高校 図書室にて、図書委員は在る。

『……はい、あーん』(相手の話を聞いていたのかいなかったのか、みかんの皮を剥いて一粒手にして相手の方へ背伸びして差し出し)
あー！三郎さん、羨ましいですよー！詩歌詩歌ーお姉ちゃんにも一口くださいよー
『…ん、どうぞ』

元はと言えば三郎さんが悪いんですよーだ、容赦なく指を突っ込んでくるんですから、危うくオエッて色気も何もない声をこんな人混みの中であげちゃうところだったんですからね(唇を尖らせてぶーぶーと抗議していて)

あ，ありがと。
（話を聞かない相手に少し動揺して引き下がりそうになるも，仕方なくみかんを食べ，二人の光景を見ると少し微笑みを見せ）

それはマジでやめろ，婚約解消だぞ。
（少し自分の口元を押さえ、冗談でそんなことを言ってみて）

『ん、みんな仲良し…いつまでも一緒です…』(相手が居なくなってしまった時間軸とは別の時間軸から来たはずだが、それでもそう口にする瞳にはやはり真摯な願いが込められていて)
当たり前じゃないですかー！三郎さんがいて詩歌がいて…それが私たちのあるべき家族の形なんですから

私だって好き好んでそんな声出しませんよー！ていうか、そんな声を出してしまいそうになった原因を作ったのは三郎さんなのにそんなこと言うのは流石にちょこ的にもどうかと思います(唇尖らせながら抗議するが、本気で怒っている風ではなく、ただ拗ねているだけで)

……微妙にあの時の詩歌が恋しいと感じてしまうのは俺だけだろうな……
ま，今が今で十分幸せなんだ，これ以上は望まないし，お前がそれでいいなら俺だってそれで構わないさ。
（超小声でそう呟いた後，2人に向き直ってそう微笑みかけて言い，ちゃっかりとある曲の一部を借りている所もあるが，参拝場が空いたのを見ると2人の手を引いて歩いて）

む…お前にしては正論だな…
まぁ確かに，やり過ぎた部分もあるんだが……
その，あれだ，伴侶の嘔吐を少しでも想像すると気分が悪くなる。（参ったように両手を上げてそう申し訳なさそうに言うものの，最後に顔を青くしてそう言い）

『私は二人がいればそれで十分です…他は何もいらないです』(相手の言葉にコクリと頷き、半歩程遅れながら相手についていき)
「………」(そんな様子をどこからか物欲しげにじいっと見つめる目線があって)


いやいや、私こんなとこで嘔吐は流石にしませんよ！？精々他人に聞かせられないような声が出るだけで…って、こういう時は嘘でも、みっともなくて目も当てられないような状況になっても俺だけは愛してるよ…とか言う場面じゃないですか！？(気分が悪くなるという中々にストレートな表現に物言いたげな様子で、それでも愛して欲しいものなんだと力説をして)

言うじゃねーか，いい娘を持って俺もしあわせだぞ。
（ハハハ、と豪快に笑いながらそう言い，ニッと笑ってそう言い）
…？，視線？（突然ピタリと立ち止まり，何処からか注がれる視線を探して）

なーに言ってんだ，揺るがない事を言う必要はねえだろ。
（はぁ？と言わんばかりに首を傾げてそう言い放ち）

『ん…お兄ちゃん…？』(足を止めた相手にキョトンとして小首傾げながら見上げて)
「……！」(相手の視線に気づいたのか人混みの中に紛れるようにして何者かが走り去っていき)

むう…さっきは婚約解消とか言っておきながらこういう時だけ調子のいいこと言うんですよね、三郎さんって…(むっ、として不満げにジト目で相手を見ては、袖を握ってぷらぷら手を揺らしていて)

！，待てッ！？（詩歌の言葉を無視し，人混みを掻き分けて走り去る人物を追いかけて）

冗談に決まってるだろ，伴侶を裏切る野郎が居るか。（悪びれもせずそう言い放ち，ぽふっと手を相手の頭に置いて）

「…あっ…はうぅ…」(その人影は人気のない神社の裏側へと逃げ込むが、そこで盛大にずっこけて)

疑わしい…と言いたいところなんですけど、実際三郎さんはこんな私のことをここまで好きでいてくれてますから、そう言われると何も言えなくなっちゃいます、えへへへ…(相手の手中でうまい具合に転がされていることを理解してしつつも、頭を撫でられることの喜びの方が勝って、心底幸せそうな声を漏らし瞳を細めて)

あーダリぃ……
おまえ，は，《動けない》
……妖怪　怪異に悪鬼羅刹，全部ひっくるめて退治致します。
桐島三郎改，桐嶋佐武楼，ただいま参上ー。
……んで，なにおまえ。
（頭をやる気なさげにぽりぽりと掻くと，前髪を退かして転んだ相手を睨みつけ，蛇に睨まれたカエルのような相手に一歩ずつ歩みながら台詞を吐き，やがてその手には竹刀が握られ，それを突きつけてそう脅すように聞き）

おまえ絶対俺関連の詐欺に遭うタイプだろ，今だって楽に転がされてるし。（猫を撫でるように苦笑いしつつ指を相手の顎に置き，くすぐるように撫でてそう言い）

「……久しぶりの再会で妖怪扱いなんて随分なご挨拶ですね…」(相手の発言に面白くなさそうな声を発して、ムッとしたような声を発するのはクリスマスに相手に別れを告げたはずの詩歌の姿で)

んん、えへへ、騙されませんよー、ちょこは基本的に三郎さんや信頼できる人の言葉しか信じません、家族とか…これでも最年長ですからしっかりしないと(撫でられて気持ち良さそうな声を発しつつ、相手の心配するようなことにはならないと自信ありげに)

……なんで？
（竹刀を取りこぼすと顔を引きつらせながらそう多大な今を込めて聞いて）

そうだな，お前は最年長で一番年下だ，ガキっぽいしな。
（そっと抱き締めて相手の耳元でそう囁くように言って）

「う…し、知りません…あれだけ盛大に感動的なお別れをしておいて実は未来になんて帰ってなくて、かと言って今更二人の前に顔を出す訳にもいかないから遠目から見守ってたとか、そんなんじゃありませんから…」(見つかってしまって、やけっぱちになり自分でも既に何を口走っているのか分からない状態で)

ガキなんて、酷いですよー！あ、でも、そんなガキが好きな三郎さんはじゃあロリコンさんですねー(言われるばかりでは終わらないとばかりに売り言葉に買い言葉でそんなとんでも理論を展開し不敵に笑い)

____________（ぺしぺしぺしぺしと竹刀で相手の頭を軽く叩き，怒りを表現して）

あーキレた，俺キレましたよ，そして心が傷ついた，傷つきましたよ。（相手のロリコンという一言に胸を押さえてそう言い）

「あう…いた…痛いです、暴力ですか？DVですか？そういうのは父親としてどうかと思います…」(手で頭を庇いながら口をへの字にして生意気な口調でそう抗議して)

わーわー！う、嘘！嘘です！三郎さんはノーマルです！(相手の言葉一つ一つに翻弄されあわあわしていて)

……うるせえ（相手の冗談に付き合う事がないほど怒っているらしく，短くそう伝え）

別にいいんだぞ？俺がロリコンならお前に興味無くすし。（あわあわする相手に意地悪するようにそう言い）

「悪かったとは思ってます…でも、私だってここにいること自体に戸惑っているんです…タイムワープの機能に問題は無かったはずですし…何か強い因果とかに引っ張られたとしか思えません…例えばパパがどうしても愛しの娘と離れ離れになりたく無かったとか…」(怒りを滲ませる相手に少しだけバツが悪そうにして、それでも自分がここにいる理由について話しを進めていけばジトっと相手を咎めるような目で見やり)

あわわ、そんなのダメですよぅ！三郎さんは幼い女の子よりも年上の女性を選ぶべきです！今ちょこを選べば年上の包容力で三郎さんをメロメロにしてあげちゃいますよ！？ほら！(必死でそう訴えれば両手を広げてハグをしてあげようと構えて)

だとしても，そんな因果に引き寄せられるお前もお前だ。（一度竹刀を落ち着いてを降ろすとビシッと相手に突きつけてそう言い）

お前に年上の包容力なんてもんねーよ。（そう言いつつ相手のハグに抱きしめ返して）

「ええ、そうですね…私だって情が湧いて寂しくなっちゃったんですよ、悪いですか？」(ついには開き直ってそう言い放って)

むむむ…言いましたね、じゃあこの先三郎さんが私に甘えたくなっても甘えさせてあげないんですからね(むう、と不満げに唇尖らせつつ言って)

悪くはない，だが，お前は2人目だぞ。
（さっき置いてきてしまった詩歌のことを指摘し，相手を見ると竹刀を立てかけてそう言い）

じゃあ俺もお前が甘えてきても無視する。（そんな子供のようなことを悪戯っぽい笑顔でそう言い）