リリアちゃん 2019-10-11 08:43:18 |
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女の子の服が、好き。
丸い形の襟に赤い紐リボン、風になびくスカートのシルエット、ひらひら揺れる白いレース。靴はエナメルの素材が町中の光を反射させてとても綺麗。
そんな服を着て街を歩くと自分じゃないみたい。まるでおとぎ話の少女のような気分になれる。だから女の子の服が好き。
中学の時に気になってる女の子がいた。黒くて綺麗な髪の毛で、ぼくの好きな服がとても似合いそうな女の子。同じ服を着て街に出て、アイスを食べたらどれだけ楽しいだろうと毎日彼女と友達になる妄想をしていた。
そんな彼女は僕が女の子の服を着るのが好きだと知ると嫌悪感をいっぱいにした表情を見せて僕に背を向けて去っていった。彼女はそんな顔をせず、笑って肯定してくれると思っていたし、ぼくの妄想の中にいる彼女はどのシュミレーションでもにこやかに手を差し出してくれたのに。
次の日学校に来ると、僕は女装癖の変態野郎ということになっていた。
高校の時に恋人ができた。僕が好きな格好をしても可愛いと褒めてくれる女の子。肩幅が気になると行ったら一緒に服を選んでくれて、ウィッグ選びや化粧の仕方も一緒に研究してくれた。
彼女から恋人じゃなくて友達の方が楽しいかもしれないと告げられた時、あまりショックを受けずになるほど、と思った。僕は女の子の恋人ではなく友達が欲しかったのだと実感できた。
彼女と遊んでいるとたまに中学の同級生と会うことがある。おかま野郎、気持ち悪いと言われると僕の代わりに怒って、倍以上言い返す。そして振り返って「可愛いよ」と必ず言ってくれるのだ。彼女と僕は最高の友達になれた。
高校を卒業して、僕らは大学生になった。
彼女が同じ学部の彼氏にこっぴどく振られた時は愚痴を言い合いながら酒を飲み、僕が可愛いカフェに行きたいと言ったら一緒に行って楽しんでくれる。そんな最高の友達は大企業の一員となり、僕は安い居酒屋のスタッフになった。
たまに彼女が愚痴をこぼしに来てくれると嬉しくなる。きっと彼女が結婚して、子供を産んで、おばあちゃんになっても僕はこのまま女の子の服が好きで、彼女の事が大好きで、最高の友達でいてくれるのだと思う。そう言ったら彼女は酔って赤くなった顔で大きく笑った。
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