ミステリアスで妖艶な雰囲気の美形(探偵) 2019-11-10 16:38:54 |
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ああ…満足しなかったらお前に仕置きでもするか…。
( 何だか嬉しそうに聞こえる彼の言葉にさりげにきゅんとときめきを覚えた自分に不思議そうに首を傾げるも期待しててくれと言われれば嬉しげに口角を上げては冗談めかしにそう告げて。弁当食べ終え、二人弁当を食べ終えて待ち合わせ場所を通りかかった際にその待ち合わせ人と遭遇したようで。ドタキャンを盛大に倉ってはその言葉に何かを僅かに気づいたよう。女生徒が去っていき彼の言葉を聞き「…ああ…本番は今日の放課後…もとい夜だな…」と頷いて言葉を紡ぎ。しかし次の授業までは暇になったわけで「…ストレス軽減させろ…」ぽつり呟き彼の腕を掴んでぐいっと引き寄せふんふんと彼の香りを堪能して )
なッ…作って貰えるだけ感謝しろよな!って…まあ食費は先生持ちだけどさ。
( お仕置きと言われて思わず悪態を吐くもそもそも文句を言える立場ではないのでもごもごと口籠り。それに相手のとのこの言い合いも嫌ではないため少し顔を俯かせると微笑みを浮かべて。女子生徒が去ってから教室に戻ろうかと思ったが不意に腕を引かれるとよろめいて相手の肩に手をついて体を支え。匂いを嗅がれてると分かると少し身じろいで「ちょっと、誰か来るかもしれないだろ。」いつ誰がくるかも分からない場所で身体を密着させているのが恥ずかしく小さな声で抗議するも体を押したり暴れたりして抵抗することはなくて。暫くして予鈴が鳴ればそっと身を離して「じゃ、俺は授業に戻るから。はい、これ。代わりなるか分からないけど持っとけば。」ポケットから取り出した自分の匂いがしみついたハンカチを相手の胸元に押し付けては照れ混じりに言い、じゃと片手をひらつかせてその場を去っていって )
うわぁ…やっぱ夜の学校ってそういう雰囲気出るな。
( 時刻は夜、通常の授業を終えて自分は軽く部活などを見学して過ごし残りの夜までの時間は相手と共に学校側から与えられた休憩室で休んでいて。そして自分たち以外には教頭だけが残り、他の生徒も教員も全員いなくなった校内。電気はついているため真っ暗ではないが日中の賑わいが嘘のように閑散としていてまるで別の建物に来ているような錯覚を起こし。その何とも言えない夜の学校の雰囲気にやや眉を寄せては、窓の外が真っ暗なせいで薄暗い廊下の先を見遣り小さな溜息を零して )
…ふ…、楽しみにするくらい良いだろう…?お前が俺の満足するものを作ってくるも来ないもどちらにせよ俺にとっては楽しみだからな…。食費の事は気にしなくていい…伊達に稼いでいないからな。
( 彼の言葉にニヤリと笑み浮かべどう転んでも自分にとって悪くない結果になることを楽しみにしてめ良いだろう?と告げて。彼が自分が満足する料理を作れば自分は満足するし、しないならしないで彼にお仕置きと称して色々出来る。自分にとって美味しい展開に楽しみだと呟き食費を気にする彼に伊達に稼いでいないからなと付け加え。自分がくっつき彼の香りを楽しんでいれば抵抗はしないながらもいつものように悪態が聞こえてきて。そうこうしていればチャイムが鳴りいい加減彼を離さなくてはいけない。やんわり彼の体を離した自分に彼は何かを差し出して。それはハンカチで成り行きで受け取ってしまうも授業に出るべく己の元を去っていく彼を見送りそのハンカチに鼻を近づけ香りを嗅げば染み付いた彼の香りに包まれて。何だか主人恋しいペットに与えるタオルのような感覚に陥るも既に軽減されたストレスがその効果を物語っていて。ハンカチをポケットへしまえばこの後は特に授業を受け持つクラスはいないため一旦職員室へと戻ろうかと思ったが一人になれる人気のない中庭へと向かって)
…なんだ、もしかして怖いのか?幽霊とかそういうオカルト系が。
(何だかんだであっという間に夜になり。今は校長より宛がわれた休憩室に彼と共にいて。夜の雰囲気は昼間や日中の雰囲気とは随分様変わりする。眉を寄せ溜め息をつく彼に笑み浮かべたままそう問いかけて。自分といえばオカルト的なことはもしかしたらあるかもしれないがあまり恐怖は感じずにいて。寧ろ怖いと感じている彼は自分には物珍しく映っている。しかしそろそろ生徒達が噂をしていた時間帯。その話はもちろんコミュ力の高い彼の得た情報で。「…怖いなら俺の胸に飛び込んできて良いんだぞ…?お前ならな…さて、行くか」そう口にしては休憩室ね扉に手をかけて )
いや幽霊は怖くないけどさ、風の音とか急に音鳴ったり人が急に出てきたりしそうだなと思って。
( 自分が幽霊が怖いと思っている様子にそうではないと首を横に振って。確かに実際襲ってくるような害をなす幽霊が出てきたら驚きはするだろうが、それよりも自然や人工的に作られた建物が不安感を煽るのだと説明して。続く優しさなのか揶揄いなのか分からない言葉には目を瞬かせて「…俺が飛び込んで勢いに負けて一緒にぶったおれないようになー。」とふざけ混ざりに笑って返すと相手の後に続いて部屋を出て。学校の廊下は更に薄暗い。物々しい雰囲気に幽霊は怖くないと言ったのに小さく息を飲んで。とりあえずは最初に一番怪しい受け持ったクラスの教室に向かうことにするも、その道中には夜の学校で怖いことで定番の理科室や音楽室の前を通らなければならない。怖くはないとは言ったがそれこそ音が出そうなものが沢山あるためちょっと嫌だなと思いながら相手の少し後ろを歩いて。二人の静かな足音だけがする廊下、特に話すこともなく無言でいたが急にパチンと音がして学校内の全ての灯りが消えるとあたりは真っ暗に。少し前を歩いていた相手の姿すら見えない状態になればビクッと肩を震わせて。「な、なんだ!?停電?…埜上大丈夫か?いま灯りつけるから。」廃校にする校舎だから不具合だろうかなんて考えつつ、とりあえず灯りを付けようと傍にいるだろう相手に話しかけながら事前に持ってきた小さくても明るさのある懐中電灯を取り出そうとポケットの中を探って )
ああ…そっちか…まぁどちらにせよ俺の胸は開けといてやるから安心しろ…お前の全体重が乗っても俺は倒れたりしないから。
( 彼の言葉に幽霊ではなく人工的な音に彼が驚く人間なのだと認識を新たにしてはどちらにせよ自分にくっついていいとふざけ混じりに紡がれた彼の言葉にも微笑んでそう告げて。暫く歩けばバチンっと音が鳴り学校全体の灯りが消えたのか辺りは暗闇に包まれる。少しの間何も見えなかったが瞳も暗闇に慣れて辺りが見えるようになってきて。彼の驚いた声を聞いてはそちらへ戻って「光輝…」名前を呼びポケットを漁る彼を見やり何やらまごついているように感じたこともあり「そのまま動くな…俺が探す」背後から抱き締めるようにして自分も彼のポケットの中を探り見つけた固い感触にそれを掴んで取り出してはカチッとスライドさせて光を灯して「行くぞ…」もう片方の手で頭をポンポンしては声をかけて光りを頼りに歩き始めて )
…と、ありがと。…てか今も先生って呼んだほうがいいか?
( 全体重が掛かっても倒れないという相手を頼もしいと思いながら先を進み電気が消えたところで懐中電灯を探すも、暗闇の中で神経が敏感になっているせいか相手が背後に回る気配を感じては探す手を止めて。聞こえてきた名前にいちいち反応してしまう自分が悲しくて胸が痛むも、まるで抱きしめるようにして懐中電灯を探されるのに鼓動を早めて。相手が離れていけばほっと胸を撫でおろして撫でてくれる手に小さく微笑みを零しつつ明かりを頼りに相手の後ろについていきお礼を言って名前の呼び方は今も先生のほうがいいかと問いかけて。先ほどついいつも通り埜上と呼んでしまったがそれも二人きりだから良いかと思ったが仕事中には変わりない。ただ従兄弟設定なら埜上でもありなのか?と考えるうちに分からなくなってきて。そしてまた暫く相手の持つ明かりを頼りに歩いていて実験室とは別の理科室の前を通り過ぎようとしたとき、またバンッと大きな音が理科室の中からしてビクッ肩を跳ねさせては反射的に相手の服の裾を掴んで )
お前が呼びたいなら呼んで構わないが…今は呼びやすいように呼べばいい。…なんなら名前で呼ぶか?お前だったら許可してやっても良いぞ…?
( 先程呼び捨てにしたのを気にしているのか彼はそんな風に聞いてくる。自分としてはどちらでも構わないので呼びやすいように呼べばいいとさらりと告げ。特に今は日中のように生徒や職員がいないこともその要因で。しかし少しの間の後、名前で呼ぶか?と意味深な発言をしつつ彼になら呼ばせてやっても良いと楽しげに口にして。暗がりの中、自分が持つ懐中電灯一つで廊下を歩く。己と彼の足音と話し声くらいしか聞こえない静まり返っていたが突如鳴った大きな音にくんっと白衣が後ろへ引かれるような感覚に足を止めて「………光輝…どうせやるなら大袈裟なくらいに抱きついてこいよ…ここは理科室か…今音鳴ったのはここか…」暫くの間の後、溜め息をついてどうせなら抱きついてこいと謎の呆れ方をしてジト目で彼を一瞥するも今しがたの音の原因はここかと呟きドアに躊躇なく手をかけて。ドアを開けようとするも鍵が掛かっているため開くはずもなく「…ま、開くわけないか…どうせ風の音とかだろ…さっさと行くぞ」鍵が開いていればまた違ったのだが至極つまらなさそうにドアから手を離してはまた歩き始めて )
…埜上ならいつも呼んでるだろ?…まあ呼びやすくていいなら埜上って呼ぶよ。
( 名前で呼んでいいと言われてはやや首を傾げつつも先生か埜上なら埜上のが呼び慣れているため埜上にすると頷き。まさかと思っているため自惚れないようにあまり相手の言っていることを理解していない様子で。それからまた名前を呼ばれるとピクリと反応しつつ口を開き掛けるも相手が先に行ってしまったため口を閉ざし。しかしあることを思い出せば先程相手が開けようとした扉ではなく、教室の後方についているもう一つの扉に手を掛けて。するとガララと音を立てて扉が開いて。「開いた。…ってまあ後ろの扉だけ鍵が壊れてるだけなんだけどな。生物の授業してるときにここ使ったんだけど鍵壊れてたの今思い出したよ。…埜上、窓が開いてる。」少し先にいる相手に声を掛けて真っ暗な教室の中を覗いては一つだけ窓が開いてるのを見つけて。そしてその窓の下には黒板消しが落ちており恐らくさっきの音はそれが風か何かで落ちた音。此処は二階。単なる閉め忘れだろうかと首を傾げつつもなんだか不気味で。「……の、埜上が窓閉めて。」とさっき幽霊は怖くないと言ったのに情けないがさっきみたくまたいきなり音がしたらと思うと怖気づいてしまい、相手の方を見て声を小さくして頼んで)
…お、そっちが開くのか…でかした。ああ、確かに窓が開いてるな。
( ガララと音がすれば足を止めて振り返り。先程自分が開けようとした前の扉ではなく後ろの扉が開いているのを視界に入れてはニヤリと口角を上げて彼の元へと戻っていく。中には入ろうとはしない彼とは此方から寄っていき中を覗き込んだ自分の体が密着するのは当然で。窓が開いてるなと彼の言葉に同意を示しつつ懐中電灯の明かりで中を躊躇なく照らしていき。そんな彼から戸惑ったような声で窓を閉めてとお願いをされれば「…随分と可愛いお願いだな…幽霊は怖くないんじゃないのか?ま、その可愛さに免じてやるか…」柔らかく微笑んでポンポン彼の髪を撫でて理科室の中へと足を踏み入れて落ちている黒板消しを拾い上げ黒板のところへと戻してから開いている窓へと近づいていき )
そうだけど…窓が開けっぱなしなの不自然だし誰か隠れてるかもしれないだろ?
( 身体が密着すると小さく肩を跳ねさせて鼓動を早めつつ相手が照らした場所に視線を向けて。とりあえず人が居なかったことに安心して、窓を閉めて欲しいと頼んでも相手は深くは揶揄ってこずに、暗がりで見えた優しい微笑みにトクンと鼓動を跳ねさせながら頭を撫でてくれる手に目を細めて。それでも素直ではないこともあり相手が通りやすいように進行方向を譲りながら一応声を小さくして早口にボソボソ話し掛け、相手が黒板消しを元に位置に戻して窓を閉めに行く様子を心配そうに見守り。突然の物音や人が出てきたりすることを心配したが窓は何事もなく相手の手によって閉められる。「はぁ…やっぱり単なる閉め忘れ……ッ、!?」ホッと胸を撫で落とした瞬間、此処ではない何処かからピアノの音が聞こえて来て。それはこの理科室の丁度上の階にある音楽室から。夜の学校の音楽室の定番ともいえる展開に眉を寄せて。曲はオリジナルなのか知らない曲、ゆったりとした単純な不協和音が混じりつつ繊細でもあり何とも不気味な旋律を奏でていて。「…これって行かないか?」曲はまだ続いている。あまり乗り気でない表情で相手を見やって音のする天井を見あげて )
…はいはい…。怖いなら怖いって言って良いんだぞ光輝。
( 背に彼の呟きを聞きつつ何だかんだ言いながら彼は怖いものの類いが怖いのかと改めて認識し直せば揶揄するように怖いなら…と告げて。理科室に一切足を踏み入れることはなく此方の様子を見ていた彼のホッとしたような声を聞いて程なくして何やらピアノの演奏が聞こえてきて。不協和音の中に感じる旋律に耳を傾けながら彼の問いかけに「…もちろん行くに決まってるだろ?…盛り上がって来たな行くぞ光輝」ニッと笑みを浮かべそう口にしては恐怖なんてものは一切感じておらず至って楽しげで彼に行くぞと声をかけてその脇を通り抜けて理科室を出てきてはちゃっかり彼の手を掴んで上の階にある音楽室へと向かって )
怖いには怖いよ。何が起こるか分からないし…
( こうなってくると人為的なものを感じて余計に不気味。オカルト的なものよりも一番怖いのは人間で目的が分からないから余計に不安感を煽る。師範が言っていたが何事も警戒心は必要。恐怖心は悪いことばかりではないと教えてくれていたのを思い出せば怖いことを小声で認めつつ程よい緊張感を持って。楽しそうな相手を見れば「まあそうだよな…。…俺も何なのか気にはなるし…」と肩を竦めて相手の後に続こうとするも取られた手に目を見開いて。驚いてしまうも妙な安心感を覚えては自分よりも少し冷たい手を握り返してひそかに小さく微笑み音楽室に向かって。相手が手を繋いでくれたおかげで無意識に強張り過ぎていた緊張も解れ音楽室にたどり着き。その瞬間ピアノの音が止む。ちなみにここも普段は鍵が閉まっている場所。しかし何故か扉が開いて相手よりも先に中を覗くもピアノの前は誰も座っておらず無人の状態で。「あれだろ。録音流したんだろ。埜上の得意な奴。」咄嗟に浮かんだ考えを述べつつ一体だれが何の意図をもってこんなことをしているのだろうと考えてはまた無意識のうちに手汗をかいて繋ぐ手の力を強めていて。「とりあえずピアノ調べてみるか…?」嫌な胸騒ぎはするがこれも仕事。ちゃんとせねばと相手を見てからピアノに視線を戻して )
恐怖心はパニックを引き起こす要因にもなるが、程よい恐怖心は冷静な判断をする上で必要不可欠だ…何が起こっても俺達はあそこへ帰る…それだけは忘れるなよ。
( 素直に怖いと漏らす彼。そんな彼自身も分かっているとは思うが敢えてそう言葉にする。そしてどんなことが起ころうとも二人で家に帰るのだと音楽室へ向かう道中伝えて。そして彼と共に音楽室に到着すれば止むピアノの音。中に入っては彼から自分の得意なやつだろと口にされ「…誰だ…?俺の専売特許を無断使用してる奴は…」なんて冗談混じりに言葉を返して。手汗を滲ませながらも繋ぐ手は離さない彼からピアノを調べるかと問われ「………」言われるまでもなく元より調べるつもりは満々で。何も答えないながらも空いた手でピアノの鍵盤に手を触れ慣れた滑らかな手つきでドからドまでの鍵盤を押さえて音を鳴らしていく。そして音の鳴らない鍵盤があることに気づいて )
おう、ってそう言われると俺達家族になったみたいだな。
( 相手の言葉に頷きつつ何が起こってもあそこへ帰ると言われれば、まるであの自宅兼事務所が自分たちの家で自分も相手に認めて貰えたような気がして嬉しそうに笑い。そして音楽室についてから聞いた相手の冗談混じりの言葉に少しだけ緊張がほぐれて救われて、相手と一緒にピアノへと近づいて。ピアノの鍵盤の蓋は閉じていて相手がそれを開けて長い指先が長音階を奏でるも音が鳴らない鍵盤があって「…もしかしたら中のハンマーのところに何か引っ掛かってるかも。」ぱっと浮かんだ考えをぽつりと呟いてはアップライトピアノのため前側の板を外して中を確認しようとして )
……お前の作る夕飯…早く食いたいしな。
( 家族になったみたいだと嬉しそうに笑う彼。その言葉には何も返さないながらも穏やかに笑み浮かべては本来ならとっくに夕飯を食べている時間帯。幸い今は腹がへっていないためそこまでの欲求はないながらも早く彼の夕飯が食いたいしと口にして。ピアノの鳴らしてみて音が鳴らない鍵盤があることに彼も気づいたようでポツリと何か引っ掛かってるかもとアップライトピアノの板を外して持ち上げていく。その時、ヒュッと風を裂く音が鳴り彼の方へと何かが飛んでいくのが分かれば庇うように片手を前に出して。瞬間、ザッと指を掠めて後方へとんでいけば切れた指先からはポタポタと血が流れて。後方へ飛んでいったのはカッターの刃で。「……もう刃は飛ばないみたいだな」中を見る気を削ぐかのような仕掛けに屈する自分ではなく彼にゆっくり板を上げていくように告げる。そうしてゆっくりと上げていった板のおかげか元々一度しか出ない仕組みなのかそれ以上何かが飛び出してくることはなくて )
( 早く夕飯を食べたいと言って貰えればうれしさから早まる鼓動。相手は少食だから普段から放っておくとあまり食べないためいつも相手の食欲が沸くように試行錯誤して3食出来るだけ食べさせるようにしていて。だからこそ自分の作る夕食をたべたいと言って貰えたのが嬉しくて滅多に見せない穏やかな表情に鼓動を早めて。「痛ッ……紙?」ピアノの蓋を開けた瞬間、ハンマーに挟まっている紙が目に止まると同時に足に痛みが走り其方に気を取られたせいで手に迫るカッターに反応が遅れて。視界に入っていて咄嗟に避けようとしたがその前に相手の手が遮ればその長指からは鮮血が流れ落ち。「…ちょッ…おい大丈夫か?」足が痛んだが今は相手の怪我のほうが気になって、心配そうな視線を向けては相手の手を取ると躊躇なくドクドクと血の流れる指先をぱくりと咥えて血を吸って )
指先が切れただけだ…問題ない。それよりお前もどこか痛めて……、………
( 痛みはもちろん感じている。切れた傷口が熱を持つようにヒリヒリしてズキズキと痛む。しかし相変わらず痛覚はないのではと言うほどに一切表情は変えずに問題ないと口にして。それよりも彼の方が気になる。カッターの刃に気づくよりも前に確かに彼は痛いと漏らしていた。どこか痛めたのではと問おうとしたその瞬間、怪我をした手を掴まれ赤い血の流れる指先を躊躇も惑いも見せずに自らの口腔へと含み咥えた彼に僅かに目を見開き、口を噤んで。温かな口腔に包まれちゅうっと指先を吸われれば傷口に彼の唾液も入って滲みて新たな痛みを生むも吸われることにより傷口が圧迫されて痛みが籠るようでヒリヒリした痛みは和らぐ。というかそんなことより彼の血液型は何だったか…己と違う血液型ならこういう行いはあまり宜しくはないわけで。血液型が違う者同士は輸血が出来ない。違う血液型の血が体内に入れば体が受け付けないのは当然である。彼は此方を心配し咄嗟の行動なのは火を見るより明らか。幸い傷口は綺麗にパックリ切れているため最初こそ血は出るがすぐに止まってくれるだろう。様々なことが脳内駆け巡りその着地点へ行き着けば今度は別の感情が生まれてくるわけで。悪戯に目を細め口腔に収まる指を動かし上顎や舌に擦り当てて。彼の一連の動作で痛めた所を足だと推測し「…光輝、お前も足、か…?痛めてるだろ?どこだ…?」口角も上がり反対側の手は彼の内腿に触れてはツツー…と膝に向かい這い下りていき )
…ンッ…平気…
( 相手の懸念してることなど全く気にせずに唾液に混じる鉄の味をコクコクと美味しそうに飲み、丁度血が止まり始めたところで指の腹が口内を擽れば僅かに肩を揺らしてくぐもった声を漏らし。そこで相手の意地悪げな瞳と目が合い少し背筋を震わせつつ一旦ちゅぽんと音を立てて指を離して、足の痛みのことを指摘されると小さく首を横にふって、平気と伝えると止血された傷口をぺろりと舐めて。しかしそこで名前を呼ばれて内腿から膝裏に触れられればその擽ったさが逃れるように足を擦り合わせ「……名前、やだ…」何処とは答えずに思わずずっと心に引っかかっていいたことが漏れれば小さく首を振り。実際痛むのは脛だが恐らくは石ころのような物がバネと糸と使った仕掛けで鍵盤の下から当たっただけ。カッターの怪我に比べれば痛いのはその時だけで今はもう徐々に痛みが引いていっている段階。「…悪い、いきなり咥えて。…他に怪我はないか?」少し冷静になってくると自分の犯したことの罪悪感やら羞恥心で目を伏せつつ少し身を離すと先ほど相手が触れた個所がまだもやもやする感覚がしながら心配げな視線を向けて )
…そうか…ならいい。…ああ…他はどこも怪我してないよ。
( 平気だと言った彼にそれが嘘ではないと感じそれならいいと答える。実際彼が平気でないならちゃんとそれを自分に伝えてくれるはずなため彼が平気だと言うのならその通りなのだろうと。しかし続けて彼の口から漏れた言葉も紛れもない本音のような気がしては僅かに目を見開くもすぐに表情を戻す。口から指が離されれば血はちゃんと止まっていて自分を心配する瞳と交差すれば他にはどこも怪我はしていないと言葉紡ぎ。「……嫌ならもっと早く言え…もう呼ばないから。…ハンマーに紙が挟まってるな…」伸ばした手で彼の髪をワシャワシャ撫でてから─“もう呼ばない”それだけ告げて手を離しハンマーに挟まってるいる紙を掴んで引き抜いて )
良かった…埜上が傷つくのもう見たくないから…
( 他は怪我をしていないと聞くと安堵した表情を浮かべて頷き、相手の手を軽く取ってうつむき気味に小声で呟いて。それから名前をもう呼ばないと言われれば自分から拒否したのに切ない気持ちになり、胸の奥にある本心が痛むも今の自分にとっては呼ばれないほうが良いため目を伏せ撫で受けて。「…なんだろう。……○○のマドレーヌ?」気持ちを切り替えて相手が手に取った紙を覗いて見ればそこには手書きで有名な高級パティスリーの店名と共にマドレーヌと書いてあって。「…おつかいのメモみたいだな。」思ったことをぽつり呟きつつ「俺もこの店の焼き菓子好き。まあ高くて一回しか食べたことないけど」と余談をぽつりと零して )
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