紫鈴 2019-10-10 08:51:54 |
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大倶利伽羅
…貞、俺は……。
( 話は昨夜まで遡る。昨夜、楽しげに部屋に戻って来た太鼓鐘貞宗は満面の笑みを浮かべながら口を開いた、話は明日の昼に本丸に顕現された刀剣男士全振りで紅葉する山を眺めながらの宴を催すというものであった。無論、群れるのが苦手である自分はいつもの調子で 「 馴れ合うつもりはない…。 」 そう言って布団に潜り込んだのであった、しかし問題は今に至る。太鼓鐘貞宗に腕を掴まれ、尚且つ燭台切光忠には背を押されている。太鼓鐘貞宗の前を歩くのは鶴丸国永、この状況には困惑しか無く、太鼓鐘貞宗に上記の言葉を洩らした。しかし、良いから良いから!と、そのまま腕を引かれやって来たのは紅葉する山が一望できる小高い広場。敷物が敷かれ、その上には酒や手の込んだ重箱に詰められた料理が並んでいた。加えて遅れて連れて来られた自分を見ては、皆、嫌な顔一つせず笑顔で迎えてくれる。素直になれずまたもや顔を背けてしまうと、歌仙兼定が腕を組み合わせて苛立ちを露にする。その様子を見兼ねた短刀達が自分と歌仙兼定を宥め始める、すると、五虎退の連れている五匹の虎が己に向かって飛び付いてきた。その勢いに負けて倒れ込んでしまうも、甘える様に喉を鳴らし頬を擦り寄せて来る様に 「 ……いい子だ。 」 思わず笑みが零れ、擦り寄って来た虎達を撫でた。すると、一瞬凍り付いた宴の場には秋であるというのに淡い色を湛えた桜吹雪が舞い。 )
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