図書委員長 2019-11-24 02:38:36 |
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………!(何かを伝えようと口を開くが最後のひとことは声にならず、しかし今この一瞬だけは確かにこの世の誰よりも幸せな笑顔を浮かべ、夕闇の空に溶けるようにその身体は消え去って)
(まるで一晩の嵐のように騒々しくあっという間に去っていった少女が先程までいた場所には一枚のメモ用紙が落ちていて、そこにはとある場所の住所が書き記されており)
……幽霊は幽霊らしくあの世へ逝ったか……
あぁくそ…人の為に泣くなんて俺らしくねぇ……
……何だ、これ……住所?
行ってみて損はないか?(涙を強引に拭い去ると、紙切れを拾い上げ、そこに記してあった住所に足早に向かい)
(住所に書き記されていたのは郊外にあるごくごく普通の一軒の家のもので、相手がその近所までやってくると偶然にも神崎智代子の面影を感じさせる相手と同年代かそれより少しだけ下ぐらいの少女が家の中へと入っていくところで)
あの野郎……どうしてこんなもん置いてったんだ……?
…身内か、その辺りか、取り敢えず尋ねてみるか……。
(怠そうにそう呟き、神崎と似た少女が家の中に入ったのを見計らい、家のインターホンを押して)
…はい、どちら様ですか?(淡々とした調子で感情の抑揚があまり感じられない少女の声と共に玄関の扉が開かれ)
(先ほどの少女が思いっきり警戒感剥き出しのの瞳で相手を見やっていて、少しキツめのツリ目のせいか雰囲気冷たく見えるがそれでもやはり顔立ちには彼女の面影が色濃く感じられて)
……突然の来訪失礼します。
神崎智代子、という名をご存知でしょうか?
(ぺこり、と警戒心むき出しの相手に頭を下げたあと、チラリとみて、やはり似ている、と勝手に考えつつ、己の伴侶の名を聞いて)
…どうして姉のことを…!……とにかくこんな場所じゃ目立ちますから上がってください(相手の口から出た名前に目を丸くして、玄関先で立ち話をするのは目立つと考えたようで、暫し何か考え込んだ後で中へと促して)
高校での知り合いです、というか……あ。
失礼致します……(説明しようとするも、相手に中に入るよう促されるとそう言って中に入って行き)
まどろっこしいのは嫌いなので単刀直入に聞きます、あなたは一体何者ですか?姉が高校に所属していたのは6年前、私とそう歳も変わらなそうなあなたと高校での接点があったとは思えないんですが(口調は相変わらず淡々としているが目線は鋭く突き刺すような目で相手を問い詰めて)
6年前……ですか。
こちらからも言わせてもらいます、信じてもらえないと思いますが。
貴女の姉の霊と、私は会いました。
そして成仏する直前、この紙切れをアイツは置いていったんです。(真実をありのままに伝え、自分で語っていても馬鹿らしいと思ったのか、はは、と乾いた笑みをして、神崎智代子の置き土産、この家の住所と、よくわからない暗号が裏に記してある紙切れを相手にならわかるだろうか、と思い差し出して)
幽霊…?なるほど…根も葉もないしょうもない噂だとばかり思っていましたが、認識を改める必要があるかもしれませんね…今時間大丈夫ですか?少し確かめなければいけないことが出来たので一緒に来てもらいたいのですが(メモ用紙を受け取り表面と裏側の暗号を見て、少し思案してから外出の準備をして)
………信じるんですか!?
ハッ……いや、まぁ、大丈夫ですけど。
(思わずそう叫ぶも、すぐに冷静さを取り戻し、コートを着直して彼女の後をついて行く準備をして)
…幽霊なんて非科学的なものを信じた訳じゃありません、ただあなたが見たというものには少しだけ心当たりがあるので(相手の反応に対して冷ややかにそう返し、足早に歩き出して)
さっきから思っていたんですが、あなたもしかして学校で悪名高いあの図書委員長ではないですか?
あるの!?……失礼。
心当たりがあるのなら良いんですけどね。
……悪名……高い……うっ。
まぁ、そうだな。(丁寧に話していたものの、相手についていき、矢張りそう知れ渡っているか、と口調を元に戻し、そう答えて)
やっぱり…なんでよりにもよってこんな人の前に…(相手の正体を知ってぶつぶつ文句を言いながら足取りは淀みなく目的地を目指して)
無理に敬語使わなくていいです、一応私の方が後輩ですし…尊敬出来る人にしか敬意は払いませんけど
こんな人って酷いな……アイツの妹とは思えねえ。
(ぶつくさ文句を垂れるような相手に呆れたように,そしてそんな噂が立つ自分にも呆れ,溜息をついて、足取りは少しずつ重くなり)
姉は姉、私は私なのでその辺混同されても迷惑です(そんな会話をしているうちに、たどり着いたのは街で一番大きな病院で)
目的地はここです、さあ入りましょう
デスヨネ?。
っと、病院?何の用が……(軽いノリを装っているものの、失ってからそれほど時間は経っていないからか、大体察していて、そのまま中に入って行き)
あなたは随分姉と仲が良かったようなので詳しい説明は省きます、どうせ詳しい事情は聞かされてるでしょうから…
本題はここからです、あなたが聞いたのは姉自身が屋上から転落して亡くなったという話しだと思いますが、それは誤りです……後はその目で確かめてください(院内のとある一室の前にやってきて、扉を開ける。部屋の中にあるベッドには様々な機器の取り付けられた神崎智代子が横たわっていて)
姉は奇跡的にも一命を取り留めていたんですよ
もっとも、この6年間一度も目は覚ましていません、既に身体自体に異常はないようですがいつ目を覚ますのか、そもそも目を覚ますのかすらわかりません
_________________だろうな。
いや、不謹慎か……つまりアレは生霊,というか理論的には,あの生霊さえ元に戻れば全て丸く収まるんじゃねえか?(靴を鳴らして室内に入ると、そう呟いた後、すらすらと言葉を紡ぐが、その言葉の間には嗚咽が混じっていて、行きていた事に対する喜びか、感動か、それはよくわからないが、神崎を見下ろすと、奇跡でも何でも良い、と心内で願い、目覚めを願って)
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