図書委員長 2019-11-24 02:38:36 |
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ち・が・い・ま・すー!…どうして先に娘の方の名前が出てくるんですかー!…そりゃ、三郎さんにとっても可愛い娘だってことは理解出来ますけどー……(ノイズ混じりだった声がいきなり鮮明になり、喧しいぐらいに感情の起伏の激しい声が聞こえてきて)
……智代子?またおまえ死にかけてるのか?生き霊か?
(?、と相手の反応で誰か察すると、鮮明になった声と姿に向けてそう軽く言い放ち)
はい、ちょこですよ。ただ、私はこの時代のではなく詩歌の生まれた未来のちょこですけど。ちなみに今私は詩歌の中の…えっと、この時代の三郎さんと詩歌との間にある繋がり…よすがというんでしょうか?…私には詳しいところはよくわからないですけどそれを通じて語りかけています…というわけでそんな心配しないでください、私は元気いっぱい、至って健康体ですよー!……どちらかというと問題があるのは詩歌の方です(本人もよくわかっていないようで漠然とした説明を交えて自身の無事と正体を伝えた後で、詩歌の名前を出して真剣な声色になって)
そうか、これ何回目だ(少し呆れたようにそう言い、しかし相手の言葉にガタッと椅子から立ち上がって)
詩歌になにがあった、今から俺がなんとか出来る問題か。教えろ。(明らかに焦り、威圧的な声を無意識に出して相手に聞いていて)
はい…詩歌は今、三郎さんから継いだ血、その力を持て余し苦しんでいます…本来ならば私の時代の三郎さんがどうにかするべき問題らしいのですが、既に私の時代の三郎さんの手に余る事態にまで進んでしまっているみたいなんです…だけど、この時代の一番力に溢れる三郎さんならもしくはなんとか出来るかもしれないと…今、私たちはその可能性に縋るしかないんです。突拍子もない話ですが手を貸して貰えませんか?詩歌を、私たちの娘を助けてください…!(詩歌が置かれている状況、そして未来の相手から聞かされた内容をそのまま相手に伝えて。最後は必死に訴えかけるように涙声で相手を頼り)
______そっちの俺はすっっかり忘れているようだからな、
輸血だ、輸血、俺は元々混ざり血だが、人間の血の方が濃い、だが、詩歌はバランスが悪いんだろう。
例えるなら天秤、片方が重過ぎては話にならない、
9:1だとバランスが悪過ぎるという意味だ。
つまり、まだ子を産む前、血を継がせる前の俺の血、その輸血ならば、バランスを均等に保てる、と思う。
尚、これはタイムシフト対応型だが、使い終わったらすぐに砕いて捨てるよう。
(はぁ、と長くため息をついた後、自分の血と詩歌の血について語った末、何処からか注射器を取り出し、腕にプスっと刺すと、血を抜き取り、話の最後にその注射器を相手の幻影に渡すとそう指示して)
なるほど…そういうことだったんですね。ありがとうございます、流石は三郎さん、どの時代でも頼りになります!それでは……って、し、詩歌!?な、何をするんですか!?…ああー!?(注射器に入った血を受け取り、お礼を述べて交信を終えようとした瞬間、にわかに騒がしくなり、幻影が揺らいだかと思えば激しい物音と共に相手の目の前に見覚えのある一人の少女が飛び出してきて)
『ぐるるるっ……』(別れた時よりも幼い容姿で頭には狐耳、腰からは九本の狐の尻尾の生えた詩歌が小さく唸り声をあげていて)
……俺の血にここまでの力はないぞ、もしかして智代子は浮気を……いや、二郎も一郎も互がいる、つまり……
これはマズイ、生憎と俺は戦えない。(苦笑いしながら冷静に分析し、智代子の浮気の可能性を切り捨て、そのまま部屋のドアの方までじりじりと下がって行き、一本しかない尻尾を頑張って逆立たせ、威嚇して)
『に、げて…でないと私……』(尻尾を逆立てながらも内側から湧き上がる衝動と戦うように身体を震わせていて)
だ、大丈夫ですか、三郎さん!今すごい物音が……えっ、詩歌…?(騒ぎを聞きつけ相手の部屋へと駆けつけ、変わり果てた詩歌の姿を見れば記憶が戻ったようで目を丸くしていて)
逃げないめげない挫けない、娘を見捨ててにげる畜生にはなりたかねえ、智代子、おまえは部屋の外に出てろ。
(腕をブンブンと準備運動のように振り回すと、記憶を取り戻したのにもかかわらず、相手に怪我をさせたくないのか部屋の外に出るよう促して)
事情はよくわかりませんけど、それでも私だって逃げたくないです!詩歌…私です、お姉ちゃんですよ(強情に首を横にぶんぶんと振って、詩歌へと手を差し伸べ続けて)
『だ…め…うわあぁぁぁ!』(頭を抱え、苦悶に満ちた声を漏らし、そして堪えきれない衝動に声をあげれば智代子の方へと飛びかかり)
______逃げるぞ!(ギリギリで智代子の手を取って引き寄せると、からぶって隙のある詩歌に危害を加えることなく、ドアノブに手をかけて)
わわっ…さ、三郎さん!ですが、このままじゃ詩歌が…(腕を引かれ、つんのめるようにして走りながら背後の詩歌を心配そうに振り返って)
『ぐがあぁぁぁ…!』(苦しげな声をあげながらも抗い難い本能に身体を支配され二人を追いかけ)
死にたいのかよ!?いいから走れ!
______しょうがねえ。
(仕方なく相手をお姫様抱っこしてやると、ギュンッといつもの彼とは思えないスピードで詩歌から距離を置いて)
ごめんなさい……っ!?三郎さん!上です!(腕の中で殊勝な態度で謝罪を口にしたと思えば、次の瞬間目を見開き、上を指差せばあっという間に追いついて高く飛び上がって襲い掛かる詩歌の姿があって)
詩歌…!駄目です…!もうやめてください…"止まって!"(このままでは詩歌が彼を傷つけてしまう、大事な人同士が傷つけ合うなんてそんなのは嫌だと強い想いを込めて声を上げれば瞳が淡く金色に輝き「止まって」の声に反応するように詩歌が突然地面に這いつくばって)
『ぐがっ!?うう…パパ…』(見えない力によって地面に押さえつけられるようにして苦悶の声を漏らすが、やがて正気を取り戻したように呻くようにして呟き)
……冗談だろう。
(はは、と乾いた苦笑いをしながら智代子を床に降ろし、何かに恐れているのか頭を抱えて呻く詩歌に向けて手を差し伸べるとそのまま立たせ)
……えっ、私、今…(自分自身のしたことが信じられないのか軽く身震いをしていて)
『っ…はあ、はあ…パパ?お母さん?』(少し苦しそうに呼吸しながら二人の様子を不思議そうに見比べて)
はぁーーーーーーーーーー!
お前らマジどうなってんだよ!?智代子に関しては全くもって関係ない!詩歌は血ィ薄い!それなのに!なんで!
キッチリ力だけ受け継いてんだ!?
(自分の頭をガリガリがりと爪で削るように掻き毟るとそう叫び、ビシィッと2人を指差して)
あっ…私……そっか、そうだったんですね……ご、めんなさい…(不意に何かを思い出したように頭に手を当てて、地面に崩れ折れて、小さな声でごめなさいを繰り返して)
『パパ…私…』(目の前で取り乱す自分の知る父より少し若い相手を見て、どのように接するべきか測りかねているかのような不安そうな目で見やり。その無垢な瞳は自分の力のことなどについては全くわかっていないようで)
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