高校 図書室にて、図書委員は在る。

おーよしよし、辛かったなー、頑張ったなー。
（ポンポンと詩歌の頭を撫でてやり、そう間の抜けた声で告げる、そして、相手の秘密を隠匿する心意気に同意し、小さな声で、分かった、と返して）

あーいや、コレはな、色々あったんだよ。
（少し脂汗を額ににじませつつ、そう弁解になっていない弁解を智代子に言って）

『…別にお姉ちゃんが心配するようなことではないです、気にしないでください』(ようやく相手から離れて智代子の方を見れば小さく咳払いをしてから落ち着いた声色でそう告げて)

気にするなって方が無理ってものですよー！色々がどうなったらあんな風に抱き合って頭を撫で撫でするようになるんですかー！うううぅ…浮気者ー…！(当然詩歌との本当の関係性などは知らないため、自分以外の異性と抱き合っていたようにしか見えず両手振り上げ思いっきり抗議をして)

へえ浮気者、俺が浮気者……ちょっと耳貸せ
（かなり驚いた様子でそう復唱し、相手の首に手を回すと、耳元で愛の言葉を相手が蕩けるほど囁き、彼自身焦っていないように見えるが、内心かなり焦り、本気で愛を口にして、詩歌を、娘を速攻で蚊帳の外とし）

あっ…も、もうっ、三郎さんってば、そうやって上手く言いくるめようとしても無駄ですからね…えへへへへ…(耳元へ顔寄せられると一瞬ビクッとして、そうしてこれまでに聞いたことのないような甘い言葉の数々に抗おうとするが、嬉しいやら恥ずかしいやらだらしのない顔をしており、すっかり骨抜きになってしまっているのが見てとれて)

『思い切り言いくるめられてるじゃないですか…』(二人のそんなやり取りを見て呆れたような口調で呟くが、表情は幾分か明るく見えて)

なら言うのやめようかな？（意地悪なことと笑顔を見せ、智代子にそんなことを言って）

そりゃ、此奴はそんな奴だからな。
（ニヤッとし、詩歌にもそう言葉を投げかけて）

わー！わー！そ、それはダメですよー！ちゃんと言ってくれなきゃ不安のあまり私何をするかわかりませんよ！？(相手の冗談めいた意地悪な発言を真に受けて両手ぶんぶん振り回すオーバーアクションで必死にそう訴えて)

『ですね…ていうか、わかっててお姉ちゃんで遊ばないでください』(やれやれ、と言った風に肩を竦めるも本気で止めるつもりはないようで)

分かってるよ、後でたっぷり言ってやる。
（はは、と軽く笑うと、相手の髪をくしゃくしゃにしながら撫で、少し離れたソファにもたれかかり座って）

お姉ちゃん……ね。（相手の切り替えの早さに感心すると共に、同意はしたが、隠しておくのも何かもやもやし、そう復唱して）

本当ですか？えへへ、約束ですからね(ご満悦といった様子で笑いながらクッション胸元に抱えて相手の隣へと腰を下ろし)

『……』(暫く仲睦まじく見える二人の様子を黙ったまま遠目に眺めていたが、少しして何も言わず部屋を出て行き)

あぁ……約束だ。
（腰をおろした相手をそっと抱き寄せると、未来の自分がしてしまったことに対し悔やみ、1人にしてはいけないと強く思うと同時に、そっとでは無く力強く無意識のうちに抱き寄せていて）


……娘。か。（誰にも聞こえない声で、そうぽつりと呟き）

ん…どうしたんですか？今日はなんだかとても優しいですね…あ、別に嫌なわけじゃ無いですよ！？むしろとても嬉しくて、嬉し過ぎてどうにかなってしまいそうなぐらいです(感覚としてなんとなく相手の雰囲気の違いに気づいていて、腕の中で相手の顔を見上げながら首を傾げ。それからまた辞めようかなどと意地悪を言われる前に先回りして嬉しいということをアピールして)

……おまえを、離したくないからな。
（離してしまったら泣いてしまいそうで、彼女と言う存在をあまりに弱く見ているのは分かっているが、自分はそう感じ、そのまま相手と面と面を合わせて）

三郎さん…えへへ、こんなにも思ってもらえてちょこは幸せ者ですね(相手と目線合わせたまま瞳をゆるりと細め、ふわりと微笑めば、そのまま目を閉じて)

ッ……ちょこ、良いよな？（相手の肩を掴むと、唇を重ねようとし今更ながらそう聞いて）

あ、え、ええっと…はい、勿論ですよ！…もう、こういう時は黙ってしてください、返事をするのも恥ずかしいんですからね…(一瞬慌てた様子で、それでも全く嫌そうではなく受け入れるが、してもいいと自分から言うのは恥ずかしいらしく少し恨めしそうにそう呟き、そのままキスを待ち続け)

俺も恥ずいんだよ……
_____んっ。（バツが悪そうにそう呟いた後、相手をソファに押し倒すと唇を重ねて）

んっ…ぅ…ふぁ……さ、三郎さん…(長い長い口付け、熱っぽい吐息と共に相手の名前を呼び。熱にうかされたかのような潤んだ瞳は不安に揺れていたがそれと同時に強い意志や覚悟も感じられて)

……もう、良いよな______
（長い口づけの後に何かが吹っ切れたのか、相手の覚悟と意志を知り、そのまま……肌を重ね、俗に言う一夜を共にして。）

……スー……スー…（彼女を抱いた後、ソファにもたれかかってよく眠っており、彼女を抱き締めていて）

……三郎さん…すぅ………(寝言でも相手の名前呼びながら幸せそうな顔で眠っていて)

『………』(朝、起きてきて二人の様子を見れば昨晩何があったのかは明白で、穏やかで、それでいてどこか寂しげにも見える表情で何か物言いたげに相手を見つめていて)

……詩歌？（眼を覚ますと、見つめられていることに気付き声を漏らす、寂しげな相手の顔を見ると心配そうに相手をじっと見つめ、一度智代子をソファに寝かせて）

…娘として、パパに一つだけお願いがあります。聞いてもらえますか？(相手を真っ直ぐに見据えて、静かな口調でそれだけを問いかけ)