ミステリアスで妖艶な雰囲気の美形(探偵) 2019-11-10 16:38:54 |
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もちろんです。御協力感謝します。
( 信用されずとも自由にして下さいと言われるだけで十分だった。この母親も自分の家族を守ろうとしているのは明らかだ。頭を下げては礼を述べてはここにいる全員で監視カメラを見始める。するとそこに映っていたのは自分が思い描いていた通り。彼以外そこにいる誰もが信じられないと言った表情をしている。母親が不安な面持ちでの問いかけに静かに頷いてみせて。「ええ、ご覧通り…犯人は捕まるどころか…また同じことを繰り返す…ここにまた来るかもしれない…今度は別のご老人を拐っていくかもしれません。…この犯人の目的はきっと身代金でしょう。今回貴女のお母様が無傷で返されたのは奇跡に近い…。このような犯罪は最近増えています。…私の祖父は拐われて…帰って来なかった…家族に構って欲しいホラ吹きジジイ…必死に助けを求めても誰にも信じて貰えず…二度とホラを吹けない遺体で戻ってきた…。幼い私は何も出来ませんでした…家族に話しても信じて貰えずに…助けることは出来なかった…。ヒヨリちゃんは凄いです…彼女が動かなければ…またこんな恐ろしい事件が起こっていたでしょう。この犯人をこのまま野放しにして良いのでしょうか?私と彼なら…必ず捕まえてご覧に入れましょう…ただ私どもは依頼人なくしては動きたくとも動けません…」私事をぽろりと口から滑らせてしまうも同情して欲しいわけではない。こんな事件も起こる可能性があるのだと知って欲しくて。神妙な表情で告げつつ皆まで言わずともヒヨリの両親は分かるだろうとちらりと二人を一瞥して。しかしながら神妙な顔つきで話した祖父話は実は嘘である。ヒヨリの両親に改めて依頼をさせるための口実に過ぎない。自分の祖父は自分が幼い頃に病気で亡くなっている。その原因が何であれ亡くなっているのは事実であって。きっと彼も信じているのだろうなと思いつつもヒヨリの両親の反応を伺っていて )
( ヒヨリの両親は相手の話に耳を傾け心動かされたように見えたが、では自分たちが依頼をするかとなると難色を示しているようで。恐らく気にしているのは依頼料。祖母に再び危険が及ぶかもしれなくてもそれが憶測であり祖母が無事である今依頼をする必要性は薄く、他の誰かに危害が及ぶかもしれないからという正義感でお金を出せるかというとその余裕もないようで。ヒヨリが懇願するように両親を見つめるも両親は首を横に振りかける。そこに口を挟んだのは今までずっと沈黙を守っていたヒヨリの祖母、今回の被害者で。『…お若い探偵さん。私の大切な孫の言葉を信じて動いてくれてありがとう。私はこの通り老いた体で家族にも迷惑しかかけられない。でもせめて悲しい顔はさせたくないし、私の知らないどこかで悲しむ家族がいるのも嫌なの。人様の役に立つとまでは言わないけれど、大切なヒヨリや娘たちのためにもどうかあなたたちの力で犯人を捕まえてくださるかしら。』『母さん…』『心配いらないわ。老いぼれなりに懐は温かいのよ。』祖母は目尻の皺を深くしてヒヨリの母とヒヨリに微笑みかけると、相手に視線を移して何か見通すように穏やかに微笑んで。自分はというと当然相手の話を信じきっており、相手のそんな過去があったのかと胸を痛めてやや目を伏せていて。それでも依頼はされたため気持ちを切り替えねばと顔を上げて「任せておいてください!ヒヨリちゃんのためにもばあちゃんの依頼は絶対に叶えます!な、埜上!」若干言葉遣いに粗はあるが、誰かのために役立てることにワクワクすれば相手に振り返って )
もちろんです…貴女は今から正式な依頼主…貴女の望みを叶えてみせましょう。そうと決まればこの従業員に話が聞きたい。犯人を捕まえるためには情報…情報を得るための調査が必要です。そうと決まればこのカメラに映るこの従業員に話をべきだ。
( こうなることも予め予測していた。ヒヨリの両親が難色を示すことも、祖母が依頼主になることも。正式な依頼主が決まれば自分はただ依頼をこなすのみ。犯人に繋がる手掛かり──まずは監視カメラに映っていた若い男性の従業員。彼なら何か知っているだろうと思えば、ちょうど監視カメラに映っていた従業員が姿を現して。「やぁ、タイミングばっちりだ…素晴らしい。君をちょうど探していたんだ。少し話がある。此方に来て貰おうか」にっこり微笑んで従業員を確保しては部屋に引き入れて。最初はシラを切ろうとしていた男は口を開こうとしなくて。そんな行動も犯人に何も話すなと脅されているが故の行動かもしれない。「…君はただ脅されていた…そうだろ?君を脅した奴はどんな顔していた?特徴は?些細なことでも構わない…教えてくれないか?またこんな事件が起こらないために…君のような被害者を増やさないために…」薬を食事に混ぜてしまったことを悔やんでいた従業員は色々と教えてくれたが目深に被った帽子や服装はカメラに映っていたものと同じ答えでそれ以外は特にこれといった情報はなくて。ただ従業員はこの犯人の二人と会話して非常に短気な印象を受けたらしい。「…外の街頭カメラもチェックしに行くぞ…相馬。では我々は引き続き調査を続け、必ず犯人を捕まえますので今暫く、お待ち下さい」──そうして街頭カメラもチェックさせて貰えばそこには老人ホームから去っていく車がしっかりと映っていて。その後も様々なカメラをチェックしては大体の逃走ルート並びに犯人の車のナンバーが分かってはタクシーを捕まえて彼と一緒に乗り込むと犯人がいると思わしき廃工場へと向かって )
此処か…。どうする…?正面突破か裏口から回るか。…俺なら上からでも行けるけどな。
( 依頼が決まればそこからはトントン拍子にことが進んで今自分たちがいるのは犯人たちのアジトと思しき廃工場で。自分としてはヒヨリのためや相手の亡き祖父のためにもこの事件の犯人を何としても捕まえたい。自分には相手のような優れた分析力や予測力もないが体を動かすことだけは自信があって。ここまで相手の頭脳と話術だけで来て頼りっぱなしだったため、少しでも相手の役に立ちたく突入方法をどうするか声を潜めて問い。廃工場の上には通気口があって外壁から其処へ上って中へ侵入すれば上からも犯人の不意をつくことも可能のためそれを伝える。でも不意をつくよりももっといい考えが相手にはあるかもしれないので視線を向けて指示を煽って )
なかなか良い作戦を思い付くようになったな…だが、まだまだだ。仮にお前が上から行ったとして中に何人いるか分からないだろ。ここは敢えて正面から…炙り出すぞ。
( 辿り着いた廃工場。彼が中に入る方法を何通りか挙げるもきっと彼の推しは一番最後に挙げたもので。一見ベストな方法に見えてその方法にも穴があるのを瞬時に見抜く。彼の推した作戦を実行したとして侵入した先に複数の犯人がいた場合彼は袋叩きにあってしまう可能性が出てきて。誰かが怪我をしてしまえば事件は円満に解決はしない。ただ事件を謎を解明するのはもう飽きた。そこから何か見出だす快感を最近覚えたのはきっと隣にいる彼のせいだ。その彼が怪我をしては意味がない。その片鱗も見せないままに自分の考えを彼に話して。自分の考えた作戦はまさかの正面突破。正面の扉が少しだけ開いていることがそのきっかけとなって。懐から取り出した発煙筒を取り出して火をつけては扉の前に放り投げて。「隠れるぞ」幸い辺りには身を隠す所がたくさんあって彼にそう告げては手近なコンテナの後ろへ身を隠して。彼も反射神経はやはり良い。すぐに身を隠したのを確認すれば前方へと視線を向けて。これで複数いる犯人の少数でも無気力化することが出来たなら楽にここを制圧出来そうで。『な、なんだ?!この煙っ!』『外だな!様子見に行くぞ!』聞こえてきたのは二人の男の声。廃工場の正面扉を開けて二人とも出てくれば発煙筒に気を取られている背後にいつの間にか回っていて。二人の首辺りを手刀で的確に狙って当てては男達は気を失ったのかそのまま崩れて動かなくなり。「さて、中に人の気配もするな…何人いるか分からないが…気を抜くなよ、相馬」くいっと顎で中を指し示し入るぞと目配せして“気を抜くなよ”声をかけて彼と中に入って )
…了解。
( 一瞬褒められて嬉しくなるも、まだまだと言われると悔しい気持ちになる。でも自分より頭が良くて先の先、裏の裏まで読める相手が言うのなら相手に従うのが一番。今は自分の気持ちよりも事件解決に繋がることが最優先のため相手の指示に頷くとその動向を注視して。その後の相手の動きの鮮やかなこと、煙の中相手も視界が不明瞭のはずなのに出てきた二人の犯人を的確に制圧する。やっぱり相手はすごいと尊敬する気持ちと共に少しの劣等感を覚えて、別に自分はいなくてもいいのではないかと自嘲的思考が過ぎり、すぐに首を横に振って今は邪魔にしかならない考えを捨て去って。相手の目配せに小さく頷いて廃墟内へと細心の注意を払って侵入するも、扉を開けて中に入った瞬間横から鉄パイプが振り落とされてそれを横に飛び回避する。回避する最中に廃墟内を目だけで見回して中の構造や人数を確認すればどうやら男が3人。隠れられるスペースなどはざっと見ないため、標的はこの3人とみていいだろう。話もせずにいきなり襲いかかってくるあたり男たちは相当焦っているか頭に血が上りやすい性格。事前の情報通り。不意打ちの攻撃を躱されたことで男が舌打ちしては、続けざまに別の一番大柄な男が正面から襲いかかってきて。恐らく身長2メートル超え。だが怯むことなく相手を背にして前に出て迎え撃てば大男がすぐ目の前に来た所で姿勢を屈めると人差し指と中指で男の鳩尾のツボを思いっきり抉り上げるようにしてついてやり。グエッとうめき声が聞こえると共に大男の体が地面に倒れていくも、それには目もくれずに残りの二人の男の動きと相手の動きを確認すべく視線をそちらに向けて )
ブラボー。その調子だ。後の二人もお前が遊んでやれ。
( 既に二人は熨した。三人中一人は今彼が片付けた。彼以上にでかい男に怯むことなく一撃を食らわせた度胸や技にいつの間に乗ったのかコンテナの上からパチパチと拍手をして褒めて。残りは二人だし一人は武器を持っているとはいえ、先程軽々と攻撃を避けていた彼が手こずるとは思わないため自分の仕事はとりあえず終わったと言わんばかりに高みの見物と洒落込もうとしていれば残された二人のうち一人が彼に真正面から特攻を仕掛けていて。「まるで猪だな…実に品がない…」嘲るようにして吐き捨てる。残ったもう一人の男は鉄パイプを持ちながらジリジリとゆっくりゆっくり気配を消すようにして自分の背後から忍び寄っていて。それを知ってか知らずか背後に気を配る素振りを見せずに華麗に動く彼を余興でも楽しむみたいに視線を向けていて )
…!おう、任せとけ!
( 犯人はあと残り二人、そして振り返ってみれば相手はいつの間にかコンテナの上にいて。きっと残り二人…いや五人同時に犯人が襲いかかろうとも相手なら軽々と男たちを地に伏せることができるだろう。それでも自分に任せてくれたのが嬉しくて、さっきのマイナスな思考はどこかへ吹き飛び、ニッと口端を上げるとまず真っ向から向かってきた男の脇下と肩を掴み、合気道の技の一種で男が此方に向かってきたときの力を利用して投げ技を繰り出すと自分よりも体重の重たい男を地に叩きつけ。男が伸びたのを確認すればあと残りは一人。コンテナの上、相手の背後から鉄パイプを振りかざす男。丸腰の相手に武器を使うなんて男が廃るし、男は相手が鉄パイプに気付いていないと思っているのかシメタという顔をしていて。おめでたい奴だなぁと思いながら、もしかしなくても相手が本当に男に気付いていなかったりという不安も少しあり、すぐに自分もコンテナに向かえば持ち前の跳躍力で二弾飛びしてコンテナの上に跳び立つと間髪を入れずに男の横腹の動けなくなるツボに蹴りを入れて。『…オ゛え…』とカエルが潰れたような声で倒れていくの男。鉄パイプがコンテナの上を転がっていくのを背に手をパンパンと払っては相手にドヤ顔を向けて。「へへ、俺もやれば出来るだろ?…あとはコイツらを警察に突き出すだけだな。」と得意げに笑うも、自分の背後でむくりと動く影が。それは先程自分が的確にツボをついて伸びたはずの鉄パイプ男で。人間離れしているのか軽くキメているのかは定かではないが、背後でゆらり動く気配に自分は気付くのが遅れてしまう。気付いたときは鉄パイプはすぐそこまで迫っており、避けたら相手に当たってしまうかもと思うと動けずにいて )
──せっかくちゃんと褒めてやろうとしたのに…お預けだな…。
( 自分の後方から近づく男には気づいていた。でも己は彼に“二人をやれ”と言ったのだ。それは当然自分の後ろにいる奴を含めてのこと。その意図を汲んだというよりは此方が気づいていないと思ったように見えた彼だったがきちんとコンテナの上へ持ち前の運動神経の良さを発揮して来ては背後にいる男を華麗に沈めてみせた。“よくやった”珍しくそう褒めてやろうと思ったが彼の技を受けてもなお起き上がる男からの攻撃を避けようとしない彼の首根っこを掴んで引き下がらせ庇うように前へと出て左腕を内へ曲げて勢い良く振り下ろされる鉄パイプを受け止めて。骨の砕けたような感覚、突き抜けるような痛みが走ったが口元から笑みは消えずに彼を視界に入れることはなくぽつりと呟いては、ガラ空きの腹部へすかさず蹴りを入れて。鳩尾に入ったようで動かなくなる男を一瞥してはパトカーのサイレンの音と共にパトカーが二台工場内に入ってきて。その助手席に見知った顔を発見しては早々に立ち去ろうと思い、「…帰るぞ」彼に一声かけてはコンテナから足場をうまく使って下へとトン、トンっと降りていき。左腕はだらりと下がったままだが特に気にしてはおらずに一目散で工場内から出ようとしたが─『天才探偵様は最近やけに肉体派な仕事もしているようだな?探偵は探偵らしくしてろよ。…まぁ俺は楽出来るけどなァ?捜査並びに確保に御協力頂き誠に感謝する。つかこれ折れてんだろ?痛み感じないのかお前、痛覚どこにぶん投げてきた?』目付きの鋭い長身の男がパトカーの助手席から出て来ては行く手を塞ぐように前へ立つ。一番視界に入れたくない顔なだけに嫌味と感謝に聞こえない感謝をされては爽やかに微笑んで一言も発することなくその脇を通り過ぎようとしたがあろうことか折れているであろう左腕を遠慮なく掴まれ再び走った激痛に表情こそ笑顔だが怒りで青筋が立ち「これはこれは…頭が筋肉な警部じゃありませんか…俺なんかに構っていないでさっさと犯人確保したらどうです?つか離せ…俺に触るな」最初こそ形式通りに挨拶をするもののすぐにそれも止めて吐き捨てるように口にして右手で男の手を引き剥がして。この男は警察の人間。警部という肩書きを持つそこそこ出世している自分より少し年上な印象を受けるが年齢までは知らないし興味もない。『なんだその態度…よーし、そこまで可愛いげない態度とりやがるならもっとお前が嫌がることしてやるか。病院まで強制連行の刑だ。…お前…今のこいつの相方か?こんなくそムカつく奴とよく一緒にいられるよな…こいつなんか止めてうちに来ないか?安定した給料!頑張れば俺みたいに出世だって出来る。その気があるなら…』『松間警部…若くてアクティブそうな子見る度にスカウトしないで下さい。それに応じて来た子なんていないじゃないですか…。病院行くのは賛成なので、そこの君、埜上さん後部座席に乗せて見張っててくれますか?何度か逃げられてるんで』隣から被せて来たのは最近直属の部下になったようで見知った女警官で。隣にいる彼に自分のことを見張ってて欲しいとちゃっかりお願いしている。何故自分がこいつのいるパトカーで送られなければいけないのか。その件で中心にいるはずの自分がすっかり蚊帳の外で話が決まりつつあるのが全くもって気にいらない。不機嫌そうな表情は隠さずに眉間に皺を寄せて )
…わかりました。
( 相手に続いてコンテナを降りて暫くしてパトカーが到着すれば、街の防犯カメラを確認するときも間接的にお世話になった警部とその部下たちが降りてきて。互いに若干角があるも親しげな警部と相手のやりとりに目をやりつつも正直あまり会話の内容は頭に入ってこなくて。自分の油断のせいで相手が怪我をした。その失態が頭の中を支配してキシキシと痛み、胸が肺と一緒に何かに握り潰されるように圧迫されて息苦しくて。また自分のせいで誰かが怪我をした…自己嫌悪と自責の念に押しつぶされそうになりながら、女警官に言われたことに何とか頷くと、何処か不機嫌そうな相手の元へ近づいて。いつもの調子なら普段冷静沈着な相手とは違うどこか子供が拗ねたような相手を少しはからかえただろうがとてもそんな気分にはなれずに「ほら、車乗らせて貰うぞ。…腕腫れてきてるんだから早く病院で診てもらったほうが後々良いくらいあんたには分かるだろ。」目を合わせられないまま折れていない腕を軽く取ると手を引いて、ボソボソと言いながら折れている腕に負担が掛からないように後部座席に相手の体を押し込んで自分も隣に座って。遅れてきた数台のパトカーから警察官たちが降りてきて伸びて倒れる男たちを拘束していくのを横目にチラリと相手を見てすぐに自分の膝下に視線を落とす。松間警部と女警官もパトカーに乗り込んできて暫くして病院に向けてパトカーが発進してからも何も言えずに俯いていたが、数分経って漸く唇を震わせながら口を開いて「…ごめん…。俺のせいで…怪我させた。助手としてあんたも守らないといけない立場にあるのに調子乗って油断した。…本当にごめん。」逃げ出したいが此処で逃げるのはもっと相手に失礼。ただ相手に助手失格でクビと言われれば従うつもりで声を震わせて謝罪すると自分の膝をグッと握って返答を待って )
…違う。お前は俺を守ろうとしたんだろ。だからあの時、お前は動かなかった。…お前に怪我がなくて良かったよ。でも次からは避けろ、俺のことは考えなくていい…。…ああ…これも、違うな…俺は…お前に怪我をして欲しくない。自分の身も守れ。
( ズボンを布地を握りしめ震える声で謝罪してきた彼。でもそれは間違っている。彼は調子に乗って油断したと言ったが今回の彼に調子に乗っていた要素はないように思う。寧ろ自分を守ろうとして一度は熨した犯人が再び起き上がると言うアクシデントに見舞われてそこで彼は自分を守ろうと動かずにいた事を話して。それのどこに調子に乗っていた要素があるんだと思っては寧ろ彼に怪我がなくて良かったと本心を口にして。自分のことは気にせずに次は避けろと言うも言い方が自分の伝えたいニュアンスと違っていることに気づけば“違うな”と前置いてストレートに自分の気持ちを言葉にして。『骨折が脳までいったか?お前がそんなこと言うなんておぞましい…』『警部、失礼ですよ。でも埜上さんがそんなこと言うなんて…珍しいですね…よっぽどその子お気に入りなんですか?』「…うるさい。お前らに聞かせてるわけじゃない。耳を塞げ口を開くな」茶々を入れられると分かってはいたが泣きそうな彼を放っておけなかった。何より彼が間違いを犯しそれに気づかずに自身を責めていることが嫌でそれに気づかせてやりたくて。茶々を入れる二人にはバックミラーを睨み付けて、フイと視線を逸らせて窓の外を眺めつつバックミラーに映らないことを良いことに伸ばした骨折していない方の手でポンポンと彼の髪を撫でてやり )
…ッ
( 相手から告げられる言葉からあの時、あの一瞬で自分がどうしたかったかちゃんと相手は分かってくれてんだと分かれはグッと唇を噛みしめて。相手の言葉が胸に染みて言い直された言葉にまた目頭が熱くなり、追い打ちをかけるように警部たちとの会話が耳に入ってくれば、込み上げる想いにくっと微かに喉が鳴って。自分は相手から今まで辞めていった助手たちと変わらない目で見られているのではないのかと不安に思っていたが、もしかしたらそうではないのかもしれない。それを置いておいても頭にポンと置かれる手から相手の不器用な優しさが伝わってくれば、自分はまだまだ相手を理解しきれていなかったのだと思い知らされると共に胸が熱くなって先程とは違う息苦しさが襲って。「…俺も、俺もあんたには怪我して欲しくない…。だからこれからもっと成長して、あんたのことも自分のことも守って期待に応えられるようにする。…俺、頑張るから…これからもあんたの助手として傍に居ていいよな…?」どうしても自責の念は拭いきれないし情けない顔を見られたくなくて顔を上げられないままだが、相手の傍に居たい気持ちは強まっていて微かに声を震わせながら強い意志をもって告げ、零れそうになる涙を服の袖でグシグシ拭って最後はちゃんと顔を上げて相手を見遣り。ちょうど病院にパトカーが到着するも、警部も女警官も茶々や口を挟むことなく黙っていてくれて )
…お前がそれを望むなら…そうすればいい。
( 自分の言葉は彼にどう響いたのだろう。喉を鳴らし涙を拭い、震える声で彼は決意を語る。でも先程の不安に駆られたような弱々しいものではなくその声には強い意思が確かに宿った。自分が彼にかけた言葉は今まで辞めていった助手に告げたものと変わらない─しかしその意味合いは天と地ほど違っていて。静かな笑みを浮かべたままそう短く伝えたのは変わらないが、その内は全く異なる。こんな風に言われた経験は一度だってない。こんな自分の傍にいたいと願い、口にしてくれるのはきっと…。「…松間…礼は言わないからな。…相馬、行くぞ」車が停車したと言うことは病院に着いたということ。となればこの車内にこれ以上居てやる義理はなく助手席に座る松間へ一言告げてはパトカーのドアを開け彼に声をかけると車外へと出て。そのままめんどくさそうに溜め息をつくも、ここまで来て立ち寄らないのもある意味時間の無駄としか言い様はなく遅れてやってきた彼を伴い、病院の中へと足を踏み入れて。受付に行けば当たり前に看護婦に酷く驚かれて即診て貰えることになって。あの警部は実に気が利かない。連れて来ると言ったら本当に“連れて来るだけ”なのだ。事前に病院に連絡を入れておいてくれればもっとスムーズに診察を受けられたのに。彼も同席の元、診察が始まりその結果はこれも案の定骨折。運良く綺麗に骨が折れていたようで安静にしていれば問題なくくっつき自然に修復してくれるそうで。入院を言い渡されたが、もちろん却下した。入院費が勿体ないし、正直病院なんて退屈で窮屈極まりない場所には居たくはない。理屈から屁理屈まで織り混ぜて入院を回避することに成功。しかし完全なるギブス固定を余儀無くされる。これも窮屈だが入院に比べたら…否比べるまでもない。診察代等彼に支払って貰って帰りはタクシーで事務所兼自宅へと戻ることになって )
( 相手が先にパトカーから降りる間、相手が掛けてくれた言葉の意味を噛み締めては松間警部と女警官に礼を言ってから自分も相手の後に続いて、病院の中に入り診察なども連れ添って。医師の話をしっかりと聞いて少ない脳内メモリに必要な事柄を叩き込んでは、本当は相手に入院して貰い絶対安静にして欲しいところだが、どうやら相手は病院嫌いで入院すると余計にストレスが溜まって体に良く無さそうだったため異論は唱えずに相手と共にタクシーに乗り込み。タクシーが事務所兼自宅へ走り出して暫く、自分の心は少しだけ落ち着きを取り戻しつつありチラリと相手を見遣って「…言っとくけど入院免れて良かったとか思うなよ。俺の看病は医者と看護師以上に徹底管理して超口煩くて面倒くさいからな。…だから不便があればこき使ってくれていいし飯も骨に需要のあるもの作るから。…あと痛み止めはあるけど今晩一番痛みだすから一人で我慢せずに呼びつけてくれて良いぞ。」まだ何処か後ろめたさの残る声色だがさっきまでの震えはなく、徐々にいつもの調子に戻していきながら、事件絡みになると何かと自身の体に無頓着な相手のため色々と口煩く言い。ただそれは相手が心配で少しでも手助けしたいという思いがあるだけで。タクシーが事務所兼自宅につくと運賃を支払い、今度は自分が先に降りて相手側の扉に回ると自動ドアではないほうの扉だったため手動で扉を開けて、ぶっきらぼうながら相手に手を差し出して )
なんだ…残念だな…優しくしてくれるんじゃないのか?入院したらお前が寂しがるかと思ってしなかったのに…、
( 呼んだタクシーに彼と共に乗り込み走り出す車内で彼が徐に口を開く。耳を傾けれていれば入院を免れたからと言って自分の監視化に置かれるのは変わらないと妙に堅苦しいことを言っている。しおらしい彼も悪くはないが漸くいつもの調子に戻りつつある彼に怪我をした自分に優しくしてくれないのか?寂しがると思って入院を取り止めたのにとからかうように口角を上げて口にして。しかし彼が責任を感じているのは見ていて明白だし基本的に彼は人を思いやる心を持っているため続けられた言葉を聞くまでもなく文字通り徹底して自分を看てくれ世話を焼いてくれるつもりだろう。どんなことを言ってもやってくれようとしそうな彼にどんなことまでならしてくれるのか試してみたいな…と少し思ったりもしたがタクシーは事務所兼自宅へ着いたのか停車したのでそれ以上は何も言わず。料金を支払って先に降りた彼は此方に回ってきてくれドアを開けてくれる。律儀な奴だなと思いつつもぶっきらぼうに差し出された彼の手を骨折していない方の手でパシッと躊躇いなくしっかりと掴みタクシーから出て。これから夕食や風呂や何だかんだあるが彼は自分のために色々してくれることは簡単に予測出来る。病院で鎮痛剤を飲んでいるため今の所は痛みは感じないこともあり、ギブスはやはり窮屈だなと一定の姿勢を強制的に取らされ凝り固まる首や肩を回して。しかしギブスを嵌めて骨折している側の肩まで回そうとしていて )
優しくって…徹底的に看病してやるってんだから充分優しいだろ。何でもニコニコして言うこと聞いてたらあんたの怪我の治りが遅くなるからな…まあ一人で飯食べるよりは誰かが一緒のが良いのは認めるよ。…俺一人だと作り甲斐もないしな。
( 優しくしてくれないのかと言われるとやや眉を潜め、自分の厳しさは相手のためであり延いては天才である彼を頼る依頼人たちのため本領発揮してほしいからで。その後に続いたからかいの言葉にはムと眉を寄せるも、たしかにこの一ヶ月で相手と一緒に過ごすのに慣れてしまい、相手がいないと寂しいかもしれないと思えば小さく頷いて少し曲がった言い方ながらも相手がいないと寂しいことを認めて。「って、おい!何やってんだよ。そっち折れてるんだぞ。…わざとか? あんたには早く良くなって欲しいから、あんま無茶するなよ。」タクシーを降りてから、相手が凝り固まった肩をほぐすのを見ていれば、あろうことか骨折している腕まで回そうとしているのが分かり、寸でのところで腕が痛まないように止めてはやや眉を上げてジッと見て。しかし少し悲しい気持ちになれば釣り上げていた眉を下げて素直な気持ちを告げるとそのまま相手の体を支えながら事務所玄関の鍵を開けて中に入り、相手を先にソファにすわらせて。「…コーヒーでも飲むか?体冷えるとよくないし。」上着を脱ぎながらそう尋ねては事務所の簡易キッチンへと足を向けて )
そうだな…コーヒーは貰おうか…悪かった…今までそんなことを言う奴はいなかったんだ…お前のコーヒーは飲みたい…頼むな…。
(曲がった事を言われてもそれも彼なのだと納得出来てしまう自分がいて。彼からコーヒーを飲むかと問われると頷いて彼に頼んで。しかし冗談にしろ悲しい顔をさせてしまった彼が気になればキッチンへと向かった彼を追いその体を後ろからぎゅっと骨折していない手でぎゅっと背後から抱き締め謝罪の言葉を口にしては今となっては一番自分好みのコーヒーを入れるのは彼なこともあり飲むか?と問われれば頼むと口にしてはその手を離しては自宅へ続く階段を上っては彼が淹れてくれるコーヒーを心待ちにしつつ事務所のソファでで彼のコーヒーをソファに腰を下ろして待っていて )
…っ…、すぐ淹れる…
( 相手の返答を聞く前にコーヒーの準備を始めていれば後ろから片腕で抱き締められて小さく肩を揺らして。これまで朝相手を起こしに行く時に軽く抱き寄せられたりはあったがそれとは違う、胸の中までギュッと包まれるような、ざわざわと温かな感覚。自分が密かに好きな相手の香りがふわりと香ってくれば更に胸が騒がしくなるも、相手のどこか切なくも聞こえる声に胸がキュッとなって。背後から離れていった体温に少し名残惜しさを感じながら一言返しては相手が移動していくのを音で聞きながらコーヒーの準備を進めて。さっきのような相手は初めてでまだ胸がざわつく感覚を残しつつ、鎮痛剤を打つと味覚に変化が起こることがあるのでいつもより少し濃い目に珈琲を淹れて、相手のお気に入りのカカオ度数高めのチョコをカップの横に添えてお盆に乗せては相手の元へ運んで。「ん、熱いから気をつけろよ。…さっきの話だけど俺もちょっと過敏になりすぎてたかも。まあまた無茶したり無理したりしたら止めるけどなァ。…腕以外になんか違和感あるとこないか?」カップを骨折していない腕の持ちやすい位置に取っ手を向けては、相手が心配なことには変わりないが過剰反応しすぎていたかもしれなにことを謝って。でも相手が怪我の完治が遅くなるようなことをすれば止めることを伝えては、相手の近くに屈んで顔色を確認するように顔を覗き込んで )
(/ すみません;一つ確認なのですが今埜上さんがいるのは自宅のソファでしょうか?事務所のソファでしょうか? 此方の事務所の簡易キッチンというのが分かりづらかったらすみません。2階の自宅専用のキッチンと、1階の事務所専用の簡易キッチン(依頼人などにお茶出すための)と2つキッチンがある設定です!)
…ああ…いただきます。…俺は自分の体には無頓着というか…興味がない。謎や秘密を暴くためなら怪我なんて厭わずに進むだろう。お前が気にしてくれた方が助かる。…でも気負う必要はない。俺はこういうやつだ、今回に限らず怪我をしたとしても自業自得だ…だからお前が気にすることじゃない。
( 待っていれば程なくして彼はお盆を手に現れる。自分の骨折していない方の手で掴みやすいところにカップを置いてくれる。こういう気遣いが当たり前に出来る人は今まで自分の側にはいなかった。怪我をしても自業自得だと自分には関係ないだの…でもそれは事実で納得もしている。面倒は見てやるから世話はかけるな、これは自分の仕事じゃないだの今までの助手はそんな奴が大半で。彼は文句は言うが、どんな仕事を振っても自分なりに考えて成し遂げる力を持っている。当たり前のことを当たり前に出来る彼のような存在は稀だろう。ぶっきらぼうでも言葉がキツくても彼には人を気遣う思い遣りや此方が指示したことを成し遂げる行動力もある。そんな彼を育てることが実は密かな楽しみでもあって。手は合わせられないがせめて“いただきます”と口にして、息を吹き掛けコーヒーを一口飲むと肩の力が抜けていくように一気にリラックスモードに切り替わる。彼からの問いや自分のことを気にしすぎてたかもと告げる様子にぽつりと話始めては気負いすぎる必要はないのだと告げて。自分がこういう奴なのは彼ももう知っていること。優しい彼が自分を気遣わないなんてことは無理だろうからせめて気負うことはないのだと伝えてやりたくて。添えられているチョコレートに手を伸ばして唇と使える手で封から中身を出してはそのままかじりつき、パキリと音をさせてチョコレートを口に運ぶ。苦味の強いチョコレートの味が口に広がりコーヒーを飲めば溶けて混ざり合い苦みと甘みが喉を通り胃に流れていけばフル回転していた脳や体が癒されて行く気がして。「腕以外に違和感は感じないな、問題はないよ」問いかけにもきちんと答えては再びチョコレートを一欠片かじりコーヒーと共に味わうように飲んで )
(/ああ…っ…すみませんっ!読み返してみたらわけわかんないことになってますね!ほんとにすみません!えっと…埜上がいるのは二階のリビングのソファのイメージでした。一階は事務所ですもんね。私が変にロルを回してしまったばかりに混乱させてしまい申し訳ありません…。)
謎解きに熱心になるのはいいけどさ、何事も体が資本だろ?天才でも人間なんだから自分の体大事にしろよ…。でもあんたがそう言うなら俺も全力でサポートする。
( 相手の言葉に耳を傾けてはやはり天才はただでは天才ではないのかもしれないと思い。それなりの没頭できる精神力や熱意を感じて尊敬しつつ、自分でも勿論サポートするつもりだが相手自身も我が身に気を遣って欲しいニュアンスのことを告げて。それでも失態を犯して相手に怪我させた自分でも頼ってくれるような言葉は嬉しくて、しっかり支えることを告げる。そのとき、その言葉は助手としてではなく自分自身、1人の人として支えたいと思う感情が含まれていることに自身でも気付かずにいて。続く言葉もじわりと胸に沁みてくるような胸に残る罪悪感と言う名のしこりを小さくしてくれて、相手の優しさに触れた気がして不思議な気持ちになって。腕以外は問題ないと言ってリラックスする様子の相手を見れば安堵して「良かった…。じゃ今から飯作るけど手元に置いておきたいものあるか?ノートパソコンとか本とか何かあれば言ってくれ」と少しも安静にしておいたほうがいいだろうと思い聞いてみて。)
(/ いえいえ説明して頂いてありがとう御座います。自宅のソファですね。助かりました。では引き続き埜上さんのお世話をさせて頂きたいと思います。)
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