人/間/失/格 2019-10-30 01:06:04 |
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おい、手前太宰。何勝手に上がり込んでんだよ木偶の坊が!!増して俺の愉しみ迄勝手に呑んで御機嫌たァ良い身分じゃねえか( 書き置きを見るなり真逆、と嫌な予感が頭を過ぎれば最短距離で自慢の二輪の相棒を走らせ先程迄滞在して居た塒へと。既に半開きに成った扉にわなわなと肩震わせ乍其の奥睨み付け、ばァん!と開け放った先には葡萄酒の満ちた硝子手に鼻歌交じりの憎き彼。ずかずかと歩み寄ると食指相手へと向け恨み言つらつらと並べ、巫山戯んじゃねえ!と御立腹の様子で )
あァ、俺とした事が色々と規則を失念してた 。其れも之も太 宰、手前が横暴な事しやがる殻に違いねえがな。まあ何だ 、構ってちゃんを丸一日放置した事は詫びるぜ、寂しかッたな、ようしよし。
随分鈍間な御帰宅だねえ、嗚呼、幹部様は忙しいのか。其れじゃ矢張りこの子達を愉しむ暇も無いだろう、私が代わりに味わっておくから安心しなよ( 家主の帰宅は騒音で知らされる、赤紫が僅かに揺れるのを暢気に眺め水面に反射する自身の口許は待ち望んで居た声に一際深く弧を描き、詰め寄る剣幕に押される処か呆れ半ばに肩を竦めて見せれば何処吹く風と減らぬ軽口を重ね。相手が持ち込む感情任せの不平不満こそが酒の肴と云わんばかりに上機嫌で葡萄酒を舌に乗せつつ家主相手に我が物顔で空いた隣を示し )ほら、座れば?今ならシャトーの高級葡萄酒付き。
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なあに、案外ドジっ子なのかな。働き過ぎかい、注意力散漫は善くないよ。と、まあ、別に気にして居ないから大丈夫。序に私も悪くない、客人を一人で待たせる君がいけない。うん、迚も寂しかったね、此の部屋で一等高い葡萄酒を開けてしまう位には。
噫、生憎だが。手前みたいな鈍に付き合ってる暇は無いんだ、本当はなァ。全く、最年少幹部殿が全自動自殺機に様変わりでもして無けりゃあ今頃俺の仕事も幾分か楽だっただろうに。( 幾ら捲し立てても一寸とも動かない相手の眉に辟易、無駄を悟ったのかはあ、と一つ大きな溜息を吐き。それでも恨み言をつらつらと並べ乍視線半分に其の掌の中の瓶をちらり。ぐぬぬ、と云いたい事を喉の奥に仕舞い込めばキャメルのコートが延びる先へと乱雑に腰掛け、 )あーあ、判った判った。手前の分は其の手に収まってる硝子細工だけだ、寝言を騒ぎ散らす暇が或るン楢疾く其の瓶寄越しやがれ ( 此の際気にしないのが一番手っ取り疾いと踏んだのか、脇に置かれた猫足の机の一面に帽子放り投げ背凭れに腕を掛けると扁桃形をした相手の琥珀へ向け掌差し出して )
ドジじゃ無くてうっかりだ、うっかり。性質と行動じゃァ全く意味が変わって来る。っと、何だ存外素直じゃ無えか。悪戯じゃ済まない悪戯だが構って欲しくて悪さをするたァ何方が狗だか判ったモンじゃあ無いな。嗚呼、狗が嫌いなら猫でも手を打つぜ。
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