図書委員長 2019-11-24 02:38:36 |
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?、竹刀を振るっつったら剣道だろ。剣道の練習だよ、鉄製のフェンスぐらい破れねえと。(コンコンと竹刀の先っぽで床を叩き、引き下がろうとする相手にそう話し、周りを指差すと、鉄製のフェンスが所々壊れていて)
け、剣道ですか!?…へぇー、最近の剣道ってこんな激しい練習をしないといけない世界なんですねえ(剣道部が活動しているところなんかは見たことあったが、こんな激しい練習をしているところは見たことがなく、自分の眠っていた6年でこれほどまでに剣道は変わったのかとそう解釈して感心したように頷き)
違う、桐嶋の家の命令だ。
1つの事にて結果を示せ、桐嶋の人間は各分野にて名を残している、文系、理系、様々だ、それで俺は剣道、武芸だ、縁は切っているが、コレだけは絶対やる、と言う条件が付いている、だから、俺は死ぬ気で剣道を成す。
(彼女の納得に意を唱え、悲しげな顔で竹刀を何度か振ると、大きく一度振り、風を切る音と共に風が巻き起こって)
そう、だったんですか…それでこんなにも激しい練習を…それなら三郎さんはそれを立派に成し遂げてください、ちょこは三郎さんの道を全力で応援しますよ!(道を極めるということはつまりそういう事なのだと、今の激しい練習を見て思い、そんな相手の為に自分ができることはその背中を押すことだけだと決意のこもった眼差しを向け、最後に飾り気のない笑顔を見せて)
人は1つしか極めれない、悲しい事だな。
俺にあるのは文才だと言うのに、武芸を極めろとは。
ま、おまえの応援があるなら、この練習にも耐えれそうだ。(彼の描く文章のことを思い描きながら、無心で剣を振り、飾り気のない笑顔に対し、苦笑いで返してみて)
…三郎さんはやっぱり本を書きたいんですか?それでも家との約束だから剣道を頑張るんですか?……三郎さんには自分の好きなことをやって生きていって欲しいです、三郎さんが納得しているんならちょこは剣道を頑張る三郎さんを応援しようと思ってました…でも、そうじゃないなら…(どこか自嘲めいた相手の言葉の響きに神妙な面持ちで、いつになく真剣な口調でそう口にして)
人は息を吸うだろう、俺が物語を描くのはそれと同じだ。
当然のこと、そして剣道は。
人は学校へ行くだろう。俺が剣道を極めるのはそれと同じだ。
義務、責務、それに押し潰されたとして、俺は桐嶋の人間だ、諦めるなんて言う選択は元からない。
……周りの奴等はこう言うな、縛られた血族。
博血と。
(まるで感情がないように淡々と言葉を並べ立てる、彼は当然のこととして文を為し、義務として剣道を為している、逃げないのも約束と自分の血の所為。
彼は自分を嘲笑うように侮蔑の名を呼ぶと、竹刀を一度床に置いて)
ちょこにはそんなのわかりません!三郎さんはそうやって生まれや家の名を盾に逃げているだけにしか見えません…!
血とか一族とかそんなの関係ない、結局は誰も変わろうとして来なかった、その人自身の問題なんですよ!
さっき三郎さんは諦めるという選択肢はないと言いました…だけど何かを成し遂げる為に自由に生きることを諦めちゃっているじゃないですか…!私が大好きになった三郎さんはそんな人じゃありません……!そんな冷たい目をする人なんかじゃ………(無感情、その言葉がもっともしっくりとくるそんな相手の表情に一瞬だけ怯むが、それでも諦観の入り混じったその言葉には己の思いと精一杯の感情を乗せて否定を口にして。相手の背中へとドンとぶつかるような勢いで駆け寄り、涙声で悔しそうな声を漏らし爪を軽く立てて)
その通り、俺は逃げて変わろうとも、関わろうともしなかった、自由になるために自由を捨てたとした。
だが、自由を諦めてなぞいない。
雁字搦めになると解くのに時間はかかる、道理だ。
それがなんだと言う、この調子で行くならきっと俺は。
……成人するまでには、役目を終えれるハズなんだ。
名を残して去る、桐島三郎……いや、桐嶋左武郎は、そうあると決めた。
きっと、俺は物語を描くことが好きなんだろう。
きっと、俺は好きなことをしたいんだろう。
きっと、俺は今まで感情を押し殺して来たんだろう。
……自由に生きる事を、あまり知らないんだよ。
桐嶋左武郎という人間は。
(本末転倒だと、それは分かりきっている。
自分のことは自分がよく知っている。
それでも彼は自由になりたかった。
その意思を示すと、爪を立てる彼女を優しく押し返すと、
苦しげな微笑みを見せる。
自分はきっと知らない内に苦痛を溜め込んでいたのだろう、耐え難いものを、自分の自由を殺すことで耐えてきた。
人と関わると、それが決壊してしまうから関わらなかった。
……だからこそ彼は、自由になった後、三年後に全てを託していて、今を捨てている。
______彼の言い分は、酷く矛盾していた)
三郎さんが生きているのは今じゃないですか!……三郎さん、未来は、明日は不確かなものですよ…何も変わらない連綿とした毎日が続いて普通に学校を卒業して、ふとした瞬間に青春の日々を思い出す…そんな当たり前ですらちょっとしたボタンの掛け違いで叶わないものになってしまいます…今この時この瞬間は今しかないんです。
…こんなのは詭弁だってわかってます、今踏ん張らなければもしかしたら将来後悔をすることだってあるかもしれません、それでも私は、ちょこは今を生きたいです…!三郎さんの書いた本を読んで、ちょこが変なこと言って呆れられて、それでも偶には優しく頭を撫でてくれたりキスもしてくれたりもして…私はそんな毎日をこれからもずっとずっと先も三郎さんと一緒に過ごしていきたいんです…!
自由に生きることが分からなくて迷子になりそうな時はちょこが手を引いてあげます、目標を見失って生きる意味も見出せなくなってしまったならちょこが生きる理由になってあげます、いつだって三郎さんの名前を呼んで必要としてここにそのままでいていいんだって思わせてみせますから…!だから…そんな悲しそうな顔はもうしないでください……(彼の抱える事情や家のこと、それらを本当の意味で理解し窺い知ることは血縁者でもない他人である自分では決して不可能だろう。
そんな自分に出来るのは彼自身がこれまで生きる上で信じてきたもの生きる意味を、全て自分が新たに置き換え与えていくこと、そしてそれを受け入れるよう訴えかける。そんな途方もないわがままを押し通すこと、その一点だけだと先程までの感情剥き出しの顔が一変、慈しみを感じさせる穏やかな表情で彼の全てを受け入れ、包み込むようにフワリと背中へと腕を回して抱擁して)
……智代子……(彼女が感情的になると、悲しんでいると、なぜか心が痛み、苦しそうな顔をして相手の名を呼び、そっと相手の頭に手をかざして)
__________________そこまで女に言わせちゃ、もう引き下がれねえっつーの、だが、俺は責務を全うする、それでいて自由に生きていく、それでいいな?
(かなり唸って考えた末に、仕方なくそう言う、自分の血は切っても切り離せない関係性の為、かなり譲歩しそう言って)
はい、勿論です…!だって、それも自由に生きていくってことですから。三郎さんが心からそうしたいと思うことならちょこはそれを支えるだけです、人生の伴侶として…(彼の中の譲れないものや信念、それらを否定するつもりはなく、それ程までに成し遂げたいと思うことならばそれは彼の心からの望みでもあるのだろうとそう解釈をすれば軽く身体を離して顔を上げ、力強く頷き)
頼むぜ?人生の伴侶サマ。
(相手にそう煽るように言うものの、身長差があるからか、相手に目線を合わせるために竹刀を一度置いてしゃがみ、ギュッと抱きしめて)
えへへ…当たり前ですよ。ちょこがこれからも三郎さんのこと支えていきますから…辛い道でもどこまでもついて行っちゃいますから覚悟しておいてくださいね(背中へと回していた手を相手の頭上にやって、優しく撫でながらいつになく大人びた表情で微笑みかけて)
……あぁ、覚悟しておく。
……さて、帰るか。(大人びた相手の顔に思わず息を呑み、言葉がそれしか出ず、少し休んだあと、そう微笑んで言い)
そうですね、そうしましょう。……んん、あっ!見てください三郎さん、朝日ですよ!(グッと小さく伸びをして、ふとフェンス越しに水平線を見やると朝日が昇り始めていてはしゃいだ様子でそちらを指さし。夜空と青空のその狭間の空はあの短い別れの日の夕焼けと対比になっているようでもあり)
えへへ、それじゃあ帰ったら一緒に寝ちゃいますか?昨日の沢山甘えるって約束、ここで使っちゃっていいですか?(屋上の出口の階段の方向へと向かいながら後ろ手を組んでクルッと振り返れば満面の笑顔で小首を傾げて)
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