近いようで遠い、二人の距離

悠希さん。
お疲れ様です。
マリアちゃんって誰ですか？
(隠れて現場が終わるのを待っていた)

うぇ！？ビックリしたぁ。
女友達だよ、女友達～。
(一瞬身体をびくりとさせるが、直ぐに笑顔を取り戻して言い)

本当に女友達ですか？(眼鏡をクイッとあげて)
大人の付き合いは僕には分かりませんが
悠希さんみたいな超人気俳優様が
女性と2人きりで飲みに行くなんて
写真撮られたらどうするんです？

悠希さんの自由なのに

僕には関係ない話なのに口出しして
ごめんなさい。
(頭を下げ)

僕一応未成年なので帰りますね。

ははっ、心配さんきゅ～。
家飲みだしさ～、何なら浩太クンも来る？
(軽薄そうに笑って煙草に火を点けると口に咥え、スマートフォンを取り出し)

じゃあ、僕も行きます。

補導されたくないので早く行きましょう

(少し嬉しそうな顔しながら早く歩きだし)

と～ちゃっく！
マリアちゃ～ん、元気してた？
久々に飲もうって連絡くれたからさ～！
(家に入るなり恐らく家主であろう女性に笑顔で語り掛けて)

「…まあな。お前の方はどうなんだ。
…で、後ろのは？知り合いか？」
(女性の方は女性の方で、ため息を吐いた後容貌に似合わぬ言葉遣いをしたかと思えば貴方に鋭い一瞥をくれ)

初めまして夜分にすみません。

長谷川浩太です。

お邪魔します。
(嫌な顔見せないように頭を下げ)

「…ふぅん…私は相楽マリア。よろしく頼む」
(興味無さげに呟けば手を差し出し)

マリアちゃんはちょー優秀なんだぜ～？
しっかりしてるし、ホント頼れる俺の
マネージャーだわ♪
(にこにこと微笑み)

まっ、マネージャーさんだったんですか！？
(彼女と勘違いしたと気づき汗かきながら)



なら、マリアちゃんじゃなくて
マリアマネージャーって呼ぶべきでっ……すっよ
悠希さん………。
(眼鏡を持ち上げ)

僕はか、帰りますね。
(言葉を詰まらせ)

しっ、失礼しました！！

(急いで玄関へ向きを変え走り気味になり)

「…待て。お前も居ろ」
(呟いたかと思えば女性とは思えない握力で貴方の腕を掴み)

ん～？マリアちゃんはマリアちゃんだし。
(悪戯っぽく微笑み)

いぇ、僕は帰ります
(強く引っ張られ抵抗出来ないまま)

居ますから、もう引っ張ららないで下さいよぉ

「…それで良い。コイツと二人で飲むのは退屈だ」
(手をぱっと放し、缶チューハイに手を伸ばしてはプルタブを開き、一気に飲み始め)

…あ～…大丈夫？マリアちゃん力強いからさ～。
(引っ張られた腕を心配するように語りかけ)

触って、る、
なんでも無いです。腕だ大丈夫です。

(恥ずかしい顔しながら)

お酒飲みすぎないで下さいね。

「…お前に言われなくとも分かっている」
(じろり、と鋭い目線を向けて三本目の缶チューハイに手を付け)

…はは…ど～だろ。マリアちゃん、酔っても顔で分かんないからさ～…。
(苦笑いをし)

はい。
(少し寂しそうな顔みせながら)

酔いすぎたら看病しますよ。

あげ

はは、ありがとね～。マリアちゃんは顔が何か赤っぽかったら、もうカンペキに酔ってるから。
(自身も酒を煽りながら言い)

ちょっと飲みすぎじゃないですか？
（不安そうに顔を覗き込み）

もう帰りましょうよ。