙そうとしていて)
んー,次はないぞ?
(相手を見て,本当に次はないと本気で言っていて)
よーしお前絶対あれだ,初めて奪ってやる。
あとお前いつかは知らんけど,彼氏出来たら家出てけ。
(一気に話が飛躍するものの,これが一番いいと一瞬で判断し,野菜を鍋に入れると細かな調節しながらそう言って)
だめだ,俺が原因なんだから,娘に怪我をさせるとか俺最低だ……くそ。(圧倒的な自負の念に駆られ,珍しくとても落ち込みながらそう言って)
今までに色々あったからこそ幸せになるべきなんじゃないですかね?いつまでも辛いまま悲しいままなんて嫌じゃないですか(胸元に埋めていた顔を上げて相手の表情は見えないがそう耳元近くで囁いて)
ん…ぅ、三郎さん、もう少しだけください…(優しいキスにほんの少しだけ物足りなさを感じ、もっとより多く求めるように唇を押しつけ)
「…一応心には留めておきます」(この点に関しては譲るつもりはないらしく、言葉少なにそう返して)
『パパとの子供…?キスをしたからコウノトリさんが運んでくる…?』(子供ゆえのズレた知識と認識をもとに小首を傾げて相手の質問へと答えて)
つ、次はないって、ちょこは一体なにをされてしまうんですかー…いや、まあ…勿論失敗なんてしないので心配してないですけどね!?念の為です(言葉とは裏腹に思いっきりビビった様子で相手を上目で見つめていて)
「パパ…そんな扱いはいくら私でもちょっと悲しいです」(どうやら相手の対応が効いたようで少しだけ悲しげに瞳を伏せて)
『パパ…元気出して…私は大丈夫ですから』(落ち込み続ける相手の頭を優しくポンポンと元気付けるように撫でて)
そんなの当たり前だ,俺は幸せになりたいし幸せにしたい,当然の話なんだ。
(相手をギュッと先より力強く抱きしめ,少しばかり涙が出そうになるが,風にさらわれて消え,その涙を止めると笑って相手から離れて)
お前も積極的になった…なっ?
(唇を押し付けてくる積極的な相手に答えるように舌を熱烈に絡ませ,やはり一方的で,相手の反応を待ち)
親からの言うことは素直に従いなさい,嫌うぞ。
(そう軽く額を突き,軽いノリで嫌うと言って)
本当にそうだったら俺はそのコウノトリを撃墜する。
じゃなくてだな,詳しく説明するから耳貸せ。
(迷いなく断言するが,間違いには変わりないため相手の考えを正すため,恥もプライドも捨て去り,妊娠について詳しく説明して虚しくなり)
失敗したらお仕置きだよお仕置き,内容は秘密
(ニヤリと笑い,考えるのが楽しそうに,実行するその時を楽しみに待っているように,そう言って)
知らねー…よッ!
(完成したと思われる肉じゃがのジャガイモのカケラを自分の口に放り込むと,寂しげに目を伏せる詩歌に口移しで与え,悪戯っぽく笑い)
俺の心が大丈夫じゃなーい…
(高校生が子供の腰にすがりつくという情けない絵面を描きつつ,彼自身落ち込みムードな為気にせず,相手の腰,そしてその少し下の股座に顔をすりすりと擦り付けて)
願望だけじゃダメですよ?必ず幸せになって幸せにしてくれるって約束してくれなきゃちょこは満足しません(身体が離れて、正面に相手の笑顔を捉えればこちらもその笑顔につられるように微笑み、そう言って首を傾げ)
ん…っ、そりゃそうですよ、ちょこだって欲張りなんですから…三郎さん知らなかったんですか?(こちらからも相手の口腔内に侵入させた舌を軽く暴れさせ、それから一旦顔を離して唾液の橋が出来て、恍惚な表情で不敵に笑い)
「積極的に逆らいたいとは思いませんが、パパがそれぐらいのことで私を嫌えるとは思えません…むしろ、その程度の愛情ならとっくに私はあるべき時代に戻れている筈です」(本気には感じられない軽い口調に対して、こちらも取り乱すことなく平然とそう冷静に返して)
『そう…だったんですか……私はパパの子供、そしてパパと私の子供が出来たら…?』(事の深刻さをそれほど理解出来ていないのか慌てた様子はなく、ただ単純に相手との間に子供が出来た場合家族関係はどうなるのだろうという考えで頭がいっぱいのようで)
お、お仕置きですか!?…えと、その、あんまりえっちなのはダメですよ…?エ○同人みたいなのとか…(相手の不敵な笑顔にあらぬ方向に思考を発展させて両頬に手を当てて身体をくねらせて)
「んむっ…美味しい…」(突然の口移しに目を見開くが、肉じゃがの味付けは絶妙で素直な感想をポツリと呟いて)
『んっ…あぅ…ぱ、パパ、なんか擦れて変、です…』(擦り付けられる感覚にぶるっと身体を震わせ)「じとー…」(半目でそんな二人の様子を見遣りながらそう口に出していて)
あぁ…お前は本当に欲張りだな,
(少し呆れたように疲れた笑みを見せて)
______今知った。
(ぺろりと口周りを舐めると,驚いたように少し目を見開いて口周りを拭き)
かぁーッ!その冷静な分析,イラッとくる!
俺の嫌いなタイプだ!これはマジモンだな!
(ガシガシと自分の頭を掻き毟りながらそう叫び,ビシィッと相手に指を突きつけて)
考えるな,出来ないようにするんだよ。
(一応落ち着き,詩奈の手を取るとそう言って,無計画ながらに帰宅路を辿り)
…キモ。
(率直な感想を取り繕う事なく率直に述べて)
それだけかよ!
(笑いながら嬉しそうに口移しについて突っ込まない相手にツッコミを入れて)
大人になってる証拠だぞー…
(ニッと笑うと手を離し,立ち上がると相手の肩をぐっと掴んでしっかり足腰を立たせ)
詩歌にもあとでやってやろうか?
(嫌な目線で見てくる詩歌にそう聞き)
(/突然背後からの書き込み失礼いたします。こちらの都合で申し訳ないのですが当分このトピックに書き込みをするのが難しい状態になりそうで、いつ復帰出来るかも未定なのでお待たせするのも悪いですしキャラリセをお願いします…
今日までうちの騒がしい娘たちを可愛がってくださって本当にありがとうございました。この先良縁に恵まれることを願っております…)
(悲しいが現実。
今のお相手のキャラリセットが決定したので,次の参加者を募集します,女なら誰でも良いので,己の良縁を願っております…)
あたしは山田ふみ、16歳。
け、決して偽名なんかじゃないし、ちゃ、ちゃんとした、ここの生徒です!(あわあわ)
髪型は黒髪のぱっつんボブ、大きめで少し吊り上がった瞳、それから身長は148…今着ているこの制服は不自然に──不自然すぎるほどにブカブカだけど、こ、細かい事は気にしないで!(引き攣った笑み浮かべ)
──っと、ブツブツ独り言を喋りながら歩いてたらホンモノの不審者になっちゃう!(首ぶんぶん)
詳しい事はお話しながら知ってもらうとして、丁度目的の場所も見えてきたし、問題なければ本題に入らせて貰いまーす、
…ってことで、お邪魔しまーす…!誰も居ない……よね?(ブツブツと独りで呟きつつ挙動不審に辺りを見回しながら真夜中の高校の廊下を歩んでいき、目的の場所を見つけると恐る恐る扉を開いて図書室に忍び込み、何かを探すように本棚をひとつひとつじっくりと眺めていって)
人の寝床でブツブツブツブツウッセェな,問題ねえし,いやこの返しは違えな……
夜中の校舎ってのは声,音がよく響くんだよ……
んで,アンタ何?不審者?警察に連絡して良さげ?
(細かな音でも敏感に聞き取り,目を覚ますと足音を消して忍び寄り,本棚を眺める相手の肩を掴んで体を本棚に押し付けると暗闇の中でじっと見つめ,恐ろしげな笑いを浮かべると顔を近づけて)
ひゃッ!?え、えっと、その……、け、警察!?待ってくださいっ、あたしは決して怪しい者では──って!何でこんな時間に図書室に人が居るの!?あ、あなたこそ不審者じゃないですか!(近付いてくる相手の気配に全く気づかず、突然肩を掴まれると大袈裟に身体を震わせて目を見開き、動揺した様子でオロオロと視線を彷徨わせながら弁解するものの、途中でふとそういう相手は何者なのかという考えに至れば鬼の首を取ったようにビシッと相手を指差して反論し)
それは自分は不審者だと言ってるのと同じだな,よし。
なら2人とも纏めてお縄だ,それでも良いなら俺はサツに連絡を入れるぞ?捕まるのはお前だけだが。
(解釈を勝手にすると相手から手を離し,図書室の近くにある電話の方に歩き出して受話器を手に取ると相手の方を一度見て自信満々の顔でそう言って)
誰もそんなこと言ってな……あー!ちょ、ちょっと待って!!(解放されて一瞬ホッとしながらどこかへ向かう相手の行動を不思議そうに目線で追いかけ、受話器を取ったのを視認すると慌てて大声を出しながら駆け寄って受話器を持つ相手の腕を掴み)
っほ、ほら!あたしのこの制服が見えないんですか?えーっと、田中だっけ…いや、山田!ちゃーんとここに山田って名前も書いてあります。(着用しているダボダボの制服の胸元をチラリと確認しながらぎこちなく名乗り、確かにその胸元には「山田」と刺繍がされており、暗闇の中で相手にそれを読ませるように胸を反らしアピールして)
んー?
!…なぁ,そのおまえが着てる制服,俺の知ってる奴が着てるのと汚れとかシミとか乱れ具合がほとんど同じなんだが。
______どうして,お前がそれを着てるんだ?サイズもあってねえしよ。
(興味なさそうに相手に目を向けるものの,何かに気付いたように顔を跳ね上げ,相手の目をしっかりと見据えると声のトーンを下げて問い詰め)
えっ、えええ!?し、し知りませんよ、偶然か勘違いじゃないですか?毎日着てれば汚れやシミなんて普通に付きますし──だ、大は小を兼ねる!…みたいな…?あはは…、(思いっきり焦りながら掴んでいた手を離して両手を左右にブンブンと振って否定の意を示し、相手の視線から逃れるように着ている制服へと視線を落として、指摘された汚れやシミを探そうと目を凝らしながら誤魔化すように笑って)
いやいやいや,おかしいだろ,寸分違わず同じなんだぞ。
俺の思想なら…お前は山田から服を盗ったか,奪ったか、借りたか、なんだが、お前の反応からして盗ったな?
正直に答えろ、そうすれば警察には連絡しない。
(じいっと相手を見つめ,探している相手を他所に話を続けると考えを相手に伝え,そして少しの慈悲を見せ,そう提案して)
う……、……仰る通りです。数日前、更衣室にあった適当なものを1着、こっそり頂きました……。
はぁ…、それにしても運悪すぎじゃない…?誰も居ないはずの図書室に人が居て、その上この制服の持ち主と知り合いだなんて…もぉ、あなた何なんですか?(相手の視線を感じて制服から顔を上げることが出来ないまま、鋭すぎる指摘に返す言葉もなく暫く黙り込み、やがて諦めたようで後ろめたそうにボソボソと白状すると、開き直ったように顔を上げて半ば八つ当たり気味に頬を膨らませ、恨めしげに相手を睨んで)
……山田って奴の事はまっっっったく知らねーし,シミも汚れも適当言っただけだ,後ろめたいことがある奴はこれで騙される,嘘を貫く奴はサツに突き出すしな。
俺は桐島三郎,高校三年,図書室管理人兼委員長をしてる。
(うらめしげに睨んでから相手にあっけらかんと悪びれる様子もなくネタをバラし,単なるハッタリであった事をニヤリと笑いながら告げると,名乗り,相手の膨らんだ?を指で押しつぶして)
ず、狡い!嘘つき!道理でいくら探してもシミなんて見当たらなかったんですねー!?嘘つきは泥棒の始まりなんですよ?
桐島三郎さん……桐島ドロボウさんに改名しちゃったらどうですか?(まんまとしてやられた事に気がつくと悔しそうにジタバタと大きく両手を動かしつつ文句を吐き連ね、頬を潰されてぷぅーと空気の抜ける音を出しながらもムッとした表情で相手を睨み続け、せめてもの仕返しにと相手が告げた名前を勝手にアレンジしてみて)
ほぉー、モノホンの泥棒が何を言うかと思えば。
お前,ここに何しに来たんだ?本泥棒だろ,どうせ。
(名前を変えられ変な事を言われると少し怒ったようにムギュッと?を少し強く潰し,一度話すとそう聞いて)
ううー、失礼ですねっ!泥棒なんかじゃないですよ。た、たしかに制服はその…あれですけど、それは致し方なくっていうか……とにかく!本を盗みに来たんじゃありません。訳あって捜し物をしに来たんです。
(頬を強く押されて軽く眉を寄せると、先程の自分の発言を棚に上げて心外そうに反論し、制服を盗んだ事には後ろめたさを覗かせながらもしっかりと相手の目を見つめ、相手の言葉をキッパリ訂正して)
明日には制服返してやれよ,自分から,謝罪して。
…捜し物?なんだそりゃ,高校に忍び込んでまでする事なのか?
(呆れたように相手のぶかぶかの制服を引っ張って脱がせようとするが,捜し物という単語を聞いて手を止め,ちゃんと信じるとムッとして聞き)
えぇー!?制服返しちゃったらもうここの生徒のフリが出来なく……あ。
──っ、こほん。悪いとは思ってますけど、返すのはまだ無理っていうか……捜し物は捜し物です。ってことなので、探しても良いですよねっ?
(相手の言葉と制服を脱がせようとする行動に焦ったように両腕で自身の胸を抱くようにして抵抗し、ついでにポロリと失言をしつつも捜し物について尋ねられると一瞬だけ悲しげに眉を下げ、すぐにはぐらかすと返事も待たずに再び本棚の方へ向かおうとして)
悪いと思ってるなら尚更ダメだ,その捜し物だって窃盗がオマケで付いてきちゃ見つけた時大して嬉しくもない。
探し物が何か言ってみろ、俺が探しといてやるから。
だから制服は返せ。さもなくば警察のお世話になる。
(相手の失言は言われずとも知っていたらしく,相手の肩を掴むとそう訴え,探してやると提案をする,だが結局は警察という単語で脅して)
そ、そんなの、百も承知ですけど……、返しちゃったら何一つ着るものもないし、お金なんて持ってない……これがあるからあたしは「ここの生徒」の「山田」で居られる、返した途端にあたしは名前も居場所も何もかも失ってしまう…、
──なーんて。あ、わかりました!そんなに返して欲しいなら代わりにお金くださいよ。
(肩を掴まれると歩みを止めて相手の方を振り返り、ご最もすぎる指摘や警察という言葉に困ったように乾いた笑みを浮かべ、先程までの明るさからは考えられないほど切なく儚げなトーンで何やら語るものの、探し物に関する質問には答えずに最後は冗談めかして相手に右手を差し出して)
「ここの生徒の山田」は唯一無二,確固たる存在として確立している,お前の居場所は別にあり,名前も俺はまだ聞いていないが,きっとあるだろう。
三万ぐらいで良いか?ネカフェと交通機関ぐらいならこれで使えるだろ。良いなら制服返せよ。
(相手の儚げな言葉にまともなのかふざけているのかわからない回答ではあるが,本気でキリッと答え,そして相手の冗談に対してさえなけなしの金を絞り切って財布から1万円札3枚をひらひらと相手の方へ揺らし渡すと,早速制服を剥ごうとしていて)
…居場所も名前も何処かにあるのが当たり前だと思えるその幸せな脳みそ、羨ましい……。(呆れたような溜息と共に、相手に聞こえないようにぼそりと呟き)
っはぁ!?あなた本気!?い、いやえっと、ちょ、ちょっとストップ!
(自ら強請ったとはいえまさか本当にお金を渡されるとは微塵も思っておらず、予想外の展開と金額の大きさにオロオロと狼狽えながら、制服を剥ごうとする相手の腕を静止するように両手で掴み、掴んだものの自分でもこの後何をどうすれば良いのか分からずに混乱しており)
お前にとってはそれが当たり前か。
無いなら無いって先に言え,言葉にしなきゃわからない事があるんだから。
本気だ,俺は他人の悪行を見逃せるほど馬鹿じゃない。
(幸せな脳だの色々言われてもそこまで怒らず,しかし少しは怒っているようで相手の手を振り払うと軽く相手の頭を叩き,金は持たせたままにしておくとお人好しっぽい事を言い,相手を眼光とともに見つめて)
い、言ったって信じないくせに。…ずっと誰にも言えなかった、言おうとしても馬鹿にされたり信じてもらえずに結局言えず終いな事を、会ったばかりの怪しい人に話せるわけないでしょ?
──返したいのは山々なんだけど、ほんとに着る服がないの。そ、それともここで、…し、下着姿になれってわけ?
(小声で呟いた内容が全て聞かれていた事に一瞬焦るが、頭を叩かれるとムッとして開き直ったような反論と共に振り払われた手に握っているお金を相手に突き返しながら、ここで制服を脱ぐわけにはいかないと脅すように大胆なことを口にしながらも、吃りっぷりと赤面っぷりからは普段そんな事を言い慣れていないのが見てとれて)
言わなきゃわからない,そうやってお前は毎回毎回逃げてたんだろ。
言ってもわかってくれない。
言ってもねえ癖に決めつけんな,取り敢えず言ってみろ。
俺はそれでも良いぞ?興味がない女の体で欲情しねえし。
(一応金は受け取っておき,真面目なトーンで相手を睨み,うじうじ言っていないで大人しく話せ,と経験談を元にしているかのような口ぶりで言い。
そして相手が下着姿になる,と聞いても全く動じず,ニヤリと笑うと,じゃ,と言いたげな感じで相手の制服を今度こそと剥ごうとして)
…ッ、…仮に、仮に言えたとしても、それでもしあなたが信じてくれたとしても、人に話してどうにかなる問題じゃ──って、
お、鬼!悪魔!エッチ!変態!痴漢!不審者!ドロボー!!
(若干の思い当たる節はあるようで相手の真面目なトーンと眼差しに怯みつつ、それでもそう簡単に全てを話す決心はつかずにモジモジと言葉を濁していて、渾身の脅しが全く効かないどころか笑っている相手の反応に目を見開き、顔を真っ赤に染めて思いつく限りの悪口を並べ立てながら着ている制服を両手で抱き締めるように必死にガードして)
ほらそれも,話しても解決しない,だから言わない,とはならない,話して楽になる事もある。
俺もできる限りの事はしてやる。
というか話さねえならマジで服剥ぐぞ。
(一度手を離して自分の額に手を当てながら説得するものの,相手の暴言に対し少しイラっときたらしくぶかぶかの制服を手をかけ,そう脅して)
ま、待って待って!
うう………、は、話せばいいんでしょ…?
(制服にかけられた相手の手を切羽詰まった様子で掴み、本気で脱がされそうな空気を感じてどうしたものかと小さく唸りながら思案するものの、とうとう観念したようで若干不服そうではあるが真面目に相手に視線を向けて)
あたしが探しているのは「本」です。──それ以上は説明が難しいと言うか、どの本を探せばいいのかはあたしにも分からないと言うか……そもそも、この図書室にあるのかどうかさえ分かりません。きっとここにもない可能性の方が高いでしょう。確実なのは目的の本はたった一冊しか存在しないということ…それを探すためには、ひとつひとつ中身を確認していくしかないんです。
ちなみに、その本がかつてどこかに存在していたのは間違いないですが、今も存在しているとは限りません。何処にもないかもしれないたった一冊を探すために、こうして人の服を盗んでコソコソと潜入して……ッ、……あたしの捜し物については話しました。だから、探しても良いですよね?
(神妙な面持ちで、時折自分自身を責めるかのように言葉に詰まり瞳を伏せながらも肝心な部分はぼかして捜し物について語り、告げたところで何かを期待しているわけではなくただ探す許可が欲しいだけで、反応を伺うように恐る恐る相手を見上げて)
本…ね。
お前のいう事を信じろと言われてもかなり無理があるが…まぁ,信じよう。だが。
…5,863だ。
(しばらく悩んだように目を瞑って唸り,度々自分と葛藤するように唸り続け,結局は相手の捜索を許可するものの,最後の最後で片目を開き,ぼそりと何かの数を呟いて)
本当に!?ありがとう──その代わり、探し終わったら二度とここへは来ないって約束しますから。
…へ?5863???
(告げた内容の信憑性の無さは重々承知しており、すぐさま叩き出されてしまう事を覚悟して重苦しい雰囲気で相手の返事を待っていたが、予想外の喜ばしい答えにぱぁっと瞳を輝かせながら目的が済めば出て行くと誓い、早速本棚の方へ向かおうとしたところで聞こえてきた謎の数字に足を止め振り返り、キョトンと小首を傾げて)
探し終わったらな。
言った通りだ,この図書室にある本の数は6000近い,お前1人で見るのに何ヶ月かかるだろうな。
(探せる終えれるワケがない,と自信満々に意地悪い笑みを浮かべながら絶望的な数を告げて,よく図書室を見回してみると意外に広く,奥の部屋もあるようで彼の言っていることに間違いはなく)
そ、そんなに…!?…で、でも何ヶ月かかろうが探すしかないんです、時間ならたっぷりありますし──ってことなので、しばらくはお邪魔させて貰いますねっ!
(聞かされた数に衝撃を受け、ぐるりと図書室を見回しながら青ざめるがそれでも決意は固く、自身を奮い立たせるように笑顔を作ると相手に向かってぺこりと一礼し、パタパタと足音を立てて本棚の方へ駆けていき)
…昼間はくんな,夜もくんな,睡眠妨害も営業妨害もすんな,というか来て欲しくないが…
仕方ねえ,俺も手伝う,さっさと終わらせて俺は寝る。
(眠いところを侵入によって邪魔された事を思い出すと途端に不機嫌になり,相手の来訪を拒否するような発言をするものの,本棚の方に駆けていく相手の後を追い,持ち前の記憶力で相手の横で本を探し始めて)
なにそれ滅茶苦茶すぎない!?…ほんとに探させてくれる気あります~?
──ていうか、桐島さんでしたっけ?委員長とか何とか言ってたけど、昼も夜もずっとここに居るんですか?ま、まさかここに住んでるのっ??
(不機嫌そうな相手をジトリと睨みながら不満げに抗議してみるが、それでも何故か手伝おうとしてくれている相手の行動を横から不思議そうにじっと眺め、ふと思いついた疑問を次々とぶつけてみて)
ぶっちゃけ無い,探させる理由メリットは俺にはねえし,でもお前はきっと断っても来るだろ,だからすぐに終わらせるんだよ。
俺はここに住んでるが,それが?
(指を本棚に入った本に滑らせ,順々に辿っていくと説明を同時に行い,そして相手の方を見ると,当然のことのように言って)
…い、いいもん!叩き出されないだけでも大進歩だし!
今までいろんな施設に潜入して本を探そうとしてみたんですけど、何故かすぐに見つかって追い出されちゃって……全っっっ然探せてないんですよね~。でもここに住んでる桐島さんのお墨付きなら安心です!ちゃちゃっと探して、ぱぱっと出ていきますっ、
(予想通りの答えに肩を落としたかと思えば次の瞬間にはもう気持ちを切り替えていて、聞かれてもいない事をへらへらと語り、やる気満々な様子で上の方にある本を取ろうとプルプル震えながら背伸びをして)
馬鹿なのかお前は?不法侵入は咎められて当然,通報されなかっただけマシだ。
当然探すことにも対価を払え,タダで犯罪者を居座らせてモノ探しをさせるほど俺はお人好しじゃない。
(不法侵入を繰り返していた相手に呆れ,当然のことを述べると対価の話を始め,相手に背中から覆いかぶさるような形になると,上のほうにある本を密着しながら確認して行って)
不法侵入…?もしかしてあたし、かなり悪い事しちゃった感じ?だからみんなあんなに怒って──、
っ、対価?対価って言っても、お金なんて持ってないですよ…?
(まるで聞き慣れない言葉を聞いたかのように首を傾げ、それでも相手の反応で何かを察した様子でしんみりとした表情を浮かべると独り言をブツブツと呟き、相手との距離の近さにぴくりと反応し目を瞬かせつつも話の内容が気になるようで、たどたどしく振り返りながら相手を見上げて)
なんでそんなことも知らねえの?馬鹿なの?世間知らずなの?
安心しな,女なら(たぶん)誰でも持ってるものだから。
(本の確認を終えると別の本棚に向かう前にしんみりとした相手の顔を何度も人差し指で呆れたように突き,突き終えるとニヤリとした嫌らしい笑みで相手を指差して)
うう"……知らないというか知る機会がなかったというか…たった今気付いたら極悪人になってました……!
女なら誰でも…?……………っえ?あ……、っはあ!?あ、あげないよ!?
(どよーんと湿ったオーラを放ちながら立ち尽くし、されるがままに突かれる度に脱力しきった頭が大袈裟に揺れて。すっかり放心状態でキョトンとしながら相手の表情と自分の体を交互に眺め、数秒後に何を思ったのかハッと顔を赤らめると途端に焦り出して1歩後退り)
指名手配されても仕方ねぇぞ,小さな事でも積み重ねれば巡り巡って帰ってくる,善行も,悪行もだ。
?,いいだろ,減るモンでもないし。
(揺れた頭を軽く両手でシェイクし,一旦落ち着かせると子供に言い聞かせるように教え,そして相手の反応を見て不思議そうに,減るモンじゃないと言って軽く詰め寄り)
はい…。あたし、本を見つけることしか頭になくて──これからはもう不法侵入しません。本は探さなきゃいけないけど、もっと他の方法を考えます…、
(指名手配という言葉に身を強ばらせ、神妙な面持ちで相手の言葉にコクコクと頷いて素直に謝り、他に探すあてはないものの不法侵入はやめると誓い)
へ、減る!減りまくるっ!好きな人じゃなきゃ──っ、
(答えているうちにますます頬を染めながら両手をバタバタと動かし、もう1歩後退ろうとしたところで背中が本棚にぶつかって)
そうか…そうだな,俺の家……俺のツテならそこらの図書館ぐらいなら漁れると思う,というか普通に入ればいいわけだが,それが無理っつーなら紹介してやってもいいぜ?
(改心した…というより思い直した相手に安心したような声を漏らすものの,少し考え,相手の姿を見て哀れに思うとツテで紹介してやろうか,と聞いて)
?,いや関係なくね?好きな人云々とか,周りの奴らも礼儀としてすることだろ。
(噛み合わない話に疑問をぶつけ,両手を同じ両手で掴むと本棚に押しつけ,そのまま更に詰め寄り,唇が当たりそうになる程近づいて)
いいの……?──ツテって言っても難しいと思いますよ?あたし、身分証もないし……。最初の頃は普通に入ろうとしたんだけど、受付みたいな所で止められて…身分を証明出来るものはお持ちですかー?って。
(相手からの嬉しい提案に一瞬瞳を輝かせるがすぐに悩ましげに俯き、言いづらそうにモゴモゴしつつも不法侵入するようになったきっかけを正直に告げて)
かかか、関係なくないでしょー!?──っ、……桐島さんは、好きでもない人と出来るの…?
(相手の発言を食い気味に否定し、押し付けられた両手と近づいてくる相手に目を見開いて驚き硬直したまま、真っ赤な顔と潤んだ瞳で不安そうに相手を見つめ)
なんで持ってねえの?お前本当に人間か?
あと判断が早えよ。
(相手に呆れを通り越して失望し,正直なところは良きと思い突くのはやめるものの,相手に不法侵入の判断が早いと,?をつねって)
んー……?できなくはないな,相手の上手さによるけど。
(どうして相手がそこまで動揺して恥ずかしくなっているのかわからず,矢張り噛み合わないために誤解を生むような発言を軽々しく口にして)
人間に決まってるでしょ?……一応。
いひゃぃ、ご、ごめんなひゃいぃ……!
(人外扱いするかのような質問に軽くムッとしながら即答するが、直後に自信なさげな呟きをうっかり漏らして、頬をつねってきた相手の腕をぺちぺちと叩いて抵抗しつつも反射的に謝り)
じ、じゃあやめましょう?し、した事ないから上手いわけないし──って、そうじゃなくて……!
(相手を説得しようと必死になるあまり混乱しており、墓穴を掘るような自分の発言のせいで耳まで真っ赤になりながら、至近距離にいる相手から顔を逸らして)
お前もしかして人間じゃねえの?それなら今すぐあの世に返してやる正直に言えコラ。
(謝る相手に問答無用と言うように漏らした単語を聞き逃さなかった彼は,?を更に強くつねり,不良のカツアゲのような絵面でそう問い詰め)
…は?お前した事ねえの?流石にねえわ。
…いやもうこの際やった事なくても良いか。俺がやる。
(相手のうまくないと言う言葉に反応し、ドン引きするような態度で流石にないと言うものの,少し考えた後で相手の目を見下ろすように見据え,舌舐めずりをするとまた誤解されることを言って)
ひゃぁぁ!に、人間れすぅ!人間のはず…なんれすけろぉ、……ちょ、ちょっと気になる事があるというか何というかでそれを知るために本を探してるんれすぅー!!
(恐喝まがいの相手の凄みに圧倒され、頬の痛みに顔を顰めながら正直すぎるほど正直にぺらぺらと隠していた内容を口にしてしまい)
ぇ、えぇっ!?ちょ、ちょっと、ま、待って──!!
(焦りに焦って何とかもがこうとするものの本棚に押し付けられているためそれも叶わず、相手の言葉にぎょっとして逸らしていた真っ赤な顔を再び相手の方へ向けると咄嗟にきつく目を瞑って)
分かるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!ってか前に聞いた事とそんな変わってねえよぉぉぉ!!
…もっとなんかねえの?山田じゃ無いお前の本名とか。
(相手の少なすぎる情報提供に絶叫しながら更に相手の?をつねり,冷静になるとにこりと恐ろしい笑みをしながら鬼気迫る勢いで聞いて)
?……良いから,別の部屋行くぞ,ここじゃ色々汚れる。
(目を瞑る相手に本当にわからないと言う態度を取ると、相手の腰に手を滑り込ませ,お姫様抱っこすると歩き始めて)
か、顔が超怖いんれすけどー!?むぐぅ……や、やっぱり山田が本名じゃないのバレてまひたー!?
ほ、ほんとに名前知らないんれすよぉ、っていうか多分ありましぇん、認めたくないけど……!だから田中さんの制服を借りれば田中、佐藤さんの制服を借りれば佐藤なんれすぅー!
下の名前も「本探してるから文(ふみ)でいっかぁ」的なノリで3秒くらいで付けて以来ずっとそう名乗ってるし──、山田ふみとしか名乗りようがないんれすぅぅぅ!!
(向けられた笑顔の恐ろしさに負け、勢いにまかせて更にぺらぺらと口を割ってしまうものの、やはり大した情報はなく)
汚れる……?な、何する気ですか!?ま、まさかそんな………、は、離してぇっ!
(色々汚れるという言葉で想像を膨らませてしまい、ふわりと体が浮く感触に目を開いて状況を確認するとこれ以上ないほどに赤面し涙目になりながら慌てふためいて)
バレバレだっつーの!
…じゃあお前もう俺の服着てろ、いい加減その服の持ち主がかわいそうだ、コートでも着て大人しくしててくれ。
じゃあ俺が名付けてもいいか?いやクソネーミングだからする必要はねえけどよ。
(そう叫ぶと手を離し,自分の黒コートを脱ぐと制服姿になり、まだ温もりの残る黒コートを相手に投げつけ,相手の適当極まるネーミングに少し名付け甲斐を感じてしまい、相手のそばにしゃがみ込むとそう言って)
うるせえ!あんま騒ぐと警察来るぞ!
(近隣住民に通報されかねないと相手に忠告して,暴れや叫びをやめさせようとしながら暗がりの校舎を歩いて)
わっ……、いいのっ?ありがとう…!これでもう誰かの服を盗まなくても良くなる…、さっそく着替えて来ますねっ!──ばばーん、どうでしょう?
ほ、ほんとに言ってる?夢じゃないよね──痛っ、
(目をぱちくりさせながら相手の顔とキャッチしたコートを順番に眺め、喜びを噛みしめるようにしみじみと呟くと善は急げとばかりに本棚を挟んだ反対側へ駆けていき、身長差のせいで完全にブカブカのワンピース状態となったコート姿で戻って来ると嬉しそうに両手を広げてくるりと一回転してみせて。名付けの提案にキラキラと瞳を輝かせ、自分の頬をぱちんと叩き痛がって)
っ……、も、もう、何処まで連れてくつもりですか……?
(警察の名前を出されれば大人しくするしかなく、暴れるのをやめて声を潜めながらも真っ赤な顔で抗議するように相手を睨みながら質問を投げかけて)
んー……まぁいいんじゃねえの,他人の前に姿出せるくらいにはちゃんとなってるよ,不自然といえば不自然だが。
……夢じゃないことは分かったか?
(あまり動くと下着が見えてしまう為相手の顔をしっかり見てそう言い,一応相手の身体全体を見直すと,結局不自然だと思い言い直して。
相手が自分の?を叩くと,何してんだ,という困惑の目を向けたあと,相手の言葉から意図を推測し,相手の顔を覗き込んで聞き)
何処だろうな,知りたいか?
(ニヤリと嫌らしく笑うと,睨まれても動じることはなく,暗闇の廊下を歩きながら問い掛けを投げて)
んふふー。ちょっとスースーするけど、その分コートがあったかいから結構快適っ!
うん、夢じゃなかった。──夢じゃないなら、ぜひお願いします…!
(隙間から風は入ってくるもののコートに残った温もりのおかげでさほど問題はないようで、ご機嫌な様子でふにゃりと表情を緩めていて。顔を覗き込んでくる相手に視線を合わせて何度もコクコクと頷いて期待に満ちた眼差しを向け)
ていうか自分で歩けるから降ろし───ッ、い、今、変な声しなかった?女の人みたいな!!
(意味深な相手の笑顔を見れば嫌な予感しかせず、小っ恥ずかしいこの状況から逃れようと口を開くが、真っ暗な廊下の奥から微かに聞こえてきた物音が人の声のように聞こえてしまい、反射的に相手の服にぎゅっとしがみついて)
そりゃよかった,正直そのコート安物のボロボロだから処理に困ってたんだ,どうせならお前にやるよ。
あとお前コートの下,下着か?
(よく見ると黒いコートはところどころ切れていて,首元のモコモコも少し黒くなっており,しかしそれでも着るには十分だが,要らないからやる,と嘘をついて相手にコートを譲渡しながら,デリカシーのないことをサラリと聞いて)
そこらの浮遊霊だ,ほっとけ,まぁ下手したら襲われるけど。
(スンッと無表情になると暗闇の廊下の奥を目を凝らして見,そうしていると白いワンピースを揺らめかせて足のないまま廊下を平行移動する霊がいるものの,それに一切動じることなく適当に会釈をすると彼女へそう説明し,歩くのを再開して)
………そっかー、ありがと。ふふっ。
なッ……!そ、そんなのいちいち聞かないでよねっ!?せっかく顔怖い時あるけど意外と良い人なのかもって思ってたのに!全部取り消すー!!
(相手の言葉を聞くと不思議そうに自分の着ているコートのあちこちを眺めるが、どう見ても不要な状態には思えず、何かを察したように微笑むとあえて突っ込むことはせず素直に感謝するものの、コートの下について触れられた瞬間に煙が出そうな勢いで顔を赤らめ過剰に反応して)
浮遊霊!?なに普通に言ってるの!?やだやだ絶対やだ、霊に見られながらするのも嫌──!
(霊だの襲われるだのと聞くと一瞬にして青ざめていき、もはやこれから相手にされるであろう行為への恥じらいなのか霊への恐怖なのか分からないほど心臓をバクバク鳴らしながらジタバタと暴れ始めて)
冗談だっての、ただ,俺も男ってことを忘れないで欲しいだけだ。
(自分の嘘はバレていないと思っているのか話題を変え,言った後にじっと相手の目を本気で見据えて)
…んで,名付けだったな。
そうだな…………
…まぁ候補は色々あるんだが,面倒だから名字は桐島,名は玲とかでいいんじゃね?
(今更のように思い出し,しばらく悩むと結論が出たらしくかなりネーミングに自信がないようで真面目に考えたもののワザと適当なネーミングを装い,そう言って)
っおっと!?
危ねえだろ,あんま暴れるんじゃねえ,それとも何か?俺より霊とやりたいのか?言っとくけど霊は実体化するからな?
(じたばたと暴れる相手のせいで思わず相手の落としかけ,直前で片手で相手の足を鷲掴みにし,両手で相手の体を軽々持ち上げると相手の視界が上下反転し,その相手の目を見て説得するように言い。
本当はただの料理のはずだが,結局拗らせて言い方の問題でここまで勘違いを生み出す発言になって。)
…???知ってるよ?心配しなくても全然女の子には見えないけど…。
わぁぁ…!!綺麗な名前…。初めての、ちゃんとした名前…あたしの名前…!これでもう名前を尋ねられても嘘つかなくて良いんですよね。何だか初めて存在が認められた気がします──名付けてくれた桐島さんと苗字がお揃いなのも素敵だし!
じゃあじゃあっ、こほん。桐島玲です。よろしくお願い致しますっ!
(当たり前の事を今更告げてくる相手にキョトンと首を傾げ、不思議そうに相手を見つめながら答えて。相手が与えてくれた名前にキラキラと瞳を輝かせ、あまりの嬉しさに興奮した様子で一通りはしゃぎ終わると、かしこまった様子でずっと憧れていたがこれまで出来なかった自己紹介をしてぺこりと頭を下げ)
きゃあっ!?霊と…どうやって?ッじゃない、そんな訳ないでしょっ?あたしは好きな人としたいのー!
(体勢のせいで思考回路までおかしくなったのか、相手の言葉を真に受けて霊とのあれやこれやを一瞬想像してしまい、考えを断ち切るように頭を左右にぶんぶんと振りながら真っ赤な顔で叫んで)
そりゃそうだ,いや1時間女装してたことも……って関係ないか,意味が分からねえならそれでいい。
綺麗か素敵かは知らねーが喜んでもらえて何より,では改めて自己紹介を。
俺は桐島三郎,よろしく,玲。
(首を傾げる相手に手で顔を隠しバツが悪そうに言いながらとんでもないことを暴露しつつ,話を断ち切って。
そして相手の喜びようを見て思わず頬が緩み,無意識のうちに薄く微笑むと気を取り直して手を差し出し,握手を求めながら自己紹介して)
そりゃ普通にささっと……
分かった,わかったよ,お前そこまで料理したくねえのな。
(相手の言葉を真面目に受けたり,ジェスチャーなどで説明しようとするものの叫ぶ相手にとうとう観念したのか両手で相手の向きをしっかり戻し,その途中にデリケートゾーンに手が当たったりしたが気にせず,そのまま料理だったということを暴露して)
え、嘘、もしかして逆に女の子に見られたくて言ってたのっ?
ッ、……自分の名前を呼んでもらえるのってこんな感じなんだ…なんかあの、……照れるね?嬉しくて。
(先程の自分の答えは間違いだったのかと解釈し、申し訳なさそうにあたふたと慌て始めて。名前を呼ばれた感動のあまり瞳を潤ませながらふにゃりと微笑み返すと、差し出された手を両手で握って嬉しさを込めるようにぶんぶんと揺らし)
ちょっと何処さわ、え?……………料理?え。───ッえ!?
(意図せず触れてきた相手の手に文句を述べようとするが、次いで聞こえてきた単語を聞くと目をぱちくりさせて静止し、ようやく勘違いに気がつき自分の思考の恥ずかしさに再び真っ赤になって)
んなわけあるか,殴るぞお前,
…そりゃ良かった,桐島玲,俺が名付けた名を呼ぶのは少し変な感じはするが…まぁいいさ,てか揺らすな。
(謎に怒り,相手の頭を軽く叩いて。
揺らされる手をされるがままにしていたが痛みを感じて思わず手を離し、揺らすなと言うと相手の頭を撫でて)
?,いちいちうっせーなおまえ、少しぐらい静かにできないか?胸とか触られたぐらいで。あともしかしてあっちの方だと勘違いしてたのか?
(騒がしい相手の口を強引に手で閉じさせ,胸とかというデリカシーの欠けた発言をすると,相手の勘違いを見抜くとニヤニヤしながら言って)
う"…誤解されるような事言うのが悪いと思いまーす。
えへへ、嬉しくてつい。…ん、なんかこれ好きかも…。
(怒る相手に不服そうに口を尖らせて文句を言うものの、頭を撫でられるとうっとりと顔を綻ばせて大人しくなり、思わず正直な感想が零れて)
むぐっ、んん……っぷはぁ、うるさくさせてるのは桐島さんだもん!──ッち、違、な、何あっちって、し、知らない!
(言い返したくてたまらない様子でもごもごともがいて無理矢理相手の手を少しずらすと真っ赤な顔で睨みつつ抗議し、図星をつかれた事にあからさまに動揺して目線を泳がせながらしらばっくれて)
うっせうっせ。
……ほー,これ好きか。ならもっとやってやるよ。
あと細かいが,俺の身長は167、体重は秘密な。
(口を尖らせている相手を見ると少しだけ撫でる手を荒げるものの,相手が撫でるのを好きだと漏らすと手の力を弱め,あったらとする相手の頭を優しく撫でて)
だがうるさくしてるのはお前だ。つまりお互い様だな。
知らないのか,そうかそうか。
……で?ほんとは?
(暴論を述べると自分と相手を交互に指差し,そしてその後に穏やかな声音でウンウンと首を振るものの,ニヤッと笑うと大事なモノを抱くように相手の腰に手を回して持ち上げ,抱いて)
改めて繰り返されるとちょっと恥ずかしいけど、…でも気持ちいい、なにこれ、癒し?初めてされた…。
えーと、じゃあ、…じゅういち、に、…さん……19センチ差……?
(呟いた言葉をしっかり聞かれていた事に照れながらもすっかり撫でられる心地良さの虜になったようで、身長差を計算しているうちに瞼がとろんとしてきて完全にウトウトしており)
一緒にしないでー!も、もう二度とヘンなところ触らないでよ?あ、あと降ろして。ほっほんとに……、全然知らないから……!
(恥ずかしさのあまり相手の顔が見れず暴れる余裕もなく、赤い顔と潤んだ瞳を隠すようにそっぽを向いたまま震える声で反論して)
素直だな……まぁ俺もされたことねえけど、特別にお前にだけやってやるよ。
…そんくらいそんくらい,じゃ,おやすみ。
(相手の髪の毛に指を通しながら慈しむように撫で,苦笑いしながらされた事はないがしていて相手が気持ち良さそうなので良しとし、相手の言葉に適当に同意すると、耳元でそう囁いてやり,そのまま椅子に誘導して座らせ)
わかりましたよお姫様,触らねえし触りたくもない、好きでもない女の身体には興味ねえっつったろ。
それならいいんだ,ただ、なんか降ろしたくねえ。
(相手の動作と言葉に可愛げがあると思ってしまい少し表情から余裕が消えるものの余裕を装い煽るような言葉を出すものの,純粋な独占欲故に相手を降ろさず)
……ここで寝ていいの…?絶対、帰って寝ろって言われると思った───帰るとこ、ないけど……、
(幸せそうに緩みきった表情で撫でられていたが、相手の言葉が信じられないといった様子で確認するかのように相手の瞳をまじまじと見つめて、それでも眠気には勝てずに導かれた椅子の上で消え入りそうな呟きと共に眠りに落ちていき)
そ、そんなの分かってるよ!あたしだって、興味ないとか触りたくないとか思ってる人に触られたくないもん。
はぁ~?……なにそれ、へんなの。
(ムスッと頬を膨らませて拗ねたようにきっぱり言い返し、降ろしたくないという言葉の意図をはかりかねて眉を顰めながら首を傾げるものの、最終的には諦めたように笑って)
知ってるよ、行くとこないなら此処で眠れ、誰も邪魔しない,だから…しばらくは此処にいろ。
(相手が眠りに落ちる寸前に,相手を心配しているのかそう伝え,相手が眠るとしばらく相手の頭を優しく撫で,寒いか,と思い相手の体に自分の制服をかぶせ,自分の寒さは考慮せず,そのまま自分も眠り,朝になって)
それならもっと自分を大事にしような。無用心だぞ?
変で結構,俺はお前を離したくない。
(今の相手は襲いやすい故に無用心と伝えると,抱き上げたまま相手を抱きしめ,ストレートに離したくないと伝えると相手の顔を自分の胸に埋めさせ,好意はないものの,
相手が見てはならないものがある為無理やりそうして)
──ん…、朝…?……これ…!
…夢、じゃないよね、昨日の。
(朝日の眩しさで目が覚めると、まだ半開きの目を擦りながら自分の体にかけられている制服に視線をやりハッとして、寝入る寸前に聞こえた気がする言葉を半信半疑で思い出しつつゆっくりと顔を上げ、傍にいるであろう相手の姿を探して)
不用心って、桐島さんが勝手に──、っ!?
…い、意味分からない……そんなに料理させたいの……?
(抱き上げられているこの状況を作ったのは相手だと指摘しかけるが、突然の相手の行動と言葉に目を丸くしてそれどころではなくなり、混乱のあまり抵抗するという発想には至らずに大人しく相手の胸元に収まりながらも心は落ち着かず、どこか気まずそうに問い掛けて)
……zzz……
(貸し出しカウンターに腕を枕にして突っ伏して眠っており,深く深く眠っているらしく疲れが溜まっていた事が窺えるものの,身体は未だ寒さに少し震えていて,眠っていれば凛々しく,俗に言う黙っていればイケメンで)
______静かに。目を開けるな。
(相手の耳元に口を寄せると小声でそう呟き,相手の顔を自分の胸に押し付けるように手を動かすと,周りに何かがあるような気配がし,彼は、不味いことがあるかのように冷や汗をかき,しばらく立ち尽くしていて)
! やっぱりこれ、桐島さんの…。
………………ありがとう。
(まだ眠っている相手を見つけると、自分にかけられた制服と相手の姿を交互に眺めながら起こしてしまっては悪いかと少し悩むものの、自分のせいで寒そうにしている相手を放ってはおけずに躊躇いつつも相手の傍へと歩み寄り、お礼と共にそっと制服を相手に被せて。近くで見ると相手が震えているのがよく分かり、その優しさと寝顔に不覚にもキュンとして、引き寄せられるように相手をじっと見つめたまま目が離せずに)
ぇ、……なに………、
(ただ事ではないような相手の雰囲気に息を呑み、恐怖心から心臓の鼓動はうるさいほど音を立てており、何が何だか分からないまま言われた通りにぎゅっと目を閉じて相手の制服をぎゅっと握りしめ)
……ん……ぁー……
(制服が被せられる感覚と誰かに見られている感覚をほぼ同時に感じ,寝言のように声を漏らすと僅かに口を開け,寝息をスースーと鳴らし,寝返りを打つと相手の方を偶々見見ると,凛々しい印象から無垢な印象に変わったように見えて)
……去れ、コイツは違う。
…悪い,怖かったか?
(声のトーンをありえないほど下げ,威圧を含んだ声質で周りにある何かに呼びかけるとその内気配が空気に溶け消え,相手の体を解放すると怯えているような相手の首筋に手を置き,心配そうに聞いて)
っ!
今、あたし──、…いやいや、絶対ない。会ったばかりの人の寝顔にときめくなんて有り得ないよね、うんうん。全然ときめいてない…!
(寝返りを打つ相手を見てビクリと我に返り、自分がずっと相手を眺めていたことに気がつくと慌てて顔を逸らしくるりと相手に背を向けて、先程の僅かな胸の高鳴りに戸惑いながら自分に言い聞かせるようにブツブツと繰り返し呟き)
………な、何だったの…?
(おそるおそる目を開けて相手を見上げ、問い掛けに対して少し潤んだ瞳でこくりと頷くと、まだ残る緊張感のせいで相手の制服を握りしめる手を離せないまま尋ね返して)
う……るせぇ……
(周りからブツブツと聞こえてくる言葉に半分寝ながらも、うるさいと意思表示をし,呟いていた為に周りが見えていない相手の肩を掴んで引っ張り,面と面が接触しそうなほど近づくものの,本人は半分眠っていて気付かず)
雑霊だよ、特に害はないが、偶に不安定なやつを仲間に引き込もうとする、今回の標的はお前だったが、追い払った。
(制服を握り締めてくるその手をギュッと握り,安心させるように笑うと辺りを見回すよう促す、なにもいない事を確認させると,ぽふっと相手の頭に手を置いて)
ひゃッ─!…………っ、
(急に肩を引っ張られてバランスを崩し、スヤスヤと眠る相手に意図せず接近すると顔から火が出そうなほど赤面して目を見開き、それでも相手を起こしてしまうかもしれない不安から飛び退く事も出来ず、僅かな鼻息さえかかってしまいそうな距離に戸惑いながら呼吸を止めて、その場から動けずドキドキしながら固まっていて)
──っそういうの、いっぱい居るの?…桐島さんには見えるの?
ね、ねえ図書室に戻ろ?ほら暗いし。
(促されるままに周囲を確認すると確かに何も見えはしなかったが暗さも相まってどこか不気味に感じられ、気になる事は色々あるもののそれを聞いてしまえば余計に怖くなりそうだと思い直すと、相手の袖口を控えめにくいっと引いて図書室に戻ろうと提案し)
あぁ……?
…………なんだお前…
(半分寝ていた為彼女の突然出た声に反応し,完全ではないものの目が覚め,寝惚けながら相手を見ると,なんで相手が此処にいるのか、と思考を回すものの寝ぼけている為あまり回らず、短く問いを投げて)
いるぞ、目を凝らせば全部見える、動物霊,浮遊霊,地縛霊,悪霊,生霊,レイ。
…そうだな,戻るか,夜は危険だ,学校と言えどもな。
(細目で周りを見渡し,見えたものを取り敢えず挙げると何故か最後の最後でレイ,とだけ言い,言い終えると袖を引いてくる相手に多少ならドキッとするものの,冷静になり,相手を連れて図書室へ歩き出して)
ッご、ごめんなさ──いやあの、制服が、でっでも、肩を!桐島さんが、えっと……きゃっ!
(寝ぼけている相手と目が合うと慌てて後ろに飛び退き、両手を体の前でぶんぶんと振りながら真っ赤な顔で弁解しようとするもののうまく纏まらず、背後を確認しないまま更に後退ろうとして、後ろにあった椅子に躓きよろめいて)
もっもういいから──お手洗い行きたくなったら着いてきてよね。
(自分で尋ねておきながら案の定怖くなり、相手の言葉に被せるように声を発したため最後の方は耳に入って来ず、言いづらそうにボソリとお手洗いの心配を付け足しつつ、相手の後ろにぴったりとくっついて歩いていき)
?……っと!
お前なあ,後退りすぎてコケるなよ,危ねえだろ。
(イマイチ理解できていないようで,相手のオロオロした説明を聞いてなお理解はできず,しかし真っ赤な相手の顔を見るとなぜかは分からないが目を逸らさず,そのせいか椅子に躓いた相手の手を直前でとっさに掴み,引き戻すと相手をしっかり立たせ,格好良く言ってみて)
ハイハイ,あとトイレにはついていかんぞ。
(相手の言葉を重ねられても愉快そうに笑いながら怖がる相手の手を握ってやり、お手洗いのことも聞き逃すことはなくしっかりと拒否しておき,相手の手を引くと隣に立たせ,隣接して歩き)
あ、ありがと……やっぱり今日のあたし、何か変かも…。
──そ、それより!風邪とか引いてない…?
(相手のおかげで転ばずに済んだものの、助けられた際に偶然目が合うと瞬時に視線を逸らして、先程同様に相手のことが格好良く見えてしまった事に思いっきり戸惑いながら、相手の顔を見る事が出来ずにモジモジしたまま呟き、寝ている相手に近づいたそもそもの目的を思い出すと、ぎこちなく付け加えるように尋ねて)
うぅ、夜中にはお水飲まないようにしよ…。
…桐島さんの手、あたしのより大きい…、
(きっぱりと拒否されてしまえば不安そうに眉を下げて、ボソボソと呟きながら握られた手をぎゅっと握り返し、高まる心拍数が恐怖のせいか触れている相手のせいなのか分からずに混乱したまま歩き続け、ポロリと感想を零して)
お前が変かどうかは知らねえ,確かに不注意で転ぶのは少し変だが,他は知らん。自分で思ったならそうなんだろ。
引いたら引いたでその時はそのときだ。
(しっかりと立たせたのを確認すると,相手の体をよーく眺め,特に不自然な点は無い為単純に答えを返し,一応少し変と訂正を加えておき,結局適当に済ませて。
そして自分の額に手を当て,うーんと少し唸ると,まぁ無いだろうと判断して)
そもそも水飲める場所少ねえから,行く途中に見つかって憑かれて呪われて殺されて連れてかれるぞ。
…なんか言ったか?
(周りを一度見回すと,水道などは一切なく,中庭にいくつかある程度の為、相手に色々壮大にしながら忠告し,相手の漏らした一言をあまり聞き取れなかった為,聞き返して)
…あ、いや……気にしないで、こっちの話!寝惚けてて変な勘違いしてたみたい。
寒かったよね、ていうか今もちょっと寒いし──制服、嬉しかったけど無理はしないで?
(変かどうかを丁寧に確認してくれる相手に眺められれば眺められる程頬が赤く染まっていき、顔を逸らしたまま自分自身に勘違いだと言い聞かせるように首を左右に振り、笑って誤魔化して。次ぐ相手の発言に心配そうに眉を下げると、逸らしていた顔を相手に向けてどこか申し訳なさそうにじっと見つめ)
嫌ぁ──ッ!もう絶対お水飲まないお手洗いにも行かない、絶対図書室から出ないー!
う、ううん。何でもない。……でもこれ、ちょっと安心する…、
(たちまち真っ青になり、咄嗟に手を握ったまま相手の腕にきつくしがみつきながら涙目で悲鳴を上げ、無意識に呟いた言葉を聞き返されると少し恥ずかしそうにはぐらかして、代わりに繋がった手にちらりと視線を向けると素直な感想を付け足しはにかんで)
自分に嘘はつくなよ,分かりやすい嘘吐きやがって。
俺の心配するとか,随分と余裕が出てきたみてぇだな,それならコートも返してもらっていいか?
(笑って誤魔化した相手が気に入らないのか,相手をジト目で観察し,誤魔化しを嘘と看破し,赤く染まっている顔に人差し指を当て,下になぞって。
自分の心配をされても少し捻くれて,かけられていた制服を着直すと寝起きということもあり寒さを感じ,コートしか着ていない相手からコートさえ剥ごうと意地悪な笑みを浮かべて)
図書室に引きこもりされても俺が困る,霊は意外と優しいのも居るから怖がらず話しかけろ,対話はできる。
そうか?……手を繋ぐ程度で安心するなら,お前はお得だな。
(振り払おうと思ったが怖がる相手を見るとそんな気にはなれず、仕方なく遭遇時の対処法を教え,追い出す気満々のようで。
素直な感想を聞くと聞き返すことはもうなく,皮肉なようなことを言ってニヤリと笑い)
ええっ、そ、そんな事言われても──勘違い以外に有り得ないっていうか、勘違いじゃなきゃ困るっていうか……。
ッほ、ほらー!やっぱり寒いんでしょー!なのに何で制服脱いだのー?……うぅ……。
(予想外の言葉に目を丸くすると後ろめたそうに視線を足元に落とし、相手に触れられている箇所を過剰に意識してしまい耳の先まで赤く染めながら狼狽えて。コートの返却を求められると大人げなく頬を膨らませて反論するものの、自分のせいだという自覚はあり心配もしているため結局は勢いを失い、小さく唸りながらどうしたものかと悩み始めて)
……優しいのもって、怖いのも居るってことだよね…?
初めて繋いだからよく分からないけど、あたしは安心したかな。桐島さんは安心しないの?
(おそるおそる相手の腕から離れながら真面目に話を聞くものの、やはり怖いものは怖いようで怯えた様子で尋ね返し、相手の皮肉にはピンと来ずに不思議そうにぱちぱちと瞬きを繰り返しながら相手を見上げて)
自分に不都合なことを勘違いと決めつけるな,俺はそういうのが嫌いだ,改めて考えもしねえ脳みそ空っぽな野郎が。
困ってる奴は助ける,寒さに凍える人がいるならば,俺はできる限り手を差し伸べてやりたい、それが今回お前だった、ってだけだ。
(うろたえる相手と勘違いと決めつけるその態度を見て,またイラつき,ムッとすると滑らせていた指を二本に増やし,少し強めに赤く染まった?を抓って。
まるで正義の味方のような理論を並べ,相手を指差してそう言い)
当たり前だろ,善悪の区別はつけなきゃな。
俺は安心しないな,そもそも安息というのは何だ,俺は知らん。
(尋られても当然と答え,善悪の区別はつけなければいけないといたって冷静で。
安心,安息,という感情をあまり知らないらしく,相手と同様ピンとこないまま言って)
いひゃっ──、………不都合すぎるんですけどぉ…。
……追い出されるのと怒られるのには慣れてるけど、こういうのは初めてでどうしたらいいか分からないの。ごめんね。
(頬を抓られると涙目になりながら制止するように相手の手首に手を添えてしばらく悩むものの、悩めば悩む程頬の赤みは増していき、困ったような認めたくなさそうな様子で弱々しく呟くと、悔しそうに相手を軽く睨んで。相手の言葉に感謝や戸惑いや申し訳なさの混ざった複雑な表情を浮かべ、悩んでも答えが出なかった事を正直に打ち明けて謝ると、自嘲気味に笑って)
普通に言ってるけど…怖くないの?
ホッとするっていうか、ほっこりするっていうか、ふわ~んってするっていうか!
(改めて辺りを確認すれば真っ暗で、冷静に霊の話をする相手を尊敬の眼差しで見つめ、致命的な語彙力不足ではあるが至って大真面目に、身振り手振りを交えながら自分が感じた気持ちを表そうとして)
あー?不都合すぎるだぁ?んなことブツブツ言ってねえで何をうじうじ悩んでるか言ってみろ。
こういうの?……あぁ、そういう事か。
分かった,コートはやる,そもそもそういう約束だ。
(抓っていた指を一度離し,その指で赤くなっている?をツンツンと突き,悩みに悩む相手相手を見ているとやはりイラついてきて,ペチペチと掌で彼女の?を軽く叩き,悩む前に悩み事の吐露を要求して。
相手の言っていることがイマイチ分からなかったが,相手の態度や今までの素行から推理し,何となく理解すると,相手の胸を指で強く押し,コートはやる,と言い)
怖くない,こういう環境に住んでるのに霊を恐れてたら堪らねえ。
…やっぱり分かんねえな,お前がもっとリアルに教えてくれ。
(周りを見廻し,やはり居たのか少し顔をしかめるものの、すぐに戻し,余裕と言いたげな顔でやれやれと言って。
相手の表現方法では全くわからないと判断し,動かしている相手の手首を掴むと,壁に押しつけ,動きを封じるとそのまま至って真面目に聞き)
はぁ!?そんな恥ず──、…いや、あの………、…あたしの勘違いじゃなかったとしたら言えない。
…! ありがとう…!やっぱり桐島さん優しい…ちょっと意地悪かもとか思ってごめんなさい。
(まさか本人に向かってときめいたかも知れない等と言う訳にもいかず、相手の言葉に目を見開くと思いっきり視線を逸らしてあたふたと取り乱し、これ以上悩めば余計に相手を意識してしまいそうだと判断すると、そっぽを向いたままきっぱり言えないと答えて。コートをくれると言われると驚くものの嬉しそうに微笑み、またしても僅かなときめきを覚えつつつ、正直すぎる懺悔と共に胸に触れていた相手の手を両手でぎゅっと握って)
じゃあ夜出歩く時は一緒に──なーんて、えへ。冗談冗談。怖くなくなるかなーと思って。
り、リアルに…?
(うっかり出た要望は、先程のお手洗いの時のように断られるのが目に見えているため冗談という事にして適当に流して。突然壁と相手に挟まれる形となり、きょとんと固まるものの、時間差で状況を理解すると動揺した様子でドキドキと頬を紅潮させながら、おそるおそる聞き返して)
はぁ?訳分かんねえぞ,さっさと言え,さもなくば力尽くで聞く。
それは言わなくていいんだよなぁ?心の内に留めておけよなぁ?
(相手の口から聞けない,というのが何とも落ち着かず,そっぽを向いたままきっぱりと言った相手に対しイラつきが治まらず,相手の顎を手で掴むと強引に自分の方を向かせ,言わないなら実力行使に出る,と脅して。
相手の言葉が煽っているように聞こえ,だが一応誤り,懺悔していることを考慮して何も手は出さず,握られた手を少し強く握り返して)
それくらいはいいさ,お前に俺が今から行う行為に対し何も抵抗しなければ、な。
(相手が一瞬で流した言葉に反応し,いい、と言うものの、条件をつけ,抵抗しなければ、と言うと、顔を下げ、耳を相手の胸にピッタリ当てて)
っ、ぼ、暴力反対~!……ほんとに、聞かない方がいいと思うよ…?
あ…、今は思ってないから!むしろ優しすぎるくらい優しくて反応に困るっていうか、でも嬉しいっていうか…すっごく感謝してるから。
(顎を掴まれて力尽くという言葉を聞くとぴくりと震えて目を瞑り、回らない頭を必死に働かせて、何かを閃いたように目を開けると自信なさげに視線を泳がせながら、相手が聞きたくなくなるような言い回しで逃れようとして。手を強く握られるとしまった、というようにハッとした表情を浮かべて焦りながら、今は思っていないと念押しし、まじまじと相手の瞳を見つめて感謝の意を述べ)
え──、……何をするかによる…あ、あのっ、ち、近くない……?
(自分の言葉が受け入れられたことに驚き一瞬喜びかけるものの、次ぐ相手の言葉で瞳を不安そうに揺らし、抵抗するかどうかは行為によると答えようとして、胸に耳を当てられた事で更に心拍数が上がり、相手に鼓動が聞こえてしまうのではないかと焦りながら、真っ赤な顔で発した言葉は動揺のせいか裏返って)
俺が聞きたいと言っているんだ,お前の尺度で測った俺じゃなく,俺の意思で言っているんだ,言え。
どーいうことだっての……それならいい,善意には感謝を,悪意には罰を,それが鉄則だ。
(目線を泳がせる相手と反するように,目を見開き,相手の目をしっかりと見据えると,相手ではなく自分の視点で,聞きたい,としっかり言い,相手の口に親指の爪を入れると,言え,と完全に脅して。
相手の感謝の言葉に何故か困惑するものの、純粋な言葉ににこりと薄く微笑み,初めの方は笑顔だったものの,最後の最後で声がトーンを低くなり,いって)
知るか,黙ってろ,聞こえないだろ。
(スッ、と目を閉じ,黙ってろ,と命令するように言うと,相手の心音を聞こうとして)
んっ、わ、分かった、言うから──、えっと………、一瞬だけ、会ったばかりの人にキュンってしたり、た、たまに、たま~に、その人が…ほんのちょっとだけ格好良く見えたり……、わ、訳分からないし有り得ないよねっ?気にしないで!
うう、耳が痛い……。優しくしてくれたのも、ちゃんと話してくれたのも桐島さんが初めてだから、こんな風に普通に喋ってくれるだけでも嬉しいのに…、
(相手の気迫に押され、視線と口に入れられた指を避けるように首を動かすとそのまま気まずそうに俯いて、出来るだけ言葉を選び相手の事だと明言しないよう、ボソボソと申し訳なさそうに悩みを打ち明けるものの、言っている内にどんどん顔が赤く染まっていき、恥ずかしさに耐えられなくなり顔の前で手をぶんぶん振りながら、自嘲するように笑って。悪行を積み重ねてきた故に相手の言葉にしょぼりと眉を下げ、そんな自分に優しくしてくれたのは相手が初めてだと告げると、感慨深そうに瞳を潤ませて)
な、な、なんで聞いて──うぅ……、
(心音を聞いているのだと分かれば目を丸くして思いっきり焦るものの、先程の条件の事もあり、今から離れても手遅れだろうとも思い抵抗はせず、落ち着かない様子で天井に視線を向けて煩く鼓動を響かせながら、諦めたようにじっとして)
?……それって俺のことだろ?お前の今までの発言からして俺以外に知り合いそんなに居ねえだろ。
すっげえ分かりやすいしな,あと,一目惚れっていう言葉もあるんだ,別におかしくないぞ?
だから,偶々お前だったってだけだ,そこまで感謝することじゃない。
(相手の態度と読みやすい話し方,そして赤くなっている顔を見て推理し,少し自分も恥ずかしさを感じて顔を赤くしながら自意識過剰と思いながらも,俯いている相手の肩を掴み、自分の方を向かせると訴えかけるように言って。
瞳を潤ませた相手に何度も感謝されると少し痒く、それを誤魔化すように俯き言って)
……あぁ、音が、ある…。
…取り敢えず,抵抗しなかったから外出に付き合ってやるよ。
(目を細めて何処か安心したように儚げに言い,相手のことお構い無しに心音を暫く聞き続けると耳を離し,すっきりしたような顔でいって)
え!?そ、そっそんなわけ──ち、ちち違うよ、ちょ、ちょっとドキッとしただけで、惚れるとか全然そんなのじゃないしっ…!!
桐島さんにとっては偶々でもいいの、あたしが嬉しかった事には変わりないから。
(精一杯濁したつもりの説明でばれてしまうとは微塵も思っておらず、あたふたと動揺しながらまごつき、肩に触れられると再びドキドキと鼓動が早まって、一目惚れという言葉にぴくっと過剰に反応して益々顔中に熱が集まり、首や耳の先まで真っ赤に染めて涙目になりながら必死に早口で否定して。謙遜するような相手の言葉にそれでも自分は嬉しかったと返すと、相手に貰ったコートを愛おしそうに眺めて)
なになにっ?あたしのこと、お化けとでも思ったの~?見ての通り死んでないから大丈夫だよ~?……いっそ幽霊だった方が、ちゃんと──、
ほ、ほんとっ!?やっぱり気が変わった、とか無しだからねっ?
(儚げな相手の言葉に一瞬だけ表情が強ばるが、すぐ誤魔化すように笑顔を繕うと明るい声色で冗談めかして答え、消え入りそうな声でうっかり何かを言いかけるものの思い留まると、相手が了承してくれた事に安堵し、目を輝かせて喜んで)
ドキッとはしてるんじゃねえか、それを一目惚れって人は言うんだよ、分かんねえのか?
(否定してもボロが出ている相手をそう言い詰め、一目惚れと更に言葉を畳み掛け、相手の目をしっかり見据えて逸らすことなく言い,少し顔は赤いもののお構い無しに言い続けて)
……どうだか。
…今、何て?
ねえよ、約束は守る。
(誤魔化すような相手の言葉にどこか儚げを残したまま答え,気を取り直すと相手が小声で呟き,答えなければそのまま消え入りそうな言葉に反応し,そう言って。
相手が自分を信用していないようなことを言って来たのが気に入らず,ムッとしてほおを叩き,言って)
あ、う………わ、分からなくはない…けど……、
(見つめられている恥ずかしさに耐えられずに真っ赤な顔を逸らし、芽生えた感情に戸惑っている様子で小さく唸りながら悩み続け、相手の言葉に反論する余裕もないままモジモジと口を濁して)
何でもない何でもない!どうでもいいただの独り言っ!細かいこと気にしてたらきりがないよ~?
えへへ。良かったー、これでもう怖いものなしだねっ。
(相手の答えは聞こえないふりをして、聞き返された言葉も取って付けたような笑顔で流して。頬を叩かれても機嫌良さそうにニコニコと微笑みながら相手を見上げて)
じゃあそういうことだろ、わかってるなら悩むなめんどくせえ。
(相手の行為と悩む様子を見て正直に面倒臭いと告げるものの,照れ隠しであることは明らかで,しかしその後のことを考えていなかった為,気まずい雰囲気になり)
まぁ……そうだな…だが。
その作り笑いは流せない。
あーハイハイ,そうだなー,
(相手の笑顔が作り笑いに見え,相手の言葉は一応流しておくものの,作り笑いは流せないと真面目な顔で言い。
ほおを叩いても笑っている相手を見ているとどうでも良くなり,少し微笑むとそう言って)
わ、分かってるから悩んでるの!………き、急に変なこと言ってごめんね、全部忘れて。
(面倒臭いと言われるとチクリと胸が痛み、相手に気付かれないように顔を逸らしたまま言葉だけは強がって言い返し、気まずい空気に後悔の念が押し寄せてきて居た堪れなくなり、逃げるように本棚の方に向き直って歩き出そうとして)
え…そ、そう言われても、元々こういう顔だし、……まさかあたしの顔がダメってこと~っ?それは困るかも、あはは。本当にただの独り言で、桐島さんが居れば夜中も安心だから嬉しいな~って言っただけだよ!
(真顔の相手に作り笑いを指摘されると、僅かに笑顔の仮面が剥がれそうになり動揺で瞳が揺らぐものの、すぐに全力で笑顔を繕い直し、出来る限りの明るい声色で嘘をつき)
待て、忘れられるわけねえし、さすがに逃さねえし逃せねえよ。
一目惚れされたのに何も言わずに帰すのはさすがに男として終わってる,だからお前の口から聞いて,俺が言の葉を返すまではお前を離さない。
(逃げようとする相手の腕を強く掴み,強引にグイッと引き寄せると逃さないようにし,何も考えていない故に勢いで誤魔化そうとし,とんでもないことを次々と口走って)
お前にしては明るすぎる,会ってそんなに時間は経ってないが,今までのお前からしてここまで明るいのは明らかにおかしいんだよ,何があった?
(まだ出会ってそこまで経っていないものの,相手の本質を少しは見抜いているらしく、相手を心配しているような声音でそう聞いて)
…!?む、無理、でしょ……。
──あの、聞かなくても、大体分かるから…ね?離して?
(腕を掴まれると思わず目を丸くして振り返り、相手の言葉に更に目をぱちくりさせて赤面して、掴まれている腕を振りながら悲しげな眼差しを相手に向け、離すよう要求して)
!……ずるい。誤魔化してもすぐ見抜かれちゃうんだもん。…でも、これだけは言えないの。あたし、桐島さんにがっかりされるのが嫌みたい。変だよね、会ったばかりなのに。
だから、ほんとに…気にしないで!
(相手の言葉に目を見開き、動揺を隠しきれずに俯いてしまい、何かを堪えるように震える体に力を込めると顔を上げ、泣きそうな笑顔で相手を見つめて、隠し事があるのは素直に認めるものの内容は言えないと告げて)
いーやダメだ,何が何でも言ってもらう,これは俺の下らない意地だが,揺るがない決意だ。
(要求を却下し,相手に詰め寄ると言った通りのくだらない意地で相手の手を掴む力を少し強め,言うまで離さない,と言うのはマジらしく)
……そうか,お前がそう言うなら俺も一度引く。だけどな,
辛い時は辛いって言え,素直に感情を表に出せ,そうじゃないと俺は分からない。
(相手の笑顔を見て何かを察したのか,悲しげな目をして相手を見ると,その手で優しく相手の目元を撫で,まるで涙を拭いとるような動作をして)
……さっき、ドキッとしたって言ったでしょ。それじゃダメ、なの…?
(相手の傍に居れば居るほど鼓動が早まっていき、これ以上の恥ずかしさに耐えられるはずもなく、腕を掴まれたまま困ったように真っ赤な顔で俯くと、小声で先程の失言を繰り返し、それだけでは駄目かと自信なさげに尋ねて)
──ッ、……ありがと。
慣れてるから辛くないし、大丈夫。でも、もし辛くなったら……言うね。
(目元を撫でられるとハッとして、自分の手を目元にやって涙が出ているかどうかを確認し、泣いていない事が分かると安心したように控えめな笑みを浮かべてお礼を述べ、辛くなったら話すと答えるものの、その語尾は力なく、打ち明けるつもりはないと告げているようで)
ダメだ,言わないなら離さねえ。
(半ばヤケになっているのか顔が赤みが増していき,そんな中でも相手を掴む力は弱まらず,他の言葉にして言わない限りやはり離さないと言い,相手をじっくり見定めて)
慣れてたとしても擦り減るモンがある,だけどな……
あぁ,今のうちは,お前を信じる,
(撫でた指を相手のほお近くに下げて相手が慣れていても減るものがあると経験談のように語り,しかしその後に相手を信じると決めたのか,手を離して言い)
うぅ……、気まずくなるだけだし、聞いてもいいことないよ…!
(掴まれている手からドキドキが伝わってしまいそうなほど心臓が煩く音を立て、こんな事になるなら隠し通せば良かったと後悔しつつ、俯いて地面を見つめたままモジモジと言葉を返して)
どうしてそんな…桐島さんって──ううん、やっぱりいい。
擦り減ったとしても桐島さんが話、聞いてくれるんでしょ?そう思ったら安心できるっていうのは本当!
(自分の気持ちを分かりすぎるほど分かっているような相手の口振りに何かを感じたのか、キョトンとした眼差しで相手を見つめて何か言いかけるものの思い留まり、先程までの作り笑いとは違う自然な笑顔を浮かべると、相手が居れば安心するのは嘘ではないと伝えて)
だとしても,だ。
(ギュッとさらに掴む手に力を込め,声にはあまり力がこもっていないもののその行動と言動には確かな決意が秘められており,自分の羞恥心を捨て去りながら相手に詰め寄りって)
?,今なんか…いやなんでもないなら良いんだが。
世辞でもそーいうのは嬉しいな,そんな事言われる機械全くなかったから,そもそも聞かずに済むのが一番良いんだけど。
(相手が言おうとした言葉に疑問をぶつけようとして相手がやめたのを聞くと,こちらも詮索をやめて目線を逸らし,ニッ,と笑うと世辞と思いつつそう答えて)
………すき…、
(恥ずかしさや気まずさで顔を上げることが出来ないまま悩み続け、やがて諦めたように軽く息を吸うと覚悟を決めて口を開き、今の自分の気持ちを考えた結果絞り出すように呟いたのは至ってシンプルで素直な想いそのもので、より一層頬を染めると相手の顔を見れずに下を向いたまま申し訳なさそうにしていて)
あたしの事は話せないのに色々質問するのは不公平でしょ?桐島さんの事を知ってても知らなくても、桐島さんは桐島さんだからいいの。
お世辞じゃないんだけど…言われたことないの?意外…!
(尋ね返された言葉を今度ははぐらかしたりせず、伝わるかどうかは分からないものの途中でやめた理由を正直に告げて、本心をお世辞だと思われたのは少し悲しい為しっかりと訂正しつつ、意外な言葉に目を丸くして相手を見つめ)
あー……そうか,そうだよな,知ってたはずなのにいざ言葉として言われると意外と恥ずい………
…まぁ一応言っとくけどよ,お前を一人にするならとても心配だ,だがら…ま,これからも宜しくな。
(今更冷静なりながらくらりと頭を押さえて揺らぎながらも落ち着くと相手から離れて立ち尽くし,顔を手で覆い隠すと独り言をぼそぼそと言い,次に呼吸を整えると,手を外して,相手の方へ歩き寄ると,恋人として,という意味合いの宜しくを言いながらキスをして)
このご時世の人には珍しい考えを持ってるな,いや悪いってわけじゃねえし,お前の言う通り俺は俺だし,別に良いんだけどな。
世辞じゃねえの?じゃあ冗談か?
そもそも俺はそれを眺めてる人間だからな,俗に言う引き立て役,人間ってのは都合の良い方を信じるから。
……俺なんて言う誰とも知らねえ無名雑魚を信じるわけはねえのさ。
(理由を聞くと珍しいものを見たようなびっくりしたような目を向け,しかしそれが相手の本当の考えだと知ると悪いと言うわけじゃないとフォローをして。
相手の言葉を次は冗談と断じ,その後にフッと軽く笑うと,その後の発言に少しずつ力がこもっていき,最後まで話し終えると手を強く握り込んでおり,何か過去にあったことは明確だが,深くは言わず)
え?んっ──、
……え?えっ?あ、あの、えと……!?!?
(想定していたものとは真逆の言葉が聞こえて来たせいで理解が追いつかず、思わず顔を上げてキョトンと相手を見つめ、近付いてくる相手と唇の感触に目を見開き驚くものの、自然と瞳を閉じてキスを受け入れ、唇が離れると今起きた一瞬の出来事を整理しようと混乱する頭を必死に働かせて、みるみる赤く染まっていく自分の両頬に手を当てながらその場にフリーズして)
珍しいかどうかは分からないけど…聞いても聞かなくても変わらないって思っちゃった。今こうして桐島さんと話してる事が幸せだし、それだけでいいかなって。
引き立て役……誰かにとっては引き立て役でも、他の誰かにとっては特別な人かも知れないよ?あ、あたしみたいに──あたしにとって桐島さんは、初めて親切にしてくれた特別な人だもん。
(びっくりしたような相手の視線にニコニコと微笑みを返しながら、相手の事を聞いても聞かなくても、相手が今幸せを与えてくれている事実は揺るがないと伝えて。引き立て役という言葉に何か思うところがあるのか、悲しげな眼差しを相手に向けるものの、話を最後まで聞くと、きつく握られた相手の手を優しく両手で包むようにそっと触れながら、自分にとっては相手が特別な人だと告げて)
バグってんじゃねえよ,初めてな訳でもあるまいし。
(相手の乙女らしい反応を鼻で笑い,相手の境遇も忘れへらへらしながらそういうものの彼自身初めてで、それを隠す為に無理に笑い,取り繕い,相手を笑っていて)
…それが一番珍しいっての。
特別……
……そう…かな,俺は,お前の特別な人になれたのか……?
(相手の嘘偽りない笑顔と言葉に眩しさを感じ,顔を赤くして小っ恥ずかしく目線を逸らし,いつもなら幸せな奴だと悪態を吐くものの,そんな余裕さえ無くして。
強く握り込んでいた手が優しく包まれると相手が言ってくれた言葉を復唱し,小さく下を向くとそう呟き,下を巻いているためか涙が流れているのは目立たないものの,少しずつ変わっていく声からして,泣いている,というのは予想ができ)
う…や、やっぱり…も、もっと、ちゃんと、慣れてる感じの子が好き…!?
(からかうような言葉で笑われると、そんな相手はきっと経験豊富なのだろうと解釈し、キスが初めてどころか相手が初恋だなんて言い出せるはずもなく、真っ赤な顔と恥ずかしさで潤んだ瞳で大真面目に相手を見つめると、思いっきり動揺しているせいでうまく回らない頭で、勢いに任せてストレートすぎる問いを投げかけて)
特別なんて言葉じゃ足りないくらい、すっごく特別な人だよ。
名前のないあたしに名前をくれて、本を探すことしか目的がなかったあたしに幸せな気持ちを教えてくれた……あたし、桐島さんに出逢って初めて、生きててもいいんだって、存在を認められた気がしたの。だから、桐島さんの傍に居るとすごく安心するんだと思う。
ありがとう、桐島さん…。
(泣いているような相手の声につられて自分まで泣いてしまいそうになるものの、ぐっと表情を引き締めて涙を堪え、自分にとっていかに相手が特別な存在であるかをひとつひとつ噛み締めるように丁寧に述べ、握っている両手に少しだけ力を込めると柔らかく微笑んで)
いや純潔の方がまだ良いけど。
(ストレートな質問に対しただ単純な答えを返し,きょとんとしながら言って,今更自分も初めてと言い出せるはずもなく,経験豊富を装うしか無いとヤケになり,もう一度キスして黙らせてやろうかと相手に一歩歩み寄り)
っ………
(ギュンッと自分の心臓が強く圧迫されるような,相手の言葉の重みに押し潰されそうな中,相手の手に力が込められるとその重みが軽くなり,そのまま声にならない嗚咽を溢しながら,相手に寄りかかるとそのまま泣いて)
そ、そっか…!っ、あ、あんまり近付かれるとドキドキして…喜んじゃいそうになるからやめてほしい…、
(相手の言葉に一瞬喜びかけるものの、経験豊富な相手からすれば自分の事など眼中にある訳もなく、混乱している頭でもからかわれているだけだろうと推測することは容易で、それでも相手が再び近付こうとした事に気がつくと胸が高鳴ってしまい、慌てて半歩下がって顔を逸らし、モジモジしながらも勇気を振り絞って、近付かれるとドキドキすると打ち明けて)
…!
(寄りかかられると驚きに目を丸くして、はっきりと相手が泣いている事が分かったものの、先程の言葉通り何も聞かず、何も言わずにおそるおそる相手の頭に手を伸ばし、前に相手がしてくれたように優しく頭を撫でてみて)
喜ぶならいいじゃねえか,それとも俺のこと嫌いか?
(首を傾げ,半歩下がる相手に悲しげな顔でそんな意地悪な質問をして,こちらは本命であるが,あっちは違うのだろうか,という疑問が生まれ,それは無いと自分で自分自身に断言するものの,一瞬迷ってしまった事から足が止まり)
!__________________
(様々な感情が絶え間なく押し寄せる中,涙を流すことしかできない自分に同情するわけでも,励ますでもなく,ただただ寄り添って撫でてくれる,そんな存在が今までいなかった事から,嗚咽の声はだんだん大きくなり,静かな校舎に大きく反響して)
ッ、…す……好き…!!…だ、だけどっ、桐島さんはあたしに興味ないから…あ、も、もちろん、そんなの当たり前だし、早く出ていって欲しいって事も、とっくに知ってるから全然、全然……で、でも──あたしになんか興味ないって、知ってたとしても、あたし、単純みたいだから……あんまり近付かれたり、き、キスとかされたら、勝手に、期待しちゃいそうになるの……!
(向けられた悲しい顔に胸が痛み、相手のことが嫌いだと誤解されるのは絶対に嫌で、ここまで素直に打ち明けてしまえばきっとキッパリとふられてしまい、もう此処には居られないだろうと察しつつも黙ってはいられず、逸らしていた顔をしっかりと相手の方に向けると、恥ずかしさに頬を染め、拒絶される恐怖に声を震わせてところどころ言葉に詰まりながら、無理矢理に笑って明るい雰囲気を装い、早口で言い切って)
………っ、
(涙を流す目の前の相手の姿を見ていると、無性に抱き締めたい、もっと近付きたいという気持ちが芽生えるものの、今の状態の相手につけ込むような勇気はなく、初めて抱いた感情に戸惑いながらも、相手の事を大切で尊い存在なのだとはっきり認識し、ただそっと頭を撫で続けて)
良かった,これで俺も心置き無く言える。
ヘイマイガール,何勘違いしてるかは知らねえけど,今から言う事をお前は忘れるな。
Mai Gard,意味は調べれば調べるだけあるが,一般的なので言うなら……
『冗談じゃなく僕だけの女性になって下さい』,だな。
……分かるよな?意味。
(好きと改めて言われるとほっとしたように胸を撫で下ろし,その後の発言を聞く限り相手は勘違いをしていると思い,遠回しながらも出来る限り格好良く,好意を伝え、相手にどんどん詰め寄ると壁際まで追い詰め,覆い被さるように相手の視界を遮ると、意味を理解しているか聞いて)
っ……
(何かを思い出しているのか、相手の服をギュッと握り,正に子供のように泣き続け,その内涙も止めどなく流れ出る感情も止まり,目の周りが痛々しく赤くなっているものの、スッキリしたように微笑んで相手の前に立ち)
へ………???
(全く想定していなかった相手の言葉にこれ以上ないほど目を見開き、脳内は更に混乱しており、状況が飲み込めずに思わず素っ頓狂な声が出て、されるがままに壁際まで追い詰められると、目をぱちくりさせてあんぐりと間の抜けた表情で、信じられないとでも言いたげに相手を見つめたまま固まっていて)
ハンカチないから…ごめんね?
(微笑んでくれる相手を愛しそうに見つめ返しながら微笑みを返すものの、目の周りを赤く腫らしている姿に眉尻を下げ、申し訳なさそうに謝ると背伸びをしてそっと相手の目元に手を伸ばし、まるで宝物に触れるように大切に優しく撫でて)
へ?じゃねえよ,んな間抜け面晒してねえで,いいか、もう面倒だからさっさと言っちまうけど。
…俺の女になれ。
(混乱してロクな返しをしない相手に面倒くささを感じ,相手の手を取ると相手を子供のように抱き、目線を合わせると,二度目は流石に恥ずかしいらしく少し迷い,そして最後には断ち切り、相手へストレートな告白をぶつけて)
いや……大丈夫だ,もう止まった,ちょっと痛いだけだ,擦らなきゃすぐ治る。
別に不都合なんかも……いや,明日は図書室開けれないな,こんなツラ見せてられねえ。……いって,
(泣いて相手に情けない姿を見せ,付き合わせてしまったのに謝り,そして優しく目元を撫でてくれる相手を健気に思うと同時に,また涙が込み上げてくるものの,相手の手首を優しく掴んでおろし,少しの間天井を見上げていると,相手へ向き直り,自分には特に不都合はないと安心させようとするものの,本心が出てしまい,自分の目元に触れるとヒリヒリしてまた涙が目尻か少しだけ溢れ)
…ッ、…うん。なる……なってもいいなら、絶対なる……!
(まだ夢のようで信じられない気持ちはあるものの、二度告げられればようやく脳も冴えてきて、はっきりと意味を理解すると同時に赤面し、それでも恥ずかしさより嬉しさが圧倒的に勝って深く頷き、あまりの嬉しさに潤んだ瞳でしっかりと相手の顔を見つめ、満面の笑みを浮かべて)
嘘つくの良くないー。
どうしよ、冷やしたら早く治るかな?………お水、探して来るから待ってて。
(相手から漏れた本音をしっかりと耳に入れるとムッと頬を膨らませて、自分のために強がってくれているのだろうと察しはしたものの軽く嗜め、少しでも相手の不都合を減らすためにせめて冷やせないかと考え、チラリと辺りを見渡してその暗さに内心恐怖を抱くものの、少しの間の後深呼吸をして笑顔をつくり、なるべく普段通りの調子で待っているように告げると、くるりと相手に背を向けて)
今お前絶対って言ったからな,裏切ってくれるなよ?
(ニィ,と笑うと抱く相手を強く抱きしめ,一度離すと相手を降ろし,潤んだ瞳にまた目線を合わせ,優しくキスをするとそのまま一方的に相手を弄んで)
ぐ……
…待って,くれ,大丈夫だから,行くな。
(自分の為に怒り,そして恐怖を持ちながらも水を探してくると自分の為に言ってくれる相手に感動し,背を向けた相手の手首を掴み,震えた声でそんな我儘を言い,まかり通るとは思っていないものの,彼にしては珍しく震えていて)
ぇ…んっ、……んぅ……、
(抱き締められると更にドキドキと胸が高鳴り、甘いキスに幸せを感じてうっとりと瞳を閉じ、緊張で頭がふわふわとしてきて、慣れない行為にまだ勝手が分からずにぎこちなく息を止めてしまい次第に苦しくなってくるものの、全力で応えようと気づけば相手に抱きついていて)
……やっぱり怖くなっちゃった。だから、一緒に行かない?あたしも喉乾いちゃって……ダメ…?
(手首を掴まれて振り返り、相手が震えていることに気がつくとハッと息を呑み、困ったように眉を下げつつも柔らかく微笑み少し考えて、目の腫れている相手を連れ回すのは気が引けるものの冷やした方が良いのは明らかで、申し訳なさそうに軽く首を傾げながら着いてきてくれないかと尋ねている頭の中には、もう相手を一人にするという選択肢はなく)
……健気だな,後すっげえ初心だ,嫌なら嫌って言うことも肝心だからな?
(唇を離すと相手の後頭部に手を回してより強く抱きしめ,相手の耳元でそう囁き,一瞬でも苦しんだように見えた相手を心配し,押しに弱いのだろうかと考えるとやっぱり心配になり,嫌なら嫌と,自分の意見をちゃんと言うように促して)
!……あぁ,そうだな……そうしよう,決めたならさっさと行こうぜ?もう夜遅いからさ。
(自分が結構弱みを見せ,情けないことをしていたことに自覚を持つと顔が真っ赤になり,珍しく動揺するものの声には出さず,相手の意見に急いで同意すると動揺を隠すように足早に相手の手を引いて歩き出し)
…ッううん、……初めてだから、ドキドキしすぎてよく分からなかったけど……嫌ならこんなことしないよ。
(止めてしまっていた呼吸を整えながら更にぎゅっと抱きつき、不慣れさと緊張のあまり相手に与えてしまった誤解を解きたくて、真っ赤な顔を隠すように相手の胸に顔を埋め、次に返ってくる反応が少し不安ではあったものの、相手とのキスが初めてだったと打ち明けて)
よかったー、これですぐに場所分かりそう!
(相手が同意してくれたことに安堵してニッコリと笑みを浮かべ、手を引かれるとあからさまに嬉しそうに声が弾んで恐怖も吹き飛び、歩幅の違いから小走りになりながらもテクテクと相手に着いていき)
初めて……初めてだったのか,でも嫌じゃねえってことは……もうちょいしとくか?
(相手の身長を考えて少し屈み,相手の肩を掴むと相手の顔を離し,初めてという単語を改めて考え,互いに初めてだったことに少し動揺しつつ,やはり余裕を気取り,正直相手より自分の方が恥ずかしいもののそう言って顔を近づけ)
水道は一階の中庭,校舎内にはトイレぐらいにしか付いてねえ,ただ霊とかも居るから遠回りするぞ。
(相手の笑顔にドキッとしてしまい,歩いている途中は一切相手の方へ振り向かず,焦っているのか足がさらに早くなり,時々校舎を右,左と確認しながら遠回りしながら下に早歩き,というより走っており)
…うん。うまくできないと思うけど、いい…?
(埋めていた顔を離されると、真っ赤な顔を見られていることも、思わず抱きついてしまっていたことも今更恥ずかしくなってきて、煩いほどに心臓が暴れ、少し気まずそうにもじもじと視線を逸らし、答えるのも恥ずかしいものの素直にこくりと頷き、その表情は自信のなさ故にどこか申し訳なさそうで)
だ、だよねやっぱり……。
?…なんか、どんどん速く……きゃ!?
(分かってはいたものの霊が居るという言葉には若干顔を引き攣らせて複雑な反応をして、手を引かれるままに小走りで相手に着いていく内に、一切自分を見ずに歩く速さが上がっていく相手の様子に気がつき首を傾げ、次第に走らなければ追いつくのが難しくなり、相手の様子に気を取られていたこともあり階段で足を踏み外してしまい)
キスは好きなやつとするモンだ、上手い下手なんて関係あるか……いや、だけど……そうだな、玲、お前からしてみろ、キス。
(相手の頭をぽんぽんと叩き、諭すようにそう言うものの途中で何かを思いついたようにニヤリと笑い、赤い顔で自信なさげな相手を見て意地悪な笑みに変わると、揶揄うようにそんな事を言い、相手からのキスを待って)
そりゃそうだ……
!?、って!馬鹿野郎!
_____大丈夫か!?どっか怪我してないか!?してないよな!?
(相手の反応と霊がいると言う言葉に2つ同意というか納得し、相手のことを考えずに走っていたせいか相手が転び、その様子を下から見上げるようにして見ていた彼の頭の中に色々な考えが反復するが、考える余地なくその場から人間離れした脚力飛び上がり、浮いている相手の手を掴み、相手の身体を手繰り寄せると言う驚異的な脚力を見せ、相手を庇うように抱いたからか着地に失敗し、背中から地面に打ち付けられ衝撃で相手を離してしまい、自分は少し階段から落ち、身体中を打ち、なかには出血している傷もあるものの、ダウンから回復すると相手の元へ駆け寄り、まず第一に相手の心配をして)
えええぇッ!?……っ、……わ、分かった。
い、いくよ?…………、
(からかうような相手の言葉に目を丸くして、ポッと音と湯気が出そうなほど一瞬にして耳の先まで真っ赤になり、逸らしていた視線を相手に向けておそるおそる相手の表情を伺い、聞き間違いでも勘違いでもなさそうだと理解するとしばらく意味もなく口をパクパクさせて静止し、やがて覚悟を決めるとスゥ、と大袈裟に息を吸い込み、潤んだ瞳で相手を見据えて、自分自身に気合を入れるようにわざわざ口に出して宣言をすると、真っ赤な顔をゆっくりとぎこちなく相手に近付けていって、ドキドキと加速する鼓動に胸が押し潰されそうになり、触れ合う寸前でぎゅっと目を瞑り、動きが止まって)
ぃ、………ぇ、あ、………うん……?
(相手から離れてしまった際に軽く身体を打ちつけたものの、相手が庇ってくれたおかげで、一瞬感じた痛み以外はほぼ無傷で、たった数秒のうちに起きた出来事に脳内の整理が追いつかず、自分の身体が浮いたように感じたところからその後感じるはずの衝撃がなかったところまでの状況を完全には理解出来ておらず、相手の凄すぎる身体能力に驚く間もなく、うまく頭が回らず相手の怪我の状態もすぐには把握出来ないままキョトンと首を傾げ、落下時の恐怖で腰を抜かしたままその場にへたり込み放心していて)
………
…おい、まだか。早くしないともっと凄いことするからな。
(空気を読んで目を瞑っているものの、動きが止まって数十秒経つと流石に目を瞑っていられないと言うか、恥ずかしさで堪らなくなり、余裕を見せるために催促する事にし、さらに余裕を見せるため、意地悪なことを言い、あえて何をするかを言わず、こんな事を言えば相手はさらに戸惑うだろうと分かった上で言い放ち)
……?……おい?大丈夫なのか?
…起きろ。
(反応が薄く、少し疑問に思いながら痛がっていないところを見るとあまり怪我はしていないだろうと判断し、一応大丈夫かと問い掛けても答えが返ってこないことから、またフリーズしているのだろうかと思い、相手を痛いほど力一杯抱き締め、起きろと耳元で囁くと、すぐ離して)
ま、ま、待って!す、する、するけど、心の準備が、えと、あの、……はいっ。じゃ、じゃあ、いくよ?…いくからねっ?
───ッ、
(〝凄いこと〟の内容を一瞬にしてあれこれ想像してしまい、あたふたと焦りながらパニックになり、考えを断ち切るように真っ赤な顔を左右にぶんぶんと振ると、動揺のせいで声が裏返りながら辿々しく返答し、一刻も早くこの恥ずかしさから解放されようと半ばヤケになって、残り僅かとなっていた相手との距離を詰め、ちゅ、と控えめに唇を触れさせると、恥ずかしさに耐えられなくなり、すぐに顔を引っ込めようとして)
っ、だ、大丈夫!ありがとう、ごめ──ってそれより!怪我!桐島さんの方が!怪我してるんじゃ…!?
(抱きしめられた感触と相手の声でハッとして我に返り、真っ先にお礼を伝えるものの、何が起きたのか細部までは理解していなくても自分のせいで相手が落下してしまったという事実だけはハッキリしており、相手の制服の袖口をぎゅっと掴むと泣きそうな顔で震えながら相手を見上げて)
……ごちそーさん、もう今日は帰っていいんだぜ?
本探しももう出来ねえだろ?俺も眠い。
(顔を引っ込められると少し悲しそうな顔をしつつ、ぺろりと口周りを舐めながらニヤリと笑い、今の相手を見てその様子を見ると本探しは今日続行できないだろうと判断するが、結局は寝たいだけで、もう既に相手に寄りかかり、帰っていいと言いつつ相手にもたれかかって眠ろうとし、生暖かい寝息が相手の首元にあたり)
大丈夫!大丈夫だ!俺は自分で落ちたが、お前は俺に巻き込まれちまった、優先順位はお前優先だ!
(泣きそうで震える相手を見ると思わず大丈夫と虚勢を張り、相手に指摘されると身体中が痛んでくるものの、血はまだそこまで流れていない為隠し通せると思い、相手の心配ばかりをして)
ちょ……か、…帰れないんだけど……桐島さん…?
(恥ずかしさから開放されたとホッとしたのも束の間、ふと気がつけば相手が凭れかかってきていて、首元に息がかかるのを感じると再び心拍数が上がり、平常心でいられるはずもなく、帰る場所がないのはもちろん、状況的な意味でも帰るに帰れなくなり、戸惑いながら相手にチラリと視線をやり、そっと声をかけてみて)
ご、ごめん、ごめんね…あたしが一緒に行こうなんて言って…前も見てなくて──、怪我、してるんでしょ…?
(見た目から判断出来ないとはいえ、状況を考えると相手が怪我をしていないとは思えず、きっかけが自分のせいだったこともあり、心配と罪悪感で胸が締め付けられ、相手の服を掴む手から力が抜けていき、今にも涙が溢れそうで、ただただ謝ることしか出来ず、こんな時でも自分のために相手が隠そうとしていることが辛く、声を震わせながらじっと相手を見つめて)
…zzz………zzz…
(立ったまま相手に寄りかかって眠っており、寝息は変わらず相手の首元に当たり続けるものの、寝ている為声は届いておらず、お構いなしに眠り続けて)
違えよ、俺が勝手に走り過ぎたんだ、怪我なんてしてねえ、俺の頑丈さ舐めんな。
(相手のためなら痛みなど二の次と考え、震える相手を励ますと言うより、自分の方が悪いと相手の罪悪感を少しでも和らげようと、本音のままに言い切って)
ほんとに寝てる…!
……ちょっとだけ…、ふふっ。
(返事がないことを確認すると、あっという間に立ったまま眠りについた相手に驚いてぱちぱちと瞬きを繰り返し、相手の顔を覗き込むようにして眺めてみて、その寝顔にドキッとときめいてしまい頬を染め、相手が眠っているのをいいことにそっと手を取りそのまま繋いで、幸せを感じて思わず笑みが零れ、少しだけのつもりでいたものの離すのが惜しくなり)
…っ、もし、そうだとしても、危ないよ……あたしなんて、こんな風に助けてもらう価値も資格もないんだから……、
(相手が怪我をしていないとは思っていないものの、もし本当に怪我をしていなかったとしても自分を助ける行為自体が危険だったのは間違いなく、危険を冒して傷付く相手の姿を見るのが辛くてぎゅっと唇を噛み締め、完全に手の力が抜けて掴んでいた制服を離すと、自分を責めるように俯き、聞き取れるか分からないほどの小さな呟きがぽつりと漏れて)
ん……ぐ…
(手を握られるとその感触とその力加減で意識が覚醒しかけ、しかし起きる事はなく、より深い眠りに入るトリガーとなったようで、相手を押し倒して床に2人が押し倒し、押し倒されているような形になっていて)
だからなんだってんだ、俺は、お前が、大事だ、だから守って、庇った、名前のなかった桐島玲という存在が大事だから、庇ったんだ、助けてもらう価値が無かろうと、それは助ける側が決める事だ。
(相手の言葉と反するように迷わずそう言い放ち、自分は相手が大事で、それで庇いたいから、そんな単純で相手の意見などもろともしない考えで、相手に対する告白じみた事をしながら、少し身勝手に言って)
っ…!?!?!?
え…と、お、起き……や、起きちゃダメ、かも…!
(突然のことに為す術もなくあっさりと押し倒されてしまい、目を丸くして声にならない音を発しながら顔中が真っ赤になり、ドキドキと暴れる心臓は今にも自分の体を突き破ってしまいそうで、あたふたとパニックになり相手を起こそうとするも、繋がっている手とこの状況を相手に見られてしまうのは更に恥ずかしい気がして、どうしていいか分からずに狼狽えて)
……大事なんて、初めて言われた…、ありがとう。
あたしも、桐島さんのことが大切で、桐島さんが傷付いたり、痛い思いをしたりするのが嫌で、怖いの。助けてもらったのに、こんなこと言ってごめんね…でも、こんな気持ちになるの初めてだし、桐島さんにだけ…。
(相手の言葉にハッとして顔を上げて、嬉しすぎる言葉と相手の想いを素直に受け止めようとするものの、明らかに痛い思いをしているであろう相手のことを思うと手放しで喜べず、しょんぼりと眉を下げて素直な気持ちをぽつぽつと綴り、自分でも気付かぬ内に涙が静かに頬を伝っており)
む……
(相手の焦りなど知る由もなく眠り、その内動かない相手でも息遣いが荒くなり、自分に多少なり衝撃が入ると反応を示し、相手の胸に顔をすりすりと擦り付け、どこか如何わしい感じにはなっているものの、本人に自覚どころか意識さえなく、言うなれば子供が親に甘えているようで)
_____大切なら信じろ、俺を信じろ、大切ならば、大事ならば、その者を信じ抜け。
(相手の流れ落ちる涙を指で拭いとると、真剣な顔で相手に言い伝え、涙を拭い終わると相手を強く、親が子を諭すような声と共に抱きしめて)
ひゃ…!?
………っ、──も、もう無理!起きて、桐島さん!
(相手が少しでも動く度に心臓は煩く暴れ続け、相手を起こすか起こさないか、どちらにしても恥ずかしい選択肢に頭を悩ませながら、相手が自然に離れてくれるのを期待して何とか平常心を保とうとじっと恥ずかしさに耐えていたものの、離れるどころか至近距離で顔を擦り寄せてくる相手の香りや寝息を過剰に意識してしまい、室温とは裏腹に体温が上昇しているように感じて更にパニックになり、思わず目を瞑ると繋いでいた手をぎゅっと握りしめ、切羽詰まった声を上げて)
!………うん、信じる、信じるから……ずっと、信じてていいんだよね…?
(涙を拭われてようやく自分が泣いていることに気がつき目を見開いて、相手の声に耳を傾けながら身を預けて、泣き顔を隠すように相手の胸に顔を埋めると、相手の服を控えめに握り信じると告げ、言葉通りにこれ以上怪我の具合を追求することはなく、代わりに「ずっと」と強調するように口にしながら顔を上げ、真っ直ぐに相手の目を見つめ、その問い掛けには暗に相手への心配と、ずっと一緒に居たい、だから無理をして欲しくないという様々な想いが込められていて)
ぐ……
(近くから叫びのような声が聞こえると首をふるふると横に振り、なぜか相手から離れるどころか相手により擦り寄り、半分飽きているようで、寝ているようでもあり、結局は何も変わっておらず、逆に悪化していて)
当たり前だ、信じろ。
(相手の耳元でそう囁き、ずっと、と言う言葉に少しだけ恐ろしさを感じながらも相手を安心させ、そして互いに大事だからこそ、信じさせる、信じてほしい、そんな願いを抱いて答えて)
桐島さ~ん……!
…お、落ち着こ、あたし。うん、こーやって起きてるから緊張するの。だったらあたしも寝ちゃえば───っ、眠れるわけない……!
(起こそうとして発した声は逆効果だったようで、更に顔を擦り寄せてくる相手に目を丸くして、動揺のあまりろくに頭も働かない状況の中、いっそこのまま自分も眠ってしまおうという発想に至り、再びぎゅっと目を瞑って大人しくしてみるものの、微かな相手の動きにもドキドキと反応してしまってそれどころではなく、繋いだ手を握りしめたまま途方に暮れて)
…、分かった。ほんとに、ありがとう。
あたし、こんなに幸せになって良いのかな……なんか、慣れない感じ。
(ずっとという表現を肯定してくれたことに少し驚きつつも、それ以上に喜びと幸せを感じ、しっかりと頷くと嬉しそうにはにかんで、想いに応えるように相手の背中に腕を回して、自分の為に誰かがここまでしてくれる、ここまで言ってくれるのは初めての事でソワソワする気持ちもあるものの、相手が与えてくれた幸せを噛みしめて)
………だ。
(何度も言葉を紡ぐ相手に対し、目は覚めることはなく、そして不愉快に感じることも当然なく、繋いだ手だけには確かな感謝を覚え、何かを小さく呟くものの、小さ過ぎて、だ、しか相手には聞き取れず)
人も、人じゃないものも、幸せになる権利はフェアだ、
人生は皆フェアプレー、その中に理不尽があるだけだ、何ら変わりない。
だから、さ、慣れていけばいい、この感覚に、慣れていけばいいんだよ。
(どこか儚げな声音を含んだ言葉を相手に囁き、フェアだといいながら理不尽が紛れることこそ理不尽、そう言い終えると、相手を更に強く、愛と共に抱きしめながら今を噛み締めて言い)
ッお、起きてない、よね…?
だ……?そ、そう、これは桐島さんじゃなくて抱き枕。抱き枕抱き枕……、
(何かを呟いた相手にドキッとし、起こしてしまったかと焦って顔を覗き込むものの、まだ眠っているようだと分かるとホッと息を吐いて、無意識のうちに声のボリュームを下げつつも未だに脳は正常に働くことなく、微かに聞こえた言葉から、相手を抱き枕と思い込んで眠ろうと考えつき、繋いでいない方の手で相手の頭ごとぎゅっと自分の身体に押し付けると、自らに言い聞かせるようにブツブツと独り言を唱えながら目を瞑り、ヤケになるというよりは混乱のあまり思考がぶっ飛んでしまっていて)
……フェア…嬉しい。
!あ、ごめんね、桐島さん、目冷やさなきゃなのに…結局あたしも顔洗う羽目になっちゃった。
(囁く相手の言葉に反応するように、回していた腕に力がこもり、色々なことを考えている様子で少しの間黙り込むものの、相手の真っ直ぐな言葉と愛を心の底から嬉しく想い、素直な呟きと共に相手の腕の中で幸せに包まれているうちに、気持ちが落ち着いてきて本来の目的を思い出しハッすると、話題を戻し、相手の為に水を探していたはずの自分も結局泣いてしまったことに苦笑いをして)
……きだ…
(相手の手によって自分の頭が押し付けられると寝言がしっかり聞こえそうだったもののもごもごと声が篭り、あまり聞こえなくなってしまうものの、大体は察せて。
抱き枕扱いされていることを知ったら恐らく異論を述べそうだが、寝ているため抵抗はせず)
…そうだな、俺はともかく、お前の目も腫れてる、さっさと冷やしに行こうぜ、今度はゆっくりな。
(相手から離れるとニッと笑い返し、相手の幸せを共に噛み締めると、その場から立ち、相手の手を握ってエスコートするように歩き始めて)
──っ!桐島さん……。
何でだろ、ドキドキするのに、ちょっと落ち着く……。
(篭ってはいるものの確かに聞こえたその言葉は、寝言だと分かっていても嬉しく、それが相手の本心だと信じたくて、舞い上がる気持ちが更に頬を赤く染めて。相手の頭を自分の胸元に押し付けてくっついているこの状況に、心拍数が上昇すると同時にどこか安心するような癒しの効果も感じられて、恥ずかしくて早く離れたいような、幸せで離れたくないような不思議な感情を抱きながら、相手のぬくもりや香りを間近に感じてうっとりとしているうちに、先程からドキドキと緊張しっ放しだったこともあり多少は疲れていたようで、いつの間にか眠りに落ちてしまっていて)
えーっ!やだ、見ないで!
ちゃんと治して、明日こそは本探さなきゃ…。
(目が腫れていると指摘されると、暗いとはいえそんな姿を相手に見られるのは恥ずかしいようで、慌てて片手で顔を覆って俯き、相手に続いて立ち上がると繋がれた手を嬉しそうにしっかりと握り返して、腫れた目を隠しながら相手の隣に並んで歩いていき)
ん……ぁぁ?…
…寝てたのか……
!?…何だこれ…
(数時間ほど眠り続けると、ようやく目を覚まし、とりあえずと相手の手を解き、自分の手も離して立ち上がるものの、あまり周りの情報が理解できていない為かなり呑気していて、少し後にようやく相手に抱きしめられていたことに気付き、自分からやった、とは当然考えておらず、そのまま無防備な相手を襲おうかと思案するものの煩悩を振り払って)
いや、見せろ、具合が分からねえだろ?あとお前は目が腫れてても十分可愛いよ。
……そうか、元々そんな目的だったな。
(少し歩くと足を止め、見せない相手に少し心配性が発揮されてしまい、相手の手を無理やり退かすと相手の腫れた目元を優しく撫でてそう告げ、相手の目的を思い出すと少し不審感を抱くものの微笑み伝え)
んふ………、
(相手を抱きしめたまま眠りについたおかげか、とても幸せな夢を見ているようで、完全にデレデレと緩みきった表情を浮かべながら寝息を立てており、抱き枕(扱いしていた相手)の感触が離れていくのが分かると無意識に手を伸ばし、何も無い空間を空振ったその手をだらりと体の隣に下ろして眠り続け)
か、可愛いとかそういうの、は、恥ずかしい…!……それに、…好きな人の前では一番可愛く居たいの、分かってよ。
──本を探してるって言ったけど、探してるのは小説なの。桐島さんは、よく小説読む?図書室に住んでるくらいだから、いっぱい読んでるかな。
(相手の言葉を聞くと顔を真っ赤に染め上げ
、先程まで泣いていたせいか恥ずかしさのせいか瞳を潤ませ、少し不服そうにムッとして相手を見つめ、好きな人に泣き顔は見られたくないものだと答えて。これまで相手には本を探しているとしか伝えていなかったものの、相手と関わる中で心が動かされ、多少の心境の変化があったようで、宙を見つめながら探している本について自ら切り出し、半分独り言のような問い掛けを口にして)
……運んで、寝かせて…よし。
いい夢を、レイ。
(幸せそうに寝ている相手を起こすのは罪悪感を感じてやめ、しかし床に寝転がりっぱなしで放っておくわけにもいかず、相手の腰に手を滑り込ませると優しく抱き上げ、図書室の奥の方にある本倉庫を自由に改造した、実質自分の部屋とした部屋にある布団に寝かせ、毛布をかけると、子を寝かしつけるようにぽんぽんとリズミカルに叩きながら微笑みながら言い)
それくらいはわかるけどな、俺からするとお前はいつも、常に可愛いわけで、だからイイんだよ、分かんねえ?
小説か……そうだな、よく読むよ、だから分かる。
お前の求めるモノは俺のもとには……
…いや、多分ある。
(いつも可愛くある相手にいつも可愛くいたいと言われてもピンとこないものの、一応言いたい事はわかるらしくそう言うものの、異様なほど相手を煽て、優しく相手のほおに手を置いて。
そして相手が小説と言い、どこかいつもと違う気配で言い出すと、自分が今まで読んだ小説、図書室にあるモノは全て読んだ為、一つを除いて可能性は潰れるもののあり得ないと判断して無いと伝えようとするが、無いと分かったら相手は言ってしまうのでは無いか、と思い、そんな嘘をついてしまい)
…ふふ…、桐島さぁん……、
(運ばれた布団からは仄かに相手の香りがする気がして、眠りながら自然と相手を求めるように毛布を手繰り寄せ、包まるような仕草をしながら甘ったるい声で相手の名前を呼び、充実した幸せな環境で眠ったおかげか、しばらく目覚めることなくぐっすりと深い眠りについて)
わ、わ、分かんない…もん。
ほ、ほんと?じゃあ──、……待って、その前に……変なこと、聞いてもいい?その、深い意味はないんだけど……、
(いつも可愛いと言われて頬に触れられると、身体中の熱が一気に頬に集まったかのように更に紅潮し、恥ずかしさのあまり咄嗟に視線を逸らして、相手の発言の意図は伝わったものの、つい分からないと答えてしまって。よく小説を読むという相手の口から、多分あるという言葉を聞くと目を見開き、軽く身を乗り出してその小説の心当たりについて尋ねようとするものの、途中で言葉に詰まり、迷っているような怯えているような躊躇いを一瞬だけ覗かせ、ふいに神妙な面持ちになると、話題を逸らしているのか何かを確かめようとしているのか、どこか歯切れの悪い口調でおそるおそる相手を見上げて)
……全部見えないようにしとくか……
(相手が深い眠りに入ったのを見ると、その場から立ち、近くの窓際に置いてある写真たてをうつ伏せに寝かせ、写真の内容が見えないようにすると、また相手の近くに戻り、起きるまでそばにいながら今後どうするかを考えて)
分からせてやってもいいんだぞ?
好きに聞け、何せ俺は賢者サマの弟子だぜ?何でも理解できると思うぞ。
(また可愛い動作と口調を同時に自然と行う相手の頬に触れた手が自然と唇の方へ這って行き、生々しい音を立てながら指が相手の口内へ侵入して掻き回すもののすぐに引き抜き、相手の言葉に少し疑問を感じるものの振り払い、ニイ、と笑うと、少し訳の分からない事を言い、何でも言え、伝えて)
……んぅ……?
…あれ?此処……桐島さん?
(どのくらい眠り続けたのか、しばらくすると目を開き、まだぼんやりと霞んでいる視界をゆっくりと見渡してから自分の手元に視線を落とせば毛布を握りしめていて、図書室の床で眠ってしまったはずがいつの間にか布団の中に居ることに寝惚けた頭では理解が追いつかず、寝惚け眼を擦りながら軽く首を傾げ、傍に居る相手をぼーっと眺めて)
んむ、……だ、大丈夫!もう分かったから!
ぷっ、何それ?いくつ肩書き持ってるの?まーいっか。えっと……、桐島さんは、小説って、何だと思う?あのっ、あたしも桐島さん程じゃないと思うけど、いくつか小説は読んだの。一冊の中に壮大な世界が広がってて、色んな人達が居て、それぞれの人にそれぞれの人生があって……で、でも、当たり前だけど、小説って、たった1人の人間が書いた文字の塊でしょ?だったら、その中で生きている…生かされている人達は……〝生きてる〟のかな?そ、それとも、やっぱり小説は小説だし、ただの紙と文字の──ッ、
(口内から指が抜かれると、ぱちぱちと瞬きしながら相手を見つめて放心し、時間差で状況を理解して真っ赤な自分の両頬に手を当てながら、思いっきり慌てた様子で分かったと訂正をして。よく分からない相手の返しに思わず吹き出してしまうものの、そのおかげで話しやすくなったようで、辿々しくてまとまっていない内容ではあるが、心の中にあるモヤモヤとしたものを吐き出すように明るい笑顔で語るものの、次第に唇が震え始め、相手への質問とは言いつつも答えを聞くのを恐れているかのように、相手に話す隙を与えずに次々と言葉を紡いでいき、それでもとうとう言葉が続かなくなってしまうと、笑顔を作る余裕もなくなり、重々しい表情で震えながら俯いてしまい)
起きるのがおせーよ、ヒトの部屋でヒトの布団使って呑気に眠り続けやがって。
…おはよう、レイ。
(寝ぼけている相手に一方的に説教じみた事を言い伝えるものの、すぐに相手の姿に好みな感じがして、すぐに優しい声音で優しい撫でかたで相手を甘やかし、おはよう、と言い)
いやぁ、師匠は星になったからなぁ……
……そうかそうか、俺は小説はただの紙、記してあるのは書いた人間の理想であり意志………
…あーいや、違う、違いますよ師匠、今のは違います。
そうだな、俺はな、書いたモノは確かに生きていると思う、だけど、それは生きているんじゃなくて、作者に生かされている状態だ、物語の最中で力尽きたらそれは死ぬ。
それが意思を持つなんてそれはもはや式神、霊の類だ。
だが、俺はそれを否定しない、例えそれが霊の類であるとしても、俺は生きるものを決して否定しない。
(窓から夜空を眺めると思い返すように笑う相手に言い返し、その後に自分の論を適当に並べようとするものの、突然窓を派手に突き破って矢が彼の足元に突き刺さると掌を返したと言うか、元からあったものの嘘を言っていた事、を訂正し、相手に自分の正直な論を伝えて)
えへへ、おはよ。
…そっか、此処、桐島さんのお部屋なんだ……桐島さんの布団…。
(優しく甘々に甘やかされると、ふにゃりと表情が緩み、にこにこと微笑みながら寝起きの少しほわほわした声で挨拶を返して、相手の言葉を繰り返しながら改めて部屋を見渡し、布団に視線を向けると、好きな人の部屋の好きな人の布団に居るという状況にドキドキと緊張してきて、ほんのりと頬を染めながら鼻の上まで毛布を上げて顔を隠し、目だけを覗かせてもじもじと照れくさそうに視線を彷徨わせて)
!?えっ、うそ。賢者、さん…?って本当に居たの?──っじゃなくて…!
……そっか、分かった。ありがと。あ、さっきも言ったけど、深い意味があって聞いたわけじゃないの!紙は紙だし文字は文字、誰かに生かされてるだけだし、未来も全部決められてるんだよね。……ッ、じゃあ、書いた人が分かれば……、
…何でもない、急に変なこと聞いちゃってごめんね。お水探そっか?
(窓から飛んできた矢に目を丸くして驚き、窓と相手の足元を交互に眺めて、信じられないという表情で窓の外を覗き込んでキョロキョロするものの、本題を思い出してハッとすると相手の方に視線を戻し、勝手に自己完結したかのように話を切り上げて、進行方向に足を踏み出しながら無理矢理に笑顔を作って)
ヒトの布団にあんま触れてくれるな、イイ匂いでもあるまいし、安物の毛布だし。
(相手の蕩けたような反応は相手にしていてもロクに会話出来ないと判断すると、相手が自分の毛布で顔の下を隠している事を指摘し、恥ずかしいだけであるものの理由つけて相手から毛布を剥がそうとして)
今日は星がよく見えるからな……知ってるか?
ギリシャの師匠……いや、ケイローンっつー賢者は星座になって今も俺らを眺めてるんだぜ?
まぁ簡単に言えばそうだろう、だけど、まぁ。
その作られた紙が現実に出てきたって言う例を俺は知ってるんだが。
ま、いいさ、早く行こう。
(地面に刺さる矢を拾い上げると窓から空を眺め、星の方へ投げ返し、神話関連のことを話し始めて、しかしその後の相手の自己完結したような言葉に反応して自分の知る限りの情報を開示するものの相手の言葉で我に帰り、相手の笑顔を見て顔をしかめつつ、早く行こうと歩き出して)
…あっ!?そ、そうだよね、ごめん!
……ていうか、あの……、桐島さんが起きた時……その、見た……?
(照れ隠しのつもりでとった行動のせいで余計に恥ずかしい状況になってしまっている事に指摘されて初めて気がつき、パッと毛布から素直に手を離すと、自分にとってはいい香りがしたなんて言えるはずもなく、適当に同意しながら慌てて布団から飛び起きて。意識がはっきりと覚醒するにつれて、眠りにつく前に相手の手を握ったり、抱き枕のように抱きしめていた事を思い出すと、相手にそれがバレていないかと急に心配になり、真っ赤な顔で相手を見上げ、ソワソワと落ち着かない様子で探りを入れるような遠回しな尋ね方をして)
けいろーん???賢者さんって、こんないきなり矢射ってくるの?びっくりしたんだけど!
……っ、……仮に、本の中から現実に人が出て来れたとしても……その本に書かれてる、その人の運命には抗えないでしょ。なーんてね?
(告げられた名前にも、突然矢が飛んできた状況にも頭がついていかずにキョトンと首を傾げて、会ったこともない賢者に文句を言う訳にもいかないので、代わりにその弟子らしい相手に向かって、先程驚かされた事を抗議しながら頬を膨らませて。相手の言葉に思わずピクリと反応してしまい、俯いたまま神妙なトーンで切なげに言葉を返すものの、すぐに顔を上げ、冗談めかしてにっこりと笑って流し、そのまま歩き続けて)
あぁ、見た見た。と言うか感じた。
お前が人の事をぬいぐるみみたく抱きしめて寝てやがった事だろ、あと手も繋いでたな。
(ベッドの淵に座り込み、相手にそう聞かれると一切隠す事なく相手の隠したい事を文字通り全てぶちまけ、ソワソワしている相手にさらに追い討ちと言わんばかり手も繋いでたと全て、感じた、だけであるものの伝えて)
どーせ蠍射抜くついでに放ってきた一矢だ、嘘ついた罰とでも言いたいんだろ、あと俺に言われても困る。
いや、だから、現実に出てきたなら。
《己を書いた者に干渉して書き換えれる》んだから、幸せを掴む奴だってごまんと居るぜ?
(空に浮かぶが見えない蠍座と射手座を指差してそう言い、相手に抗議されても自分には師匠に伝える手段も謝る事も出来ないと言うかしたく無いため困ったように伝えて。
相手がそんな事を言うためつい反論したくなり、当然現実にいると言うことは創作者と同じ世界にいると言う事であり、そう言って)
あ~っ!
ち、違うの、えと、違わないけど、でも違……も、元はと言えば、眠った桐島さんが押し……くっついてきたんだよ!?
(茹で上がってしまいそうなほどに顔を赤くして両手を大きくばたつかせ、相手の言葉に被せるようにあたふたと大声を出して発言を妨害し、必死でオロオロと弁解するものの、相手の言う事は何も間違っていないため当然言い訳も出来ず、恥ずかしさと焦りで頭が真っ白になり、勢い余って相手に押し倒されたことまで白状してしまって)
ついでじゃないよー!危ないしビクッてしたし、何なのもぉ……これでもし桐島さんに当たってたら、いくら桐島さんのお師匠様でも怒るんだからねーっ?
…!?そ、それ──、……でも、そもそも本が見つからなきゃ誰が書いたのかも分からないし…結局探して見つけるしかないって事になっちゃうよね、
(隣から身を乗り出して窓の外を覗き込み、相手が指差した方向をムッとした様子で睨むと、ぷりぷりと怒りながら空に向かって文句を述べて。衝撃的な相手の発言に思わず足を止めて目を丸くし、相手の顔をまじまじと眺めてフリーズして、完全に素の心の声を呟きとして漏らしながら何やら考え込んで)
へぇー、俺はお前を押し倒したのかー。
…で、その後は?押し倒した後、俺は何をした?
(相手の言葉は当然聞き逃さず、自分が相手を押し倒した、それは当然と言いたげに聞き流すものの、押し倒した後、自分は何をしたのかが一番気になり、相手に食い気味に聞いて)
あんなノロイのが当たるわきゃねーだろ、パリスの踵射抜きでもあるまいし。
いやぁ?そもそも他人に決められる人生なんざあり得ないんだ、書かれたモノ、であるのなら、書いたモノ、の想いが篭るのも道理、書き換えるのではなく。
【新たに描く物語】、自分をその物語に出し、ハッピーエンドにする、楽な話だ。
(空に怒る相手にニヤつきながら軽く言い返し、その後に結局探す云々に戻る相手に、もうそれなら、と言う禁忌にも近い案、自分で自分を描く、と言う血迷ったモノを提案して)
な、何でそんなに普通なのっ?…お、押し倒した、んだよ……?
(恥ずかしげもなく押し倒したなどと口にして食い気味に尋ねてくる相手に目を見開き、当然相手は寝ていただけではあるものの、自分にとっては押し倒された事自体が恥ずかしくてたまらない為、相手の反応が信じられず動揺し、もう一度言うのも恥ずかしいようで、思いっきり慌てながら真っ赤な顔で答えて)
結構速かったよ!?バシュッて!
へ!?…う、う~ん、……出来たら、いいね……?
(派手に窓を突き破った矢を鈍いと言う相手に驚き、矢の勢いをジェスチャーで表現しながら、明らかに避けられるような速さではなかったと必死に説明して。考えつきもしなかった相手の提案に思わず反応してしまうものの、すぐに笑顔を作ると、誤魔化すようにどこかはっきりしない曖昧な返答をして流し、再び歩き始めて)
………そうか、いや悪かった、一線踏み越えてないか気になってな…
(相手の様子を見て一線踏み越えては居ないと判断し、相手にその一線の範囲がわからないと言う仮説も立てるものの、さすがに無いだろうと思い、考えの末に冷静に戻り、一線、の意味を知っているかカマをかけながら謝罪して)
じゃあ避けてみるけど?そのバシュッ、を。
…馬鹿みたいなこと言っちまった、忘れてくれ。
(ソラに向けて人差し指を真っ直ぐ向けると、避けてみようか?と冗談で提案をして、その後に自分が勢いで馬鹿みたいなことを言ってしまったことに気付き、相手の作り笑いの意図を愛想笑いだと勘違いし、忘れてほしいと言って)
へ……ええっ!?な、何言ってるの?ないない!あるわけないでしょっ?桐島さん寝てたんだし!絶対ない、有り得ないからっ!
(相手の発言がすぐにはピンと来なかったようで、ぱちぱちと瞬きを繰り返しながらキョトンと首を傾げて固まるものの、時間差でハッとすると途端に耳まで赤く染めて焦り始め、本当に何も無かったにも関わらず必要以上に動揺し、バタバタと両手を大きく動かしてどもりながら、早口で強く否定して)
や、やだ!危ないことしないで…?
あ、違うの、…もし、もしもだけど、本当に本から出てきた人が居るとして、自分で自分を描いて運命を変えられるなら凄いことだと思うし、あたしじゃそんなこと思いつかなかった。でも、書いたことないから分からないけど…書いたことないからこそ、本を書くのってそんなに簡単じゃなさそうじゃない?少なくとも、あたしの知識じゃ難しそうかなって……あ、中庭ってあの先?
(相手の冗談に本気で慌てた様子で、相手の制服の袖口をきゅ、と掴み、心配そうに眉を下げて相手の瞳を見つめて。相手に誤解されてしまったかも知れないと気がつくと、困ったようにオロオロして、余計な事を話しすぎて墓穴を掘るわけにもいかず、反応に困りながらも言葉を選びつつ感じた事を伝えていると、ようやく昇降口らしき場所が見えてきて、そちらを指差しながら相手に中庭の方向を確認して)
……そっかぁ、絶対ないかぁ…あり得ないかぁ……
…地味に傷付くなぁ…
(相手が恥ずかしい勢いで言った言葉とはつゆ知らず、相手の本心からの否定だと理解すると、相手はそこまで自分のことを嫌っているのだろうかと思ってしまい、ガクッと肩を落とすと近くのドアから図書室へ戻ろうとし、その直前に傷付くなぁと響く言葉をこぼして)
…分かった、分かったよ。
物語は理想だ、書いた人間の想いと理想が色濃く文に現れる、それなりの理想と、ペンと紙さえあれば、物語なんて作れるんだ、必要であるならばそれを手にし、それさえあるならと他を投げ打つ、ケイローン師匠の言葉だが。
なに、それなりにかっけえだろ?
…中庭だな、少し此処で待っててくれ。
(冗談を本気にしてしまう相手を健気に思い、頭を二度撫でてやると感じたことを伝えられ、小説の書くのは難しい、と考えている相手の言葉に対し、今まで見てきた小説を思い返し、そして自らの師の言葉を借りると相手に伝え、ニヤッと笑い、相手が指差した方超えに中庭と、膨大な浮遊霊を視認すると、相手に此処で待つよう頼んで)
???えっ、どうしてっ?
ちょ、ちょっと待って!えと、あの、……ごめんね…?
(相手が急に落ち込んだ理由がさっぱり分からず、むしろ自分の答えによって、相手の意図せぬところで一線を越えておらず安心してもらえるとさえ思っていた為、予想外すぎる相手の反応に、脳内にクエスチョンマークを浮かべてぽかんと固まり、出ていこうとする相手とその口から紡がれた言葉に衝撃を受けて顔が真っ青になり、思いっきり焦りながら咄嗟に相手を呼び止め、何がどう相手を傷付けてしまったのか見当もつかずに混乱したまま謝って)
理想かー、今のあたしの願いなんて、1つしか思いつかないし、…そもそも、新しく物語を書いたとしても、元々の本がこの世界のどこかにそのまま存在してるなら意味あるのかな──って、もしもの話なのに考え過ぎだよね!…でも、素敵な言葉。参考にしたいくらい!
?…うん、わかった。
(頭を撫でられると安心したように表情を緩ませ、先程よりもリラックスした様子で感想を述べていって、最後はもしもの話だと付け加え、それでも参考にしたいと笑顔で伝えて。目的の中庭があるにも関わらず、なぜか待つように告げてくる相手を不思議に思い首を傾げるものの、お手洗いか何かだろうと軽く考えて納得すると、暗闇で待つことに少し恐怖を感じるものの素直に頷き)
お前は悪くねえよ、俺が勘違いしただけだ。
(焦り、そして呼び止めてくる相手の声音と態度で、自分は嫌われていないと強引に結びつけ、弱みを見せたくないという理由も重ね、一瞬で態度を変え、冷静になり、そして微笑み、振り返り言って)
一つしかないなら逆にいい、理想を詰め込むのは単なる欲望になっちまうからな、あと意味を疑ってやると大体失敗する。
もしもの話だとしても考えるのはいいと思うぞ?ケイローン師匠に感謝だな。
……さて?たぶん言葉通じないよなぁ……いやまぁ期待してないけどヨォ……。
_____穿て、ケイロンの流星。
……たっだいまー!じゃ、行こうぜ
(撫で終わるとリラックスしている相手の発した、一つしかないという言葉を逆手に取り、逆にいい、と理論を立てると、意味あるか疑う相手に効果が薄れる、と効果を疑わないように仕向けて、そして自分のことでもないのに誇らしげに言ったあと、中庭にある手洗い場に行くと見せかけ、大量に浮いている浮遊霊に向けて言葉を投げかけ、仕方なさそうに後頭部を掻くと、空に人差し指を真っ直ぐ向け、それと同時に輝く流星のような矢が降り注ぎ、光はすぐに収束し、浮遊霊が全て消え去ると、散らばる何十本という矢をしっかり拾い、ズボンのにベルトはしっかり挟み込み、相手の元へ笑顔で走って戻り、矢を隠さないまま行こうと手を引いて)
勘違い…?あたし、何か変なこと言っちゃった?…えっと、お、押し倒したって言っても、桐島さんは眠ってただけだし、本当に全然何も無かったよ?
──あ、そっか。何も無くはない、よね……勝手に触っちゃって、ごめんなさい…。
(急に態度が変わった相手の様子にどこか引っ掛かるものの、先程の発言は深い意味もなく放ってしまった言葉の為、どうしても相手を傷付けてしまった原因が理解できず、このまま形だけの謝罪で済ませてしまうのは自分の中で納得がいかずに申し訳なさそうにしょんぼりとしながら、何か失言をしてしまったかとおそるおそる尋ねて。相手にとっては知らない間に越えたくもない一線を越えてしまうのは嫌だろうと思い、安心してもらおうとしたり、寝ている間に勝手に抱き締めてしまったことが悪かったのかと反省してみたり、必死に心当たりを探りながら涙目になって、思いつく限りの原因を並べてみて)
もしもの話だけど…桐島さんがそう言うなら、信じてみたくなったかも。あ、桐島さんじゃなくて、桐島さんのお師匠様ね。
────おかえ…って、おかしくない!?矢がいっぱい増えてるけど!何それお手洗いで拾ったの?……あ~!もしかして、またあの変なお師匠様が桐島さんを狙って来たんでしょー!?
も~!桐島さんに意地悪するの、やめてくださいー!!
(去り際に告げられた言葉にどこか救われた様子で柔らかく微笑みながら相手を見送り、言われた通りに相手が戻るまで大人しくその場でじっと待ち続け、しばらくして戻って来た相手のベルトに大量の矢が挟まっているという謎の光景を目の当たりにすると、目を丸くして指差しながら即座に指摘し、相手の師匠の仕業だと決めつけると、早とちりで変な師匠呼ばわりし、頬を膨らませてぷんすかと怒りながら適当な窓を開き、どの方向かは分からないものの適当な方向を見上げると、両手をメガホンのように口の横に当て、空に向かって訴えかけて)
!?、マズイ……!
________いいか!?オレは一切怒ってないし、もう落ち込んでもいない!というか勝手に触られた程度で怒り、落ち込む男がどこにいる!?喜ぶ奴の方が多いだろうが!
じゃなくて!もう泣くな!オレの身が危ねえし……なにより!おまえの涙なんて見たくない!
…泣かないでくれ…頼む……
(勝手に想像し、涙目になって謝る相手に一瞬で上っ面の微笑みが崩れ、驚愕と悲しみに包まれると、なにが不味いのかは不明だがマズいと短く言い捨て、整理しようとしていて持っていた数冊の本を近くの棚に全て放り、上半身だけ起こしている相手の側に駆け寄るとその肩を痛いほど掴み、必死に弁解と言うか、相手を泣かせまいと叫ぶように言うものの、相手の涙目を見ているとこっちも泣きたくなり、過去の情景と重ねているのか涙目になりながら訴えるように相手の肩を掴み、崩れ落ちながら頼み込んで)
……その辺にしてください…俺の責任になってまた矢が降るんで…あとこの矢は俺が頼んだものだから…さ?
師匠に対する怒りは俺にぶつけてくれて構わないんで……神に近い人に喧嘩売らないで?ね?
(状況説明する前に相手が勘違いし、自分の師匠でありスパルタ教師であったケイローンを変呼ばわりした挙句、頼み込まれてしたことを意地悪呼ばわりもされ、だいぶご立腹な為、焦り、怯え、敬語で相手に止めるように言い、説明もすると、やめて欲しいと訴えて)
!?、マズイ……!
________いいか!?オレは一切怒ってないし、もう落ち込んでもいない!というか勝手に触られた程度で怒り、落ち込む男がどこにいる!?喜ぶ奴の方が多いだろうが!
じゃなくて!もう泣くな!オレの身が危ねえし……なにより!おまえの涙なんて見たくない!
…泣かないでくれ…頼む……
(勝手に想像し、涙目になって謝る相手に一瞬で上っ面の微笑みが崩れ、驚愕と悲しみに包まれると、なにが不味いのかは不明だがマズいと短く言い捨て、整理しようとしていて持っていた数冊の本を近くの棚に全て放り、上半身だけ起こしている相手の側に駆け寄るとその肩を痛いほど掴み、必死に弁解と言うか、相手を泣かせまいと叫ぶように言うものの、相手の涙目を見ているとこっちも泣きたくなり、過去の情景と重ねているのか涙目になりながら訴えるように相手の肩を掴み、崩れ落ちながら頼み込んで)
……その辺にしてください…俺の責任になってまた矢が降るんで…あとこの矢は俺が頼んだものだから…さ?
師匠に対する怒りは俺にぶつけてくれて構わないんで……神に近い人に喧嘩売らないで?ね?
(状況説明する前に相手が勘違いし、自分の師匠でありスパルタ教師であったケイローンを変呼ばわりした挙句、頼み込まれてしたことを意地悪呼ばわりもされ、だいぶご立腹な為、焦り、怯え、敬語で相手に止めるように言い、説明もすると、やめて欲しいと訴えて)
桐島さん……。
…うん、ありがとう。あたし…色々初めてで、慣れてないこととか、知らないことばっかりで…もしかしたら、そのせいで勘違いさせちゃったり、桐島さんのこと傷付けちゃったりするかもしれないけど、そうならないように頑張るから…だから、──桐島さんを好きってことだけ、それだけでいいから、分かっててくれたら嬉しい…。
(肩を掴んできた相手の必死さと、その瞳が涙目になっていることにハッとして驚き、呆然としながら相手の真っ直ぐな言葉に耳を傾け、相手が怒っているわけでも落ち込んでいるわけでもないと理解するとホッと安堵したように緩やかに微笑み、色々と経験豊富に見える相手に対して自分は人を好きになること自体が初めてで、そんな素直な不安を包み隠さず打ち明けて、それでも相手の事が好きだとほんのり頬を染めながら自信なさげに伝えると、まだ潤んでいる瞳でしっかりと相手の目を見つめて)
え、うそ…桐島さんが頼んだの?………えっと、どうしよ?結構酷いこと言っちゃった…あの、お師匠様どっち?…あっちかな?
───あ、あの、先程は大変失礼致しました……。完全に、あたしの勘違いでした…。
(相手に声をかけられると、あっさりと怒るのをやめてキョトンとしながら振り向き、説明を聞いて誤解をしていたことに気がつくとみるみる冷や汗をかいていき、完全に先程までの勢いを失うと、慌てて再び窓から適当な方向を見上げ、空に向かって弱々しく謝罪しながらぺこぺこと何度も頭を下げて)
……!
あ、あぁ…大丈夫、大丈夫だ、知らない事は知っていけばいい、俺は怒らないし、叱らない、傷つけられる事も、たぶん無い。
…あぁあと…
お前も、俺が好きになってるってことを忘れるなよ。
(自分の涙目の瞳、そして崩れ落ちた自分にようやく気づき、情けなさにようやく気付くと顔を真っ赤にし、相手から手を離し、緩やかに微笑んでくれる相手に安堵すると、相手の心配を全て自分の言葉で消し去ろうとしてやり、相手と同様に緩やかに微笑んだあと、ニヤッと笑いながら恥ずかしさを押しつぶし、相手の唇に人差し指を押しつけ、言って)
(まぁあの人教え子以外には優しいから大丈夫だと思うけどな)
あ、あぁ……謝っとけ…うん。
それがいい。
(大袈裟に言った為相手の反応が面白く、空を見ている為相手の近くで笑いを堪えながら相手に謝罪を促して)
──え、あ、うっ、うん…!
(自信がなくて不安だった気持ちが相手の言葉によってどんどん軽くなっていくようで、思い悩んでいた表情が次第に明るくなっていき、安心して少し油断しているところに、寝言でも何でもなく現実でハッキリと〝好き〟と告げられると、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして相手を見つめ、一瞬にして頬が真っ赤になり、ぼーっとしたまま返事をして)
え、えと、本当にごめんなさい、最初の矢のことを思い出して決めつけてしまって…桐島さんに何かあったんじゃないかと思って、不安になっちゃったんです。で、でも、桐島さんのお師匠様がそんな酷いこと、するわけないですよね──失礼なこと言っちゃって、すみませんでした…。
……お師匠様、まだ怒ってる…?
(促された通りに、申し訳なさそうにしょんぼりと落ち込んだ表情でぺこぺこと頭を下げ続け、自分の中では誠意を込めて謝罪したつもりではあるものの、相手の師匠の反応が分からないので余計に不安になり、顔を上げて相手の方をチラリと振り返り、おそるおそる尋ねてみて)
……なぁ、もういっそ一線越え________
!、もうこんな時間か!?コート寄越せ!布団やるから!
くそ、寝過ぎた……此処でしばらく待ってろ!いいか!?絶対に!絶対に出るなよ!?
(勢いで押すのではなく、ただ単純に、否定されようと傷つかないことを証明しようと、そしてあわよくば本当に一線を越えてしまおうと思い、相手の顔に急接近しながらそう聞き、相手の肩を押すとそのまま押し倒そうとするものの、タイミング悪く高校のチャイムが大きくなり、設置しておいた時計を眺めると驚愕に顔を歪め、相手が唯一着ているコートを強引に剥ぎ取り、布団を投げつけると相手の匂いと温もりの残るコートを羽織り、急ぎ、焦りながら部屋から出る前に相手に何度か釘を刺し、出て行って)
俺のこと大事に思ってくれてるんだなぁ……
あぁ、もうお前には怒ってないし、逆に喜んでるよ、理由は言わねえけど。
(笑いを堪えていると相手が謝罪の中言った言葉に少し感動し、相手が振り返って全て鵜呑みにして聞いてくる為まだ笑いの名残があるものの堪え、頭に直接語りかけてくるケイローンの言葉を今回は正直に言って、理由だけは内緒にし)
っ、…………、
へっ!?ちょ、ちょっと待──きゃっ!?何す……はぁ???
………桐島さん………?
(顔を近づけられると咄嗟に目を閉じて、肩に触れられてピクッと反応しながら心臓が煩く音を立て始めたところで、抵抗する隙も与えて貰えずあっという間にコートを脱がされ、慌てて布団を身体に巻き付けながら真っ赤な顔で文句を述べようとするものの、そんな猶予もなく一方的に告げられた言葉にキョトンと固まっている間に相手が出ていってしまい、1人取り残された部屋で放心し、不安げな瞳で相手の去っていった方向を眺めて)
喜んでる…?でも良かった、許してくれて。桐島さんのお師匠様だもん、やっぱり優しいんだね。
あ、桐島さんも、ごめんね?お師匠様を疑われて、良い気なんかしないよね。
(逆に喜んでいるという言葉に不思議そうに首を傾げるものの、相手の師匠が怒っていないと分かるとホッと息を吐き、相手に対しても師匠を疑ってしまったことを謝罪して)
……はー………疲れたぁ……。
レイ??起きてるかー?
(数時間後に疲れきった様子で図書室の中に入ってきて、そしてコートを脱いで手で持つとすぐに玲の元へ歩き出し、部屋に入ると寝ていないかが気になり、とりあえず入ると同時に起床の有無を聞き、中の様子を見て)
プライベートならそれなりに優しいんだけどなぁ……。
…まぁ、あの人を貶されるのはそれなりに頭にくるし、でも馬鹿みたいに怒ったりはしないぞ?アイツと同じになっちまう。
(遠い目をしながら空に向けて苦々しく呟き、相手の謝罪に対し、あまり怒ってはいないと告げて)
…こんな格好で、寝れるわけないでしょ?
(本当は数時間帰って来なかった相手のことが心配で眠るどころではなく、ずっと入口の方に目を凝らしながら待っていたのだが、一方的にコートを脱がされ、止める間もなく出ていった相手にそれを素直に告げるのは少し癪で、下着の上から布団を巻いただけの状態でまともに相手と話すのも恥ずかしく、つい怒っているような拗ねているような態度をとってしまい、赤く染まった頬を膨らませつつ、恨めしげに相手を見つめて)
だ、だよね。ごめん…っていうか、そんなに矢いっぱい集めてどうするの?
(後ろめたそうに引き攣った笑みを浮かべて改めて相手に謝っていると、相手のベルトに挟まっている大量の矢は相手が頼んだものだと先程聞いたことを思い出し、単純に何の為に頼んだのかが気になり、軽く首を傾げながら聞いてみて)
…悪い、だからほら、コート、古い方売り飛ばして新しいの買ってきたから、許してくんねえかなぁ?
(怒っているような相手の態度に少し凹むもののあまり態度には出さず、強げな雰囲気で悪いと苦笑いしながら言い、相手の態度を治すために焦り、自分で持っていた新しいコート、新品らしい独特の匂いばかりで彼の香りはしないものの、触り心地や着心地、温かみも違く、しかしその為に自分が愛用していたコートを売ったらしく、冷風に常に当たっていたからか頬が真っ赤だが、相手のご機嫌とりのために必死で言い)
んー?あー、あー……物騒なこと、危ないこと、に使うって言ったら、怒るか?
(ベルトから一本、暗闇でも輝く矢尻を切れない程度に指でなぞり、聞かれると嘘をつくのも忍びなく、きっちり本当のことを言い、そして聞いて)
え?…さっきの桐島さんの慌てた感じ、お買い物に行くようには見えなかったんだけど…。
(予想外の相手の言葉にキョトンとし、元々怒っていなかった為あっさりと普段の調子に戻ると、不思議そうに瞬きを繰り返しながら相手を見つめ、部屋を出ていく時の相手の焦った様子や数時間戻らなかったことと、コートを買ってきたという行動がどうしても結びつかずに混乱し、戸惑っている様子でぽかんとしながら尋ねて)
怒るっていうか……悲しむ、かも。
(相手の言葉に眉を八の字にし、相手には相手の事情があるのだろうということは承知しており、相手を信じると決めた以上は相手の行動に反対する権利もなく、反対するつもりもないものの、やはり心配なものは心配で、危ないことはしてほしくないのが本音の為、困ったように笑いながら相手を見上げると、怒りはしないものの悲しむと正直に答えて)
いやまぁ、買い物は目に留まったからしただけだし、別に言う必要もねえし、聞いて良いモンもねえし……
……聞くか?聞きたいなら聞かせるぞ。
(ある用事の帰りに目に留まった洋服店、自分の黒コートと似ていたから購入し、私用としてではなく、相手にプレゼントする用に買ったコート、そして本題の用事はあまり心地いいものでは無いらしく、聞きたいなら言うが率先しては言わない、と苦い顔で相手に聞くか聞かないかを聞き、いっそ聞いてくれた方が楽だ、と内心思いつつ)
……そっか、うん、そうだよな。
これは危険なことだ、でもしなきゃいけないことだ、しなければ、誰かが傷付き、命を落とすかも知れない。
だから俺はこれをやめる事はできない。
…でも、できる限り危険な行動は避ける、遠回りになるとしても危険は侵さない。
怒るのはいい、悲しむのもいい、だけど。
俺の目の届かない所では泣かないでくれ、拭えないだろ?
(悲しむと言う相手の本音を聞き届けると、知っていた、が、かなり心にきたらしく、さらに笑っている所を見て決心し、相手に詳しくは言わないものの、危険なこと、だけど危険な部分に踏み込むのはできる限り避ける、と言う内容の言葉を放ち、最後にはキザっぽい事を言い、矢をベルトに挟むと言ったことに耐えられず、中庭に顔を真っ赤にして歩き出し)
ううん、聞かない──えと、もしかしてあたしの為に買ってきてくれたの…?
(気にはなるものの、相手が言う必要ないと判断したのであれば聞くつもりはないようで、首を左右に振りながら聞かないと即答し、それよりも恥ずかしい格好のまま相手と話し続けるのに耐えられなくなり、身体に巻いている布団の合わせ目が開かないように手で押さえ、頬を染めてもじもじしながら相手が持っているコートに視線を向けて、コートの話に戻して)
泣かないよ、桐島さんが無事で居てくれたら。そしたらあたし、ちゃんと待つし…だから、怪我とかしないで、絶対、帰って来て?
(命を落とすという言葉に余計に心配になり、自分の想像以上に相手は危険なことをしているのではないかと不安が過ぎるものの、相手が自分のことまで考えてくれているのが痛いほど伝わってくると胸の奥がじんわりと暖かくなり、相手の言葉を信じることにして、無事で居てくれるならば泣かずに何度でも待つことを告げながら、相手の後を追うようにこちらも歩き始めて)
…そうか、ならいい。
?、当たり前だろ、あんな小汚えコートいつまでも着せてる訳にはいかねえし。
……まぁさっきまで俺が着てたんだけど。
(即答されると聞く意思がないのが一瞬で分かり、納得するともじつく相手の理由がわからず、少し不思議そうな顔をすると図書室に入るまで一応着ていた、今は手にかけてあるコートを手で持ち直すと、僅かな間でも付いてしまう埃を手で払い、小声で何かを言いながら相手は差し出して)
……ンな事は分かってる、絶対帰る、無事かどうかは口を濁す事しかできねえが……まぁ、死にはしない、死んでも死にきれねえ、もし死んでも化けて出てやるさ。
(帰ってきて、なんて誰にも言われた事がなく、返す言葉に迷いが生まれるものの、最後にはきっちり、相手との約束のように分かっていると言い、死んでも死に切れない、と、未練を残し、死ぬ予定はないが、イレギュラーが発生しもし死んでも、相手のもとへ戻る、と誓いを当て、水道で顔を洗って)
さっきまでのも暖かくて良かったけど…でも、えへへ。嬉しい。ありがとう。
──え、えっと、あ、じ、じゃあ着替えて来るねっ?
(相手のコートを小汚いと思ったことなどなく、むしろ仄かに香る相手の匂いにドキッとしていたのだが、さすがにそんな恥ずかしいことは言えないため暖かくて良かったとだけ告げて、他に用事があったにも関わらずたまたま目に留まったコートを自分の為を思い買ってきてくれたのだと思うとその気持ちが嬉しくて、思わず顔が緩みニヤついてしまいながら嬉しそうにコートを受け取ると、大事そうに眺め、相手の目の前で着替える訳にも行かずに真っ赤な顔で動揺しながら着替えて来ると伝えると立ち上がり、布団が肌蹴ないように手で押えながらぎこちない足取りで部屋の外に向かって歩き始めて)
…絶対の絶対の絶対、だよ?
ひゃっ、冷た、…さむーい。
(絶対、という言葉を使うのは何だか相手に強制しているようで、少し返事を躊躇うものの、たとえ自分とはずっと一緒に居てくれなくても、相手には絶対に無事でいて欲しいと、そんな想いから切なげな表情であえて何度も絶対、と口にすると、不安な気持ちを誤魔化すように、後ろ向きな気持ちを洗い流すようにこちらも水に触れ、その冷たさに驚いて明るく感想を言いながら顔を洗い)
そうかぁ?まぁでも新品の方がいいだろ、見た目とか、結構値も張ったんだ、使えなかったら色々と困る。
…どういたしまして、俺が出てくよ、お前はそこで着てろ。
(相手の言葉に首を傾げ、相手にとって自分の小汚いコートが良かったとしても、新しく買ってしまった以上実用性を感じてもらわないと完全に損な為、色々と理由つけて言うものの、結局は困ると正直に告げ。
相手が布団を纏って立ち、少し歩くと相手の腕らしき部分を布団ごと掴み、どういたしましてと言ったすぐあと、自分が出ていくと言いそのまま有無を言わさず外に出て行き、扉に背を預けて待機し)
……あぁ、絶対だ。
(絶対、と言う約束に使われる言葉には嫌な思い出しかなく、言われても嫌な感じしかしなかったものの、相手に連呼されても悪い気はせず、一早く顔を洗い終え、手で顔を拭うと、水の感想を述べる相手の背を見据え、儚く微笑むと何か納得したように、絶対だ、と言い捨て)
どっちが良いとか、ないかな。どっちもすごく嬉しかったし、…なんか、桐島さんと一緒に居るみたいで安心?……したし!
わ、分かった、すぐ着替えるね───おまたせ!もう大丈夫!
(相手のコートに包まれていると、まるで相手に抱き締められているような感心感があり、ストレートに言葉で表現するのは照れくさいものの、ニコニコと微笑みながらどちらも嬉しかったと素直に答えて。自分より先に部屋を出てくれた相手の気遣いに感謝しつつ急いで着替え、布団を脱いでコートを羽織るだけのため宣言通りすぐに着替え終わると、扉の向こうの相手に向かってご機嫌な様子で元気よく声をかけて)
じゃああたしも、絶対。泣かないし、桐島さんのこと信じるね。
…冷たいけど、毛穴がキュッて引き締まった感じするー。お肌ピチピチになれるかなっ?
(顔を洗い終わり、ついでに喉を潤すと、顔についた水滴を拭いながらスッキリとした表情で振り返り、絶対と答えてくれた相手に自分も絶対に信じると言葉を返すと、冗談っぽく笑いながら自分の頬に触れてみて、反応を伺うように相手を見上げつつ美肌への憧れを口にして)
社交辞令に聞こえちまう……俺の耳と脳味噌腐りきってやがるぞ……ま、言われるだけマシだ、ありがとな。
……サイズ合ってたか?っていうかコートだけってのもバカやっちまった気がするな、どうせなら下も買っときゃよかった、コートの裾で隠れるラインのはずだけどなぁ……
今結構寒いしなあ……
(相手の言葉が社交辞令を受け取っているように感じてしまい、しかし相手の笑顔と声の質からそうでない事は明らかである為、その考えを振り払い、お礼をして。
相手から大丈夫と言われると扉を開けながら目を閉じて頭を掻きながら中に入り、相手の姿はどんな風に変化しているのだろうと考えつつ自分の失敗を口に出し、目を開けて)
泣きたい時は泣け、感情の制御は大事だが、溢れる時は溢れさせた方がいい。
シラネ、俺はそーいうのに興味ねえんだ。
(絶対に泣かない、と言うのはいい事に聞こえるものの彼自身良いとは思っていないらしく、あふれる時はしっかり溢れさせて、そしてまた溜め込む、適度な発散が大事、と要はそう言って。
美肌への憧れを口に出されても困ってしまい、ぶっきらぼうに答えを返して)
…桐島さんって、自分の魅力に疎いとこあるよね…?
──見て見て、ワンピースみたいで可愛くない?ちょっと大きいけど、その方がちゃんと隠れていい感じー!
ほんとに前のコートも好きだったけど、こっちもすごく着心地いいっ。
(心からの本心を社交辞令と受け取られてしまうと、少し困ったように眉を下げて、相手が謙遜で言っているのではないとしたら疎いというより過小評価し過ぎだと思い、独り言のように心の声をぽろりと漏らして。扉が開くと相手の前で両手を広げ、コートを見せるようにその場でくるりと一回転し、下を履いていないため生足は見えるもののサイズが大きめなお陰でワンピースのようにある程度は隠れていて、その着心地とデザインに満足した様子で微笑みながら感想を口にして)
…ん~、じゃあ、もし泣きたくなったら桐島さん、そばに居てくれる?
えー?興味ないっていっても、ガサガサに荒れてるよりはツルツルすべすべの方がいいでしょっ?…す、好きな女の子のお肌は綺麗な方がいいなー、とか、そういうのないの?
(相手の言葉にそっと微笑むと、先程相手の目の届かないところでは泣かないと約束したため、もし泣きたくなったら相手にそばにいて欲しいと伝えて。お肌のことに興味が無いと言われると不服そうに頬を膨らませ、乙女心としては好きな人の好みを知っておきたく、照れて顔を赤らめながらも相手の方へ身を乗り出し、めげずに畳み掛けて)
?……そうか?自分のことはよく分かんねえから、身内からの評価で測ってるんだが。
んー……俺には可愛い可愛くない図れねえし、あんま言いたくないから、似合ってる、とだけ言っとくわ。
(中から自分に向けて言ったのか独り言かわからない声が聞こえ、中に入ると真っ先に言葉を返し、相手から魅力と言われても、あまり自分に話しかけてくる者も、関わろうとさえしてこないヤツの方が多数の為、自分に厳しく接する身内の判断で己を測っているらしく、ピンとこず唸って悩んで。
そして相手の服装を見ると、男であるがゆえ、相手の生足の方に目がいってしまい、煩悩退散と相手から目を逸らし、似合ってるとだけ告げて)
当たり前だ、拭いされる分はやってやるさ。
…あんまり、キレイな女は好きじゃない。
釣り合わない気がするんだ、文字通り美女と野獣みたいで…な。
(自分から言った事を破る気はなく、当然相手から言われたからと言って破る気もさらさらなく、相手の涙を拭えるだけ殴ってやると言い。
相手が不服そうな感じになると、苦い顔をして淡々と語り出し、あまりにキレイな女は高嶺の花、釣り合う気もしなければ、振り向いてもらえる気もしないと言って)
えっ、桐島さんの身内の人ってそんなに厳しいの…?あ~でも、素敵な人が集まると基準が高くなっちゃうのかな…?
なにそれー、桐島さんが買ってきてくれたのに感想言いたくないってどーゆーことー?…でも似合ってるなら良かった。
(相手の身内の判定の厳しさに驚きつつ、脳内で勝手に相手の身内を想像し、相手にそっくりな人物が横一列にたくさん並んでいる映像を思い浮かべると、一人で納得したようにコクコクと頷きながら小声でブツブツ呟いて。コートを買ってきてくれたにも関わらずそれを着ている姿から目を凝らし、感想を言いたくないと言う相手を不思議に思い、おかしくて笑ってしまうものの、似合っていると告げられると満足したようで、ご機嫌な様子で鼻歌を歌いながら先程自分が纏っていた布団を手に取ると畳み始めて)
でも、桐島さんがそばに居てくれたら幸せだし、泣きたくなるような事なんて起きないと思うんだよねー。それはそれでいっか。
野獣!?誰が?──でも意外……ふふふっ。
(相手の答えに安心するものの、そもそも相手と一緒に居れば泣く事などないのではないかと思えてきて、幸せを感じつつクスリと笑って。野獣という言葉が聞こえてくると目を見開いて、話の流れ的に相手の事を言っているのだろうとは察しがつくものの、あまりの現実との差に衝撃を受けて呆然としてしまい、おそらく綺麗な女性から好意を向けられても相手が気付いていなかっただけではないかと予想しつつも、あまり考えすぎても悲しくなりそうなのであえて触れずに、綺麗な女性は好みではないという自分にとって都合の良い部分だけを拾って喜んでしまい、つい表情が緩んで)
基準がやべえんだよなぁ………俺は唯一ロクな結果出せてねえから、評価が低いのはしかたねえと思う、そもそも俺に人が寄り付かねえ時点でお察しだ。
スー…ハー………まぁ本音を言うならコートの裾めくりたいんだけど。
何してんだ?布団畳み始めて。
(勝手に自己完結した相手とはまた違った、真実を知っている故の想像でかなり陰鬱な顔をして基準どうこうの話をし、そして自分が何にも為せていない故に評価が低いと話すと、まぁ結局人望がないのだろうと言い。
そして相手が少し不服そうであった為、大きく深呼吸すると本音、セクハラじみた欲望を真っ直ぐぶつけて。
そして何事も無かったかのように相手の行動に疑問を抱き、聞いて)
幸せねえ………なーぁ、ずっと聞かずにほっといてたんだけどよぉ、お前さ、本当は人間じゃないんじゃないか?
(自分の野獣という発言に様々な予想と考えを立て、幸せそうな表情でゆるゆるする相手を冷ややかな目で見つめ、相手にずいっと急接近すると、胸の辺りを人差し指でツンツンと突き、核心を突いたような発言をして)
…?結果とか関係なくない?…えっと、うまく言えないんだけど、別に結果なんて出してなくても素敵な人は素敵だし…一緒に居ると落ち着いたり、安心したり、癒されたり──あたしは、魅力のある人って、誰かの心を動かせる人だと思うの。もちろん、何かの結果を出してる凄い人に心動かされる人もいると思うけど……あたしは桐島さんがいいし、一緒に居たいし…すき、だし……。
っ!?も、もうっ、からかわないでっ?
これ、あたしがずっと巻いてたし、山田さんの制服洗ってくるついでに一緒に洗おうと思って。
(相手の話に不思議そうにキョトンとし、何の結果の話をしているのかは分からないものの、自分の中では人の魅力に結果は関係ない、あったとしても誰かの心を動かす理由のひとつに過ぎないのではないかと、思ったことを正直に伝え、最後の方は恥ずかしそうに小声になりつつも、要は自分は相手の事を魅力的に思っていると言いたくて、もじもじと視線を逸らして。聞かされた感想に目を丸くして真っ赤になると、咄嗟に持っていた布団を離してコートの裾を両手で抑え、異議ありまくりの様子で相手を見つめ、相手が本気で自分の身体に興味があるとは思っておらず冗談だと解釈したようで、思いっきり動揺した様子で文句を述べ、家庭科室辺りに洗濯機くらいあるだろうと思い、洗濯をしに行くつもりだと答えて)
え、な、………ど、どうして…?
(相手の言葉に驚き目を見開くと、明らかに瞳が揺らぎ、無意識のうちに逃げるように軽く後退り、まともに相手の目を見ることが出来ずに顔を逸らしてしまい、何と答えようかと悩むあまり咄嗟に言葉が出て来ず、平然を装い引き攣った笑みを浮かべながら、何とか絞り出した声は震え、裏返り、質問に質問を返すような形となり)
…そりゃお前の尺度だ、まぁ、だけど。
…ありがとな、お前みたいな彼女を持って俺は幸せモンだよ。
揶揄ってないぞ、襲っていいなら獣らしく無作法に襲うし。
……白か。
山田の制服のことすっかり忘れたわ、じゃ、頼むわ。
……今は少し疲れててな。休みたい、何かあったら大声で呼べ、光の速さで駆けつけるからさ。
(正直に伝えられてもそれが己の常識、覆せない当然の物事、評価対象として染み付いているため相手の尺度として切り捨ててしまうものの、相手が自分のことを好きだと、そして自分がいいのだと、そう言うと、相手の頭を撫で撫でしてお礼をして。
文句を述べられると冗談だと思われたことに不服らしく、相手のコートの裾を摘んで本当めくり、いざとなれば襲うと言った後、下着の色を口に出して言うデリカシーの無さを発揮して)
お前が出てる小説を見たからだよ、桐島玲もお前の本名だ、
俺の実家にゃありとあらゆる書物が集められてる、禁忌目録さえも全部、んで、お前の出てた物語の内容はこうだ。
『本の中から現れた少女、桐島玲は記憶を失っており、自分が描かれている本を探している時、とある青年と出会い、そこから転機が訪れる』……だ。
…お前の知らない事実を俺は知ってる、だから、物語の最中で青年がやらなかったネタバラシを今した。
…当然だが、今すぐ選べ、レイ、俺の見つけた戻り方を実行して戻るか。
このままこの世界に留まり、俺と過ごすか。
(最後まで内緒にしておく手筈だったものの、彼の見たストーリーの枠組みにハマり、バッドエンドで終わってしまう為あえて今バラし、誰も知らないエンディングルートへ歩もうとしていて、全て看破してなお、相手を受け入れ、己と過ごさせるルートを用意しており、選択を迫って、彼もかなり焦り、急繕いのようで、断られたら、と心臓がバクバクと今にも破裂しそうで)
えへへ、でもそれで良くない?あたしにとっては桐島さんがいいって言ってるんだもん。
…ちょ、──っはぁ!?…こ、こういう事、他の女の子にもしてるの…!?
はーい。ささっと洗って、ぱぱっと帰って来るねー!────あ、あったー、洗濯機!やっと見つけた~。これが噂の…、えっと、このボタンかな?
(自分にとって相手が魅力的だと伝わればそれで良いようで、頭を撫でられて幸せそうに相手の手に擦り寄りながら、とろけきった笑顔を浮かべて。めくられた裾を慌てて押さえると、あたふたと動揺して中々言葉が出てこないものの、真っ赤な顔で相手を睨み、相手の言動を冗談だと誤解している経緯があるため、口をついて出たのは裾をめくられた事に対する抗議ではなく、他の女の子にもしているのかという少しズレた反論で。相手の言葉に元気よく返事し、布団と制服を手に図書室を出て、散々迷った挙句に家庭科室に辿り着き洗濯機を発見すると、珍しい物を眺めるようなキラキラとした眼差しではしゃいだ後、完全に勘を頼りに洗濯を始めて)
……っ!?…じ、じゃあ、全部知って──え、知ってて、それでも、戻らなくて良いって言ってるの…?
(告げられた内容に衝撃を受け、目を見開いたままあんぐりと固まってしまい、いつか相手に知られるような事があれば間違いなくもう相手の側には居られなくなるだろうと覚悟していたのに、自分がこの世界の人間ではないと既に相手は知っていたどころか、自分の知らない情報まで持っており、更に全て知っている上で今こうして、この世界に留まり側に居てくれる選択肢を提示されていることが信じられずに、自分の気持ちなんて1つしかないものの、混乱のあまりすぐに答えられずに、ただただ相手を見つめて)
ハイハイ、分かった分かった。
いやしねえし、お前にだけだよ、こんなことすんの。
じゃあなー。
(相手に何を言われようと、蕩けた相手の表情を見るとどうでも良くなってしまい、撫で撫でしながら適当な返事をして。
相手の焦って恥ずかしがる反応を見るとしばし笑っていたものの、相手が言うと即座に否定し、相手にだけしかしない、とこれまた少しズレた答えを出して。
ひらひらと手を振って椅子に腰掛け、背を預けてだらけ切って)
当たり前だ、俺はトゥルーでもバッドでもない、ハッピーエンドを望んでるんだ、後、物語に沿うとこのままお前は帰っちまう、それは、駄目だ…
(当然と言わんばかりにウム、と腕を組んで頷き、相手を見て微笑むと、片手を差し出して、物語のまま終わるのではなく、人生として始めたい、そんな願いを込めて言うものの、相手の反応を見てなお反応が怖く、差し出した手は震え、顔も逸らしていて)
な、なら良いけど──っいや、良くない!も、もうしないでよっ?
…あれ?何か変な音が……きゃあっ!?
(自分にだけだと言われて何処かホッとして、つい満更でもなさそうな返事をしてしまい、慌てて頬を染めてあたふたと撤回すると、コートの裾を押さえてもじもじしながらムッとした顔を相手に向けて、もうしないように釘を差して。初めての洗濯に気分が浮かれていたのも束の間、何を間違えたのか洗濯機から怪しげな音が鳴り始めたことに気がつくと、慌てた様子であらゆるボタンを押しまくり、その結果パン、という破裂音のような音と共に洗濯機が爆発し、その場で腰を抜かしてへたり込み)
……もしかしたら、あたしの考えは間違ってるのかもしれないし…、元の世界、本の中に戻れば、あたしは紛れもない〝人間〟で居られることも分かってるの。この世界に居ることは、人間であることを諦めなきゃいけないってことなのかもしれない、でも、でもあたし、……桐島さんのこと、好きになっちゃったから…。元の世界に戻ってもきっと、帰る場所も、やりたいことも、生きてる意味も何一つ分からなくて、生きてる心地がしなかったのに…この世界で桐島さんに逢えて、初めてずっと一緒に居たいって、そのために生きてたいって思えたの。初めて、あたしの存在が認められた気がしたから──、だから……、我儘なのは分かってるけど、これからも此処に居たい…此処に居て、いい……?
(相手の答えを聞くと瞳を潤ませ、震える声で言葉に詰まりながらも思っていることをそのまま打ち明け、本来であれば元いた本の世界に戻るのが好ましいのは承知の上で、それでもこの世界に留まりたいと告げると、逸らされているため横顔ではあるものの、相手の顔をしっかりと見据えて、こちらも相手の反応が怖くて、様子を伺うようにおそるおそる右手を伸ばし、躊躇いながらも差し出された手にそっと触れて)
善処致します。
_洗濯って、爆発するっけ……?
(釘を刺されて睨まれても、逆に微笑ましく善処しますと心にもない事を笑顔で言って。
爆発音がここまで聞こえることに顔をヒクつかせて今すぐ助けに向かいたい衝動に襲われるものの、自分の言った通り、何かあったら呼べ、つまり呼ばれなかったら知らぬ存ぜぬを貫くつもりらしく、結構スパルタで)
____重い!ぁぁ!思いがクソ重いな!
そう深く考えるな、我儘でもない、ただそれは人間として当然の答えだ、それで良いんだよ、当然の答えを出せたらオレはそれを拒む理由はない。
コレからも宜しく、レイ。
(思い詰めた顔でしばらく黙り込むと、強がりで大声、そして笑い、相手の繰り返した言葉に対し、人間として当然の願いであると真正面から否定し、触れられた手を思い切り強く握ると、緩め、掌に口付けをし、宜しくと言い)
善処致します。
_洗濯って、爆発するっけ……?
(釘を刺されて睨まれても、逆に微笑ましく善処しますと心にもない事を笑顔で言って。
爆発音がここまで聞こえることに顔をヒクつかせて今すぐ助けに向かいたい衝動に襲われるものの、自分の言った通り、何かあったら呼べ、つまり呼ばれなかったら知らぬ存ぜぬを貫くつもりらしく、結構スパルタで)
____重い!ぁぁ!思いがクソ重いな!
そう深く考えるな、我儘でもない、ただそれは人間として当然の答えだ、それで良いんだよ、当然の答えを出せたらオレはそれを拒む理由はない。
コレからも宜しく、レイ。
(思い詰めた顔でしばらく黙り込むと、強がりで大声、そして笑い、相手の繰り返した言葉に対し、人間として当然の願いであると真正面から否定し、触れられた手を思い切り強く握ると、緩め、掌に口付けをし、宜しくと言い)
笑ってるし…もぉ、ほんとに分かってるー?
───おまたせー!ちょっと時間かかっちゃった。
(反省してなさそうな相手の笑顔に文句を言うものの、惚れた弱みで結局はあっさりと許してしまい、言葉とは裏腹に抗議に勢いがなくなっていって。3回ほど爆発音を響かせた後、最終的に諦めて手洗いで洗濯を済ませると、乾くのを待つ間にせっせと爆発の名残を片付け、更衣室に制服を返しに行き、爆発のせいで泡だらけになった身体を偶然見つけたシャワー室を拝借して洗い流し、再び散々迷いながら図書室へと戻った時には数時間が過ぎていて、ホカホカと身体中から湯気を漂わせながら、達成感に満ち溢れてスッキリした表情で相手に声をかけて)
…うん、よろしく……!
そっか、あたし記憶がなかったんだ、……何も知らないけど、知らない方が良い気がするから……もう気にするのやめるね。
(相手の言葉と掌に降ってきた口付けに胸がドキドキと高鳴り、これ以上ないほど幸せそうにふわりと微笑むと、そんな幸せを噛み締めるように深く頷き、今になってようやく相手に告げられた真実が理解出来るようになると、自分の名前も本の内容も何一つ知らなかったことに納得したようにぽつりと呟き、元の世界の自分にこの先何が起こる予定だったかは知らないものの、何か良くない事が起きてそれに抗う為に自分は本から出てきたのではないかと、そんな予感はしており、何となく察しはつくものの、この世界に残ると決めた以上は気にしないことにすると告げて)
いやぁ、いつか抱くヤツにンなコト言われてもねえ、今すぐ抱いてやっても良いんだからな。
___悩ましいカッコして帰って来やがって、おかえり。
(爆弾発言を次々と口にし、結局講義もあまりしなくなった相手の唇に優しくキスをし、今はコレで勘弁してやる、と言わんばかりで。
ちょっと時間かかった、と言いつつ数時間経っている事には一切突っ込まず、風呂上がりのような湯気を漂わせる相手の姿を見て少し欲情してしまうものの、抑え、おかえり、と優しく言って)
忘れてていい、思い出さない方が幸せだし、それは正しい。
……あぁ、でも、本の題名だけは伝えておくぞ。
【スケルツォ・ソナタ】意味は…知らなくていいな、それだけだ。
(あまり気にしない、と言うものの、結局は題名だけは伝えておきたいと言う自分のエゴで教え、スケルツォは笑曲、ソナタは共鳴曲であり、意味は深く考えても分からないものの、相手と同じように笑って)
っな!何言って──ッ……!?
えへ、ただいま~。見て見て、結構上手に出来たよ。ほら、ふかふか~!
(相手の言葉に目を丸くして、顔から火が出そうなほど真っ赤になり、すぐさま言い返そうとするものの、突然のキスにドキッとときめいてしまい、恥ずかしさでうまく感情を言葉に出来ないまま、無言で口をパクパクさせて相手を見つめて。ニコニコと微笑みながらこちらも挨拶を返すと、相手に近寄り、苦労して洗った洗濯したての布団を嬉しそうに差し出して)
すけるつぉ…?うーん…?分からないけど、ありがと。ちゃんと覚えとく。
それにしても、ずっと探してた本が桐島さんの実家にあるなんて運命みたい…。
(探していた本の題名を伝えられると、その意味は分からなかったものの、ずっと自分が元いた本の題名さえ知らずにいたため、意味は分からなくてもどこかスッキリとした気持ちになり、じんわりと感動すら覚えて、しみじみと頷いて。少し前までは本を探すことだけが唯一の人生の目的だった自分にとって、その本が相手の実家に存在していたということにも運命を感じ、まだ驚きが隠せない様子で、事実をひとつひとつ噛み締めるように呟いて)
……オレの事嫌いか?
初めてにしちゃ上出来だ、布団は元あった場所に敷いてくれると助かるんだが……。
(相手の反応でわかり切っているものの、意地悪な事をし、そして相手の口から言って欲しい為、悲しい目をして目を伏せ、落ち込んでいるような雰囲気を出し、聞いて。
差し出された布団を掌でなぞり、いい感じ、と伝えると、今はあまり動きたくないらしく、相手に敷くのを頼んでみて)
あー…それな、俺にもよく分かんねえんだ。
実家の本は全て子供ん時読んで、新しいのが入ったらもれなく連絡入るんだが……お前が来る前にそれを見つけて、何故か今まで忘れてたんだよ。
(何故本が自分の家にあったのか、本を管理している者として忘れていたと言うのはあり得ず、連絡も、新しいのが入ったとも聞いていなかった、それに加え、今まで忘れていたと言う奇怪な事まで発生していた為、思い返すとまた悩み始めて)
そんな事ない!…嫌いじゃないよっ?
ねえねえ、敷くから桐島さん寝てみてっ?はいっ!
(悲しそうに見える相手の反応に焦りまくり、慌てて即否定するものの、この流れで好意を伝えるのは何となく恥ずかしく、嫌いじゃないとおそるおそる無難な答えを返しつつ、誤解は解けただろうかと相手の次の反応を伺うように、目を伏せている相手の顔を心配そうに覗き込んで。初めての洗濯の出来を褒められるとつい舞い上がってテンションが上がってしまい、相手の指示通りに布団を敷くと、敷いたばかりの布団をぽふぽふと叩き、早速一番に相手に寝てみて欲しくて、促すようにキラキラとした眼差しを相手に向けて)
えーっ!…実家の人がどこかから持ってきて桐島さんに伝えるの忘れてたとか──じゃなかったとしたら、本当に奇跡が起きたみたい…!
(普通であれば信じられないような相手の証言に驚き、相手以外の誰かが置いたのではないかと真っ先に思いついた可能性を挙げてみるものの、不思議そうに悩む相手の反応を見る限り可能性は薄いような気がして、であれば本当に奇跡が起き、相手と自分は運命的なもので繋がっているのではないかと本気で思い、しみじみと感動の声を漏らして)
…好きか嫌いかで言えば?
今眠くねえけど……
…イイカンジだな。今日暇だしゲームでもしよ……
(相手に覗き込まれるとフリがばれたくない為見られる直前に逸らし、プイッとそっぽを向いて、好きか嫌いかをハッキリさせようと、意地でも言わせるつもりで。
相手の行動が健気で胸打たれ、仕方なく布団に寝転がり、少し間を空けると、普段通りのだらけ具合になり、どこぞの任天堂Switchのゲーム機本体を引っ張って来ると寝転がりながらだらだらとゲームを始めて)
まぁあり得なくはねえけど……。
(相手の、奇跡が起きた、と言う言葉に対し少し心当たりがあるらしく、顔を背けて呟いて)
っ、す、好き!大好き!…好きだから、恥ずかしいの……桐島さんにしかドキドキしないもん…、
ふふっ、…うふふ、──ほんとに恋人みたい。
(相手にそっぽを向かれると、また傷付けてしまっただろうか、悲しませたり怒らせたりしてしまっただろうかとますます不安になり、チクリと胸が痛み、必死で身を乗り出し、勢いよく畳み掛けるように好きと繰り返すと、しょんぼりと勢いを失い、罪悪感や恥ずかしさでこちらも相手のことが見れなくなって俯いてしまい、頬を赤く染めながら先程文句を言ってしまった理由まで全て付け足して。自分が洗った布団に寝転がり、くつろいでいる相手の姿を見ると、恋人らしいこの状況に和み、この上なく幸せで、ゲームをしている相手の方を隠しきれない笑みを浮かべながらじーっと見つめ、ぽつりと感想を漏らして)
…大丈夫?良くない事とか思い出しちゃった?
(顔を背けた相手の様子は自分の知らない何かをまだ知っていそうで、深く尋ねるべきか一瞬迷うものの、この不思議な出来事に相手も関わっている以上はやはり心配で眉を下げ、相手の言葉に軽く首を傾げ、尋ね返して)
…そっか……ならいい、改めて好きって言われたらもう求めるモンはねえよ。
?……あっ!?ちょっ……死んだぁぁ!
…なんか言ったか?
(好きと連呼されると嬉しくなり、緩む表情を見られたくない為に少し顔を逸らし、相手の反応に対し罪悪感を感じ、求めるものはないと相手をギュッと抱き締めて。
相手の呟いた発言を書き直そうと相手の方を寝転びながら見るものの、その一瞬でゲーム中で死んだらしく、叫び少し落ち込んだ後、相手の方をしっかり見て何を言ったか聞き直し)
いや別に、何でもねえ。
(相手に勘違いされたと思い、即否定すると、相手の方を見て微笑んで相手の頬をツンツンと突き、歩き出して)
えへ、あたしも──あ、でも、これから桐島さんと一緒にもっと色んな事したいかも…、
な、なにも。邪魔しないように静かに見てるね!
(抱き締められると胸の鼓動が早くなり、思わずデレデレとにやけてしまいながら相手に身体を預け、相手さえ居てくれれば他には何も要らないと思い、自分もこれ以上求めるものはないと答えかけるものの、欲を言えば相手と一緒にこれからやってみたい事がたくさんあると思い直し、すぐに付け足すように訂正して。相手の叫び声で我に返ると、自分が漏らしてしまった呟きに勝手に恥ずかしくなり、首を左右に振りながら誤魔化して、それでも自分が洗った布団を使っている相手の姿は眺めていたくて、静かに見ると伝えるとその場に適当に座り、寝転がっている相手の方を幸せそうに微笑みながら見つめ続けて)
そっか。…本当に、これからも桐島さんの傍に居ていいんだよね、なんだか夢みたい…!
(相手の微笑みに安心したようにニッコリと笑顔を返すと、相手の後ろに続いて歩きながら、感慨深そうに嬉しさを口にして)
……色んなこと?
あっそう……。
…眠れ騎士アルトリウスゥゥゥゥ!
(相手が欲を出すのが珍しく、相手の言葉に首を傾げ、一旦相手を離し、いろんなこと、と言われると色々なことを想像し、ニヤリと1人で笑って。
誤魔化されるといつもなら追及するが、ゲームに集中したいため適当に納得し、ゲーム中の敵の名を叫び、ゲームに力入れて)
…夢物語であるのならいつか覚めるだろうが、俺とお前の関係は現実だ。
(夢見たいと言う単語に反応し、ぽつぽつと言葉を放ち、相手の手を握って)
そうそう。…えと、あ、あたし達ってほら、一応…?お付き合いしてる…って事でいいんだよね?だから──この格好じゃお出かけとかは難しいとしても、桐島さんと楽しいこといっぱいしたいの。
……………。
(首を傾げる相手に説明しようとするが、改めてお互いの関係を口に出して確認するのは照れくさく、万が一にも否定されてしまったら立ち直れそうにないと思いつつ、おそるおそる相手を見上げながらもじもじと頬を染め、はっきりしない様子で言葉を紡ぐものの、最後はニッコリと微笑んで、相手と楽しいことをいっぱいしたい、と素直に告げて。ゲームに熱中する相手の様子に思わず笑ってしまいそうになりつつも、先程静かに見ると宣言したため、口元を押さえながらにやけそうになるのを必死に堪え、ひたすら無言でじーっと相手の方を眺めて)
ふふ、…こーいうの、ラブラブって言うのかな?──って、何言ってるの、今のなし!
(相手の言葉にも握られた手にもポカポカとぬくもりを感じ、デレデレと緩みきった表情を浮かべ、すっかり気が緩みきってしまったせいか、自分の口からぽろりと飛び出した言葉に驚いて赤面し、慌てふためきながら、繋がれていない方の手をぶんぶんと振って自分の発言を取り消して)
そうかー……ま、そうだな。
俺もそう思ってたところだ、暇あったらお前に合う服でも買ってくるからさ、そん時は外に出よう。
勝てない………何が足りないんだ……。
(やはり無垢な相手の言葉に少しがっかりするものの表には出さず、相手の意見に同意し、楽しいこと、と言う節は思いつく限りたくさんあり、それより先に、相手と外へ出たいと言う純粋な願いが口に出て、そのまま話し切って。
また負けたらしく、普段とは全く違う顔で天井を寝転がりながら見上げ、悩み始めて。)
今のなし、が通じると思うか?
(相手のふとした発言を今のなしにするつもりはなく、相手の可愛い動作にまた惹かれ、嫌らしく笑うと相手のふるう手を取って)
ってことは、桐島さんが選んでくれるの?楽しみ!
くしゅん!…あ、ごめん──そんなに強いの?騎士なんとか?…えっなにこれ実写みたい…!
(相手と一緒に出かけるのはもちろん、自分に合う服を相手が選んでくれるのを想像するだけでワクワクとする気持ちが抑えられず、嬉しそうに声を弾ませ、瞳を輝かせて。湯冷めしたせいか、静かにするといいつつ盛大なくしゃみをしてしまい謝りながら、声を発したついでに相手の様子が気になるようでそっと近づいて不思議そうにゲーム画面を覗き込み、その画質の良さに目を丸くして)
っ、通じて欲しいなー、とは、思う…?
(手を取られて追求されると余計に恥ずかしくなり、この状況になっている時点で今のなしが通じているわけはないと思うものの、笑って誤魔化すことしか出来ず、ますます頬を赤く染めながら通じて欲しい、とぎこちなく答えて)
いや俺服のセンスねえし、黒白ばっかだし、それでも大丈夫なのか?
んー…?あー……《ダークソウルリマスター》っつーゲームでな、死にゲー、鬼畜ゲー、神ゲー、色んな評価がある。
R-18指定のゲームだ。
(自分から言った癖に、相手が嫌がるとばかり思っており、相手の反応が信じられないと言わんばかりに自分の服とそのセンスを卑下し、相手にダサい服を着させてしまうかも知れないけれど大丈夫なのか?と聞き。
深く考えていたため、相手の接近に気づかず、相手が声を漏らすとようやく反応し、相手の見ているゲームの説明をすると、最後の最後で結構ヤバげな発言を溢し)
ダメです、通じません。
(笑ってごまされるはずも無く、にっこりと恐ろしく笑うとさらに追求して)
黒白…パンダさんみたいで可愛いんじゃない?
へぇ~この暗くて不気味なのが──ええっ!?もっと早く言ってよー、あたしもう見ちゃったよ?フホーシンニューだっけ、それと合わせて逮捕されたらどーしよ…っていうか桐島さんもやっちゃダメなんじゃないのっ?
(自分のために相手が選んでくれるという点が重要であり、そもそもまともな洋服など着たこともないためセンスの善し悪しなど全く考えていないようで、ふわふわと浮かれた様子で呑気に返事をして。相手の説明を聞きながら画面を覗き続けるものの、R-18指定と聞くと慌てて画面から顔を背け、これまでの不法侵入に加えて更に犯罪を重ねてしまったと、頭を抱えて真っ青になりながら大袈裟に焦り始め、ふと顔を上げると相手の方を半目で訝しげに見つめて)
べ、別にそんなに深い意味がある発言じゃないっていうか、ついうっかりっていうか──そう、桐島さんのせいじゃないっ?
(相手の恐ろしい笑顔に思わず顔が引き攣ってしまい、恥ずかしすぎる自分の発言を何とか誤魔化そうと、深い意味はなかったとあたふたしながら伝え、元はと言えば幸せな状況にデレデレしてしまったことが原因だという発想に至ると、思い切って相手のせいということにして真っ赤な顔を逸らし)
…そうか?なら好きに選ぶぞ。
なぜ面白いモノをプレイするのに規制をするのか,俺にはわからないし,そもそもそんなルール誰も守ってねえよ,そんくらい神様も目え瞑ってくれるだろ。
(相手の浮かれた反応を見ると,いいんだろうなー,とこちらも浮かれた考えになり,再度聞き,もう拒否されても強引に押し付けるため,好きに選ぶと言って。
相手の反応に笑えてきて,そこまでの罪でも,そもそも罪かどうかも危うい行為で,そこまで慌てる相手がやはり面白く,呆れた様子ではあるが内心笑い,彼にしては珍しくルールを強引に破り,開き直って)
俺のせい?マジで言ってんのかお前。
(相手がどう言葉を返してくるか考えていたものの,まさかこちらのせいにしてくるとは思わず,思い切ったなー,と思いつつ,素っ頓狂な声で返答し)
桐島さんの好みの服を選んでくれるってことでしょ?すっごく気になる~。
ち、血とか、グサッとか、ザクッとかあるんじゃないの…?次のお誕生日まで我慢すればいいんだから、ね?やめようよー?桐島さんが逮捕されちゃったら……こ、困るもん。
(相手が好きに選ぶということは、それを着れば相手の好みの服装になれるのではないかと考えると、ますます表情がぱあっと明るくなり、ふにゃりと緩みきった顔で喜びながら相手の好みを気にして。開き直っている相手とは対照的に、本気で焦っている様子でゲームの内容を尋ねつつ、想像しただけで怖くなり両手で自分の目を覆うと、おそるおそる様子を伺うように指の隙間からチラリと相手を見つめ、心配そうに今はやめるよう提案して)
う"……だ、だって、……幸せだなーって思って、ちょ、ちょっとウキウキしちゃってたら、勝手に、間違っちゃったっていうか──え、えと、ラブラブに見えてたらいいなって思っちゃったんだもん!だから桐島さんのせい!
(咄嗟に出てしまった言葉を取り消そうにも今更取り消せなくなり、気まずそうに顔を逸らしたまま言葉に詰まるものの、上手な言い訳も思いつかないため、このまま勢いで押し切るしかないと思い、真っ赤な顔で相手の方に向き直ると、恥ずかしさに潤んだ瞳で、その場しのぎの滅茶苦茶な言葉を吐き出して)
俺フード付きのコートが安定して着てるしデザインも気に入ってるからなー…私服って何だっけ。
大丈夫だって,そもそもそんな大きい罪じゃないんだ,咎められないし,皆黙って見逃してる,悪いことじゃない。
(いつも制服とコートで過ごしているため,私服が制服であり,そもそも適当なシャツを持っておらず,私服と言う概念を忘れていて,相手に対し服を選ぶ事が今の自分にできるのか,とさらに疑問が浮かびつつも,直感と啓示に頼ろうと丸投げて。
相手の反応がまた面白いものの,これ以上心配されると心が痛むため,安心させるためにそんなに大きい罪じゃない,と,相手が困ると言う事をどうにか消してやろうとし)
……言っとくが,俺は勢いなんかで押し切られねえよ?
ラブラブで何が悪いんだ,俺はお前が好きだし,お前も俺が好きじゃねえのか?
(勢い任せに吐き出された言葉だと判断し,相手の思惑をへし折り,相手に詰め寄ると問うて)
桐島さんが選んでくれた服を着て、桐島さんとお出かけ…えへへ。
…そうなの…?…不法侵入の方が罪大きい…?
(相手の疑問などつゆ知らず、相手が自分のために服を選んでくれて、更にそれを着て一緒に出かけられるのだと思うと嬉しくてたまらなくて、相手の反応などお構いなしに想像を膨らませてデレデレとにやけてしまって。咎められるような罪ではないと聞くと不思議そうにキョトンとし、ゆっくりと両目を覆っていた手を退かすと、まだ罪の大きさや罰せられる基準をいまいち理解していないようで、首を傾げつつ純粋な瞳で相手を見つめ、覚えたての言葉である不法侵入と比較してどちらが罪が重いかと尋ねてみて)
…ぅ、…ごめんなさい…す、…好きだし、悪くもないけど……は、恥ずかしいから、心の中にしまっておこうと思って…、でも、間違って言っちゃって……、
(問い詰められると反論することも出来ず、観念したように一瞬で勢いを失ってもじもじと俯くと、相手のことが好きなのは事実だしラブラブになりたいと思うのも悪いとは思っていないが、そんな願望を口にするのは恥ずかしくて誤魔化そうとしてしまったと、気まずそうに辿々しくどもりながら全て正直に白状して)
……コーディネーターにでも頼むかなぁ……いやでもそれはなんか違うなぁ……。
不法侵入の方が重いに決まってるだろうが。
ってお前わかんねえか……ま,不法侵入の方がまずいぞ。
(自分じゃロクに選べないため,自分よりハイセンスな人に頼もうかと思案したものの,相手は自分の選んだ服を着たいと言うのは大体理解したため,それは違うとさらに悩みこんで。
相手の純粋な瞳に現実を教え込み,罪を重さを知らせるためにも伝えるものの,分からないか,と思うと,簡単に伝えて)
わかってるよ,正直俺も結構恥ずかしいし,ま,お前の前で恥ずかしがってウジウジするよかマシだ。
(相手が本心のままこちらのせいにするとは思えず,勢いで間違えた,と適当に思っていた為流し,自分も相手の前には出さないし感情も出さないが,恥ずかしいと伝えるものの,ウジウジしたくはないとハッキリ伝えて)
コーディネーター?それだぁれ…?
そっか…難しい言葉もこれからちゃんと勉強するね。記憶喪失だからなんて言い訳、できるわけないし…、
(コーディネーターという言葉の響きから、また神様の類か何かだと見当違いな予想をするものの、話の流れからして相手以外の人に服を選んでもらおうとしているのではないかと何となく伝わってきて、悲しげに眉を下げながら、あからさまに落ち込んだトーンで尋ねて。自分の犯した罪の重さに後ろめたそうにしょんぼりしつつ、この世界で生きていくと決めたからには知らなかったという言い訳は通用しないと思い、真っ直ぐな瞳で相手を見据えると、これから学んでいくと誓って)
…え、桐島さんも…?そうなんだ…いつも余裕そうに見えたから、あたしだけ恥ずかしいのかと思ってた。
(自分の目には相手の姿が堂々としているように映っていた為、告げられた言葉にキョトンと目を丸くして驚き、告げられた内容は意外ではあるものの、恥ずかしいのは自分だけではないと知ると安心する気持ちもあり、表情もこころなしか穏やかになって)
一般的には服を選んでくれる人,合った服を選んでくれる人を指す、だが,俺の知るコーディネーターは、例えるならば、愛すべきバカども、だ。
言い訳ぐらいしてもいいんだぞ、勉強はしないといけないけどな。
(相手に尋ねられると素直に理由を教え,結局は自分で選ぶとは思っているものの,全てを選ぶのはさすがに厳しい為、アドバイス程度はしてもらおうかと考えており,しかし説明をすると、自分の知るコーディネーターにロクな奴がいない事を思い出したのか、苦い顔をして。
どんな理由であれ、言い訳するのは別に構わないが、それを理由にして逃げるのは嫌いらしく,勉強はしなきゃいけないと言い)
余裕じゃない時もある,俺は神様じゃないんだ。
(本物を知っているが故に、自分はただの1人の人間であり,今は相手の大切な人物,相手を安心させて,どうにか幸せにしたい,そう考え,正直余裕など微塵もなく)
へえ…もしかして、そのコーディネーターさん達も矢とか射ってきたりするの?
んふふ、桐島さん優しい。これからいっぱい勉強するし、だからおすすめの本とかあったら教えてくれる?あたしにも分かるようなので!
(コーディネーターは人名ではなかったようで、相手の説明に興味深そうにコクコクと頷きながら耳を傾け、しかし結局相手の知り合いと聞いて思い浮かぶのは突然空から矢を放ってきた例の師匠のみで、その印象が強く心に残っているらしく、自分の服がよく分からない神様によって選ばれてしまうのではないかとやはり心配になり、不安そうに恐る恐る問い掛けて。言い訳をしても良いと言われると、相手の優しさに思わず表情が緩んでしまうものの、言い訳をするのは自分自身が許せず、相手に迷惑をかけないためにももっと色んなことが知りたくて、勉強するのに良い本があれば教えて欲しいと、軽く首を傾げながら聞いてみて)
──そうだよね。あたし、自分に余裕がなかったから、桐島さんがすごく余裕あるように見えてたけど…そんなことなくて、桐島さんもあたしと一緒なんだよね。なんか嬉しい……恥ずかしいけど、桐島さんのこともっと知りたい。これから、もっともっと、桐島さんのこと、隣でちゃんと見ていたい…もっと、桐島さんとラブラブになりたいから。
(相手の言葉で我に返ったように、心がスッと晴れていくような感覚がして、これまでは相手の傍にいてドキドキと緊張するあまり、相手の余裕の無さにも気がつけず、相手のことを近くで見ているようで実は何も見れていなかったのだと気付かされると、少し申し訳なさそうにしつつ、それ以上に相手の新たな一面を知れたことが嬉しくて、恥ずかしさに耐えながら相手の瞳を真っ直ぐに見つめ、これからはちゃんと相手のことを見ていくと伝えて)
…あのな玲,そのコーディネーターは人間で,普通の知り合いだ,ウチで働いてるんだよ,あと,矢を撃ちかましてくるのはケイローン師匠ぐらいだ,俺が指す知り合いは普通の人間,OK?
優しいっつうか,それは仕方ねえことだ,言い訳しない人間の方が珍しい。
んー,まあ,探すだけ探してお前に貸す。
(相手が色々と勘違いしているため,仕方ないと思いつつそれを正し,自分の知る普通の人間を相手に教えてやり,とりあえず普通の人間は矢を撃たないと教えておいて。
相手は自分のことを優しいと言うが,仕方のないことをそこまで責め立てるのは嫌で,許すのも大切だと思っていて。
そして相手に合う本を探すのは大変だろうと思いつつ、探すだけ探すと伝えて)
俺も、正直お前のことはよく知ってるけど,本物のお前をよく知りたい、そして言う通り、ラブラブになりたい、
……ま,恋愛のABCはキッチリ守らなきゃな。
(改めて近場にあった時計を眺めるとかなり遅く、少し眠くなっているのか思考が鈍く、いつものように言葉をぺらぺらと返すことはせず、同じ意思を抱いていた相手に同意し,相手を抱きしめて)
じゃあ、あのお師匠様が特別だったんだね。…でも、桐島さんの実家って本もいっぱいあって、お洋服選んでくれる人とも知り合いなんでしょ?そんなに凄いのも普通なの?
やった、ありがとー!たくさん本読んで、桐島さんの彼女にふさわしく……あ、やっぱり、グサッとかザクッとか、そういうのも勉強した方がいい?
(師匠以外は普通の人間と聞いて安心したようにホッと息を吐きつつも、実家にたくさん本があったり、コーディネーターの知り合いが家で働いているという相手のことを凄いと感じてしまい、キラキラと瞳を輝かせながら、自分にとっては他に比較対象がなく基準が分からないので、相手の凄さは普通なのかと不思議そうに尋ねてみて。相手の彼女として恥ずかしくないように勉強しようと両手の拳を握りしめて意欲に燃え、ふと先程のゲームの内容を思い出すと、相手はそういうものが好きなのかと軽く首を傾げ、彼女たるもの流血等への耐性もあった方が良いのかと確認して)
──ねぇ、桐島さん。今言うの、ダメかも知れないけど……桐島さんがイヤじゃなかったら、名前で呼んでも、いい…?
(抱き締められると嬉しそうに、とても素直に相手にすりすりと擦り寄って、今にも心臓が飛び出そうなくらい恥ずかしいものの、相手も同じ気持ちだと思うと今までとは違う安心感も同時に生まれ、相手が少し眠そうなこの状況で言うのはずるいかもしれないと思いつつ、ラブラブになりたいと言ってくれた言葉を信じ、勇気をだして名前で呼びたいと本心を伝えてみるものの、その語尾は自信なさげにすーっと消えていき、答えを待つのも緊張し、無意識に相手の制服をきゅっと握っていて)
あの人は特別だよ,人間じゃないんだから。
…それは違うな,俺の家が少し特別なんだ。
お前はお前らしくあれ,無理に俺に合わせる必要なんてない。
(あの人のことを特別と言われると少し嬉しいようで,薄く微笑んで人間じゃないと言い,しかしそれはいいことのようで。
相手の常識を狂わす訳にはいけないから,しっかり自分も普通とは違う家に住んでいたとしっかり訂正し,自分は相手に常識を教えることができるのだろうかと少し不安になり。
相手が勉強意欲に燃えていると相手を放っておくつもりだったが,相手が無理にこちらに合わせる種の発言をしたため,相手らしくいて欲しいと言って)
…俺,自分の三郎って名前嫌いなんだよ,だから……悪いんだが,桐島って呼んでくれると,嬉しい。
(相手に擦り寄られると眠たくなって瞼を落としたくなるものの,せめて会話を終えなければと意識をつなぎ,相手の言葉に申し訳なさそうに理由をつけて,桐島と,名前じゃなくて名字で呼んでくれた方が嬉しいと告げて)
人間じゃないのが特別で、桐島さんのお家も特別かー…なんか、特別って何なのか分からなくなりそうだね。
あたしらしく…何があたしらしいのかも、まだ分かんないけど──いろいろ勉強すれば分かるようになるのかな。分からないけど、とにかく頑張ろ!
(相手と出会ってから今までの僅かな間にも特別なことが起こりすぎていて、考えるうちに何が特別で何が普通なのかよく分からなくなってしまったようで、それも勉強不足のせいなのかとぼんやり思いつつ、困ったように笑って。自分らしくと言われてもあまりピンと来ずに首を捻り、分からないことだらけの自分から変わりたいと強く思い、前向きに輝く瞳で相手を見つめて微笑んで)
えー!そうなんだ?どうして…って、やっぱり眠そう。分かった、桐島さんが言うならそうするね。
……名字同じだし、結婚したらどうするんだろ……いや、しない!しないけどっ!!
(名前が嫌いだと聴けば目を丸くして、自然と理由が気になってしまい尋ねかけるものの、いよいよ相手が眠そうなので思いとどまり、素直に引き下がって。相手がまともに会話できそうな状態ではないと判断すると、油断のせいか考えている内容が全て口に出ていて、素朴な疑問と共に勝手に未来を想像して勝手に焦り照れながら、眠そうな相手の腕の中で1人百面相を繰り広げて)
特別ってのはお前の尺度で測るといい,結局,俺が何言おうと決めるのはお前で,俺に権限はないんだからな。
じゃあ今のままだ,なりたい自分がないなら現状維持,これ当然な,だがお前は,常識を知っている自分になりたいんだろ?なら勉強だ,現状維持なんざ満たされてる奴のすることだよ。
(相手に特別と自分にとっての特別は違うと今更諭し,自分にとっては相手が特別な存在だが,それは恥ずかしいため言わず,相手の特別な尺度を決めるのは自分ではないと言って。
相手になりたい自分がない,又は自分らしさがわからないというなら現状維持だと言うものの,相手はきっと変わる,変わらないといけないと思っている,と理解すると,結局は勉強という答えに行きついて。)
あー…ねみい……
…ありがとな,あとお前,このまま行くと俺とゴールイン…だ,から…な…。
(相手が素直に引き下がってくれると答える必要もなくなり,眠いと素直に口にすると,ゆらゆらとした足並みで相手から離れ,自分の部屋,図書室へ歩き出し。
そして,相手が否定する未来は、このままならば現実になると言っておき,言葉も言う気力も失うと,半分寝ながら歩いて行き)
あたしの尺度…だったら、今特別なのは桐島さんだけかな。
……あたしらしいかどうかは分からないけど、なりたいものなら1つだけあるよ。ちゃんと勉強して、色んなことが分かるようになって、言っても許されるかなって思う時が来たら──そうなるために頑張るの。
(自分の尺度で決めてもいいとすれば、これまで生きてきて自ら特別だと思えたのは相手のことだけで、その唯一の特別が大切で誇らしく、今は他の特別は分からなくてもいいのかも知れないとさえ思えてきて、清々しく嬉しそうな笑顔で特別なのは相手だけと即答して。自分らしさは分からないものの、なりたいもの、憧れている姿は心の中に確かにあって、それを叶えるために知識や常識を学びたいのだと少し頬を赤らめながら伝えるものの、未熟である今そのなりたい姿を口にするのは躊躇われて、真っ直ぐに相手を見据えたまま、ただ頑張るとだけ明るく告げて微笑んで)
ふぇっ!?…桐島さん、ね、寝惚けてる…?転ばないでね…?
(相手の言葉に顔を真っ赤にして目を見開き、思わず間の抜けた声を上げてしまうものの、相手の寝惚けているような様子を見ると本気にして良いのか分からず、あたふたと戸惑いながら1人で勝手に照れていて。色々と衝撃的なことが起きた直後ですぐに眠れる気はしないものの、とりあえず心配そうに声をかけながら、図書館へと向かう相手の後ろに着いていって)
…ありがとな,できれば特別だと思った点も言ってもらえると嬉しいんだが……。
いいじゃねえか,応援するぜ?手伝ってもやる。
でも…言っても許されるかな,って,何を言うんだ?俺あんまそう言うのに詳しくねえんだ。
(相手に特別と言われると今まで一度も言われたことがなかったことゆえ,嬉しくなってしまい,自分のほおを人差し指で掻きながら,できればそう言う点も言って欲しいなー,とかなり面倒なことを要求して。
相手の憧れる姿、なりたい姿はあまりわからず、とりあえず,何であろうと相手に協力し,助力し,応援する、しかし、相手が言った、言っても許されるかなって思う時、があまり理解できず、首を傾げながら聞いて)
…ヴぁー……寝る…。
(相手のことなど眼中にないようにただただ,寝たいと言う欲望に従い,図書室まで歩き続けると,中に入り,自分の部屋の扉を開けると,すぐに布団に倒れ込み,目の周りを掻いて眠り始め,相手がくると無意識に手を伸ばして)
…笑わないでね?ありすぎて困っちゃうんだけど──不法侵入したあたしを追い出さなかったのは桐島さんだけだし、そんな悪いことしたあたしを心配してくれたのも桐島さんだけ。桐島さんだって寒いのにあたしにコートをかけてくれたり、それどころか此処に居させてくれて、名前まで付けてくれて…結果的には元々本名だったのかもしれないけど、あたしにとっては桐島さんがくれた特別な名前なの。優しいってこういうのを言うんだって初めて知ったし、誰かと居てこんなにポカポカ温かい気持ちになるのも初めてだし、こんなにドキドキするのも初めて…ずっと桐島さんと一緒に居たいって、桐島さんと同じ世界で生きてたいって、自分から何かを望んだのも全部初めてで、全部特別。…つ、伝わった…?
き、気持ちは嬉しいけどそれは言えない!勉強して言えるようになったら、ちゃんと言うから。
(改めて相手への気持ちを言葉にして説明するのはかなり恥ずかしく、頬を染めると少し困ったように眉を下げて言い淀むものの、結局相手のお願いには弱く、これで少しでも相手への感謝や相手を大切に想う気持ちが伝わるならばと意を決して、多少言葉に詰まりながらも恥ずかしさからは逃げず、瞳を逸らすこともせず、真っ直ぐに相手を見つめ、真っ直ぐな想いをひとつひとつ噛み締めるように伝えていき、言い終わるともじもじと気まずそうに視線を逸らして、伝わったかと自信なさげに問いかけて。相手の協力は嬉しいものの、何を言うのかと尋ねられると急に慌て始め、あたふたと照れながら誤魔化すように赤い顔を左右に振り、今は言えないけれどいつか言うと答えて)
疲れちゃったよね、連れ回してごめんね。
(相手に続いて布団の側まで来ると、まだ眠くはないため、相手が布団に入ったのを見届けてからすぐにその場を離れるつもりだったものの、伸ばされた手に気がつくと放っておく気には到底なれず、伸ばされた手を優しく握って布団の隣に座り込み、相手の寝顔を愛しそうに目を細めて見つめながら、眠っている相手にそっと声をかけ)
____伝わった,伝わったよ,マジで。
だからそれ以上言うな…こっちから求めて何だが……
すげえ恥ずかしい。
ならちゃんと言えよ,お前今言ったからな,条件整って,言えるようになったら絶対言えよ?
(相手のが自分が行ってきたことを言い,ウンウンと初めは思い返すように感慨深く頷くものの,黙らず続けて何度も言われると,だんだん恥ずかしくなり,ついに顔を赤くして相手から顔を逸らし,恥ずかしいからやめて,とまるで相手のようなことを言って。
追求して吐かせるような事はせず,相手が約束したのだからその約束は守らせ,言わせる,その時まで楽しみまで待つ,そう言う心意気で相手に念を押して)
……スー…スー…。
(相手に手を握られ,声をかけられると寝息を漏らし,寝返りを打つと寝相が悪いらしく、相手の体の方へ体を動かして)
な、なにそれっ、あ、あたしだって恥ずかしかったけど、桐島さんが言ってっていうから言ったのに……うぅ、
…う、うん、もちろん……言えるようになったらね。
(恥ずかしいと言われるとこちらも余計に恥ずかしくなり、相手が言って欲しそうだったから言ったのだと、少し不服そうにムスッと頬を膨らませつつ真っ赤な顔で反論し、しかし本気で怒っている訳ではなく明らかな照れ隠しで、相手を責めたい訳でもないため言葉に詰まり、困ったように小さく唸りながら足元に視線を落とすと、赤く染まった顔を両手で覆い隠して。念押しされるとますます頬を赤らめて恥ずかしそうに勢いを失うものの、約束は守るつもりでいるようで、相手の言葉にコクコクと何度も頷いて)
っ……風邪、ひいちゃうよ?
(相手の体が動く度にドキッとして、ぴくりと肩を弾ませ、寝返りによってずれた布団を相手に掛け直しながら、ときめく気持ちを誤魔化すように、相手に聞こえているはずはないと知りつつ半分独り言のように話しかけて)
だってそこまで言うとは思わねえじゃん……
そこまで俺のこと大切に思って,そんで言うやつ,お前が初めてだしよ……
おう,期待してるぜ?
(相手が不服そうな顔をし,顔を覆い隠すと相手の態度を窺うように,相手が言っていた,自分を褒めるような,いいところを上げるような言い方をするのが相手だけであり,だからこそ言って欲しいが,恥ずかしかったようで。
何を言うかは知らないが,相手が決心して何かを言うようならば,こちらも期待が持てると言葉を返して)
……zzz…。
(布団を掛けられると完全に眠りに落ち…る前に,相手が握っている自分の手,それを思いっきり引き,相手を抱き枕のように抱きしめると,そのまま完全に眠ってしまって。)
…それを言うなら、ここまであたしに優しくしてくれて、大切にしてくれて──あたしの存在を認めてくれたの、桐島さんが初めてだよ…?
き、期待…う、うん、あ、でも、あんまり期待とかはしなくていいっていうか、うん。あの。あ、あたしがなりたいものとか、そんなに興味ないでしょっ?
(そこまで言うとは思わないと言われると、自分がいかに相手の優しさに救われたか、いかに相手に感謝しているか、いかに相手を大切に想っているかが、まだまだ伝わっていないような気がしてしまい、顔を覆っていた手を退けると赤く色づいた顔で相手を見上げ、鋭いんだか鈍いんだかよく分からない相手に、言われた言葉と同じような言葉を返して。自分の憧れに対して、何だかどんどんハードルが上がっていくようだと気がつくと、先程まで頷いていた首を今度は左右に何度も振り始め、大袈裟に両手のジェスチャーも加えて慌てて誤魔化すようにあれこれと言葉を並べながら、過剰に期待されない方向に持っていこうとして)
…っ!?!?!?!?
(ふいに手を引かれると目を見開き、抵抗する術もなくあっさりと相手の腕の中に収まり、距離の近さにバクバクと心臓の音が煩くなった上、綺麗な相手の寝顔がすぐ傍にあって、今となっては起きている時もベタ惚れではあるものの、初めてときめいたのが寝顔ということもあり相手の寝顔にはより一層弱いようで、ときめきと緊張に思考停止し、真っ赤になって固まって)
恥ずいからマジでやめて……伝わった,伝わったから…。
いやするだろ,気になるし,だってお前が何かに興味抱いて,勉強して,憧れに追いつこうとしてるようなモンだ,楽しみだし,興味ある。
(相手が再度,しかも赤くなっている顔を露わにして真正面から褒められる,自分の善行を挙げられるような真似をされると,やはりめちゃくちゃ恥ずかしく,片手で顔を覆い,もう片方の手で相手に掌を向け,振るともういいと言った感じで言い。
ハードルを上げている自覚がないままガンガンハードルを上げていき,期待している,楽しみ,興味ある,と相手の言葉を全て否定し,笑顔で言い切って)
zzz……zzz…。
(良い抱き枕を得たようで,相手に手と足を絡ませてガッチリと固定し,そのまま幸せそうな顔で眠り続け,相手の感情などつゆ知らず)
じゃあもう言わないようにしよ、あたしも恥ずかしいし…慣れないことしちゃダメだよね。こういうの向いてないもん。
ほ、ほんとに…あたしにとっては大切な事だけど、桐島さんがどう思うかは分かんないし…、…嫌がるかも、しれないし。──とっ、とにかくっ、まだまだ全然、おこがましいっていうか、ただのあたしの憧れっていうか、これから頑張るところっていうか…!
(相手が恥ずかしそうにすればするほど自分の恥ずかしさも増していき、相手がやめて欲しそうな上に自分も恥ずかしさに耐えられそうにないとなれば、相手への真っ直ぐすぎる想いは心の中に留めておくべきだったのだろうかと少し後悔し、しょんぼりと勢いを失いつつ、赤く染まった顔を再び相手から逸らし、視線を下に落として。相手から紡がれる言葉を聞く度にハードルが上がっていくようで、あわあわと更に慌てて身振り手振りも大きくなっていき、自分にとっては大切な事だが相手にとってそうとは限らないと伝えるものの、途中からはうまく頭も回らず、ところどころ声が裏返り、言い訳も辿々しくなってしまい)
む、無理、近い……くっつきすぎだよぉ…!
(相手に密着したような体勢になると、もう頭の中は真っ白で、相手を起こしたいのか起こしたくないのか、離れたいのか離れたくないのかも分からず、助けを求めるようにぎゅっと相手の服を握りしめながらヒソヒソと小声で泣き言を言い、相手とくっついているせいなのか布団のせいなのか顔中が熱くてたまらず、火が出そうなほど真っ赤になったまま為す術もなくじっとしていて)
そーそー、慣れてないことはすべきじゃないからネ!
ま、俺お前が言うほど優しくも、良い奴でもないから、そこんとこヨロシク。
んなわけねえだろ、憧れで何が悪い、憧れて何が悪い?その憧れを蹴落とそうと奔走するのが人間だ、努力できるお前はだいぶすげえのさ。
(相手が言わないようにすると言い、それを聞くと安心して、赤くなっていた顔が直ぐに戻り、正直ドストレートな好意をぶつけるのは言いものの、ぶつけられるのは苦手らしくほっとして、そして何故か自分を卑下するような発言をして。
やはり相手の言葉を真正面から叩き切って、たどたどしい言い訳を重ねる相手とは違く、まっすぐ、世辞などなく言いきって)
……
(相手が小さい声で泣き言を言っても聞くはずがなく、いつもの彼だったら絶対にしないであろう、甘えるように、相手の胸に顔を擦り寄せ、眠り続けて)
えー?う~ん…、どうしてそう思うの?良い人じゃない桐島さんなんて全然想像できないよ?
……そんな風に言ってくれるの、なんか嬉しい。いつか絶対叶えたいし、毎日ちゃんと勉強しなきゃね。
(自分からしてみれば相手はこれ以上ないほど優しく見える為、反論したそうに納得のいかない微妙な表情を浮かべるものの、ストレートに褒めるようなことを言えばまた嫌がられてしまうかもしれないと思い、どう返そうかと少し悩んだ末に不思議そうに首を傾げ、なぜ相手が必要以上に卑下するような発言をするのかと尋ねてみて。真っ直ぐすぎる相手の言葉を前にすれば、憧れを前にしてたじろいでいるのも馬鹿らしく思えてきて、何かが吹っ切れたようにスッキリとした晴れやかな笑みを浮かべると、告げられた言葉を素直に受け入れて頷き、相手の期待を無下にしない為にもしっかり努力しようと心に誓って)
っ……ど、どうしよ……、
(離してもらえる気配がないどころか胸に擦り寄ってくる相手のことをどんどん意識してしまい、心臓は飛び出そうなほど煩く音を立てて暴れていて、こんな状態で眠れるはずもなく、顔に集まった熱も冷めてはくれずに頬は赤みを増すばかりで、このままでは心臓が持ちそうにないと思い、困ったように呟くと、とりあえず落ち着くために布団から脱出しようと、相手を起こさない程度にモゾモゾと身じろいで)
…じゃあお前は、人殺しを優しいと言えるか?
努力は人を裏切らない!頑張りゃ叶う、とは言わねえが、それなりに近付くのは事実だ、頑張れ。
(相手は自分を善人だと思っていたため今まで一切何も言わず、相手に優しく接していたものの、一度ぐらい真実を話してもいいだろうと思い、例えの話のように1度聞いてみて。
晴れやかな笑みを見ると安心し、胸を張って叫ぶ、そして相手のあこがれへの努力は裏切らないと、そして応援して。)
う……ぐ…。
(相手を抱きしめてよく眠っていたため、例え起こされないように相手が動いていたとしても少しは反応し、離れていく相手の服を掴んで)
へ?人殺し?…何の話??
んふふ、桐島さんに頑張れって言われると、もっと頑張りたくなっちゃう。不思議!
(優しい優しくないの話から突然出てきた人殺しという言葉は脈絡がないように思えて、相手の発言の意味も意図も理解出来ず、驚くというよりは目をぱちくりさせたままキョトンと無反応に固まって。相手の言葉ひとつひとつに胸が暖かくなって勇気づけられ、相手の言葉には何か目に見えない不思議な魅力があるように思えて、応援してもらえるとニコニコと嬉しそうに微笑んで)
……離れられない。
(しっかりと相手にホールドされている上に服を掴まれてしまえば、相手から離れることは完全に出来なくなり、寝るわけでもなく何かが出来るわけでもなく、真っ赤な顔でドキドキと鼓動を高鳴らせたまま、相手の腕の中でただただじっとするしかなく)
…いや、もしも、もしもの話だ、お前の見えない側面で、俺が人を殺してたり、優しくなかったら、俺は自分のことを優しくないって言う、お前は、どうなんだ?
言霊じゃぁあるまいし、お前のやる気次第だぞ。
(あまり関連性もなく、そして明らかに話の並びがおかしいものの、さも当然のように、相手に暗い顔をしながら問いかけて。
どうして自分が言ったら頑張りたくなるのか、よく分からないが、心当たりがあるのは言霊、故に挙げるものの、結局はやる気次第で。)
…。
(相手が動くことも無くなり、今度こそ本当に安心仕切って、相手の胸に寝息を当てながら眠って)
あたしには、あたしに見えてる桐島さんしか分からないから、あたしにとって、あたしから見た桐島さんは優しいってことしか言えないけど……もし、あたしの知らないところで桐島さんが優しくなかったとしても、あたしに優しくしてくれた事実は変わらないし、無かったことにもならないから──まずは、何かそうなっちゃった理由があるはずって考えるかな。あたしは桐島さんのこと信じてるし、理由もなく、好き好んで優しくないことをする人だとは思ってないもん。
言霊…?よく分かんないけど、でも桐島さんが応援してくれてるって思った方が、やる気も出るの。
(相手のもしも話の意図も、暗そうな顔の理由も分からないものの、どうなのか問い掛けられれば真面目に考えつつもあまり悩むことはなく、もし相手が自分の知らないところで優しくなかったとしても、自分に優しくしてくれた事実は変わらないため、信じているときっぱり言い切って。やる気次第と言われたものの、そのやる気も相手が応援してくれた方が増すため、やはり相手の言葉で前向きになれるという点は揺るがないようで、嬉しそうに微笑んだまま、相手のおかげでやる気が出ると伝えて)
……お、起きませんよーに。
(相手の腕から逃れようとするのは諦めたとはいえ、こんなに密着してドキドキする状況で眠れる訳もなく、至近距離で感じる相手のぬくもりや香りや寝息に全く平常心ではいられず、とにかく相手が起きてしまわないことをひたすら祈りながら大人しくしていて)
…だよな…あーぁ……女の子相手に何言ってんだ俺……。
悪い、忘れてくれ、バカの戯言だ、お前みたいな奴が嘘を吐くワケねえもんな。
そっか、俺の言葉でやる気が出るならそりゃいい、いくらでも言ってやるよ。
(何も知らない相手に何を言って、何を聞いているのだろうと頭を抑え、当然のこと、そして迷いなど一切なく言い切られると相手を少しでも疑ってしまった自分が馬鹿らしく思えてきて、相手のような純粋な女の子が嘘など吐くわけなどないと苦笑いしながら言って。
嬉しそうに微笑んで、自分の一声でやる気が出るならいくらでも言うと告げて。)
……あ?…ん?
(朝まで相手を抱きしめて眠り続けていると、柔らかな香りと多少の息苦しさを感じて目が覚め、近くのカーテンから朝陽が差し込んでいて、もう朝だと気付くのに暫くかかり、その以前に、何かを抱きしめて居ることに気がつくと、ん?と、フリーズして。)
…だよな…あーぁ……女の子相手に何言ってんだ俺……。
悪い、忘れてくれ、バカの戯言だ、お前みたいな奴が嘘を吐くワケねえもんな。
そっか、俺の言葉でやる気が出るならそりゃいい、いくらでも言ってやるよ。
(何も知らない相手に何を言って、何を聞いているのだろうと頭を抑え、当然のこと、そして迷いなど一切なく言い切られると相手を少しでも疑ってしまった自分が馬鹿らしく思えてきて、相手のような純粋な女の子が嘘など吐くわけなどないと苦笑いしながら言って。
嬉しそうに微笑んで、自分の一声でやる気が出るならいくらでも言うと告げて。)
……あ?…ん?
(朝まで相手を抱きしめて眠り続けていると、柔らかな香りと多少の息苦しさを感じて目が覚め、近くのカーテンから朝陽が差し込んでいて、もう朝だと気付くのに暫くかかり、その以前に、何かを抱きしめて居ることに気がつくと、ん?と、フリーズして。)
どんなに優しい人でも、事故が起きちゃったら誰かを傷付けることもあるかもしれないよ、でも。さっきの桐島さん、悲しそうな顔してたから…もしもの話で、桐島さんが人を殺してたとしても、それでそんなに悲しそうな顔するなら、やっぱり。桐島さんは優しいと思うの。
ほんとー?あ、じゃあ、つ、ついでに………好みのタイプとか、教えて欲しい…かも。
(相手が何を気にして先程のもしも話をしたのかは分からなかったが、忘れてと言われても相手の苦笑いを見ると心配になり、自分が相手のことを心から優しいと思っていることだけは知っていて欲しくて、優しい人でも事故が起これば人を殺してしまうかもしれない、それでもそんな例え話を暗く悲しそうな面持ちでする相手を見て、やはり例え相手が人を殺していたとしても優しく見えると思ったと、柔らかく微笑みながら真っ直ぐに相手を見つめ、断言して。自分の憧れに向かって努力することに相手が好意的で、協力してくれると言うのならば、さり気なく自分の知りたい情報を聞き出そうとしても不自然にならないのではないかとふと思い、もじもじと頬を赤らめて視線を泳がせつつ、言い出しにくそうに、相手の好みのタイプを尋ねて)
───ッ!
(結局辺りが明るくなるまで相手の腕から抜け出せず、ドキドキしっ放しで眠りにつくことも出来ず、そのまま朝を迎えてしまっていて、静かな空間に相手の微かな声がふと聞こえると、ピクリと僅かに肩を震わせ、恥ずかしすぎる状況に一瞬でパニックになり、どうしていいか分からず咄嗟に目を瞑り、眠ったふりをしてしまい)
そっかァ…顔に出てたかぁ……。
お前の言ってる事は正しいとは思う、そんなことはいい。
俺が言い切ってなお、優しいと言ってくれた、嬉しかった。だから、ありがとう、レイ。
あーん?……そうだな、あんまりペラペラ喋るヤツは好きじゃない、意見を押し付けてくるやつも嫌いだ、あと趣味が合うヤツがいいな、瞳が赤けりゃなおいい、胸とかはあんま固執しねーな、どっちでもいいわ。
…とまぁ、こんなところだが、参考にはなりましたかね?
(相手の言葉は慰めか、それとも伝えたいだけか、どちらでも良かった、その感情を誤魔化すために実際顔に出ていたとは思っていなかった為顔に出てたか、と下を向き、そして、唇を噛みながら、直ぐにそんなことはいいと断ち切り、ただただ、優しいと言いきってくれた感謝を告げて。
相手が自分の好みを聞いてくると、特に考えず、相手の役に立つならと脳死のままぺらぺらと話してしまって、最後に参考になったか否かを聞いて)
あー、うん、そうか、なるほど。
……良し。
(かなり自分が恥ずかしく、ヤバいことをしていたことを理解すると、どこか吹っ切れたように、相手の髪に指を通し、愛おしく撫でると、相手の唇に当てるようなキスをし、良し、と言って)
んー?んふふ、嬉しかったなら良かった、あたしもありがとう。
………!
(優しくしてもらって感謝しているのはこちらの方なのに、紛れもない真実を告げただけでなぜか感謝されてしまい、一瞬キョトンとするものの、相手が嬉しいと言ってくれれば自分も嬉しくなり、ふにゃりと緩みきった笑顔を浮かべてお礼を返して。ペラペラ喋るのは好きではないと聞いた瞬間ハッとした表情をして両手で自分の口を塞ぎ、興味深そうに前のめりになりながら相手の話に真剣に耳を傾けて、瞳はどうやって赤くするのか、コンタクトだろうか等と大真面目に思考を巡らせつつ、自分の胸元にチラリと視線を落としては首を傾げ、しばらくぼーっとしていて、参考になったかと尋ねられるとピクッと反応して我に返り、なるべく喋らないようにしているのか、口を塞いだまま無言でコクコクと大きく頷いて)
……んっ……、……!?
(髪を優しく撫でられると、あまりの心地良さに思わず吐息が漏れてしまい、気持ち良さに表情が緩んでしまいそうになるのを必死で堪えながら寝たふりを続けていて、完全に起きるタイミングを見失ってしまったところで不意に唇に柔らかい感触がして、すぐに何をされたか察すると頬に熱が集まるのが分かり、おそらく真っ赤な顔をしているだろうとは自覚するものの、ますます目を覚まし辛くなってしまって)
……よし、もうこの話は終わり!別のことしようぜ、何せあんなこと掘り返したくねえし。
あー、うん、あとな、人の好みに強引にでも合わせてくるやつもあんまり好きじゃない。
(相手の緩み切った微笑みを見ると、何かこんな話をしているのが申し訳なくなり、話さえも強引に断ち切り、それよりも、自分の罪をこんな少女に独白したこと、その申し訳なさが再度のしかかり、何か別のことをしなければと思い、言って。
相手の様子でどう考えても自分の言った好みに左右されているのが伺え、こう言えば元に戻るのでは、と言ってみて。)
んー……もう襲ってもいいか?…そこんとこどうだろうか、ポロス、アスクレピオス、ケイローン師匠。
(相手が起きていることは気付いておらず、少し悩み、そしてとんでもない発言をし、相手の身体に手を出そうとするものの、思い留まり、窓際まで歩き、置いてあった椅子を引き寄せると朝陽があろうと星に語りかけるように言って。)
別のこと…あっ、じゃあ、何か1つ桐島さんのお願いをきくっていうのはどう?あたしのやりたいこと叶えて貰うから、そのお礼!
ええっ!?そんなぁ…、参考に出来なくなっちゃった……!
(相手と一緒に出掛けたいという願いを受け入れてくれて服まで買って貰うのだから、これまでの感謝も込めて雑用でも何でも手伝いたいと思い、別のことをしようという相手の提案に乗っかるように相手に近付くと、ニコニコと明るい笑顔で1つお願いをきくと申し出て。強引に合わせるのは駄目だと分かると慌てて口から両手を離し、目を丸くしたかと思えば次の瞬間にはがっくりと肩を落としてオーバーリアクションで落ち込んで)
───!?!?
(襲うという物騒な単語が聞こえると、瞬時に二通りの解釈が思い浮かび、どちらにせよ驚きに目を見開いて息を呑むものの、ドキドキしてまともに回らなくなった脳でも少し考えればどちらの意味かなど明白で、そのことに気が付いた瞬間、さらに鼓動は煩く暴れ始め、耳の先まで真っ赤になり、無意識にきつく目を瞑ってぎゅっと布団を握りしめ、当然起きれるはずもなく)
…なんでも、1つ、か?
当たり前だろ、お前はお前らしく、無理に作ったヤツとか1番嫌いだ。
(ぴくっ、と体が震え、相手の方をじっと見つめると何でもひとつ叶えてくれるのか、と釘を刺すように聞いて。
言ったことを全て参考にして、成るのもあまり好きではなく、自然体が1番良いらしく)
へーぇ、睡姦はダメと?さっすがクソ親父を持ってる医神サマだ、マナーがなってますねェ。
……寝てなければ襲っていいのか?そういう話でもない?
(相手が起きている、など到底思っておらず、他人には聞こえない誰かの声に耳を傾け、笑いながら会話をし、皮肉っぽい言葉を発したあと、相手の側まで歩いてくると、服の内側に手を突っ込んでみ、起きるか嫌がるか見て)
もちろん、何でも言って!
あたしらしくっていうの、自分じゃ分かんないし難しいんだよね~…普通にしてれば良いのかな?でも、桐島さんにずっと好きでいて貰えるように努力はしたいし…頭が良い子とかは好きっ?
(相手が無理なお願いをするはずがないと完全に信じきっているが故、尋ねられても朗らかな笑みを保ったままきっぱりと即答して。自分らしくというのが自分ではよく分からずに首を傾げ、それでも相手にもっと好きになって貰えるように、ずっと好きでいて貰えるように努力はしたくて、無理に相手に合わせるのではなく、先程の宣言通りに勉強を頑張ることで賢くなれば相手に見直してもらえるだろうかと思い、頭の良い子は好みか問いかけて)
ひゃっ!?ぁ……!
(落ち着くために意識を逸らそうと、お師匠様の他に誰か増えてる…?等と必死で他のことを考えようとしていて、完全に無防備になっており、突然服の中に手を入れられると目を開くと同時に声を出して身体を跳ねさせてしまい、すぐにしまったという表情をしてあ、と小さく漏らし、相手に寝たふりがばれるのか今起きたと受け取って貰えるかは分からないものの、心臓がバクバクと煩くてそれどころではなく、うまい言い訳も思いつかず、咄嗟に寝起きの演技が出来るわけでもなく、ただただ気まずそうに、後ろめたそうに眉を下げ、真っ赤な顔をして無言でおそるおそる相手を見つめながら、触れようとする手を静止するように自分の手を重ねて)
______じゃあ、さ、キスしてくれよ、お前から。
俺はお前が好きになったんだ、どんなお前であろうとも俺は好きだ、いつも通りなお前でも、少し変わったお前でも、嫌いになんてならない。
アタマねえ…特に気にしないな、どっちでもいい。
(信じきって朗らかな笑みを浮かべる相手に向けて、ニヤァと悪意に満ちた笑顔をしながら相手の眼前まで近付くと、キスする直前まで唇を近付け、お前から、を強調してお願いし。
お前らしく、と言うより、相手という存在そのものが好きらしく、どんな相手でも好きだと真正面から言い切り、努力は大事と思うものの言う必要は無いと思い、とりあえず好きか嫌いかを無視し、どうでもいいと答えて)
………。
(相手が起きていることに驚くことなく、重ねられた手を握ると、無言のままいやらしく指と指を絡め、相手に覆い被さり、床に相手を押し付けると、行為を致しているような構図になり、本人も相手の可愛らしい反応に頭が真っ白になり、起きていた?聞かれていた?ならどうする?と思考が無意識中にグルグル回転し、なぜか本能のままに相手に絡まって)
へっ?………っう、うん…!
…ちょっと今お顔が…うふふ…、
(予想外の方向のお願いに目を丸くして瞬時に頬に赤みがさし、相手が近付いてくるととくん、と鼓動が跳ねておどおどしつつも、自分から言い出したため引き下がるわけにもいかず、小さくこくりと頷き、ひとつ深呼吸をするとゆっくり、たどたどしく震えながら僅かな距離を詰め、控えめに唇を触れさせて。誰かに好意を伝えられるのも初めてな上に、それが相手からの言葉であれば尚更嬉しく、ゆるゆると表情が緩むのが自分でも分かると、到底人に見せられるような顔ではないと思い咄嗟に両手で顔を覆い隠して表情を引き締めようとするものの、それでもにやけてしまうのは我慢できず)
! ……桐島さん…、
(相手が驚かなかったことに驚き、眠ったふりがばれていたのかと焦るものの、特に追求されることもなく指を絡められると触れられている箇所を過剰に意識してしまいピクリと指が震え、何か反応を返す暇もなく相手が覆い被さってくると更に驚いて、これ以上ないほど目を見開き息を呑み、まるで身体中が真っ赤になっているのではないかと思うほどドキドキと全身が熱く感じて余計に頭が回らなくなり、戸惑いと躊躇い、何も言わない相手への不安、ときめきとほんの少しの期待が混ざったような複雑な表情で瞳は潤み、相手を見上げたまま、か弱い声で呼びかけて)
…!
……ありがとな。
緩んでるぞ、引き締めろ。
(相手にこんな無茶なお願いをしたのに控えめながらもキスしてくれたことに驚き、暫く唇を触れさせ、相手から離れると優しい笑顔でありがとうと言って。
相手の表情の緩みが自分でも分かり、相手の頬をぐにー、と両手で潰して引き締めろと無茶を言い)
…あー、あー……その、だな、やってもいい、か?
(相手の反応が可愛らしく、誘われているようでもどかしく、あと自分にしか聞こえないやかましい神々のガヤがつき、それに押されてか、手を絡めたままに、相手に一応確認をとり、ここまで来たら後戻りはできないため断られても強引にやるつもりで)
え、えと……キスで良かったの…?
んにゅ…無理、引き締め方が分かんにゃいもん。
(相手の笑顔にきゅんとして嬉しくなってしまうものの、正直なところ相手からのお願いは自分にとっても得がある内容で、相手の笑顔が見れたことといい、何だか自分へのご褒美のようになってしまっていることに気が付くと、ほんのり頬を染めながらこれで良かったのかと遠慮がちに尋ねて。相手から告げられた嬉しすぎる言葉の影響力は、頬を潰された程度で収まるようなものではなく、喋りづらそうにしつつもデレデレと緩みきった表情で、引き締めるのは無理と答えて)
っ、………う、うん、
(恥ずかしさで胸がいっぱいで、緊張で言葉を返すのも精一杯ではあるものの、恥ずかしさ以上に相手への想いで心が満たされていて、他のことはもう何も考えられなくなり、当然相手の師匠たちのことも眼中になく存在すら忘れていて、聞こえるか聞こえないか分からない程度の微かな返答とともに軽く頷くと、潤んだ瞳に目の前の相手だけを映してはにかんで)
良かったんだ、お前から、キスされるってことが俺にとっては大事なんだからな。
顔に力入れてみろ。
(毎回毎回こちらからキスするのも何か味気なく、いつか相手からキスしてほしいとは思っていたものの、相手は恥ずかしがって拒否するだろうし、こっちから突拍子もなく言うのもな、と考えていたため、相手に聞かれても願いはそれ以外になく、良かったんだ、と答えて。
相手の表情を見るとこっちも緩んできて、相手から手を離すと目線を逸らし、アドバイスをして。)
______痛かったら、言うんだぞ。
(優しく、それでいて相手を前に獣のような目をして、そしてそのまま肌を重ね、それはあっという間に済み、互いに服を着ていないままで布団の上に寝転がっていて。)
そ、そっか。…あ、あたしも、もっと…練習、するね……??
………出来てる?
(相手の答えに安心したように微笑み、大好きな笑顔が見られるなら、お願いなんてされなくても自分からもキス出来るように努力しようと思うものの、考えるだけで既に照れて頬を染め、一体何をどう練習すればいいのか分からないままに言葉だけが先行してしまい、恥ずかしさのあまり言っていて自分でもよく分からなくなり、最後はもじもじと疑問形になって。顔に、と言われたのになぜか両手両足でぐっと踏ん張り、うーんと小さく唸りながら全身に力を入れるものの、肝心の表情はふにゃりと緩みきっていて、いかにも幸せでたまらないのがありありと見てとれて)
桐島さん…、
(初めて感じた極上の充実感に幸せの余韻が抜けず、うっとりと蕩けきった様子で放心しており、頭が回らないおかげで普段よりも感情がストレートに行動に現れていて、甘えるように名前を呼びながらすりすりと相手に擦り寄り、愛しさを噛み締めて)
頑張れ、次にキスする時はたっぷり舐ってやるけどな。
_____出来てない、けど、それでいい。
(先行した言葉に応援する言葉を返すものの、相手が如何に練習しようと、次はたっぷり舐ってやる、と意地悪な付け足しをし、同時に意地悪な表情で相手の頭を撫でて。
相手の幸せに満ちた緩い表情を見ると眩しく、呆れたような、嬉しそうな顔をして目線を逸らし、手を離すとそれでいいと答えて。)
よしよし……
(擦り寄ってナチュラルに甘えてくる相手をゆっくり抱擁し、頭を撫で撫でし、相手の髪に顔を填めて)
い、言わなくていいからっ!…やりにくくなっちゃうでしょ!?
…桐島さんだって、緩んでる。
(相手の宣言に過剰に反応し顔を真っ赤にすると、相手の意地悪な顔をじとりと恨めしそうに見つめながら言い返すものの、頭を撫でられるとすぐに勢いを失い大人しくなり、ちゃっかりと相手が撫でやすいように頭の角度を変えていて。目線を逸らした相手も少し嬉しそうな表情をしていることに気が付けば、ますます愛しさが込み上げてきて余計に表情が緩み、自分の表情を何とかしようとすることを放棄して相手の視線の先に回り込むと、愛しげに目を細めて見上げながら相手の様子を指摘して)
ありがと…あたし、これでもうこの先どうなっても何の悔いもな──ッ!?ぅ、うぅ"……!!
(これまで生きてきて感じたことのなかった幸せという感情、相手と出逢ってからそれをたくさん知り、相手に包まれて触れられる度にこれ以上ないほど心も身体も満たされれば、代償のようにそんな幸せを失う恐怖を覚え、ふと言いようのない不安や寂しさに襲われて、それでもこれは本の世界にいれば本来得ることのなかった愛であり、自分はもう充分に幸せにしてもらったのだと実感すると、切なげに瞳を揺らして微笑み、まるで別れを覚悟しているような口振りでぽろりと弱気な言葉を零してしまい、そんな心の不安定さに付け込むかのように窓の外から目に見えない禍々しい気が向かってきて体内へ入り込んだかと思えば、両手で頭を抱えるように押さえ、苦痛に顔を歪めて悶え始め)
前もって言わねえとお前絶対文句とか言うだろ。
俺のはノーカンだ、てか見るな。
(相手の性格からして戸惑いはするものの文句は言うまい、否、言えまいとは思っているものの、理由が思いつかなかったためとりあえず理由付けて言い返し、撫でやすい相手を猫のように思うと、撫で続けて。)
!?、んな事言うから憑かれるんだ!
何霊だ!?悪霊!?浮遊霊か!?おい!レイ!
大丈夫なのか!?なぁ!
(相手がネガティブな事を言い、まさかそんなことは有り得ないと脳内判断するが、霊が憑くのを見ると慌てて服を着直し、相手に服を被せながら近くにあった木の棒のようなものを手繰り寄せると、相手をまず揺さぶり、焦っているのか何霊なのかの判断も上手くできず、相手を見つめて泣きそうになりながら何度も叫んで)
文句なんて…慣れてないだけだもん、桐島さんと違って。
ふふ、見てない見てない。
(恥ずかしくはあるが嫌ではなく、文句なんて言えないだろうと自分で予想するものの、自分と違ってかなり慣れている様子に見える相手に複雑な思いを抱き、ありのまま打ち明けるのも躊躇われて少し考えると、撫でられながら抗議するように視線だけで相手を軽く睨み、顔を赤く染めたまま、相手と違って、を強調しつつ口を尖らせ、拗ねたような言葉を返して。緩んでいるのを認めたような相手の言葉が微笑ましく、その反応だけで充分嬉しかったため引き下がろうとするものの、デレデレと更ににやけてしまうのを抑えられず)
うぅ、あああああッ!!!はぁ、はぁ…、
────触らないで。
(襲い来る苦しみに抵抗するかのように髪の毛を掻き毟り、大量の汗をかきながら悲鳴をあげ続けるものの、ビクッと身体を大きく震わせると、呼吸を乱しながら最後に一瞬だけ愛しさのこもった哀しげな眼差しを相手に向けて目を閉じ、身体中の力が抜けてぐったりとし、すぐに目を開くもののその瞳は虚ろで普段とは明らかに異なる雰囲気を纏っており、冷ややかな声色で相手を拒絶しながら揺さぶっている手を払いのけ、先程まで苦しんでいたのが嘘のように覚醒すると中途半端に服を被せられた状態のままふらふらと布団から出て、相手に目もくれずに図書室の出口へと向かっていき)
あー……あー…、うん、せやな。
見てないって言う必要ねえだろ、それ見てるか見た後に言うことだし。
(相手の言葉で自分が今まで見栄を張っていたことがバレそうになり、このまま余計なことを言うと慣れている見栄を張っていたことがバレ、私的にそれは嫌なため、ぺらぺらと話すよりとりあえずとせやなと適当な言葉を返し、相手の反応を待って。
相手の様子からして見た又は理解したと思うのは必然であり、相手とは逆方向を向いてぼそぼそと抗議するように言って)
…誰だ、お前は。
今すぐにレイの体から、精神から、出ていけ、そうしなければ俺はお前を殺さないといけない。
(相手から最後に向けられた目線と、無情にも払われた手が明らかに別のものが行ったという感覚があり、こっちを向かない何かの手首を掴むと捻り上げながら床に倒し、問答無用と言わんばかりな冷ややかな声で言い切って)
…練習。したいけど、桐島さんとじゃなきゃできないから──お、お手本!見せて…?
えへ。ばれちゃった?緩んじゃうものはしょうがないよ。
(分かってはいても、やはり肯定する相手にモヤモヤしてしまい、勢いに任せて普段ならば絶対に言えないような大胆なことを口走って、言いながら沸騰しそうなほど赤くなりつつも引っ込みがつかなくなり、自分から言い出しておきながら最後は自信なさげに小声になっていって。見たことを本気で隠す気もなかったためニコニコと笑いながら軽く流して、再び相手が向いている方向に回り込むと相手の手をきゅっと控えめに握り、嬉しそうに相手の表情を覗き込んで)
……殺せば?この非力な身体ごと。
(手首を掴まれ床に倒されても表情ひとつ変えることなく、相手の冷ややかな声にも動じず無視して再び振り払おうとするものの、桐島玲の身体では力で相手に敵わないと分かるとすぐに抵抗をやめ、身体ごと殺せるものなら殺してみろとばかりに淡々と無表情で返して)
はぁ!?無理に決まってんだろ!自分で恥ずい事は言うんじゃねえよ!
…お前にしては、よく言うじゃねえか。
(相手がとんでもないことを勢いのままに口走ったのを聞くと、当然未経験で内心ウブなため、顔を真っ赤にして叫び返し、そして相手の様子が自分と同じような感じだと理解すると、やはり叫んで。
相手にしては堂々と言い切ったため、少し恥ずかしがったと言うより、感心したように言って。)
ぐ……俺は、お前がレイの体から出ていくまで離さない。
(当然そんなことを言われても相手ごと殺すことなど出来ず、ならば手段のない今の自分に出来ることは何か、と考えると、離さないという判断をして。)
っ、それってあたしが下手だから?他の人と練習してってこと…?
うふふー、一緒に緩んじゃえば恥ずかしくないよ。
(まさか相手も恥ずかしがっているとは思いもよらないため、他の女の子とは出来て自分とは嫌な理由が下手だからという以外に思いつかず、他の人で練習して上手くならなければ相手にしてもらえないのかと誤解すると完全に落ち込み、込み上げてくる涙を必死に堪えながら顔を逸らし、俯いて。だらしなく顔が緩んでしまった恥ずかしさよりも、相手も同じように緩んでいる嬉しさが勝ち、握った手をぷらぷらと揺らしながら満面の笑みを浮かべていて)
触らないでと言ったはず。
聞こえないなら──手首ごと切り落とす。
(表情を変えないまま抑揚のない口調で離すよう告げ、少しの迷いもなく見せしめの如く暴風を巻き起こすと勢いよく窓ガラスが割れ、鋭いガラスの破片が桐島玲の顔に直撃して白い頬に一筋の鮮血が伝うものの、何事も無かったかのように脅すような言葉を口にして、奪った身体を返すつもりも丁重に扱うつもりも一切ないようで)
違ぇよ!?お前は俺以外の奴とキスなんてするんじゃねえ!
って違う!……いいか?お前にはまだ早い、分かってくれ。
そうか?…いや、俺は恥ずいな。
(自分は相手以外とキスするつもりはなく、相手はそもそも自分以外に人を知らないためキスする相手も居ないだろうとは考えるものの、キスして欲しくないという意思が表に出てしまい、急いで訂正し、そして相手になんと言えばいいのか少し考えると、まだ早いと逃げるような言い訳をして。
相手が満面の笑みをすると、まぁいいかと考えてしまい、だがどうしても、自分の緩んだ笑顔を他人に見られるのは恥ずかしいため素直に言って。)
あぁ、やれよ、俺の腕なんて2本ともくれてやる。
だが、お前のしたいことは永遠に達成できない、それでもいいならだ。
(迷いなく、相手を離して、そしてそのままどこかへ言ってしまうぐらいなら、腕なんてくれてやると一瞬で吐き捨て、相手に脅しをかけ返しているようだが、それは事実らしク)
しないよ。そんな事するくらいなら一生桐島さんにキスしてもらえない方がましだもん!……は、早い…?ど、どうすれば早くなくなるの…?
なんか、いつもと逆な気がするねー?ふふっ!
(相手以外となんて考えるのも嫌なようで、訂正されても否定せずにはいられず、真っ赤な顔で涙目になりながら相手の方に身を乗り出して、他の人で練習するくらいなら一生キスしなくていいと少しムッとした様子で断言し、早いと言われるとキョトンとして考え込むように首を傾げ、素直に信じ込むものの、やはり心の奥では他の女の子に追い付きたい、負けたくないというモヤモヤした想いを抱いてしまい、どうすれば早くなくなるのかと真剣な表情で聞いてみて。恥ずかしがっている相手のことを比較的落ち着いて眺められる機会などそうそうなく、新鮮な状況とあまり見られない姿にときめきを覚えて更に嬉しくなり、ニコニコと微笑んだまま無意識のうちに握った手の指をそっと絡めていて)
愚かな──、! 拒んだ…?
…っはぁ…!うぅ…!今返したところで、この身体は恰好の餌食。無知で非力で不安定。遅かれ早かれまた狙われる。
(簡単に腕を差し出す相手を冷たく見下したように切り捨てると、話にも聞く耳を持たず、望み通り腕ごと奪ってやろうと再び暴風を巻き起こし、散らばった鋭いガラス片の数々を意のままに操り相手目掛けて勢いよく向かわせるものの、切り裂く直前でピタリと止まり、そのままパラパラと力なく床に落ちてしまい、驚くと同時に呼吸を乱して酷く苦しみ始め、無表情かつ光のない瞳で相手を見上げながら、抵抗する身体と目の前にいる相手の両方に言い聞かせるように、どうせいずれまた他の霊からも狙われるのだから今寄越せと説得するような事を口にして)
釣り合ってなくね…?って、泣くな泣くな、お前の泣き顔は見たくないんだよ、ほら、可愛い顔が台無しって言うだろ?
いいか、恋愛にはABCがある、のちのちそれ関連の本渡すから読んでくれ。
それがなんだ、新鮮か?俺も男だからな、恥ずい時は恥ずい。
(自分が一生キスしないのと他人とキスしないが釣り合っているようには思えなかったが、涙目になった相手を見ると一転し、乗り出してきた相手の目じりにうかぶ涙を人差し指で拭ってやり、キザっぽい台詞を吐いて。
当然説明は恥ずかしく、本にぶん投げてやがて渡すと伝えて。
絡められた指に目を一瞬向け、少しずつ落ち着いてきたとか顔の赤みも薄くなり、指を絡め返して)
……お前にその体は渡せない。だけど、お前を野放しにもできない、なら俺に出来ることは1つ。
…未練はなんだ?霊になった以上、未練があるだろう。
あとレイは出来るならコイツを抑えてくれ、暴れられてお前の肉体に傷がつく。
(一転攻勢と言わんばかりに相手に馬乗りになると、冷たく言い放ち、木の棒らしきものを相手の胸に突き付け、そのまま突くのかと思いきや、やはり霊を殺すのもあまりいい気持ちでは無いため、とりついている霊の未練を問いて。)
だ、だって、練習しなきゃ出来るようにならな──っへ?か、かわっ…!?!?
本でお勉強できるんだ…、わ、分かった!頑張る!
あたしばっかりドキドキするより、一緒に恥ずかしくなった方が嬉しいな~と思って。
(自分が下手でまだ早いから相手がキスしてくれないのならば、他の人で練習しない限りは永遠に上達せず相手からもキスしてもらえないと思っているようで、まるでこの世の終わりかのような悲しげな顔をしてますます泣きそうになりながら声を震わせるものの、突然告げられた可愛いという言葉と目元に優しく触れてくれる指に目を丸くして、紅潮したまま固まってしまって。恋愛の本と言われても全く中身が想像つかずにキョトンとしながら相手を見つめるものの、読めば経験豊富な相手に少しでも近付けるのだと思うと細かいことは気にせずやる気になったようで、気合を入れるようにきゅっと眉を引き締めると元気よく返事して。指を絡め返されるとまた恥ずかしそうに少しもじもじするものの、嬉しそうにゆるゆると緩んだ笑顔は保ったままで、相手と同じ気持ちを共有出来るのが嬉しいと伝えて)
…甘い。身体を渡さないというのなら、存分に傷付けさせてもらう。
(苦しそうに呼吸を乱しながらも表情を変えることなく、殺さないどころか霊の未練をきくという甘さを見せた相手の発言をばっさりと却下し、相手が桐島玲に語り掛けた言葉を聞くなり、相手が駄目ならば玲の身体を傷付けてやろうと悪あがきし、余力を振り絞って暴風を操り先程すぐそばに落ちたガラス片の数々を舞い上がらせると、その全てを玲の身体に向かって一気に突き刺そうとして)
あのな、俺以外の奴と経験したって意味ねえ、少しずつ進展すればいいんだよ、急に難しい問題解くより簡単なやつで慣らした方がいいだろ?
そうそう、可愛いよ、お前は。
勉強は大事だぞ、頑張れ、お前に読めるかは分からんけど。
俺はこーいうの他人に見られたくねえ…。
(一言で紅潮した相手の肩を優しくつかみ、しっかりと目を見据えて言い聞かせるように正しいような間違っているようなことを教え、そして当然のことを当然のように、可愛い、と再度言って。
相手に読めるか、という意味とは少し違く、結構刺激的で経験のない相手に読み切れるかの心配をしており。
共有できて嬉しいという感情はあるものの、見られて恥ずかしいという乙女のような感情が勝り、言って。)
______Le。
聞き方を変えよう、教えろ、次はお前を炙る。
(自分の言葉に耳を傾けることさえせず、あまつさえ己の恋人に牙を向いた相手に『少し』怒ったのか,指を軽く鳴らすとと風で舞い上がったガラスが燃え上がり,一瞬で固体から液体となり溶け落ち,恐ろしく輝く瞳で相手を見据え,相手の頭に人差し指を置くと,玲ではなく,中に潜む相手を炙ると告げて)
…じゃ、じゃあ、簡単なキスなら、またしてくれるの…?
ありがと…でも桐島さんだって、か──…やっぱりやめる。
そんなに難しい漢字があるの?も、もしかして日本語じゃないとか…!?
あたしは色んな桐島さんが見れた方が、もっと、もっと……すき、になるんだけど…、
(相手の言葉にピクリと身体を震わせて反応し、絶望から救い出されたような、期待するような潤んだ目で相手を見上げて、何がどう簡単なのかはざっくりとしか分かっていないものの、簡単なキスならしてくれるのかと真っ赤な顔で大真面目に尋ねて。可愛いと言われるのは当然嬉しくはあるが、いつも相手に言ってもらってばかりでこちらから格好良いなんて言葉を口にしたことは一度も無いことにふと気が付き、思い立ったが吉日とばかりに覚悟を決め、大袈裟に表情を引き締めると思い切って口を開くものの、結局そんな勇気はなく、すぐに取り消しながら勢いよく顔を逸らして。相手の言葉を文字通りストレートに捉えると、そんなに難しい内容の本なのかと自信がなくなり、青ざめながら日本語じゃないのかとおそるおそる問い掛けて。普段の自分がそうであるように、恥ずかしい気持ちや見られたくない気持ちは痛いほど分かるものの、いざそんな相手の姿を眺める立場になってみればそういう姿さえ愛おしく、ますます好きになり、照れくさそうに下を向いてもじもじしつつも勇気を振り絞ると、微笑みながら感じたままの素直な気持ちを真っ直ぐ言葉にして)
………言ったところで即座に切り捨てられるか、この身体の持ち主が嫌がるだけ。だから身体を貰い、勝手にやらせてもらう。
(ただの人間では到底出来ないような真似をしてみせた相手に非常に驚くものの表情や態度には微塵も出さず、光のない瞳を逸らすことなくただじっと相手を見つめて制止したまま返す言葉を探っていて、ガラスを燃やされた事には一切触れずに、未練を打ち明けるつもりもなければ奪った身体を使って勝手にやりたいことをやるつもりだと淡々と答えて)
うん……?あぁ、そんくらいならできるぞ。
今お前なんか言おうとしたよな?…まぁ,お前が良いっつうなら俺も言及しないけどな。
日本語だぞー,日本語日本語,フリガナも振ってある。
だけどお前には読めないかもってだけだ。
__あー、そっか、そうだよなぁ。
…ちょっとだけだぞ。
(相手の潤んだ瞳を見ていると思考が溶け、相手の小動物のような姿とそれに反するような大真面目な感じで言われると、考えが重なって溶けた思考が戻らず、出来そうだから答える、と馬鹿のような感じで答えて。
相手が何か言おうとしたことだけは分かるが、聞き取れず、恐らく自分に対する多少なる不満を呟いたのだろうと判断すると、言及するのも野暮かと思いやめて。
日本語で、それでいて難しい漢字にはふりがなが降ってあるものの、読んだ瞬間赤面して閉じる所まで予想出来て、読めないかもと言って。
女の子にそこまで言わせたのなら、引き下がる訳にも行かないと腹を括り、相手の方を手を退かして見据えると、その顔は少しだけ赤く、いつもとは違う感じがして。)
お前が自分の未練を吐かねーってんなら、俺にも考えがある、お前を殺さず、それでいてダメージを与え続ける方法が。
(一瞬でいつも通りの軽いノリに戻ると、相手が未練を言わない、そしてレイの体を使って色々と暴れるつもりならば、コチラにも特殊な方法があると言って)
ほ、ほんとっ?──え、えっと、こ、今度!お願いします…?
っ、うん良い良い。全っ然大したことじゃないし!
え~何それ?難しい言葉だらけとか…?で、でもそれならちゃんと調べながら読むし、大丈夫っ!
…っ、……………。
(できると言われてぱぁっと表情が明るくなったはいいものの、後のことは何も考えず感情に任せて聞いてしまったため、まさか今すぐキスを強請る訳にもいかず、そんなことが出来るはずもなく、一瞬だけ相手との甘いキスを想像してしまい耳まで真っ赤になると途端にひとりで慌て始め、思わず敬語になりながら今度お願いと適当に返して。不満を呟いたと誤解されていることなどつゆ知らず、引き下がってくれた相手に感謝しながらコクコクと何度も頷き、大したことではないと付け足しておいて。自分が読めない理由が他に思いつかず、人差し指をちょこんと顎にあてながら軽く首を傾げて考え込み、難しい言葉が使われているのかと予想するものの、フリガナがあるなら調べれば良いだろうと、大して気にしていないようで。ほんのりと赤く染まった相手の顔をしっかりと視界に捉えると思わず息を呑み、きゅん、と胸の奥がときめいて鼓動が早まってしまい、完全に見とれて言葉を失ったまま相手につられて自分の頬も赤くなり、そのままじっと相手を見つめて固まってしまって)
…はったりは効かない。この身体ごと、好きなだけ傷付ければいい。
(単純に考えればそんな都合のいい方法があるはずがなく、はったりだろうときっぱり返すものの、相手ならばもしかしたらという思いがあるのか答えるまでに少し間があり、それでも変わらない表情や声の調子からは本音は何も伺えず、身体を奪っているという状況下でこちらが有利なのは疑いようがなく、既に玲も限界なのか抵抗する気配も感じなくなっており、全く苦しさも感じないため完全に余裕の色を見せていて)
______あ、ああ?了解。
そうか……大したことじゃ、ない、ね。
自分で調べる力を得るのは良い、今の人間からしたら調べるのは簡単すぎるが、お前らしく頑張れ。
?…おーい?
(今更理解しようとするものの、もうどうでもいいかと考えてしまい、そのままOKを出してしまい、結局理解できないまま思考を放棄して。
なんでもないのか、とホッとしたのも束の間、大したことじゃないと付け足した相手にムッと考えを浸らせ、大したことではないと言うなら何かあるのではないか、と考えてしまって。
相手が考える力を得、そして自分で調べる力を得る、それは良い事だと言って、相手らしい調べ方と考え方で頑張れと言って。
自分の顔がそこまで魅力的なのだろうかと馬鹿みたいなことを考え、相手の頬をぺちぺちと叩き、大丈夫かと聞いて。)
ほーん、そっか。ちなみにだけど、お前って男か?女か?
(余裕を見せる相手にまだてをあくすべきではないと判断すると、こちらも余裕と言うより、ムカつくような余裕顔を見せ、相手の性別をハッキリとした声で問い、何故か答えたくなるという強制力が働いて)
い、いいのっ?そ、そっか…え、えと、あ、あたしも…が、頑張るから…!
? 桐島さん?大丈夫…?
ありがとー。どんな本なのかな、すっごく楽しみ!
っ、あ、ごめんね、普通に見とれちゃってた。
(こちらも慌てて思考が回らないまま適当にお願いしてしまったため、相手が受け入れてくれたことに目を見開いて驚き余計に慌ててしまい、恋人ならキスくらい普通にするのが当然かと何とか自分を納得させて落ち着こうとするものの、事前にキスの約束をするというこの状況に緊張は更に高まってしまい、そわそわした様子で頑張ると謎の宣言を返して。自分が深く考えずに誤魔化した言葉を受けて何やら考え込んでいる様子の相手の顔を不思議そうに覗き込み、眉を下げながら心配そうに問いかけて。相手の反応から、調べれば自分にでも読める本なのだと解釈すると嬉しそうに微笑みながらお礼を述べ、経験豊富な相手に近づくために勉強するのだという意欲に燃えながら瞳はキラキラと輝いていて。頬を叩かれるとハッとして我に返るものの、ぼーっとしていた名残りのせいか、恥ずかしがる暇もなく正直すぎるほど正直にポロリと見とれていたと零してしまって)
失礼な、どこからどうみてもピチピチラヴリーな乙女じゃろう。まったく最近の若い者は──ッ!?
………ま、誠に申し訳ゴザイマセン。全て話すので今のは聞かなかった事にしてクダサイ。
(相手の問いかけに、答えたくもなく答える気もなかったにも関わらず意志とは関係なく口を滑らせたかのように普通に答えてしまい、それどころか素の口調が完全に現れてしまっていて、先程までの無表情が嘘のように思いっきり動揺した様子で慌てて口を塞ごうとするものの、相手が馬乗りになっているためそれも叶わず、自分の失態が恥ずかしくてたまらないのかポッと頬を染め、急に態度を翻してしおらしくなると、カタコトというより棒読みで謝り、経緯はどうであれ結果的には未練を打ち明ける気になったようで)
……!?…、そ、そうだな…頑張れよ。
大丈夫だ、少し考え事しててな。
…一つ言っておくぞ、絶対に読み切れよ?
ほーう……見とれてたのかぁ、そうかそうかぁ。
(相手のそわそわした様子を見るとようやく理解に至り、驚愕と羞恥で顔を真っ赤にし、しかしそれは一瞬で、相手が目線を逸らした間に、顔を頑張って戻し、苦笑しながら謎の宣言を期待と激動で返して。
心配そうな様子の相手が視界に映り込んで来ると咄嗟に大丈夫だと答え、考え事をしていただけと微笑んで。
勉強に燃える相手を他所に、本当に読めるだろうか、こんな無垢な少女に手を出して果たしていいものか、と今更のように冷静になるが、もはや後戻りなどできず、読みきれよ、と忠告して。
隠すことなく自分の意見を口にする相手にニヤニヤしながら言葉を復唱して。)
ッ…!…ッ……!
あ、あぁ…お前が大人しく…ッ、未練言うならな…?
(相手の口調と喋り方、言わないと豪語していた割にあっさりと掛かった、それを重ねてしまったため、爆笑を堪えて口を抑え、未だ笑いを堪えながら未練を言うならと、目尻に涙を浮かべながら言って。
そして大体、相手の口調から、元々人ならざる者か、だいぶ昔のお姫様か、と予想して。)
う、うんっ!と、ととところで!い、いつする!?キス……、
そっか、何か悩みがあるなら、あたしで良ければ何でもきくからねっ?
? そ、そんなに分厚いの…?もちろんちゃんと読むよ。
! ち、違…違うの!今のは間違えたっていうか、ぼーっとしてたっていうか!
(応援までされてしまっては完全に後に引けなくなり、図らずも相手とキスの約束を取り付けてしまうと、せめてそれまでに勉強と心の準備をして万全の体制で挑みたいという吹っ切れすぎた思考に至り、沸騰しそうなほど赤い顔でぐいっと相手の方に身を乗り出し、きりっと眉を上げながらいつするかと大胆に尋ねるものの、今更ながらにキスという言葉を口にするのも恥ずかしいらしく、最後に付け足した二文字はぼそぼそと小声になってしまい。微笑んでくれた相手にホッとしたように柔らかな笑顔を返しながら、悩み事なら何でも聞くと告げて。最後まで読み切るのは当然だと思っていたため相手の言葉にキョトンと首を傾げ、ぱちぱちと瞬きを繰り返しながら、恋愛の教材ともなれば辞書並みにページ数が多い本なのかも知れないと想像して少し戸惑うものの、どんなに時間がかかってもしっかり勉強する気でいるようで、ちゃんと読むときっぱり答えて。相手が繰り返したことで自分の発言の内容をようやく理解すると、慌てて顔と両手を勢いよく左右にぶんぶん振り、紅潮したまま言い訳になっていない言い訳を早口で並べていって)
…笑わない、怒らない、誓え。打ち明けた後も笑い続けたら、この部屋の本をすべて吹き飛ばす。
──結論から言う。この身体の持ち主に成りすまし、仲睦まじい2人を別れさせようとした。しかし即座に別人だと見破られ、叶わなくなった故、奪った身体を使って学校の…いずれは国中のかっぷるとやらを邪魔する算段でいた。全ては遠い昔、叶わなかった恋への未練による醜い嫉妬。報われるにはこうするしかないと信じて疑わなかった──だが、この学校が建ち、初代校長の顔を見て話は変わった。その昔恋焦がれた殿方に生き写しだった。彼の生まれ変わりに違いないと思った…以来、長年この地に住まい、彼が亡くなってからも毎日初代校長の銅像を眺める日々。──し・か・し。話が変わったといえど、自慢げにいちゃいちゃ、いちゃいちゃとする者どもを見る度、己はあの像に触れることさえ叶わないのにと…未だに、単純に、腹が立つ。出来る限り邪魔はしていきたい。この身体を狙ったのは儚げで憑き易かったのもあるが、若くて可愛い姿になりたかった。
──と、言う訳で、どうか別れて下さいオネガイシマス。
(すぐに無表情に戻ると、先程の失態をなかったことにしてキャラを保とうとするものの、明らかに笑いを堪えていてそうさせてくれない相手をじとりと睨み、もし未練を打ち明けた後も笑い続けていたら図書室の本を全て風で吹き飛ばすと脅して。無表情のまま淡々と事実を語っていき、その様子からは何を考えているのか伺い知れないものの、長い間募らせ続けてきた想いは確実に歪み切っていて、一通り語り終わると微塵も表情を変えずに当たり前のように別れるよう要求し、お願いしますの部分のみ明らかな棒読みで、今の話を聞けば別れて当然だと言いたげに、お願いする気などさらさら無いのが丸わかりで)
お前が頑張るんだからお前が決めろ、できる、と思ったなら俺はいつでもいい。
んー?…まぁ、いつか、な。
そうだなー、ちゃんと読むならいいんだぞー。
なら見とれてないのか?俺の顔は不満か?
(しっかりと聞いており、それを聞くのか!?とまた身を乗り出してくる相手に内心驚愕し、だとしても迷って答える訳にもいかず、今まで思考が死んでいた事から思考がフル回転し、決める時の相手の羞恥心とその姿を見たくもあるため、相手に決めろ、と最もな理由を付けて言って。
悩みの種が目の前に居るのに呑気なものだ、と思い、としてもストレートに言う訳にはいかず、いつかと答えて。
相手が何を言おうと、どうせ全て的はずれなため、適当な答えを返して。
言い訳をする相手に詰め寄り,先の自分の顔と同じような顔をして悲しそうな顔をして相手の目を見据えて。)
笑わねえ、分かってるよ。
苦労してきたんだな,恋慕と嫉妬に振り回された女。
だけど,さぁ?俺は玲とは別れないぞ?
…その代わりさ、少し提案があるんだ、お前にとって代わりになるかは分かんねえけど、お前と、俺、ほんの1週間でいい、付き合ってみないか?満足しなかったら好きにしていい、満足したら、大人しく出ていって欲しい、どうだ?
そうしないなら殺すけど。
(笑いを堪えていた顔から一瞬で真面目そうな顔に戻り、分かっていると脅しに答え、そして相手の話を聞き終えると、かなり複雑な環境と、そして死によって生まれた恋慕の霊、そして地縛霊でもある相手に同情しつつ、玲とは絶対に別れないと意志を示し、そして相手の言う初代校長とは自分の祖先であり、自分がこの高校で好きにできるのはその末裔だから、だからこそ、自分と初代校長は姿も中々似ており、気配も似ている、と身内から言われているため、付き合ってみないかと懇願のような問いをするものの、結局脅しで)
ええっ!?あ、あたしが!?えと、その、じ、じゃあ………、
いつかって…あんまり抱え込みすぎるの良くないよ?あたしなんかじゃ頼りないかも知れないけど、話すだけでもスッキリするかもしれないし。
桐島さんの彼女にふさわしくなるためだもん、どんなに分厚くても難しくても絶対ちゃんと読むよ!
っ!?ち、近いよ…!!
(こちらに決定権を渡されるというまさかすぎる展開に思わず声が裏返り、焦りまくりながらも逃げ場はなく、真面目に脳内で答えを探るものの、考えれば考えるほど恥ずかしく、甘い甘い想像も捗ってしまい、返事をするどころではないまま顔から火がでそうな勢いでどんどん赤くなっていき、言葉を失いフリーズして。いつか、と悩みがあることを否定しなかった相手に心配は募るばかりで、悩みの内容は見当もつかないものの不安そうに眉を八の字にし、抱え込むのはよくないと声をかけて。相手と釣り合う女性になるためならば出来る限りの努力を惜しむつもりはなく、むしろ本という勉強する手段が出来たことを嬉しく思いながらニコニコと微笑んで。詰め寄られて距離が縮まり、相手の整った顔がすぐ近くにくると再び胸は高鳴り、悲しそうな顔をされるとズキズキと心が痛んで泣きたくなる気持ちを抑えながら、ドキドキと心苦しさ、2つの意味で相手の顔を直視出来ず、湯気が出そうなくらいに熱を持った顔を咄嗟に逸らしてしまって)
……やはり若者は若者。考えが甘い。まず一つ。付き合ってくれるということは、この身体の持ち主ではなく妾…私のことを愛してくれるのか?もう一つ。仮に付き合い、私が満足したとして、余計にこの身体を返したくなくなる、余計に2人の仲を妨害したくなるとは思わないのか?そして最後に──この話を始めてから、身体の持ち主が明らかに嫌がっている、と言うより泣きながらやかましく騒いでいるが……この持ち主を黙らせ、持ち主よりも私を選んでくれる、それがお主に出来るのか?
……答えによっては、そんな事をせずとも今すぐ身体を返してもいい。
(相手の提案に心底驚くもののやはり表情には現れず、相手の姿に初代校長の面影があることは言われずとも薄らと気付いており、相手からの提案も相まって初代校長との関係も何となく察しがついて、本音を言えば相手からの提案はたった1週間だけでも2人の仲を引き裂くことが出来て好都合ではあるものの、自分のことは自分が一番よく分かるため、付き合ってしまえば相手に本気で惚れてしまうのではないかとそんな気がしており、そうなった末に相手が玲を選ぶのであれば余計に辛くなるだけということは痛い程理解もしていて。疲れ果てて抵抗を見せなくなっていた玲がこの話になった途端に全力で抗っているのが身体を通して伝わってくると、純粋に一人の殿方を想っていた頃の自分の気持ちを思い出して何とも言えない罪悪感や切なさに襲われて、ばっさり相手の考えが甘いと切り捨てるふりをすると、相変わらず感情の読めない淡々とした態度で、相手を試すような意地悪な質問を投げかけて)
……じゃあ?
いや、大丈夫だ、話さなくても多分近いうちに解決する。
いい心掛けだ、まぁお前に滅茶苦茶ハイスペックになられても釣り合わない俺が困るが。
近付けてるんだよ。
(言葉を失ってフリーズした相手に向けて、最後に言った言葉、じゃあ、を問いと共に復唱し、相手の目をしっかりと見据え、相手の頬を抑えて顔を逸らせないようにして、答えを待ち。
相手の献身的な態度と自分を心配してくれる心を知ると、相手を疑うのが馬鹿らしくなり、そしてまた疑う自分が嫌になり、すぐ解決すると言って安心させようとして。
簡単に自分を越えることは無いだろうが、天才肌という可能性もあるためそれを懸念し、かなり勝手なことを心配して。
いつも通り恥ずかしがる相手にぐいぐい行き、相手の背中に手を回すとグイッと抱き締め、しかしその抱擁は優しく、相手の耳たぶに生暖かい息をふっと吹きかけて)
玲は俺の彼女だ、俺は当然そっちを選ぶ。
ただ、俺は哀れなお前を放ってこの世界に意識を留まらせる訳には行かない、あと玲のじゃない器…身体だってある。
満足したら消えればいい、その器で天寿を全うするのも、それもまたいいだろう。
あと玲がマジ泣きするのは予想通りだ。
だけど、お前昔に生きてたから知らねえだろうが。
一夫多妻制って、知ってるか?
(相手の前提を全て覆すような提案を更に重ね、否が応でも相手をそのままにする気はないらしく、正直この霊だけにまた命を与えるのは贔屓じみているが、そうするしか手段がないのだからと自分を黙らせて、そして相手と、その中に居る玲に向けて、一夫多妻制というとんでもない提案をして。
正直自分が頭のおかしいことを言っていることの自覚はあるが、最早それしか方法はないと吹っ切れていて)
ぅ、……じゃあ、………み、3日後とか…!?
何かあったらなんでも言ってね?あたしに出来ることなら何でもするし。
桐島さんを超えるのは無理かもしれないけど、迷惑かけないようにはなりたいな。
んっ……ど、どうして…?
(頬に触れられてぴく、と大袈裟に身体が跳ね、さらに顔に熱を持ち、元々逃げ場はなかったものの余計に追い詰められると、早すぎても心の準備が間に合わないし遅すぎてもそれまでにキスできないのは寂しいし…と恥ずかしすぎることをぐるぐると必死で考え込み、考えるうちに早い遅いの基準もよく分からなくなって、ときめきで脳が溶けたまま何か答えなければと焦り、またしても適当な答えを口にしてしまって。相手の言葉に安心したように微笑むと素直に引き下がって、それでも相手に悩みがある時は出来る限り力になりたいと思い、いつでも相談するよう付け加えて。自分の中ではこれから相手以上の知識や経験を経るのはもちろん、そもそもそれに加えてかなり恵まれた容姿を持つ相手よりも魅力的な人物になることはハードルが高すぎてほぼ無理だろうと理解しているものの、知識不足でそんな相手に迷惑をかけるのは嫌なため、付き合うことで足を引っ張ってしまわないような彼女になりたいとは思っていて、憧れを語るように天井の方を見上げると、瞳を輝かせながら考えを告げて。優しく抱きしめられて耳元に息をかけられると思わず甘い声が漏れ、自分の発した声に恥ずかしがるというドキドキのループに陥っていて、バクバクと心臓は煩く暴れ続けてろくに頭も回らなくなり、その場しのぎのようにどうしてそんなに近づくのかという本題から逸れた質問を上擦った声で返して)
ほおぉぉ?──ふふ、案ずるな、今の言葉で妾は哀れでは無うなった。…〝妾は〟の。
そなた、優しすぎる程に慈悲深いが乙女心の理解に関してはまだまだじゃのぅ?それもまた魅力的じゃが、…女の嫉妬は恐ろしい物。これが何を意味するか…妾の嫉妬心を解消しようとするあまりに彼女を嫉妬させているようでは、所詮は若者──ん?ああ、言うてはならんかったかの?すまぬすまぬ。妾はお子様と違うて、大人の魅力溢れるせくしぃなれでぃじゃからな、幼稚な小娘の考えは分からぬわ。
妾と同じ目に遭うおなごをこれ以上増やすのも阿呆らしい…それに、目的の一つは恐らく達成されるであろう──本当に彼によう似ておる…だぁりん、そこまで言ってくれるならこの位は貰わねば──ご馳走様。これから大変じゃろうが、…楽しくなりそうじゃの?せいぜい頑張って。
(相手が迷うことなくきっぱりと玲を選ぶと答えたことで不思議と気持ちは軽くなり、無表情から一転して救われたように小さく笑い、2人の間に自分が入り込む隙もなければ邪魔をしようとするのも馬鹿らしく思えてきて、相手が自分のことを放っておけないと、一夫多妻制とまで言ってくれたのであればそれだけで気持ちは救われ、同時に自分が心から愛しているのは目の前の彼でも初代校長でもない、遠い昔の殿方ただ一人なのだと思い知らされると、哀れみの気持ちで付き合ってもらうことに意味を感じなくなり。身体を乗っ取っていることで玲の心の声が丸聞こえなのか、わざとらしく口を滑らせたふりをして余計なことを述べ、ニヤニヤと面白がっているような笑顔で思いっきり玲を煽るような発言を残しつつも、自分の恋心と重ねてしまい思うところもあるようで、自分と同じ思いはさせたくないと付け足し、しかし本音はこれだけ自分が煽れば間違いなくこの後一悶着起きるであろう、それを存分に楽しませてもらおうなどと良からぬことを企みつつ、当分は悪戯などしなくても楽しめそうだとほくそ笑んでいて。妖艶な笑みを浮かべると相手の制服を強引に引っ張って顔を近づけ、余裕を醸し出しつつも一瞬本気で見とれてしまったのは内緒、一方的に唇に軽く触れるだけの口付けをすると、ニヤリとからかうような言葉を告げ、〝ありがとう〟と口の動きだけで伝えると、そのままビクリと大きく身体を震わせ、次の瞬間にはぐったりと身体から力が抜けて意識を失っていて)
3日後な、楽しみに待ってるぜ?
…なんでも?
努力さえすれば俺なんか簡単に越えれるさ、お前が何だろうと、俺は迷惑なんて感じないしな。
…お前を愛してるから?
(相手の安易な答えを真実として受け取り、遅れることも、早まることも許されないと、待ってる、と相手を縛るような一言を口にし、相手の頬から手を滑らせ、相手の口内に指を押し込んで意地悪するように笑いながら掻き回し。
真剣に向き合ってくれた相手に感謝する心もあるが、真面目な感じで返すのも自分らしくないなと考え、何でもするのか?と聞き返して。
自分に憧れても、その憧れは砕かれることだろう、と考えるものの、それをストレートに言うのも気が引けるため、相手なら自分を簡単に超えれると言い、そして、相手がどうなろうと、相手を迷惑になる事などありえないとだんげんして。甘い声を聞くとこっちの理性も溶け始めて、更にそこへ上擦った声が届くと、相手の耳へ息を吹きかけながら、相手の耳たぶを甘噛みして。)
……そっか。そうかぁ。
色々引っかかるけど、お前がそう言うなら、俺はもう何もしない、言わない、いや、言えない。
!?………逝ったのか…うん、そうだな。じゃあな、おやすみ。
(相手はもう迷いないようで、ここから引き止める意味もない、そして何より、まだ引き止めたら本当に玲に愛想尽かされるかも知れないと恐れを感じ、言えないとキッパリ言い、そして相手が色々疑問を感じることを口にするものの、あまり気にしないようにして。
そして相手から軽めのキスをされると驚きに顔を歪め、しかしその直後、色々と言って倒れた玲の身体をそっと抱き、言ったことを確認すると、結局何かと言い返す暇もなく逝ってしまったな、と思い、おやすみと言い、寝ている玲の唇を強引に奪い、ここまでしたら起きるとは思うものの、我慢出来ず、相手の唇をむさぼって)
えっ、あ……は、はい…?っ!?
…もぉ、あたしのこと信じて?き、キスも、ちゃんとしたでしょ…?
ふふっ、ありがと。でも、まずは越えるより追い付くのを目指そっかな?同じくらいの方が、一緒に助け合えそうだもん。
ひゃ、っん……み、見とれてました…だから許してぇ……っ、
(念押しをするかのように相手に復唱されるとハッとするものの、正直キスをしたいという気持ちは大いにあるため咄嗟に誤魔化すような言葉も取り消すような言葉も出てこず、ぼーっとしたまま肯定し、相手の指が頬から動く度に触れられた箇所が熱く、口内に侵入されると目を見開いて一瞬で顔中の赤みが増すものの、もはや口内に触れられることさえドキドキと心拍数を早める要因にしかならず、どこか心地いいとさえ思いながらうっとりとした表情を浮かべていて。1つお願いを聞くと告げた時も似たようなことを尋ね返されたなと思い返しつつ、その時も今も相手の為ならば何でもしたいという考えは変わらないため、少しムッとした様子で頬を膨らませつつきっぱりと認めるような返事をして、以前お願いされた時もちゃんとキスしたと伝えようとするものの、それでもやはりキスという単語を口にするのは恥ずかしいようで、付け加えながらもじもじとして。相手の言葉が励ましだとしても本心だとしても全力で頑張ろうという気持ちに変わりはないため、素直に受け取って感謝し、しかし元々相手と張り合う気はなく、むしろ助けられてばかりいる現状から足を引っ張らない程度に、最終的にはお互いに助け合えるような恋人になりたいという憧れがあるため、ゆるりと微笑むと、相手に追い付くのを目標にしたいと口にして。耳元に息をかけられ、甘噛みされ、甘い言葉を囁かれると、逃げ出してしまいたいくらいに相手のことを意識してしまい、ぴくりと身体が反応して力が抜けていくようで、とろとろに蕩けきった甘い吐息が漏れてしまって恥ずかしくてたまらず、相手の方を見る余裕など一切なく紅潮した顔を逸らしたまま、あっさりと降参したように見とれていたと白状し、弱々しく許しを乞うように呟いて)
───ふ、ん…!?
ぅ、んんッ……ん、!
(意識を失っていたのも束の間、唇に感じた感触ですぐに覚醒し、状況を理解するまでは寝起きのようなはっきりとしない薄目でされるがままにキスを受け入れていたものの、少しして全てを思い出すと思いっ切り目を見開いて。全て夢であるか、いっそのこと乗っ取られている間の記憶がなければ良かったとさえ思うものの、残念ながらほぼ完全に覚えていて、直前に大好きな相手の唇が初対面の霊に奪われたことも、その霊にお子様だと煽られたことも、霊を思う優しさ故とはいえ相手が霊に向かって付き合おうと発言したことも、はっきりと覚えていて、気が付けば抵抗するように相手の身体を押し返そうとしてしまっており、大切に思っているはずの相手からのキスを素直に100%喜べないのは初めてのことで、胸の奥に抱いたモヤモヤとした気持ちや、このままだと相手に可愛くない態度を取ってしまいそうな自分自身が嫌になり、相手のことを避けるように顔を逸らそうとしながら、両目からは大粒の涙が流れ、静かに頬を伝っていて)
んー?…具合はどんなもんよ、蕩けた表情してるけど。
そうだなぁ、お前は嘘をつかないし、信じてる、だけど……
俺は心配性なんだ。
そういうのいいよな、お前が俺を助けてくれるなら、俺も安心だ。
ま、しばらくは俺が一方的に助けることになりそうだけどな。
…ッ……やめなーい。
(うっとりとした蕩けた表情の相手を愛おしいものを見る目で眺め、相手が苦しくないように指はあまリ奥には突っ込まず、相手の舌や頬の内側を指で撫で回し、答えれないとはわかっているものの、意地悪したいため具合を聞いて。
献身的な相手からして、言ったことは守るし、自分のためならば尚更だと理解してはいるものの、心配性という言葉だけを苦笑いしながら並べて片付けてしまい、心の底から相手を信じてやりたいといつも思っていて、そして今も、思っていて。
自分も、誰かから助けられるという経験が相手からしかなく、その唯一の経験でさえ、出会って救われた、という敬虔なため、相手の言う、互いに助け合う恋人、というのに同じく憧れており、しかし今は自分が相手を助けることしか出来ないと仕方ないことを言って。
ビクッと震えて、そして尚且つ、こちらの加虐心をくすぐってくる反応を見るともう我慢出来ず、やめないと面白いことをしている風に言うと、相手を優しく押し倒し、相手の耳たぶを相変わらず甘噛みし、更にもう片方の手を相手の手に絡ませ、抑えながら、なまめかしく腕をなぞって笑い)
ぁ……うん。
そうだよな、悪い、謝って許される事じゃねえと思うけど…ごめん。
あ、あぁ!お前が言うならさ、別にしばらく距離置いたって…ほら、俺とは……今、あんまり同じところに居たくないだろ…?こんな奴に慰められても迷惑だろうし……。
ちょ、ちょっと、俺出てくから!次帰ってきたらなんでも言ってくれ!別れるとか…、なんでもいいからさ!絶対その望みを叶えるから!
(相手に抵抗されると一瞬悲しそうな目をするものの、自分のせいだ、自分があんな事をしたから、と自負の念に駆られて仕方ないと無理矢理自分を納得させ、ただただ謝り、それで許されない、許せないなら、しばらく距離置いたって、別れたって、相手の意見に沿うと、下手に出るというか、拒絶されたことへの恐怖か、相手を失いたくないという確かな感情が混ざり合い、ただただ、言葉を重ね、そして大粒の涙を流し始める相手を見ると、今自分が慰めても、相手は自分を鬱陶しく感じ、更に嫌ってしまう、それなら、もういっそ自分から離れて、切り離してしまおうと判断し、流すべきではない、流してはいけない涙を堪え、部屋から出ていって。
そして部屋の外、図書室のテーブルに椅子に座って頭を抱え、彼にしては珍しく、取り乱して号泣し、どうすれば、そもそも自分が悪いのだ、と考えが堂々巡りし、訳の分からないことを相手に言ってしまったとさらに後悔し、どうすればよかったのか、と不安が重なり、言葉を発することも出来ず啜り泣いて)
んぅ……ひょんなの…、
…じゃあ、桐島さんが心配になったら、その度に何でもするよ。何回でも。それで、安心できない…?
ほんとは力も同じくらい強くなれたら、重い本を運ぶの手伝ったりも出来ちゃうんだろうけど…今のあたしに出来そうなことはお勉強くらいだよね。
へ……きゃ、……ふぅ、っん、…だめ、だってばぁ、
(口内の敏感な箇所を撫でられる度に心地よく、何より好きな人に触れられているというだけで気持ちがよくて幸福感と充実感に包まれ、口の端から唾液を垂らしながらふにゃふにゃに緩みきった表情を浮かべていて、ただでさえ恥ずかしい状況で感想など言えるはずがなく、そんなの言えない、と答えかけるものの、それさえも途中までしか言えずにすっかり相手の指の虜になっていて。苦笑いしながら告げられた言葉の響きはどこか寂しげで切ないものに聞こえてしまい、思わず両手で相手の手をそっと包み込むと、こちらもつられて少し悲しそうな表情になり、それでも真剣な瞳で相手の目をしっかりと見つめ、相手が心配になる度に、何度でも、安心してもらうためなら何でもすると断言し、首を傾げるとぱちぱちと軽く二、三度瞬きし、それで安心できそうかどうか尋ねてみて。既に相手から助けられたことは数え切れないほどあり、本当はすぐにでもお返しがしたくて、力の面でも協力できればそれが理想だとは思うものの、やはり現実的でない気がして、コツコツ勉強するくらいしか自分に出来ることはないと思うともどかしく、申し訳なさそうに眉を下げながら思わずため息をついて。押し倒されて驚くものの、力の抜けきった身体では為す術もなく、ただただ相手から与えられる甘い感覚に酔いしれるように堪えきれない声が出てしまって、必死にこれ以上甘い声を漏らさないように我慢しながら、吐息混じりの声でやめるように告げて)
────っ、
桐島さん、やっぱり………、
(相手のことが嫌いになったわけでも相手と一緒に居たくないわけでもなく、むしろ好きだからこそ他の女性と親しげにしていたことに傷つき、一緒に居たいからこそ、傷ついた感情に任せて相手に酷い態度をとってしまうのが、それで相手に嫌われてしまうのが怖くて堪らなかったにも関わらず、相手の方から自分を拒絶するように部屋を出ていき、別れてもいいと受け取れるような言葉を告げられたことで余計に不安になってしまい、先程キスを拒んでしまったことで相手を傷つけてしまったのか、嫌われてしまったのか、ヤキモチを妬いてしまったことがばれて我侭だと呆れられてしまったのか、やはり経験豊富な相手にとって自分はたくさんいる女の子のうちの一人に過ぎず、本音はもっと余裕のある大人の女性と付き合いたいと思っているのだろうか…と、考えれば考えるほど距離を置かれてしまう心当たりはたくさんあって、相手は自分と別れたいのだろうか、と思った瞬間、声を抑えることも出来ずに嗚咽が止まらなくなり、相手を追いかけたくても追いかける余裕もなく、虚しく床に横たわったまま、両手で顔を抱え込むように身体を丸くして号泣し続け)
…まぁこの辺にしとくか、ほら、溢れてるぞ。
何度でも…か、そっか、まだ少し不安は残るけどな、それなりに安心できた、ありがとな。ちなみに言質とったからな。
それはダメだ、お前はか弱いままでいい、だから大人しく勉強しとけ。
……もっと、して欲しいか?
(相手の言葉で少し別のことをしてみたくなり、自分の虜になってしまっている相手にわざとらしくお預けを食らわせ、そして相手の口の端から零れた唾液を相手の口から引き抜いた指で拭いとると、少しキザっぽいことを言って。
相手に包まれると、まだまだ心配が残るものの、少しだけ、否、かなり安心感が勝り、相手から逆に見つめられると安心できたと告げ、そして真面目な感じで話し続けるのが恥ずかしくなり、言質を取ったから、とニヤつきながら誤魔化すように答えて。
相手が自分並の力を得たら釣り合いが本当に取れなくなってしまうために、自分が守ってやるために、か弱いままでいい、勉強をしとけ、と言葉足らずではあるが言って。
相手の耳たぶから口を離すと、片手で相手の腕をなぞったまま、悩ましい態度をする相手に対しやはり加虐心が刺激され、もっとして欲しいか?と相手の顔をみながら笑い言って)
______お嬢さん。
(玲と三郎が互いに泣いて、すれ違ったまま終わりそうな時に、体を丸くして号泣している玲の背中に人の手が触れ、その直後に声がかけられて、その声は彼のものではなく、穏やかで力強いもので。)
……も、もうっ、
んふ、良かったー。でも、その。あたしに出来ることならねっ?
か弱い…あ、じゃあ、お料理やってみるとか!お料理だったら、切って焼いてドーンでしょ?たぶんあたしにも出来ると思うんだよね。
し…て、ほし……くないっ…!
(あっさりと引き下がった相手への驚きと、決して口に出せはしないが確かに感じた寂しさと残念さで、一瞬だけ悲しそうに、物欲しそうに潤んだ瞳を相手に向けるものの、唾液を拭われてドキッとしてしまい、恥ずかしさを誤魔化すように少し不機嫌な態度を装うと、真っ赤な顔で相手を軽く睨んで。相手の言葉にこちらも安心したように、包んでいる手をぎゅっと握って柔らかく微笑むと、嘘をつくつもりはないものの、自分に出来ることには限りがあるため、一応保険をかけるように出来ることなら、と付け足しておいて。知ってはいたものの、改めてか弱いと言われると自分の頼りなさがもどかしく、落ち込んだ様子で俯いてしまい、しかしすぐに料理という発想に至ると表情を明るくし、明らかに料理など一度もしたことがないような楽観的な言い方で簡単そうだと語り、すっかりやる気になっていて。耳たぶが自由になっても、すでに頭の中は相手のことでいっぱいで、すぐ近くから香ってくる相手の匂いにさえ胸は高鳴ってしまい、腕をなぞられる度に小さく反応して吐息が漏れてしまう自分自身が恥ずかしく、火照って紅潮した顔を見られるのに耐えられずに顔を背けながら相手の言葉を否定して)
!?──っ、誰…?
(突然背中に触れられると、油断しきっていたこともあり、此処には自分達以外に誰もいないはずと思い込んでいたこともあり、思いっきり驚き怯えた様子でビクッと肩を揺らし、涙でぐちゃぐちゃになった顔を隠す余裕もないまま、とりあえず顔を覆っていた両手を外しながら上体を起こし、考えるより先に声のする方へ顔を向けて)
______悪かったよ、今度からやる時はちゃんと、やる、って言うから、許してくれな。
じゃあキスとかは出来るな、お前にできることはだいたい俺でも出来るが、お前しか出来ないこともある。
……玲、後でお前は料理系の本も読め、厳選して貸すから。
ほー、そんなこと言うのかー、そっかそっかー。
…目を合わせろ。
(不機嫌そうな相手を見ると少ししょんぼりしたような表情をするものの、それが作った態度で、先のが本当の気持ちだと理解すると、相手をおちょくるように能天気な感じで、許してくれな、と軽い態度で反省してないように言い。
柔らかく微笑んで、そこまで自分のことを大切にしてくれる人にこんなふざけた言葉を返すのは少し気が引けるものの、こういえば相手は恥ずかしがるだろうな、と予想し、握られた手を握り返すと、相手にしかできないことがある、と言って。
相手の語り方からしてどう考えても料理のりょの字も知らないド素人であり、やる気があることは良い事のため、否定はせず、相手に本を貸すから学べ、と、相手にもできる、と遠回しに言って。
顔を背けながら否定の言葉を投げられるのは予想外であったため、確認のために少し残念そうな言葉を並べるものの、ここで日和る訳にも行かない、と、腕をなぞっていた手を相手の顔に当て、自分の方を向かせると相手の目を熱烈に見つめ、相手にキスをするのではなく、軽く唇を当てて。)
驚かせてしまったならもうしわけない。
___私はケイロン、貴女の恋人の師であり、古代のギリシアに生きた賢者、付き合いで言うならば、ドゥディスとは数百年程度でしょうか。
それより、この布で涙を拭きなさい、そのままではロクに話もできないではありませんか。
(相手が振り返って見たものは、半人半馬の金髪の男性で、相手が振り返る頃には微笑み、そこら辺で手にしたハンカチを差し出しており、その風貌は人外であることを指し示しているものの不思議と恐怖はなく、それどころか安心感を覚えるような声音と姿をしていて、自己紹介、そして何かの説明をし、また微笑み、涙を拭くように勧めて。)
や、やるって言われても、なんて答えればいいのか分かんないし…!
キス…はこの前したもん。……? あたししか出来ないことなんて、あるかな?
へ?お料理なら本読まなくても出来そうだけど…桐島さんが言うなら、読んだ方がいいのかなぁ。
ッ……!?
(軽い様子で告げられた発言をまともに受け止めて想像してみるものの、事前にやると宣言されても余計に照れくさく、その上こちらが返事をして許可を出さなければ相手に触れてもらえないというのは、それはそれで恥ずかしく、寂しく、不都合に思えてしまい、真っ赤な顔で困ったようにもじもじしながら、やると言われても返事に困ると伝えて。キスと聞いた瞬間に頬を染め、気まずそうに視線を逸らしてこの前したと答えつつも、自分しか出来ないことというのが気になる気持ちもあり、視線を逸らしたまま尋ね返して。本を貸すと言われると不思議そうにキョトンとし、料理をしたことがない者ならではの、切ったり焼いたりするだけの単純作業に果たして勉強が必要なのだろうか、とでも言いたげなお気楽な疑問を抱きながら、正直な感想をぽつり呟くものの、結局は相手が言うのであれば従うつもりのようで。触れられた顔が明らかに火照って熱を持ち、熱くてたまらず、今にも心臓が飛び出そうなくらいに胸はときめき、ドキドキと鼓動がうるさく、恥ずかしくて堪らないのに顔を逸らすことも出来ずに大人しく相手の方を向くしかなく、逃げ場のないこの状況に頭も胸も心も相手のことでいっぱいで、他のことは考えられなくて、真っ赤に染まった顔と期待に潤んだ瞳を相手に向けて言葉を失ってしまい)
? ……! あっ、矢の…?え、えっと、ありがとうございます……ぐしゅ、
変なところ見せちゃってごめんなさい、あたしは………、桐島玲です。あの、桐島さんならあっちに行きましたけど……、も、もしかして、あたしのこと怒りに来ました……?
(振り返って相手の姿を見れば驚きに目を丸くするものの、散々号泣した後で頭もよく回らず、それよりも今は別のことで頭がいっぱいのため、相手が何か説明してくれていることも申し訳ないとは思いつつもあまりピンと来ずに首を傾げていて、時間差で相手の師匠といえばあの時矢を放ってきた人物かと心当たりを思い出すと、矢の、とうっかり口にしてしまい、慌てて口を噤むと、ようやく少しは状況を理解したようでお礼とともに差し出されたハンカチを受け取り、目元を拭って。まだ目元は痛々しく腫れてはいるが涙だけはひととおり拭い終わると、改めてこちらも自己紹介をしようと相手の方に向き直るものの、今の状態で自分から桐島さんの彼女を名乗っていいものかと不安が押し寄せてしまい、悲しそうに眉を下げ、散々迷い間をあけてから無難に名前だけを告げると、相手は桐島さんに用事があって来たのだろうと思い彼が出ていった方向を手で指し示してみて、それとも以前相手に失礼すぎることを言ってしまった上に、勝手にヤキモチを妬いて相手の大事な弟子を傷つけてしまったことを叱りに来たのだろうか、という考えに至ると、相手から何か言われる前に申し訳なさそうに頭を下げ、下を向きながら弱々しい声でおそるおそる目的を問い掛けて)
じゃあできないしやらないぞ、流石に2度目は許可取らないと俺もできない。
…俺を安心させてくれる。
本は読め、全てに通じているぞ。
……もう1回だけ聞くぞ?
続き、して欲しいか?
(相手の考えをほとんど理解しており、それならば。
2度目という理由を付けて、最初は言うだけで勝手にやろうと考えていたが、意地悪したいから答えてくれなきゃできない、とわざとらしく言い、仕方ないよなー、みたいなニュアンスでまた意地悪をして。
相手に訪ね返されると多少考えるものの、自分が絶対の安息を得れるのは相手の傍だけで、そして相手が己を労ってくれるならば、苦労を吹き飛ぶだろう、そう考えて、それを言うのは少し恥ずかしいから、目線を逸らし短く言って。
あぁ、コイツはダメだ、と料理に関しては相手の知識を諦めるものの、それを真正面から言ってショックを受けさせるよりも、せめて知識をつけさせて何か出来ることをやらせるのが先決だと思い、いって。
期待を向けられるとそのまま続きをしてしまおうと思うが、相手の口で言わせてやると言う謎のこだわりによって、相手の頬を愛おしそうに撫でると、もう1回、だけ、を強調して聞き)
ええ、矢を放ったのが私です、弟子に仕置をするのも師の務めですから。
知っていますよ、ドゥディス…いえ、三郎から聞いていますからね。
……まさか、私は弁明、いや。
…昔話を、しに来たのです。
(涙を拭く間に相手の言葉を肯定し、相手に野蛮人と思われていないだろうかと心配を抱きながら、相手の存在は聞いていたし、言ってはいないが見守っていたため知っていると答え。相手が自分を叱りに来たと言うと、あるはずがないと真っ直ぐ答え、そして来た理由を言おうとするものの、何故か、昔話をしに来た、と答えて)
えっ……、──ッ!こ、これは、その……!
…! そ、それって、あたしにしか出来ないんだ…?
わかった。まかせて!桐島さんの胃袋をがっつり掴んでみせるからっ!
ん……して、欲しいの……おねがい、
(できない、と言われると酷く悲しそうな、今にも泣きそうな表情を浮かべて、咄嗟に縋るように、求めるように相手の服の袖口をぎゅっと掴んでしまい、少し間をおいてから自分の手元に視線をやり、ようやく自分がとった行動を理解すると紅潮したまま慌て始め、もじもじと気まずそうに狼狽えつつも掴んだ袖口は離さず、離せずにいて。相手の言葉に驚くと同時にぱああっと表情を明るくし、相手が自分の存在によって安心出来るというだけでも嬉しくてたまらないのに、その上それが出来るのが自分だけなのだとしたらと考えるだけで舞い上がってしまう気持ちが抑えられず、目線を逸らした相手にキラキラとした眼差しを向けながら、浮ついてトーンの上がった声色で喜びを噛み締めて。当の本人は、本で勉強することで簡単な料理が更に楽勝になるくらいの気持ちでおり、ますますやる気が湧いてきたのか、相手の胃袋を掴むつもりでいるようで、自信満々に胸を張りながらニコニコと微笑み、まかせてと元気よく宣言して。火照った頬を撫でられるだけでどんどん顔の赤みは増していき、ぴく、と軽く震えて甘い吐息が漏れてしまい、すっかり相手に夢中になっているような、蕩けた自分の声さえも恥ずかしすぎて逃げ出してしまいたいとは思いつつも、これ程までにドキドキさせられて、こんな状態で相手が離れていってしまうのは寂しく、辛く、それはそれで耐えられそうになくて、とうとう諦めたように潤んだ瞳で相手をじっと見つめると、恥じらいを必死に押し殺し、本音を絞り出すように、吐息混じりのか細い声でお願いと口にして)
昔話…?…あー、えと、…うーん、その。
せっかく来て下さったのに本当にごめんなさい、実はあたし、今……ちゃんとお話を聞ける自信がなくって、い、色々ありまして…!
(昔話と聞き、絵本等でよく見かける童話のようなものを思い浮かべると、正直今はそれどころではなく、せっかく相手が楽しいお話をしてくれたとしても笑顔でいられるかどうか、そもそも相手の話が頭に入ってくるかどうかさえ怪しいため、相手の好意を断るのは心苦しくはあるものの、正直に告げないまま適当に聞き流してしまう方がもっと失礼かと思い、申し訳なさそうに眉を八の字にし、言葉を選んで内容をぼかしつつも、今は桐島さんのことで頭がいっぱいで、昔話を聞く余裕がないと答えて)
…唐突にやられても困るんだろ?なら許可取らねえとできない……お前はどうなんだ?
そうだ、お前以外にはできない、お前以外には居ない。
…まぁ、うん、頑張れよ。
……りょーかい、大人しくしてろよ?
(相手の悲しそうな顔を見ると心が痛むものの、ここでコロッと意見を変えてしまうのも変だなと今更考え、至極真っ当な意見を述べ、許可の有無をまた言い、最終的には自然な流れで相手に判断を請い、袖を握る手をそっと包んで。
嬉しそうな相手を見るともっと言ってやりたいとは思うもののお世辞は苦手なため、本音をそのまま吐き出し、恥ずかしさに外面には見せない羞恥を抱え、言い切って。
相手の考えていることが容易に想像でき、見放したりはしない、そして否定したりもしないと思った以上、疲れた応援しかできず。
自分の欲を多少なり抑え込み、二言告げると軽く唇を相手の唇を当て、先のように当てるだけだと思わせると、その瞬間に相手の唇に強引なキスをし、舌をねじ込むとディープなキスを続け、片手で相手を抱き締め、もう片方の手で相手がどことは言わないが隠さないため、押さえつけて。)
貴女の恋人の大事な話ですが、それでも聞けませんか?
(言い方を変えたとしても言い方が悪かったと考え直すと、聞くのを拒否した相手に、向けてその昔話は相手の恋人、つまるところ桐島三郎の昔話である、と言って。)
っ、どうって、そんなの……、…答えなきゃダメ…?
──桐島さんっ、好きっ!
うふふー、何か食べたい物とかある?何でもどーぞっ?
…んッ…!?んぅ……ちゅ、……ふぅ、…はぁ……、
(答えなんて分かりきってはいるものの、あえて口に出して答えなければならないのは恥ずかしすぎて、尋ねられた瞬間に困ったように真っ赤な顔で俯き、下を向いたままもじもじとしていて、袖口を握る手に触れられているだけでも心臓はドキドキと暴れ続けており、困ったようにおそるおそる質問で返して。相手が口にした言葉も、それをきっぱりと断言してくれたことも嬉しすぎて、相手への愛しさで胸がいっぱいになってしまい、感動した様子で若干涙目になりながら頬を染めると、咄嗟に相手を抱きしめるように両手を広げ、大胆にも感情のままに相手の胸元に向かって抱きつくように飛び込んでいって。相手の考えなどつゆ知らず、きっと自分にも素敵な料理が作れると、そして相手を喜ばせてみせると夢を抱きながら張り切っていて、ニコニコと幸せそうに微笑んで相手の顔を見上げ、軽く首を傾げつつ、食べたい物を確認して。舌が入ってきたことに驚き目を見開いたのも束の間、口内に触れられる度に痺れるように気持ちが良くて、初めて知る感覚に酔いしれるようにあっという間に身体中の力が抜け、とろとろに蕩けた様子でうっとりと瞳を閉じ、すっかり夢中になってキスを受け入れていて、すでに脳内はいっぱいいっぱいで恥ずかしがる余裕もなく、抑えることのできない甘い声を漏らしながら、逃げるどころか求めるように自分から相手にぎゅっと近付いていて)
っ、聞きます!──聞いてもいいお話なら、聞かせてください…、
(大好きな彼の話だと耳にした瞬間、咄嗟に聞くと即答してしまうものの、今は状況が状況であるため、これから振られてしまうかもしれない彼のことを考えるのは辛くもあり、そんな自分が聞いてもいい話なのかという不安もあり、複雑な表情を浮かべて悩ましげに考え込み、それでも大好きな桐島さんのことはちゃんと知りたいし、逃げたくもないと思い、覚悟を決めたようにきゅっと眉を引きしめると、真っ直ぐな瞳で相手をしっかり見つめ、絞り出したような震える声で、話を聞かせて欲しいと伝えて)
ダメだ,答えろ。そうしなきゃしてやんない。
……俺も,好きだぞ?
勉強してから言え,無駄な自信は落胆に続くぞ。
ん…ぐ………はぁっ…,このまま,最後までしちまうか?
(下を向いて話をしない様子の相手の顔を覗き込み,笑顔で,相手が言わないなら自分は永遠にやってやらないと脅しをかけ,掴んでいる相手の手首を艶かしく撫で,もどかしい思いを募らせて。
相手にしては大胆な行動をしたことに少し驚くものの,相手が自分のことを真正面から受け止め,好意をぶつけてくれたのだから,自分も言わなきゃいけないと使命感を感じ,相手をそっと抱擁して愛を囁き。
張り切りすぎは現実に対する落胆と、そして夢見がちな意識も落胆に繋がる,故に先に勉強をさせ,その張り切りが空振らないように相手より考えていて。
相手の考えがまだ巡っていない中誘うのは少し悪いことだとはわかっているものの,こう言う状況でもないと相手は恥ずかしがって許可してくれないだろうと考え,唇を離すと指で相手の胸部をなぞり,相手に一応問い掛けて)
…そう言うと思いました,では,彼の始まりからお話ししましょう。
(相手の言葉に安心したように微笑み、一度話に区切りを付けるためか間を置き,馬の下半身を人間の下半身へ変身させると椅子に座り,相手にも座るよう促して)
……きもちよかったから、もっと、さわってほしい……かも……、
ふふ、なんか桐島さん、いい香りがする…安心する匂い…。
ぅ"ー、わ、分かった。とりあえずお料理も恋愛のことも、いっぱい本読んで勉強するっ。
っん、うん…もっとしたい。
(顔を覗き込まれると、恥じらい故に反射的に視線を逸らしてしまいつつも、大好きな相手にならば手首を撫でられるだけでドキドキして心地よく、そうやって中途半端に焦らされれば焦らされる程、もっと触って欲しいという気持ちは高まるばかりで、視線を逸らしたまま思い切って本音を口にするものの、恥ずかしさは隠しきれず、頬は更に赤く染まり、語尾はすっと消え入るように小さくなっていって。自分に応えてくれるかのように相手に包まれると、嬉しそうにすりすりと相手の胸元に頬を擦り寄せながら愛の言葉を受け止め、幸せでたまらないというようなデレデレとした表情を浮かべて、正直すぎる感想をぼそりと呟いて。料理に関しては謎の自信があるものの、相手の言う通りまだ何も勉強できていない状態なのは否定しようがないため、素直に頷いて。もはやすっかりキスの虜になっており、唇が離れたあとも今にも溶けていってしまいそうな甘い余韻は消えることなく頭の中を支配していて、もっと相手に近づきたいということしか考えられず、無意識のうちに相手の手に自分の身体を押し付けるように身じろぎながら、顔は赤いものの一切迷うことなく、迷う余裕などなく、緩みきった舌っ足らずな声で即答して)
! ──始まり?は、はいっ。
(相手の姿が瞬時に変わるという、まるで魔法のような出来事に目を見開き、始まりという発言からして、相手は桐島さんが生まれた時からの知り合いなのだろうかとその辺も非常に気になり不思議そうに首を傾げるものの、相手が話始める前に色々と突っ込んだり口を挟むのも気が引けて、とりあえず相手に従い返事をし、促されるままに腰掛けると、かしこまった様子で背筋をぴんと伸ばし姿勢を整えて、真剣な表情で相手を見据えて)
……また気が向いたらな。
嗅ぐな嗅ぐな,いやまぁ,安心するなら別に良いんだけどよ。
その調子だ,学んだ事は無駄にはならない,そう考えて精進するんだな。
…じゃあ,やるぞ。
(結局そこまで言わせたものの自分のやっていたことが恥ずかしくなり,意地悪を気取った照れ隠しで相手から手を離し,あらぬ方向へ顔を向けてそう告げ,しかし言ったからには相手がいまして欲しいと言えばやるしかなくなる状態で。
小動物のような相手を見ると微笑ましく思うが、自分の匂い嗅がれていると思うと恥ずかしく,そしてあまり良いモノでもないため嗅ぐなと言うものの,相手が安心するなら,まぁ,良いか,と認可して。
そこまでわかっているなら学んでそれなりのものは作れるようになるだろうと少し安心し,上から目線で応援して。
相手のゆるゆるな言葉でも理解でき,そのまま相手の服を剥くと,そのまま色々と行い,そしてそのまま行為を終えて)
…まず,彼の生まれは今より何千年と前,神がまだこの世界に座を置いていた時代。
古代ギリシャから続く島,ミコノス島,その時の彼はドゥディスと名付けられて生を受けました。
ミコノス島は全能神からの祝福を受けており,その為に彼は何の障害もなく十の年月を過ごしていました。
が,彼の親は突如大嵐に巻き込まれ,命を落としました。
しかし,十歳にして1人で生きる力と知恵を得ていた彼だった故,悲しむ事はせず,自分の生きる道を画策し。
あの手この手で島を渡り,飢えを凌ぎ,当時は賢者ケイローンと呼ばれていた私の元までやって来ると,私に知恵を乞いました。
私は幼子を見捨てる事もできず,知恵を享受し,今までの教え子と同等の扱いをしていました。
…そして彼が知恵を得,素晴らしき青年になった頃。
私が死んだのです。
(まず前提条件がおかしく,彼の言う通りならば桐島三郎もといドゥディスという人間は何千年と世界や生きていることになり,しかしそれはまた違った話のように飛ばし,彼がどうして自分のつながりがあるのか、どうしてそこまで生きているのか,その話につなげ,結ぼうとしたものの,前提条件としてそこから己は死んでいると説明し,一区切りして)
ええぇっ!?ひ、酷い…!
安心する、すっごく癒される。桐島さんの匂い、好き…全部好き。
…ねえねえ、逆に桐島さんの苦手なことってなぁに?
…………っ、
(相手の返事を聞くと信じられないとでも言いたげに目を丸くし、真っ赤な顔で思いっきり抗議の声を上げ、自分の先程の発言に対する恥ずかしさでいっぱいで相手の真意に気がつけるはずもなく、完全に意地悪されていると解釈すると、勇気を振り絞った結果はぐらかされてしまったことがショックで、しょんぼりと落ち込みながら悲しげな表情で酷いと呟いて。嗅ぐなと言われてもお構いなしに、愛しさに身を任せるように相手に擦り寄り続けながら、きっぱりと相手の匂いが、むしろ全てが好きだと呟き、うっとりと瞳を閉じたまま相手にぎゅっと抱きついていて。応援してくれる相手はなんでも知っているような、なんでも出来そうな気がして、改めて凄いと尊敬の念を抱くものの、もしそんな相手にも苦手なことがあるのならば、自分がそれを勉強し、力になることは出来ないかとふと思いつき、軽く首を傾げて相手の顔を見上げると、興味本位で尋ねてみて。幸せな時間を満喫し、ようやく少しずつ冷静さを取り戻すと、先程までの行為、それに対する自分の反応、言動の全てが恥ずかしく思えてきて、頭が回っていなかった反動が一気に押し寄せたかのように慌ててコートを手繰り寄せて身体を隠しながら、ぷいっと身体ごと相手の反対方向を向き、何と言葉を発していいのかも分からずに急に無言になってしまい)
…えーと? ──…?
そのドゥディスさんって人と桐島さんは、本当に同一人物なんですか?生まれ変わりとかじゃなくて?名前も全然違うし、年齢もたぶん……?
あっ、ごめんなさい。と、とりあえず、続けて下さい。
(聞いたことのない島の名前や見知らぬ人物の名前、複雑な話に頭が混乱しそうになりつつも、側にあった紙とペンを拝借してメモをとりながら必死に相手の話に耳を傾け、何とか話についていこうとするものの、やはり一番気になった点は、もしも桐島さんが何千年も前に十歳だったとするならば今の彼とは明らかに年齢が合わず、その上なぜ当時と名前が変わっているのかということであり、話に区切りがついたタイミングで思わず疑問を口にしてしまうものの、まだ相手は全て話し終えていない為、理解が追いつかないながらにも、とりあえず最後まで話を聞いてみようと思い、口を挟んでしまったことを謝り、続きを聞かせて欲しいと頼み込んで)
…今は,我慢してくれ。キツイ。
はぁ…お前がそこまでいうなら,好きにしたら良い。
んー?……俺の苦手なこと,かぁ。
そうだなぁ,薬を飲むのは苦手だ。昔色々あってな。
えっ…,ちょっ…な,なんか気に触ることしたか?痛かったか?
(自分勝手な言い分とは分かっているものの,今,相手の口に指を押し込んで先のような反応をされては理性が焼き切れてしまうように思い,悲しそうにする相手の頭をご機嫌とりのように撫で,我慢してくれと頼んで。
そこまでストレートに好意を告げられると小っ恥ずかしくなり,目線を逸らして相手の言葉を受け取るものの,少し受け取る声をシャットアウトし,すべては聞こえていないが,相手の頭をわしゃわしゃと犬のように撫でて。
相手が小さな興味で聞いてきたのは分かっているものの,そう言われると嘘をつくわけにもいかず,前々から薬を飲むことだけは嫌いで,苦手で,しかし理由は話さず。
そっぽを向かれると先まで身体を重ね合っていた相手とは言えすぐに焦りだし,乱暴だったのか,気に障ったのか,様々な可能性を考慮し,しかしその動機は一つ,相手に嫌われたくない,で,相手に理由を聞いて。)
……いえ,構いませんよ,理由をご説明しましょう。
ドゥディスは彼ではありません,厳密に言えば。
彼の前世です。
分からないとは思いますが,少し聞いていただくよう。
アスクレピオスという医神は,不死の薬を製造した故にゼウスの雷に打たれ,死にました,そして今,彼は正座としてこちらを見ています。
…しかし,彼の作った不死薬,そのサンプルは,どこへ消えたのでしょうか。
……お察しの通り,飲みました,ドゥディスが。
しかし不完全だった故,彼は半不死不老という結論へ至り,ギリシャが滅び,アトランティスが沈み,人の世が統一された後も。
彼は生きていましたが。三千年で,ようやく死んだのです。
…しかし,人間というのは不思議なもので,前世の記憶を赤子は少しばかり引き継いでいて,簡単に言えば。
人は皆前世の記憶を持ち合わせていますが,メモリー不足で古いものから順に消えてしまった。
しかし,この世界の桐島三郎は,メモリーが多かった。
故に前世の記憶を持ったまま,同じ世界で蘇った。
馬鹿げたお伽話ではありますが,これが事実なのです。
(難しい話を絡めているためわかりにくいが、簡単に言えば,桐島三郎がドゥディスの生まれ変わりである,ということだけで。)
きつい?なにが……っ!もしかして、体調悪かった?ごめんね?あたし、いっぱいいっぱいで、気づけなくて…!
えへへ、じゃあもうちょっとだけ、くっついてたい…。
桐島さんも苦いのダメなんだー、あたしも甘い物のほうが好きだから力になれそうにないかも、うぅ~。
う、ううんっ!全然そんなことないのっ、でも、あの……えと、こ、こういうの、慣れてないから、恥ずかしくなっちゃったっていうか──、どんな感じで居ればいいか、分かんなくて…?
(一体何がきついのだろうと、訳も分からないまま頭を撫でられながら、ぽかんとした表情で考えてみるもののさっぱり分からず、もしかして体調が悪い中無理をさせてしまっていたのだろうかという考えに至ると、申し訳なさそうに慌て始め、軽く背伸びをして相手を気遣うようになでなでと頭を撫で返しながら、心配そうに相手の顔を見つめて。好きにしていいと言われて頭を撫でられると、それはそれは嬉しそうに、遠慮なく、抱きつく腕にぎゅうっと力を込めて、大好きな気持ちを全てぶつけるかのように、撫でてくれる相手の手にすりすりと擦り寄り続けて。薬が苦手と聞けば苦い味がダメなのだろうと予想し、何か力になれたらと軽い気持ちで尋ねてはみたものの、自分も苦いものは得意ではないため力になれそうなことはすぐには思いつかず、しょんぼりと肩を落としながら、自分も苦いものは好きではないと残念そうに呟いて。焦っているような相手の様子ですぐに誤解をさせてしまったかも知れないと察すると慌てて相手の方に向き直り、両手のひらを相手に向けて大きく振りながら必死にそうではないと弁解し、しどろもどろで真っ赤になりつつも、慣れていない故に恥ずかしく、どういう反応をすれば良いか分からなかったと自信なさげに説明して)
──じ、じゃあ、桐島さんにはすっごく昔の記憶があるってこと……っ、あ、あの、その桐島さんが…ドゥディスさんが飲んじゃった薬って、他になにか副作用とか…身体に悪いこととか、ないですよね…!?
(自分がとった纏まりのないメモを見ながら、頭の中を整理するように少し考え込み、結論だけは何となく理解したようで、自分の理解した内容が合っているかを確認するように小声で呟き、しかしそんな難しい話よりも、大好きな彼が前世で得体の知れない薬、しかも先程相手が不完全だと言っていた物を飲んだという点が心配でたまらず、おろおろと慌てながら、桐島さんは本当に大丈夫なのかと真っ先に確認して)
そういうんじゃねえんだ……、お前は悪くない。
……そういうのいちいち言わなくてもいい、好きにやれ。
いや苦いのがダメって訳じゃない、本当にこっちの事情で、薬は飲みたくないんだ。
あっ、あぁ…それなら良かった……。
……。
(両手で顔を覆い隠して相手が自分の頭を撫でやすいように屈み、相手から心配されて、更に撫でられるというのは無かったため、温かみがじんわりとしみるのが分かり、撫でられながら相手は悪くないといって。
相手から強く抱きつかれてもその力などたかが知れているため痛がりなどはせず、相手が自分に有無を問い、応えるまもなく自分に擦り寄ると、好きにやれと言ったのだからいちいち許可を取るなと。
相手の予想は外れ、自分は苦いものが嫌いと言うよりその逆、甘いもの嫌いの苦いもの好きであり、それは関係ないため心のうちに留め、昔色々あったから飲みたくないと正直に答えて。
相手が怒ったり悲しんでないことを確認すると安心し、良かったとほっと撫で下ろすものの、相手が言った通り、こっちも初めてでどう今から話せばいいかわからず、相手を見つめながら無言になる、という意味不明な現状になってしまい。)
製造した本人が副作用などないと断言していますが、その実態は分かりません、何せ完成品は砕かれ、残ったサンプルもドゥディスが飲み干してしまいましたから。
ですが、彼の様子を見る限り副作用はありませんね、そもそも身体が別物という部分もありますが、彼は神話上の英雄から指南を受けています、アタランテ、ヘファイストス、ペーレウス、アキレウス、アスクレピオス、ヘラクレス。
その眼は見通すもの。その唇は真実を語るもの。その手は悪しきを砕くもの。その足は全てを駆けるもの。
……今の彼にもその性質は受け継がれている、滅多なことでは死にません、そして何より。
彼がその気になれば、邪魔者がいないこの世界で、不老不死薬を作ることだって出来る。
副作用など、気にする方が阿呆というもの。
(相手の心配はご最もであるが、そもそも前世と今世は身体が違う、今の彼は不老不死ではない、ただの人間、とも言い難い力は持っているものの、副作用などは生まれから今まで見据えてきた賢者がないと、そして医神も断言している、だから、ない、とキッパリ答えて)
それじゃあ疲れちゃった?休む?あたしばっかり気持ちよくなっちゃダメだよね。……はいっ!
好きに……う、うん。じゃあ遠慮なく。
そっか~…だったらいつまでも元気でいなきゃねっ!いっぱい栄養とって、ストレスためないとか…?桐島さんがずっとずっと健康で居られるようにあたしも頑張るっ!
………な、なんか、ごめんなさい…。
(体調が悪いわけではないと分かると少しだけほっとするものの、顔を覆い隠す相手の様子が気になり心配な気持ちは残っていて、優しく頭を撫でながら休むかどうか提案したり、どうするべきか考えていて、ふと思いついたように頭を撫でている手を離すとその場に女の子座りをし、ニコニコと微笑んで相手の方を見つめながら、自分の膝の上をぽんぽんと叩いて合図して。好きに、と小声で復唱しながら何を考えたのか頬を赤らめ、先程から遠慮なく抱きついてしまってはいたが、相手から正式に許可が出たため離れる気はまったくなくなったようで、ドキドキと胸を高鳴らせながら相手のぬくもり、感触、匂い全てを堪能するように、デレデレと表情を緩ませながらぴったりと相手にくっついて。薬自体を飲みたくないのならば、病気にならないようにすること位しか思いつかず、知識も記憶も何もない自分にはありきたりな、当たり前のようなことしか言えないものの、これから先の相手にストレスを与えないようにする、そのために学んだり努力することは頑張れば出来そうだと思い、張り切った様子で、相手の健康のために出来る限りの協力をすると伝えて。自分の返答で無言になってしまった相手と向き合っているのは気まずく、経験豊富だと思っている相手が初めてだとは思いもよらないため、やはり相手は気の利いた反応もできず可愛くない態度をとってしまう自分に呆れてしまったのだろうか、他の女の子と比べてそっちの方がいいと思っているのだろうかと不安になり、先程まであんなに幸せだったはずなのにこんなに気まずくなるものなのだろうか、自分のせいなのだろうかと考える内に相手の顔を見ていられなくなり、申し訳なさそうに眉を下げて震える声で一言謝り、再びそっぽを向いてしまって)
副作用はないんですね。良かった…!
──でも、どうしてあたしにこの話を教えてくれたんですか?
(副作用はない、そのことだけが分かれば十分であり、ほっと息を吐きながら落ち着くように一旦メモを置き、一呼吸置くとまだ腫れて濡れている大きな瞳を相手に向け、不思議そうにぱちぱちと何度か瞬きをしながら軽く首を傾げ、次に気になった点について、桐島さんがドゥディスさんの生まれ変わりだということは何となく理解したものの、なぜ相手が今こうして自分の前に現れ、その話を伝えてくれたのかという点を尋ねてみて)
………いいのか?
どーぞどーぞ。
俺は免疫力が馬鹿高いからな、未知のウィルスでもない限り病魔には侵されん、最近なんか外で流行ってるらしいから外出一切してないし。
外と言えば、お前、どっか行きたいところとかあるか?
なんで謝るんだ!?初々しい反応も俺は好きだぞ!?
(相手が撫でるのを辞めると名残惜しいとは一切思わず、否、思わないことにし、相手が前々から自分が、あざとい、と敬遠していた女の子座り、別称ぺたん座りをすると少し苦い顔をするものの、理由は自分の髪であり、風呂には一応入っているものの、滅多に人が来ないところ故に洗ったりとかは気紛れのため、いいのか?と不安げに聞いて。
相手が言葉を復唱しても、顔を赤くしても、そもそも相手が自分の胸に顔をうずめているため見えず、分からずで、しかし相手がいい気分なのはわかり、撫でて。
相手がいかに頑張ろうと病魔は襲い来る、自分が病魔に侵されるのは仕方の無いこと、相手に責任を感じられるとこちらも困ってしまう、だからその話題を断ち、頑張れ、とは言わず、外の話題に変えて。
相手が震える声で謝罪すると驚愕に顔を歪ませ、なぜ謝ったのかを考えると自ずと答えが見え、すぐに相手をフォローして。)
……星々の合意、善意、お節介。そして何より。
貴女しか、今の彼を愛せるヒトはいない。
(相手の疑問には答えるものの到底理解できないもので、しかし最後、深刻な声のトーンで放った言葉、それだけは、意味が確立され、理解できるもので。)
もちろん。ゆっくり…できるかは分かんないけど、休んで?
…匂いもだけど、桐島さんの手も好き。きもちい…。
行きたいところ?う~ん…、好きな人と一緒に手を繋いで、景色が綺麗なところを歩くのとか、ずっと憧れてるんだよね。デートとかしたことないから分からないけど、2人で美味しい物食べたり、お買い物したり、公園とか遊園地で楽しく遊んだり、くっつきながらお星様を眺めたり…?そういう恋人っぽいことはしてみたいかも。
っ、ほ、ほんと…?
(理由は分からないものの何故か遠慮している相手を促すようにぽんぽんと膝を叩き続けながら、柔らかい笑顔を向けてもちろんと即答して。素直モードに一度火がついてしまえばとことん素直になるようで、すでに抱きついてしまっていることもあり、相手からは自分の表情や反応が見えないこともあり、うっとりとした甘い声色で撫でられた感想まで正直に口にして、満足そうに幸せを堪能していて。突然行きたいところを尋ねられれば宙を見上げて少し考え込むものの、そもそも行ったことがない、行きたくても行けなかった場所の方が圧倒的に多いため希望や憧れを挙げればキリがなく、知識や経験がないなりに何となく行ってみたい、やってみたいと思っていることを深く考えずに羅列していって。相手に力強くフォローされると、予想外の反応にこちらも驚いて目を丸くしながらおそるおそる相手の方を向き、不安そうに、確かめるように揺れる瞳で相手を見つめ、弱々しい声で尋ね返して)
──ッ、………!あの、っ、ほんとに……ありがとうございます、でも、ごめんなさい…。あたし、……っ、も、もうすぐ、振られちゃうかも──っ、うぅ"……!!
(相手の最後の言葉に思いっきり目を見開くと同時に止まっていたはずの涙がじんわりと滲んできて、初対面の、しかも桐島さんの師匠の前でみっともない姿を見せる訳にはいかないと思い必死で堪えようとするものの、何か言葉を発しようとすればするほど声が震えてきて、相手の言葉は有難く、その通りであって欲しいと強く思うものの、先程の霊と桐島さんのやり取りを嫌でも思い出し、桐島さんの方は他の女性でも、むしろ他の女性の方が良いのではないかと考えてしまった瞬間、一気に両目からぽろぽろと涙が勢いよく溢れ出して止まらなくなり、せっかく相手が気遣ってくれたにも関わらず自分が至らないせいで大好きな人に振られて別れてしまうのかと思うと申し訳なくてたまらず、ぐちゃぐちゃの酷い顔を隠すように俯いて両手でごしごしと目を擦りながら号泣し、とうとう弱音を零してしまって)
あ、あぁ……そう、じゃあ失礼して…。
は______あ、お前そういうの良くないぞ、襲いたくなる。
意外とハードルの高いことを言うんだなお前。
ん______どうだろ、景色が綺麗かはわかんないけど、ま、今度そこら辺散歩して、お前の言う通り色々やるか?
ほんとほんと、マジマジ。
(歳は近いがあまり無知な少女にこんなことをさせるのは如何なものかと思うが、相手から提案してきたのだから悪くない悪くないと自分を押し殺し、ゆっくりと相手の膝に頭を置き、寝転がると、相手の顔が見えない方向を向いて。
甘い声色、その声を聞くと可愛さや色々な考えが渦巻き、結局それに通じてしまう自分が嫌になるものの嘘をつきたくないという理由から正直に言い、相手の髪に指を通すと直すようになでて。
相手の恋人っぽいことのハードルが自分からすると馬鹿みたいに高いが、よくよく考えると普通なため、しかしさすがに全てをやることは不可能だから、次の外出ついでに相手とのデートを提案して。
相手の揺れる瞳を前にするとフォローせざるを得なく、そもそもこれ以外の反応を見たことは無いため嘘にはならないと自分を押し殺し、首を縦に振って言うと相手の返事を待ち)
……大丈夫、見ていましたから。
私は誓約上答えになり得るものは言えません。
しかしです、ヒントを与えてやれる。
……いいですか、愛し子、人の子よ。
貴女は振られてなどいません、もう一度、彼と話し合いなさい、そうすれば、きっと、彼の真意が知れる。
(相手の号泣の理由はわかっている、すれ違いと勘違いが起こした事故だ、しかし答え、桐島三郎の心情を全て暴露してしまうのはできない、まず相手の涙をそっと拭き、涙が出ないように頬を抑えると相手の目を見て、冷静にさとしてやり)
……どう…?や、やっぱり普通に布団に寝た方がいいかな…!?
へっ!?え、…あ……、……良くない、の?
え!い、いや、本当に行こうと思って言ったんじゃなくて──、でも、うん。桐島さんがいいならお散歩したいな。
…ふふ、ありがと…嬉しい。
(自分から言い出しておきながら、当然膝枕など初めての経験で正しい姿勢や座り方もよく分かっておらず、いざやってみると意外とかなり恥ずかしくもあり、これで本当に相手はリラックス出来ているのだろうかと不安になり、再び相手の頭を優しく撫でながらおそるおそる感想を尋ね、ついでに相手に逃げ道を与えるかのように布団の方がいいかなとぎこちなく付け足して。相手の言葉に驚いて、擦り寄っていた動きが一瞬止まり、相手の身体に顔を埋めたまま相手の見えないところで耳まで真っ赤になってフリーズするものの、お互いに付き合っていて、こんなにも大好きで、そんな相手に襲われるのは果たして良くないことなのだろうか…と脳内で巡らせていた思考が、相手に抱きついているため非常に小さく篭った声ではあるが、気がつけばうっかり口に出ていて。ただ行きたいところを並べただけで実際に全てを叶えてもらおうなどとは考えていなかったため、ハードルが高いと指摘されると慌てて右手を振って否定し、それでも相手が叶えてくれると言うのなら、本当に相手とデートが出来るのならどんな内容でも舞い上がってしまいそうなほど嬉しくて、期待しすぎないように、相手の負担にならないようにとニヤニヤしたくなるのを必死に我慢しつつ、少し遠慮がちにもじもじしながら素直な想いを伝えて。相手の言い方では本心なのかフォローのための言葉なのかは分からなかったが、不器用な自分の態度に呆れられたりがっかりされた訳ではないことは伝わってきて、それだけで相手の言葉はとても安心出来るもので、ほっとしたように目を細めて微笑むと、まったく慣れておらず可愛げのない自分を受け入れてくれたことが嬉しいと勇気を出して言葉にし、まだ恥ずかしさや気まずさはあるものの、じっと相手を見つめて少しだけ、控えめに相手に近付いてみて)
見てた……あっ。そうですよね…!
う~……、……わ、分かりました…。信じます。このまま何もしないで振られちゃうよりは、ちゃんと話し合ってから振られた方が……っ、……何から何まで、ありがとうございます。
(相手が相手なため、冷静に考えればこれまでの経緯を全て見られていても何ら不思議はないものの、そんな当たり前のことにさえ気づけないほど頭の中はいっぱいいっぱいで、今相手に言われてようやく全てを見られていたことに気がつくと、先程まで必死に話をぼかして回りくどい言い方をしていた自分が少し恥ずかしくなり、ハッと口元を手で覆い隠して。ただしいくら相手の言うこととはいえ、先程部屋を出ていった桐島さんの様子や言葉から考えれば振られていないというのは正直なかなか信じ難く、戸惑っている様子で唸りながら悩みに悩み、ここは相手の言葉を信じてもう一度話し合ってみようと決意するものの、やはり自信はなく、振られる前提の返事をしてしまいそうになったため自分を奮い立たせるように首を振って言葉を止め、もう泣かないようにきゅっと眉間に力を込めると、濡れた瞳で真っ直ぐに相手を見据えて、改めてお礼を述べて)
…自分で休んでとか言ったくせに,そんなこと言うのか?
よくない、壊しちまうからな。
じゃ、近いうちにな、でもその服じゃ無理だな、また何か買ってくる。
……あんまり近づけないでくれ、また襲いたくなる。
(自分でも驚くほど安心できて,眠りに落ちそうになり、相手の言葉で眠気が覚める、しかしその声はこの居心地のいい枕を離すという選択肢を与えてくるもので。
相手から膝を叩いて誘ってきたくせに,自分で逃げ道を用意するのか?と言いたげに。
相手の言葉を聞き,相手を壊してしまうから,とさも当然のように言い返し,、相手の頭を撫で続けると恐ろしげに微笑んで。
相手とデートができる,それだけでかなり嬉しく,内容など二の次,相手と少し考えが合っていることなど知る由もないまま,相手が制服を剥がれてロクな服を着ていないことを思い出すと,相手の纏う勇逸のコートに隙間から指を引っ掛け,クイッと引っ張って。
相手が安心したのを確認して自分も安心するのも束の間,まだ見つめ合っていた相手が距離を詰めてくると互いの熱烈な視線に耐えれなくなり目線を外し,ウブな反応ではあるが脅しのように言って)
…当然のことをしたまでです。
彼を救う選択をできるのは貴女だけ,師として他人任せは恥ずべきことではありますが。
………貴女は愛されている。任せる価値がある。私の恥より,それは上回る。
…あとは頼みましたよ,私は,私達は,見守っています。
そして仲直りした際には,私の名を決して出さないよう。
……では。ペーレウスとドゥディスによろしく。
(相手を助けるのはあくまでドゥディスを助ける為だ,しかしそれ以前に,自分自身言い聞かせても彼女を見過ごせない,故に助ける。星々の総意を独断としたのだ。
これ以上は,相手に任せるしかないと,いくつかの約束と言葉,ペーレウスとドゥディスによろしく,と言い放ち。開いた窓から突風と共に駆け抜けて,空へ駆け上がると,見えなくなって。)
だ、だよねっ?でも、ちゃんと休めてるのかなーと思って…休めそうならいいの。
……?こんなに優しくて気持ちいいのに…?
あ、ありがと…し、下見ないでね…!
……嫌?
(相手の指摘はごもっともなため同意しつつも照れ臭さを隠すかのように早口で言い訳を付け加え、それでも相手がこのままで良いと思ってくれているならばそれは自分にとっても嬉しく、そうであって欲しいと願いながら大人しく引き下がって話しかけるのをやめると、相手に少しでも安らいでもらえるよう、ゆっくりと頭を撫で続けて。先程から自分に触れてくれている相手の手はとても優しくて心地良いため、そんな優しい相手と壊してしまうという発言がどうしても結びつかずにキョトンとし、再び頭をすりすりと擦り寄せてうっとりと撫でられながら不思議そうに尋ね返して。コートを引っ張られるとほんのり頬を染め、引っ張られた部分を覆い隠すように上から軽く手を添えながらお礼を告げ、このまま見下ろされると隙間からコートの中が見えてしまうかもしれないと意識し、赤い顔で相手を見上げると、焦った様子で下を見ないよう付け足して。先程はあんなに幸せな時間を過ごしたのだから、自分としては少しでも好きな相手の側にいたくて、近付きたくて勇気を出してはみたものの、相手に視線を逸らされた上に拒否されてしまえば従うしかなく、言われた通りに近づこうとするのをやめると悲しそうに眉を下げ、自分が近づくのは嫌かと聞いてみて)
ぺーれうす……あ、──えっ?居ない…。
……どうして言っちゃいけないんだろ…?──じゃなくてっ、……桐島さん、探さなきゃ…!
(しっかりと目線を合わせながら相手の話を聞いていたものの、最後に出てきた名前に軽く首を傾げ、自分がとったメモを見返してみればその名前が書いてあったため、先程の相手の話にちらりと出てきた名前だと気がついた瞬間、窓の方向から風のようなものを感じて再度顔を上げて見れば、メモを確認していた一瞬の隙に既に相手の姿は見えなくなっていて、立ち上がり窓の側まで行くと、なぜ相手の名前を出してはいけないのだろうかという疑問を無意識の内に呟きながら窓の外を眺めたまましばらく呆然と立ち尽くし、しかしこんなことをしている場合ではないと我に返れば考えるより先に身体が動き、メモを握りしめたまま駆け出し、勢いよく部屋を飛び出して)
……こんなガキみたいな眠り方,やるのいつぶりだろうな……5,216年前ぐらい…か,な…。
んー……そうだな,男は皆オオカミ,獣なんだよ。
少しぐらいよくねー?少しだけだからさ。
嫌じゃない…嬉しいよ,だけど恥ずかしいんだ。
(相手が何かを喋っていても,喋り疲れて眠くなり,好きな人の膝枕など普通なら緊張して眠れないものだが,例外らしく夢現ながらに喋り,最後にぽろっと言葉を溢すと,眠りについて。
相手の頭を撫でることだけはやめず,段々猫を撫でているような感覚になり,頭だけじゃなく無意識のうちに首筋を撫でたりしていて,しかしそこまで考え込んでいるということでもあり,相手にダイレクトな表現をするのはいかがなものかと思い,はぐらかして。
赤くなった相手を見ると虐めたくなり,相手の隠す手の上に手を覆いかぶせ、軽いノリで退かそうと少し力を込めて笑い言い。
自分の羞恥心は大事であるが,相手が悲しくなるならそんなもの投げ捨て,嬉しいよと言葉を重ねると相手を抱き寄せ,羞恥心は少しだけ残るものの,言葉にすると少し軽くなり)
!?……あ,あぁ、玲,か。
……決まったのか。
(かなりの間考え事をしていたらしく,過剰なストレスか色々な感情を抱きすぎたのか前髪の一部が白くなっており,相手が出てきたことに気付くと少し元気のなくなった顔で薄く無理に微笑むと,疑問形にはせず,離別をするか,決まったか否かだけ聞いて。)
──ふふ、やっぱり、かっこいい…。
んー…桐島さんなら絶対、優しい狼さんだよね。
む、無理ー!し、下、着てないんだから…!
あたしも恥ずかしいけど…、この方が好き。
(相手とは反対に恥ずかしさでいっぱいでドキドキしている内に、いつの間にか相手は寝言かそうでないか分からない言葉を呟いて眠りについており、相手が意識を手放した頃にようやく気持ちが落ち着いてきて、愛しそうに目を細めて相手の寝顔をそっと覗き込めば思わず笑みが溢れ、その姿に思わず見とれてしまいながら、相手が起きている時には恥ずかしすぎて決して言えないであろう本音を小さく口に出し、優しく相手の頭を撫で続けて。撫でられれば撫でられるほど、あまりの気持ちよさに頭がふわふわとしてきて、何も考えられないまま相手に触れられる感覚を堪能しつつ、首筋を撫でられると更に嬉しそうに声を漏らし、もっとと強請るように埋めていた顔を上げ、無意識に相手が撫でやすいような角度で頭を差し出しながら、蕩けきった様子で返事をして。からかうような相手の言葉に更に焦り始め、隠している手を退かされまいとこちらは全力を込めて抵抗し、本気で嫌がっているというよりは、本気で恥ずかしがっているという表現が相応しい様子で、慌てるあまり言わなくてもいいことまで口に出して説明しながら、真っ赤な顔で相手を見つめて。抱き寄せられると恥ずかしさはもちろん、それ以上の安心感と嬉しさに包まれて、やはり好きな人にはくっついていたい、恥ずかしがって離れてしまうより、こうして相手と触れ合っている方が断然幸せだと強く思い、少し恥ずかしそうにぎこちなくもじもじとしながらも、近付いている方が好きだと素直に呟いて)
っ!?え、と……その、…う、うん…?
(てっきり相手は図書室から出ていってしまったとばかり思っていたため、部屋から出た瞬間に相手が居たことにまず驚き、ぴくっと肩を揺らして足を止め、相手の前髪の色が変わり、やつれたような表情になっていることに重ねて驚き、これから相手を探しに行くつもりだったこともあり、感情に任せて勢いで部屋を飛び出したこともあり、心の準備が追いつかず、何も言葉が出てこずに目を丸くしたまま無言で相手を見つめて固まってしまい。驚きでうまく回らない頭でなんとか相手が発した言葉を理解しようとするものの、決まったもなにも、自分の中では端から相手と別れたいなどという選択肢は微塵もないため、噛み合っていない様子の相手の言葉にキョトンと首を傾げて考え込んでしまい、自分の中の相手への気持ちは、結論はたった1つしかなく、〝決まった〟というよりも〝元から決まっている〟が近いような気もするが、とりあえず頷いてみて)
ぐー……ぐー……。
いやぁ、狼なんてみんな怖いし獰猛で盛りがついたもんだぜ?俺が例外とは限らねえよ。
……流石にそりゃやめとくか、お前も乙女だもんな。
…そりゃ、良かった。
(いつもなら静かに眠って寝息を立てているのに、何故か今回だけ馬鹿みたいな鼾をかきながら、それほど居心地がいいのかは彼自身のみ知るため分からず、当然こぼした相手の言葉は聞こえない、だからこそ、静かな部屋で静かではない状態で眠り続けて。
相手に求められると撫でない訳にもいかず、やはり猫なのではという考えが巡るが気にしない事にし、相手が自分のことを優しい狼というものだから、少しぐらい、狼の、獣の怖さを味あわせてやってもいいか?と考えるが煩悩を打ち砕き、笑いながら変わらず撫で続けて。
まさか何も着ていないとは思っていなかったため、相手の手が無かったら相手の色々なところが見えていた、そう考えると途端に恥ずかしくなり手を離し、その話した理由を適当に作り、言って。
相手が自分と触れ合うことが苦手だったりしたらどうしようなどと考えていたため、相手の返答に安心し、優しく相手を抱き締めると耳元でそう囁いて。)
……そっか。一応聞くけどさ。
……俺と、居たいか?
(相手と会話が少し噛み合っていないことは理解しているものの、それもこれも、相手が離別を選べばどうでも良くなる。
相手に答えを聞くのではなく、自分からYESNO問題のような質問を投げかけ、断られる覚悟もしているのか、その微笑みは儚げであり、痛々しげで)
…………。
あたしには分かるの、桐島さんは優しくて素敵な狼さんだよ。
う、うんうん!…あたし、何言ってるんだろう?
っん…ずっとこのままで居られたらいいのに…。
(起きている時は自分より何でも知っていて、強くて頼りになっていつも自分を守ってくれる、そんな風に自分の目に映っていた相手が、今こうして自分の膝の上でこんなにも無防備な姿で眠りについてくれている、それだけ自分に気を許してくれているのだと思うと嬉しくてたまらず、幸せそうに微笑みながら相手の寝顔を眺め続け、その寝顔は普段の相手よりどこか無邪気で幼げに見える気がして、じっと見とれるあまりいつの間にか頭を撫でる手も止まってしまい、ただただ吸い込まれるように相手の寝顔を眺め続けて。脳が蕩けきっていてまともに思考が巡らず、相手のいう狼の意味など深く考えきれていないものの、自分の中で確かに言えることは相手は絶対に優しいということであり、それは今まさに自分を撫でてくれている手の優しさが物語っているため、心地良さに酔いしれて表情を緩めながらもはっきりと即答して。相手が手を離してくれると安心したようにこちらも手の力を抜いて、相手の言葉に同意するようにコクコクと大袈裟に何度も頷くものの、ほっとした途端に先程の自分はなぜ余計なことをわざわざ暴露してしまったのだろうかと別の意味で恥ずかしくなり、真っ赤な顔でもじもじとしたまま、なぜか疑問形で後悔の念を呟いて。抱き締められたまま耳元で囁かれると、耳に触れる吐息にさえドキッと反応してしまい小さく声を漏らして、頬を紅潮させながら自分からも相手の身体にぴたりとくっつき、幸せなこの時間がずっと続けば良いのにと、うっとりとした声色で願いを口にして)
……うん。居たい。好きだもん。
でも──好きすぎて、あたし、すごく我儘で贅沢なこと、いっぱい考えちゃったし、桐島さんのことも、こんなに傷つけて……桐島さんに謝らなきゃいけないこと、たくさんあるし、本当は……居たいなんて、思っちゃダメって、分かってるけど……っ、
(相手の痛々しく繕われたような笑みを目の当たりにし、やはりこれから自分は振られてしまうのだろうと改めて思い知らされると、こちらもどうしても重々しく神妙な表情になってしまい、自分の勝手で我儘なヤキモチのせいで相手を振り回してしまったどころか、自分と居るせいで相手がこんなにもやつれてしまっているのだと思うと、ここで相手と居たいなんて答えてはいけないのだと心の奥では分かっているものの、自分は相手の師匠の言葉を信じると決めたばかりで、何よりも自分の気持ちに嘘はつけず、特に相手には嘘はつけないため、躊躇う様子を見せつつもしっかりと相手を見据え、震える涙声ではっきりと自分の気持ちを告げ、たとえこれから振られてしまうのだとしてもきちんと相手に謝りたくて続けて言葉を紡ごうとするものの、相手の次の言葉を聞くのがたまらなく怖くて、足はがくがくと震え、紡いでいくうちに相手との様々な思い出やたくさんの想いと一緒に涙まで押し寄せてきてしまい、泣かないように堪えるのに精一杯で)
…玲……どこだ……。
お前は後で意味を調べような。俺もそこまで優しくはならないし。
自分で言ったことには責任を持つべし,俺が言えたことじゃないけど。
無限はない,無限は有限を定めてこその無限だ,だけど,その有限の続く限りは一緒に居よう。
(相手の自分を撫でていた手が離れると虚空へと手を伸ばし,相手の名を呼ぶと手をふらふらと振って,相手が手を握ってくれるのを眠りながら待って。
自分の言ったことに疑問を抱くならそもそも言わなければいいのだが,それをするのが難しいのが人間、仕方ないと割り切るのもいいが,ちゃんと直さないといけない。
責任を持つところから、自分もまだできていない事を相手に言ってみて。
相手の耳元から離れると抱きしめたまま,しかし抱きしめている都合上話した言葉は耳元に囁く形になってしまい。
要するに,自分の人生は相手と共にある,そういうことだ。)
……え…?
俺があんな事をして……まだ…,好きなのか?
…違う,違う,俺だってお前といたい,だけど……。
お前の気持ちを分かった気になって…だから,俺となんて居たくない,別れたほうがいい,って思い込んで……。
……俺,お前のコトなんも分かってなかった。
俺だってお前と居たいんだ、傷付いてない,お前が帰ってくるなら,傷付いたって,構わない。
……謝らなくちゃいけないのは俺だ,ごめん。
(相手の言葉で目を見開いて相手の方を恐る恐る見ると,泣きそうになっていることに気づき,自分はわかった体で何も分かっていなかった。
話が噛み合わないのも当然だ,互いに勘違いをして遠ざけていた。
……相手の言葉に悉く慈愛を返し,深く頭を下げて,相手の方へ手を伸ばして,許されるのならば相手とまたいたい,それを体で示して)
ここだよ、ちゃんと居るよ。
ん~…?うん、後でね?きもちいから、今は無理…。
は、はい、……い、今だけ、たまたまだから…くしゅんっ、
な、何かそれ──、
(名前を呼ばれると伸ばされた相手の手を優しく、でもしっかりと握りしめ、眠りながらでも自分のことを考えてくれていることが嬉しくて柔らかな笑みを浮かべ、空いた手で再び相手の頭を愛しそうに撫でながら呼び掛けに答えて。意味を調べることに異議はない、と言うよりもふわふわとした頭には相手の言葉がまともに入ってきておらず、今この心地良さを失ってしまうのは困るため、恍惚とした表情で相手にすりすりと擦り寄りながら、ほとんど何も考えていないような緩みきった口調で言葉を返して。正論すぎる相手の指摘に思わず敬語で返事をするものの、下に何も着ていないのは先程シャワーを浴びたせいでたまたま今だけであり、いつもそうだと思われるのはいち乙女としてかなり不都合があるため、更に顔を赤く染めながらもその点だけは訂正し、湯冷めしたのか、思い出した頃に寒気がやってきてくしゃみをして。抱き締められたまま至近距離で耳元にかけられた相手の言葉は、この良い雰囲気も相まってまるでプロポーズのように聞こえてしまい、勝手にひとりで意識してドキドキと心臓の音が煩くなり、耳の先から首元に至るまで真っ赤になったまま言葉を失って)
へ………?
……あたしの方こそ、桐島さんに呆れられちゃったかと思って、もうあたしとは居たくないのかなって……だから、一緒に居ない方がいいかもって、振られちゃうかもって、ずっと……だってあたし、すっごく我儘で最低なこと思ってたから。あの時…桐島さんが他の人と付き合おうとしたの、本当はすっごく嫌で、モヤモヤして……勝手にヤキモチ妬いてたの。ほんとに、ごめんなさい…桐島さんが誰と付き合いたいって思っても、そんなの自由なのにね…っ、…そ、それでも……ゆるして、くれる……?
(予想外の相手の言葉にこちらも目を見開いて、どうやらお互いにすれ違いが起きていたようだと理解し、伸ばされた相手の手をすぐにでも取ってしまいたかったがそれは出来ず、その手を泣きそうな顔で見つめたまま震える声でたどたどしく心の内を語っていって。霊が少し口を滑らせたとはいえ、きっと相手は自分が嫉妬していたことは知らないだろう、だからきちんと打ち明けて謝って、自分がどれだけ我儘で贅沢なのか、それを知った上で許して貰わなければ相手の手を取る資格はない気がして、不安に足を震わせ、瞳を揺らしながらも絶対に泣くまいと涙を堪えて全てを打ち明け、何を言われても受け入れる覚悟で、頭を下げる相手を見据えて)
……zzz
…あーはいはい,分かったから今は堪能しとけ。
ほんとぉ?……寒いのか?何か着るか?
?…どうかしたか?変なこと言った?
(相手に手を握られると安心しきり,相手の手を握ったまま静かに眠り直して,撫でられると寝息を立て,そのまま,眠り続けて。
今の相手に何を言っても反応しないだろうな,と予想すると,とりあえず今はこれを堪能させて,後々調べさせよう,とちゃんと後のことを考え,自分の理性をしっかりと押さえながら撫でて。
相手が今だけ下を着ていないというのも少し疑問に思い,にんまりしながら真意を問うものの,相手がくしゃみをすると寒いのかと思い,問いかけ,自分の黒コートを脱ぐと相手にかぶせて心配して。
この言葉がプロポーズ的なものになっているというのには気づかないというか,思っていないようで,変なこと言ったのか?と疑問のまま聞いて)
…許す,許さなきゃいけない,そうじゃなきゃ俺も許されない,一度誤った以上,お前はもう謝らないでくれ,俺も謝らない…許されるなら,許すなら,この手を,取ってくれるか……?
(相手を許さないわけはない,そんな理由関係なく,自分も悪い,だが相手も悪い,自分だけに悪を押し付けるとまた相手に責任を感じさせてしまう,だから,言った。
許して,そして相手日も許してもらうために,手を一度引っ込めると差し出し,取ってくれるか,と聞いて)
…夢、見てるのかなぁ?だといいな…。
はぁ…しあわせ……魔法みたい…。
ほ、ほんと!シャワー浴びたついでに洗──って、それはもうよくてっ!桐島さんが寒くなっちゃうからダメだよ。
変っていうか、その……えっと、
(相手がぐっすりと眠る姿に見入ってしまいながら、寝言で名前を呼ばれたことが余程嬉しかったらしくまだ余韻に浸っていて、今頃夢を見ているのだろうか、それは自分の夢なのだろうか、と想像してみればくすぐったいような気持ちになってきて頬を緩めつつ、手を握ったまま優しく頭を撫で続けて。撫でてくれる手がどこまでも優しいからなのか、それとも好きな人に撫でられているからなのか、いずれにしてもただ気持ちいいだけではなくこんなにも心が満たされるのは魔法のようだとぼんやり考えながら、とろとろに蕩けきった甘い声を漏らし、相手の言葉通りにたっぷりと癒されていて。相手の言葉に乗せられたようにムキになって真っ赤な顔で説明しようとするものの、余計なことを口走れば更に恥ずかしくなるだけだと思い直して言うのを止め、湯冷めしたせいで確かに寒くは感じるものの、相手まで寒くなってしまうのは避けたいため、相手がかけてくれたコートを慌てて脱ぎ、返そうと差し出して。相手の反応からしても、こんなに過剰に意識してしまっているのは自分だけだということがよく分かり、何とも思っていない様子の相手にどう説明して良いのか迷ってしまい、紅潮した状態のまま、もごもごとはっきりしない様子でまごついて)
ッ……あり…がと……っ、ずっと……す、好き……!
(はじめてときめいたことを自覚してから今この時まで、相手のことを想わない瞬間などはなく、お互いに誤解してしまっていた間ももちろんずっと相手のことが好きで一緒に居たかった、結果的にすぐ隣の部屋に居たとはいえ、相手が部屋を出ていってしまってから離れ離れになっていた時間はとても不安で、寂しくて、辛くて、長い長いものに感じられて、そんなことを考え、それでもこれから先も相手の側に居ても良いのだと知れば、洪水のようにたくさんの感情が押し寄せ、もう泣かないと決めていたにも関わらず泣かずにはいられなくて、堪えきれなかった涙で瞳をいっぱいにしながら、ゆっくり、愛しさや有り難さを噛み締めるように、差し出された手に向かっておそるおそる両手を伸ばし、遠慮がちに、それでも大切な宝物を包み込むかのようにそっと両手で握って)
………。
俺は魔法使いでもあるからナー,しょうがないよナー。
シャワー室で洗うんじゃない,あそこ他の生徒も使うんだぞ,きったねえし。
俺は寒くていい,寒く感じるならお前が着ろ。
?…言いにくいなら無理して言わなくていいぞ。
(寝息が少しずつ掻き消えていき,相手の言葉以外はこの空間には静寂しか残らず,先の自分の無意識的行動が相手を余韻に浸らせている,とは到底思わず,というか考えることもできなくて。
今の相手ならば何言っても気に留めないだろうなー,と考えると、撫でている手に少し力を込めると自分が魔法使いだのなんだのと普通ならあり得ないことを口にし,変わらず撫でて。
失言を追及することはなく,しかし相手がシャワー室で洗ったことだけは注意し,辛辣な物言いをし,そしてその後すぐに,お前は汚くないぞ!?とフォローを入れて。
差し出されると一度受け取るものの,ごく自然な動作で彼女へコードを掛け直し,主張を曲げないまま言って。
相手が恥ずかしそうにしているということは今のは失言だったのだろうと恥じ,言わなくてもいいと告げて)
…泣いていいんだ,泣きたい時は。それは糧だ,未来へのな。
(相手のことを想って過ごしてきた,相手が来るまでは空っぽで,いつか消えてしまいそうな自分,それをつなぎ止めてくれたのが唐突に現れた彼女だったのだ,それを失い、あまつさえ自分の善意で失うなど,己の善性を疑うこと他ならない,何より,相手を失いたくなかった。
その喜びは大きく,相手と同様涙が溢れそうになるものの,ギリギリで堪え,自分は泣かないのに相手は泣いていいと甘いことを口にし,繋いだ手に頭をそっと当てて)
……ふふ、
そうかも、だってこーんなにふわふわするし、とろとろするし、きゅんってするもん。
…あー、ごめんなさい。実は、洗濯機がボンって爆は…こ、壊しちゃったかも、知れない……です。
ええっ?……さ、寒くないから!
うん……ありがと。
(慣れない膝枕で足が痺れたりしそうなものだが、相手の寝顔を眺めるのに夢中になっているおかげか不思議と疲れを感じることはなく、幸せそうな笑みを零して大好きな人の頭をひたすら撫で続け、握った手を離すことなく愛しさを感じていて。溶けきった脳は魔法使いという相手の発言をすんなりと受け入れ、何の疑問を抱くこともなく肯定し、とうとう語彙力もいつにも増してなくなって、オノマトペで感想を綴りながら相手に身体を預けるように擦り寄り続けて。注意されたことに謝りつつも、それに関連して更に相手に報告すべきこと、謝らなければならないことを思い出せば後ろめたそうにしょんぼりとした表情で俯き、気まずそうに両手をいじいじと動かしながら洗濯機を爆発させてしまったことを今更ながらに打ち明けて。相手の優しさを有難く思う気持ちと、相手の寒さを心配し申し訳なく思う気持ちがせめぎ合った結果、後者が勝ってしまい、強がるような嘘が口をついて出てしまって。抱きしめられているため、今こうして話している相手の言葉も吐息が感じられるほど耳のすぐ近くで聞こえていて、既に意識してときめいている自分にとっては相手が話す度にドキドキと胸が高鳴ってしまい、余計な言い訳をする余裕もなく、相手の言葉に甘えることにして、真っ赤になったままお礼だけを述べて)
桐島さんっ……!!
あたし、これから……ちゃんと強い子に…良い子になるね……っ、
(相手の言葉が引き金となったように両目から大粒の涙がぽろぽろと溢れ、流れ出したそれを止めることもできないまま、我儘でまだ何も知らない、何も出来ない自分だけど、許してくれた相手の優しさを無駄にしないために、これからもずっともっと、愛している人に愛してもらうために、これから変わることを誓いながら、先程の涙とは違い、悲しさではなく相手と居られる嬉しさで、いつの間にか手を離れて床に落ちているメモの存在を忘れてしまうほどに号泣して)
……!
語彙力ゥ……なぁ,これいつ終わる?
そんくらい直せるさ,俺じゃないけど。
…ならいい,コートは着せないぞ。
どういたしまして,レイ。
(しばらく相手の膝枕で眠り,十分すぎるほど堪能すると目を覚まし,相手の膝の上で猫のように手で目を擦ると,周りの様子に目を向けて。
相手の語彙力低下に伴い可愛さが増してきて,しかも延々擦り寄ってくるためこちらも理性の鎖が焼き切れそうになり,嫌ではないが早く終わらないとまずい,と言う形になっていて。
打ち上げられて,謝られてもそれを笑い飛ばし,大丈夫大丈夫と軽く流して,どうやらアテがあるらしく,それも親密な関係らしく,直してくれるさと楽観視して。
相手がコートを受け取らないとわかると,仕方なくコートを引っ込め,しかしその瞬間に相手には着せないと言い,コートを着るためにふわっと浮かすと,彼の香りが相手の鼻腔をくすぐって。
ありがとう,には,どういたしまして,そんな当然のやりとりを,相手と行えたことさえ嬉しくて。)
…ゆっくりでいい,ゆっくり,強く,優しく,それでいて自分らしさを忘れずに過ごしてればいいんだ。
(泣いている相手の背中をあやすようにぽんぽんとたたき,愛せる人を愛し続けるため,ではなく,
愛せる人を愛し続け,それでいて相手に負担をかけさせない,と言う条件を,知らずのうちに自分に加算し,床に落ちていたメモを見つけると,明らかにおかしい動きで宙をメモが飛び,彼の手がそれを相手の眼前で掴んで)
おはよ、…ちゃんと眠れた?
まだ、おわらないで…!
本当っ?ごめんね、洗濯機…っていうか機械みたいなの、初めて使ったから…思ったより難しくて。
ぅ……、
…なんか、ドキドキしてムズムズする感じ。こういうので良いのかな…?すっごく幸せだけど。
(相手が起きるまでずっと手を握りながら頭を撫で続けていて、相手が目を開けてからも撫でる手は止めず、相手の顔を覗き込むようにして柔らかく微笑みかけながら、ちゃんと疲れは取れたかと声を掛けてみて。頭が回っていない今の状態では、いつ終わるかと尋ねられても相手が嫌がっているかもしれないという発想には至らず、たたただ終わって欲しくないという素直な欲求が現れたかのようにぎゅっと抱き着く力を強め、緩みきった口調で終わらないでと懇願して。直せると聞けば少しだけホッとしたように恐る恐る顔を上げて相手を見つめ、それでも申し訳なさそうに眉を八の字に下げて、洗濯機どころか機械の類いにまともに触れるのは初めてだったことを告げて。寒くはあったものの、コートを引っ込められると相手が寒い思いをすることはなくなったと安堵し、しかし同時に漂ってきた相手の香りにドキッとしてしまい、強がってしまったことをほんの少しだけ後悔し、相手からコートを奪いたい訳では無いもののどこか勿体ないことをしてしまったような複雑な気持ちで、無意識のうちに相手の方をじーっと見つめていて。誰かとお付き合いをするのは初めてで、恋人としてどのようなことをするのが正解かなど分かっておらず、特別なことは出来ないししていないものの、自分は相手とこうして触れ合っているだけで幸せで、恥ずかしいけれどとても充実した気分になっていて、相手にとってもそうであればいいなと願いながら、こういうので良いのかなと控えめに、照れくさそうに呟いて)
っ……?……あー!それっ…ダメー!!
(涙で滲んではっきりしない視界とろくな思考ができない頭では、相手が目の前で紙のようなものを掴むのを見てもすぐにはそれが何であるか理解出来ずに首を傾げるものの、時間差でハッとして自分の右手を確認し、先程まで握りしめていたメモがなくなっていることに気がつくと目を見開いて大声を上げ、内容を読まれてしまう前に返してもらおうと、オーバーリアクションであたふたと慌てながら、相手の方に必死に手を伸ばして)
……取れたよ,だから撫でるのを一旦やめてくれ。落ち着かない。
ッ……あーはいはい!分かりましたよ,しばらくこうしてやる。
あとで使い方とか色々教えてやるよ,それなら安心だろ。
……コートが欲しいのか?やっぱり。
そう言うのでいいんだよ,人は贅沢し過ぎるとそれが当然に思えて堕落して,そして傲慢になって,求めて,求めて。
_______最後には自滅するんだ,愚かな人間は。
(目を覚ますと相手から撫でられる感覚を頭を通じて味わい,少し堪能するが相手に聞かれると答えないわけにはいかず,取れた,と答えると,撫でられたままでは落ち着かないと相手の手を取って撫でるのをやめさせて。
相手から率直な言葉をぶつけられて,意地悪してやろうと言う気持ちもわかないまま,相手の言う通り,しばらくこの通りにしてやると仕方なく言って。
申し訳なさそうな相手とは裏腹に全く気にしていないらしく,それどころか相手が使い方を知らないなら自分が教えればいい,相手のやること,学ぶべきことが増える,それは,悪いことではない筈だ。
物欲しそうな視線を感じると相手の方を見て,微笑むとコートをまた脱ぎ,相手の頭にパサっと被せて,そうすると彼の香りがダイレクトに伝わってきて,しかし彼自身は寒いのだろうな,程度にしか思っていなく。
謙虚で今ある幸せを噛み締める,それは良いことだ,だから,今の幸せを壊さないように謙虚であり続ける。
少なくとも,自分はそうありたいと昔何かを見たような遠い目で呟き,最後の言葉には憎しみがこもっていて。)
……少し離れてくれるか。
……はぁーーーーーーー。
(相手が叫んだ瞬間にメモの中身が目に入り,表情を歪めると少し悲しそうな顔をして,そして相手から離れると,少し距離を置き,メモを目で追い見ると,そのあと,呆れたような,軽蔑するような,そんな長い長い溜息をつき,顔を手で覆って)
あ!う、うん、そうだよね!
んふふ~、桐島さんだいすきー。
良いの?嬉しい!機械とか使いこなすの、ちょっと憧れてたんだよね。
っ……あ、ありがとう。寒いから、借りるね…!
──桐島さん…?
(改めて指摘され、更に手を取られると、今まで相手の頭をずっと撫で回していたことが途端に恥ずかしくなり、相手の言葉に勢いよく頷きながら同意し、一瞬で頬を真っ赤に染めると覗き込んでいた顔を逸らして。幸せな時間がまだ続くのだという安心感と嬉しさで胸をいっぱいにして、ほわほわと満足げに微笑みながらなんの躊躇いもなく大好きと口にし、その気持ちを表現するかのように相手にくっつき、擦り寄り続けて。洗濯機をはじめとした家電、電子機器の存在は一応知っていたものの、これまでは実際に見る機会、ましてや使用する機会など皆無で、純粋な好奇心からそれらに憧れる気持ちがあったため、相手の言葉にキラキラと瞳を輝かせて喜んで。再びコートを被せられれば、相手の微笑みと、何よりも自分にとって魅力的すぎる香りの誘惑に耐えられるはずもなく、相手の好意を再度突き返すような勿体ない真似が出来るはずもなく、素直に借りることにして、香りを意識して何となく恥ずかしくなり、顔を隠すように両手でコートを手繰り寄せると、コートですっぽりと覆われた顔が大好きな匂いで包まれて逆効果だったようで、ますます真っ赤になり、ドキドキと鼓動が早まるのを感じながら、それを誤魔化すように寒いからを強調してお礼を述べて。相手の様子がだんだんと、この幸せな雰囲気に似つかわしくなくなっていくのを感じ取ると、不思議そうに、心配そうに緩く首を傾げ、相手の顔色を窺うように覗き込んで)
あ…あー、………本当にっ、ごめんなさいっ…!
(必死にメモを返して貰おうと足掻くものの叶わず、メモを目を通す相手の姿を為す術もなく見つめながら、何も言葉が出てこないまま絶望したような表情になり、相手の居ないところで勝手に過去の話を聞いてしまったことか、それを相手に黙っていたことか、相手の師匠に名前を出さないように言われていたのにこんなにもあっさりとメモを見られてしまったことか、それともそれら全てか、自分でも何が申し訳ないのか分からないほどに焦り、混乱しているものの、とにかく相手にも相手の師匠にも顔向けが出来ないほどの申し訳なさを感じてしまい、読み終えた相手の反応を見ればその申し訳なさは確信へと変わり、せっかく仲直りが出来たにも関わらず今度こそ終わったと強く思い、言い訳のしようもなく、相手の師匠と約束した手前余計なことも言えず、この世の終わりかのような顔をしてただ一言力なく謝ると、俯き気味に視線を落として相手に背を向け、逃げるようにとぼとぼと図書室を出て行こうとして)
…もしかしてずっと撫でてたのか?俺を?
分かってるよ、何度も言われなくたって分かる。
だけど俺が教えるのはあくまで使い方だ、手伝ったりはしない。
はいはい、寒いからな、暖かい服で居ろ。
……!、どうかしたか?
(相手の慌てた様子と、自分の何かに撫でられ続けて形が変わっている髪を触って知ると、膝枕から起きるとその場であぐらをかき、真正面から相手に聞いて。
脳が蕩けている相手に言葉は届かないとしても、何度も言われると恥ずかしい、だから、十分そうなのを装って相手の口を手で塞いで。
相手から期待を寄せられると途端に自信がなくなり、しかも自分は使い方を知っているだけで予報外のことが起きたら色々と、所謂レシピ通りには料理は作れない、アレである。
しかし引き下がる訳にも行かず、言い切って。
寒いから、という相手の意見を信じ、自分のコートを預けると微笑み、何ならあげたっていいが、それはさすがに自分が寒いな、と自分で考えて苦笑いして。
心配そうな声が耳に届くと我に返ったように笑って、どうかしたか?ととぼけたように聞いて。)
…待て、待て。
待ってくれ。お前は、会ったのか?ケイローン先生に?
(この紙に書いてあったことなどどうでもいい、相手が先生に何を言われてようが吹き込まれてようがどうでもいい、
ただ、この場から去ろうとする相手の手首をすんでのところで掴むと、彼の目じりに涙が溜まっているのが見え、そんな中でも、相手は本当にあったのか、と聞いて)
ま、まっ、まさか!ず、ずっと…じゃないよ、ずっとじゃ…、
むぐ……、……ッ!
もちろん分かってるよ。自分でしなきゃ花嫁しゅ──じゃなくてっ!練習にならないもんね!
…でも、これじゃ桐島さんが寒いよね。
桐島さんこそ、どうかしたの?すっごい顔してたよ…?
(図星をつかれてあからさまに動揺してどもりながら、相手の方を見ることが出来ずに真っ赤な顔をぶんぶんと激しく左右に振り、寝顔に見とれていた間は撫でる手が止まっていたような気がするのであながち間違いではないと、誤魔化すように、半分は自分自身に言い聞かせるように早口で唱えて。口を塞がれるととろんと細められていた瞼を見開いて驚き、驚いたことで脳の働きを多少は取り戻したようで、直前の自分の発言、相手との近すぎる距離、口を塞がれているこの状況、どれをとっても恥ずかしくなり、頬を色付かせて目を丸くしたまま相手を見つめて固まって。元から使い方だけ教わればそれで良いつもりだったようで、浮かれるあまりうっかりと心の声、家電の扱いに憧れていた魂胆を漏らしてしまいそうになりながらもすぐに言い直し、ニコニコと嬉しそうに微笑みながら学ぶ意欲に燃えていて。相手の寒さが心配なのは紛れもない本心で、しかし相手の良い香りがするコートを手放したくないのもまた本心で、借りたコートをしっかりと両手で押さえて頭ごと覆いながら幸せに包まれ、その手は全くコートを手放す気がないのに言葉では相手の寒さを案ずるという、一見矛盾しているかのような不思議な状況になってしまっていて。相手が何を想っていたかなど分かるはずもなく、先程感じた相手の様子の違和感をうまく言語化できずに稚拙な表現になってしまうものの、心配そうに、不安げな表情で相手を見つめて尋ね返してみて)
! ……………それは……い、言えない…、
(手を掴まれて咄嗟に首だけで振り返ると相手の涙が見えて罪悪感に押し潰されそうになり、目を合わせることが出来ずに顔を逸らして、相手に背中を向けたまま悩みに悩んで言葉に詰まり、それでもここで相手の師匠との約束を破ってしまえばわざわざ自分に話してくれた好意を、相手の師匠の気持ちを踏みにじることになる、そんな事をしてしまっては取り返しがつかなくなってしまうような気がして、かといって大好きな相手に嘘をつけるはずもなく、後ろめたさでキリキリと胸が痛むのを必死に堪えながら、弱々しく震える声で言えないと答えることしか出来なくて)
ずっとじゃない。
だって〝手が止まってる時があったから”とか思ってるだろお前,それはずっとって大体は一貫して言えるんだよ。
……?,もういいのか?まだ終わらないでとか言ってたのに。
え?なに?武者修行?
お,おう,そうだ,教えるから頑張るんだぞ。
大丈夫大丈夫,何のために毛布があると思ってる。
いつでもどこでも被る為だよ。
…あれ,こっちの方があったかいな,交換するか?
んーー……特に何もないぞ、ダイジョーブだ。
(同様している相手を眺めると大体予想でき,相手が思っていることを当てるマジシャンのように,相手の逃げ道を華麗に塞いで行って。
相手が擦り寄るのをやめ,羞恥心を今更感じていることなどつゆ知らず,相手が先まで甘えながら言ってた言葉を言って,相手の羞恥心を仰ぎ。
相手の言葉をとんでもない聞き間違いをして,相手がなにを言っていたかは気になるもののアレな事かもしれない為突っ込まず,同意して応援することしかできず。
ごそごそと部屋の隅っこに置いてあったダンボールを漁るとその中から暖かそうな毛布が出てきて,彼はそれを被ると,グッ,と相手へハンドサインだと思うものを送り、もしかしたらこっちの方が暖かいのでは,と思うと交換を申し出て。
相手の表現からして見られていたことは消せない,しかしこちらが否定し続ければ相手をあまり追求はできまいと考えるとバレバレな強がりをして。)
…そうか……そっかぁ……。
しょうがない______________ッ!?
『……我が名はペーレウス!アルゴー号の一員にして,イアーソーンの友!
賢者ケイローン!我が名に紐付けられしギリシアの賢者よ!
貴殿の誓約を今一度口にしようではないか!
《子供を悲しませてはならぬ》
《弟子を殺めてはならぬ》
《知識を露見させてはならぬ》
だがどうだ!子どころか弟子が悲しんでいる!蠍を牽制するのも飽きたであろう!どうだ!今一度弟子に顔を見せては!』
(相手が言ったならば言うつもりはないのだろう,仕方ないて割り切るしかない,そう考えると,また,ケイローンに会えないと分かり涙がぽたぽたと流れ落ち,相手は悪くないとフォローを入れようとした瞬間に,荒れ狂う風が突然空いた窓から吹き込まれ,窓から流れるように入ってきた青年,彼女のメモに書いてある名を高らかに叫ぶと、星座を見上げてそう叫び,三郎は無意識のうちにレイを庇うよう抱き寄せ,しかしそれは敵意ではなく,そもそもこの人物に問題があるらしく)
な!なんで分か──み、見てたの…!?
…ッ!?ち、違……言ってないもん!
そうそう武者修行、武者修行!武者修行大好きなんだよねー!
いっいや!交換しない!!…あ、暖かいなら桐島さんがそっちにして…!?
…そう……、
(見事なまでに心の声を言い当てられると、目を丸くして相手の顔をまじまじと見つめ、思いっきり焦った様子でなぜばれてしまったのか考えを巡らせ、撫でているところを見られていたとしか思えないという結論に至ると、図星だと認めたも同然の言い回しで見ていたのかと尋ねて。恥ずかしすぎる発言を相手にわざわざ繰り返されると身体中が熱くなって茹でダコのように赤く染まり、耐えられずに勢いよく相手から離れ、相手とは反対側の壁際までダッシュで逃げると、手で顔を覆い隠しながら顔を左右に振り、言っていないと言い張って。武者修行は聞いた事もなく知らない言葉だったが、都合よく相手が聞き間違えてくれたため適当に乗っかり、コクコクと何度も大袈裟に頷きながら知識もないのに話を合わせようとして。相手が毛布を被るのをコートの隙間から確認し、安心して微笑んだのも束の間、交換というとんでもない言葉が聞こえると激しく焦り始め、この幸せを失ってたまるかと言わんばかりに過剰反応してコートをがっしりと押さえつけると、必要以上に強めに交換を拒否し、不自然さを誤魔化すように、暖かい方を相手に譲るという言い訳をぎこちなく付け足して。明らかに相手が何か隠していることは察したが、人に言いたくないことがあるのは仕方がなく、隠し事をされるのも別に構わないと心の中で言い聞かせながら大人しく引き下がるものの、気がかりなのはその内容で、先程相手が呟いていた言葉が自滅など何やら物騒だったため、何か危険なことがあるのではないかと、ただただ相手の身が心配で、これ以上尋ねはしないものの、どこか心細そうにしょんぼりとしていて)
!?──な、なに……誰……?
(相手の涙に心を痛めるものの、突然窓が開いたことにも強風が舞い込んできたことにも驚いて咄嗟に固く目を閉じ、知らない声が聞こえてくると怖くて目を開けることが出来ずに、怯えた様子で小さく震えながら抱き寄せてくれた相手にぎゅっとしがみつき、目まぐるしく変わる状況に理解が追いつかないまま、おそるおそる絞り出した声は消え入りそうなほど小さいもので)
いんや,見てない。だけど分かる,あとお前それ自白と同じ,もう理由を言う必要もねえぞ。
いや言ってたろ,強がるなって。
………へぇ?,そういえばなんだけど。何とか修行って言葉,俺もう一つ心当たりあるんだよな。
花嫁修行っつーんだけど、お前には関係ないよな?
分かったよ、こっちがよかったらいつでも言うんだぞ、お前に風邪とか引かれたくない。
…………あーあ、言うつもりはなかったんだけどなぁ。
…トロイア戦争って、知ってるか?
(理由と言うのはまぁ、何となく,勘である、それで当たってしまったのはなんか自分が相手のことを熟知している気持ち悪い奴みたいで嫌で、だからとりあえず相手が自白したのをうまく使い,言う必要ないな,と答えて。
相手が逃げてしまうとどう見ても強がりだとわかり,言い張る相手に一瞬で距離を詰めると壁に追い詰め,世間一般では壁ドンというのだろうか,それをして強がるなと軽いノリで言って。
あぁ、嘘ついてるな,と瞬時に理解すると相手がこれ以外で修行と口にする言葉など心当たりしかなく,とりあえずカマかけるように花嫁修行と言って見て。
相手の側まで近寄るとコートの隙間から相手の額をさすさすと撫でて体温を確認し,風邪をひいて欲しくない,引かれたくないと相手を心配して言い。
相手が引き下がってくれたが,それもそれで後味も胸糞も悪く,仕方ないと言わんばかりに自分の額を手で押さえると,相手の知らないであろう名を口にして。)
ぺッ,ペーレウス!?何だお前!何しにきた!ケイローン先生に助けてもらってトロイア戦争の火種放って最後には目立たない死に方した恥晒し!!
(んー?と辺りを物色するように見回す粗暴そうな男,しかしその態度は至って冷静で,少なくとも礼儀も何も知らぬ荒くれ者ではないようだが,三郎は相手へ罵詈雑言を浴びせ,しっしっ!と追い払うように手を振り,玲をギュッと抱きしめ続けて)
あ。……桐島さんの寝顔見てたら、ここがきゅんってして、つい……。
…!?ッ……!
えっ!?も、もちろん!全然!関係な──関係、ないんだ……、
っう、うん……絶対、こっちの方が良いから……!
せ、戦争……?
(相手の言葉にハッとしたようにもうバレバレなのを自覚すると、イタズラが発覚してしまった子供のように後ろめたそうな様子で相手からゆっくりと視線を逸らし、許可なくひたすら撫でられていたことを相手がどう受け止めるかが分からない以上、まずは謝るしかないと思い、ほんのり頬を染めながら自分の胸元に手を当てると、おずおずと気まずそうに、ずっと撫でていたことを改めて打ち明けて。相手にとっては深い意味なく行ったであろう所謂壁ドンという動作は、既に逃げ出してしまいたくなるほど恥ずかしがっていた自分にとってはただただ恥ずかしさに追い打ちをかけるだけの、ある意味凶器でしかなく、脳内はパニック状態で、あまりの威力にドキッと心ごと射抜かれたように言葉を失い、茹でダコのように紅潮したまま瞳を湿らせ、フリーズしてしまって。一度は失言を聞かれていないと思い安心しきっていたため、相手の口から飛び出した言葉に思いっきり不自然に焦って真っ赤になりながら、花嫁修業などもちろん自分には全然関係ないと否定しようとするものの、自分で言っていて悲しくなり、何よりも相手から見ても自分と花嫁修業は関係ないと思われていたことが少なからずショックだったようで、カマをかけられていることなどつゆ知らず、がっくりと肩を落とし、弱々しく呟きながら俯いて。近づかれ、額に触れられると、相手の香りに包まれていることもあって、いつも以上に相手のことを過剰に意識してときめいてしまい、相手が触れている部分に身体中の熱が一気に集まるかのように顔が熱く、赤くなり、このまま触れられていると火照っているのがばれてしまいそうで、何よりもときめきに押し潰されてしまいそうで自分が耐えられそうになく、本当に発熱してしまいそうな、クラクラしてきたような気がして、相手の手を避けるように軽く身を引きながら、コートより毛布の方が良くなることは絶対にないと返して。耳にした名前は当然知らないものだったが、さすがに戦争という言葉くらいは何となく知っており、正式に学んだわけではないため知識はないものの、危険で物騒なイメージを持っており、ますます心配そうな声色で、不安げに眉を下げて相手を見つめて)
ちょ、…桐島さん?あ、あの人、お友達じゃないの…!?
(相手の口振りからして、突然現れた青年は相手の知り合いのようだと何となく察すると、ようやくペーレウスという名が先程相手の師匠から聞いた、自分がメモにとった名前と同じだということに気がつき、おそるおそる目を開き、キョトンとした表情で相手と青年の姿を交互に眺めながら自分なりに考えてみれば、見知らぬ青年に対する恐怖心や警戒心はまだあるものの、相手の師匠が青年の名を出し、彼によろしくと告げて去っていったくらいだから悪い人物ではないのではないか、もしかして相手の友人か何かではないのかという考えに至ると、そんな友人らしき人物を邪険に扱うような相手の態度が心配になってきて、相手を見上げながらきゅ、と軽く服を引っ張り、思わずヒソヒソ声で口を挟んでしまい)
それが恋だよ玲クン,ま,怒るつもりはないぞ,心地良かったからな。
?……おーい?生きてるかー?魂飛んでないかー?
いやぁそうだよなぁ?まさかどっかの男の為に花嫁修行なんてする訳ねえもんなー,だって。お前が名前も知ってて深く関わってるの,俺ぐらいだもんなぁー?
そっか,ならいいんだ。
幾千の時を遡る戦争の話だ,どこぞのペーレウス名乗る英雄が。
『この場に居る我が妻の次に美しい女性へ!』と結婚式の際にブーケトスをした。
その場にいた,ヘーラー,アプロディテ,その他1人の女神様がなぜか美意識故にそれを取り合い。
それを収集する為にパリス王子が投げ込まれたが,結果的に不和となり,トロイア戦争の引き金となった。
要するに神々の自意識が起こした馬鹿みたいな喧嘩だ。
(相手が白状し,謝る相手を見ていると,正に恋,純粋なる恋の形,それをすぐに感じ取ると相手を指差してそれが恋だと今更のように諭したあと,誤ったことに対して怒ってない,むしろ,と言葉を返し,ありがとうと伝えると頭を撫でてやり。
相手のフリーズには何度か経験ある気がするがそれはそれとして,いつも通り相手の眼前で余った手をひらひらと振ると,起きないならと優しく抱きしめて。
相手が否定して落胆しているような姿を見るとやはりというか何というか,分かりやすいと感じると更にカマをかけ,自分のために花嫁修行をしてくれているのか?と多少期待を込め。
にこりと優しく微笑むと手を離し,相手の感情など知る由もなく,いやこちらも中々に恥ずかしいとは思っているが表には出さず。
そしてその場からも立ち上がると,部屋に散らかっている本を拾ったり整理したりを始めて。
相手からすると危険なイメージだろうが,残念ながらその通り,何人も死ぬし何千と無駄死にする。しかしそれを隠すつもりはないのか,まるでその場に立ち会っていたかのように感情を込めて説明して。)
馬鹿言うな!ケイローン先生な知り合い,アルゴノーツの乗員,それだけだ!そもそもアイツは星座になんてなってないどころか死因が不明なほどトロイア戦争では影が薄いんだぞ!中言い訳あるか!
(相手がそんなことを言い出すとぎょっとして,相手の肩を掴むと相手がどれだけ自分と接点がないか,それとなぜこんなところにいてはおかしいのかを大声ながらも怯えないように多少なら調整して教えて。)
恋…んふふ。あたしも──だからこんなに心地良かったんだね、撫でられるの。
! ……生きてる、けど、死んじゃいそうだから…!離して…?
っ……あ、あたしだって、お嫁さんに憧れたり……花嫁修業くらいするもんっ!
──っ、あれ、ほんとに熱い……?…ちょ、ちょっとだけ、休も…、
そんなことで……でも、女の子なら可愛く居たいって気持ち、ほんのちょっとだけ分かっちゃうかも…あたしにはこうして桐島さんが居てくれて、可愛いって思われたいのも桐島さんにだけだし、一緒に居てくれたら他に何も要らないくらい幸せだけど。もしそうじゃなかったら、あたしだって──、
(相手の傍に居るといつも感じる暖かな気持ち、それに改めてはっきりと〝恋〟という名前を付けて貰えるのは、相手のことを撫でていた先程の行動だけでなく、相手に対して抱いている大切な気持ちごと認めて貰えたようで心が救われ、満たされる思いで、相手に触れたくなる気持ちと同じくらいに相手から触れられると心地良く、きっとこれも恋なのだろうと考えれば驚くほど腑に落ちてすっきりと晴れやかな気分になり、もし相手も同じ想いで居てくれたのならこんなに嬉しいことはないと、穏やかな表情で微笑みながら幸せを噛み締めるように撫でられていて。抱き締められるとハッと我に返るものの、壁ドンからの抱擁、そしてその前に自分がしでかした大胆な言動の数々、これらが重なった状況では嬉しさより恥ずかしさが勝り、今だけは相手の抱擁すら、更に自分をドキドキと追い詰める爆弾を投下されたようなもので、本来ならば有難いはずのシチュエーションを満喫する余裕もないままに、紅潮しきった顔でじたばたと身じろぎ、逃げ出そうとして。恥じらい故に必死で誤魔化し、隠そうとしていた花嫁修業への憧れだが、他でもない相手から自分がする訳ないと断言され、その上相手以外のどこかの男の人が候補に入っているような言い方をされるのは不服でしかなく、カマをかけられていることなど全く気付かずにムッと頬を膨らませて相手を睨むと、自分だって花嫁修業くらいするとムキになって反論してしまうものの、それが目の前の相手の為であることは言わず、言えるはずもなく。相手が自分から少し離れて本の整理を始めると、自分も手伝おうと立ち上がり、後を追いかけようとしたが軽い眩暈に襲われふらついてしまい、そこでようやく恥ずかしさから解放されても身体の火照りが治まらず、どこか様子がおかしいことに気がつくと、壁を支えに何とか立っていようとするものの身体が熱くてクラクラして顔を歪め、諦めたように壁にもたれ掛かりながらズルズルと力なく座り込むと、わざわざ相手を呼び戻すのも気が引けてしまい、少し休ませて貰おうと、ぐったりとその場で目を瞑って。相手が語ってくれた内容は、戦争になる動機としてはあまりにも単純で些細なことに思えてしまい、目を丸くすると思わず本音の呟きを漏らすものの、切ないことに、単純で些細だからこそブーケを取り合ったという人達の気持ちが少し分かってしまう部分もあり、もしもほんの僅かに状況が異なり、何かの歯車が狂っていたならば聞かされた話は決して他人事ではなく、自分だって些細なことから争いを起こしてしまうかもしれない、現に相手に出会うまでは知らず知らずの内に犯罪を繰り返しながら生きていたのだからと、そんな風に相手の話には思うところが存分にあるようで、感情の込もった相手の話し方も相まって感情移入してしまい、まるで自分のことのように神妙な面持ちで俯き、言葉を返して)
き、聞こえちゃうから、あの怖い人に!…でも、あの人は桐島さんに用事があって来たっぽいよ…?
(相手の大声に驚いてぴくりと肩を揺らすものの、大声に怯えるというよりは見知らぬ青年に警戒心を抱いて怯えており、そんな青年のことを相手が大声で影が薄いなどと言うため、青年の気に障ってしまうのではないかとそちらの心配をしているようで、相手の大声を止めるためにこちらも声を張って訴えかけるものの、焦って怯えるあまり、訴えかける自分の声が大きいことを自覚する余裕は皆無で。相手はこう言うものの、青年の方は相手に用があって来たと考えるのが自然であり、おそるおそる青年の方へチラリと視線をやりつつ、何か用があるのではないのかと言ってみて)
そそ,恋は甘い毒だ,思い人無しじゃ生きられない,そんな毒,ただ共にあれば甘いだけ,そう言う毒なんだよ。
……嫌でーーす!
…へぇ,誰の?誰のお嫁さんに憧れてるんだ?
?……!?,玲!………風邪?…いや熱か?助けてアス_______はい分かってます,地上にいる限りは貴方の医力には頼りませんよ,アドバイスお願いします。
それだけならまだ可愛いもんだ。
トロイア戦争は始まる際に盟約を結んでいた。
神々は手を出さないこと。だ。
……それがまぁ,見事に破られまして,神々はダイレクトに手を出し,その結果,戦争は激化,関係のない者達まで駆り出され,無意味に死んだ。
有名どころで言うならアキレウス,パリス,ヘクトル,色々と有名だけど,そのうち2人,アキレウスとヘクトルは死亡確認した。
アキレウスは人生の半分以上を戦いに注ぎ込んだらしいが,弱点であるかかと,アキレス腱をパリスに射抜かれて死亡。
ヘクトルはアキレウスの鉄戦車に三日三晩引き摺り回されてオーバーキル。ひどいもんだよ
(自分も相手に恋をしている,しかし相手は恋というものを本質的には理解していない,なら適当なこと吹き込んでもバレないのではなかろうか,と少し考えてしまい,恋は毒だと例え,まぁ,恋は盲目ともいうし,あながち間違いでもないだろうと笑いながら伝え。
相手の姿を見ていると急に離したくなくなり,身体を捩らせる相手の唇にキスをし,相手が大人しくなるまでそのキスを続けて。
相手がムキになることも想定の範囲内,だから返しは。
そう,相手が憧れているというなら,誰の嫁に憧れているかを聞く,女として憧れているというのは当然だが,今の相手なら多分狼狽えるだろう。そう考え何気なく聞いて。
相手が倒れたことに一瞬で気づくと持っていた本をそばに置いて急いで駆けつけ,相手の額や身体を触って確認し,どちらか医学力がない為判断がつかず,誰かに頼ろうとするものの思い出したように呟き,しかし結局アドバイスを貰い、相手を寝転がすと流石に裸体を見るわけにはいかないと目をつぶってコートを脱がすと代わりに布団をかけ、色々と誰かに聞いていて。
相手が言うレベルだったのならまだマシだった。
神々はルールを破ってドンパチ始め,何人も関係のない人が死んだ、そして,彼はその2人の英雄の死に立ち会ったような口ぶりで話して)
『…ドゥディス,俺の伝説は見ていないか?活躍と最後,俺は最後まで本に記されているぞ。
それを知らぬか?己が無名の弟子とはいえ嫉妬はよくあるまいて。
……それはそれとして,お前の隣にいる女,16を越えているか?ならば俺と契約せねば。
そうすれば俺はようやく天より自由になれる。』
「あ”あ”ん"?喧嘩売ってんのか無能,ダイダロスの剣と祝福の権能があってようやく一人前の半人前剣士がよォ。
俺は俺にまつわる本を全て焼却したんだよ!今も生きてる奴がさも何千年も前に活躍を終えたみたいな書き方されるのは尺だからな,故人が。
手前にはその女は勿体無い,それに俺の女だ,手ェ出すならまた天に縛るぞ,クソジジイ。」
『……やるか?若造。』
「やれよ,老いぼれ。剣を抜け。」
(ペーレウスと呼ばれた青年は見た目に反して以外と粗暴では無かったものの,初っ端三郎を煽り。
何が,ならば,なのか分からない理論で玲に詰め寄ると三郎に手首掴まれて止められて。
そして血走った目でペーレウスを睨む彼は玲を守る為に言っているものの本人の意見そっちのけで未だ腰にあった矢を引き抜くと,長さを利用して槍のような構えをし,そしてペーレウスは一応と言わんばかりに問いを投げ,答えを得ると。
彼を上から睨みつけ,と腰にあった鞘から剣を抜き,玲と彼から何歩か距離を置くと,剣を肩に担ぎ,今まさに死合おうと言う状況に,自然となっていて)
…そんな素敵な毒なら、いっぱい浴びたい。桐島さんと一緒に。
(毒という言葉に一度は怯えるような素振りを見せるものの、相手と共に居たくて堪らなくなるような、相手の傍に居れば甘く幸せになれるような毒ならば、そんな毒に溺れてしまうのも悪くはないのではと考えてしまって。相手への真っ直ぐな気持ちごと恋という毒を受け入れるかのように、満更でもなさそうに薄く色付いた頬を緩ませ、相手の胸元に擦り寄って)
んんっ…!?──ぅ、ふぅん……ッ、
(恥ずかしさでいっぱいということはそれだけ相手を意識しているということ、そんな中で甘いキスをされてしまえば驚きに目を見開いたのも一瞬のこと、あっけなく身体の力は抜け、痺れるような気持ちよさにふわふわとしてきて頭が回らなくなり、うっとりと吐息を漏らしながら目を閉じ、素直にキスを受け入れていて)
だ、だ、誰のって……!──っ内緒!!
(誰のお嫁さんになりたいか、答えなど分かりきっているものの、面と向かって本人に告げるのは恥ずかしすぎるのは言うまでもなく、更に相手にどう思われるかが非常に不安だという観点からもハードルが高すぎて、軽々しく答えられるはずもなく、困ったようにまごつきながらますます赤く染まっていくばかりで。誰のお嫁さんか尋ねなければ分からないほどに自分の愛は相手に伝わっていないのかと思えば、それもそれで悲しくて。いたたまれなくなり睨んでいた視線をふいっと逸らすと、どうして良いか分からず真っ赤な顔ではぐらかすように、投げやりな言葉を返して)
……っごめ……んね……。
(湯冷めしたせいか、慣れない出来事が立て続けに起きたことによる疲労のせいか、原因は分からない上に風邪なのかどうかも不明ではあるものの自分が体調を崩してしまったことは間違いなく、弱々しく瞳を開くと、すぐに駆けつけて助けようとしてくれている相手の姿を薄目で確認して申し訳なさそうに謝罪の言葉を絞り出し、それ以上の元気は出ずにぐったりと横たわったまま再び目を閉じ、表情を歪めて火照るような辛さに耐え続け)
──っ……でも、どうして今、その戦争のこと……、
(伝えられた内容は自分が理解するにはあまりにも規模が大きく、想像を絶するもので、おそらく自分には半分も理解出来ていないだろう、それでも分かる範囲で想像してみても耐え難いほどに無残さが伝わってきて胸が締め付けられ、衝撃的な内容に言葉が出てこずにただ息を呑んで。しかしまだ、この話と先程の相手への違和感がうまく繋がらず、なぜ相手が大昔の戦争のことにこんなにも詳しいのか、そしてなぜ先程のように恨めしそうな表情をしていたのか、尋ねて良いものか迷い躊躇いつつも、ここまで聞いてしまったのだから触れずにはいられず、おそるおそるその疑問を口にして)
……?──ッ!?!?
桐島さんっ、怒らせちゃダメっ!
っあ、あのっ!…契約って何の話ですか?あ、あたしに出来ることなら何でもしますから!お、お願いします、桐島さんに怪我させないで下さい……!!
(契約など全く意味の分からない話についていけずにキョトンと首を傾げるものの、青年に詰め寄られるとびくりと身を強ばらせ、怯んでいる内にみるみる険悪な状況になっていくのを感じ取りながら表情が青ざめていって。何も出来ずに立ちすくんでいたが、二人が武器を取り出したのを視認すると目を見開き、恐怖心も一瞬で吹き飛ぶほどに焦り、相手に青年を刺激しないようにと涙目で訴えかけながら、考えるより先に身体が動いて二人の間に割り込み、震える足で相手の目前に立ち、何の契約なのかはさっぱり分からないものの相手が傷付くよりは遥かにましなはずである、真っ直ぐに青年を見つめながら何でもすると告げ、納刀するように必死で説得して)
(/長くなってきましたので、ロルを分けてみました。不都合がありましたら元に戻して下さい…!(蹴り可))
ダメだ、毒は毒なんだから。
それに、俺は誓った、次死ぬまでに、愛する人を幸福にしなければいけない。
だから、毒なんかより幸せっつー大量の感情に溺れてくれれば、俺は満足だ。
(自分からそんな毒を説明しておいてなんだが、毒は毒なのだ、相手に浴びせるわけにはいけない、何せ、毒には嫌な思い出しかないどころか、憎むしか感情が生まれない。
だが、そんな事より相手を幸せにする、その誓を果たす。
相手には、そんなものに溺れて欲しい、そう考えて抱きついて来た相手の頭をゆっくりと撫でて。)
……はい終わり、無理やりキスなんてして悪かったな、お前の言う通り、離してやるよ。
(相手がうっとりとした表情になった瞬間に唇を離し終わりと言い、強引なキスをしたことを誤り、そして相手が身動ぎして自分から離れようとした、その願いを叶えてやる。
だから、相手からぱっと手を離して)
えーー……俺じゃねえの?俺以外居ないだろ。
(意地悪のし過ぎも良くないな、と考え、相手がフイっと顔を逸らしてしまうと、納得のいかない抗議の声を上げるものの、仕方ないと思い、相手が内緒といったのは。
まぁ要するに、居る、ということで、それで接点があるなら、まぁ、自分しかいないワケで、そういう簡単な理論の末、相手に言葉を当然のように投げかけて)
…静かにしろ、病人は黙って医者の言うことを聞いて眠れ、それが出来ないならそのまま眠れ、その内に済ませる。
(病人の相手にしゃべらせてお礼を言わせるのはただただ相手に負荷をかけているだけに過ぎず、それからもう眠っていてくれと思うと、相手が耐えている事を知り、眠ってくれと大人しく伝え、苦しそうな相手の頭をそっと撫で、眠れない子を寝かしつける親のように。)
……当時の俺の盟友が、その戦で戦死した。
死体は無惨にも本人か分からないほど荒らされ、アイツが誉れとして付けていた輝く剣と銀のペンダントは全て奪われているか、ひび割れて輝きを失っていた。
相手の軍は英雄の誉れを踏みにじり、油断を許さず、不意打ちで殺した、そしてペンダントがひび割れていたのは…。
それは神があいつを見捨てて加護を消したことに他ならない、憎まずに居られるか、神なんて、結局はクズばかりだ。
トロイア戦争も起こしたのも神、大きくしたのも神、人を死なせたのも神、簡単に収束できたのも神。
それをしなかったのも神。クソ野郎だ、滅ぶべきして滅んだんだよ、ざまぁねえ。
(相手に聞かれるとしばらくの沈黙を貫くものの、思い出せば思い出すほど彼の顔は憎悪に歪み、そして哀しみにも浸り、憤怒と悲哀の入り混ざるなんとも言えない表情になるものの、最後の最後で、神という存在を嘲笑する時、それだけは、本物、曇りのない真っ直ぐな嘲笑いで。)
「玲!?前に出て……いやそれ以前に!馬鹿言うな!お前は俺の女だ!」
『……ふむ、確かにそうだ、契約の説明をしようか。
マドモアゼル、私はこの世に厳戒する為に楔を用意する必要があるのです、それは番であり、何より愛し愛される関係となる地上の女性、否、感情など不要。
繋がれている、その事実さえあれば、私は楔から解き放たれる』
「……よし改めて思った、お前に玲は渡せない。
玲、何度でも言う、お前は俺の女だ、まさかこんなクズの願い、聞き届けたりしないよな?」
(突然眼前に飛び出してきた玲に2人とも驚き武器を落とし、一瞬でひろいあげるもののその瞬間に玲の肩を掴むとこちら側に三郎が抱き寄せ、俺の女だと堂々と宣言し。
そして契約内容はとんでもないもので、どう考えても迂闊に結んでは行けないもので。
そしてそれを聞くと玲の答えを待つまでもなく三郎が玲を抱き寄せ、守るように言って、一応というか保険として、聞いて。)
幸せなら、もういっぱい貰ってるよ?今も…、こんなに幸せだらけでいいのかな。
(相手と出逢えたこと自体が最大の幸せであり、相手と一緒に居られることも、優しく撫でられ甘い愛を注いで貰えることも、贅沢すぎるくらいに幸せで。毒という代償がなければ、この恋はひたすら甘くて幸せで、自分にとってあまりにも都合の良いものであるため、嬉しすぎる反面、こんなに幸せで良いものなのか、いつか反動がきて罰でも当たってしまうのではないかと呟きつつ、それでも出来ることなら相手と一緒に幸せに溺れたくて、幸せを噛み締めるように、甘えるように、抱きつく腕にぎゅ、と力を込め)
え……?あ、
(相手の唇が離れてしまうと、寂しいようなまだ物足りないような、何とも言えないもどかしさを感じ、悲しげな声を漏らしながら、離れていく相手を引き止めるように、咄嗟に伸びた右手で相手の服を掴んでしまい。気まずさや後ろめたさ、恥ずかしさがぐるぐると入り交じった複雑な表情を浮かべ、濡れた瞳で求めるように相手を見上げて黙り込んで)
ッ!………。
(聞こえて来たのは自分にとって当たり前すぎる内容で、もちろん図星だったため、ピクっと大きく反応して身体を揺らし、顔を逸らしていてもばれてしまいそうなほど耳の先まで真っ赤になり。相手の口から正解を言われてしまえば否定できるはずもなく、否定なんかしたくもなくて、紅潮した顔をおそるおそる、ゆっくりと相手の方に向けると、無言でこくりと控えめに頷く、というよりもそのまま俯いてしまって)
……ん…、
(意識が朦朧とする中でも相手が誰かとやりとりをしているような気配は何となく感じ取っており、相手の口から医者という言葉が出てくると誰と話していたのだろうかと軽く疑問を抱くものの、その疑問を深く考える気力はなく、苦しみに耐えながら返事にもならない声を絞り出し、言われた通り目を閉じていれば、次第に意識が遠のいてきて、眠ったか気絶したかは定かではないが、いつの間にか気を失っていて)
そんな……、…あたし、何にも知らなかった…。
(何の知識もない自分は相手の話を聞くまで、神様に対して清らかで神聖なイメージを漠然と抱き、万能で完全な存在であるかように認識していたものの、相手の話はそんな自分の無知さや呑気さが憎らしく思えてくるほどに壮絶なもので。大昔の戦争のことも神様のことも、何より大好きな相手の過去も相手が抱えている思いも、自分は何一つ知らなかった。そんな自責の念に襲われてしんみりと呟き、相手の悲しみを少しでも拭えたら、相手の気持ちを少しでも晴らせたらと心の底から願うものの、今の自分に出来ることなど何も思いつかず、無知で無力な自分を責めながら、無意識の内に相手の手を取り、ただ握りしめることしか出来なくて)
…はぁ…!?
聞くわけないでしょー?絶対にイ──…そ、それは出来ませんっ…!
(青年の言う契約が予想外すぎるとんでもない内容だったため、信じられないと言いたげにあからさまに顔を顰めてしまい、相手が自分を庇うように抱き寄せてくれたことも相手の言葉も嬉しくはあったが最早それどころではなくて。契約内容への嫌悪感を隠す余裕もないまま、相手を見上げながらそんなお願い聞くわけがないと強めに否定し、その勢いで絶対に嫌だと言いかけるものの、そこでようやく多少の冷静さを取り戻し、武器を持っている青年を怒らせたくない、相手に危害が及ぶようなことにはなって欲しくないと思い直すと、喉元まで出かかった本音をぐっと飲み込んで青年の方を向き、なるべく穏やかな口調になるよう心がけながら断りを入れて)
幸せなんていくらあっても困んないんだ、貰えるものは貰っておけ。
(相手は心配をしているが、考えてみると幸せは毒であり、恋こそが根源の毒、それはつまり、毒を既に2人ともたっぷり浴びているということに他ならない。
だがそれは言わず、抱きついている相手の頭を優しく撫で、貰えるものは貰っておけと言って。)
もの欲しそーな顔してんなぁ、自分の口で言ってみな、何して欲しいんだ?
(相手が自分を引き止めるとニヤリと嫌らしく笑い、相手の方へ振り向くと相手の顎をクイッと指で上げ、何して欲しいのか、自分の口で言ってみろと。)
やっぱりな、俺はいつだってウェルカムだぜ、近いうちに高校生の結婚が国に認められるらしいしな、正確には18歳から成人扱いになる、ってことだが。
(相手が頷くと、やっぱりなと予想通りだったらしく、バッと手を開き、相手を招くように相手が自分の胸に飛び込んでくるのを待つものの、結婚自体は時を経たないとできない、早く適応されろ、と思いつつ口にし、相手が来るのを待って)
……ぐー………ぐー………フゴーッ………
(しばらく相手を誰かの指示のもと看病し、よく冷えたタオルを相手の額に、そしてあまり暖かくするのも現状相手の病では良くないという言葉を聞き、まぁとりあえずと薄めの布団を裸の相手にかけて、その相手のすぐ近くで看病を終えて、場所を選ぶ余裕もなく相手に背中を向けて謎の寝息と寝言を放ちながら眠っていて)
知らなくてよかった。
知る必要がなかった。
知らせたくなかった。
…これに尽きる。
(聞かれたら答えるつもりだったが、結局自分の不注意で話す理由を作ってしまった、そんな自分が言うのもなんだが、3個、言わなかった理由を上げ、握られた手を握り返すとこれに尽きると言い切って)
『______ならば、我の流儀にて貰い受けるのみ』
「…シッッ!
逃げるぞ!玲!」
(玲の否定を聞いてしばらく何かを考える仕草をしていたが、ダイダロスの剣を持ち直すと刺突の構えをして短くそう告げると、例を抱き寄せていた彼が靴のつま先で突然飛んできた剣先を上にズラし、避けるが。
靴の先端が持つはずもなく足の親指から少し出血する、しかし動けると判断したのか、玲のをお姫様抱っこするとすぐ近くと扉から外に出て、さらに廊下の窓をこじ開けるとそのまま飛び降りて)
そうだよね………やっぱり困るかも。あたし、桐島さんのことばかり考えてる…、
(幸せすぎて困ることなんてない、相手の言葉に一度は同意するものの、撫でられてほわほわとした気分になっていくにつれて、相手の傍に居れば居る程どんどん相手を好きになっていく自分に改めて気がついて。勉強したいと思うのも努力したいと思うのも、可愛くて良い子になりたいと思うのも、生きていたいと思うことさえ、思い返してみれば自分の意欲の根底には全て相手の存在があって。気持ちよさそうに撫でられながら、本当にこんな調子でいいのだろうかと、幸せすぎる状況で幸せすぎる悩みをぽつりと零して)
い…いじわる……。
(相手の表情からして、こちらの気持ちを知った上で言わせようとしているのだろうとすぐに察し、それが分かっていてもやはり直接言葉にするのは恥ずかしく、真っ赤に染まってしまい。相手の言動全てに余裕があるように思えて、自分ばかりがこんなにいっぱいいっぱいなのは悔しくて。悔し紛れに悪態をつき、潤んだ瞳でせめてもの抗議に相手を睨みつけてみて)
や、や、や、やっぱりって!な、なんで、どうして知っ──うぅ、
(ぽぽぽ、まさにそんな音が聞こえて来そうなくらいに更に顔に熱が集まり、反射的に顔を上げて。必死に誤魔化したはずなのに既に相手にはばれていたという事実が恥ずかしさに拍車をかけ、余裕もなく冷静さの欠片もない今、あわあわと大きく身振り手振りしながら先程の会話だけでなぜばれてしまったのかと焦りまくり、しかし目の前で腕を広げている相手の姿を見ればすぐにでもその胸に飛び込みたくなってしまうくらい、単純に相手にベタ惚れなわけで。結局は相手が受け入れてくれたことへの嬉しさと正直すぎる欲望が勝ち、自分の言い訳などどうでも良くなって、諦めたように小さく唸ると真っ直ぐに相手の胸元へ向かっていき)
ぅ"っ……!ッ!?
──はぁ、はぁ……、…夢……?桐島さん……、
(どのくらい経っただろうか、大量の汗をかきながら酷くうなされて目を覚ますと、夢から覚めたはずなのに苦しくて堪らず、掻き毟るように強く胸元を押さえながら荒い呼吸を繰り返して。ようやく意識がほぼ戻ってくると、眠っている間に自分が見た映像を思い出すように頭を抱え、言うまでもなくそれはお世辞にも良い内容とは言い難いものだったようで、リアルすぎる映像が果たして本当にただの夢だったのかと考え込んで。そのうち無性に何処かの何かに呼ばれているような気がしてきて、自分の意思とは関係なくふらふらと立ち上がり、すぐ側で眠っている相手の姿を視界に捉えるもののその場に留まることはなく、ただ切なげに名前を呼ぶと、覚束ない足取りで図書室を後にして)
……それでも、あたしは聞けてよかったと思う。正直ね、聞いた話だけじゃ神様達のことはまだよく分からないし、神様がどうとか、そういうことは全然言えないんだけど……。でも、桐島さんがどういうことを経験して、どういうことを思いながら生きてきたのか、あたしは知りたいし、知れて良かった。もしかしたら単純で、バカっぽいって思われちゃうかも知れないけど……桐島さんのことが大好きだし、これからも桐島さんと一緒に居たいって思うから。だから、話してくれて、ありがとう。
(相手にとっては言いたくなかったかも知れないし、そんな相手の考えを何も知らずに追求してしまったことを申し訳なく思うものの、話を聞いて後悔する気持ちは湧いてこなくて。自分が軽々しく言葉を返してはいけない気がして、軽々しくコメント出来るような内容でもないものの、それでも自分の素直な気持ちは、例えどんな内容であっても大切な相手のことは知っておきたい、これからも知っていきたい、知った上で出来る限り力になりたい、そうやってずっと一緒に居たいというもので。少し躊躇いながらもありのままの本心を告げ、辛い話をさせてしまったことに罪悪感を抱きつつも、今はごめんねより、話してくれたことにありがとうと伝えたくて、握る手にきゅっと力を込めて)
! 桐島さ──えっ、ちょ……、
な、何する──ッ!?きゃあああああ!
(突然のことで、動きも速すぎて、正確には見えなかったものの、見るからに危険な行動で剣先を防いだ相手のことが心配になって思わず呼びかけようとしたが、相手に抱えられたことにより遮られ、代わりに驚きの声を漏らして。あっという間に廊下に出ると、窓を開ける相手に再び驚いて目を丸くし、何をするつもりなのかと抱えられたまま騒ぎ、見ていられなくなって窓に向かっていく瞬間にきつく目を瞑り。まさかとは思ったものの身体が宙に浮く感覚に完全にパニックになり、必死に相手にしがみつきながら悲鳴を上げて)
それで別に良いだろ、俺にはお前が必要でお前には俺が必要,違うか?
(相手の欲の根底の全てに自分があるとして、それはそれで良い、互いに互いを必要とし、相手を行動の根源とする、それもまた愛の形だろう。
だから、相手の頭を撫でながら違うかと聞いて。)
へぇー、なら何もしなくていいな?俺意地悪だもんなー。
(相手は自分のことを意地悪と言う、なら自分は意地悪く相手を虐める、だから、睨まれて仕方ないと、相手を愛でるのはやめよう、相手が自分をいじわるというのだから、仕方ないだろう?と言いたげな目で相手を見下し、言って)
おーよしよし、いい子だなー、正直なのは好きだぞー。
(相手が諦めて自分の胸元に擦り寄ってくるとそっと抱きしめ、愛子を愛でるように頭を優しく撫でてやり、相手の耳元でダイレクトな好意をぶつけて。)
ぐー………ぐー………タマ…ネギ……はっ!?
(相手がこの場を去ってしばらく後、呑気に眠っていた彼は目覚め、謎の寝言の直後に瞼を開けるが、相手がいないのを確認すると飛び起き、周りを見回すものの痕跡が無く、自室のドアをぶち開けると探し初めて)
…その言葉が、1番ありがたいよ、玲。
ありがとう。
(記憶に変なコメントをされるよりは触れられない方が気が楽で、だから、相手の愛を確認できて、それでいて優しさのみちる手が握ってくれる、それが一番嬉しく、にこりと微笑むと握り返して)
ジリ貧だぞこりゃ……玲、走れるか?
(しがみつく相手を他所に綺麗な着地をし、そのまま学校内を駆け、その内ペーレウスは2人を見失うものの見つかるのは時間の問題、だからせめて、相手だけは逃がせるか、走れるのか、と聞いて。)
違わない。違わないから、もっと…ずっと一緒に居たい。
(相手のことでいっぱいな自分を受け入れて貰えるのなら、相手にとっても自分を必要として貰えるのなら、ありのままの恋心を否定する理由などもうどこにもなくて。撫でられている頭を上げて真っ直ぐに相手の瞳を見つめると、恥ずかしさに頬を染めながらも嬉しそうにはにかみ、相手の言葉をきっぱりと肯定して)
や、やだ……いじわるしないで…?
(向けられた視線と言葉に困ったように眉を下げ、何もしてくれないのは嫌だと答えるものの、それ以上の願望を口にするのは躊躇われ、先程の甘いキスの余韻と現状の恥ずかしさで火照った頬はますます紅潮し、もじもじしながら濡れた瞳で相手を見上げると、何かを訴えかけるような、助けを求めるような眼差しを向け返して)
好き…?じゃあ、もっと正直になる…!
(抱き締められて頭を撫でられると、それだけで相手に触れている箇所が痺れるようにきゅんとして心地よく、あっという間に幸せで満たされていって。耳元で告げられた好きという言葉にドキドキして鼓動が早まり、一瞬で真っ赤になると、相手が正直なのが好きならばもっと正直になる、そんな真っ直ぐで単純な想いをぽつりと呟きながら相手にくっついていて)
……呼んでる、帰らなきゃ……、
(意識こそあるもののその目は虚ろで明らかに様子がおかしく、衣服を纏っていない自分の姿にも何の感情も抱いていない、というよりも全く気にも留めずにそんな事には気が付いていないようで。何かに導かれるようにして校舎の屋上まで辿り着くと、迷うことなくある一点を見つめながら覇気のない声色で呟き、ふらふらとふらつきながらその方向のフェンスまで歩み寄っていき、よじ登ろうとしているのだろうか、そのままそっとフェンスに手をかけて)
これからも…何かあったら、何でも言ってね。言いたくないことを無理やり聞こうとは思ってないの、でも、桐島さんのことはもっと知りたいから。
(相手の微笑みに少し安心したように笑みを返し、結ばれた二人の手に視線を落としてじっと見つめながら、繋がれたこの手のようにいつまでも強い絆で繋がっていたい、そのためにたとえどんな内容であっても自分は大好きな人のことを知っておきたいと強く思い、そんな正直な気持ちを照れくさそうに、遠慮がちに、けれどはっきりと言葉にして)
ちょ、ちょっとなら……!速くないけど……、
(飛び降りの恐怖や驚きで混乱し、表情も青ざめていて、ろくに身体に力が入りそうにないものの、そんな事を言っている場合ではなく逃げなければならないという事は理解しており、少しなら頑張れそうだと答えるものの、元々筋力など皆無な上に腰が抜けてしまいそうなこの状況化である、不安げに相手を見つめ、走れたとしても速くはないと付け加え)
…はは、一応言っとくぞ。
後悔すんなよ。
(最後の警告、と言わんばかりに、はにかむ相手の唇に指を押し付け、少しだけ笑って表情をなんとも珍しく、転々と変えると、最終的には相手と同じようなほほ笑みをして)
言え、そうしないとやってやんねー。
(相手がどれだけ訴えかけ、助けを求めても、今自分は意地悪なのだ、意に介するワケもない、だから、そう。
子供っぽく、もじもじしている相手の首筋を人差し指で一瞬だけ撫でて。)
すまないがドストレートに好意をぶつけられるのもちょっとぉ…
(自分はダイレクトな好意をぶつける割に、相手からのストレートな好意を何度も受け取ると爆発するレベルで羞恥心が溜まる、だから、まぁ、自分勝手ではあるがもごつきながら言って)
______どこへ帰る。お前の場所は此処だろう?
桐島 玲。
(文字通り死にものぐるいで駆けずり回っていたが、上から見下ろせばいいという考えに至って階段を飛ぶようにして駆け上がっていたものの、誰かいるのを悟ると息を整え気配を消し、少しだけ寄ると声が届き、だからそのまま。
相手の方へ手を差し伸べ、相手の脳内に、精神に、真名を語ることで直接的に干渉し、声を届かせて。)
…いつか、また、話す時が来たら話すよ。
(結ばれた手は離さない、離せない。呪いだろう、それは確かに呪いで、毒だ、しかしそれは人を溶かすワケでも、殺すワケでもない。
共依存の毒だ、自分自身は知らぬうちにたっぷり浸かっている。
だからこそ、ここで一気に話してしまうのはもったいない、後で、後で、ゆっくり話していこう。)
「ならダメだ!何せアイツは……」
『大英雄 アキレウスの親父、だからな、俊足は親譲りだ』
「知ってたよちくしょう!玲!お前逃げろ!
くそ……《一騎打ちの戦火》だ!逃げるなよ!ペーレウス!」
(久々の超絶技巧戦闘がこれだ、当然体にもガタが来るし、疲労がドッと溢れ出てくる、今の自分では相手を抱いて逃げ切れる自信が無いし、しかも相手は俊足の英雄の親、遅いわけもない、少なくとも自分に追いつけるのは明確。
そう考えた言葉は律儀に扉から…否、扉を蹴破った音で掻き消され、思った通りの回答をする。
そしてこのままじゃマズいと思ったのか、1階ということを利用して窓を指さし逃げるように伝え。
そして指に灯った小さな火をペーレウスに飛ばしてそう叫び)
しないよ、するわけない。自分の気持ちに嘘つく方が、後悔するに決まってるもん。
(相手を求めるこの気持ちが愛だろうと毒だろうと、それが自分にとって大切な気持ちであり、今の自分が幸せであることに変わりはない。自分の想いをはっきりと受け入れてくれた相手に背中を押されるように、自分自身の中でも既に決意は固まっていて、答えなど一つしかなく。清々しいほどに真っ直ぐな瞳で後悔などしないと、むしろこの恋心を否定してしまう方が後悔すると、きっぱり言い切って)
っ……さっきの続き、して欲しいの……、
(確実に相手はこちらの考えを把握している、把握した上で言わせるつもりで、言葉にしなければ絶対に自分の望む展開にはならない、それを改めて確信すると、紅潮した顔ごと視線を床に落として困ったように考え込んで。たった一瞬首筋に触れられただけでもピクリと反応してしまい、ドキドキと期待は高まるばかりで、焦らされているようでもどかしく。もじもじと下を向いたまま、直接的な表現こそ出来なかったものの、今にも消えてしまいそうなか細い声でぽつりと呟いて)
何それぇー?そんなの分かんない。難しすぎる。もっと分かりやすく、あたしにも出来るように言ってー?
(正直なのが好きなのにストレートすぎるのは駄目、相手の言葉を耳にするなり顔を上げて不服そうに頬を膨らませ、相手を軽く睨むと冗談混じりにポコポコと両手で交互に相手の胸元を叩いて抗議して。曖昧なさじ加減など分からないから、自分にも分かるように、自分にも出来るような言い方で好みを教えて欲しいと、こちらも勝手で我儘な内容ではあるものの、好きな人の好みに近づけるなら近づきたい、そんな素直な想いを隠すことなくぶつけて)
! 桐島さん……どうして……。
──変な夢、見たの。それだけじゃなくて、あっちの方から呼ばれてるみたいな、吸い寄せられそうな感じがして……。
ねぇ、桐島さん。あたし、本に呼ばれてるんじゃないのかな…?このまま此処に居ちゃ、いけないんじゃ……、
(背後から聞こえた声にハッと目を見開いてゆっくりと振り返るものの、フェンスにかけた手は離さずにいて。相手の声が届いたおかげか虚ろだった目は晴れ、正気に戻った様子だが、その表情は未だに晴れず、重苦しく思い悩んでいるような、憂いを帯びた雰囲気で。どうして相手は自分の場所が分かり此処に居るのか、そしてどうして自分はこんな所に居るのか、二つの意味での〝どうして〟を呆然と絞り出しながら、相手と、そして自分自身と向き合うようにぐるぐると考えを巡らせてしばらく立ち尽くし、ようやく少しは状況を整理できた頭で屋上に来るまでのことを知りうる限り語りながら指差した先は、行ったこともない、知るはずもない、自分が元いた本が置かれている、相手の実家がある方角で)
…うん。
(焦る必要も急かす必要もない、これからもずっと傍に居られるなら、少しずつお互いのことを知り、距離を縮めていきたい、相手の顔を見ていると穏やかな気持ちになり余裕が生まれて。ふいに、まさに衝動的に、相手に近づきたい、現在も過去も未来もずっと相手の存在を包み込みたい、そんな想いからか相手に引き寄せられるように自然に身体が動いて、初めて能動的に、相手の頬にちゅ、と唇を触れさせ、すぐに離れると、自分でも自分の行動に驚いたよう口元を手で覆いながら、照れくささを誤魔化すように控えめに微笑んで)
そ、そんなの嫌っ!あたしだけ逃げるなんて出来ないよ!
(青年に見つかってしまったことで余計に焦りパニックになり、相手が指差した窓に一瞬視線を向けるものの、すぐに相手へと向き直ると、必死の形相で嫌だと断言して。自分が逃げずに留まったところで何も出来ないどころか、却って足手まといなのは百も承知である、しかしそれでも今ここで相手を置いて自分だけ逃げたとして、万が一相手の身に何かあったら…と想像するだけでも恐ろしく、相手を失うことも離れてしまうことも自分には耐え難くて、一人で逃げるという考えには微塵も至らずに、涙目で出来ないと叫び返して)
…あぁ、いい言葉だな、心に響く、いい言葉だ。
(人は己に嘘をついて生きていく、ただしそれは納得でも理解でもない。
それをせざるを得ない状況だからだ。
自分はそれを幾度となく経験して、同じく後悔も味わった。
だから相手の言葉が深く突き刺さる。
…故に、今回だけは、相手に嘘はつかない、自分に嘘はつかない、相手の言葉に深い意識を表すと、相手をもっともっと強く、抱きしめて)
声がちいせえ、もっと大きく頼む。
(とことんまでいじめてとことん熟すのを待つ、果実のような感覚だ、待てば待つほど、甘みは増す。
相手の言葉は当然聞こえていた、だが、これでしてしまうというのも味気ない、だから、ワンモアプリーズ、と耳を傾けそう言って)
だから、な?直接的に言うんじゃなくて遠回しに……。
……って!言えねーよ!罰ゲームか畜生!
(要するに加減の具合ではあるがおそらく相手にはまだ早い、だから遠回しに好意を伝えて貰うのが今最も合う。だが、それは自分がされて嬉しいことを晒しているような感覚になり恥ずかしく、叫んで口を閉じて)
……俺は決めない、言わない。
帰りたいなら帰れ。
残りたいなら残れ。
その二択だ、それは俺が定めることじゃない。
人を縛るのは好みじゃない、ただ言えるのは。お前が本に戻れば、二度と俺とは会えないし、登場人物として決まった行動を本が忘れ去られるまで行う機会となる。
それでもいいなら、帰れ。
嫌なら、残れ。
自分の居場所は、自分で決めろ。
(相手は本に呼ばれている、登場人物の欠けた本はそう遠くないうちに物語に矛盾が生じ、崩壊する。
だから呼ばれているのだ、必要だから。
しかし、今回ばかりは自分で決めてもらう。己の居場所は自分で定めるものであり、他人に決められて居ては何も出来ない。過去の師から頂いた言葉だ、それを少し借り、冷たく言い放って)
…玲。
(理解してくれた相手が寄ってくるのを拒む必要も無い、相手を包み込んで、蕩けて、解けるように互いにねむる。それがいつも通りとなる。
と思っていた矢先、相手からのキスが飛んできて困惑し、理由もなく辺りを見渡した後、可愛い動作をする相手にきゅんときたのか、短く名前を呼ぶと相手を抱きしめて)
『命奪わば奪われよ!忘れた訳ではないだろう!』
「っち……黙れやペーレウスゥ!忘れるわけねえだろ!初歩中の初歩だからな!あと、玲!
逃げないなら巻き込まれないように部屋の隅でうずくまってろ!今すぐ!」
(玲が逃げないと見るや今すぐ強奪せんと迫ってくるペーレウス、心得らしきものを言うとガキのように叫び返し、へし折れた矢の先端を放りかわさせ、その隙に玲の前に経つと、そう伝えて)
こんな気持ちになれたの、桐島さんのおかげだよ。…桐島さんが教えてくれたから、こんなに幸せになれたの。
(相手がいい言葉だと言ってくれたそれは、自分にとっても心に響く大切な言葉。自分が相手に初めてときめいた日、どうせ自分には身分がないから、どうせばれたら迷惑がられてしまうから、どうせ本を探し終わったらすぐに出て行かなければならないからと、心の奥では気付いていたはずの気持ちに向き合おうともせず、傷つくことや恥ずかしさから逃げるように誤魔化してしまおうとしたあの日に、自分に嘘をつくのは良くないと教えてくれたのは他でもない目の前の相手で。もしもあの時、誤魔化し通していたならば相手との今の関係も、尊い思い出も、この幸せも全てが無かった。そんなことをしみじみと考えれば、少し苦しいくらいに自分を抱き締めている相手の腕の力も今はとても心地よく感じられて、痛いくらいのぬくもりが愛しくて、そっと目を細め、嘘をつきたくないと思えるほど大切な気持ちを知れたのは相手のおかげだと嬉しそうに告げると、甘えるように相手の胸元に顔を埋めて)
…えぇっ!?そんな………!
────の…。
(相手にとってはどんなに小さな声だったとしても、全く聞こえていなかったとしても、自分からしてみれば恥ずかしくてたまらない台詞を既に一度言い、更に二度目を求められている状況である。求められたからといって平然と二回も繰り返せるはずもなく、相手の言葉に驚いたように勢いよく顔を上げると、その瞳は余計に潤み、顔から火が出そうな程にますます紅潮し、両手で大きく意味のない動作をしながらあたふたと動揺していて。こんな状態の自分が意地悪モードの相手に敵うわけもなく、諦めたように下ろした両手の拳をぎゅっと握りしめて小さく息を吸うと、今度は下ではなく相手の目を見つめながら先程と同じ言葉を口にするものの、一度目よりも二度目の方が恥ずかしいのは当然か、震えている上に語尾以外はほとんど聞こえないくらい、先程よりも小さな小さな声で)
遠回し………、
(相手が恥ずかしがっていることなどつゆ知らず、相手は遠回しに愛情を表現する方が好きなのだと、貴重な情報が得られたということで頭はいっぱいで。好きな人のことは何でも知りたい、好きな人の好みはもっと知りたい、そして好みに近づきたい、そんな乙女心ゆえに浮かれてしまう気持ちが抑えられずにニヤニヤと表情が緩んでしまいつつ、相手の言葉を復唱し、自分の顎に人差し指を当て視線を宙に向け考え込むような仕草をしながら、遠回しとはどんな言い方をすれば良いのだろうかと真剣に考えを巡らせていて)
……決める前に、教えて?
あたし、本の中に戻ったら、…本の中のあたしは、次の誕生日、17歳になった日に───、
(帰りたいなら帰る、残りたいなら残る。相手が示した二択のどちらでもない、〝残りたいのに帰る〟という選択を今まさにとろうとしている自分の中には、先程見た嫌な夢、リアルすぎる夢の内容が色濃く纏わりついていて。それは自分が次の誕生日を迎えた時の夢、その日に自分は───それが実際の本のストーリーなのだとしたら、それが本来の自分の運命なのだとしたら。思い当たる節は無いわけでもなく、フェンスを握っている自分の手に一瞬視線を向けて。ただ本が呼んでいるだけなら屋上に導かずとも普通に一階の昇降口から出ていけば良いだけの話で、こうして屋上に導かれ、フェンスを乗り越えるような行動をとろうとしている意味、もしかしたらそれは、本の世界に戻らずとも結果的にこの世界の自分が本来のストーリーと同じ目に遭えば、誕生日までに同じ結末を辿えれば辻褄が合うように出来ているのではないかと、必然的にそうなるように出来ていて、この世界に留まったとしても運命には抗えないのではないかと…考えているうちにガクガクと足が震え、相手に本の内容を確認しようとするも、冷たく吹き抜ける風がそれ以上を語るのを拒んでいるようで、見えない風に遮られるようにその先は言葉にならずに詰まってしまい、物悲しく髪を靡かせながら視線を足元に落とし、そのまま黙り込んでしまって)
…名前呼ばれるの、好き。あたしの名前が好きだし、…桐島さんに呼ばれるのが、大好き。
(記憶のない自分にとって、今の自分の名前は相手が与えてくれたも同然の、とても尊くて愛しいもの。そんな大好きな名前を大好きな相手に呼ばれる度、存在を認められているように、自分を求めてくれているように感じられて、とても満たされ、優しい気持ちで胸がいっぱいになる。キスをしてしまった恥ずかしさより、名前を呼ばれて抱きしめて貰える嬉しさに身を任せていたくて。大好きな相手の香りに包まれてドキドキと胸を高鳴らせながら、ただ名前を呼ぶだけの行為に込められた大きな愛を噛み締めるように、ほんのりと頬を染めつつふわりと微笑み囁いて)
わ、分かった!
…お願いします、桐島さんに酷いことしないで…!!
(自分だけ安全なところに避難するのは非常に情けなく罪悪感があるものの、ただでさえ足手まといなのだからこれ以上迷惑をかける訳にはいかないと、相手の言葉に素直に従い、部屋の四隅のうち一番遠い角まで何とか駆けていってうずくまり。顔を伏せていても二人が争うような音は絶えず耳に入り、このまま自分は何も出来ないまま、ただ相手が傷ついてしまうかも知れないのを見過ごすのかと思うと耐え難くて。被害は少ない方が良いに決まっている、ダメ元でも良いから何とか話し合いで解決出来ないものかと、甘い考えかもしれないが何も言わないよりはましだろうと、うずくまった体勢のまま、声を届かせるために顔だけを上げ、必死になるあまり裏返った声で青年へ訴えかけ)
……俺、そんなこと言ってたっけなぁ……
悪い、あんまり覚えてないんだ……
(己の言葉に責任は持てない、何せ、相手の為なら嘘だって偽りだって、それならば何だって口にして、相手を抱き締める、滅茶苦茶だと、無責任だと、詰られたって構わない。
もう自分は死ぬほど嘘で塗り固められた存在だ、だから、相手と居る時、言葉には嘘を交えようとも、自分の愛には嘘をつきたくない。
そう思い、言って、抱き締める手を少し弱める。愛らしく、優しく、再度抱きしめる。)
わんもあぷりーず、はよはよ。
(相手がこんな状態になるのは分かっていた、ただ、ここでコロッと言葉を覆すのはなんかスッキリしない。
しかも、今回ばかりは本当に聞こえていないのだ、仕方ないと自分に言い聞かせると耳元を相手の方へ寄せると、どこかおかしいテンションでわんモアを求めて)
真面目に考えるなよ…
(恥ずかしさのあまり目を逸らしたというのに、それを真面目に思案されるほどこと恥ずかしいことは無い。
泣きそうになりながら顔を覆い、小さい声で言って)
………
…バカが!!決まった運命なんぞある訳ねえだろ!確かに!お前はこのまま行けば思った通りになる!
だけど、だけどな!
『選択する自由のない世界』を俺は認めない!
辻褄合わせのために殺される『人間』が居てたまるか!
そんなもん、そんな人生!俺が書き換えてやる!
分かったか!分かったなら、そこから離れるか、運命に従って死ぬか!決めろ!『生きている人間』の、他ならぬ、お前が!
(相手の言葉に間違いはない、ストーリー上避けられない死はよくあることではあるが、もし、その子が震えて何ともならない状況で、その子に手を差し伸べれるならば、自分は差し伸べたい、ずっとそう考えていた。
何より相手を助けたい、人間であり、自分の想い人を。
だから手を伸ばして、最後は相手に委ねる。叫んで、激情を、ぶつけて)
っ……そりゃ、良かったよ…。
(理性のタガを抑えつける。抑える意味は分からないが、抑えなければいけない気がして、抑える。
囁きでタガは外れそうになるが、相手を強く強く抱きしめることでどうにかして)
『……マドモアゼル、貴女にはこれがひどいことに見えますか?』
「他人の意見に口出しすんな**!」
(相手の言う、ひどいこと、さもそれが今の状況、果たし合いに似合わぬ言葉のように玲の方を見て聞く、しかしその問は途中で文字通り横槍を入れてきた彼によって中断されて)
いいの、あたしがちゃんと覚えてるから。
(覚えていないのが悪いことだとは思わなかった。むしろ自分の心に響いた、自分の人生に影響を与えてくれたといっても過言ではない言葉は、相手にとっては気負わず自然に出てきた言葉だったのだろうと解釈し、そんな素敵な言葉が自然に出てくる相手の考え方そのものが素敵とさえ思えて、ますます胸の奥が暖かくなる。相手が自分に嘘やいい加減なことを言ったことなどないし、言うような人だとも思っていない。どこまでも相手の言葉を、相手の愛を信じていて、自分はその愛に救われている、だから同じくらい、できればそれ以上の愛で応えたくて。幸せに浸りながら頬を緩め、弱められた腕の力に反して今度は自分がありったけの愛を込めるように、相手の背中に回した腕にぎゅっと力を込め、よりぴったりとくっついて)
…キス!して欲しい……!
(はっきりと言わなければ何度も聞き返されるはめになり、長引けば長引くほど恥ずかしさは増していく。そんな事実にようやく気がついてしまって、完全に逃げ場をなくしたと悟れば困ったように、真っ赤な顔で再び俯いてしまい。それでも、そろそろこの恥ずかしさにも、何より焦らされ続けるもどかしさにも耐えられそうにない。こうしてもじもじとしている間にもきっと、近くに寄せられた相手の耳には、自分の熱っぽい息遣いが聞こえてしまっているのだろう、そんなことを考えつつ、一刻も早くこの状況から解放されたくて、もうヤケだと言わんばかりに相手の肩に手を添え、ぐいっと更に相手を自分の方に引き寄せると、寄せられた耳のすぐ側で、はっきり、直接的な表現で、甘い甘いお願いを口にして)
ご、ごめんなさい…桐島さんの好きなこととか、あまり知らなかったから嬉しくて…、
(相手が恥ずかしそうにしている理由はよく分からなかったが、それでも照れたように顔を覆う相手の姿を見ると、それにつられてなぜかこちらまで恥ずかしくなってきて。どんなに些細なことでも、相手の好みは自分にとっては貴重な情報。恋人なのに好みをあまり知らないというのも不思議な感じがするが、恥ずかしくて自分から聞く勇気もなければ、今の相手の反応を見る限りきっと相手も恥ずかしくてなかなか教えてくれなかったのだろう。薄く頬を染めて反射的に謝りながらもその頬は緩み、嬉しくてつい真面目に考え込んでしまったのだと正直に告げて)
──ッ!?
…………決めても、いいなら…………、
(叫ぶようにきっぱりと言い切られた言葉に思わず顔を上げ、目を見開く。やはり本の世界の自分の未来はあの最悪な夢の通りになってしまうらしい、そこまでは予想出来ていて、心のどこかでは覚悟もしていて、想定通りだったのに。真っ直ぐ過ぎるほどに真っ直ぐに放たれた相手の言葉がどこまでも予想外で、あんぐりと口を開いたまま固まってしまって。普通の人間と身体の造りは何ら変わりなくても、本の世界から一歩出てしまえば、この世界では自分はただの紙と文字の集まり。触れれば暖かく、怪我をすれば痛くて血だって出るのに、人間として扱ってもらえるか、生きていると見なされるかどうかも怪しい、そんな自分がいつかどこかで死んだとしても誰も何も思わないのではないかと、そう思っていた。けれどそんな自分のことを〝人間〟だと、〝生きている〟と真っ直ぐな瞳で告げられ、手を差し伸べられれば、丸く見開かれた両目から大粒の涙が溢れて止まらなくなってしまって。大好きでたまらない相手が、この先すぐに死んでしまうかもしれない自分を〝生きている人間〟として扱ってくれた、書き換えてやるとまで言ってくれた。それは自分が一番求めていた、一番欲していた言葉のような気がして、これまで自分の運命に勝手に傷つきながらも、自分を一番人間扱いしていなかったのは他でもない自分だったような気もした。もし運命に抗えるのなら、人生を自分で決めてもいいのなら…濡れてぼやけた視界でも分かる、視線の先に立っている、手を伸ばしてくれている相手の元へと近づきたくて、フェンスに添えていた手を離すと、素直な感情のままに、引き寄せられるように足を踏み出して)
…ああいうの、嫌いだった?
(抱き締められて落ち着いてくるにつれて、慣れない自分の行動に、今更ながら不安になってしまう。恥ずかしさはさておき、女の子の方から積極的にキスをしてしまうというのは、相手にはどう映っただろうか。当然経験もなく、普通はどうなのか基準もさっぱり分からないため、はしたないと思われていないか、引かれていないかと心配で、要は相手に嫌われたくなくて。相手を想うあまり勝手に身体が動いてしまったものの、何だかいけないことをしてしまったような気がして、どこか後ろめたくなって。抱き締めてくれている相手の顔色を伺うように見上げながら、少し落ち込んだような表情で軽く首を傾げ、相手の気持ちを聞いてみて)
…見えます。怪我しそうだし、危ないから──だから、言葉で何とかなりませんか?
(青年の問いからしてつまり、このような状況は青年にとっては酷いことでも危ないことでもない、ひょっとしたら当たり前の、日常茶飯事なのではないかと思ってしまったが、無知で争いごととは無縁な自分にとっては紛れもなく危険な暴力で、酷いことである。青年のことを何も知らない自分がそう断言してしまうのは気が引けたが、そう思ってしまったのは事実で、二人のことに自分が口を挟むのはおこがましいとは思いつつも、桐島さんのことが心配な故に出来れば危険なことはやめてほしいのも本心である。だから、危ないからと理由までつけて正直に答え、用件や目的があるのなら力ではなく言葉でどうにか出来ないかと、怯えたような目で青年を見つめながら、頼み込むようにおそるおそる尋ねて)
…なんか、お前と軽々しく約束したくねえな。
(抱き締めて相手から言葉を返されると、やはりと言うかなんと言うか、後に羞恥心が纏めてやってくる。
だから、相手からのダイレクトな純愛は、やっぱり恥ずかしい、自分らしく、そう軽いノリで言う。
軽々しく言ってしまった言葉を空いては全て覚えている、なら自分が軽く言ってしまった約束も相手は覚えているだろう、言ったからには応えるが、なんか、こう、変な感じがする。
微笑みながら言うと、片方の手を相手の頭を撫でるのに回して)
……言えるじゃねえか、最初からそうしとけよな。
(いつもの彼だったらダイレクトな言葉を受けてだいぶ仰け反っているだろうが、意地悪な彼のためそんな事はなく、一瞬で相手の肩を掴むと一気に体の向きを変え、相手の唇に唇を重ね、優しさも気遣いもない、本当の獣のような貪るようなディープなキス、それをして)
わかる、わかるけどな、本人の前でそうやって知って喜ぶヤツ俺初めて見たし、やっぱ恥ずかしいんだわ…
(相手が喜ぶ理由はよくわかる、好きな人のことを知りたい、別側面だろうが、何だって知りたい、知れば嬉しい、けど直接聞くのはなにか小っ恥ずかしい、よーく分かる。
だけれど、相手の反応が思っていたのと違く、本気で受け止められるとやっぱり恥ずかしい、それを言えないまま、とりあえず恥ずかしいことを伝えて)
決めろ、決めちまえ、お前の人生だ。
(自分の言っていたことは正直子供で、正論を前にしたら叩き潰される脆い言葉だ。
だけど、それでも助けたい、それで動いてはいけないのか?
目の前に泣きそうな少女が居ても、ダメなのか?しかし、今、ここには二人しかいない、好きにしてもいいだろう。
相手に決めさせる、相手が決める、相手の人生だ。
自分は手を出すが、掴むのは相手だ。
自分からは一歩も近づかない、ただ、もっと、もっと、手を伸ばして、相手が掴みやすいようにして。掴まれるのを、待つ。)
…すっげー可愛いよ、今も、さっきのヤツも。
(相手の動作、相手の言葉に一々ドキドキしてしまう、いつから自分はチェリーボーイ並の心情になったのだ?と考える暇もない、抗い、抑える、その必要性は最早感じないが、獣の矜持というやつだ。
だから可愛いとだけ、そして抱き締めることだけをする。)
『!?……はは、ハハハハッ!
いや失礼、あまりにも甘ったれた戯言だった故、つい笑いが零れてしまった。
あー、いや、非礼を詫びよう、マドモワゼル。
そして同時に、敬意を示そう。先の言の葉、今を生きる人間ならば震え上がるほどの波圧を込めたはずなのだがね。
それを諸共せず言葉を放った貴女の言葉、聞き届けよう。
それで?どんな言葉で納得させてくれるのかね?』
「ぐぐぐ……って、は?
…今を生きる人間…?…あっ。なるほど……。」
(まず、向かってくる彼の手を掴むと玲と会話をしたいがために多少なり強く拘束する、力の差は歴然だが、トドメは刺さないらしい、そして言葉に笑い、そしてまた変わった口調、どうやらこれが素らしく、ぺらぺらと話すと。
今を生きる人間、限定の攻撃、本から出てきた今の生きる人間枠には一応外れたもの、それを気に入ったかどうかは分からないが、どう自分を納得させるかが気になったのも事実。
彼は何かを察したようで彼の拘束から外れて玲の方まで駆けていき、敵対しないなら、と玲の言葉を待ち)
でも桐島さんなら、絶対守ってくれるでしょ?
(わざわざ尋ねるまでもなく、相手は約束したからには必ず守ってくれるだろう。例えそれがうっかりしてしまった約束だとしても、最終的に守られるのであれば軽々しくなどなく、十分誠実だと思う。相手には揺るぎない信頼を寄せているから、きっと軽々しい約束はしないし、したとしても守ってくれると安心しきっているのだが、それを面と向かって言葉にするのは少し擽ったくて。照れ隠しも兼ねた微笑みを返しながら、軽いノリの相手に調子を合わせるように真面目な本心を冗談めかして告げると、頭を撫でられる感覚に酔いしれるように瞳を閉じ、そのまま幸せそうに心地良い手の感触を堪能して)
んン!───はあっ、
(恥ずかしさなんて一瞬で吹き飛んでしまうくらいの、これまでの甘く柔らかなキスよりも何倍も何十倍も、きっとそれ以上に刺激的で痺れるようなキスに、本気で腰が砕けてしまいそうになる。散々焦らされたそれは信じられないほど、全身が痺れるくらい気持ちよくて、力の入らない身体はこのままふわふわとどこかへ浮いていってしまいそうで、まともに立っているのも難しいくらいにうっとりと、強引なキスの虜になっていて。気分が高まっている中で焦らしに焦らされた挙句の、待ちに待った大好きな相手との触れ合い。これだけの条件が重なった最高のキスに、次第にくらくらと頭が真っ白になってくるものの、未だかつて味わったことのない強い快感に溺れるように甘い声を漏らしながら、ぎこちないながらも無我夢中で応え続けて)
え、えと…、これからは桐島さんの前で喜ばないように頑張るね…?
(嬉しかったからつい真に受け、つい態度に表れてしまった、ただそれだけの事なのだが、目の前で相手に恥ずかしそうにされると、やはりこちらにも恥ずかしさが伝染ってしまって、ほんのりと染まった頬の熱を冷ますかのように、無意識に自分の頬に手を添えて。ただし自分の場合はこの雰囲気に何となく照れているだけでよく分かっておらず、脳内は相手の好みのことでいっぱいでろくに頭も回っていないため、次からは相手がいない時にこっそり喜ぶようにしようという単純な発想に至りつつ、文字通りよく分かっていない様子で、自信なさげにどこかずれた宣言をして)
………ッ!
(勝手に本から抜け出して、勝手に人を好きになって、勝手に〝生きたい〟と思い始めて、勝手に運命に抗う…そんなことが本当に許されるのだろうか。自分が此処に居たいと思うこと自体が大変な罪なのかもしれない、もしかしたらその罪に相手を巻き込むことになってしまうかもしれない。そのことには気がついていたが、それでも、他の誰に許して貰えなくても目の前のただ一人の愛する人に受け入れて貰えればそれで良いと、それが良いと、どこまでも勝手なことを思ってしまった。相手が決めてもいいと言ってくれるなら、自分で決めた人生を、自分の生きたい人生を、堂々と過ごしたい。罪悪感に押し潰されそうになりながらも、相手を求めて動く身体を止めることは出来なくて。止められないならこれが自分の本心で、これが答えなのだろう。伸ばされた相手の手に届く距離まで歩み寄ると、躊躇うことなく優しいその手を掴んで握りしめようと──触れた瞬間に感極まり、顔をぐちゃぐちゃにして激しく泣きじゃくって)
! 可愛いっ?……う……、
(自分から尋ねたくせに、返事を聞けば目を丸くして紅潮し、そのまま何も言えなくなってしまう。だってあまりにも予想外だったのだ。嫌か嫌じゃないか、単純にそのどちらかの答えが返ってくることしか頭になく、それ以外は何の覚悟もしていなかったため、不意打ちで褒められると、嬉しすぎたり恥ずかしすぎたりする感情を隠す余裕もなく、少しだけ困ってしまって。それらの感情を全てぶつけるかの如く、相手の胸元に顔を埋めて押し付けるようにぎゅ?っとより強く抱きついたまま、顔を上げることも出来なくなって)
…いっ、一緒に考えましょう!あなたがあたし達を追い掛け回したりしなくても楽しくなれて、気分よく帰ってもらえるような方法を──あ、あなたにとって一番楽しいことを教えてください、そ、それを今から皆で一緒にしませんか?…いいよねっ?桐島さんっ!
(正直、青年が追い掛け回したり暴れたりするのを何とか止めようということで頭がいっぱいで、青年が桐島さんに変なことをしないように頼み込むのに必死で、その先のことは何も考えずに勢いで発言してしまった…なんて、口が裂けても言えるはずがない。ダメ元で口にした発言を、まさか青年が聞き入れてくれるなんて思ってもみなかった上に、とても口には出来ないが青年の風貌もなかなかに恐ろしくて、今更ながら焦りと恐怖でおろおろと慌て始めて。しかし言い出したのは自分である、何か言葉を返さなければと無い知恵を振り絞るものの、そもそも青年のことをよく知らないのに、納得してもらう方法を思いつくわけもなく。追い詰められるあまり、どうやって納得してもらうかを青年本人にも考えてもらおうというぶっ飛んだ思考になり、まずは青年の一番好きなことを聞いてみようと、それを一緒にすれば危険なことをするよりも楽しいと思い、満足して貰えるのではないかと考えて。桐島さんは嫌がるかもしれないが、このまま二人で争って怪我をしてしまうよりは絶対にましなはずである。平和に解決するために、今だけは我慢してもらって後でめちゃくちゃ謝ろう…なんてことを思いつつ、青年の瞳を真っ直ぐに見つめながら、安直すぎるようで自分にとっては精一杯考えた結果を口調だけは明るくハキハキと提案するものの内心はかなり不安で、青年から見えないところで近くにいる桐島さんの服をぎゅっと握りしめながら口調の明るさに似合わずぷるぷる震えているという、陰では何ともちぐはぐな感じになっており)
守る、守るさ、お前が俺を信頼してくれてる限りは。な。
(ニッと笑い、約束は守るとちゃんと伝えるが、しかし、それは限定的で、相手が自分を信じてくれて、それでいて相手と自分が愛し合っているのならば、相手との約束は破らない、しかし条件は意外と厳しい、まぁ、相手と自分となら、関係ないだろう。
そして口にしたことが少し恥ずかしくなり、相手の耳タブを甘噛みして)
んぐ……じゅるっ……む…
(答えてくれるのならば自分もそれ相応の愛を示す、相手を蕩かして、腰を砕いてその後たっぷり愛撫してやろう、そんなことを考えて舌と舌を絡め、呼吸困難になりかねないキスを更にして)
そーいうんじゃなくて……好きな人のことを知ってそのことを本人の前で喜ぶヤツ見ると恥ずいんだよ…喜ぶなら俺の前で、いや俺以外の誰にも喜ぶな。
(言い方が悪かったのかなと感じ、しっかりと言い直してまぁ恥ずかしさは全く変わらない、だから、相手が自分の前で喜ばないというのは嫌で、それは困る、だからと思って言おうとするが、相手を独り占めしたいがためにかなり相手を縛ることを言って)
…よし、よし、泣いていい、泣き止むなら、結果オーライだ。
(感極まって泣き出す相手の手を引いてそっと抱きしめ、子供を寝かしつけるような親の手でぽんぽんと背中をリズミカルに優しく叩き、安心できるよう、ここが相手の居場所になるよう願って、抱きしめて離したくないから、もう二度と離したくないから、優しくキスをしてやり)
そう、可愛い、んー……いい匂いもする、やっぱり女の子なんだな。
(相手が恥ずかしがって顔を上げられない状態になると逃げれないようにがっちりとホールドし、相手の頭にそっと鼻先を当ててくんくんと嗅ぎ、セクハラまがいのことを当然のように言って)
『……好きなこと、か。
探求だ』
「戦いじゃねえのか……ほら玲、大丈夫、大丈夫だぞ。」
(相手の言葉には大人しく従い、好きなことを包み隠さず伝えるが、彼自身は首を傾げて他の候補をあげるもののないらしく、不審に思うものの震える玲の手をそっと握って安心させて)
じゃあ、ずっとだね……、っ!
(大好きな相手に寄せている信頼が、ちょっとやそっとのことで簡単に崩れるとは思えない。となれば必然的に、相手の言う条件はこれからもずっと約束を守ってくれると言っているようなもの。相手の腕に包まれて微笑みながら嬉しそうに、当然のように即答する…が、うっとりと瞳を閉じていたため、ふいに耳たぶに甘い感覚が走ると驚くと同時にぴくんと大袈裟に反応してしまい)
…ん、……ちゅぅ、
(こんなに身体中が痺れるようなキスをしたのは初めてで、強烈な快感に脳がとろとろに溶けてしまったようで、もう何も考えられない。恥じらう気持ちなど完全に置き去りになっており、かろうじて耳に入ってくる唾液の音も、ドキドキと気分を盛り上げる要素にしかならなくて。ふにゃふにゃに蕩けきった表情を浮かべて刺激的なキスに夢中になっていたが、とうとう身体の力が抜けきって自力で立っているのが難しくなると、舌同士を絡めたまま、縋り付くように相手の首元に両腕を回して)
あ……う、うん…桐島さんの前で喜ばないようにする方が難しそうだし…、
(改めて言い直されると、ようやく相手の言いたいことを理解したようでハッとするものの、気がついたら気がついたで、自分がとった行動を真正面から指摘されているようでかなり恥ずかしく、一気に顔に熱が集まるのを感じ、頬に当てていた両手で顔を覆い隠して。独占欲が込められた強引な言葉にさえドキッとときめいてしまう自分は、相手の傍に居るだけで嬉しくて、既に相手のことばかり考えている。だからもう言われるまでもなく重症で、相手の前で喜ばないようにする方が難しいだろうと思い、照れたようにもじもじと視線を逸らすと、困り顔ながらも満更でもなさそうに呟いて)
……ッ、い、いま……しょっぱいから…っ、
(堰を切ったように溢れ出した涙は止まることを知らず、完全に子供のように、時折しゃくり上げながら相手の胸におさまり、心の中でぐるぐると巡っている様々な感情をすべて吐き出すかのように泣き続けて。そんな中降ってきたキスに目を丸くして頬を染めるものの、涙だらけの決して綺麗とは言えない状態の顔を見られたり触れられたりするのは、こんな状況でも気になるし申し訳なく感じてしまい、びしょ濡れの顔を隠すように俯き気味に顔を逸らして)
も、もぉ!…あんまり、嗅がないで…?
(自分に分かるように堂々と匂いを嗅がれ、感想まで言われると、恥ずかしさに更に追い討ちをかけられたかのように真っ赤になり、抗議するように軽く頬を膨らませて文句を言うものの、正直こればかりは人のことは言えない。実は相手の香りが大好きで、ここまでストレートではないにしてもこっそり嗅いでみたり、喜んでみたり、何なら今もドキドキしている…なんて絶対に言えるはずもなく、何となく後ろめたそうな様子で、相手を咎める語気も大して強くはなく、どこかはっきりしなくて)
探求?素敵ですね。危なくもないし、とっても良い趣味だと思います!…それで、何を探し求めてるんですか?言い出したのはあたしなので、お手伝いします!
(探求という返事が返ってくると、見かけによらず青年は努力家なのだろうと感心したように瞳を輝かせて、素直な感想を口にして。表情を輝かせたのは、危険な内容の答えが返って来なくて安心したという理由もある。何をどう探求しているのかは分からないが、追いかけ回されたり桐島さんと戦い始めたりするよりは、青年の探求を手伝い、求めているものを見つけて満足してもらった方が遥かに安全に解決するだろうと考えて。桐島さんに手を握ってもらっているおかげもあり、返事を聞く前とは打って変わってすっかり安心しきった様子で微笑みながら、探求を手伝うといきいきと申し出て)
流石にもう居ねえかな……。
言い訳はしない、遅れたのは事実だからな。
居なくても文句は言わない、文句を言われるべきは俺なんだからな。
…さて、と、一応返信しますかね、きっと、最後の。
可愛い反応するじゃねえか、不意打ちには弱いか?
(誰しも予想の外からの行動には弱いものだが、相手の反応が思った以上に可愛いと感じてしまって、とりあえず耳朶からは口を離すものの、わしゃわしゃと犬の毛並みを乱暴に撫でるように、玲の頭を撫で)
むぐ……ぷはっ……。
気分はどうだ?蕩けそうだろ。
(相手の体から力が抜けると、相手の少し運んで、布団の上に下ろすと絡めていた舌を解き、口付けをやめて。
そして、相手の頬を愛おしそうに撫でながら、そんな質問をして更に蕩かして)
…そりゃ、良かった。
お前は俺のものだからな、血の一滴から、お前の心の隅から隅まで、全部、俺のもんだ、他の誰にも渡さない。
(相手の言葉を聞くと安心して、そしてそれと同時に、相手を自分のものだと証明したくなって。音もなく一瞬で相手の耳元まで口を寄せると、独占欲の強い言葉を囁いて)
そっか、それなら…
(顔を逸らされてしまっては、今更ながら強要するのも申し訳なく、相手の顔をそっと自分の方へ向けさせると、泣きやすいように自分の胸に相手の顔を埋めて、好きに泣いていい、と短く言ってみて)
えー、だって、本当にいい匂いするし。
(相手が文句を言おうとこっちを向いて頬をふくらませた瞬間、くんくんとまた犬のように相手の頬に顔を擦りつけ、匂いを嗅いではいい匂いがするとナチュラルに答えてみせ、そして、自分の服の裾を相手の鼻っ柱の前にチラつかせたりもしてみて)
『この世に留まる方法』
(胡座をかくとその足の真ん中にちょこんと玲を座らせ、ナチュラルに仲の良さを見せつけると、少し不機嫌そうに答える男、しかし、それはあまり理解のできないもので)
桐島さんっ!おかえりなさい!!
(相手の姿見かけてぱあっと瞳を輝かせながら一目散に駆け寄り、勢い良く相手の胸の中にダイブして)
居なくなるわけないでしょ?信じて待ってるって約束したし。何かあったのかなぁってちょっぴり心配はしたけど…でも無事ならいいの。帰ってきてくれて本当に良かったー!
…えへへ、嬉しすぎてこっちだけ急いでお返事しちゃった。本編のお返事はお時間もらってもいいかな…?
絶対にお返事するから、待っててくれたら嬉しいなー。だからもう最後なんて言わないでねっ?
(冗談めかすような口調で軽くムッとしながら頬膨らませ)
おおっとと……
…ただいま、玲。
(自分の胸に飛び込んできた玲をそっと撫でると、ただいま、と言って)
まぁ、色々あってな。
でも、約束を律儀に守っててくれて俺は嬉しいよ、俺はこんなに誠実な彼女を置き去りにしていたとは……。
後悔が深まる……ま、まぁ、俺は無事だよ。
ありがとな、心配してくれて、待っていてくれて。
分かったよ、待つ、俺が待たせちまったからな、待つよ。
お前の心意気に俺も答えねえとな、だから、もう最後なんて言わない。
不意打ち、っていうか……髪の毛乱れちゃうから…!
(不意打ちをくらった所為なのもあるにはあるが、こんなにも過剰に反応してしまうのは他でもない相手からの戯れだからで。それを言葉に出来るはずもなく、きっと一方的に恥ずかしくなるだけなので言葉にしようとも思わずにもごもごと濁したまま、言葉とは裏腹に幸せそうな表情で撫でられながら相手の手に擦り寄っていて)
…っ、桐島さん、ずるい。
(自分はこれ程までに蕩かされて身体中の力が抜けきっているのに、相手は自分を運ぶどころか恥ずかしすぎる問い掛けをしてくる余裕まであるようで、すっかり火照った頬に触れられて余裕を見せつけられると先程まで吹き飛んでいた恥ずかしさが再び押し寄せてきて、質問に答えることも出来ずに顔を真っ赤にし、ただ相手を潤んだ瞳で見つめるだけで)
うん、絶対…他の人に渡すとか言わないで欲しい…、
(耳元で囁かれる言葉のひとつひとつにいちいちときめいてしまい、強引なはずの言葉でさえ大好きな彼の傍に居ることを許されているような、居場所を与えられているような気分になれば悪い気はしないどころか喜んでいる自分がいて。一瞬だけ相手に視線を向けて相手の言葉を肯定するもすぐに照れてしまい、紅潮した顔をささっと逸らして)
うぅ……、……っ、
(相手の胸に顔を埋められたこの状態では泣き顔を見られてしまうこともなく、咄嗟にそこまで配慮をしてくれる相手の優しさも胸の奥に染み渡るほど暖かくて、溢れ出した涙は一向に止まる気配がなく、相手にぎゅっと強く抱きつきながら涙を流し続けて)
!!はっ、恥ずかしいよ…!
(至近距離で漂う相手の香りにドキドキと鼓動を早めながら、更に自分の匂いを嗅がれている状況を意識してしまえば顔に熱が集まっていくばかりで、林檎のように真っ赤になったままこの状態から目を逸らすかのように固く目を瞑って)
留まる方法?えっと…今は留まれてないんですか?
(どこか不機嫌そうに見える青年に首を傾げつつ、帰ってきた答えを復唱してみるものの、自分から見れば青年は今まさに目の前に問題なく存在しているように見え、留まりたいならこのまま留まればいいのでは…なんてことを単純に思いながら不思議そうに目を瞬かせて)
桐島さーん、お待たせっ。
時間かかっちゃってごめんね?
ううん、無事に帰ってきてくれたらそれでいいの。
これからもあたしは待つの平気だし、あんまり無理しないでね?
ゆっくりでも楽しくお話できたら嬉しいな。
じゃあ、よろしくお願いしますっ。(ぺこり(蹴り可))
あとで直してやるから。
……犬みてえだな、やっぱ
(髪を撫でながら少しずつ整え、その撫でる手にすり寄って来る相手を見ると微笑ましく、そしてよく懐いた犬を相手に幻視するものの、それを振り払ってまた荒く、今度は両手で相手の頭を笑いながらわしゃわしゃと撫でて)
あぁそうだとも、俺はズルい。
……分かってるよ、お前がとっくに蕩けきってることなんて。
(見つめられるとこのまま意地悪するのもあまり良い気分もしなくて、相手の頬から手を離すと相手の肌を服越しに指でなぞり、そしてそのまま相手に覆い被さると、耳元でそう囁き、相手の反応を待って)
渡さねえ、絶対にな。
(ギューッと相手を強く抱き締め、その目は澄み切って、いっそ清々しいほどの独占欲、束縛で。
しかしそれさえ喜ぶような反応を示す相手に嬉しく、顔をそらされても抱き締めることは辞めず)
大丈夫…大丈夫だぞ、ここにはお前の場所がある。
(優しく、愛おしく、包み込むように相手を撫で、そして抱くように抱きしめて、ここには居場所があると、もう一度、実感させるかのように伝え、泣く子供を宥める親のように撫で続けて)
恥ずかしいのか?もうこんな距離感だったら恥ずかしいも何も無いと思うけどなぁ。
(変わらずすんすんと鼻を鳴らして匂いを嗅ぎ、そうしているうちに恥ずかしがる相手に疑問を感じるものの、相手がそう思うならそうなのだろうなと思い、気にせず匂いを嗅いでいると、その内自分の香りが相手の鼻を突いて)
『楔だ、楔。
神々は星座にその原点の人間を縛り付け、空で光らせた。
ケイローン、アスクレピオス、蠍、オリオン、全員、今の空で輝いている。
俺もそのうちの1人だった。
…だった、んだ。』
(簡単に言ってしまえば、今この場に居たとしてもその内空に引き戻されて縛り付けられる、それが嫌で嫌で、この世に留まりたいと願っているらしく)
…なんか遊んでなーい?
(犬みたいと言われると、褒められているのかどうかも怪しく微妙な気分になり少しだけ不服そうに膨れてみせて、笑われていることといい相手の撫で方といい何だか愛でられているというより自分を使って遊ばれているのでは…なんてふと思ってはそんなことを一応尋ねてみるものの、理由はどうあれ撫でられるのが嬉しいため答えは対して気にしていなくて)
ツ、…やっぱり、
(案の定自分が答えるまでもなく相手には全てお見通しで、それだけ相手には余裕があるのだと思い知れば経験の差を見せつけられているような気がして、少しだけ相手に釣り合うように背伸びしたい、強がってみたいという気持ちが芽生えてしまいやっぱりと口にしてはみたものの、相手に触れられる度に心臓が身体を突き破ってしまいそうなほどドキドキしていて余裕などなく、耳にかかる相手の吐息にぴくりと身体を震わせながら期待するような目で相手を眺めていて)
…んふふ。
(苦しいくらいに強く抱きしめられると物理的にも精神的にも相手に包まれ、満たされ、相手のことで頭はいっぱいで、ドキドキして恥ずかしいのにやはり嬉しくて幸せで、顔を逸らしていてもきっとバレてしまう程に顔は緩み、にやけてしまうのが声にも出てしまっており)
──…ありがと、桐島さん…でも制服…、
(相手の優しさに甘えて暫く泣き続け、少しは落ち着き次第に冷静さを取り戻してくると相手から離れて緩く微笑みながらお礼を言うも、自分が顔を埋めていた相手の胸元は予想通りぐっしょりと濡れて悲惨な状態になっていて、それを目の当たりにし申し訳なさそうにしゅん、と眉を下げて)
恥ずかしいに決まってるでしょ?そ、そんな、こ、こんなに近くでっ、…す!すき…な人に、……匂い、嗅がれる………とかっ!
(不思議そうに尋ねてくる相手に恥ずかしいに決まってると食い気味に即答するものの、わざわざ言葉でこの状況を解説しているみたいで答えているうちに余計に照れてしまい、一度意識してしまえばとうとうどの単語もとても恥ずかしいもののように思えてきて、更に相手の香りが鼻腔をくすぐればもう何を喋っても真っ赤になるのではないかという程過剰に恥ずかしくなり、ぷるぷる震えてどもりながら顔の赤みは増すばかりで)
お空に帰りたくなくて、ずっとこっちに居たいってこと…?うーん、桐島さん、何とか出来ないかな?
ほかに同じ状況で留まるのに成功した人とか居ないんですか?
(青年の話は自分には難しく、ましてや青年の求める方法など分かるはずもなかったが、聞いてしまった以上は知らないと突き放す気にもなれず、出来ることなら力になりたいと思い…とは言っても自分だけでどうにかなりそうな話でもないため、うーんと唸りながら考え込むような仕草をし、桐島さんに何か知らないか尋ねてみたり、青年に過去に同じ状況からこの世に留まれるようになったことのある人物は居ないのかと聞いてみて)
遊んでない遊んでない、愛でてるんだよ
(そう言われるとまぁ遊んでいた気がしないでもないが、意図せずそんな形になってしまっただけの事。
だから、今度は言った通り、花を撫でるように繊細な手つきで相手の頬や頭を優しく撫でて、相手を慈しむように愛で撫でて)
…さてと、目を逸らすなよ?顔も逸らすな、お前の面がよく見えねえからな
(経験などなくても、ハッタリと強がりでまぁ行けるものなのだなと思い、相手の耳に吐息をフッと吹きかけると、また強がりで言葉を並べ、しかしボロは一切出さず、そのまま、言うなれば、相手とじっくり愛し合って、そのまま2人とも寝落ちして)
……はい終わり、一旦離れろ。
(しばらく相手を抱きしめていたものの、長く続けるとやはり冷静になってきて、とても恥ずかしく、赤くなった顔を強引に元に戻すと、相手の肩を掴んで押し、自分から離し、抱きしめるのもやめる、そうして自由になると、近くにあった椅子に気が抜けたように座り込んで)
こんな制服変わりはいくらでもあるっての、それより自分のことを考えろ、これからとか。
(相手の涙で濡れてしまった制服の上を脱ぐとシャツ1枚になり、その制服を軽く畳むとても自分の肩にヒョイッとかける。
そして、悲しそうな顔をする相手の頭をポンポンと叩くと、これからのことを考えようと提案をして)
へぇー…好き、ね。
それはいいことを聞いた、もっと虐めてやる。
(結局はそういう考えに至り、真っ赤になって震える相手の肩をガシッと掴むと、相手の首元に顔を寄せて、また匂いを嗅いだ後に、服の袖を相手の鼻に押し付け、少し強引ながらも匂いを嗅がせ、黙らせて)
「うーんとな、成功者は俺しか居ないかな」
『そいつ、不死性を示す星座に縛られたドゥディスは、とある方法で下界に再臨し、今こうして生きている』
(尋ねられると正直、いや正直すぎる答えを相手に伝え、それはもうサラリと、流れるように伝えて。
そしてそれを聞くと、彼を指さし、とある方法と言葉を濁すものの、とりあえず成功者だと言うことは分かって)
えへー、…こっちの方が好きー。
(頬や頭を優しく撫でられ少し照れくさそうにはにかみながらも、相手からの愛をたっぷりと受けて優しさに包まれると幸せで嬉しくて堪らないのが丸わかりなほどデレデレと顔を緩ませては満足げに頭を差し出していて)
…ぅ…?………、
(どの位時間が経ったか定かではないが暫くして半目を開けばすぐ側に相手の顔があって眠りにつく前のことを思い出しドキッとしつつも、何だかまだ離れたくなくてもう一度寝てしまおうかなんてことをぼんやりと考えつつ、相手がまだ寝ているのをいいことに更に少しだけ距離を詰めてぴったりと相手に寄り添ってみて…自分からそんな行動を取っておきながら勝手に恥ずかしくなり顔を紅潮させて)
えー残念…でも、一旦ってことは……?
(幸せな温もりが離れてしまうと少し寂しくて冗談じみた口調で残念と本心を口にするものの、椅子に向かう相手を視線で追いながら相手の発言に一旦という言葉が含まれていたのを思い出すと、何かを考えている様子でニヤニヤしてしまい)
これから……う~ん…?
(頭に触れられればまだ僅かに濡れている瞳で相手を見上げ、これから、という相手の言葉を復唱しながら頭を悩ませ、それでもすぐにはこれといったものが何も思いつかなくて困ったように首を傾げて黙り込み、本当にこれから自分はどうなってしまうのだろうかと物思いに耽って)
……っ…、桐島さん……分かってて、やってる…?
(先程から相手の匂いがダイレクトに香ってきてもうドキドキして仕方ないのだが、相手はこんなに近くで平然と自分の匂いを嗅ぎ続けていて、その余裕そうな様子に無自覚なのかわざとなのか段々分からなくなってくれば、これ以上ドキドキさせられてはこっそり相手の香りを好いている自分の恥ずかしい考えもバレてしまいそうだと焦り、思わず声が裏返ってしまいながら火照った顔で遠回しな質問を投げかけて)
…えっ!?桐島さんが……!?!?
じ、じゃあもう解決してますねっ!そのとある方法をやっちゃいましょう!
(さらっと衝撃の事実を告げてくる桐島さんに目を見開きあんぐりとしたまま暫くフリーズし、しかしそうと分かれば青年の件も同じ方法を使えば良いだけだと思い、既に解決した気でニコニコと嬉しそうな笑みを浮かべて喜び始めて)
そっかー、こっちの方が好きかー。
(やはり犬に見える相手を同じ手法で撫で続け、そのうち考えるのも面倒くさくなって、脳死してだらけた表情で相手の差し出されて頭を撫で続け、そのうち無意識に口付けとかしたりして)
……ぁ…?
(誰が寄り添う感覚、それを感じて目を覚ます、夢うつつの中二度寝を考えるものの、なんだかしっくり来ず、すぐ近くにあった何か、否、誰かを抱き寄せ、温もりを感じながら夢の中に意識を落とそうとして)
…また今度な。
(明らかに期待している相手に顔を隠しつつまた今度と伝え、相手の一途で可愛らしい様を再度目の当たりにするとさすがに恥ずかしく、相手に見られているというのに顔が赤くなってしまって)
そう、これからだ。
これから俺とどうするか、これからお前はどうするか、
これから、これから、何でもある、何だっていいんだぞ
(これから自分はどうなるか、ではなく。
どうするか、相手は人間で自由意志があるのだから、これから、のことを自分で考えるのだ、という意味を含んだ言葉を伝わるかは別として言って)
わざとだぞ、これが意図的じゃないと思うのか?
(話しながらも匂いを嗅ぎ、まぁ、相手が自分の匂いを好いていることは大体気付いていたため、やはり意地悪であり、一応ということで、相手から離れると、にこりと笑いながら悪びれる様子もなく伝えて)
「えっと……そのぉ、あのぉ」
『……それがな、ないんだ』
(達成者が目の前にいるというのにその本人が、なぜか話すのを渋っているかのように見え、それが気まずくて言い出せないと察した男が、ないと答えて)
再募集してるなら、参加したい…です。(図書室のドアから顔を覗かせて)
17歳、高校三年生女子、クラスで浮いてる学級委員長、読書家。名前とか容姿は参加許可が降りたらちゃんと考えてきます。
勉強で忙しいから、話せるのは二週間くらいだと思う。今月末までの相手でよければ、おじゃまさせて下さい。
桐島さん、ずっと来れなくてごめんね。
新しいお相手様がいらっしゃるから声掛けるべきじゃないのかも知れないけど、何も言わずに居なくなっちゃうのはダメかなって…だから最後に一言、挨拶だけさせてもらうね。
今までお話してくれてありがとう。桐島さんと過ごした時間は、一生忘れないくらい幸せだったよ。
これでもう何も思い残すことはないから、あたしは元いた本に帰るね。
それじゃ、さようなら。桐島さんもお幸せに…!
そんな事言われたら心苦しいっての…。
ま、人には人の幸せがある、少なくとも、お前は『人間』だったぜ、玲。
……さてと、気を取り直して。
女子生徒、参加許可を出すぞ、もう居ない可能性もあるから、参加したい奴は一応声をかけてくれ。
しばらくここを覗けなかった理由だが……アレだ、テスト、テスト週間ってあるだろ?つまりアレだよ、悪かったな。
以上、参加したいやつ、居るなら声をかけろ、女子生徒、まだ居るなら詳しいプロフをな。
じゃ、俺は気長に待つとする。
参加許可ありがとうございます。まだ居るんで、プロフ貼らせてもらいますね。
菊池双葉。身長160cm、標準体型。茶髪の三つあみ、目はつり目ぎみ、赤縁眼鏡で制服の上にベスト。ブレザーは着てない…って、夏だから当たり前か。その他の設定は前述の通り。
箇条書きみたいになったけどこんな感じかな。必要なら補足します。
特にはねえな、歓迎する。
おっと、その前にだ、季節が変われば当然衣服も変わる、夏に黒コートにモコモコなんて着てられねえってことだ。
衣服を夏モノ、まぁ夏服ってやつ、薄い白色の服、下は特に変化なし。
あぁ、あと、悪いが絡み文はそっちから頼む、以上だ。
(図書室に入ってきて相手の方を一瞥、本棚からハードカバーの少々分厚い本三冊を抜き取るとカウンターテーブルに置いて)貸し出し、してますか?
衣更え把握しました。絡み文はこんな感じでいいですか?
あー、少し待て。
No.1017と1005、そんで1016か。
問題ないな、貸出期間は1週間だ、ちゃんと守れよ。
(ちらり、と入ってきた相手に目を向けるがすぐに目を逸らし、少し経って本を持ってくるとその本を確認、表紙だけで理解して、問題ないと応えると本を返し、軽く笑って出るよう促し)
(問題は無い、よろしく頼むぞ)
──おいちょっと待て、ここは寝る場所じゃねえぞ。
(そんなことを見逃すはずもなく、なぜ読書スペースで突っ伏しているのか、そもそもそんなことをするならなぜ本を借りたのか、色々な疑問が湧き上がる、それを呑み込んでとりあえず注意をする)
教室は騒がしくて居心地が悪いので。
(相手の声にほんの少しだけ顔を上げると淡々と答え、これで話は終わりだといわんばかりに顔を背けてそそくさと寝なおし)
ンなモン知り合いと過ごせばいいだろ、ここは眠るトコじゃねーの、帰った帰った。
(当然特別扱いなどするはずもなく、薄めの本で寝ようとする彼女の頭をペシペシと叩き、呆れたように帰るのを促して)
はじめましてー、ここはまだ募集してるのかな?自己紹介だけはしておくからお相手候補として検討してもらえたら嬉しいかな
名前は白鷺(しらさぎ)アリス。身長156cm、亜麻色のストレートロングヘアーに黄色いリボンのついたカチューシャ。制服は特に着崩しとかはしないで普段着はヒラヒラしてたりフリフリのレースとかついてるのが好き。他は…何か気になることがあればなんでも聞いて貰えば答えるね。
それじゃ、またお返事待ってるね!
ありがとう、受け入れてくれて嬉しいよ。絡み文書いてみたからこんな感じで問題なければお返事もらえたら嬉しいかな
うーん…これでもない、これも違う…
(図書室の中の本棚の前で一冊一冊手に取り表紙を確認しては本棚へ戻すを繰り返していて)
……何か本をお探しで?
(先ほどから目に入ってはいたが、すぐに帰るだろうと思っていた相手がずっと探したまま戻らないため、仕方なく、そして怠そうに話しかける)
わっ、ビックリしたー…あー…えっと、ちょっとね…あはは
(どうやら他に人が居るとは思わなかったようで、声をかけられると大袈裟に驚いてみせて、投げかけられた問いには気まずそうに視線泳がせて言葉を濁し)
……本を探してるんだろ?
ここにある本なら番号で丸暗記してある、力になれると思うが、あと本を無駄に抜き差しされると擦れて傷が付くんだ。
(じぃっ、と泳ぐ視線にきっちりと目を合わせてもう一度聞く、今度は逃がさないとばかりにこちらから話を投げて、そして本棚に入った本を指で撫ぜる、傷が付くのは嫌らしい)
ご、ごめんなさい…えっと…面白そうな推理小説とかないかなぁって思って探してたんだ
諦めて相手を視界の中央に捉えると、その指摘ももっともだと思い素直に謝罪をして、それからほんの少しだけ間を置いて具体的に何の本を探していたのかについては濁して)
?……ここの本タグはミステリーでも推理でもなくてファンタジー系統なんだが?
(謝罪などは一切気にすることはなく、相手の探していた本を聞いて顔をしかめてもう一度本棚を指でなぞる、そして行き当たったプラスティックのタグ、《ファンタジー》のタグを抜き取り、見せながら再度問いかける)
………ワタシニホンゴヨメマセーン
(咄嗟のこちらの嘘に対する指摘にやってしまったというような表情を一瞬浮かべ、今更取り繕うことは無理だと悟りながらもどうにでもなれと半ばヤケクソになり、肩を竦めてみせて)
んだよ外人かよ……話せるけど読めないってのは結構稀なケースだけど、それなら納得だ。
(はぁ?と大きくため息をついてそんな適当な言い訳に丸め込まれてしまう、そうなるとどうしようかと思考を巡らせ、その末に相手に『言葉は理解できるんだな?』と聞いてみる)
あ…うんうん、そうなの!正しくはハーフなんだけど、耳で聞くのと読むのって全然違うよね、うん
(よもやこんな適当な言い訳が通用するとは思いもしなかったため逆に驚きのあまり固まってしまったが、通ったなら通ったでラッキーだとそうたたみかけて)
なるほどねぇ……日本語、マジで読めないのか?
(それなら仕方ない、と納得したように一冊の本を抜き取りぱらぱらとめくる、そして少し間を置くともう一度相手に質問する、心配したように)
…ごめんなさい!本当は思いっきり日本語読めるし、ここがファンタジー関連の本のコーナーだっていうのも知ってましたーっ……だけど、何を探してたのかはちょっと詮索しないで欲しいんだ、お願い!
(心配したような目線に嘘をつき続けることで良心が痛めば耐えきれず頭を下げて、目的があったのは確かだがそれについて触れてほしくなかったからとっさにあんな嘘をついたのだと全部正直に話し)
俺も知ってた、日本語読めないのに本探す馬鹿居ねえだろ。
詮索禁止ってのは、なんだ、訳アリか?でもここは俺の図書室だ、ここに居るからには俺の言葉が絶対だ。
(下げられた頭に目もくれず淡々と知っていたと言葉を並べる、しかし、詮索禁止というのは些か納得がいかないらしく、吐くか、去るか、冷ややかな目と声で告げる)
うぅ…そんな意地悪言わないで見逃してくれないかなあ…?そのかわり私にできることならひとつだけ言うこと聞くから
(困ったように眉尻を下げて、見逃してくれるようにとお願いをするのと同時に、その代わりとして交換条件を提示して)
じゃあお前、名前は。
(言うことを聞くと言ってもそこまで異性に飢えている訳でもないので、とりあえず名前だけ聞いておく、情報としてはそれで十分だ)
私は白鷺アリス、高等部の二年生だよ。…えっと、白鷺財閥ってわかる?全国的に色々な事業を取り仕切ってる大きな財閥なんだけど…多分知ってるなら名前を聞いた時点で、おや?って思うだろうから言っちゃうけど私のお父さんはそこの代表なんだ
(ひとまず探し物について追及から逃れたことに安堵し、尋ねられるまま本名を嘘偽りなく答え、自己紹介をした時に大抵の相手が「白鷺」の名に何かしらの反応を見せることから何か聞かれる前に先回りして自己紹介の中で素性を明かすのは自分の中では半ば決まりきった流れで)
あぁ、あのガワだけは一丁前、取り仕切るのは部下や秘書、本腰上げるはクソ重く、上の連中無能だらけなせいでもはや別の企業……というか家に吸収されてるあの白鷺か。
じゃあ次の質問だが、そんなお嬢様がなぜこんな平凡な高校に居る?
(なぜか知り尽くしているような別の立ち位置から言葉をたんたんと並べ、最後には額に手を置いて呆れたように言い終える、良いところのお嬢さんというところは間違いないだろうが、ここは単なる高校だ)
あはは…辛辣だね、だけどその情報は少しだけ古いよ。…と、そんなことは今はどうでもいいね、別に私もお嬢様だからって特別扱いされたいとかそんな考えはないんだ、家の方針で子育ては自主性を大事にするべきってことで学校選びから何まで私が自分で責任を持つ限りは好きにしていいって言われてるのです。私も名門校とかルールに縛られるばかりで堅苦しいのは好きじゃないし…その点ここは自由な校風だしここでなら私でも普通の高校生みたいに青春を過ごせるかなーって
(確かに事実としてそういう側面もあった、それについては返す言葉もなく苦笑を浮かべるが、それは最新の情報ではないとだけ匂わせるだけ匂わせ、相手からの質問に話題をシフトして自分がお嬢様であることは自覚しているがそれをひけらかしたりそれによって特別扱いみたいなのは望んでおらずむしろ窮屈さを感じてしまう質で、幸いにも家庭の方針は比較的放任のため校風の自由なこの学校を自分で選んだのだと答えて)
ここってそんな自由……いや自由か。
一生徒に図書室の管理をぶん投げるほどだもんな。
ていうか、青春したいならこんな陰気くせえ場所に居ないで部活でもしてろよ
(長々とした言葉にくらりとしつつも論点をそのままズラし、相手の言う自由な校風について少し考えた、まあ、自由というか放任主義と言うべきだろう。
しかし相手の最後の言葉、青春を過ごせるかな、という単語に反応して言い返し)
ふふん、それは偏見じゃない?図書室でお勉強したり調べ物したりというのもまた青春の一ページなのだよー
(確かに相手の言うようなわかりやすく青春という感じの活動なんかは勿論のことだが、図書室のような場所にだって学生らしさ、青春というものは転がっているものなのだと得意げに胸を張って言い)
お前が青春するために数人の苦労人が青春を謳歌できないってことだけは覚えておくんだな
(得意げに言うものの彼はニッコニコな顔をし、どこか恨みがこもった、意味深な威圧のある言葉を放って)
…どういうこと?私ここに居たら迷惑かな…?
(まるで身に覚えのない敵意に戸惑ったように眉尻下げて首を傾げ、俯きがちになって相手にとっては自分がここに居ることが気に入らないのかと問いかけて)
いやなに、お前がここに居ると俺はここから出られない、ここの管理者は俺だ、というかお前が居なかったらとっくに鍵かけて篭ってる。
(相手が居ることが迷惑と言うより、ここに自分以外の人間が存在すること自体が足枷のようになっていて、自分なりの青春を謳歌できない、と主張し、手元の鍵束を手で弄ぶ)
あ、なるほど、ごめんすぐ出るね。また明日調べ物の為にここに来てもいいかな?今度は本の扱いとか気をつけるから
(ようやく相手の言葉の真意を理解出来れば急いで図書室を出る支度をして、そうして相手の方を振り返ると本が傷つくなどといったことには十二分に配慮するからと明日もまた立ち寄っていいか問いかけて)
なんのためにネットがあると思ってんだお前は、本なんて古臭いもん使う意味はあんのか?
てかお前何かの本探してたんだろ
(調べ物やその他もろもろ、ほとんど全てがインターネットで済ませてしまうこのご時世にわざわざ図書室に調べ物しに来る意味は感じない。
だからこそ、相手は本を探すのを目的に来ているのだろうと当たり前の推測をして)
それは確かにそうなんだけど…出来ればこの件には部外者を介入させたくないんだよね、それにそもそもそれがこの図書室にあるって確証もないし。キミもこの件の当事者として協力してくれるっていうのなら教えてもいいけど…どうする?
(ここまできて探し物があるという事実を隠し通すことは出来ないと悟って相手の憶測混じりの問いに素直に頷き、その上で秘密裏に動きたいことと、その探し物がここでみつかるという保証はなく、もしも見つかったとしてその全容を知った以上は協力者として動いてもらいたい旨を伝えて)
じゃあ協力してやるよ、俺も部外者をあんまりここに立ち入らせたくはねえし、当事者と成るなら俺はお前を歓迎しよう、知り合いには寛容だ。
(別に抵抗はない、ここは自分の図書室だ、そこを部外者に踏み入り、荒し回ることはそもそも嫌、だが知り合い、又は友人というのなら話は別、深く関わっておいて損は無い。
簡単に言えばそんなに興味無いけどとりあえず、といった形だ)
よし、交渉成立だね。私が探してるのは白鷺財閥の名義でどこかの図書館に寄贈された一冊の本だよ、表向きはどこにでもあるただの童話の本だけど、その本には先代の会長だった私のおばあちゃんが開発した特別なプログラムのアクセスコードが特別な道具を使わないと目視出来ないよう仕掛けを施して記されてるの。でも、財閥内部でのいざこざの中でそのことを知らない役員が蔵書整理だとかで全国各地の図書館にその本ごと大量の蔵書を纏めて寄贈しちゃって…だけど、私のお父さんが進めようとしているプロジェクトにはそれは絶対に必要になるものだって…プロジェクトさえ成功すればまた白鷺の元に財閥は一つになれる、だから必ず見つけ出したいんだ
(協力の約束をとりつけると自分が探しているのはどこにでもあるようななんの変哲もない童話の本に扮した社外秘の所謂ブラックボックス的なプログラムのパスコードが記された一冊の本であることを説明し、同時にそれが白鷺の名前の元に社運をかけたプロジェクトに関わるものであることから自分もそのために動いており、探し物の正体が正体だけに何を探しているのか話せなかったようで「それで、さっきまで一冊一冊これで確認してたって訳」そう言ってポケットからさっきの会話の中でも出てきた特別な道具であろう小さなルーペを取り出して見せて)
忙しすぎて顔見せさえできなかったとは……不甲斐ない。
ここでの立ち回り方もすっかり頭から抜けちまったが、募集して来るかね……?
まぁ、来なかったら単なるオレのジゴージトクなんだけどよ。
……っつーわけで、再募集する、ルールに変化はない。
不定期に募集かけるから、オレなんかと話したい物好きは好きにプロフ置いていってくれ、んじゃーな。
名前 嶋村未羽(シマムラミウ)
容姿 身長154cm。薄桃色のセミロングの髪の先端を二つに分けて結んでいる。紫色のタレ目。風紀委員の証である制服に合わせたマントを身につけている
ええと…こんばんは。こんな私でもお話ししてくれますか…?
ずっとここには興味があったんですけどいつも先客さんが居たので今回はタイミングが合って良かったです…
ええと…絡み文はこちらから出した方がよろしいですか…?それと、先に何か決めておいた方がいいこととかあれば話し合いましょうか…?
なんでか1000を超える言葉を交わしてるからなぁ、なんでだろ、まぁそりゃ何よりだ。
こちとらここに帰ってくるのが4ヶ月ぶりぐらいなんでな、そっちからで頼む、決めておいた方がいいこと……は、そっちの女に何か設定があるなら、それ以外は求めねぇ。
お話しの進行に合わせて少しずつお互いのことを知っていければと思っているので、とりあえず前情報としては私は風紀委員で図書室へ来るのも最初は委員会のお仕事絡みということぐらいでも大丈夫ですか…?
問題無いようでしたら初回出しますね?
失礼します…桐島先輩、居ますかー…?
(図書室へと入ってきて、控えめに図書委員長である相手の名前を呼びながら図書室内を一通り見て回ってからカウンターの前へとやってきて)
──人か。
居るよ、ご用件は……風紀委員か、オマエ。
(僅かな物音と声で人が来たことを察知し、本を整理する手をピタリと止めてカウンター席に立った。
そして適当な対応をしようと言葉を並べたが、相手の風貌を見て声色を変え)
は、はい、風紀委員所属一年の嶋村未羽といいます。えっと…あの…中央評議より通達です『図書委員長桐島三郎 左記の者の役員総会への参加義務の履行を要請する』…とのことです
(風紀委員と見るや態度が変わった相手に戸惑いオドオドしながらも自らの身分も添えて丁寧に名乗り。ここへ来た要件、即ち中央評議、正式名称は中央生徒評議会、いわゆる生徒会からの要請文をやや遠慮がちに読み上げて。やや形式ばった文章を意訳すれば委員会の代表者などの集う会議へ図書委員長である相手が参加義務を果たしていないことへの警告と出席を促すもので「会長は他の役員たちの手前桐島先輩だけを特別扱いは出来ないと言っていました。形式的にでも協力的な姿勢を見せてくれなければ庇いきれないとも…顔だけでも出しては貰えませんか…?」申し訳なさそうに眉尻下げて通達を出した張本人である会長からの伝言もついでに伝えて深々頭を下げて)
………チッ、中央評議のヤツらかよ。
出なきゃ立場は保証できない、って感じだろ、分かりやすい脅迫だ、まァ、出てないオレが悪いんだけどよ。
(内容を聞くなり態度を崩し、椅子に腰を下ろして背を預ける。代表者会議に出てないのはシンプルに出る必要が無いと感じているからであり、自分が体裁を守っていないのが悪いとは思っているが、どうにもやり方が気に食わず黙り込んで。
しかしこのまま黙りを決め込んで参加しない、なんてやっていては立場が危ういのは言った通り承知していて。
「……代表者会議ってのはいつやるんだっけか」
相手の様子を見て渋々、本当に仕方なさそうに、不機嫌な様子で聞いて)
………チッ、中央評議のヤツらかよ。
出なきゃ立場は保証できない、って感じだろ、分かりやすい脅迫だ、まァ、出てないオレが悪いんだけどよ。
(内容を聞くなり態度を崩し、椅子に腰を下ろして背を預ける。代表者会議に出てないのはシンプルに出る必要が無いと感じているからであり、自分が体裁を守っていないのが悪いとは思っているが、どうにもやり方が気に食わず黙り込んで。
しかしこのまま黙りを決め込んで参加しない、なんてやっていては立場が危ういのは言った通り承知していて。
「……代表者会議ってのはいつやるんだっけか」
相手の様子を見て渋々、本当に仕方なさそうに、不機嫌な様子で聞いて)
脅迫だなんてそんなつもりは……ごめんなさい…でも出ていただけるんですね、良かったです
(文面からしてそんな風に捉えられても仕方のない内容であり、まかり間違ってもそういった意図はないなどとは擁護のしようもなく自身は評議会の直属の組織である風紀委員の一員として評議会の意志を代理で伝えにきたいわゆる使いっ走りの立場でありながら強引なやり口については我が事のように謝罪をして改めて頭を下げ。それでも不服そうながら前向きな返答が得られれば顔を上げて安堵の笑みを浮かべ「次回の総会は明後日の放課後の予定になっています。予定とかは大丈夫ですか…?」次回の開催予定日を伝えてから、今日こうして声をかけてから大して日にちも開かないため急な事で大丈夫か相手を気遣って問い)
あー謝んな謝んな、悪ィのは中央の奴だろ。
……礼儀も知らないヤツが来たら即刻追い返してた、お前で良かったよ。
(彼女のような誠実で真面目そうな後輩が自分の責任でもないのに頭を下げるのは我慢ならず、謝らないよう言う、そもそもこうなってしまったのは自分のワガママであり、そう考えると中央評議の奴らの掌の上で踊らされている感があってまた腹が立つが、言ってしまった手前仕方なく耐えて。
「…明後日ならまぁ空いてる、顔出すだけだぞ」
相手の笑みから目を逸らし、本をぺらぺらと捲りつつ適当に返答して)
はい…参加さえしていただければ会長も納得されると思います。その、お優しいんですね?前にも何人か風紀委員からこうして出向いたものの一切とりあってもらえず門前払いにされたと聞いていたので本当はここへ来るのは少し怖かったんです
(聞いていたイメージよりはずっと柔らかい相手の態度に最初のような緊張したような雰囲気は幾分か和らぎ、穏やかな口調で本音を交えて少し饒舌にそう語りつつ胸元で両手を合わせ瞳を細めて。自分はよくて先人たちは悉くダメだった、その原因を突き詰めていけばきっと彼にとって礼儀のなってない人たちだったのだろうという考えに至り、単に相手の人間性の問題ではなくこちらの組織のあり方にも何か問題があるのではないかと少し考え、同時にもう少し目の前の桐島三郎という人物について知りたいと感じ「あの…それとは全然関係のない話しなんですけど…桐島先輩のオススメの本とかって何かありますか?せっかく図書室に来たので何冊か借りて帰りたいなって思うんです…」用が済んだと見るや読書に勤しむ相手におずおずと語りかけて)
ハイハイ……って、優しい?
…馬鹿言ってんじゃねえぞ、オレはただオマエの態度が前のヤツらよりマシだから通してるだけだ、勘違いするな。
(軽い返答をしていたものの、優しいという単語に瞬間で反応を示す、本に栞を挟んでパタンと閉じ、まず否定する。
言った通り、彼女と先人を比べての妥協のようなものである、これ以上押しかけられるのも迷惑だと思っていたから。
説明を終えるとすぐにまた本を開き、相手の考えなど知る由もなくぺらぺらとページを捲っていく。
そして相手から話題を切り出されるとまたもや栞を挟み本を閉じ、肘をカウンターに着いて。
「好みのジャンルは、オレのお勧めはオマエの趣味に合うかは分からん、情報が無けりゃ決めることすらできねぇぞ」
備え付けられた引き出しから眼鏡を取り出して目に掛け、同じく備え付けのPCを起動しつつ逆に聞いて)
はぅ…そ、そうですよね…調子に乗っちゃってごめんなさい……
(刺々しさを隠そうともしない相手の反応にビクッと身を竦ませて、今のは明らかに自身の距離の詰め方が不味かったと察すれば素早く頭を下げて謝罪を口にし。漠然とオススメについて聞いたが確かに好きなジャンルなどの情報が無ければ対象も絞りにくいだろうと納得すれば「ええと…そうですね…割とどんな作品も好きで色々なジャンルの本を読みますけど、強いて言うなら今日はミステリーとか推理小説を読んでみたい気分です」少しだけ考えた後で、手広く様々なジャンルを齧っておりそれなりに読書が好きということを示した上で敢えてその中で絞り込むならと今日の気分を相手へと伝えて)
……あァ、もういい、謝るな、オマエは今から風紀委員じゃなくて本を借りに来た1人の生徒だ、そうだろう?
(どうにも、健気な彼女が謝罪しているのを見るのは気に食わない、というか良心が痛んで見たくなく、扱いを風紀委員から単なる一生徒として切り替えることにし、頭を上げるように言って。
彼女から貰った情報と気分をとりあえず脳内で組み合わせ、どんな本が合うかを考えて。色んなジャンルを齧っていて本が好きなら、単純なものではなく中身が捻ってあり、尚且つ少し長めなモノが必要だろうと言う結論に至り、そんな本があるかとまた思考を巡らせて。
「長くて難解なミステリーか…。
『使者達の木曜日』があったな、図書番号5024番」
初対面の彼女に対してもだいぶ頭を捻りチョイスを決め、ようやく決まったとPCのキーボードに文字を打ち込んで)
は、はい、ごめんなさ…ありがとうございます
(頭を上げるよう言われて気を遣わせてしまったと思い再び反射的に再び謝罪をしてしまいそうになるが、そもそも謝るなと言われているのに謝罪を繰り返すのは逆に失礼かと思い、感謝の言葉を言い直して遠慮がちに上目で相手を見やりモジモジとして。何気なく話しの種としてオススメを尋ねてみただけであったが真剣にこちらの提示した条件に合う本を探してくれているのを見ればやっぱり良い人だなと思ったがそれを言えばまた怒らせてしまいそうなため胸の内に留めておき「まだその本は読んだことないです。桐島先輩のオススメですしそれにします」聞いたことのない本のタイトルに未知の物語へ触れるワクワク感を感じてそれにすると即決して)
それでいい、やれば出来るじゃねぇか、上出来だ
(次にまた謝罪をしたら叩き出そうかと考えていたため、ギリギリで感謝の言葉に言い直した相手に満足気な笑いを見せ、上目などは全く気にせず賞賛の言葉を送ってやり。
検索欄を開いて5024番を検索し、眼鏡を直ぐに外して何か言いたげだった相手に目線を移す、言わんとしていることを追求したくはあるが、そんなことよりと居場所の割れた本のある棚に視線をズラし、椅子に座り直して。
「ミステリーの棚のNo5、1番上の棚の端っこだ、自分で取ってこい、俺がやんのは検索だけだ」
ピッ、とかなり遠くでかなり高い本棚を指差し、しっしっと追い払うように手を振り')
あ、はい、行ってきます…!
(目的の本のありかを指さす相手の指先を視線で追って、少しばかりぞんざいとも思える相手の物言いと態度にも嫌な顔一つせず素直に指定された本棚の方へと向かって。本棚に記載されている番号とカテゴリーを確認しながら目的の本棚を探して、少しして見つければその本棚の一番上の列を見上げ「えっと…あれかな……んん、届かない。もうちょっとなんだけど…」言われた通り棚の端っこの本を手に取ろうと手を伸ばすが身長が足らず届きそうになく、背伸びをしてみたりするもののそれでもギリギリ届かず困り果てて)
………
(健気な彼女の姿を遠くから眺め、意地悪にニヤニヤする、あの場所に本があるのは事実だがわざわざこの本をチョイスしたのはこの様子を眺めるためだ、行動パターンとは意外にも読みやすいもので思い通りの行動をするのを見ると、自然とニヤニヤが零れて)
うぅ…桐島せんぱーい、あの…手を貸してください、私の背だとどうしてもあそこの本棚に届きそうになくて…
(しばらく悪戦苦闘してみるもののどうしてもあと少しが届きそうになく、自分でとってくるよう言われた手前、手間をかけさせるのは忍びなかったが仕方ないと、カウンターへと歩み寄り間延びした声で名前呼びながら申し訳なさそうに助けを求めて)
あークソっ、忙しさがズルズル続きやがる。
やっと落ち着いたぞ……
まだ居る……とは思えねぇな…。
こう何度も再募集かけるのもなんだが、再募集だ。
俺にとっての居場所はここしか無いからな、オレと話したいとか、図書室、本に興味があるヤツはテキトーにプロフィールを置いてってくれ。
特にルールに変化はない、図書委員と図書室は生徒の来訪を待ってるぜ。
あークソっ、忙しさがズルズル続きやがる。
やっと落ち着いたぞ……
まだ居る……とは思えねぇな…。
こう何度も再募集かけるのもなんだが、再募集だ。
俺にとっての居場所はここしか無いからな、オレと話したいとか、図書室、本に興味があるヤツはテキトーにプロフィールを置いてってくれ。
特にルールに変化はない、図書委員と図書室は生徒の来訪を待ってるぜ。
名前/真宮寺美穂(じんぐうじみほ)
容姿/肩口まで伸ばした赤みがかった少しだけ癖のあるふんわりした黒髪を一房だけ左側で結っていて、ぱっちり二重の瞳はオレンジ色をしている。スカートは超ミニでレザーのジャケットを羽織ったりとパンクスタイルっぽく制服を着崩して着用している。身長は160センチで手足はスラッとしていて長め
チョリーッス!入っちゃってよき?あんた、図書委員っしょ?ちょいと探して欲しい本あるんだけど
(図書室へ入ってくるなりカウンターに居る相手へと駆け寄り)
見るからにハイカラでシティーなガールだな…。
だが本を探しに来たのなら図書委員として断る理由はない。まぁ……歓迎しておこう。
探してるのはどんな本だ、ちなみに雑誌は無いぞ。
(距離感の近い相手に少しだけ苦手意識を覚えるものの、すぐに備え付けのPCを起動して図書委員としての対応を始め)
ハイカラ?シティーガール?あはは、それは流石に今時ヤバみが深いっしょ!でも一周回って新しいかもね
(絶妙に古い表現にケラケラと笑って)
あざまる水産!ちな、探してる本はコレなんだけど置いてる?
(パチっとウインクをしてお礼言い、メモを手渡して。中に書いてあったのはごく普通の文学作品で)
ヤバみが……水産……?
何言ってんのかサッパリ分かんねぇ。
……これは、確か置いてある。文学系なら確か向こうの本棚に……いや面倒だな、検索するから少し待て。
(聞いたことのない単語に頭を抱えつつも手渡された軽くメモにしっかりと目を通してマウスをスイスイと動かし)
マジ?助かるわー、近所の本屋じゃ全然置いてなくてぴえんって感じだったし!
(テンションが上がって詰め寄ればパソコン画面を横から覗き込んで)
おい、このPCは閲覧禁止だ。
……あと近い、離れろ。
(少しだけ苦い顔をしつつ、やりにくいと言わんばかりに貴女の額を人差し指で軽く押し、側から離れるように促して)
えー!いいじゃん、堅いこと言いっこなしなし!ウチとあんたの仲じゃんかー…あ、もしかして調べごとしてると見せかけてエチエチな画像とか見ちゃってる的なパティーン?
(しつこく食い下がり、もしかして…とニヤっと笑って)
会ったばかりだろうが……あんま巫山戯たことばっか言うと追い出すぞ。
それに、このPCでそんな事できるか。
(はぁ、と呆れたように息を吐き、この女には何を言っても無駄だと割り切るとPCの操作に集中して)
エンカして言葉交わせば秒で人類皆友達っしょ!
んでんで?本は見つかった?
(自信満々に言い切ってサムズアップをし、目的の本の場所はわかったか尋ねて)
友達って単語を軽々しく使うんじゃねぇよ…
見つかった、図書番号2011……あの本棚の上から3番目辺りだ、さっさと取ってこい。
(冷たく呆れた声色で言葉を返して立ち上がり、奥の方にある本棚を指差すと再び椅子に座り込んで)
んじゃあ、ズッ友なら良き?
とりま、サンキュー!とってくるぜー
(ピースサインを顔に当てがってポーズ決めてから、言われた本棚へと真っ直ぐ向かって目的の本を見つけて手に取り戻ってきて)
ほいほい、じゃあ貸し出し手続きよろー
なんで逆に進化してんだ関係性が。
貸し出し手続きとか面倒だからナシだ、どうせ本の管理をしてるのは俺だけなんだし、読み終わったら返しに来い。
(きっちりツッコミを入れると、戻ってきた貴女に対して本をぺらぺらと捲りながら雑なのかしっかり考えたのかよく分からない対応をして)
そこはノリ?フィーリング的な?なんかウチとあんたは長い付き合いになる気がしてんだよねー
てか、あんたもけっこーテキトーだね。ま、とりあえず、おけまる水産!…そーだ、今度あんたのオススメの本とかも教えてよ!エモくてバイブス上がる感じのやつ!
(ツッコミに対して感覚で返し、貸し出し手続きは必要ないとのことなので本を鞄へと仕舞うと胸元でポンと手を合わせて話を振り)
…訂正する、進化じゃなくて悪化だな、これは。
エモとかバイブスとか言ってることはイマイチ理解できんが、まぁ、俺のオススメを教えればいいんだな。
(今すぐ帰れと言いたかったがグッと堪え、頭を抱えながら悪化したと言葉を零す、そして自分の顎に手を当てると振られた話に食いついて)
そそ。さっすが話しが早いね。最高に尊くてやばたんな一冊に期待!
(乗り気になってくれた相手に軽く身を乗り出しながら期待の眼差しを向けて)
また今度、思いついたらオススメしてやるよ。
でも今は忙しいんだ、主にお前の相手で。
(こちらは逆に身を引き、忙しいと言いつつも置いてあった本を手に取り自分の眼前で開くことで視線を遮って)
そ?暇そうに見えるケド…ま、いいや目的の本は見つかったし!
てか、自己紹介まだだったよね、ウチは真宮寺美穂。ちな、一応あの真宮寺だけど家のこととかカンケーなく絡んで!
(まあいいかと追及はせずにおき、自己紹介をしていなかったことを思い出し、名乗ってから苗字についてツッコまれる前に自らの身分を明かして。『真宮寺家』とは代々政治家や大きな会社の社長などを輩出しているこの辺りでは有名な名家である)
見えるだけだ、見えるだけ。
真宮寺……ね、俺は桐島、桐島三郎だ。
一応言っておくが、個人的に絡む気はない。
(真宮寺の名前を聞くと苦々しい笑みを漏らすが、相手だけに名乗らせるのは良くないとすぐに自分も名前を名乗り、それを終えるとすぐに読書に戻って)
おけ!桐島っちね。てか、初っ端から拒絶ムーブとかマジぱおんだし
(早速あだ名呼びをし、ウインクをして。それから相手をジーッと何か物言いたげな目で見て)
あだ名を付けるな、それにぱおんってなんだ…。
(相手の言動が全く理解できないらしく読書に集中できないと頭を抱えて、視線には気付いているが変な事を言われて絡まれるのも嫌なのでシカトして)
えー、あだ名あった方が親しみあっていいっしょ!それともさっちんとかのがよき?
てか、ぱおんわかんないってマジ?流石にぴえんはわかるっしょ?
(あだ名をつけるのは既定路線のようで別の候補を出して。言葉の意味が理解できないという相手に信じられないというような顔をして)
親しくない、親しくなる気もない、だからあだ名をつけるのもあだ名で呼ぶのもやめろ。
ぴえんはまぁ耳に入るが、ぱおんは知らん。
(それに対して冷たく言葉を返して、その後すぐにまた本に目を通しながら答える、言い方からして意味はイマイチ理解していないようで)
えー、でもそれだとなんて呼んだらいいか困るし、やっぱ桐島っちで。まあまあ、仲良くなるかどうかは今後の付き合い次第ってことでよくね。
いやー…mjk…こういうのってジェネレーションギャップってゆーんだよね?あれ?同じぐらいの年だし違う?ま、いっか
(冷たくあしらわれても怯まずお気楽に言葉を返して。引き続き驚いたような顔をしていたが最終的に適当な感じで思考を止めて)
本当にお前は……まぁいい、好きにしろ。
だけど図書室の外ではあだ名で呼ぶなよ、いらん誤解を招く可能性がある。
…やっぱ何言ってるか分かんねぇ。
というか、お前いくつで何年だ。
(そこまで気楽だと1周回って諦めが付いたようで図書室ではあだ名で呼ぶことを許してやり、今更ながら年齢確認と先輩か後輩か同学年かを確認して)
いらん誤解…?あー、アレっしょ?彼女がいるから気安く声かける女がいたら嫉妬されるとかそういう系?
んー?そーいや言ってなかったっけ?うちは3年で年は18だよ。桐島っちは多分タメじゃないよね?桐島っちケッコーイケメンだしタメならどっかで会ってるだろうし一度見たら忘れないと思うんだよね
(誤解というのが何なのか最初はピンと来ない表情浮かべていたが、そういうことかと自分なりにそう推理をしてみて。自分の年齢と学年を答えると、顔に見覚えがないことから恐らく同学年ではないだろうと聞いてみて)
お久しぶりですね…三郎さん。お元気ですか?あの時は突然一方的にお別れを告げてしまってすみませんでした!
なんて、今更帰ってきても最後の書き込みから3年も経ってしまってますし、きっともう三郎さんはここには居ませんよね…。
でも、もし叶うならまたもう一度だけでもお話しできたらなって、そんな事を考えちゃってるんです…なので、ちょこは勝手ながら少しだけここで三郎さんの留守を守りながらお待ちしていますね
(/既に他の方とのやりとり中なのに、そのような書き込みをするのは如何なものかと思いますが……。そもそもが古いトピとはいえ、仮に主様がいらっしゃったとしても、主様の書き込みで止まっているなら兎も角、現在のお相手様もお返事を待っている状態ですしそちらを差し置いて1174様にお返事をするのは失礼でしょう。)
(/1175です。誤解を招くような表現になってしまったかと思い、少し補足させてください。まず、先程の書き込みがお節介でしたら申し訳ありません。具体的には名乗りませんが、実は私もこちらのトピでお相手して頂いていた事があり、4年以上忘れられずにいます。既に新しいお相手様がいらっしゃるため身を引いてしまったのでお気持ち痛いほどお察しします…。しかし、一度自ら身を引いた以上実際に上記のような書き込みをしてしまうのは、現在のお相手様に失礼ですし望ましくない気がしてしまいます……。)
なんか盛り上がってる感じ?ま、今は一応ウチが相手してもらってる形だし。
待ってんのもそーだし、返事くんならあわよくば?みたいなんも一緒。割り込み的なのはちょい勘弁してほしいかな
>>真宮寺美穂
生憎、色恋沙汰とは現状無縁だ。
いらん誤解っていうのはな……まぁ、「俺とお前が付き合ってる」とかの下らないモンだよ。
下らねぇけど面倒だし、お前も嫌だろ。
……俺は3年の17歳だ、お前とは同学年になる。
ただ……俺はずっとここに篭ってたからな、顔を見る機会すらなかったんだろ。
(返ってきた推理を軽く一蹴すれば目を細める。
下らない誤解、そこから生じる噂とはいえ、相手をそれに巻き込みかねない可能性を危惧している態度を見せて。
相手が歳上という事実に少し驚きつつも他の言葉には驚かず淡々と言葉を並べ、「ここ」という言葉を口にする時には視線をぐるりと回し、図書室を一瞥して)
(何も言わずしれっと戻るのは不義理だな。
桐島三郎、図書委員。
待たせに待たせて戻ってきた、3年も空けてた理由は非常に個人的な要因だから伏せさせてもらうが……
3年待たせちまったのは、本当に悪かった。
これからは定期的に返事をさせてもらう、これ以上の説明は言い訳がましくなっちまうからあんま言わねぇ。
図書委員は、変わらず図書室に居る。
話してくれると、有難いな)
あの…そもそも>>1174はなりすましです。三郎さんなら惑わされないって、信じてはいますが…。
それにもう終わった話ですし、お伝えするか悩みました。でも偶然お見かけして、いてもたってもいられなくて。
3年も経ってから偽物が現れるなんて悪質ですが、それはちょこも同じですよね。すみません。
願わくば、三郎さんが偽物にだけは惑わされませんように。
お久しぶりですが、まさかこんな形になってしまうなんて。そして、これで最後にします…さようなら
>1180
(/確かにお相手が返事待ちしている中で声をかけたのは不義理であったと思いますが嘘はやめてくださいね。
人になりすまししてまで一方的に別れを告げさせるのは悪質な行為ですよ)
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