ミステリアスで妖艶な雰囲気の美形(探偵) 2019-11-10 16:38:54 |
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…そうか。
( 寧ろ調子が良いとおどける余裕を見せる彼の姿に問題はないなと判断でき、口元を僅かに綻ばせて。自分のせいでと気にして謝る彼に「構わない。更に面白い謎や指令をくれるらしいからな。ただその腕輪はどんな仕掛けがあるか分からないから不必要に触るなよ…って、がっつり触ってるな…」あのままムカついた気持ちで帰るよりは面白味のある展開なこともありニヤリと口角を上げるも内心、腕輪は気にはなっていて。彼の腕につけられた腕輪。明らかに怪しく何があるか分からないから自分は触れなかった。彼にも触れるなよと告げるも既に時遅く振り回したり弄っているのが視界に入ればぽつりと呟き。彼の指が腕輪を弾いた瞬間に彼の体に異変が起こる。体を震わせ笑い出した彼に堪えるように服を掴まれれば何か言葉をかけようとしたが再び聞こえたノイズ音からの青年の声に耳を傾けて。言い終わると一方的にまた声は聞こえなくなる。彼も今の話を聞いており自分は平気だと口にするも笑いも漏れていて説得力はゼロ。体に害はないと青年は言っていたがあくまでそれは彼の体に流れる電流の話。本人の意思とは関係なく笑い続けていることが体に良いわけはなくて。「……おい、お前は俺にお前の謎や指令を解かせたいんだろ?こんな隣で笑われてたら集中出来ない。電流を止めてくれ。お前は俺の邪魔をしたいのか?俺はこんなにも…お前に向き合おうとしてるってのにあんまりだな…」彼の電流を止められるのは自分だけ。止めて下さいと青年の望むように口にすることは簡単。しかし青年は謎解きが好きな性格故にただ従うだけでは満足しない気がして。ストレートではなくカーブのような言い回しで青年に声をかけて )
ふッ…はァ…、あ゛あ゛ー止まった。
( 相手が言葉を発してから暫く、青年がどう言葉を受け取ったのかは不明だが程なくして電流が止まれば擽ったさもなくなり軽く乱れた息を整えつつ袖口で額を拭いホッと息を吐きだして。「ありがとなー、埜上。もう不用意に触らないようにするよ。…てか俺達ここから出られるんだよな?…トイレ行きたくなったらどうしよ。」呼吸も整えばへらりと笑いかけてお礼を言って相手に触れていた手を離すと改めて部屋を見回して。ゲームの詳細は自分は寝ていたので知らないが、此処で何かしらして脱出するのは分かりもし長期戦になったらと考え不安になりつつもトイレの心配をする精神的余裕はあって。「つーことだからなんかするなら早くして欲しいんだけど…洗濯物も取り込まないといけないさ。」正直、利になるか分からないこの時間は面倒でしかなく、帰ってしなければいけないことを頭に思い浮かべていて )
だな。そうした方がいい。出られないわけないだろ?指令や謎解きをすればここから出られる。そう時間はかからないだろう。
( 礼を言いながら触らないようにすると言う彼にそうした方が良いと伝えて。出られるのかトイレはどうするのかと心配をしている様子にまだ余裕はあるなと判断しつつも、ここから出られる条件を知らないであろう彼にその条件を教えながら自分がいるのだから出られないわけはないと告げながら時間はかからないと敢えて口にしつつ帰ってからやることも気にしていることにまだまだ精神的に追い詰められてはいないなと微笑んで。そろそろ何らかの指示や謎解きが開始されるかと何となく感じていて )
指令に謎解きか…どんな謎解きなんだろうな?
( 自信に溢れた相手の言葉に小さく笑みを向けつつ、どんな指令や謎解きが出されるか全く想像つかないため首を傾げ。先ほどの謎解きなら地元民であれば想像を捻りだせばなんとかなりそうだが知識が必要となってくると自分は力になれなさそうで。小さく溜息を吐いたところで通気口から一枚の紙がひらひらと落ちてきては、それをキャッチして紙を見てみて。そこには文字が書いてありそれに目を通すとやや眉を寄せるも相手には見せずに無言でポケットにしまって。そして相手に向き直って「…埜上、俺のこと思いっきり殴ってくれ。じゃないとこの部屋は出られない。」と真剣な声色で唐突に述べては一切構えることなくまっすぐに相手の目を見つめて )
…ここからは面倒な事になりそうだな。
( どんな謎解きが自分達を待っているのか、そう口にした彼に単なる謎解きだけではなく指令まであることから面倒事をやらされる事になるかもと予測してそう呟くも早速通気口からヒラヒラ舞い降りてくる紙をキャッチした彼はそれに目を通すもそこに書かれているであろう指令を読み上げることはしない。きっとそこに内容を口に出してはいけないやらこれしか言うなと書かれているのだなと彼の言葉から理解して。早速の面倒事に内心で溜め息をついて。しかしただ殴れと言われたがきっとあの一癖ありそうな青年の事だ…そのまま言葉通り受け取ってはいけない気がして。拳でやら足でやら殴れと指定されたわけではない。よって普通に彼を殴ったとしても指令はクリアにはならない事を感じ取って。「……相馬、ここで言うのはあれだが…お前に俺の秘密を打ち明けようと思う。……実は俺、女なんだ…」この間、骨折をした際に入浴を手伝って貰ったがその時下半身はタオルで隠されていた。胸のない女性だって存在するため神妙な表情で真っ直ぐに彼を見つめると衝撃の言葉を紡いで )
…へ、…
( 相手を信じてノーガードで構えていたが、まさかの相手からの衝撃の告白に目をぱちりとさせては一瞬固まって。それから数秒後、訝しげに相手を見据えて喉元を確認したあと、一歩近づいて徐に相手の股の間に手を伸ばそうとして直前で引っ込めて。「…本当に女なのか?」相手は中性的顔立ちではないが綺麗の部類には入るため、今の日本の技術であれば男性に見せることは大いに可能なのではと思い、相手の言葉を信じてジッと見つめ。するとジジジとまたスピーカーが鳴り。『あはは…おっと失礼。あまりにも滑稽だったので。あ、埜上様ではないすよ。そこの彼がです。…僕の用意した答えとは違いますが…いえ期待以上の答えと言うべきでしょう。指令はクリアです。今回出した指令はざっくり言えば“相手に殴れと頼む。ただし頼まれたほうは本当に殴ってはいけない”というあなた方の信頼関係と人間性を見る言わばテストのようなものでした。殴る相手が恨んでる相手ならまだしも人は大抵いきなり知り合いを殴れと言われて殴れるものではない。いくらこの部屋から出るためとはいえ、知り合いを殴る野蛮人は世に出る価値なんてありませんからね。なので殴ったらアウト。でも流石埜上様。“殴る”という視点を変えたのはとても面白かった。拳も使っていませんし満点以上の解答です。』「……いやいや野蛮人って人をいきなり眠らせたり密室に閉じ込めたりするのは野蛮じゃないのかよ!」『…うるさいな。…失礼。それにしてもあなた本当にバカなんですね。さっきの埜上さまの言葉を真に受けるなんて可笑しくて笑いが止まりませんでしたよ。馬鹿にもほどがあります。猿なんですか。…コホン…さて無駄話はこれくらいにして。正解したので1つめの暗証番号をお教えします。1つ目の暗証番号は“3”』そう青年が暗証番号の1つを告げた瞬間またスピーカーが一方的に切られて。自分はというとコケにされて怒るというよりも、自分の阿呆さは自覚しているだけに恥ずかしくて情けない気持ちになりカァと顔を赤くては口元を手の甲で抑えて。「…埜上、…あんたが女っていうのは…、」少し考えれば指令のための嘘だと分かるのに馬鹿正直に信じた自分が恥ずかしい。相手も流石に呆れるかバカだと思うだろうと思えばやや俯いて、一応とばかりに小声で確認を取れば口元を隠したままチラリと相手を見遣って )
…気になるなら…ほら…触って確かめてみたらどうだ…?
( 彼が自分の嘘に衝撃を受けては青年がそんな彼を再三バカにしてまたその声が聞こえなくなっては気恥ずかしいのか口元を隠しつつ問いかける様子にふ、と口角を上げては反対側の手を掴んでは先程彼が触れそうになってやめた自分の股間へとゆっくり導きながら確かめてみろと楽しそうに告げて。ある意味彼がこういう反応をしてくれるだろうと思っていたこともあり予定通りなためそんな彼を責めるつもりは一切なくて。そもそもそう動いて貰うための嘘でもあったわけで。最初の暗証番号は教えて貰えた。指令や謎解きをしたら暗証番号を教えると言っていた青年の言葉は嘘でないことも証明されて )
!……、
( 手を相手の股の間へ導かれるとドキドキしてしまうも流石に恥ずかしさのキャパオーバーでしっかり触ることなくパッと手を引っ込めて。「ばばば、…そんなことしなくても男だって分かってるし!てか、もし万が一、女だったら簡単に触らせたらダメだろ。」顔を真っ赤にしてあたふたしてはギャンと吠えるも急に静かになると目を逸らして後述をボソボソ静かな声で零し。99.9%相手が男だと思っているが、ほんの少しだけ相手の嘘を信じて女なのではと思っており。仮に相手が女だった場合、男として女性には自分の体を大事にしてほしい。その思いから口にした言葉だが、相手が男である以上、いらない気遣いと自分の馬鹿正直さを晒しているだけのことには気付いておらず。「…はぁ…で、そろそろ次のお題出るころか?」なんだか一問目から疲れた。と小さく溜息を吐いてはスピーカーに目をやってから部屋の中を見回し、次に何が起きるかうかがって )
ふ…、何だ…触らなくて良いのか?一発で分かるのに。
( 導いた手は自分の股間へと触れることはなくバッと引っ込んでいき。顔を真っ赤にして慌てふためく彼の姿をにやつく眼で眺めながら言葉を紡ぐ。彼はきっと自分を男だと思っているのだろうが万が一と言ったことを思えば実は女説を限りなく引きずっているのは間違いない。ここで誤解を解いてやっても良いのだがぎゃんぎゃん可愛らしく吠える彼をもう少し楽しみたい欲求もあり、まだ暫くはこのままで良いかなんて思っていて。そろそろ次のお題かとどこか疲れたような顔をして辺りを見渡す様子に再び通気口から紙がヒラヒラ落ちてきて。今度は自分がキャッチして。そこに書かれていた内容に目を通せば「………相馬、俺の好きな所を3つ挙げろ。…そんな目で見るな。指令だ」引っ掻けなど微塵もない何の意味があるのか分からない指令だが彼が自分の好きな所を挙げるのは興味があって。しかし3つもあるだろうかというのが正直な所で )
さ、触れるわけないだろ!お、大人の事情ってやつだよ。
( 赤い顔のままギャイと吠えては目を逸らしてボソボソ言い訳を零しつつ、相手が通気口から落ちてくる紙を掴むのを横目に見て。次は何の謎解き、はたまた指令が出されるのだろうと相手に意識を向けていれば、相手の好きなところを3つ述べろと。どんな目で相手を見ていたかは分からないがぽかんとしてはやや首を捻って。自分は相手のような天才的な頭脳は持ち合わせていない。それに言葉の裏を読むというのは苦手。だから指令の意図だとか裏側なんてのは考えられずに言葉のまま受け取って。「埜上の好きな所を3つ挙げるだけでいいのか?え、確認だけど埜上が好きな所(場所)を想像して答えるんじゃなくて、俺が埜上の好きな所を答えればいいんだよな?……、」一応問題の確認を取っては考えるというよりは少し気恥ずかしそうに目を伏せて。それでも時間にすれば数秒、迷うことなく口を開いて「1つめは俺の頭撫でてくれる手。…たまに撫でてくれる手が優しくて暖かくてすげぇ好き。2つめは俺の淹れるコーヒーを飲みたいって言ってくれるところ。あんたの体調とか好みに合わせて一生懸命考えて淹れるから、飲みたいって言われると嬉しい気持ちになるから好き。3つめは…匂い。…あんたの匂いはなんか落ち着く。だから好き……これでいいのか?」恥ずかしそうに目を伏せながらもスラスラと好きなところを述べてはチラリと相手を見遣りまたすぐに視線を落として。はっきり言えば相手の好きなところはまだまだ言える。匂いが好きというのはベッド侵入事件でバレているので兎も角、それでも退かれるかななんて思えば、指令クリア云々よりも相手の反応が気になり自分の爪先を弄っていて )
──…らしいが、この答えで良いのか?
( 彼は意外にも自分の好きな所をスラスラと理由まで添えて答えてくれる様子に目を瞬かせるも3つ挙げるだけで良いのか?と言った事から他にも聞けば出てくるようなそのニュアンスに感じるもまさかなと思いつつ…でも彼が挙げてくれた自分の好きな所に内心喜んでいてカメラに背を向ける形で彼に何も言葉を返すことはなかったがふわりと目元を優しげに細めて穏やかな笑みを見せて。自分の外見や頭脳を好きな所に挙げなかった彼。それが実は嬉しくて堪らなくすっかり上機嫌になりつつ、くるりとカメラに向き直った時にはいつものポーカーフェイスへと戻していて青年に声をかけるも今度は声は聞こえて来なくて代わりにまたヒラヒラと通気口から紙が舞い降りてきて。それを指で挟んで掴むと開いて中を確認し「………俺に無いものを持っているから…だな。…なんだ、またか…?……おい、これに答えたら3つ目の番号を教えるのか?違うなら此れに答える気はない。早く二つ目の番号と次の指令や謎解きを寄越せ」指令に答えたのに再びヒラヒラ舞い落ちてくる紙をキャッチして中を確認するも単なる質問コーナー化しつつある指令に時間の無駄とばかりに3つ目の番号を教える気がないなら自分も答えるつもりはないことを告げて。今自分が答えた問いは単なる二つ目の番号を教える指令の平行線上でのもの。内容を目にした時点で気づくべきだったが青年が二つ目の番号を言っていないのに次の指令や謎解きに移るとは思えず。自分の呼び掛けに応じるようにジジ…とノイズ音が鳴り『ああ…申し訳ありません、埜上様。私の好奇心が溢れて出てしまったようです…。二つ目の指令は目の前にいる人物に自分の好きな所を3つ挙げさせろと比較的サービス問題にさせて頂きました。埜上様の好きな所をたったの3つも答えられない者になど、埜上様の傍にいる資格なんてありませんからね。そしてお察しの通り、今しがたお渡しした二つの紙に書かれていることは3つ目の番号の指令とは別です…。私の好奇心…探求心が溢れてしまった結果ですので…お答え頂かなくて結構です…。ちなみに内容は…』「…二度言わせる気か?」どうにもこの青年は無駄話が多い。さらりと述べた言葉は棘こそないもののどこか冷たく冷気を纏っているようで。『…いえ、埜上様…二つ目の暗証番号は“5”です。次の指令、謎解きはまた御手紙を…少々お待ち下さい…』青年がどう感じたのかは分からないがすぐに二つ目の暗証番号を告げ、次の指令または謎解きは後程と言い、声は聞こえなくなって )
……!
( 好きなところを3つ挙げて場合によっては相手にひかれてしまうかもと不安に思っていたが、どうやらその不安は杞憂だったようで。カメラに背を向けて見せた相手の笑顔。今まで見た中で一番優しくて柔らかなその笑顔にトクンと鼓動が跳ね上がる。そう、自分はたまに相手が見せてくれる笑顔も好きなのだ。でも今回のは特別。しかもカメラに背を向けて青年には見せずに自分にだけ。相手の笑顔を好きなうち3つの内に挙げなかったのはこの笑顔を誰にも知られることなく独り占めしたかったからなのかもしれないと今更ながら思いつつ、ドクドクと煩く脈打つ心臓をそっと抑えて嬉しさから緩む頬を隠すようにやや顔を俯かせて。そんな風に浮かれていればまた相手が通気口から落ちてきた紙をキャッチする姿が見えて。相手の口からポツリと零れる言葉に疑問符を浮かべつつ程なくして始まった青年とのやり取りを大人しく聞く。無事に暗証番号がコールされてホッとしては通信が切れたところで相手の元へ行き「俺正解したんだよな?良かったー。もし捻り問題だったらただ恥ずかしいだけになるとこだった。…てかさっき落ちてきた紙になんて書いてあったんだ?俺に無いものがどーのってやつ。」心底安心したように胸を撫でおろしつつも何処か表情は得意げで、相手の笑顔も見れたことでフフンと鼻歌でも歌い出しそうな雰囲気を出しながら先程相手が掴んだ紙の内容が気になり問いかけて。そこで通気口から一通の封筒が落ちてきてそれを掴んでは中に書いてる文字に目を通して。その文字を見た瞬間やや青ざめた顔をしてはスピーカーがあるほうへキッと視線を向けて。「…なんでお前がこれを知ってんだよ。」思ったよりも低声が出てはスピーカーがジジと音を立て『おやおや怖い怖い。これだから低能は嫌なんです。で、言えないんですか?』「……悪い、埜上。今回のお題クリアできないかも。ここに書いてあることをあんたに明かさないといけないんだけど…今は言えない。」『へぇ…埜上様の助手とあろうものが隠し事ですか?僕なら身の上話だろうと過去の失敗や恥ずかしい話だろうと包み隠さず言えますよ。…埜上さま、良いんですか?こんな信用ならない低俗と一緒に居て。貴方には話せない秘密があるみたいですよ?それに僕はこの男が埜上様に可笑しな影響を与えないか心配なんです。まあ言えないなら仕方ないですね。ペナルティとして暗証番号をリセット…更新します。要は前の二問は無駄になるということです。…それでも言いませんか?』「……ッ、」相手には迷惑を掛けたくない。でも今どうしても紙に書かれていることは明かしたくなくて唇を噛み締めてはクシャリと封筒を握りしめて俯いて )
……全てを一度に知るなんて、そんなつまらない事…俺がすると思うのか?リセットで構わない。…もちろん、その分…お前は俺を楽しませてくれるんだろう?
( 嬉々としている彼の問いには隠すつもりはないもののまだ答えずにいれば通気口から落ちてきた紙を今度は相手がキャッチして。その内容に目を通した瞬間にその表情が青ざめたことにもちろん気づく。素直に今は言えないと答えた彼の頭を伸ばした手でポンポンして撫でてはカメラに向き直り、口角を上げ自分の性格を分かっているらしい青年に話しかけるように口を開いて。リセットで構わないとはっきり告げては付け加えるようにもっと楽しませてくれるんだろ?と青年を煽り「さぁ、指令でも謎解きでも…何でもいい…早く俺を楽しませてくれよ」カメラ目線で瞳を悪戯に細めては掌を差し出して、芝居かかったようにそう言葉紡いで )
…!…ごめん埜上。…ありがとう
( この緊急事態で隠し事なんて…自分は最低だなと思っていれば頭の上に乗る柔い重み。自分の好きな相手の手が髪を撫でれば小さく目を見開いて。前の二問を捨てることになるのに全くそれを意に介さない相手の飄々とした態度。その優しくてかっこいい姿に胸を熱くしては始めは小声で謝るも顔を上げると小さく微笑みお礼を言って。「でも…今のもだけど今までの問題も何の意味があるんだろうな。なんか謎ときってよりは指令だし…なんて言うか…、」試されているみたいだと思い。一問目の問題の時、青年は人間性や信頼関係がどうのと言っていた。2問目も先程自分に出された3問目も相手との関係がどこまでのものなのかまるで確かめられているようだと漠然と思って。とすると4問目も似たような問題や指令が出されるのだろうかと考えながら頭を撫でられた心地よさから無意識に相手の傍に立ち、次に出されるも指令やらはなんだろうかと通気口や部屋の各所に注意をやって )
…どういたしまして。これが終わったらコーヒー…忘れるなよ…?
( 小さくお礼を紡ぐ彼にこれが終わって家に帰ったらコーヒーを淹れてくれればチャラにするとでもいう通りに忘れるなよ?と微笑んだまま伝えて。隣に並ぶように立った彼の表情はもう青ざめてはおらず、嬉しそうに緩められた顔で。彼にはやはりこの顔の方が良い─そんな風に思っていればヒラヒラと再び紙が舞い落ちてきて。パシッと人差し指と中指でその紙をキャッチしては中を開いて。書かれていたのは指令。しかし内容を口にしてはならないとそこには書かれていて。しかも書かれていた内容が問題あり。紙をジト目で見つめているも何度見ようともその内容が変わることはないため深い溜め息を一つしてぽつりと呟いては彼を真っ直ぐに見つめて「…全く…あいつは何がしたいんだ…ああ…相馬、これから俺がすること…嫌だったら突き飛ばしたり殴って良いから。指令は指令だがお前の気持ちを優先しろ…良いな?」指令でも指令でなくとも彼になら自分は出来るのだが、大事なのはそれを実行される彼の気持ち。そのため嫌なら抵抗して良いと予め告げておく。もちろん指令には抵抗されたら失敗と書かれているのだが、端から変な内容の指令なこともありこれは捨てでもいいなと内心思っていて。カメラの角度を視野に入れつつ彼の肩を掴んで体を此方に向かせては一旦肩から手を離し、片手を彼へと伸ばして頬を優しく撫でてから添えるとそのまま距離を詰めては顔を近づけ柔い唇をそっと塞いで。─まだこれだけなら彼は殴ることはしないだろうと予測は立つも…指令はこれで終わりではない。唇を合わせたままペロリと舌先で彼の唇をなぞるように触れては僅かに開いた口へスルリと自らの舌を滑り込ませて。蹴りくらいは覚悟をしつつも彼の上顎や舌の付け根等擽るように舌を這わせては口づけを深くしていって。【目の前の相手に抵抗されずに3分間深い口づけをせよ。ただし抵抗されれば失敗となる】そうあの紙には指令として書かれており )
ん……何?───…ッ!?
( またコーヒーを淹れて欲しいと言われると嬉しそうに唇を噛み締めながら短く相槌を打つもそう浮かれ気分でばかりも居られない。次の指令が出されたようで今までとは違い紙に掛かれた内容にしっかり目を通す相手にやや首を傾けて。もしかしたら自分に出された3問目のように明かしたくない事情を告白しろとでも書いてあるのだろうか。それなら相手が自分を気遣ってくれたように自分も相手に無理はさせたくない。と思っていれば相手からは予想とは違う言葉を掛けられ。自分の気持ちを優先しろとはどういうことだろうかと思っていれば、肩を掴まれてピクリと小さく体を震わせる。その手はすぐに離れて細くて長い指先が頬へと触れればまた小さく体が震えて鼓動が早まり、端正な顔が近づいてくると馬鹿な自分でも何をされるか分かって無意識に瞼を下ろし。そして重なる柔い唇、──嗚呼、意外と柔らかい感触なんだなと何処か他人事のように冷静に思うも、キスされているという事実が脳へしっかり伝達されると、ハッと目を見開いて。これはいったいどういうことだ!?とパニックを起こしたとき、唇をなぞるねっとりとした熱。深くなる口付けに驚いては相手の肩を掴んで反射的に押しのけようとするも此れはきっと指令なんだと思い踏みとどまり。「…ッん…ぅ、…ン…」弱い上顎を舌先が擽るとくぐもった声が漏れて羞恥から頬が染まっていき、キュッと相手の肩を掴む。普通、人からこんな口付けされたら不快しかないはずなのに相手からだと全く嫌ではない。寧ろ…──。相手の舌の動きと久しい人との口付けに翻弄されながら鼻に掛かった甘い吐息を漏らせば、これが指令であることを少し忘れてこちらからも舌を絡めて相手の舌裏を舌先で突いて )
……、……ン…、
( 蹴りまで覚悟していたのだが一向に手も足も飛んで来ないことに“あれ、もしかして受け入れられてる?”と都合良く解釈しつつも瞳を閉じてきゅっと自分の服を握り鼻にかかったような甘く漏れる彼の吐息混じりの声を聞けば嫌がられているならこんな反応はしないよなと思ってはいたが実はこれが指令だと勘づいた彼が我慢しているだけかもとの考えも浮上してきて。しかしそれも彼からも舌を絡められ舌裏に感じる舌先が突っついてくるような感覚に後者の考えが前者の考え方にまたもや都合良く切り替わってはそろそろ3分経つかと思いつつも彼の口内を隅々まで味わってから唇を離したため実際は無論3分を過ぎていて。過ぎたら失敗とは書いていなかったため咎められはしないだろうとタカを括りつつ深い口づけの合間に息継ぎはさせたのだが少々息が上がっているように見える彼の頬を優しく撫でてから手を離しカメラの方へ体をくるりと反転させ「…人のキスが見たいなんて悪趣味なお前に付き合ってやったんだ…まぁ正直段々楽しくなってきたのは認めるが…さっさと番号を教えろよ?」青年に話しかけつつぽろりと飛び出す本音も添えて番号を教えろと告げて。ガガ…とノイズ音が聞こえてくれば『お褒めに預り光栄です…素敵なキス…ありがとうございます。僕が彼に成り代わりたいくらいに素敵で素晴らしかったです。相棒足るもの…相方の考えを尊重し受け入れる寛容さも必要です。そこの彼に美味しい思いをさせるのは不本意極まりないですが…合格としましょう。では一つ目の番号は“9”です。では次の指令、謎解きはまた後程…』再び言いたいことを言って青年の声はしなくなる。いい加減慣れてきたが気分が良いものではなく。「……相馬、今更だが我慢することなかったんだぞ?俺、蹴りはマジで覚悟してたんだけど…まあ…俺はお前とキス出来たから良かったんだけどな。─なかなか可愛かったぞ…?」しかしながら指令とは言え、深い口づけを交わしてしまった彼に我慢しなくて良かったんだぞ?と声をかけつつおどけたように蹴りは覚悟していたと伝えては自分は彼とキス出来たから良かったと意味深に口にしては顔を覗き込むようにして意地悪く微笑んで )
( 相手との濃厚な3分間、始めこそ此方から舌先を絡めてみたが其れはその一回のみ。すぐに相手からのキスに呑まれていけば思考が回らなくなり、息継ぎもさせてくれていたがまともに息を吸えていなく息苦しさから顔を赤く染めて。それでも必死に相手からの口付けを受け止めては程なくして相手の顔が離れていく。やっと解放されたという想いと名残惜しい想いを同伴させながら息を乱し肩を揺らしては、相手の指先が頬に触れた瞬間ピクリと少し大げさに体が震えて。そんな相手は青年と会話を始めたので、その間にハァハァ…と時折息を震わせながら息を整えるも、一向に思考は追いつてこずにいて。やはり今のは指令だった、それだけは分かり息がようやく整い始めるころに青年との会話は終わったようで相手と再び向き合う形になって。おどけたように言葉を紡ぎ意地悪く微笑む相手はいつも通り悔しいくらいにかっこよくて綺麗で、当然キスが嫌と言うわけではなかったのだが言いようのない感情の波が押し寄せてきて。「可愛く…ないし…」こちらもいつも通り返事を…と拗ねたふうに返そうとするも失敗。声が掠れるとともにボロと大粒の涙が双眸から零れ落ち、それは意に反してボロボロと次から次へと出てきては慌てて袖口でグシグシ拭って )
……悪かった…俺が…悪かった…な…、ごめん。
( いつものように拗ねた物言いが返ってくると思っていた。しかし彼の瞳から涙が溢れ出せば、目を見開いて。彼は服の裾で拭うもそれは止まることなく流れ続ける様に“あの日”の母親の姿と重なって見えてはぎゅっと強く彼を抱き締め謝罪の言葉を述べて。あの日から涙──人が泣く姿が苦手になった。どうしようもないくらいに胸が締め付けられる。それは相手が彼だからなのかはよく分からず…。やはり彼は指令だからと我慢していたのだと思えば「…指令とは言え、軽はずみでして悪かった…もうしないから…だから、泣くな…」抱き締めたまま、もうしないと口にしてポンポンと慰めるように彼の髪を優しく撫でて )
…ッ!!
( 意に反して流れ落ちてくる涙は止めようと思っても止まらずに相手を困らせてしまうと焦って力任せに袖口でグシグシ拭っていたが、相手のぬくもりに包まれると小さく目を見開いて。抵抗することなくその腕の中に収まり聞こえて来たのは初めて聞く相手の声。抱きしめられていたので表情こそ見えなかったが、その声は今まで聞いた中で一番弱々しく切なくて胸が締め付けられるような思いになって。一体何が相手にこんな悲しくて切ない声を出させているのだろう。そう思ううちに、相手の匂いや髪を撫でてくれる手もあって気持ちが落ち着いてくれば、いつのまにか涙は引っ込んでいて謝る相手の肩口に顔を埋めたまま首を横に振って。「…違う、違うんだ…埜上は悪くない。…キ、キスも嫌じゃなかった。ただちょっとびっくりしただけ。」本当にキスは嫌ではなかった。本当に嫌だったら3分の間に相手を突き飛ばしている。自分でもはっきりとした理由は分からないがキスが終わったときに漠然と感じた感情は“このキスは指令だったんだ”という事実。もし指令がなかったら…相手が自分に口付けることなんてこの先ないのだろうと思って。暫く相手の肩口に顔を埋めていたが顔を上げるとニッと歯を見せていつものように笑って。「もう大丈夫。マジでびっくりしただけだから。…いやなんで泣いちゃったんだろ。」相手から離れて頭を掻きながらおどけたふうに笑ったところでまた紙が一枚通気口からヒラヒラ落ちてきてそれをキャッチして。「…サービス問題?これが出来たら暗証番号を2つお教えします。だってさ。……えっと俺が埜上を横抱きして20分耐えられたらクリア…。20分…、いや俺体力には自信あるぞ!」読み上げ不可とは書いていなかったので紙に掛かれた指令を自分の言葉に変えて相手に伝える。相手を横抱きすることは造作ない。が、いくら相手が男にしては軽いと言っても自分より身長が高い成人男性。それを20分抱え続けることがいかに大変かは馬鹿な自分でも分かる。が、これ以上相手に迷惑はかけられない。筋力はそれなりに自信があるため先程の涙はどこへやら元気よく頷いては、相手の答えを待たずに相手に近づいていくと膝の裏と上半に手を添えてヒョイッと軽々横抱きして )
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