斎藤 司 2019-10-30 11:40:32 |
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……先生、見つけました…。
( 彼に告白し勉強すると言ったあの日から一瞬間が過ぎて。あれから携帯で色々検索してその知識は結構凄いことになっていて。しかし他の誰かに試して完成度を上げる…ようなことはせずに有りのままの自分で彼にぶつかろうとその機会を伺っていたが一向にそんな日は訪れず一週間が経ってしまい。その原因の一つは彼にある。無視されるようなことはないながらも意図的に二人きりにならないようにされている気はしていて。そして今はタイミングが悪くテスト週間。普段から勉強は欠かさないようにしているため成績を下げるようなことはないが教師である彼がこの期間、採点やら補習生徒への問題作成等、忙しいことは何となく知っていて。邪魔をしたくないこともあり不用意な接触は敢えて避けていたがでもそれも今日はもう限界。テストをきちんと終えた放課後。彼の姿を探して教室を出る。見つけたと思ったら彼はあの体育教師とまた話している。もやもやとした感情が自分に沸き上がり少し戸惑って。こんな気持ちになったのは生まれて初めてで。二人の会話をまた盗み聞き彼はどうやらこの後、シーツを干すため屋にいることは分かって。彼の居場所はわかった。今すぐに駆け寄り彼の手伝いをしたかったがこのもやもやを無くしてから彼に会いたいと思えば一旦トイレの水洗い場に移動し蛇口を捻ってパシャパシャと水で顔を洗いハンカチで拭って。冷たい水が肌に触れ頭がすっきりとしてきては蛇口を捻って水を止めてハンカチをポケットへ仕舞い。ペチペチと更に気合いを入れるように自らの頬を叩いてはその足は屋上へと向かい。ガチャリと開けた屋上の扉。そこには風に揺れるシーツと彼の姿。トクンッと鼓動は跳ねるも彼が最後の一枚だろうか…シーツへ手を伸ばした矢先にビュオッと強い風が吹いて──その瞬間、反射的に駆け出し一気に彼との距離を詰めてはその体目掛けて勢いのままに抱きついてポツリとそう呟き柔らかく笑みを浮かべて )
___斎藤ッ?! ( 相手がテスト期間に留まらずに勉学に手を抜かずに精を出していたのは知っていたが体育教師との会話を見られていたのは全く気が付かずに。突然の突風にふわりとシーツが舞い上がり薄く目を閉じていたため相手の接近に気が付かずに、視界の端に何か影を捉えたときにはぽふりと相手に抱きつかれていて。その柔らかな感触と『見つけました』と零された言葉にドクンと心臓が跳ね上がっては声を抑えながらも驚きの声を上げて。「…なんで、此処が……俺のこと探してたのか?」早まる鼓動を抑えつつとりあえずシーツを片手に丸めて抱えるようにしては無理に引き剥がそうとはせずに抱きつく相手に視線を落として戸惑いの声で尋ねて )
いえ、見つけた…は、言葉のあやです…すみません…。体育の先生と先生が話してたのが聞こえてたので、来ました…。
( 咄嗟に見つけたと口にしてしまったのは風に煽られるタオルのせいで彼の姿があまり見えなかったからか…。探してたのかと戸惑いの声で尋ねてきた彼に素直に見つけたは言葉のあやだと伝えてつつ体育の先生との話を聞いていたのだと告げて。やんわり体を離しながら「…シーツ…最後の一枚…ですか…?俺もお手伝いします…本当は最初からお手伝いしたかったですが…俺、こっち持ちます」彼の手に丸めるように持たれたシーツの端を持ち、手伝いしますと口にして )
……( 体育教師と話していたのを聞いて来たとは予想外で小さく目を見開いては少し視線を逸して。離れていく体に安堵と名残惜しさと同時に湧き上がる感情にシーツを持つ手の力を強めたところで相手が手伝いを申し出てくれて少し我に返って。「嗚呼…助かる。ありがとう。…でも話を聞いてきたってことは俺に用があって来たんじゃないのか?」シーツの端を持ってくれる相手に礼を述べつつ相手が取りやすいように物干し竿の真ん中に洗濯バサミを挟んでは自分もシーツの反対側の端を持って竿に掛けて。作業を進めつつやはりあの話題だろうかと考えながら洗濯バサミを手に取り問いかけて )
いえ、お気になさらず…。用…?俺… 先生に会いに来ました…一緒に居たいから…。…先生…俺と二人で長くいるの…嫌ですか…?俺は…急かすつもり…ないです…ただ貴方と…あの日…俺の家に居てくれた時にみたいに…話せたら…少しでも…長く…一緒に居られたらって… そんな気持ちです…。
( 彼と同様シーツ端を伸ばし彼が真ん中に挟んでくれていた選択ばさみを手に取りそれで端をしっかり挟んで固定すれば顔を上げて。真っ直ぐに彼を見つめて感じていたことを口にしつつ告白の返事を催促に来たわけではないとの意味合いでそう告げて。ただ自分は彼に会いに来たのだと。自分は眠っていたりしたからずっとと言うわけではないが彼と一番長く居られたあの日のように二人で彼と話したくて。少しでも長く彼と一緒に居たくて…。そして自分の恋人になって貰うためアプローチも出来たらしたい。でも一番の望みは彼の近くにいること。一緒に居られれば彼は自分を意識する時間が長くなる。そんな強かな思いもその胸に抱き。笑み浮かべながら彼の返答を待っていて )
…俺と、一緒に……( 改めてまっすぐに純粋な言葉を向けられるとトクンと鼓動が脈打ち相手の言葉を復唱しては少し目を伏せて。告白されたときもそうだが、こんなにも素直で曇りのない言葉を向けられて嬉しくないはずがなく「…いやじゃない。でも今までは避けるようなことをして悪かった。…あっちに吸われるところがあるから話そう。」シーツを手伝ってくれたことに礼を述べつつ嫌ではないと首を横に振り、視線を合わせると無視はしなかったが避けたに等しい行いをしたため謝って。シーツが入っていたカゴを抱えるとシーツに隠れて見えないが吸われるスペースがあるためそちらを指差して )
…いえ…先生は俺を無視しなかったです…居るのにいないもののようにされるのは寂しいから…ん…よかったです…はい…お喋りします…嬉しいです…。
(悪かったと謝る彼にふるふる首を横に振る。一番寂しいのはここに居るのにいないもののように扱われる“無視”…彼はそれを自分にすることはなかった。そんな彼から向こうで話そうと声が掛かればはにかむように嬉しげに照れ笑っては頷いて呟きつつ指差された方へ向かい。屋上はあまり来たことがなく彼の言った通りそこには座れそうな日の当たるスペースがあって。ぽかぽかした陽気にそよそよ吹く風が気持ちが良く目を細め「…先生、昨日の夕飯は何食べました…?…俺は…家で水炊きを作って食べてました…野菜もお肉も…美味しかったです…」昨日の夕飯は彼に何を食べたかと問いかけて。自分はと言えば、夜は少し冷えたこともあり野菜やお肉も取れる温かい水炊きを作って食べたことを話して )
…昨日か?…昨日は……、あー水炊きはうまいよな。手軽だし野菜も肉も程よく摂れて良い。タレは何にしたんだ?( 無視はしてないと言ってくれる相手にホッとしつつ場所を移動しては二人並んで座り。何を食べたかという他愛もない話が今の自分にはその方がありがたく相手となら楽しく感じて。だが思い出してみれば自分は昨夜は何も食べておらず。つまらない返答になることに内心辟易とすれば自分の返答は言葉を濁して相手の話を拾うことで誤魔化して。何気ない話を前を見て聞き返しつつふと隣の相手に視線をやれば何となく風にさわさわと揺れる髪に触れたくなり横髪に手を伸ばして )
ええ…手軽なのも良いところ…です…。タレは塩ダレです…。ん…先生…髪…なでなで…してくれるですか…?嬉しいです…。
( 彼の言葉にこくこく頷き手軽さも良いところだと返しつつタレについて問われれば“塩ダレ”だと笑み浮かべたまま告げて。何やら言葉を濁した彼にもしかしたら昨日は夕飯を食べなかったのだろうかなんて思いつつも深く掘り下げるようなことはせずに。伸びた手が横髪に触れては嬉しそうに照れ笑いながら自らもすりすりとその手に髪を擦りつけて。「…先生…あの…もしよかったら…夕飯…一緒に…食べませんか…蕎麦職人吾妻屋で…」このまま彼と談笑を楽しむのも良いがまた一緒に食事がしたいなと思えばこの間自分が勧めた蕎麦屋の名前を出せば一緒に食べに行かないか?と緩く首傾げながら問いかけてみて )
あーさっぱりしてていいよな。…斎藤は撫でられるの好きなのか?( 本当になんでもない会話。それでも心地よさを感じて相手は塩ダレが好きなのだろうかと考えながら頷き。何となく伸ばした手は受け入れられて触り心地の良さに目を細めれば相手からもすり寄ってきてまるで小動物がする仕草に鼓動が高鳴り。髪を撫で続けながら撫でられるのが好きなのか問いかければ相手から食事の誘いをされて。それは以前話に出てきたこの学校の近くの蕎麦屋。「…実はお前が紹介してくれてからまだ行けてないんだ。…丁度腹も減ってきたし行くか。」相手を避ける理由はない。それにこの誘いが嬉しくないなんてことがあるはずもなく、誘いに乗ると相手の髪から手を離して先に立ち上がって )
今度先生もやってみて下さい。美味しい塩ダレのレシピ教えます…あ…先生が良いなら俺の家でお鍋パーティーしますか…?……俺は…貴方に…撫でて貰えるのが…一番…好きです…。
( 美味しそうと言って貰えては何だか嬉しくてニコニコ笑み浮かべてレシピを教えると口にするも彼さえ良ければ今度自分の家で鍋パーティーをやっても良いとさえ伝えて。しかしもちろん彼が嫌だと乗り気でないと言うのなら彼の気持ちが大事で大切な自分は無理強いするつもりはない。撫でられるのが好きか?─そんな風に問いながら自分の髪を撫でてくれる彼の手も彼の手も…とても好きで愛しくて…。至極幸せというように表情を和らげて彼が撫でてくれるのが一番だと告げて。そんな自分のお誘いはまさかのオッケーで。手は離れてしまったが嬉しくて「嬉しいです…ええ…行きましょう…先生…鞄とか取りに行きますか…?俺、正門…裏門…?で待ってた方が良いですか…?」ぱあぁと表情を輝かせながら微笑んでは席を立った彼につられるようにゆっくり立ち上がってはこてんと首傾げつつ問いかけて )
塩ダレは手作りだったのか。…斎藤の家でか?( レシピを教えてくれると聞けばタレは手作りなのだと知ることが出来て。料理は簡単なものしか作れないと言っていたがタレまで手作りする人は料理好きな人が多いためやはり謙遜もあったのだろうなと思い節約も出来るし頑張っているのだなと感心して。続けて鍋パーティーをしないかと誘われれば小さく目を見開き。これは以前言っていたアプローチの1つだろうかと思考していれば自分に頭を撫でて貰えるのが一番好きだと幸せそうにはにかむ相手の笑顔があって。その笑顔の眩しさに鼓動を跳ねさせつつ「…そうか…」と短く照れたように目を伏せて。「…嗚呼、そうだな。鞄を取りに行くから裏門で待っててくれるか?……あと鍋パーティーもいつかしよう。」相手の表情の可愛いらしさに鼓動を早めながらまた髪を撫でたくなる衝動をひとまず堪らえて裏門で待つよう伝えては続けて先程していなかった返答をして。それから屋上から降りるためにシーツが入っていたカゴを手にすると立ち上がって相手に向かって手を差し出して )
…よく…分かりましたね…その通りです…。先生はエスパーですか…?
( 彼の言葉に少し驚いたように目を見開くも、すぐにふんわり笑ってクスクス声出してはエスパーですか?と問いかけて。そんな彼に裏門で待っているように言われては素直にこくりと頷いては鍋パーティーには答えて貰えなかったためダメなのかなと感じつつもその後に続いたいつかやろうの言葉にぱあぁと表情を輝かせて。「…はい…いつか…しましょう…。ちゃんと待ってます…あ…ありがとう…ございます…」彼の内情は分からないながらも口元を緩め差し出された手に僅かに頬を赤らめつつ己の手を重ねて立ち上がるとお礼を伝え。「…途中まで…一緒に行きましょう…ちょっとでも長く…先生と居たいです…」はにかんで途中まで一緒にと口にしては先陣切って歩く最中、彼に顔を近づけ頬へとちゅっと唇落として。にこやかに微笑みながら扉まで先に進み「先生…」そう呼び掛けて待っていて )
いやレシピを教えるって言ったからそうなのかなって思っただけだよ。( エスパーと言われてきょとんとしてしまうも小さく首を横に振って。でもその言い回しも可愛く思えば微かに笑って。「…嗚呼。……斎藤は意外と誑かしタイプだったんだな。」此方が差し出した手を初に頬を染めて照れたかと思えば先を歩く相手に頬に口付けられ小さく目を見開いて。口付けられた頬に片手で触れつつ一緒に少しでも居たいと言う相手に胸の鼓動を早めては思った事を照れ混じりにポツリと呟き、相手の居る扉へ足を向けて )
( それから一旦相手と分かれてカゴを返しに行き荷物を職員室に取りに行って昇降口で靴を履き替えると駐車場へ向かって車に乗り込み。裏門に向かうと一旦車を停めて窓を開けて相手の姿を探して )
……ああ…なるほど…俺がヒントを出してたんですね…無意識でした…。誑かし…それは褒めて貰えてるんでしょうか…。
( 彼の言葉を聞けば何故正解したのかが理解できると共に無意識に自分がヒントを出していたのかと言葉紡ぎ。そして照れているような彼から漏れ出た“誑かしタイプ”それは褒め言葉なのか…どうなのか…疑問に思っては呟いて一人首を傾げているも此方に歩み寄ってきてくれた彼より先に扉を開けて校舎内入る。そしてカゴを持つが故に通りにくいだろうと扉をそのまま手で押さえてはどうぞと目配せして彼も中に入れば手を離しては扉は独りでに閉まっていき── )
…先生…。
( カゴを置いたり鞄を取りに行かなければいけない彼と一旦分かれては靴を履き替えるために下駄箱へと向かう。上履きからスニーカーへと履き替えて上履きを仕舞うとパタンと扉を閉めて。そして裏門へと真っ直ぐに足を向けて彼が来てくれるのを何をするでもなくぼんやりと待っていて。程なくして一台の車が裏門へとやってきて停車。開いた窓から彼が顔を出すのが見えれば嬉しそうに笑み浮かべ声をかけパタパタとそちらに駆け寄っていき )
斎藤、待たせたな。乗ってくれ。( 相手の姿を探しながら先程相手が言っていた言葉を思いだしていて。誑かしは確かに褒め言葉ではないだろう。しかし相手は誰彼構わず誑かしとは思わない。もし自分だけにそうであるならと、既に告白して貰った身なので期待してしまっていて。扉を開けていてくれたり相手の気遣いは下手な大人よりしっかりしている。相手の可愛らしい表情やふとした時に見せる大人な表情が脳裏に溢れやはり自分は相手のことが、と実感して。そして車に駆け寄ってくる相手にまた鼓動を早めつつ運転席から腕を伸ばして助手席の扉を開くと相手に座らせて。相手が座ってシートベルをしたのを確認すると再び車を発進。目的地はすぐそこ。蕎麦職人吾妻屋の駐車場に車を停めると先に降りて相手側扉を開けてやって「…いいところだな。因みに斎藤はどれがお気に入りなんだ?」店の暖簾とちらりと見てから相手を見て、相手が降りたのを確認して扉を閉ざすと車のロックを掛けながら問い掛けて )
いえ…先生待つのも…俺は好きです…はい、お邪魔します…。
(普段の彼もかっこいいが車を運転する姿もやっぱりにかっこよくて素敵だと思いつつ助手席の扉を開いてくれる気配りに胸ときめかせ表情緩めたまま車へと乗車しシートベルトをきちんとつけて。すぐに車は発進し、あっという間に蕎麦職人吾妻屋に到着して駐車場に停車。これから久々に彼と食事が出来る…少しでも長く近くにいられる喜びにぽわぽわ花飛ばしながらシートベルトを外した所で開いた助手席のドア。何だか丁寧に扱って貰えては純粋に優しくして貰って嬉しいのとこんなことして貰えるなんて少しは彼の特別になれているのか…なんてドキドキした気持ちを胸に鞄を肩にかけ直しながら車外へと出て「…ありがとうございます…あ…ですよね…俺も趣があって…好きです…おすすめ…いっぱいあります…鴨蕎麦…天ぷら蕎麦…冷やし蕎麦…おぼろ月見そば…せいろ蕎麦も美味しいです…」ドキドキしっぱなしではアプローチもできない。少しでも居られるうちに…そう思いおすすめのメニューの数々を挙げてみて )
お気に入り…いっぱいあるんだな。どれも美味しそうだ。とりあえず中に入るか。( 隣に座る相手はふわふわとした雰囲気で本当に純粋だなと擽ったい気持ちになれば自然と此方も優しい気持ちになって微笑みを浮かべ。相手からのおすすめを聞けばその数は多く、きっとどれも美味しいのだろうと思い店に入る前から期待が高鳴り。店の暖簾を潜ると食券スタイルではなく店の従業員がテーブル席まで案内してくれてお互い向かい合うように着席。メニューを広げてくれる店員に礼を述べてはテーブルの真ん中に互いが見えるように置いて早速どれにしようか迷い。「サイドも豊富だな。夜に飲みにも来られそうだ。…俺はとりあえず初めてだしせいろ蕎麦にするよ。斎藤は決まったか?」そのメニューの豊富さんに簡単の声を漏らしつつ相手が成人したら飲みにもいきたいなと密かに思い、自分は無難なせいろ蕎麦を選び相手は何にするか横にしていたメニューを相手側に向けて問い掛けて )
( 自分のおすすめを美味しそうだと笑ってくれる彼に中へ入るように促されては頷いて。店内入れば従業員に席へと案内して貰い、彼と共に向かい合うように席について。広げて貰ったメニューを二人見ていたが彼は注文を決めたようで自分も決まったか?と聞いてくれて。こくりと頷き「はい、月見うどんにします…。すみません…注文を…」彼が成人した自分を飲みに誘いたいなんて思ってくれていることは露知らず、各々決まっているなら注文をと店員を自ら呼んで。すぐに来てくれた店員に自分との彼の分も注文をすれば復唱し厨房へど移動した店員を見送り。「…水…入れてきます…」この店はドリンクバーの機械があり飲み物は自分で入れるセルフ制。水以外は料金が発生するためとりあえず水をと彼に声をかけてから席を立ってはその機械へ迷わず近づき。コップを手に取り適当に氷を入れてから水を入れる。もう一つのコップにも同様にして水まで入れては席へと戻り「はい、水です…」彼の近くにコップを置いてはもう一つの水を持ち直しこくこく喉を潤して )
注文と水ありがとな。( 相手がメニューを選ぶ様子を見守っていれば注文してくれた上にセルフの水も用意してくれてお礼を告げると自分もコップを手に取り水を飲んで。何気なく店内に視線を向ければ和やかで落ち着いた雰囲気でまだ食事はしていないがまだ来たいと思わせるものがあり。「斎藤…テスト週間が終わったら話がしたい。」話す話題を考えるうちにそんな言葉が唐突に口から出れば相手に視線を向けて。丁度その時注文した月見そばとせいろ蕎麦が運ばれてきてひとまず話を中断して。店員に軽く礼を言って離れていくのを見送り蕎麦に視線を落として「…とりあえず食べるか。…いただきます。」先程の返事は食べながらでもいいかと思えば手を合わせて箸を取って )
いえ…。…話…?それって…この間の…?あ…はい…食べましょう…いただきます…。
( 彼が様々なことに礼を言ってくれふるふる首を振るも何だかただ水を飲んでいるだけなのにコップの縁に触れる彼の唇を思わず目が追ってしまう。マジマジ見るのもなと思って水を飲むことに集中していると彼の口は開く。釣られて視界を上げて彼を見るもテスト期間が終わったら…そう告げられては直感で自分が彼に伝えたあの日の告白の返事なのかと問おうとするもタイミングが良いのか悪いのか遮るように注文の料理が店員から運ばれてくる。目の前のテーブルへと各々置かれては彼に食べようと声をかけられれば口を噤んで頷き、手を合わせて箸を取ってふーふー息を吹きかけ食べ始めて )
…蕎麦の実の香りがしっかりして美味しいな。このつゆも好みでおいしい。( 相手は此方の質問の意図を察したようで、途中で止まってしまった言葉がそれを示していて。水を飲む時の相手の視線には気付かなかったが今度は逆に此方が相手の食べる姿を見てしまう。ふーふーと息を吹きかける姿が少しおさなげで可愛らしくつい見入ってしまうも、自分も蕎麦を箸で摘んでつゆにくぐらせては小さな音で啜り。その鼻から抜ける香りに思わず微笑み二口目をすぐに啜って「良いところを教えて貰った。…それでさっきの話だけど、テスト週間が終わってから斎藤の都合の良い日があれば教えてくれないか。」またすぐにでも来たいと思える味に舌鼓を打ちつつまた一旦箸を止めては相手を見て。そして先程の話の続きを少し落ち着いた声で始めて )
よかったです…、先生の好きな味で…、
(少しの緊張はあるものの彼は自分の進めた蒸籠蕎麦を気に入ってくれたことはしっかり伝わってきて。それだけでも喜びが内側から溢れてくるような気がしてよかったと口にする。良いところを教えてもらったと溢す彼に何とも言えない嬉しさと優越感に似た感情を抱きつつ笑みこぼして。そして彼から続けられた言葉に「…一番早い日で、テストが終わったその日です。次にその明後日ですかね…」そう言葉返しては相変わらず自分好みの味付けに表情を緩めながらまた一口月見蕎麦を啜って)
ならテスト終わった日…斎藤の都合が良いときでいいから職員室に顔を出してくれか?家に帰ってからがいいなら家の近くまで行くから( 安堵の表情を浮かべる相手の笑顔に今日この店に来てよかったなと思いつつ返事を聞けばテストが終わった日に話がしたいと述べ。テストが終わるのはあと数日もない。その日に話をするのかと思うとすこし緊張するが表には出さずに蕎麦を食べ続けて )
…分かりました…職員室に行かせて頂きます。
( 彼の言葉にこくんと頷き職員室に行くと告げて。でもどちらにせよ職員室では話せない内容だとは思いつつもそれならそれで彼の望む場所へ行けば良いだけの話で。何より彼にご足労頂くのが申し訳ない気持ちでいっぱいな自分はそう言葉を返して。食べながらと言うのはあまり気遣わせないようにとの気遣いだろうか…それを有り難く思いながら「他のメニューも外れはないです。また食べに来て下さい」この店の店員でもないのだが、つい彼ともっとこの店の美味しさを共有したくて笑み浮かべたままそう伝えて)
嗚呼、また来るよ。斎藤も一緒にな。( 職員室に来ると言ってくれた相手によろしくと頷いて、お店も進めてくれれば次も相手と行きたいと思えば一言付け足して )
今日か…( テスト最終日、全てのテストが終わり今自分は職員室でテスト後の授業対策の準備をしていて。時間的にはそろそろ相手が来るころか。時計を何度か見つつパソコンと向き合いキーボードを軽快にタイプしながら、時々プリントにペンを走らせ相手が来るのを待って )
…っ…はい…先生と一緒に…また来ます…。
( 此方はまた来て下さいと告げたが彼に自分も一緒にまた来ると言って貰えては驚きに一瞬息を詰めるもやはり嬉しい気持ちが溢れ出てきて嬉しそうに表情を綻ばせてまた彼と一緒に来ますとはっきり告げて。彼と共に蕎麦を楽しみ談笑も楽しみ幸せな時間は過ぎていき。蕎麦を食べ終えると彼の車でいつもの路肩へ車を停めて貰い、また明日と手を振って家路について。彼と長く一緒に居られた日はいつも決まって自分はご機嫌。鼻歌なんて普段は歌わないのにふんふん歌いながら風呂に入り眠りについて── )
宮本先生…いますか…?
( 月日は過ぎ。あっという間にテストの最終日。彼と約束した日になり。テスト結果はまだ出ていないが彼に恥じぬ自分でいたいと勉強にも手を抜かなかったためまずまずの成績だと自分なりに思っていて。そして少し緊張もしている。約束の日は彼と自分の関係が大きく変わる日でもある。ドキドキしながら帰り支度終えクラスメートに挨拶をして鞄を持ち、教室を出て真っ直ぐ彼の待つ職員室へ足を進め。職員室の前に到着しては深く深呼吸してから扉を開けて中に入っては恐らくは席にいるであろう彼に届くように呼び掛けて )
嗚呼、斎藤…来たか。( デスクに向かって手を動かしていると職員室の入り口から声が聞こえて顔を上げると待ち人の姿があり。数名の教師も顔を上げたが各々作業に戻り自分は一旦パソコンを閉じると手早くデスクの上を片付けていって職員室を出る準備をしては化学室の鍵を手に取り相手の元へ向かって。「テストお疲れ。…来てくれてありがとな。場所移動するぞ。」相手のクラスのテストの採点はまだだが相手の授業態度や提出されたノートを見れば高得点なのは確実。実際前任の担当教師がつけていたテスト記録を見たが相手の配点は上々。ねぎらいの言葉を掛けて軽く頭をぽんとすると化学室の鍵を指にぶら下げて見せて職員室を出て相手と共に化学室へ向かって )
いえ…。頑張りました…化学のテスト…どの教科よりも点数…良いと思います…。
( すぐに彼は自分の元に来てくれてはテスト終了を労うように頭をポンと撫でて貰えては表情を緩めて。彼の担当教科である化学は一番点数が良いと思うと嬉しそうに告げて。そして彼から化学室の鍵を見せられるとこくんと頷いて彼と共に職員室から出て化学室に向かい。彼が鍵を開けてくれて中に入っては一瞬解けた緊張はまた少しぶり返してきて。実はずっと考えていた。彼は自分をどう思ってくれているのか。…でもついにその答えは出なくて今日を迎えてしまっていて。人の気持ちなど本人でないなら分かりようもない。でもどうしても考えてしまっていた。自分と同じまでいかなくとも自分を恋愛対象として好いてくれていたなら…そう淡い期待も寄せるものの、自分は生徒で年下で彼を支える器でないと思われているかもしれないとも思っていて。怖い気持ちもあるがもやもやするのはもう嫌で改めて彼を見据えて「……先生…俺…今日という日を待ち望んでいました…貴方の気持ちを…聞かせて…欲しいです…」そうはっきりと口にして )
…嗚呼…、待たせてしまってすまない。( 自分は此処に来るまで相手に都合が良いかと聞いただけで用件は言わずに答えを出すとは話さなかったが、相手からそれが述べられたということは答えを期待されていて此処まで相当負担を掛けてしまったということだろう。自分が今答えを出すことを相手が望んでいるのなら自分も覚悟を決めるしかなく、元よりそのつもりだったため小さく息を吸い。「斎藤…俺はお前のことが好きだ。生徒としてではなく一人の人間として好きだと思ってる。…でも付き合うことは出来ない。俺たちは教師と生徒…恋愛をするのは自由だが其れ以上の関係を持つことは許されない。もしも周知されれば俺だけなら兎も角お前にも何かしらの罰則はあるだろう。俺はお前にそのリスクを背負わせたくはない。…だから…、お前が卒業を迎えるその日にまだ俺を好きでいてくれるなら…卒業式が終わったときまた此処に来てくれ。」今付き合って自分が相手を守ることは可能で、関係がバレたとしても自分が全責任を負うこともできるが、それは最悪の展開でしかなくそのリスクは避けなければならない。あと1年と少しの間はお互いの気持ちを見つめ直す期間でもあり、まだ10代の相手がしっかりと自分を見極めて相手自身の進路を照らし合わせる時間。今の感情で未来のある相手の時間を蔑ろには出来ない。相手を想うが故の答えだが、裏を返せば自分にとって都合の良い答えでもある。まっすぐに相手の目を見つめて静かな声質で述べると相手と一定の距離を保ちながら反応を窺って )
……それは…先生も俺が好きで…俺が…卒業して教師と生徒の柵がなくなれば…俺の…恋人に…なってくれる…そう解釈しても…良いですか…?
( 彼は自分を生徒としてではなく斎藤 司という一人の人間が好きだとはっきり言ってくれた…そして自分達が教師と生徒である以上は付き合えないとも。少しの痛みとそれ上回る愛しさと喜びを噛み締める。彼の発した自分を想う気持ちを全てて受け止めて受け入れて…内にしっかりと宿せばどこか距離を保っている彼に噛み締めきれない感情の高ぶりに一歩一歩近づいていき言葉を返す。期待に少し声が震えたが彼を真っ直ぐに見つめたまま確認を取るようにそう問いかけて。彼がそうだと言ってくれたなら…自分は…自分の出す答えは一つだけ…。後一歩近づいたなら触れられる距離でピタリと足を止めては彼の言葉を再び待っていて )
嗚呼、その解釈で間違ってない。…都合が良いのは分かってる。それでもお前は俺を好きでいてくれるのか?( 相手は静かに最後まで話を聞き入れて其の意味を汲み取ってくれて。一歩一歩詰められる距離に後退りそうになるが相手が話を聞いてくれたように自分も相手を受け止めようと堪えてその場に留まり、相手の瞳を見返しながら首を縦に振る。自分の言葉は伝えたため、其れに相手どう返事をしても受け止めるつもりではいるが僅かに緊張して喉が乾くも表情を変えずに相手を見て問い返して )
貴方は優しいから…俺のためを思って…断るんじゃないかと…そんな可能性も考えてました…だから尚更…俺は嬉しいです…。だって、そうすることも…貴方には出来た…でも…そうはしなかった…それって…そうしたくはなかったから…です、よね…?
( 彼の言葉を聞き終え、少しの間の後口を開く。自分が見てきた彼の性格を考えるともしかしたら断られる可能性もあるかもと思っていたことを彼に明かしつつ、それでも彼はそうしなかった。その彼の気持ちが嬉しくて…首傾げて問いかける。此方から近づいても一歩たりとて逃げなかった彼。彼の頬に手を伸ばして微笑んではそっと頬を撫でつつ「…俺の心にこんなにも変化をもたらしてくれる貴方を…俺は諦められそうにありません…卒業までは生徒として…貴方の近くにいることは…許して欲しいです…だから…一人の男として…貴方を愛する…斎藤 司は…奥底に引っ込みます…だから…これが…今日が…最後です…だから…キス…させて下さい…」幸せそうに笑みを浮かべそのまま彼の唇を塞ぐ。あの日にした口づけとは違い、勉強の成果を見せるように啄むような口づけからするりと彼の口腔に舌を滑り込ませては深い深い口づけをして )
正直…断ることも直前まで考えて迷っていた。でも斎藤の言うようにそうはしたくなかった。お前が……否、この先は卒業後までに取っておくよ。( 相手の予想は当たっていて自分のことを理解してくれているのだと思うと胸が熱くなる、思いの丈を全て相手に伝えようと口を開きかけるが今はまだその時はではないと首を横に振りながら微かにだが滅多に見せない柔らかな微笑みを浮かべ。こんな臆病で小狡い男にも相手は真っ直ぐな言葉を掛けてくれて頬に相手の手が触れ体温が伝わってくれば微かに瞼を震わせて澄んだ双眸を見返して「嗚呼…、卒業までと言っておいて変な話だが俺は教師としてお前の一番近くに居て護れる存在になりたい。…って、おい…キスは…ッ!!?」本当に虫が良いと内心自分自身を嗜めていると近づいてくる綺麗な顔、合わさる柔らかな唇が相手のものだと理解したときには生暖かい感触が咥内に侵入してきて目を見開いては咄嗟に相手の肩を押して離れさせ「…ッ阿呆…いきなり舌を入れるやつがいるか!…前はちょっとしたキスだけで逃げてたってのに…大胆になったものだな。」動揺から僅かに声を荒げるも嫌なわけではなく、その為口を拭うことはなく、少し上がった息を整えると息を吐きだして相手と向き合い直して「堅いと思われるかもしれないがこういうのは正式に付き合ってから…、…にしても何処でこんなキス覚えてきたんだ?」冷静に告げようとするが少しばかり照れが生じて、生徒で年下の相手に押され気味なのも癪に思えてくれば少し身を屈めて白い頬に手を添えると顔を近づけて親指の腹で唇をなぞり、いけない生徒を注意するような物言いで然し双眸は柔和に細めて )
先生…すみません…お待たせ…しています…。実は俺…体調崩しちゃってて…例のウイルスではないんですが…熱と倦怠感が続いてて…返事もう少し待って…貰えますか…?本当に…すみません…。
そうだったのか、そんな事で謝らなくて良いし体が辛いのに報告してくれてありがとな。告白の時は散々お前を待たせた身だ、いくらでも待つし体調が快復するまでは絶対安静。ちゃんと元気になってから戻ってこいよ。
…先生…ありがとうございます…俺… 大分体調…落ち着いて…来ました…。もうちょっとかなって感じです…。でも…早く先生と話したいから…お返事…返します…。…先生…これからも…宜しく…お願いします…。
─────
…それを聞けただけで…十分です…卒業式まで…俺…ちゃんと…貴方の生徒でいます…。
(柔らかな笑みに目を奪われながらも彼の口からは自分の言葉を肯定する言葉が聞けて。確信に迫る言葉はお預けにはなってしまったが“教師として一番近くに居て護りたい”それは自分には十分過ぎる言葉で。柔らかく微笑んではちゃんと彼の生徒でいると告げ。頬を撫でた手に彼の長い睫毛は震える。返答を待たずして深い口づけをした自分。驚いて肩を押されるもそれは拒絶ではなく。彼の声が荒げられるも驚きを示したものだと彼の表情が物語っている。そんな彼に屈託ない笑顔を向け「…勉強するって…俺…言いましたよ?貴方に釣り合う男になるように…貴方が頼れる男になるように…これからだって…俺は…どんどん成長します…恋人になる貴方を支えるために…」生徒ではいると言ったが自分は彼を支えるためこれからだって成長を続けていく。将来を共にするなら今のままの自分じゃ彼を支えきれない。きっと卒業後、彼と恋人関係になってからも自分は成長を止めるつもりもなくて。そのための勉強はこれからも続けていくと伝えて。冷静でいようと言葉紡ぐ彼だったがその声に照れ臭さが混じる。それも嬉しくて目を細めるも、頬に彼の手が触れ近距離で絡み合う視線…唇をなぞるように触れる指先…意識するなと言うのが無理な話で「……色々…調べて…でも…したのは先生が初めて…です…こういう経験…本来は他で積むらしいんですが…俺が好きなのは…キスしたいのは…先生だけだから…」咎めるように注意されるもその柔和な笑みにドキドキして比例するように頬は朱に染まりながらも彼をまっすぐに見つめて“先生だけ”と言葉にして)
俺と釣り合えて頼れる男がどうして今のキスをした理由に繋がるかはちょっと分からないが…まあいいか…。でも暫くはまだ俺に頼れる男でいさせてくれ。あまり早く成長しすぎても困る。( 勉強の仕方を間違えてはいないだろうかと些か心配になるがそういう所が思春期の子供らしくて良いかと思えば少し呆れた表情を浮かべるも気持ちは嬉しいので優しげに目を細め。でもまだ自分は歳上として頼られる立場にありたい。甘えるよりも甘えられて世話を焼きたい気持ちのほうが大きいため、可愛いままでも居て欲しいと遠回しに焦りすぎなくて良いと伝えて頭を撫でて。「他で?…之からも俺だけなのを願うよ。卒業後は他にも斎藤の初めてを沢山貰うつもりだから宜しくな。…さてと、そろそろ昼時だな。久しぶりに食堂でも行くか?」本来とは一体なんだろうと疑問符を浮かべつつ、大胆な行動に反して初な反応を見せる相手を可愛らしく思い瞳を真っ直ぐに見詰め返すと口元から手を話してくしゃりと髪を撫でて。そして一瞬ぐっと頭を優しく押したのを皮切りに恋人前提の表情から教師に顔に。手を離すと腕時計を見て初めて会ったときと同じように…否、瞳の奥に相手にしか分からない色を秘めて食事に誘って )
…先生…ありがとうございます…。無理しないように先生に…会いに来ますね…。
…キスが下手で未熟な男は…長続きしないと…書いてありました…。…?…早くはダメ…ですか…ん…難しい…でも…先生は…いつだって…俺の頼れる男…です…。だから俺も…支えたいなって…あ…甘えて欲しいって…事…ですか…?
( 彼の率直な意見にネットで調べたり雑誌を読んだり色々した結果書かれていたのだと真っ直ぐな瞳で告げて。早く成長しては困ると優しい眼差しで頭を撫でながら言ってくれる彼に自分は早く成長していつも自分を支えてくれる彼を支えたい…自分が頼りたいと思うのはいつだって彼で…頼ってばかりじゃなくて支え合いたいのだと紡ぐ。子供のままでいたら彼を支えられない…早く大人にならないと…そんな自分すら見透かす彼の言葉の真意を遅れて汲み取ると緩く微笑みこくんと頷いて。自分の言葉に疑問符を飛ばす彼の姿に「…調べたら…書いてました…俺はしないです…したくないです…先生以外と……!……お待ちして…います…。……はいっ先生とご飯食べたいです…」これもネットや雑誌の受け売りなのだと明かしつつ、しかしながら自分はそんなことをするつもりはないと口にして。続けられた卒業後について意味深な言葉に更に頬を染め上げ、ぼそぼそ小さく答えて。くしゃりと撫でられた頭をぐっと優しく押され何かが変わるのを敏感に感じ取り…教師の顔をした彼は昼食に自分を誘ってくれる。少し寂しさはあったがそれでも彼の近くにいられること…そして彼の瞳の奥に見える変化が嬉しくて目を細め笑えば頷いて“先生と”食事したいと告げて )
あまりネットやら雑誌に書いてあることばかり信用しないほうがいい。…学ぶなら本人から少しずつ学べ。恋愛なんてのは全て教科書どおりにはいかないからな。…行くぞ。( 一体なんの雑誌やらネットを見たのか。真面目なのか天然なのか少し心配になりながら頬を染める相手を見てやはりまだ初だなと可愛らしく思いつつ、相手の言葉に鼓動が高鳴る自分もいて。こんな感情は久しぶりで抑えなければいけないのに溢れてしまいそうで。相手を大事にしようと心に決めて、食事の誘いに乗ってくれる相手に小さく笑いかけ化学室を共に後にして )
今日は休みだったんだが…( 相手と約束を交わしてから数週間が経ったがお互いの関係はあれから変わらず教師と生徒。会うのは学校のみで偶に食堂で昼を共にするくらい。ただ確実に自分の中の気持ちは大きく成長していて、授業中贔屓こそしないがつい相手を目で追ってしまうことも屡々。卒業まで…と期限を付けたのは自分だが中々の足枷になっている。だがまあ会えない訳ではないので不満もなく、そんな日々を過ごし今日は土曜日の休日。学校の雑務もなく今日は家でゆっくりと過ごそうかと思っていたが朝から思わぬ来訪者が。『お邪魔しまーす!』と我が物顔で大きなキャリーケースを引いて部屋に入ってきたのは二歳下の妹。理由は言わなかったが暫く泊めて欲しいとのことで。全く勝手な…と思ったが可愛い妹には変わりないため承諾。荷物の整理をした後に、街に買い物に行きたいとはしゃがれて、休みだったのに…とぼやきながらも断り切れずに頷くと妹と街へ出て。妹は人との距離感が少々ずれていて街中でも気にせずに腕を掴んできて、昔からなので諦めておりそのままにさせて街の中を歩いて )
……分かりました…先生に教えて貰います…はい。
( ネットや雑誌のことを鵜呑みにしてはいけないと嗜められては素直にこくんと頷き。彼自身も言ってくれた“本人から学べ”に感銘を受けては他の誰でもない彼に教えて貰いますと告げて。行くぞと声をかけられては嬉しそうに微笑み返事を返せば彼と二人で化学室を出て食堂へと向かって。生徒と教師で有りながら普通の生徒と教師ではない自分達。それは二人にしか分からないがそれが特別感を増させる。注文した品を持ち共に席へと腰を下ろしては向かい合いながら談笑を楽しみ一緒に食事をして──)
…っ…俺、何もしてない、です…。
(彼とは学校でしか会えないため土日や祝日の日はバイトが無ければ専ら一人で出歩いていることが多くて。今日も散歩がてらもしかしたら彼とどこかでバッタリ会えるかもしれないと期待を胸に秘めながら街を散策していて。しかしただ自分は近隣の警察官から目をつけられている。忘れてはいないため巡回コースには立ち入らない所を歩いていたのだが運悪くたまたま警察官と遭遇。彼と女性が近くを歩いていることは気づけなく一方的に不審者扱いされ一人の警察官に腕を掴まれていて。自分が男だからか不審者レッテルを貼っている人物だからか容赦なく腕を掴まれ痛みに表情を歪ませながらもお決まりの近くの交番へと連れて行かれそうになるのを懸命に阻止しようとしていて )
( 相手に起きていることは知らずに妹と共に歩いていたが周囲の人間が後ろを指差して騒いでいるのに気付いて後ろを振り返り。其処で相手が警察に連れていかれそうになっているのが目に止まれば、妹の腕を解いて足早にそちらに向かうと相手の手を掴む警察の手を掴んで離させて。何故こんなことになったのか冷静に警察と話せばただの偏見。一般市民の未成年を無理矢理連れて行く等何を考えているのだろうかと思いながらも相手は自分の生徒で不届きを起こすことはありえないとはっきり告げてはそもそも任意同行を無理矢理強行するのは違反、それを指摘しつつ警察にはその場から退場して貰い。「斎藤、大丈夫か?」細い腕をあの警察官は強く掴んでいたように見えたためその腕を労って撫でてやりながら顔を覗き込み。すると遅れて妹が後ろからやってきて『どうしたの?大丈夫?…知り合い?』と自分の背中越しに自分に問い掛けてきて、後で説明すると声に出さずに片手で制しつつ再び相手に向き直って )
……っ…先…、
( いつものように無理矢理振り払って逃げないとと思っていれば偶然にも彼が…会いたかった彼が助けてくれて。自分の腕を擦りながら心配してくれる彼に微笑んで礼を紡ごうとしたが背後から来た何やら親しげな女性に目を見開いて。この人…誰…先生と雰囲気が似てる気がするけど…。もやもやとした感情を抱いては「…大丈、夫…です…あの…俺…お邪魔…です、よね…?すみません…助けて下さって…ありがとう…ございます…」今は彼と自分の関係はあくまで教師と生徒。プライベートで彼が何をしようと彼の自由。それでもヤキモチを妬いてしまい切なげに笑えばやんわり彼の手を解いて頭を下げてスッと脇をすり抜けて )
斎藤、言い逃げは失礼だろ。返事はちゃんと聞くって前にも言わなかったか?それより、やっぱり体調悪いんじゃないのか?( 言いたいことを言って去っていこうとする相手の腕を軽く掴んで引き止めると以前も言った注意を軽くして。それよりも気になったのは相手の歯切れの悪さで先程の警察との一件で動揺していたとしても喉につっかえるような喋り方が気になって。風邪でも引いているのではと見当違いなことを思っては心配そうに問い掛けて )
…っ……ごめんなさい…俺…体調は…悪くないです…。
( 腕を掴まれ彼からの言葉に表情を更に曇らせ謝罪して体調は大丈夫だと口にしては俯いて。『…もう…我慢できない…お兄ちゃん鈍すぎ!この子お兄ちゃん大好きなんじゃないの?それで私が横にいたからヤキモチ焼いちゃってるのよ。…って…ダメよ…ふぐっ…にやけちゃう…よもやお兄ちゃんにBL的展開が…!って良く見たらイケメン!詳しく言うならばカワカッコイイ子じゃない!』そんな自分の気持ちを代弁してくれたのは先程彼に待っていろっ促されていた女性。彼に詰め寄りながらそう捲し立てている。と思えばニマニマする口元を隠して身悶えている忙しない動きにぽかんとして。…ん?お兄ちゃん…?そう聞こえ一つの考えが頭に浮かんだがそれを遮るように女性の意識は此方側に向かいイケメンと瞳を輝かせている。「……?イケメン…イケてるメンズ…の略称…後ろ…誰もいないですよ…?」女性の視線の先は自分の後ろ…顔だけ振り返るも誰もおらずきょとんとして首を傾げては『…しかも天然不思議ちゃん系!?やだ、可愛い!君よ、君がイケメンくんっ。ね、お名前何て言うの?』彼に掴まれている手は彼女により引き離され、代わりにぎゅっと包み込まれてずい、と接近されれば「……あ、あの…近い…です…えと…斎藤 司…で…」『司くん!名前もなんか、っぽいわね!じゃああだ名はつー君にしましょうっ。ね?良いでしょ?』グイグイ来る女性に慣れてはおらず頬を少し赤くしながらもたじろぎ、近づかれれば僅かに後退しつつも自分に好意的な反応は普段が普段なだけに嬉しくて飛び出したあだ名にこくこく頷いて )
普段お兄ちゃんなんて呼ばないだろ…( 相手に馴れ馴れしくする妹に溜息を吐いては妹は空気を察したのか『あ、こっちにいる友だちから遊ぼうってLINE来たから私は行くね。今日の夜もその友達の家に泊まるから』と去っていき。嵐が過ぎ去ったような気疲れにまた小さく溜息を吐くと相手に向き合おって「悪い、いつもは初めてのやつにはあんなに馴れ馴れしくないんだ。…どうしたんだろうな。」兄の自分には溌剌として我侭だが意外と人見知りで礼儀はあり初めての人にあそこまで迫ることはないのに。少しいつもと違った様子だったし大丈夫だろうかと妹が去ったほうを振り返って心配しつつも相手と2人きりにしてくれた気遣いには感謝して。「斎藤は買い物か?」相手に視線を戻すと何をしに街に来ていたのだろうと尋ねて )
…腐の属性の女性でしたか…。いえ、好きなものを見るとテンションが上がる…ということなのでしょう…多分。
( 去っていく彼の妹さんの背中を見送りつつ謝る彼に首を横に振り、一連の動きや言葉を思い返しては導き出した答えポツリ呟くも彼女は彼に隠しているかもしれないし下手に自分が話すわけにもいかないと思っては言葉を濁し。しかし彼はそんな妹さんを心配ながらも自分へと向き直ってくれ声をかけて貰え「…いえ、散歩です…先生に会えないかなと思って…先生は…買い物ですか…?」ふるふる首を横に振って自分は散歩だとしかもとことん素直に心の内側を吐露する。そして彼は買い物だろうかと今度は此方から問いかけて )
ふ?…彼奴はお前が好きってことか。( 聞き慣れない言葉にやや首を傾けつつ先程の妹の言動を思い出してはえらく相手が気に入っている様子だったし、今の発言から相手にもその自覚があるようで。成程と思えば一人納得して続く相手の返答を聞いて少し驚いて目を瞬かせて「…俺に?いや、俺は唯の付添い。…の予定だったんだけど本人が居なくなったからな。その予定は潰れた。」相手の言葉が本当なら外へ連れ出してくれた妹には感謝しなければならない。そう思いながら此方も事実を述べて妹が去っていった方角を見遣り肩を竦めて。「でも斎藤、俺に会ってどうするつもりだったんだ?」相手に会えたことは嬉しい。願ってもないことに心は高揚するがあまり表情には出さずに身を屈めて相手に少し顔を近づけるとやや意地悪な問いをして僅かに口角を上げて )
(/背後のみですみません。お伝えしたい事がありまして…。誠に勝手で申し訳ないのですが…此方のセイチャットのサイト様でなり茶を続けていくことが精神的に困難になり絡みを打ち切らせて頂きたく参りました…。誓ってあなた様やこのサイト様が理由ではありません。私事になりますがこの数週間どなたかは分かりませんが、嫌がらせ…と言いますか…書き込みが沢山ありまして…精神的に此方のサイトに足を運ぶのが辛くなってしまって…。あなた様とお話を紡げてとても楽しかったです…今まで本当にありがとうございました…。)
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