図書委員長 2019-11-24 02:38:36 |
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…あぁ、いい言葉だな、心に響く、いい言葉だ。
(人は己に嘘をついて生きていく、ただしそれは納得でも理解でもない。
それをせざるを得ない状況だからだ。
自分はそれを幾度となく経験して、同じく後悔も味わった。
だから相手の言葉が深く突き刺さる。
…故に、今回だけは、相手に嘘はつかない、自分に嘘はつかない、相手の言葉に深い意識を表すと、相手をもっともっと強く、抱きしめて)
声がちいせえ、もっと大きく頼む。
(とことんまでいじめてとことん熟すのを待つ、果実のような感覚だ、待てば待つほど、甘みは増す。
相手の言葉は当然聞こえていた、だが、これでしてしまうというのも味気ない、だから、ワンモアプリーズ、と耳を傾けそう言って)
だから、な?直接的に言うんじゃなくて遠回しに……。
……って!言えねーよ!罰ゲームか畜生!
(要するに加減の具合ではあるがおそらく相手にはまだ早い、だから遠回しに好意を伝えて貰うのが今最も合う。だが、それは自分がされて嬉しいことを晒しているような感覚になり恥ずかしく、叫んで口を閉じて)
……俺は決めない、言わない。
帰りたいなら帰れ。
残りたいなら残れ。
その二択だ、それは俺が定めることじゃない。
人を縛るのは好みじゃない、ただ言えるのは。お前が本に戻れば、二度と俺とは会えないし、登場人物として決まった行動を本が忘れ去られるまで行う機会となる。
それでもいいなら、帰れ。
嫌なら、残れ。
自分の居場所は、自分で決めろ。
(相手は本に呼ばれている、登場人物の欠けた本はそう遠くないうちに物語に矛盾が生じ、崩壊する。
だから呼ばれているのだ、必要だから。
しかし、今回ばかりは自分で決めてもらう。己の居場所は自分で定めるものであり、他人に決められて居ては何も出来ない。過去の師から頂いた言葉だ、それを少し借り、冷たく言い放って)
…玲。
(理解してくれた相手が寄ってくるのを拒む必要も無い、相手を包み込んで、蕩けて、解けるように互いにねむる。それがいつも通りとなる。
と思っていた矢先、相手からのキスが飛んできて困惑し、理由もなく辺りを見渡した後、可愛い動作をする相手にきゅんときたのか、短く名前を呼ぶと相手を抱きしめて)
『命奪わば奪われよ!忘れた訳ではないだろう!』
「っち……黙れやペーレウスゥ!忘れるわけねえだろ!初歩中の初歩だからな!あと、玲!
逃げないなら巻き込まれないように部屋の隅でうずくまってろ!今すぐ!」
(玲が逃げないと見るや今すぐ強奪せんと迫ってくるペーレウス、心得らしきものを言うとガキのように叫び返し、へし折れた矢の先端を放りかわさせ、その隙に玲の前に経つと、そう伝えて)
こんな気持ちになれたの、桐島さんのおかげだよ。…桐島さんが教えてくれたから、こんなに幸せになれたの。
(相手がいい言葉だと言ってくれたそれは、自分にとっても心に響く大切な言葉。自分が相手に初めてときめいた日、どうせ自分には身分がないから、どうせばれたら迷惑がられてしまうから、どうせ本を探し終わったらすぐに出て行かなければならないからと、心の奥では気付いていたはずの気持ちに向き合おうともせず、傷つくことや恥ずかしさから逃げるように誤魔化してしまおうとしたあの日に、自分に嘘をつくのは良くないと教えてくれたのは他でもない目の前の相手で。もしもあの時、誤魔化し通していたならば相手との今の関係も、尊い思い出も、この幸せも全てが無かった。そんなことをしみじみと考えれば、少し苦しいくらいに自分を抱き締めている相手の腕の力も今はとても心地よく感じられて、痛いくらいのぬくもりが愛しくて、そっと目を細め、嘘をつきたくないと思えるほど大切な気持ちを知れたのは相手のおかげだと嬉しそうに告げると、甘えるように相手の胸元に顔を埋めて)
…えぇっ!?そんな………!
────の…。
(相手にとってはどんなに小さな声だったとしても、全く聞こえていなかったとしても、自分からしてみれば恥ずかしくてたまらない台詞を既に一度言い、更に二度目を求められている状況である。求められたからといって平然と二回も繰り返せるはずもなく、相手の言葉に驚いたように勢いよく顔を上げると、その瞳は余計に潤み、顔から火が出そうな程にますます紅潮し、両手で大きく意味のない動作をしながらあたふたと動揺していて。こんな状態の自分が意地悪モードの相手に敵うわけもなく、諦めたように下ろした両手の拳をぎゅっと握りしめて小さく息を吸うと、今度は下ではなく相手の目を見つめながら先程と同じ言葉を口にするものの、一度目よりも二度目の方が恥ずかしいのは当然か、震えている上に語尾以外はほとんど聞こえないくらい、先程よりも小さな小さな声で)
遠回し………、
(相手が恥ずかしがっていることなどつゆ知らず、相手は遠回しに愛情を表現する方が好きなのだと、貴重な情報が得られたということで頭はいっぱいで。好きな人のことは何でも知りたい、好きな人の好みはもっと知りたい、そして好みに近づきたい、そんな乙女心ゆえに浮かれてしまう気持ちが抑えられずにニヤニヤと表情が緩んでしまいつつ、相手の言葉を復唱し、自分の顎に人差し指を当て視線を宙に向け考え込むような仕草をしながら、遠回しとはどんな言い方をすれば良いのだろうかと真剣に考えを巡らせていて)
……決める前に、教えて?
あたし、本の中に戻ったら、…本の中のあたしは、次の誕生日、17歳になった日に───、
(帰りたいなら帰る、残りたいなら残る。相手が示した二択のどちらでもない、〝残りたいのに帰る〟という選択を今まさにとろうとしている自分の中には、先程見た嫌な夢、リアルすぎる夢の内容が色濃く纏わりついていて。それは自分が次の誕生日を迎えた時の夢、その日に自分は───それが実際の本のストーリーなのだとしたら、それが本来の自分の運命なのだとしたら。思い当たる節は無いわけでもなく、フェンスを握っている自分の手に一瞬視線を向けて。ただ本が呼んでいるだけなら屋上に導かずとも普通に一階の昇降口から出ていけば良いだけの話で、こうして屋上に導かれ、フェンスを乗り越えるような行動をとろうとしている意味、もしかしたらそれは、本の世界に戻らずとも結果的にこの世界の自分が本来のストーリーと同じ目に遭えば、誕生日までに同じ結末を辿えれば辻褄が合うように出来ているのではないかと、必然的にそうなるように出来ていて、この世界に留まったとしても運命には抗えないのではないかと…考えているうちにガクガクと足が震え、相手に本の内容を確認しようとするも、冷たく吹き抜ける風がそれ以上を語るのを拒んでいるようで、見えない風に遮られるようにその先は言葉にならずに詰まってしまい、物悲しく髪を靡かせながら視線を足元に落とし、そのまま黙り込んでしまって)
…名前呼ばれるの、好き。あたしの名前が好きだし、…桐島さんに呼ばれるのが、大好き。
(記憶のない自分にとって、今の自分の名前は相手が与えてくれたも同然の、とても尊くて愛しいもの。そんな大好きな名前を大好きな相手に呼ばれる度、存在を認められているように、自分を求めてくれているように感じられて、とても満たされ、優しい気持ちで胸がいっぱいになる。キスをしてしまった恥ずかしさより、名前を呼ばれて抱きしめて貰える嬉しさに身を任せていたくて。大好きな相手の香りに包まれてドキドキと胸を高鳴らせながら、ただ名前を呼ぶだけの行為に込められた大きな愛を噛み締めるように、ほんのりと頬を染めつつふわりと微笑み囁いて)
わ、分かった!
…お願いします、桐島さんに酷いことしないで…!!
(自分だけ安全なところに避難するのは非常に情けなく罪悪感があるものの、ただでさえ足手まといなのだからこれ以上迷惑をかける訳にはいかないと、相手の言葉に素直に従い、部屋の四隅のうち一番遠い角まで何とか駆けていってうずくまり。顔を伏せていても二人が争うような音は絶えず耳に入り、このまま自分は何も出来ないまま、ただ相手が傷ついてしまうかも知れないのを見過ごすのかと思うと耐え難くて。被害は少ない方が良いに決まっている、ダメ元でも良いから何とか話し合いで解決出来ないものかと、甘い考えかもしれないが何も言わないよりはましだろうと、うずくまった体勢のまま、声を届かせるために顔だけを上げ、必死になるあまり裏返った声で青年へ訴えかけ)
……俺、そんなこと言ってたっけなぁ……
悪い、あんまり覚えてないんだ……
(己の言葉に責任は持てない、何せ、相手の為なら嘘だって偽りだって、それならば何だって口にして、相手を抱き締める、滅茶苦茶だと、無責任だと、詰られたって構わない。
もう自分は死ぬほど嘘で塗り固められた存在だ、だから、相手と居る時、言葉には嘘を交えようとも、自分の愛には嘘をつきたくない。
そう思い、言って、抱き締める手を少し弱める。愛らしく、優しく、再度抱きしめる。)
わんもあぷりーず、はよはよ。
(相手がこんな状態になるのは分かっていた、ただ、ここでコロッと言葉を覆すのはなんかスッキリしない。
しかも、今回ばかりは本当に聞こえていないのだ、仕方ないと自分に言い聞かせると耳元を相手の方へ寄せると、どこかおかしいテンションでわんモアを求めて)
真面目に考えるなよ…
(恥ずかしさのあまり目を逸らしたというのに、それを真面目に思案されるほどこと恥ずかしいことは無い。
泣きそうになりながら顔を覆い、小さい声で言って)
………
…バカが!!決まった運命なんぞある訳ねえだろ!確かに!お前はこのまま行けば思った通りになる!
だけど、だけどな!
『選択する自由のない世界』を俺は認めない!
辻褄合わせのために殺される『人間』が居てたまるか!
そんなもん、そんな人生!俺が書き換えてやる!
分かったか!分かったなら、そこから離れるか、運命に従って死ぬか!決めろ!『生きている人間』の、他ならぬ、お前が!
(相手の言葉に間違いはない、ストーリー上避けられない死はよくあることではあるが、もし、その子が震えて何ともならない状況で、その子に手を差し伸べれるならば、自分は差し伸べたい、ずっとそう考えていた。
何より相手を助けたい、人間であり、自分の想い人を。
だから手を伸ばして、最後は相手に委ねる。叫んで、激情を、ぶつけて)
っ……そりゃ、良かったよ…。
(理性のタガを抑えつける。抑える意味は分からないが、抑えなければいけない気がして、抑える。
囁きでタガは外れそうになるが、相手を強く強く抱きしめることでどうにかして)
『……マドモアゼル、貴女にはこれがひどいことに見えますか?』
「他人の意見に口出しすんな**!」
(相手の言う、ひどいこと、さもそれが今の状況、果たし合いに似合わぬ言葉のように玲の方を見て聞く、しかしその問は途中で文字通り横槍を入れてきた彼によって中断されて)
いいの、あたしがちゃんと覚えてるから。
(覚えていないのが悪いことだとは思わなかった。むしろ自分の心に響いた、自分の人生に影響を与えてくれたといっても過言ではない言葉は、相手にとっては気負わず自然に出てきた言葉だったのだろうと解釈し、そんな素敵な言葉が自然に出てくる相手の考え方そのものが素敵とさえ思えて、ますます胸の奥が暖かくなる。相手が自分に嘘やいい加減なことを言ったことなどないし、言うような人だとも思っていない。どこまでも相手の言葉を、相手の愛を信じていて、自分はその愛に救われている、だから同じくらい、できればそれ以上の愛で応えたくて。幸せに浸りながら頬を緩め、弱められた腕の力に反して今度は自分がありったけの愛を込めるように、相手の背中に回した腕にぎゅっと力を込め、よりぴったりとくっついて)
…キス!して欲しい……!
(はっきりと言わなければ何度も聞き返されるはめになり、長引けば長引くほど恥ずかしさは増していく。そんな事実にようやく気がついてしまって、完全に逃げ場をなくしたと悟れば困ったように、真っ赤な顔で再び俯いてしまい。それでも、そろそろこの恥ずかしさにも、何より焦らされ続けるもどかしさにも耐えられそうにない。こうしてもじもじとしている間にもきっと、近くに寄せられた相手の耳には、自分の熱っぽい息遣いが聞こえてしまっているのだろう、そんなことを考えつつ、一刻も早くこの状況から解放されたくて、もうヤケだと言わんばかりに相手の肩に手を添え、ぐいっと更に相手を自分の方に引き寄せると、寄せられた耳のすぐ側で、はっきり、直接的な表現で、甘い甘いお願いを口にして)
ご、ごめんなさい…桐島さんの好きなこととか、あまり知らなかったから嬉しくて…、
(相手が恥ずかしそうにしている理由はよく分からなかったが、それでも照れたように顔を覆う相手の姿を見ると、それにつられてなぜかこちらまで恥ずかしくなってきて。どんなに些細なことでも、相手の好みは自分にとっては貴重な情報。恋人なのに好みをあまり知らないというのも不思議な感じがするが、恥ずかしくて自分から聞く勇気もなければ、今の相手の反応を見る限りきっと相手も恥ずかしくてなかなか教えてくれなかったのだろう。薄く頬を染めて反射的に謝りながらもその頬は緩み、嬉しくてつい真面目に考え込んでしまったのだと正直に告げて)
──ッ!?
…………決めても、いいなら…………、
(叫ぶようにきっぱりと言い切られた言葉に思わず顔を上げ、目を見開く。やはり本の世界の自分の未来はあの最悪な夢の通りになってしまうらしい、そこまでは予想出来ていて、心のどこかでは覚悟もしていて、想定通りだったのに。真っ直ぐ過ぎるほどに真っ直ぐに放たれた相手の言葉がどこまでも予想外で、あんぐりと口を開いたまま固まってしまって。普通の人間と身体の造りは何ら変わりなくても、本の世界から一歩出てしまえば、この世界では自分はただの紙と文字の集まり。触れれば暖かく、怪我をすれば痛くて血だって出るのに、人間として扱ってもらえるか、生きていると見なされるかどうかも怪しい、そんな自分がいつかどこかで死んだとしても誰も何も思わないのではないかと、そう思っていた。けれどそんな自分のことを〝人間〟だと、〝生きている〟と真っ直ぐな瞳で告げられ、手を差し伸べられれば、丸く見開かれた両目から大粒の涙が溢れて止まらなくなってしまって。大好きでたまらない相手が、この先すぐに死んでしまうかもしれない自分を〝生きている人間〟として扱ってくれた、書き換えてやるとまで言ってくれた。それは自分が一番求めていた、一番欲していた言葉のような気がして、これまで自分の運命に勝手に傷つきながらも、自分を一番人間扱いしていなかったのは他でもない自分だったような気もした。もし運命に抗えるのなら、人生を自分で決めてもいいのなら…濡れてぼやけた視界でも分かる、視線の先に立っている、手を伸ばしてくれている相手の元へと近づきたくて、フェンスに添えていた手を離すと、素直な感情のままに、引き寄せられるように足を踏み出して)
…ああいうの、嫌いだった?
(抱き締められて落ち着いてくるにつれて、慣れない自分の行動に、今更ながら不安になってしまう。恥ずかしさはさておき、女の子の方から積極的にキスをしてしまうというのは、相手にはどう映っただろうか。当然経験もなく、普通はどうなのか基準もさっぱり分からないため、はしたないと思われていないか、引かれていないかと心配で、要は相手に嫌われたくなくて。相手を想うあまり勝手に身体が動いてしまったものの、何だかいけないことをしてしまったような気がして、どこか後ろめたくなって。抱き締めてくれている相手の顔色を伺うように見上げながら、少し落ち込んだような表情で軽く首を傾げ、相手の気持ちを聞いてみて)
…見えます。怪我しそうだし、危ないから──だから、言葉で何とかなりませんか?
(青年の問いからしてつまり、このような状況は青年にとっては酷いことでも危ないことでもない、ひょっとしたら当たり前の、日常茶飯事なのではないかと思ってしまったが、無知で争いごととは無縁な自分にとっては紛れもなく危険な暴力で、酷いことである。青年のことを何も知らない自分がそう断言してしまうのは気が引けたが、そう思ってしまったのは事実で、二人のことに自分が口を挟むのはおこがましいとは思いつつも、桐島さんのことが心配な故に出来れば危険なことはやめてほしいのも本心である。だから、危ないからと理由までつけて正直に答え、用件や目的があるのなら力ではなく言葉でどうにか出来ないかと、怯えたような目で青年を見つめながら、頼み込むようにおそるおそる尋ねて)
…なんか、お前と軽々しく約束したくねえな。
(抱き締めて相手から言葉を返されると、やはりと言うかなんと言うか、後に羞恥心が纏めてやってくる。
だから、相手からのダイレクトな純愛は、やっぱり恥ずかしい、自分らしく、そう軽いノリで言う。
軽々しく言ってしまった言葉を空いては全て覚えている、なら自分が軽く言ってしまった約束も相手は覚えているだろう、言ったからには応えるが、なんか、こう、変な感じがする。
微笑みながら言うと、片方の手を相手の頭を撫でるのに回して)
……言えるじゃねえか、最初からそうしとけよな。
(いつもの彼だったらダイレクトな言葉を受けてだいぶ仰け反っているだろうが、意地悪な彼のためそんな事はなく、一瞬で相手の肩を掴むと一気に体の向きを変え、相手の唇に唇を重ね、優しさも気遣いもない、本当の獣のような貪るようなディープなキス、それをして)
わかる、わかるけどな、本人の前でそうやって知って喜ぶヤツ俺初めて見たし、やっぱ恥ずかしいんだわ…
(相手が喜ぶ理由はよくわかる、好きな人のことを知りたい、別側面だろうが、何だって知りたい、知れば嬉しい、けど直接聞くのはなにか小っ恥ずかしい、よーく分かる。
だけれど、相手の反応が思っていたのと違く、本気で受け止められるとやっぱり恥ずかしい、それを言えないまま、とりあえず恥ずかしいことを伝えて)
決めろ、決めちまえ、お前の人生だ。
(自分の言っていたことは正直子供で、正論を前にしたら叩き潰される脆い言葉だ。
だけど、それでも助けたい、それで動いてはいけないのか?
目の前に泣きそうな少女が居ても、ダメなのか?しかし、今、ここには二人しかいない、好きにしてもいいだろう。
相手に決めさせる、相手が決める、相手の人生だ。
自分は手を出すが、掴むのは相手だ。
自分からは一歩も近づかない、ただ、もっと、もっと、手を伸ばして、相手が掴みやすいようにして。掴まれるのを、待つ。)
…すっげー可愛いよ、今も、さっきのヤツも。
(相手の動作、相手の言葉に一々ドキドキしてしまう、いつから自分はチェリーボーイ並の心情になったのだ?と考える暇もない、抗い、抑える、その必要性は最早感じないが、獣の矜持というやつだ。
だから可愛いとだけ、そして抱き締めることだけをする。)
『!?……はは、ハハハハッ!
いや失礼、あまりにも甘ったれた戯言だった故、つい笑いが零れてしまった。
あー、いや、非礼を詫びよう、マドモワゼル。
そして同時に、敬意を示そう。先の言の葉、今を生きる人間ならば震え上がるほどの波圧を込めたはずなのだがね。
それを諸共せず言葉を放った貴女の言葉、聞き届けよう。
それで?どんな言葉で納得させてくれるのかね?』
「ぐぐぐ……って、は?
…今を生きる人間…?…あっ。なるほど……。」
(まず、向かってくる彼の手を掴むと玲と会話をしたいがために多少なり強く拘束する、力の差は歴然だが、トドメは刺さないらしい、そして言葉に笑い、そしてまた変わった口調、どうやらこれが素らしく、ぺらぺらと話すと。
今を生きる人間、限定の攻撃、本から出てきた今の生きる人間枠には一応外れたもの、それを気に入ったかどうかは分からないが、どう自分を納得させるかが気になったのも事実。
彼は何かを察したようで彼の拘束から外れて玲の方まで駆けていき、敵対しないなら、と玲の言葉を待ち)
でも桐島さんなら、絶対守ってくれるでしょ?
(わざわざ尋ねるまでもなく、相手は約束したからには必ず守ってくれるだろう。例えそれがうっかりしてしまった約束だとしても、最終的に守られるのであれば軽々しくなどなく、十分誠実だと思う。相手には揺るぎない信頼を寄せているから、きっと軽々しい約束はしないし、したとしても守ってくれると安心しきっているのだが、それを面と向かって言葉にするのは少し擽ったくて。照れ隠しも兼ねた微笑みを返しながら、軽いノリの相手に調子を合わせるように真面目な本心を冗談めかして告げると、頭を撫でられる感覚に酔いしれるように瞳を閉じ、そのまま幸せそうに心地良い手の感触を堪能して)
んン!───はあっ、
(恥ずかしさなんて一瞬で吹き飛んでしまうくらいの、これまでの甘く柔らかなキスよりも何倍も何十倍も、きっとそれ以上に刺激的で痺れるようなキスに、本気で腰が砕けてしまいそうになる。散々焦らされたそれは信じられないほど、全身が痺れるくらい気持ちよくて、力の入らない身体はこのままふわふわとどこかへ浮いていってしまいそうで、まともに立っているのも難しいくらいにうっとりと、強引なキスの虜になっていて。気分が高まっている中で焦らしに焦らされた挙句の、待ちに待った大好きな相手との触れ合い。これだけの条件が重なった最高のキスに、次第にくらくらと頭が真っ白になってくるものの、未だかつて味わったことのない強い快感に溺れるように甘い声を漏らしながら、ぎこちないながらも無我夢中で応え続けて)
え、えと…、これからは桐島さんの前で喜ばないように頑張るね…?
(嬉しかったからつい真に受け、つい態度に表れてしまった、ただそれだけの事なのだが、目の前で相手に恥ずかしそうにされると、やはりこちらにも恥ずかしさが伝染ってしまって、ほんのりと染まった頬の熱を冷ますかのように、無意識に自分の頬に手を添えて。ただし自分の場合はこの雰囲気に何となく照れているだけでよく分かっておらず、脳内は相手の好みのことでいっぱいでろくに頭も回っていないため、次からは相手がいない時にこっそり喜ぶようにしようという単純な発想に至りつつ、文字通りよく分かっていない様子で、自信なさげにどこかずれた宣言をして)
………ッ!
(勝手に本から抜け出して、勝手に人を好きになって、勝手に〝生きたい〟と思い始めて、勝手に運命に抗う…そんなことが本当に許されるのだろうか。自分が此処に居たいと思うこと自体が大変な罪なのかもしれない、もしかしたらその罪に相手を巻き込むことになってしまうかもしれない。そのことには気がついていたが、それでも、他の誰に許して貰えなくても目の前のただ一人の愛する人に受け入れて貰えればそれで良いと、それが良いと、どこまでも勝手なことを思ってしまった。相手が決めてもいいと言ってくれるなら、自分で決めた人生を、自分の生きたい人生を、堂々と過ごしたい。罪悪感に押し潰されそうになりながらも、相手を求めて動く身体を止めることは出来なくて。止められないならこれが自分の本心で、これが答えなのだろう。伸ばされた相手の手に届く距離まで歩み寄ると、躊躇うことなく優しいその手を掴んで握りしめようと──触れた瞬間に感極まり、顔をぐちゃぐちゃにして激しく泣きじゃくって)
! 可愛いっ?……う……、
(自分から尋ねたくせに、返事を聞けば目を丸くして紅潮し、そのまま何も言えなくなってしまう。だってあまりにも予想外だったのだ。嫌か嫌じゃないか、単純にそのどちらかの答えが返ってくることしか頭になく、それ以外は何の覚悟もしていなかったため、不意打ちで褒められると、嬉しすぎたり恥ずかしすぎたりする感情を隠す余裕もなく、少しだけ困ってしまって。それらの感情を全てぶつけるかの如く、相手の胸元に顔を埋めて押し付けるようにぎゅ?っとより強く抱きついたまま、顔を上げることも出来なくなって)
…いっ、一緒に考えましょう!あなたがあたし達を追い掛け回したりしなくても楽しくなれて、気分よく帰ってもらえるような方法を──あ、あなたにとって一番楽しいことを教えてください、そ、それを今から皆で一緒にしませんか?…いいよねっ?桐島さんっ!
(正直、青年が追い掛け回したり暴れたりするのを何とか止めようということで頭がいっぱいで、青年が桐島さんに変なことをしないように頼み込むのに必死で、その先のことは何も考えずに勢いで発言してしまった…なんて、口が裂けても言えるはずがない。ダメ元で口にした発言を、まさか青年が聞き入れてくれるなんて思ってもみなかった上に、とても口には出来ないが青年の風貌もなかなかに恐ろしくて、今更ながら焦りと恐怖でおろおろと慌て始めて。しかし言い出したのは自分である、何か言葉を返さなければと無い知恵を振り絞るものの、そもそも青年のことをよく知らないのに、納得してもらう方法を思いつくわけもなく。追い詰められるあまり、どうやって納得してもらうかを青年本人にも考えてもらおうというぶっ飛んだ思考になり、まずは青年の一番好きなことを聞いてみようと、それを一緒にすれば危険なことをするよりも楽しいと思い、満足して貰えるのではないかと考えて。桐島さんは嫌がるかもしれないが、このまま二人で争って怪我をしてしまうよりは絶対にましなはずである。平和に解決するために、今だけは我慢してもらって後でめちゃくちゃ謝ろう…なんてことを思いつつ、青年の瞳を真っ直ぐに見つめながら、安直すぎるようで自分にとっては精一杯考えた結果を口調だけは明るくハキハキと提案するものの内心はかなり不安で、青年から見えないところで近くにいる桐島さんの服をぎゅっと握りしめながら口調の明るさに似合わずぷるぷる震えているという、陰では何ともちぐはぐな感じになっており)
守る、守るさ、お前が俺を信頼してくれてる限りは。な。
(ニッと笑い、約束は守るとちゃんと伝えるが、しかし、それは限定的で、相手が自分を信じてくれて、それでいて相手と自分が愛し合っているのならば、相手との約束は破らない、しかし条件は意外と厳しい、まぁ、相手と自分となら、関係ないだろう。
そして口にしたことが少し恥ずかしくなり、相手の耳タブを甘噛みして)
んぐ……じゅるっ……む…
(答えてくれるのならば自分もそれ相応の愛を示す、相手を蕩かして、腰を砕いてその後たっぷり愛撫してやろう、そんなことを考えて舌と舌を絡め、呼吸困難になりかねないキスを更にして)
そーいうんじゃなくて……好きな人のことを知ってそのことを本人の前で喜ぶヤツ見ると恥ずいんだよ…喜ぶなら俺の前で、いや俺以外の誰にも喜ぶな。
(言い方が悪かったのかなと感じ、しっかりと言い直してまぁ恥ずかしさは全く変わらない、だから、相手が自分の前で喜ばないというのは嫌で、それは困る、だからと思って言おうとするが、相手を独り占めしたいがためにかなり相手を縛ることを言って)
…よし、よし、泣いていい、泣き止むなら、結果オーライだ。
(感極まって泣き出す相手の手を引いてそっと抱きしめ、子供を寝かしつけるような親の手でぽんぽんと背中をリズミカルに優しく叩き、安心できるよう、ここが相手の居場所になるよう願って、抱きしめて離したくないから、もう二度と離したくないから、優しくキスをしてやり)
そう、可愛い、んー……いい匂いもする、やっぱり女の子なんだな。
(相手が恥ずかしがって顔を上げられない状態になると逃げれないようにがっちりとホールドし、相手の頭にそっと鼻先を当ててくんくんと嗅ぎ、セクハラまがいのことを当然のように言って)
『……好きなこと、か。
探求だ』
「戦いじゃねえのか……ほら玲、大丈夫、大丈夫だぞ。」
(相手の言葉には大人しく従い、好きなことを包み隠さず伝えるが、彼自身は首を傾げて他の候補をあげるもののないらしく、不審に思うものの震える玲の手をそっと握って安心させて)
じゃあ、ずっとだね……、っ!
(大好きな相手に寄せている信頼が、ちょっとやそっとのことで簡単に崩れるとは思えない。となれば必然的に、相手の言う条件はこれからもずっと約束を守ってくれると言っているようなもの。相手の腕に包まれて微笑みながら嬉しそうに、当然のように即答する…が、うっとりと瞳を閉じていたため、ふいに耳たぶに甘い感覚が走ると驚くと同時にぴくんと大袈裟に反応してしまい)
…ん、……ちゅぅ、
(こんなに身体中が痺れるようなキスをしたのは初めてで、強烈な快感に脳がとろとろに溶けてしまったようで、もう何も考えられない。恥じらう気持ちなど完全に置き去りになっており、かろうじて耳に入ってくる唾液の音も、ドキドキと気分を盛り上げる要素にしかならなくて。ふにゃふにゃに蕩けきった表情を浮かべて刺激的なキスに夢中になっていたが、とうとう身体の力が抜けきって自力で立っているのが難しくなると、舌同士を絡めたまま、縋り付くように相手の首元に両腕を回して)
あ……う、うん…桐島さんの前で喜ばないようにする方が難しそうだし…、
(改めて言い直されると、ようやく相手の言いたいことを理解したようでハッとするものの、気がついたら気がついたで、自分がとった行動を真正面から指摘されているようでかなり恥ずかしく、一気に顔に熱が集まるのを感じ、頬に当てていた両手で顔を覆い隠して。独占欲が込められた強引な言葉にさえドキッとときめいてしまう自分は、相手の傍に居るだけで嬉しくて、既に相手のことばかり考えている。だからもう言われるまでもなく重症で、相手の前で喜ばないようにする方が難しいだろうと思い、照れたようにもじもじと視線を逸らすと、困り顔ながらも満更でもなさそうに呟いて)
……ッ、い、いま……しょっぱいから…っ、
(堰を切ったように溢れ出した涙は止まることを知らず、完全に子供のように、時折しゃくり上げながら相手の胸におさまり、心の中でぐるぐると巡っている様々な感情をすべて吐き出すかのように泣き続けて。そんな中降ってきたキスに目を丸くして頬を染めるものの、涙だらけの決して綺麗とは言えない状態の顔を見られたり触れられたりするのは、こんな状況でも気になるし申し訳なく感じてしまい、びしょ濡れの顔を隠すように俯き気味に顔を逸らして)
も、もぉ!…あんまり、嗅がないで…?
(自分に分かるように堂々と匂いを嗅がれ、感想まで言われると、恥ずかしさに更に追い討ちをかけられたかのように真っ赤になり、抗議するように軽く頬を膨らませて文句を言うものの、正直こればかりは人のことは言えない。実は相手の香りが大好きで、ここまでストレートではないにしてもこっそり嗅いでみたり、喜んでみたり、何なら今もドキドキしている…なんて絶対に言えるはずもなく、何となく後ろめたそうな様子で、相手を咎める語気も大して強くはなく、どこかはっきりしなくて)
探求?素敵ですね。危なくもないし、とっても良い趣味だと思います!…それで、何を探し求めてるんですか?言い出したのはあたしなので、お手伝いします!
(探求という返事が返ってくると、見かけによらず青年は努力家なのだろうと感心したように瞳を輝かせて、素直な感想を口にして。表情を輝かせたのは、危険な内容の答えが返って来なくて安心したという理由もある。何をどう探求しているのかは分からないが、追いかけ回されたり桐島さんと戦い始めたりするよりは、青年の探求を手伝い、求めているものを見つけて満足してもらった方が遥かに安全に解決するだろうと考えて。桐島さんに手を握ってもらっているおかげもあり、返事を聞く前とは打って変わってすっかり安心しきった様子で微笑みながら、探求を手伝うといきいきと申し出て)
流石にもう居ねえかな……。
言い訳はしない、遅れたのは事実だからな。
居なくても文句は言わない、文句を言われるべきは俺なんだからな。
…さて、と、一応返信しますかね、きっと、最後の。
可愛い反応するじゃねえか、不意打ちには弱いか?
(誰しも予想の外からの行動には弱いものだが、相手の反応が思った以上に可愛いと感じてしまって、とりあえず耳朶からは口を離すものの、わしゃわしゃと犬の毛並みを乱暴に撫でるように、玲の頭を撫で)
むぐ……ぷはっ……。
気分はどうだ?蕩けそうだろ。
(相手の体から力が抜けると、相手の少し運んで、布団の上に下ろすと絡めていた舌を解き、口付けをやめて。
そして、相手の頬を愛おしそうに撫でながら、そんな質問をして更に蕩かして)
…そりゃ、良かった。
お前は俺のものだからな、血の一滴から、お前の心の隅から隅まで、全部、俺のもんだ、他の誰にも渡さない。
(相手の言葉を聞くと安心して、そしてそれと同時に、相手を自分のものだと証明したくなって。音もなく一瞬で相手の耳元まで口を寄せると、独占欲の強い言葉を囁いて)
そっか、それなら…
(顔を逸らされてしまっては、今更ながら強要するのも申し訳なく、相手の顔をそっと自分の方へ向けさせると、泣きやすいように自分の胸に相手の顔を埋めて、好きに泣いていい、と短く言ってみて)
えー、だって、本当にいい匂いするし。
(相手が文句を言おうとこっちを向いて頬をふくらませた瞬間、くんくんとまた犬のように相手の頬に顔を擦りつけ、匂いを嗅いではいい匂いがするとナチュラルに答えてみせ、そして、自分の服の裾を相手の鼻っ柱の前にチラつかせたりもしてみて)
『この世に留まる方法』
(胡座をかくとその足の真ん中にちょこんと玲を座らせ、ナチュラルに仲の良さを見せつけると、少し不機嫌そうに答える男、しかし、それはあまり理解のできないもので)
桐島さんっ!おかえりなさい!!
(相手の姿見かけてぱあっと瞳を輝かせながら一目散に駆け寄り、勢い良く相手の胸の中にダイブして)
居なくなるわけないでしょ?信じて待ってるって約束したし。何かあったのかなぁってちょっぴり心配はしたけど…でも無事ならいいの。帰ってきてくれて本当に良かったー!
…えへへ、嬉しすぎてこっちだけ急いでお返事しちゃった。本編のお返事はお時間もらってもいいかな…?
絶対にお返事するから、待っててくれたら嬉しいなー。だからもう最後なんて言わないでねっ?
(冗談めかすような口調で軽くムッとしながら頬膨らませ)
おおっとと……
…ただいま、玲。
(自分の胸に飛び込んできた玲をそっと撫でると、ただいま、と言って)
まぁ、色々あってな。
でも、約束を律儀に守っててくれて俺は嬉しいよ、俺はこんなに誠実な彼女を置き去りにしていたとは……。
後悔が深まる……ま、まぁ、俺は無事だよ。
ありがとな、心配してくれて、待っていてくれて。
分かったよ、待つ、俺が待たせちまったからな、待つよ。
お前の心意気に俺も答えねえとな、だから、もう最後なんて言わない。
不意打ち、っていうか……髪の毛乱れちゃうから…!
(不意打ちをくらった所為なのもあるにはあるが、こんなにも過剰に反応してしまうのは他でもない相手からの戯れだからで。それを言葉に出来るはずもなく、きっと一方的に恥ずかしくなるだけなので言葉にしようとも思わずにもごもごと濁したまま、言葉とは裏腹に幸せそうな表情で撫でられながら相手の手に擦り寄っていて)
…っ、桐島さん、ずるい。
(自分はこれ程までに蕩かされて身体中の力が抜けきっているのに、相手は自分を運ぶどころか恥ずかしすぎる問い掛けをしてくる余裕まであるようで、すっかり火照った頬に触れられて余裕を見せつけられると先程まで吹き飛んでいた恥ずかしさが再び押し寄せてきて、質問に答えることも出来ずに顔を真っ赤にし、ただ相手を潤んだ瞳で見つめるだけで)
うん、絶対…他の人に渡すとか言わないで欲しい…、
(耳元で囁かれる言葉のひとつひとつにいちいちときめいてしまい、強引なはずの言葉でさえ大好きな彼の傍に居ることを許されているような、居場所を与えられているような気分になれば悪い気はしないどころか喜んでいる自分がいて。一瞬だけ相手に視線を向けて相手の言葉を肯定するもすぐに照れてしまい、紅潮した顔をささっと逸らして)
うぅ……、……っ、
(相手の胸に顔を埋められたこの状態では泣き顔を見られてしまうこともなく、咄嗟にそこまで配慮をしてくれる相手の優しさも胸の奥に染み渡るほど暖かくて、溢れ出した涙は一向に止まる気配がなく、相手にぎゅっと強く抱きつきながら涙を流し続けて)
!!はっ、恥ずかしいよ…!
(至近距離で漂う相手の香りにドキドキと鼓動を早めながら、更に自分の匂いを嗅がれている状況を意識してしまえば顔に熱が集まっていくばかりで、林檎のように真っ赤になったままこの状態から目を逸らすかのように固く目を瞑って)
留まる方法?えっと…今は留まれてないんですか?
(どこか不機嫌そうに見える青年に首を傾げつつ、帰ってきた答えを復唱してみるものの、自分から見れば青年は今まさに目の前に問題なく存在しているように見え、留まりたいならこのまま留まればいいのでは…なんてことを単純に思いながら不思議そうに目を瞬かせて)
桐島さーん、お待たせっ。
時間かかっちゃってごめんね?
ううん、無事に帰ってきてくれたらそれでいいの。
これからもあたしは待つの平気だし、あんまり無理しないでね?
ゆっくりでも楽しくお話できたら嬉しいな。
じゃあ、よろしくお願いしますっ。(ぺこり(蹴り可))
あとで直してやるから。
……犬みてえだな、やっぱ
(髪を撫でながら少しずつ整え、その撫でる手にすり寄って来る相手を見ると微笑ましく、そしてよく懐いた犬を相手に幻視するものの、それを振り払ってまた荒く、今度は両手で相手の頭を笑いながらわしゃわしゃと撫でて)
あぁそうだとも、俺はズルい。
……分かってるよ、お前がとっくに蕩けきってることなんて。
(見つめられるとこのまま意地悪するのもあまり良い気分もしなくて、相手の頬から手を離すと相手の肌を服越しに指でなぞり、そしてそのまま相手に覆い被さると、耳元でそう囁き、相手の反応を待って)
渡さねえ、絶対にな。
(ギューッと相手を強く抱き締め、その目は澄み切って、いっそ清々しいほどの独占欲、束縛で。
しかしそれさえ喜ぶような反応を示す相手に嬉しく、顔をそらされても抱き締めることは辞めず)
大丈夫…大丈夫だぞ、ここにはお前の場所がある。
(優しく、愛おしく、包み込むように相手を撫で、そして抱くように抱きしめて、ここには居場所があると、もう一度、実感させるかのように伝え、泣く子供を宥める親のように撫で続けて)
恥ずかしいのか?もうこんな距離感だったら恥ずかしいも何も無いと思うけどなぁ。
(変わらずすんすんと鼻を鳴らして匂いを嗅ぎ、そうしているうちに恥ずかしがる相手に疑問を感じるものの、相手がそう思うならそうなのだろうなと思い、気にせず匂いを嗅いでいると、その内自分の香りが相手の鼻を突いて)
『楔だ、楔。
神々は星座にその原点の人間を縛り付け、空で光らせた。
ケイローン、アスクレピオス、蠍、オリオン、全員、今の空で輝いている。
俺もそのうちの1人だった。
…だった、んだ。』
(簡単に言ってしまえば、今この場に居たとしてもその内空に引き戻されて縛り付けられる、それが嫌で嫌で、この世に留まりたいと願っているらしく)
…なんか遊んでなーい?
(犬みたいと言われると、褒められているのかどうかも怪しく微妙な気分になり少しだけ不服そうに膨れてみせて、笑われていることといい相手の撫で方といい何だか愛でられているというより自分を使って遊ばれているのでは…なんてふと思ってはそんなことを一応尋ねてみるものの、理由はどうあれ撫でられるのが嬉しいため答えは対して気にしていなくて)
ツ、…やっぱり、
(案の定自分が答えるまでもなく相手には全てお見通しで、それだけ相手には余裕があるのだと思い知れば経験の差を見せつけられているような気がして、少しだけ相手に釣り合うように背伸びしたい、強がってみたいという気持ちが芽生えてしまいやっぱりと口にしてはみたものの、相手に触れられる度に心臓が身体を突き破ってしまいそうなほどドキドキしていて余裕などなく、耳にかかる相手の吐息にぴくりと身体を震わせながら期待するような目で相手を眺めていて)
…んふふ。
(苦しいくらいに強く抱きしめられると物理的にも精神的にも相手に包まれ、満たされ、相手のことで頭はいっぱいで、ドキドキして恥ずかしいのにやはり嬉しくて幸せで、顔を逸らしていてもきっとバレてしまう程に顔は緩み、にやけてしまうのが声にも出てしまっており)
──…ありがと、桐島さん…でも制服…、
(相手の優しさに甘えて暫く泣き続け、少しは落ち着き次第に冷静さを取り戻してくると相手から離れて緩く微笑みながらお礼を言うも、自分が顔を埋めていた相手の胸元は予想通りぐっしょりと濡れて悲惨な状態になっていて、それを目の当たりにし申し訳なさそうにしゅん、と眉を下げて)
恥ずかしいに決まってるでしょ?そ、そんな、こ、こんなに近くでっ、…す!すき…な人に、……匂い、嗅がれる………とかっ!
(不思議そうに尋ねてくる相手に恥ずかしいに決まってると食い気味に即答するものの、わざわざ言葉でこの状況を解説しているみたいで答えているうちに余計に照れてしまい、一度意識してしまえばとうとうどの単語もとても恥ずかしいもののように思えてきて、更に相手の香りが鼻腔をくすぐればもう何を喋っても真っ赤になるのではないかという程過剰に恥ずかしくなり、ぷるぷる震えてどもりながら顔の赤みは増すばかりで)
お空に帰りたくなくて、ずっとこっちに居たいってこと…?うーん、桐島さん、何とか出来ないかな?
ほかに同じ状況で留まるのに成功した人とか居ないんですか?
(青年の話は自分には難しく、ましてや青年の求める方法など分かるはずもなかったが、聞いてしまった以上は知らないと突き放す気にもなれず、出来ることなら力になりたいと思い…とは言っても自分だけでどうにかなりそうな話でもないため、うーんと唸りながら考え込むような仕草をし、桐島さんに何か知らないか尋ねてみたり、青年に過去に同じ状況からこの世に留まれるようになったことのある人物は居ないのかと聞いてみて)
遊んでない遊んでない、愛でてるんだよ
(そう言われるとまぁ遊んでいた気がしないでもないが、意図せずそんな形になってしまっただけの事。
だから、今度は言った通り、花を撫でるように繊細な手つきで相手の頬や頭を優しく撫でて、相手を慈しむように愛で撫でて)
…さてと、目を逸らすなよ?顔も逸らすな、お前の面がよく見えねえからな
(経験などなくても、ハッタリと強がりでまぁ行けるものなのだなと思い、相手の耳に吐息をフッと吹きかけると、また強がりで言葉を並べ、しかしボロは一切出さず、そのまま、言うなれば、相手とじっくり愛し合って、そのまま2人とも寝落ちして)
……はい終わり、一旦離れろ。
(しばらく相手を抱きしめていたものの、長く続けるとやはり冷静になってきて、とても恥ずかしく、赤くなった顔を強引に元に戻すと、相手の肩を掴んで押し、自分から離し、抱きしめるのもやめる、そうして自由になると、近くにあった椅子に気が抜けたように座り込んで)
こんな制服変わりはいくらでもあるっての、それより自分のことを考えろ、これからとか。
(相手の涙で濡れてしまった制服の上を脱ぐとシャツ1枚になり、その制服を軽く畳むとても自分の肩にヒョイッとかける。
そして、悲しそうな顔をする相手の頭をポンポンと叩くと、これからのことを考えようと提案をして)
へぇー…好き、ね。
それはいいことを聞いた、もっと虐めてやる。
(結局はそういう考えに至り、真っ赤になって震える相手の肩をガシッと掴むと、相手の首元に顔を寄せて、また匂いを嗅いだ後に、服の袖を相手の鼻に押し付け、少し強引ながらも匂いを嗅がせ、黙らせて)
「うーんとな、成功者は俺しか居ないかな」
『そいつ、不死性を示す星座に縛られたドゥディスは、とある方法で下界に再臨し、今こうして生きている』
(尋ねられると正直、いや正直すぎる答えを相手に伝え、それはもうサラリと、流れるように伝えて。
そしてそれを聞くと、彼を指さし、とある方法と言葉を濁すものの、とりあえず成功者だと言うことは分かって)
えへー、…こっちの方が好きー。
(頬や頭を優しく撫でられ少し照れくさそうにはにかみながらも、相手からの愛をたっぷりと受けて優しさに包まれると幸せで嬉しくて堪らないのが丸わかりなほどデレデレと顔を緩ませては満足げに頭を差し出していて)
…ぅ…?………、
(どの位時間が経ったか定かではないが暫くして半目を開けばすぐ側に相手の顔があって眠りにつく前のことを思い出しドキッとしつつも、何だかまだ離れたくなくてもう一度寝てしまおうかなんてことをぼんやりと考えつつ、相手がまだ寝ているのをいいことに更に少しだけ距離を詰めてぴったりと相手に寄り添ってみて…自分からそんな行動を取っておきながら勝手に恥ずかしくなり顔を紅潮させて)
えー残念…でも、一旦ってことは……?
(幸せな温もりが離れてしまうと少し寂しくて冗談じみた口調で残念と本心を口にするものの、椅子に向かう相手を視線で追いながら相手の発言に一旦という言葉が含まれていたのを思い出すと、何かを考えている様子でニヤニヤしてしまい)
これから……う~ん…?
(頭に触れられればまだ僅かに濡れている瞳で相手を見上げ、これから、という相手の言葉を復唱しながら頭を悩ませ、それでもすぐにはこれといったものが何も思いつかなくて困ったように首を傾げて黙り込み、本当にこれから自分はどうなってしまうのだろうかと物思いに耽って)
……っ…、桐島さん……分かってて、やってる…?
(先程から相手の匂いがダイレクトに香ってきてもうドキドキして仕方ないのだが、相手はこんなに近くで平然と自分の匂いを嗅ぎ続けていて、その余裕そうな様子に無自覚なのかわざとなのか段々分からなくなってくれば、これ以上ドキドキさせられてはこっそり相手の香りを好いている自分の恥ずかしい考えもバレてしまいそうだと焦り、思わず声が裏返ってしまいながら火照った顔で遠回しな質問を投げかけて)
…えっ!?桐島さんが……!?!?
じ、じゃあもう解決してますねっ!そのとある方法をやっちゃいましょう!
(さらっと衝撃の事実を告げてくる桐島さんに目を見開きあんぐりとしたまま暫くフリーズし、しかしそうと分かれば青年の件も同じ方法を使えば良いだけだと思い、既に解決した気でニコニコと嬉しそうな笑みを浮かべて喜び始めて)
そっかー、こっちの方が好きかー。
(やはり犬に見える相手を同じ手法で撫で続け、そのうち考えるのも面倒くさくなって、脳死してだらけた表情で相手の差し出されて頭を撫で続け、そのうち無意識に口付けとかしたりして)
……ぁ…?
(誰が寄り添う感覚、それを感じて目を覚ます、夢うつつの中二度寝を考えるものの、なんだかしっくり来ず、すぐ近くにあった何か、否、誰かを抱き寄せ、温もりを感じながら夢の中に意識を落とそうとして)
…また今度な。
(明らかに期待している相手に顔を隠しつつまた今度と伝え、相手の一途で可愛らしい様を再度目の当たりにするとさすがに恥ずかしく、相手に見られているというのに顔が赤くなってしまって)
そう、これからだ。
これから俺とどうするか、これからお前はどうするか、
これから、これから、何でもある、何だっていいんだぞ
(これから自分はどうなるか、ではなく。
どうするか、相手は人間で自由意志があるのだから、これから、のことを自分で考えるのだ、という意味を含んだ言葉を伝わるかは別として言って)
わざとだぞ、これが意図的じゃないと思うのか?
(話しながらも匂いを嗅ぎ、まぁ、相手が自分の匂いを好いていることは大体気付いていたため、やはり意地悪であり、一応ということで、相手から離れると、にこりと笑いながら悪びれる様子もなく伝えて)
「えっと……そのぉ、あのぉ」
『……それがな、ないんだ』
(達成者が目の前にいるというのにその本人が、なぜか話すのを渋っているかのように見え、それが気まずくて言い出せないと察した男が、ないと答えて)
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