あの日の少年 2019-11-23 00:09:49 |
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へいへい、りょーかい…
(気怠そうに返事をしながらも、素直に言われるまま味のりの売っているであろう乾物のコーナーへと向かい、そこで目的のものをすぐに見つけだせばそれを手に取って、下手にあちこち動いて行き違いになったりしないようその場で相手を待つことにしてはみたものの、よりにもよって乾物のコーナーでは見る場所も何もなく、仕方なく興味も何もないがなんとなくそれとなしに商品を手に取って裏側を確認してみたりといかにも買い物をしてますアピールをしつつその場で相手を待ち続けて)遅いな、茉由姉…まあ、行き違いになって探し歩くよりはいいか…
あ、和成いた。ごめんね、お待たせ。そろそろレジ行こっか。
( 乾物コーナーに着き、何やら商品を持っている義弟を見つけると片手を軽く振りながら声をかけて。携帯で時間を確認しいつもの悪い癖でスーパーに長居してしまったことを少し反省しながらもレジを指差し重そうに籠を持ち替えながらレジに並び。「割とレジ空いてて良かったね。帰ったら早く肉じゃが作らないと…美味しい肉じゃが作るからね!」と振り返りながら柔らかく微笑みかけ、会計が終わるとレジ袋に食材を入れていき )
そうだな…茉由姉、袋こっち渡せよ。腹減ったし早く帰ろうぜ
(相手の買い物が長いことは昔からの付き合いで折り込み済みで、それを別に責めるようなことは言わず夕方のこの時間大体は夕食の買い物に来ている主婦が多く並ぶレジの行列に巻き込まれることが多かったように思ったが今日はそれがなくて良かったと相槌を打ち、自分が重たい野菜などの入った袋を持つのは当然として、更に相手の持っているもう一つの袋も半ば強引に引き受ければ、こうして手伝うのは待たされてお腹が減ったから早く帰りたいだけなのだと素直ではない言葉を発して少しだけ早足に帰路を歩いていき)
え、ありがとう。いつの間にか頼もしくなったね。
( こちらが頼まなくても自ら進んで買い物袋を持ってくれた事に少し驚きながらも嬉しそうにお礼を告げて。夕方ともなれば少し肌寒く感じ軽く身震いしながら先を歩く義弟を追いかけるように慌てて隣に並び「小さい頃さよくこうやって並んで歩いてたよね。それがいつの間にか私の背を越しちゃってるんだもん。高校生になったらどこまで伸びちゃうんだろうね?」ふと足元に影が伸びれば昔のことを思い出しながら横に並ぶ義弟を見つめ、頭を軽くぽんっと撫でて )
さあね…そういう茉由姉の方はあんまり昔から変わってないよな
(身長による歩幅の差を埋めるように小走りで追いついてきた相手を横目に、こちらも歩くペースを落として横並びで歩みを進めて。小学校を卒業するより前ぐらいまでは身長も今よりずっと低かったが、中学の2年生になるかならないかぐらいに一気に身長も伸びたように記憶していて、相対的に相手の身長は自分の中ではそれほど変化があったようには感じられず、当然ながら多少の成長は当然しているのだろうが率直な感想をそう口にすれば口角を上げて意地悪く笑って。「…ていうか、茉由姉はいつになったらこういう子供扱いやめてくれるわけ?」成長した、大きくなったとそんな言葉とは裏腹に頭を撫でる手はまだ彼女よりも身長が低かった頃から変わっていないように思えて、それは文字通り最期まで変わらなかったことを思い出せば苦虫を噛み潰したような顔になりながらも、冷静な口調でそう問いかけて)
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