───月夜に浮かぶ、 ( 〆 ) 

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とくめい  2019-09-25 09:21:08 
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  • No.101 by 歌仙/霖  2019-10-12 22:46:11 





歌仙:
まさか。良いかい、男女の仲というのは双方の合意があってこそ成り立つんだよ。
( 出来る限り俗に直球にと心掛けて言葉を選んでつもりだったが、これでもまだ足りなかったのか小首を傾げる彼女の様子に眉を寄せ。その復唱を聞くと、更に噛み砕くべきかと一つ咳払いをし、口を開くより先に理解した様子の彼女を見、苦笑を返し。果実が熟すように染まる頬を眺め、隣へと肩を並べる彼女の慌てた様子に即答を。つい反論してしまったが、言いたいのは近侍の彼にもその気がなければそうは見えないはず、ということ。無論面倒見の良い彼のこと、庇護欲が膨らみ距離が狭まったということも十分に有り得るが。しかしそうも狼狽する理由が分かりかねる。己の予想では彼女は彼のことを憎からず思っていてもおかしくはないと感じていたのだが。)
彼とそういった仲に見られるのは嫌かい?

霖:
…………そう、そうなの。…ふふ、そうなんだ…私が取られて、嫌…。……え、へへ。
( 躊躇うように逸らされていた視線が一点に此方を向いて視線が絡まり、それだけで胸が暖かくなるのを感じて。誠実な彼らしい前置きの後、望んでいた言葉に体温の上昇をしかと感じ、それは頬へと顕著に表れ。彼から手を離し、今度は熱を持つ自らの両頬を掌で覆って。口許は如何様にも素直に緩み、溢れる喜色を我慢できない。視線を恥ずかしげに下方へと落とし、今しがた聞いた彼の気持ちを確認するように呟き、再びだらしなく笑みを溢し。ここで本当に自惚れる程愚かではないが、どうしても彼と好い仲になった時のことを思い描いてしまう。手に握られていた文はいつの間にか床へと転がり、淡い桃色で支配されている頭ではそれに気付くはずもなく。)



  • No.102 by 日和 / 膝丸  2019-10-13 00:17:40 



→ 日和

そっか。そう、だよね。……あれ?でも、それって私とじゃ成り立たな──、
( 此方の心配事に対して即答を返されると目を丸めるが、彼の言う事は確かに正しい。それならば懸念する事はないのかと妙に納得して彼の服から手を離し、皺が残らない様にと軽く整えて。しかし、そこでふと動きを止めては、双方の合意の上で成り立つのであれば、何故己と近侍の彼がそういった仲に見えるのかと再び疑問が浮上し。互いに想い合っている者同士でなければ、恋仲の様には見えない筈。邪な感情を持つ己はまだしも、彼の方は主人を慕うのと同じ気持ちではないのか。その疑問を解消すべく開いた口は、彼から続いた問いにより静かに閉ざされ。途端に首を左右に振っては、隠しきれない本心と共に言葉を零し )
わっ、私は嫌じゃないよ?寧ろ、その、すごく嬉しい…けど、みっちゃんには迷惑だと思う。


→ 膝丸

…笑い事ではないのだぞ。──……何なのだ、これは。
( 彼女に仕える立場でありながら、何とも宜しくない本音を告げた事で、どんな反応が来るのかと最悪気持ち悪がられる想像までしていたのだが、予想と反して彼女の表情には緩々と笑みが浮かび。己の心情も知らずに呑気なものだ、なんて思わず肩の力を抜き。面白くない、と想い人を歓迎しない旨を伝えたのにも関わらず、喜色を見せる彼女に勘違いしそうになる。どうしたものか、ここ最近の彼女には翻弄されっぱなしだ。けれども不思議と嫌だと思えないのは確かで、諦めて肩を竦めたものの、視線を下げた際に畳に転がる文を見つけてはそっと手に取り。先程は彼女の言葉に気を取られてしまったが、気落ちしていた理由が色恋の事でないのは初めから分かっている。丁寧に文を開いて、こっそり文面へと目を通せば、その内容にぐっと眉を顰めて )

  • No.103 by 歌仙/霖  2019-10-13 01:10:40 





歌仙:
…これは僕の単なる想像だけど、彼には気の置けない仲の刀が多いだろう?主との距離の近さは、既に指摘されていると思うんだ。
( 我が主人は色々なことに対して鈍い。自尊心が低いのか、ただ鈍いだけなのか、もしくはどちらもなのか。願わくば後者であれば良いのだが。近侍への憂慮と共に混じる本音が微笑ましく、口角を上げながら目を細め。彼が迷惑だと思っている節は僅か足りとてない。ここで少し指摘でもしてやれば、もどかしい甘い想いも進展があるだろうか。先程とは違う意味で緩む口許を手で隠し、その行先を薄らと思い描き。成就したあかつきには、その内心を事細かに聞き出し恋の唄でも詠んでみようか。歌人ならではの楽しみに心を踊らせ、期待に輝く緑色を彼女へと向け。)

霖:
うん…ふふ、ごめんね、すぐ───あ、…。
( 冗談半ばとは言え咎められたにも関わらず、内に満ちる幸福が中々引いてくれはせず。未だ笑みを溢れさせながらちらりと彼の方へ視線を向けると、いつの間にか手から離れていた文を手に取り目を通す彼の姿。普段から若干険しい表情が更に峭刻さを増しているのを見、笑みを苦笑へと変えて肩を竦め。教師に叱られているところを親に見られてしまったような心情で、羞恥心と申し訳なさが一気に押し寄せ。何と声を掛けるべきだろうか。彼のお陰で気分は高揚したが、矢張り慰めの言葉など聞いていられない。かと言って、失態を叱責されるのも辛い。これは自分自身の問題であり、彼らには何も関係ないのだから、そっと見なかった振りをしてくれれば良い。一番有り得ない結果を望みつつ、視線は向けられないまま口を開き。)
あの、あんまり気にしないで。全部事実だし、これからもっと頑張ればいいだけだから。



  • No.104 by 日和 / 膝丸  2019-10-13 02:46:52 



→ 日和

う、ん?確かに、それもそうか…。
( 相談を口にする度に段々と理解力が低下している気がする。呑み込みの遅い頭を片手でとん、と軽く押しながら鈍い反応を見せ、ゆっくりと整理する事にし。そのまま暫し黙り込んで歩みを進めて行く。親しい刀の多い近侍が、周りから指摘を受けているであろう事は想像に容易い。あれだけ行動を共にしていれば、気にせずにはいられないだろう。自分であれば、確実に指摘している。考えを巡らせながら一人で数回頷き。彼の言う様にその可能性は高いだろうと納得しては、本当に指摘を受けているのならば、何故未だに距離感は変わっていないのかと顎に手を添え )
ねえ、歌仙。そうだとしたら、分かってて放置してる事にならない?


→ 膝丸

……そうだな、これからだ。
( 文の内容は、本丸の立て直し進捗についてのお咎めで。主人の努力を一番側で見ている自分としては大変腹の立つ文面、思わず殺気立ってしまうのは仕方のない事。無意識に文を持つ手に力が加わり、くしゃりと皺が刻まれていく事などお構い無しに悔しげに顔を顰め。確かに未だ完全に立て直しを終えたわけではないが、それでも日々頑張っている者にこの様な文を寄越すとは非常に腹立たしい。拳を強く握り締め、今にも怒りに任せて暴走しそうになるのを何とか堪えつつ、彼女へと視線を向けては自分を戒め。主人が落ち着いて受け止めているのなら、近侍である己もそれに従うのみ。無様な姿は見せられまいと深く息を吸って頭を冷やしては、視線を合わせるべく彼女の頬を両手で挟み )
──これから…文句の付け所がないくらい、この本丸を立派に立て直せば良いのだろう?

  • No.105 by 歌仙/霖  2019-10-13 10:46:46 





歌仙:
…うん、そうだね。
それなら、次はどうして彼が放置しているのかを考えてみようか。
( 己の言い回しで混乱してしまったのか、短い返事を最後に口を噤む主人に合わせ黙々と歩みを進め。伊達の刀は特に懇ろな印象を受ける。だとすれば自身のこの推察も全くの妄言とも言い難い筈なのだが、一体どこで詰まっているのだろう。顎に手を添え口を開いた彼女へ一瞥送ると、気まずげに首肯を。ここでその問いが出るということは、矢張り上手く伝わっていなかったらしい。まさか己にこれ以上皆まで言わせる気なのだろうか、それは全く風流ではない。深く溜息を吐き、動きっぱなしの頭を労わるように軽く髪を撫でて。橋渡しに再度助言を彼女に与え、再び自分は大人しく口を結んで。)

霖:
……ありがとう、誠実で優しくて、格好良い近侍さん。
( 徐々に気色ばんでいく顔色に罪悪感が少しずつ積もる。小気味良い音とともにまた一つ紙面へと皺が刻まれ、おろおろと視線を泳がせて。無理にでも気分を上げなければとふっと顔を上げると、凪いだ瞳が此方を向いており。彼の手が伸び、男性らしい両手が頬を包む。その後告げられた怒りでも慰めでもない言葉を聞くと、暫く呆然と彼を見詰めていた瞳を細め、気が抜けたように笑みを浮かべ。祖父もきっと、彼のこういった気性に惹かれたのだろう。掌から伝わる熱を感じながら、自身も腕を伸ばし彼の頬をそっと挟み。礼を述べた後、敢えて先程の文言を引用し。穏やかな声色で告げ暫しその雰囲気に浸れば、次第に口から溢れるのは愉しげな笑い声。手を下ろして口許を押さえると、申し訳なさそうに眉を下げ。)
───なんて。分かってるだろうけど、好きな人がいるなんて嘘。誤魔化してごめんなさい。



  • No.106 by 日和 / 膝丸  2019-10-13 14:26:50 



→ 日和

う、…何でだろう。
( 一つ理解した所で、次に考えるべき事を提示されると苦く眉を垂らし、髪を撫でる手に心を落ち着けながら再度黙り込む。近侍の彼が仲間内で指摘された事を放置して、何か良い事でもあるのだろうか。邪な気持ちを自覚し、距離を縮めたいと思っている己とはまた別の理由の筈。ならば元から距離を詰めるのが上手い性分だったのだろう、己から見た近侍は人誑しな部分も多い。首を唸らせ、自分の中であり得そうな可能性を考えていき、ふんわりと思考が纏まると視線を隣の彼へと投げ。自分なりの結論を一言呟いてみるも、憶測で話した所ですっきりしないのは確か。元々胸の内に秘めておくのが不得意な事もあり、ここは手っ取り早く本人に問うべきかと視線を彷徨わせ )
みっちゃんって、やっぱり天然なのかなぁ。……うーん、いっそ直接聞きに行った方が早い…?


→ 膝丸

…謝らずとも良い。君の嘘は分かりやすいからな。──ただ、一人で抱え込もうとした事は、深く反省してくれ。
( 未だ内心では腸が煮えくり返りそうな程苛立っているものの、それをぶつけるべきは彼女ではない。しかし下手に慰めの言葉を紡ぐ事も憚られ、どうにか怒りを噛み砕いて前向きな姿勢を見せたのだが、その言葉を彼女はお気に召したらしく。和らいだ表情をしっかりと瞳に映し、拳に込めていた力をふっと緩め。暫くは完全に怒りを鎮める事は出来ないだろうが、今やるべきは冷静になって彼女と共に本丸を立て直す事。己同様に頬を挟む彼女の掌に安堵し、切り替える為に一度目を伏せては、先程聞いたばかりの台詞が己に向けて告げられた事で驚いた様に彼女を見遣り。その後すぐに続けられた言葉には僅かに落胆する。一瞬でも自惚れてしまいそうになった自分に苦笑を漏らすも、一先ず彼女に想い人が居ないのならそれはそれで構わない。ほんの少し晴れやかな気分で彼女の肩に手を乗せては、暗に頼って欲しいと滲ませながら少々揶揄の混じった言い回しを )
俺は、君の格好良い近侍なのだろう?

  • No.107 by 歌仙/霖  2019-10-13 16:00:31 





歌仙:
……まあ、直接聞いてみるのもありかもしれないね。手土産でも持って…。
( 一つ解決したところでまた一つ問題を投げ掛けられることに疲れてきたのか、そのかんばせをちらと見ると、自身も首を捻り。ここは仄めかすだけでなく、己がしっかりと言ってやるべきなのだろうか。否、しかし近侍殿の気持ちも未だ不明瞭。何より他者がずけずけと土足で踏み込むなど、全く以って雅じゃない。小さな鈴の声の呟きが聞こえると、その首を一層深く傾げ。恋と表現すべきかも曖昧な今の状態は、他人が口出しすべきではない気がする。彼女の疑問に取り敢えずは頷き、ふと前方に見え始めた商店に気付くと、そう言えばと口を開き。)
ところで、主は今日何を買いに行くのかな。それによって寄る店も違うだろう?

霖:
…別に、一人で抱え込もうとしてたわけじゃ…。
( 此方の反応に彼もやっと少しは気が緩まったらしく、その様子を確認すると軽く背を丸め。しかし彼の口から自身の言動を咎める言葉が出ると、不満ありげに彼を見上げ。反論を口にするが、肩に乗せられた手と共に少々の揶揄を織り交ぜた懇願を聞くと、先程の言葉が何だか恥ずかしく思えて口を噤み。頼りたいのは山々だが、どうもその方法が分からない。今回はこうして文が来たと、上から咎められたと彼に泣き付けば良かったのだろうか。それが想い人ともなれば尚更やり辛い。好いた相手の負の感情なんて、見たくはないのだから。もぞりと収納から這い出し、差し入る朝日に目を細めながら一つ伸びを。深く息を吐き、改めて彼の方へと向き合い。)
甘え上手な女の子の方が、好き?



  • No.108 by 日和 / 膝丸  2019-10-13 18:40:24 



→ 日和

──あ、みっちゃんに洋菓子を作る約束してて、その材料を買おうと。…えっと、どのお店かな?
( 相談を持ち掛けたのは己だが、結局答えが出ない事に思考を放棄し始めており。こうして投げ出すのは如何なものかとは思いつつも、暫く拗らせていた悩みを自分の中で簡単に解決する事も出来ず、一先ずは頷いた彼にほっと胸を撫で下ろし。手土産と共に、であれば丁度今日が聞くには良いタイミングだろうか。己の性分的にも悩みを長引かせるのは色々と宜しくない。洋菓子を差し入れる時に直接悩みを打ち明けて、共に解決策を見つけようと一つ頷き。ふと己の用事について問われると、見えてきた商店に物珍しげな視線を送りながら返答し )


→ 膝丸

…うむ、難しい質問だな。
( 己が軽く咎めた事で、不満そうな目を向けられると僅かに眉尻を下げ。本当にたった一人で抱え込もうとしていたか否かは判断付けられないが、現に彼女は己に知られまいと抵抗していた。それはつまり、誰にも相談する気などなかったと捉えられても可笑しくない。もし先程の嘘を信じていた場合、己は彼女の苦悩を知らずにただただ気落ちしていた筈で。手の焼ける主人だとは思いつつ、それを面倒臭がるどころか嬉しく思ってしまう自身に肩を竦め。そして漸く籠城していた押入れから這い出て来た主人に息を吐けば、改めて向き合った彼女へと視線を向ける。同時に掛けられた問いには数回瞬きを繰り返し。突然どうしたのだろうかと目を細めつつ顎下に手を添えては、静かに思考を巡らせた後口を開き )
一般的には、甘え上手な娘が好まれるのだろうが──…君であればどちらでも良いな。

  • No.109 by 歌仙/霖  2019-10-13 20:36:44 





歌仙:
きみが料理か、久しいね。それなら向こうだよ。
( 彼女の口から出た洋菓子の単語に目を見開き、まだこの本丸が出来た当時のことを思い出すと懐かしさに笑みを浮かべ。手伝ってやりたいところだが、洋菓子はどうも己の領分ではない。そも曖昧な関係の異性に送る菓子は一人で作るべきだろう。一人で頷くと、彼女の腕を引いて店へと歩を進め。その最中、彼女の視線が先程から定まらないことに気付く小首を傾げるが、すぐに合点がいき。ここへ足を運ぶのも随分と珍しい彼女のこと、きっと色々な店に興味があるのだろう。それに気付いて歩調を緩めると、己も辺りを見回し。)
主、何か買ってあげようか。きみが着飾れば、きっと彼も喜ぶと思うけどね。

霖:
……私なら、どっちも好き?
( 自身の下らない質問に対しても真摯に受け取り思考に耽ってくれる彼の姿に目を細め。こんな相手に幼少期に出会い初恋を奪われたのなら、他の男性が目に入らないのも仕方ないのではないだろうか。想い人への好意に胸を暖めながら返事を待っていれば、予想外の答えに此方も幾度か瞬きを。主人に気を遣って言葉を濁したのか、それとも本心なのか。どちらにせよその返答に喜色を滲ませ、口許に弧を浮かべ。彼へと距離を詰めて見上げながら悪戯っぽく問いを投げ掛け、小首を傾げ。どうにか彼の口から「好き」と聞けないものだろうか、そのあかつきには目一杯揶揄するつもりなのに。)



  • No.110 by 日和 / 膝丸  2019-10-13 22:26:40 



→ 日和

え?──や、だ、大丈夫…!お洒落とか似合わないし、その…お金の無駄になっちゃうから…。ほら、行こう?
( 懐かしそうに笑みを浮かべた彼につられ、当時の事を思い返しながら頬を緩め。折角時間もある事だし、他の男士達用にクッキーでも焼いてみようか、なんて呑気に思案し。腕を引かれるままに歩みを進めていたも、不意に歩調を緩めた彼に彷徨わせていた視線を流しては、突然の申し出に目を丸くして。確かに色々な店に興味は惹かれていたが、物珍しさに眺めていただけであまり物欲はない。ましてや着飾るなどと考えてもいなかった事を口に出されては、焦った様にふるふると首を振り。腕を引く彼の手を逆に引き返しながら目的の店を目で探して )


→ 膝丸

…ああ、好ましいと思うぞ。
( 単に彼女以外の異性との交流がないからではあるが、今告げた事は本心からの言葉。彼女の幼い頃を知っている身として、無邪気に甘えて来たあの頃の姿も、素直に甘えられない現在の姿も、変わらず可愛らしいもの。喜色を滲ませて此方へ詰め寄る彼女に視線を落としては、悪戯に問い掛けられた内容に片眉を上げ。何処か揶揄いの色を含ませたその質問の意図を探るものの、どんな理由であれ何方の彼女も比べられないのは確か。変に勘繰って気持ちを偽る様な事はしたくない。真っ直ぐに見詰めていた視線を伏せ、ふっと表情を和らげては頷きと共に肯定を )

  • No.111 by 歌仙/霖  2019-10-13 23:53:03 





歌仙:
髪留めくらいなら費用もそう掛からないよ。それにきみは、年頃の娘だというのに洒落っ気がなさすぎるんだ。素材はこんなにも悪くないのに、主ときたら───。
( 此方の軽い提案に対し何をそこまで慌てているのか、ぐいぐいと腕を引かれると此方もむっと眉を寄せ。彼女は少々自分を軽んじすぎているきらいがある。己とて彼女の刀、主人に対しそのように言われては素直にはいそうですかと頷けるわけもなく。とは言え強く抵抗はせず、ただただ腕を引かれながら止め処なく小言を溢し続け。どうせ彼女は此処一体の店については詳しくない。これまで思っていたことを箍が外れたように羅列し、満足いくまで並べ終えると深い溜息を。所詮は彼女の自由なのだが、どうも己の美学に反する。宝の持ち腐れとはこのことを言うのだろう、腕を引く後ろ姿をぼんやりと眺め、ぽつりと呟き。)
…彼も、だらしないのは嫌だと思うけどね。

霖:
ふふ、ほんと?膝丸は私のこと好きなんだ。
それじゃあ、さっきのもやきもちかな?
( 柔らかな表情と共に肯定の意が返ってくると、水を得た魚のように喜色満面に彼へと更に詰め寄り。年相応の無邪気な笑みのまま彼の言葉を過大に受け取った振りをし、先程の「気に食わない」発言を再度引っ張り出し。我ながら彼への好意が昂ぶってやや高揚し過ぎている気もするが、政府からの苦言に落ち込んでいる時よりもずっと良いだろう。しかしすぐに彼からの否定で上塗りされてはつまらない。くすくすと一頻り愉しげに笑い、後ろ手に組んでいた手を再び彼の方へと向け、少し背伸びをして彼の白い頬を包み、目尻を親指で撫で。口から出た言葉は、揶揄目的の本心で。)
───大丈夫、私も好き。



  • No.112 by 日和 / 膝丸  2019-10-14 01:32:21 



→ 日和

か、歌仙さん?そ、んなに言わなくても…。
( 着飾る事に関心が薄く、髪留めすらも基本的には身に付けない。その為、今更外見に変化をつける必要もないとの判断で勢い良く断ってしまったが、それにより何らかのスイッチを押したらしく、後ろから小言を垂れ流されると戸惑った様にちらちらと視線を後ろに向け。おまけに店が何処にあるのかも分からず、聞くタイミングを逃したまま彷徨い歩いていれば、ふと後方から聞こえて来た呟きにぴたりと足を止め。そこで数秒ショックを受けた様に固まり。途端に目頭へとゆっくり込み上げてくる熱をぐっと堪えては、後方の彼へ振り返って弱々しく掴んでいた手を離し。呆けた様に疑問を口にした後、情けなくも泣きそうな表情で彼に助けを求め )
嫌…?私、みっちゃんに嫌われちゃうの?──うぅ、……やだ、歌仙。やだよぉ…、


→ 膝丸

な、そういう意味で言ったのでは──っ、
( 肯定を返した瞬間、瞬く間に彼女の明るい表情は満面のものへと変わり。更に距離を詰めた彼女から、無邪気に溢れていく言葉を聞けば咄嗟に否定を口し。まるで先程抱いていた嫉妬心を見抜かれていたかの様に指摘され、彼女の肩に手を乗せて狼狽するが、完全に否定する前に告白紛いの言葉を付け足されると言葉を詰まらせ。目尻を這う指先に目を細めながら眉を寄せては、どうにも質の悪い揶揄に溜息を。危うく勘違いする所であったが、彼女の好意は主人として刀を大事に想っているという意味合いなのだろう。先日危機感を持つよう告げた事は既に記憶の彼方なのか。彼女の髪に指先を軽く滑らせつつそっと顔を近付ければ、仕返しにと此方からも言葉を返して )
両想いか、それは良いな。君は俺と" 結婚 "してくれるのだろう?

  • No.113 by 歌仙/霖  2019-10-14 08:56:30 





歌仙:
な、何もそこまでは言っていないだろう…!
( 自身の芦のように長い小言は何も意味を成さなかったようだが、最後の呟きが一番効いたらしい。零した一言を拾い上げるや否や、前方を行く彼女の足取りがぴたりと止まって。掴んでいた手を離され疑問に首を傾けていると、此方へ振り返った彼女の表情に思わず肩を跳ねさせ。今にも崩れてしまいそうな表情はすぐにでも泣き出してしまいそうで、まるで幼い子供のようだ。往来の真ん中で女性を泣かせるのは流石に不味い。側から見れば完全に痴話喧嘩の末に相手を泣かせた男、といったところだろうか。情けないことこの上ない。慌ててその肩を掴み出来る限り優しい声色で語り掛け。)
彼がそんなことできみを嫌うはずがないよ、今まで一度だって嫌な顔をしたことがあったかい?

霖:
けっ……!?そ、それは、っ…。
( 可愛らしく狼狽するその姿に悪戯心は疼くばかり。普段はああも風格良い美丈夫だというのに、少し揶揄すればこうして泡を食ったように慌ててくれるのだからこの刀は狡い。にこにこと機嫌よく笑みを浮かべ、次はどう返そうかと考えていると、肩に置かれた手が自らの髪へと滑り、蜜の色をした瞳が迫って。形の良い唇から返された小さな意地悪に途端に頬が熱を持ち、咄嗟に出かけた否定を呑み込んで。ただの仕返しだということは分かっているが、それでもその言葉を否定するのが嫌で、自分の幼さと単純さに呆れが差す。彼のお嫁さんになりたい、だなんて幼稚な夢が、今も続いているとは彼も思うまい。悩ましげに視線を動かし一つ息を吸うと、溢れる羞恥に耐えながら思いきって呟くように返し。)
……でも、膝丸みたいな人のお嫁さんになれたら、幸せなんだろうな、って…。



  • No.114 by 日和 / 膝丸  2019-10-14 13:09:09 



→ 日和

うー……ない、けど。
( 近侍の彼に嫌われるのは当然耐えられないのだが、他の男士達にも嫌気が差されていたらと思うと目尻に涙が滲んでいく。しかし、主人として人前で泣く事は許されない。必死に堪えながら彼の優しく響く言葉を聞き入れれば、これ以上情けない顔は晒せないと顔を俯かせて。記憶を辿る限り、近侍が己に嫌な顔を見せた事は一度もなかった。けれどこれ以上だらしない姿を見られて、本当に嫌われたくはない。身嗜みを清潔に整えているだけではダメなのだろうか。しょんぼりとした声色で呟くように返事を返せば、肩に置かれた彼の手元の服を掴み、涙の引いてきた顔をそっと上げて )
歌仙、髪留め…買う。


→ 膝丸

──…そうだな。少なくとも、己の妻を悲しませる事だけはしないつもりだ。
( 仕返しに掛けた言葉により頬を赤く染め、先程の己同様に狼狽する彼女の姿を微笑ましく眺め。直ぐに否定と共に訂正されるものだと彼女の口から言葉が出るのを待つが、視線をうろつかせた彼女から出たのは予想外の呟きで。例えの話だとは理解しているが、そう言われて悪い気はしない。寧ろ、自分に誇りを持つ己には最高の褒め言葉だと言えよう。何処か満たされるような気分で口角を薄く持ち上げる。あわよくば本当に彼女を娶る事が出来れば良いのだが。そう叶わぬ事を願いながら苦笑を零しては、近距離にある綺麗な黒色の瞳と優しく視線を絡め )

  • No.115 by 歌仙/霖  2019-10-14 15:08:14 





歌仙:
…いや、主。別に無理をすることはないんだ。彼は狭量でもないんだし…。
( 目の縁にみるみる涙が溜まり、最後には俯いてしまった彼女に肩を竦めてその様子を遠巻きに眺め。泣かせてしまったのだろうか。普段雅だ風流だと口癖のように語っている癖に、人の心の機微に鈍いだなんて。共に自尊心を傷付けられつつ、傷心の彼女を見、袖を掴まれると皺がどうだと考えるよりも先にそのかんばせを窺おうと身を屈め。涙の引きかけたその目と視線が混じり、思わずほっと胸を撫で下ろし。しかし声色は依然沈んだままで、立ち直った訳ではないことが伺える。ごほんと一つ咳払いをすると、小言を全て撤回して彼女へのフォローを。これで機嫌は直るだろうか、ちらりと様子を窺い。)

霖:
……ね、朝ご飯、行こっか。
( 何処か満悦の様子で口角を上げる彼の言葉を聞くと、ほうと瞳を細め、絡まる視線に心地良さを感じ。瞳に映すのも腕に抱くのも、想いを募らせるのも、全てが己ならば良いのに。夢物語を描くなら、何も考えず彼に甘えられていたあの頃に戻りたい。もしも戻れるならば、彼と結婚したいと告げた際の返事を忘れず、十年間大事に覚えておくのに。幼い自分を羨めば何処か虚しく、物欲しげに彼を見詰め。彼の手を取り穏やかに微笑むと、そんな浅ましさはひた隠しにして。矢張り女性は甘え上手に限る。自身の中で結論付け、とても近いとは言えない自らに内心で溜息を。手を引いて執務室を後にし、既に朝餉後の業務のことを考え始め。)



  • No.116 by 日和 / 膝丸  2019-10-14 17:50:42 



→ 日和

うん。そう、…そうだよね。ありがとう、歌仙。
( 己が泣きそうな顔になっていたからか、気遣うようなフォローの言葉を口にする彼に申し訳なさを感じ。此方を窺い見る彼と視線を合わせてからゆっくり背筋を伸ばせば、気を取り直す様に片手で頬をぺちりと叩き。小さく何度か頷きながら徐々に声色を普段の調子に乗せ。思わず力を込めて掴んでいた彼の袖から手を離し、地味に残ってしまった皺を丁寧に伸ばして。だらしない己を心配し、小言を言ってくれる彼には感謝しなければならない。たった一言で弱気になってしまった自分を恥じつつ、一呼吸置いてふと周りのお店を見回しては、滅多に外出しないのだからと小首を傾げ )
──でもやっぱり…折角のお出掛けだし、記念に何か買っていこうかなぁ。


→ 膝丸

ああ、皆待っているだろうな。
( 暫しの間、至福の時間を味わうように視線を交え、高揚した気分に浸り。この時間がずっと続けば、目の前の彼女を独り占めする事ができるのだろうか。欲の混じった淡い願望は胸の内に仕舞い込み、手を取った彼女へと微笑みを返す。先程朝食は要らないと言っていたが、己と話している間に悩みが薄れたのであれば安心だ。引かれるままに足を動かしては、彼女の隣に並び立ちながら食事処までを共に歩き。しかし、隣を歩く彼女の表情には眉を顰める。真面目な彼女の事だ、きっと食事を終えた後の事を考えているのだろう。小さく肩を竦めて空いている手を伸ばせば、無理はしない様にと労わるようぽんぽんと頭を撫で )

  • No.117 by 歌仙/霖  2019-10-14 20:54:18 





歌仙:
それなら、是非僕が見立てたいけど…。贈り物なら、彼からの方が嬉しいかな?
( 立ち姿がゆっくりと直り、背筋が伸びていく様に段々と安堵が湧き。喝を入れるように頬を叩き、小気味良い小さな音を境に声色から普段の落ち着きが伺えるようになり、再び胸を撫で下ろし。ずっと握られていたため皺が刻まれてしまった着物については後でお説教だが、それも今ではあるまい。周囲を見回し、先程よりも興味の湧いた様子の彼女に何処か嬉しげに問うと、幼子に接するようにその髪を軽く撫でてやり。己も辺りを見渡し、店頭に並ぶ様々な商品をざっと確認し、何か思うところがあったのか再び視線を彼女へ。)
ああ、きみが彼に何か贈っても良いかもね。

霖:
────お、おわった…。漏れなし不備なし、全員分…!
( 最後の書類に押印をし、感慨深く思いながらその紙面を何度も何度も眺め、悦に浸る。彼の激励もあってか、それから数週間もしない内に残りの男士を顕現させることが出来た。今朝励起させた分の刀の書類を今しがた纏め終えたところで、これを提出すれば一先ずスタートラインに立てるのだと思うと目頭が熱くなる。溜息と共に背後へと倒れ込み、畳に身を預けぼうっと天井を見詰めて。ここ最近はずっと身体が怠いが、これで精神的負担もなく休めるようになるだろうか。安心から気が緩み、気付けば瞼は下がり始め。室内にはまるでいつかのように小さく寝息が聞こえ始め。)



  • No.118 by 日和 / 膝丸  2019-10-14 22:55:59 



→ 日和

ふふ、それは勿論嬉しいけど、歌仙が見立ててくれたものでも充分嬉しいよ。──…なるほど、みっちゃんに贈り物かぁ。
( ある程度皺を伸ばしたつもりだが、一度ついたものは中々消えない。綺麗好きの彼には悪い事をしたと内心反省するも、嬉しげな様子で頭を撫でられると表情を和らげて。無論、意中相手からの贈り物は嬉しいのだが、自分から物を強請る程の図々しさは持ち合わせていない。それに、センスの無い自分に物を見立ててくれるならば誰からであろうと喜ばしい事。先程の失態は記憶の片隅に追いやり、のほほんとした口調で彼を見れば、次いだ提案にほうと目を僅かに輝かせ。彼の物ならば選びやすいだろうか。再度並び立つ店に視線を流しながら思案しては、異性への贈り物には何が相応しいのかと小首を傾げて )
うーん、何が良いんだろう…。


→ 膝丸

──…主、茶と茶菓子を持って来た。少し休憩にしないか?
( 政府からの文が来て早数週間、本丸立て直しの為に主人を陰ながら支える日々を過ごしていたのだが、とうとう本日で全ての男士を顕現し終え。大変喜ばしい事に気分が高まるのは当然のこと。彼女が書類を纏める間、仲の良い兄刀に付き添ってその喜びを伝えながら過ごしていたが、ふと時間を見てそそくさと厨へ足を運べば、そろそろ休憩をと盆に茶と茶請けを用意して執務室へ向かい。襖の前で止まると驚かせない様に声を潜めて声掛けを。しかし、物音一つない事に首を傾けては片手でそっと襖を開け、畳に転がって寝ている彼女を発見し。疲れていたのだろう、卓上に盆を置いて彼女の傍まで近寄ると腰を下ろし、その愛らしい寝顔を視界に捉えながら指先で頬を撫で )
……眠っていたのだな。

  • No.119 by 歌仙/霖  2019-10-14 23:51:09 





歌仙:
これは僕よりきみの方が分かるだろうね。しっかり予算と相談して決めるんだよ。
( 先程とは打って変わって随分と穏やかになった彼女の表情を窺いながら、店先に並ぶ色取り取りの物品に視線を向け。己はついつい骨董品などに目が行ってしまうが、初太刀の彼ではあまり向かないだろう。元は同じ刀とはいえ、人の身を与えられれば趣味嗜好は細かく異なる。料理に興味を持つという点では共通した彼を思い浮かべ、思案に耽り。厨関係の贈り物ならば助言は出来るが、それでは女性が男性に贈る物としては少々色気がないだろうか。そういった気がないにしても、多少なりとも洒落た物の方が雰囲気も作れる。どうしたものかと辺りを見回し、目に付いた店にふむ、と顎を引き。)
櫛だとか、手鏡だとか、なのかな。難しいね。

霖:
………ん、…ひざまる、…?
( 固い畳の上で取る睡眠は浅く、転寝の中で幼い頃の夢を見た。とはいえ結局頭の中は彼のことばかりで、無邪気だった頃への憧れが夢路にまで表れたのだろう。抱擁を強請れば困ったように笑い、優しく頭を撫で、宥めるように声を掛けられる。祖父の手前少し気まずげな彼は今見るととても可愛くて、思わず笑みが零れる。彼の手が髪から頬を伝い、指先に擽られ──薄らと、視界が開け。見えるのは先と変わらない天井、変わらない彼。一体何が違うのか、微睡みと現実が曖昧になった頭では判断がつかず、不思議そうに瞬きを。途端溶けたように笑みを浮かべると、彼を見上げたまま緩く腕を広げ、眠気で舌の回らない幼い口調でおねだりを。)
…膝丸、ごほうびは?



  • No.120 by 日和 / 膝丸  2019-10-15 01:12:05 



→ 日和

櫛?…──あっ、これ、これがいい。みっちゃんに似合いそう。
( 母親の様な事を言う彼に苦笑しながら店頭の商品を眺め、男性でも使えそうな小物等を真剣に探し。生まれてこの方異性への贈り物を選んだ事など一度もない。その為、様々な種類の中からたった一つを選び抜ける気がせず。最初の絞り込みすらままならない状態で首を唸らせていたも、共に悩んでくれていた彼から出た言葉に反応するとその店へと歩み寄り。商品を一つずつ興味深そうに眺めていく最中、とある櫛を目にするなりぱっと表情を明るくし、壊さない様両手で取って彼の前に差し出してみる。艶のある黒を基調とし、金色の模様が細かく入ったシンプルなものだが、近侍の彼に色合いが似ている気がする。しかし何とも安直な理由の上にセンスにはあまり自信がない。こんな物で喜んでくれるだろうかと心配げに彼に確認を )
あの、えっと、どうでしょう…?


→ 膝丸

っと、すまない。起こすつもりは──……主?
( 何か夢でも見ているのか、穏やかにも見える寝顔に微笑を浮かべ。押入れから布団を引っ張り出そうかと彼女から目を離し、そっと腰を浮かせたところ、不意に下から舌足らずな声が聞こえて来ると動きを止め。己が頬に触れたからか、折角の睡眠を邪魔してしまった事に謝罪を並べつつも、溶けた笑みを浮かべて可愛らしいお強請りを要求されると驚きに一瞬目を見開き。何処か懐かしさを感じる光景にゆっくりと目を細めていく。幼い頃の夢でも見ていたのだろうか、あどけなさの残る彼女の様子にふと笑みを零しては、広げられた腕を優しく引いて上体を起こし。いつ正気に戻るかと考えながら子供をあやす様に小さな身体を抱き締めて )

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