とくめい 2019-09-25 09:21:08 |
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→ 日和
えっ、や、やだやだ待って──…歌仙に聞くのはダメ、だよ。ぜったい。
( 主人としての己を、彼は随分と慕ってくれていたのだろうか。すんなりと了承を得られない現状に嬉しくも困り果て、複雑な心境がぐるぐると頭を巡る。突然無理を押し付けているのは己だと言うのに、決して責めたりしない彼の優しさに甘えて押し切るつもりでいたのだが、その考えすらも甘かった様で。手遊びをじっと眺める最中、突如耳に入れた名には弾かれた様に顔を上げ、咄嗟に身を乗り出す。無論初期刀がそう易々と己の好意を暴露してしまう事はないのだろうが、似た様な事を仄めかされては堪らない。勢い余って傾く身体を支えるよう片手を畳、もう一方を彼の膝上に軽く添えては、何処か必死さを含んだ真剣な面持ちで真っ直ぐに見詰め )
→ 膝丸
…心配せずとも、俺が夢中になって欲しいのは君一人だ。
( 埋めていた顔を上げ、眉を寄せた表情にはやはり違う答えを返すべきだっただろうかと苦笑を浮かべたも、彼女から零されたのは別の心配事で。そのまま再度顔を胸元に埋め、布団にすっぽりと覆われてしまった彼女には小動物の様だと薄く笑みを。昔から向けられ続けた好意に絆され、こうして主従関係を壊したいと思う程心を奪われているというのに、どうやら彼女には全てを伝えきれていないらしい。先の質問でもそうだが、己の好みを挙げるならば正に彼女が理想の女性なのだ。今更他に目移りする気はないし、そもそもこういった口説く様な台詞を好意もない女性に告げる事はあり得ない。故に彼女の懸念するような事態にはならないと言いたげに言葉を付け足し、ぽんぽんと背を軽く叩いて )
それに、俺はもう君に夢中なのだからな。
燭台切:
───ッわ、あ、主?ほら、一回落ち着こう、分かったから。
( 萎れていたと思えば、初期刀殿の名を聞くや否や跳ねるように顔を上げる彼女に肩を揺らし。何度か瞬く間にも身を乗り出して距離を詰められ、己が腿へと小さな手が乗せられ。こんな状況だというのに、彼女に触れられたことへの喜びと安堵が押し寄せるのは自身のみの秘密だ。一先ずは軽く手を振ってみせて宥め、きっとこの体勢のままではまた慌ててしまうだろうと肩を押し、ゆっくりと姿勢を戻して。しかしこの反応だと、きっと彼には思いの丈を全て話しているのだろう。聞いたとて口を割るとは思えないゆえ問いはしないが、己には言えず初期刀には言える、という事実に無意識に眉を寄せ。先程から思考が捻じ曲がっていて、自分で自分が嫌になる。気取られないようになるべく明るい声色で場を繋ぎ。)
でも、歌仙くんなら上手く暈して言ってくれると思ったんだけどね。やっぱり駄目?
霖:
………ねえ、ちゃんと寝るから、……もう一回だけ、だめ?
( 厚い布を一枚隔てた向こうから、ぐずぐずに蕩けてしまいそうになるほど甘く、喜ばしい彼の声が聞こえ。無意識に身を捩り、互いの体温を取り零さないように身体を密着させ、もぞりと布団から顔を出し。腕を伸ばして頬を掌で撫で、切なげに瞳を揺らし。彼からの愛がもっと欲しい。言葉だけではなく、この身でも寵愛を受けたい。滑らせていた手が輪郭をなぞり、女性的とも捉えられる細い顎へと。ふと先程の唇を合わせた感覚が一度頭を過ぎると、思考は接吻で埋め尽くされ。とは言え、咎められ制止を掛けられたばかり、矢張り許してはもらえないだろうか。意図的に模倣したわけではないが、丁度先の彼のように指先を唇に添わせ、形を確かめるように縁を優しく撫でり。)
→ 日和
──絶対、ダメです。
( 驚く彼の様子にはっと自らの行動を振り返るが、テンパってしまう前に肩を押されると大人しく身を引き。止める為とはいえ、距離を置きたいと思っている異性にあの詰め寄り方は良くない。一度顔を逸らして咳払いすると冷静さを欠いた己に深く反省を行い、明るく繋がれた言葉には再度視線を戻して短くもしっかりと返答を。初期刀がいくら上手く暈して説明しても、察しの良い彼には大体の事が伝わってしまいそうで。それは大変宜しくない。もしも此方の気持ちに勘付いた彼から変に避けられるような事があれば、暫くの間部屋から一歩も出ずに引き篭もる事間違いないだろう。しかし、彼が納得出来るような理由が必要なのは確か。いっそ今ここで盛大に玉砕してしまえば後に引く事もないだろうか。半ば自棄に近い案が頭を過るものの、数秒視線を彷徨わせてから息を吐くと軽く首を振り )
……みっちゃんには都合の悪い事だから、知らない方が良いと思う。きっとすごく困っちゃう。
→ 膝丸
…主は欲張りだな。
( 彼女からの返答は得られなかったが、更に身体が密着した事から悪い様にはならなかったらしい。布団に包まれ、隣でもぞもぞと動く小さな彼女に愛しさは募るばかりで。少しして布団から顔を覗かせたのを見遣れば、此方に向かって伸びてきた手を目で追うものの、細指が輪郭を辿る擽ったい感覚には目を細め。何を意図した行動なのかと暫しされるがまま彼女の様子を窺うも、先の己の触れ方を真似て口吸いを強請られては一つ瞬きを。想いを寄せる相手からのお強請りを断れるわけがない。寧ろまだ物足りないとさえ感じていた己としては大歓迎なのだが、口から溢れたのは先程好き勝手に煽られた事へのお返しの言葉で。また意地が悪いと言われてしまうだろうか。唇に触れる彼女の手を取って顔を寄せると、言葉を発さぬよう優しく唇を重ね )
燭台切:
でもね、主。こうして確執を残したままにするのが一番良くないと思うんだ。
( 短く簡潔に、そして力強い返答には思わず苦笑を。駄目と言われると実行してみたくなるのが人の身の面白いところだが、ここまで念押しされると流石に良心に響く。笑みを引かせると、緩く首を振る彼女の姿に眉尻を下げ。肩に置いた手を彼女の柔髪へと移動させ、櫛で整えるように上から下へと梳いてやり。指をすり抜ける滑らかな感触に笑みを浮かべ、小さな子供を諭すように穏やかな雰囲気のまま、口を開いて考えを述べ。このままでは邪推が邪推を呼び、結局近侍として彼女の元へ戻れる気がしない。側仕えの任を解かれなかったとしても、きっといつまでも気を遣って壁を作ったままの主従関係となろう。それはきっと、互いのために良くない。呼吸を落ち着け、目を細め。)
…嫌になったなら、それでも別に構わないんだ。ただ今後のために、ちゃんと言ってほしいだけ。
霖:
ん、ッ────…。…欲張りなあるじは、嫌?
( 聞こえたその言葉はお咎めなのか指摘なのか、或いはただの意地悪なのか。意図を図りかねたまま、音を発する間も無く唇が重ねられる。握られた手を弱く握り、最後の発言のせいで此方から求めることも出来ず、ただただ瞳を閉じ、与えられる感覚に身を任せ。それでも耐えきれず身動ぎしてしまう自身は、彼の言う通り欲張りなのだろう。吸い付きたくなる衝動をぐっと堪えて唇を離し、自制のためにぷいと顔を背け。自信なさげな小さな声で問いを掛け、ちらちらと目線を彼へと投げて不安げに様子を窺い。もしも返ってきたのが否定なのだとしたら──、熱っぽく彼の唇へ視線を遣り、顔を伏せ。)
→ 日和
みっちゃんに問題はないの。これは本当。すごく頼りになるし、寧ろ君には感謝してます。…ただ、その──最近、えっと、気になる子が……。
( 最早距離を置く事を諦めるか、内に秘めたる想いを吐露するしか選択肢はないのだろう。髪を撫でる手付きに心地良さを感じながらも、浅ましい胸の高鳴りには眉を寄せ。静かに彼の言い分を聞き入れる。こうなると一方的に与えてしまった確執を残し、一人楽な方へ逃げる事は出来ない。本心を打ち明けても、隠し通しても、結果的に互いが気まずくなる事には変わりないのだろう。ならば彼を近侍として側に残しておくよりは、潔く玉砕して他の男士を側に据える方が気持ちを切り替えられる。暫しの逡巡後、小さく深呼吸を繰り返してから漸く彼に視線を落ち着かせ。ゆっくりと言葉を整理しながら紡ぎ始めるも、未だ覚悟が足りずに肝心な所で言い澱み。そのまま緊張と羞恥心により詰まらせてしまうと、勢いが途切れた途端に赤みを帯び始める頬を両手で覆い、もう一度仕切り直す為くるりと身体ごと背を向け )
→ 膝丸
──…まさか、欲張りなくらいが丁度良い。
( 己が呟いた言葉は予想よりも彼女に響いたらしく、重ねた唇から伝わるぎこちなさに疑問が芽生え。控え目な触れ方は心地良いが物足りない。もう少し口付けを深めても良いだろうかと考える最中、名残惜しくも唇が離されてしまうと伏せていた瞼を上げ。目前で顔を背けている彼女の様子には小首を傾げる。もしや先の言葉に怒ってしまったのだろうか、だとすれば謝罪は早い方が良い。瞬時にそう結論付け、早速と口を開きかけたのも束の間、小さな声で発された問いにはぴたりと動きを止め。どうやら己の心配とは別の事で気を揉んでいたらしく、何とも健気でいじらしい。彼女から送られる視線に微笑ましく表情を緩めては、安心させる様にと柔らかく言葉を返しながら彼女の顎を指先で掬い上げ。反応を窺うようにじっと瞳を覗き込み )
燭台切:
ああ、───いや、いいよ。皆まで言わなくて平気。
( 此方の言い分を呑んでくれたらしく、静かに開かれる唇に背筋を伸ばし。髪を撫でていた手を下ろし、真っ直ぐに向けられるその視線を受け止めていると、矢張り言い辛いのか言葉が籠り。ぷつりと言葉が途切れると、白い頬を染めて恥ずかしがる彼女の姿と、先の言葉にふっと背中を曲げ。気になる子、というのは勿論、想いを寄せる相手が出来たということだろう。余り本丸から出ることのない身、相手は当然自らの刀。だとすれば、更に意中の彼と接するために近侍を変えたいということか。合点と共に身体に疲労と倦怠が回り、後ろ手に畳に手を突き。懸命に言葉を繋ごうとする彼女に、なるべくいつも通りの笑みを向け。一番近くにいるのは己だと思っていた反動で、自らの驕りが無様で仕方ない。)
それなら仕方ないよね。大人しく近侍は下りるから、安心して。わざわざ言わせちゃってごめん。
霖:
それなら、…えへへ。膝丸も、もっと欲張りになって?
( 表情を和らげる彼に安堵し其方へ顔を向け、与えられた言葉に曇っていた表情を晴らし。安堵に頬を緩ませて顔を持ち上げられ、優しい金の瞳をうっそりと見詰め。時間の流れがもっと緩慢になり、この時がずっと続けば良いのに。そんな御伽じみた想いを描く程に心地よく、幸せが笑みとなって溢れ。今すぐにでも更に深い口付けを交わしたいのはやまやまだが、此方一方のみが多欲では些か面白みに欠ける。彼の首裏へと腕を回して抱き付き、声色に幾らか甘さを織り込んで。優しいところは間違いなく美点だが、想い人から強く求められたいとも思ってしまう。恬淡なのか我慢しているのかは分からない。伸ばした腕で彼の髪を優しく撫で、子に言い聞かせるように首を傾げて。)
→ 日和
違う、違うの。そうじゃなくて、……私が気になるのは、みっちゃん、だから。そこは勘違いしないで。
( 伝えると決めて尚濁してしまう自身の臆病さが憎い。早く訂正して想いを告げなければと熱を冷ましながら呼吸を整えるものの、背後から聞こえるのはいつもと変わらぬ声。誤解を与えるのは今ので何度目だろう、こうも煮え切らない己が態度には呆れを通り越して腹が立ってくる。勝手な感情を抱いた挙句彼に謝らせてしまった。ぐっと拳を握り締めて背けた身体を再度彼と向き合わせ、訂正と共に先程言えなかった想いをぽつぽつと吐露し。念を押すようにしっかり告げた後、彼が口を開く前に片手を突き出すと、元より想いを消す為の近侍変更なのだからと返事が不要な事を先回りして伝え。その後地味に腰を浮かせながら襖へ視線を移動させては、せめて代わりの近侍に対する反応を貰ってから退散をと、以前近侍を担っていた上に事情も知っている初期刀の名を告げ )
──な、何も言わないでね。返事は考えなくていいの。早く忘れて欲しいから……ええと、次の近侍は歌仙に任せます。
→ 膝丸
そうだな。…今回ばかりは、素直に煽られるとしよう。
( 顔を上向かせた事で、何処か蕩けた表情を見せる彼女とじっくり視線を交わらせ。此方に向けられる愛らしい笑みを甘受する。己が主人は何故こうも無防備で大胆なのか、もし自分にするのと同じ様な事を他の刀剣にもしていたら。そう考えただけでも独占欲は黒く滲んでいく。彼女の全てを己だけのものに出来ればなどという浅ましい考えを軽く振り払い、不意に首裏へ回された腕には静かに瞬きを。彼女のこの言動が無意識のものなのか、意図されたものかは分からない。しかし、たまには触発されてみるのも悪くないだろうかと口角を上げては、瞳をそうっと閉じながら再度互いの唇を重ね合わせ。啄ばむ様な触れ合いを数回楽しんだ後、更に求めるよう徐々に口付けを深めていき )
燭台切:
────え、?
いや、ちょっと待ってよ。その、…それで、どうして僕の任を解くことに繋がるの?
( 再び此方へと向き直った彼女をしかと見詰め、次の言葉を待ち。桜色に色付く唇が動き、怪訝そうに見据え、紡がれた予想外の言葉に目を丸くして。口を開きかけたところを先を越されて牽制され、腰を浮かせる彼女に慌てて細い手首を掴んで待ったを掛け。胸の内を明けられてしまったが、どうも今までの会話と繋がらない。嬉しく思いはするが、呑気に喜ぶわけにもいかず困惑を露わにし、一先ず腰を据えて話そうかとそっと肩に手を乗せ。己を愛しく思うと言うのなら、それこそ側仕えを任せるのではないか。好いた人の側にいたいのは己とて同じ、しかし主人は距離を置こうとしている。納得いかないままに下唇を噛み、不可解そうに表情を歪めて。)
霖:
ん、……っふ、───…ひざ、まる、…。
( 危機感がないだの男として見ていないだのと普段咎める言葉ばかり返す彼が、やっと素直に絆され嬉しげに目を細めて。触れ合う唇に睫毛を下ろし、啄ばむような甘い口付けを享受して。段々と深く求められるように繋がりが濃くなり、此方からも身を寄せて彼の身体を抱き締め、手触りの良い薄緑の髪を掌で撫で。間に流れる甘露な雰囲気に、段々と主人と刀という垣根がどろりと溶かされていくのを感じる。眠りに落ち、目が覚めれば再び主従の関係に戻るというのに、彼への想いは止まることを知らず沸き立ち。ちゅう、幼げな音を立てて唇を吸い、薄く瞳を開けると恍惚とした様子で整った風采を見詰め。ぽすりと枕に頭を預け、そのままの距離で向かい合い。優しく彼を撫でつつ、名残惜しげに呟き。)
……寝て起きたら、ちゃんと主に戻れるかなあ。
→ 日和
──…ちゃんと主に戻るためなの。みっちゃんも、皆も、困らせたくないから…気持ちの整理しなくちゃいけなくて。
( 日頃のお礼に菓子を振る舞って休息を取ってもらうつもりが、悩みを持ち掛けた挙句に想いまで吐き出し、彼には気苦労を掛けてばかりだ。一体何をしているのかと自己嫌悪に浸る中、不意に手首を掴まれては肩を跳ね、襖に向けていた視線を控え目に彼へと。正直、今この場に留まるのは精神的に不味いのだが、彼に疑問が残るのであれば解決しておかなければならない。肩に乗った手に促されるまま腰を下ろし、羞恥含め自身に対する不甲斐なさを重く感じながら目頭が熱くなるのをなんとか堪え。歪められた彼の表情には眉を下げる。やはり彼の為にも言わない方が良かったのだろうか、余計に拗らせる様な事にならなければ良いのだが。居心地悪そうに身動ぎながら質問に答えていくものの、噛まれた下唇に気付くと触れないよう軽く口元に手を伸ばし )
…痕、ついちゃうよ。
→ 膝丸
は、──……俺も、一刀剣に戻れる気はあまりしないな。
( 深く、深くと求めるような甘い口付けをじっくりと堪能し、歯止めが効かなくなりそうな程に思考は蕩けかけ。髪を撫でる彼女の手の感触に理性を保ちながら、短くも長い甘美な時間を味わい。唇を重ね合わせる毎に彼女への愛しさは段々と募っていくばかり。主人に対する加虐心など持ち合わせていない筈なのだが、無性に壊してしまいたくなるのは何故か。己の危うい思想に自然と寄っていた眉間の皺を和らげつつ、可愛らしい音を立てて唇が離れると小さく吐息を吐き。近距離で向かい合う彼女へと薄く瞳を開いて視線を遣れば、顎を捉えていた手をその柔頬へと滑らせながら呟かれた言葉に笑みを零す。想いを断たれたというのに、こうも距離を縮めてしまっては完璧に主従関係へと戻れはしない。けれども主人の為、本丸の為に己が出来る事は限られているのだろう。ならば己は全力で励む事を考えなければ、なんて名残惜しく思う気持ちを抑えて一つ瞬きを )
だが、近侍としての務めは何であろうと果たすつもりだ。
燭台切:
っ……だから、だからね、主。良い?よく聞くんだよ。
( 依然バツの悪い表情ではあるが、素直に腰を据え直してくれる彼女に少し安心し。しかしその表情に笑顔が戻ることはなく、これから夕立でも来るかのように曇った表情に此方も眉を下げ。質問に答えるべく唇を開いた彼女を見詰める。主に戻るため。脳内でその言葉を復唱し納得しかけたが、後に続いた文言にぴたりと動きを止めて。原因の重みは、己ら刀剣と彼女の内心、どちらが重たいのだろうか。自身は主君であるあの娘を、憎からず思っているのは常々そうだった。言い切れるほどはっきりとした好意ではないが、確かに独占欲も湧くし、庇護欲だって湧く。これを恋心と形容するのは、世間から見ても容易いのだろう。此方へ伸びる細い指に気付き肩を揺らすと、未だ考えも纏まらないまま小さなその手を包むように取り、距離を縮め。)
───少なくとも僕は、困ってなんかいないんだ。
霖:
何であろうと、…。
───ねえ膝丸。じゃあ、悪い主に夜伽の相手を任せられたらどうするの?
( 頬を撫でる手に表情を和らげながら、目の前の美丈夫を見詰め。緩く粉を描く形の良い唇が、今先程まで口付けを交わしていたものだと思うとどうにも気持ちが昂ぶってしまう。堪えながらも彼らしい誠実な言葉を受け止め、ふと彼の言葉に引っ掛かりを感じ復唱し、頭の中で整理がつくと悪戯に口角を上げて。布団の中で密かに彼と自身の脚を絡め、触れ合いを楽しむように頬にある掌へ頬擦りを。反応を愉しむための少々意地悪な問いを彼へと掛け、恥ずかしげもなくさらりと述べ。無論、想い合う人との初めての閨事を命令で終わらせてしまうなどする筈もないが。深く奥行きのある金色を静かに見詰め。)
→ 日和
う、ん?──ふふ、本当に君は優し過ぎだと思う。ごめんね、ありがとう。
( 触れてしまわないよう伸ばした手は空を切り、そのまま自身の膝上へ引っ込めるつもりでいたのだが、気付けば彼の手に包み込まれており。心なしか縮まる距離を気にする余裕もなく、告げられた彼からの言葉には目を瞬かせる。主人に想いを寄せられた状態で、困っていないとはどういう意味か。首を傾けながら意図を探るも、彼なりの気遣いからくる言葉であれば納得出来る。優しい彼の事だ、変に気張らないように言ってくれたのだろう。いつまでもその優しさに安堵してしまう自分が情けない。漏れ出そうになる溜息を抑えて緩く表情を崩し、気持ちを自覚する前に下心から変更した呼び名を戻しながら、先より近くなった距離間を離すべくじわりと後方へ下がり )
でも燭台切、こういうのはその……余計に意識しちゃうからダメだよ。言ったでしょ、君の主はちょろいって。
→ 膝丸
愚問だな。──この本丸の主が、軽はずみにそのような命を下す事はない。…少し恥じらいは足りぬようだが。
( 何か引っ掛かりを感じたのか、復唱される己が言葉に内心疑問符を浮かべていたも、ふと彼女の口角が意味深に上げられると目を細め。また良からぬ事で揶揄してくるのだろうか、なんていう予想は見事に当たり。互いの脚を絡めて己の手に頬を擦り寄せ、羞恥も無く問い掛けられた衝撃の単語には動きを止め。此方の言い方が悪かったのは承知の上、しかし異性相手にこうも恥じらいがないのは如何なものか。それに毎回彼女の揶揄に心を乱されていては男として格好がつかない。内心の動揺に気付かれないよう静かに一言口に出すと、敢えて問いに対する答えを避けた言葉を続け。頬の手をこめかみから後ろへと髪を梳く様に流しながら、最後には彼女に対する揶揄を添え )
燭台切:
意識させるために言ったんだけど、…伝わらなかった?
( 小心な彼女のこと、パニックになってしまわないよう小さな手をしっかりと握っていたが、取り越し苦労だったらしい。何か意図を履き違えて解釈したらしい様子に金色を細め、距離感を整えるため後方に下がる彼女の手をぐっと此方へと引き寄せ。雰囲気を整えることは好きだが、こうしてまどろこいのは飽き飽きだ。逃さないよう肩へと腕を回して緩く抱き留めると、先んじて宥めるように優しく頭を撫で。華奢な肩に顎を乗せるようにすると、なるべく穏やかな声色で小さく囁き。これでも未だ煙に巻かれるだろうか。勘付かれないよう密かに息を整え、細い肢体を深く抱き締め。)
───…僕も同じ気持ちだから、困らないって言ったんだよ。
霖:
…膝丸にだけだもん。
( ぴたりと硬直してしまう彼の様子に笑みを更に深くし、次に来る言葉を楽しみに待ち。慌てて拒否するだろうか、それとも満更でもないと頷いてくれるだろうか。動揺の色を見逃さないよう彼を見詰めていたも、何も反応もないままに返事を告げられ目を丸めて。その答えは何処か論点がずらされ、おまけに揶揄までついてきてしまった。むっと唇を尖らせて彼を見据え、拗ねた子供のように呟き。頬から髪へと移った手の動きにすぐに絆されてしまうわけだが、相手が彼ならば無問題だ。心地良さから段々と眠気と怠さが増し、重たい瞼で瞬きを。絡めていた脚はそのままに、そっと彼の身体へ腕を回して。甘えた声色で口を開き。)
…もっといちゃいちゃしていたいけど、眠くなってきちゃった。
→ 日和
燭台切…?えっと──っ、……ううぅ、頭いっぱいでまとまらない。
( 距離を取るどころか、手を引く力に身体はあっさりと傾いてしまい。流れる様な所作で肩を抱き留められては呆然と目を丸め。一体自分の身に何が起こっているのか、頭を撫でられる感覚に言葉を詰まらせながら狼狽し、直ぐ傍で囁かれる言葉を何とか頭に入れる。しかし、こうも密着した体勢では上手く頭が働いてくれない。同じ気持ちというのは、つまり己に好意を持ってくれているという事だろうか。本心と優しさの区別が曖昧で、徐々に火照りゆく顔を彼とは反対方向に背けながら考えるが、どくどくと耳に響く程騒がしい鼓動のせいで正常な判断が出来ていないのは確か。そんな状態で自惚れるのはあまりにも危険。ここは一旦部屋の隅にでも身を丸めて心を落ち着かせたいと彼の肩を押して身を捩り )
…これ、ちょっと、離して欲しい…。
→ 膝丸
──ああ。では、もう寝るとしよう。
( 此方の思惑通り不服げな様子で唇を尖らせた彼女をしたり顔で見詰め返すも、呟かれた言葉にはふと表情を緩め。己だけに恥じらいが欠如するというのは解せない部分がある。しかし、何振りといる刀剣の中から己を選ぶ主人の声はとても心地良く。ほんのりと感じた不満を払拭し、幸福感に満たされる心をぐっと胸中に収めながら滑らかな髪をするりと撫でやるも、次第に彼女の瞳が眠たげにとろんと瞬かれては緩やかに口角を上げ。午睡すると布団に潜ったというのに、触れ合いたい欲が勝り睡眠を先延ばしにしてしまった。そろそろ切り上げようかと一つ頷いて見せ。寝て起きた際には気持ちの切り替えが出来る様にと戒めながら、彼女の背に腕を回してやんわりと抱き込み )
燭台切:
だーめ、駄目だよ。離したら逃げちゃうでしょ。
( 腕の中の小さな身体から伝わる狼狽と戸惑いは矢張り予想通りのもの。分かりやすい反応に喉を鳴らして笑みを零し、背いてしまう小さな頭を撫で続け。嫋やかな力で肩を押されているのだと分かると固辞を示し、抱き寄せる腕に力を込めて更に身体を密着させ。ぐっと距離の近いた彼女から感じる心拍の大きさがより一層愛おしさを助長させ、髪を撫でていた手を下ろして耳の縁をなぞり、空いた空間を埋めるように髪筋へと鼻先を埋めて。睫毛を下ろして五感の一つを閉じると、有り有りと感じる彼女の香りにふっと息衝き。浮き足立つ可愛い子とは傍目に、至極落ち着いてしまう己に若干の負い目を感じつつも大切にその身を撫で続け。)
霖:
───…ん、おやすみなさい、膝丸。
( 優しく緩められる表情に瞳の黒を揺らし、彼の腕に引き寄せられるがままに胸へと抱き締められ。精悍で雄偉な身体に敬慕を深め、今更ながらの気恥ずかしさに薄らと頬を染めて。彼に撫でてもらっていた髪を手櫛で纏ると一度彼の顔を見上げ。深い輝きを放つ宝石のような瞳の奥に宿る温かさを感じ、心地良さから目尻が下がるのが分かる。薄緑色の髪をそっと耳に掛けてやり、背筋を伸ばして顔を近付け。名残惜しさを隠そうともせずもう一度唇を重ね合わせ、自身の中の欲を抑えて触れるだけに留め。愛しい感覚に包まれ静かに離れると、十を百をと欲しがる情を諌めて彼の胸へと顔を埋め。目が覚めれば普段通り。よく言い聞かせると、気怠さに背を押されて瞼を落とし。)
→ 日和
ひ、ぅ──…な、なんで余計に近くするの、離してって言ったのにぃ…。
( そこそこ力を込めて肩を押していた筈が、体格の良い彼相手ではその抵抗も意味をなさず。寧ろ密着していく身体に段々と羞恥心は煽られるばかりで。耳の縁をなぞる指先の動きに小さく肩を震わせながら、弱々しく情けない声で文句を口にし。離してもらえないのならどうすれば良いのか、距離を取らない事には彼の発言の意図を考える事も出来ない。本当に互いに想い合っていると自惚れて良いのだろうか。ぐるぐるとループする思考に口をへの字に曲げ、どうにかこの逞しい腕の中から脱出できないかと思案を。しかし髪へと顔を寄せ、好き勝手に距離を縮めていく彼の動きを制止する術もなく。忙しない心音を必死に抑え込もうと深く呼吸を繰り返し。徐に肩を押す手を緩めて服を握ると、絞り出すような声で稚拙な言葉を投げながら真っ赤な顔を肩口に埋め )
……心臓爆発しちゃう、むり、燭台切のばかぁ。
→ 膝丸
──…おやすみ、主。
( 胸に抱いた小さな彼女を優しく見下ろし、ほんのりと赤らんだ頬を目にすると満足げな息を零す。あれだけ大胆な事をしておきながら、何気ない所で恥ずかしがってくれるのだから堪らなく愛しくなる。再度ふつふつと気分が高揚していく感覚に金の瞳を細めるものの、邪な思考は直ぐに分散させ。彼女の細指により視界を邪魔していた髪が耳に掛けられては、徐々に近付く距離にそっと瞼を下ろし、触れ合うだけの口付けを甘受する。今限りで彼女と仲睦まじく共寝する事は出来なくなるのだろう。不服ではあるが、本丸の再生が未だ不完全なのだから仕方ない。そう自分を窘めながら胸元へと顔を埋める彼女の髪に唇を寄せ、低く潜めた声で就寝の挨拶を。その後束の間の幸福を味わうようにゆっくりと瞳を閉じ、自ずと訪れた睡魔に身を委ね )
燭台切:
ごめんね、嫌だった?でも、僕も逃げられるのは嫌なんだ。
( 子兎のように小さく震える腕の中の彼女に、庇護欲を唆られて仕方がない。元々弱かった抗いが更に弱まり、ジャージに皺を刻む。やっと受け入れる姿勢を見せたかと思えば、口にするのは幼ささえ感じる稚い言葉。余りに拙くて、あはは、なんて典型的な笑い声が溢れ。既に齢は二十半ばも過ぎるというのに、言動はまだまだ幼いまま。抱き締める腕を緩め、幼子を諭すように柔らかな声で、しかし固い意志で、肯ぜない意を告げ。服を握る小さく繊細な手を取り、己の一回り程大きい手と指を絡めて結び合わせ。こういった雰囲気にはなってしまったが、真面目な彼女は絆されてくれるのだろうか。肌と肌を擦り合わせながら、反応を待ち。)
霖:
────う"ー……んん、ひざまる、…。
( 甘い睦み合いの時間もそこそこに互いに眠りに落ち、結局その日は余り息巻くこともなく、新たに顕現させた刀剣との親交を深めることに専念した。彼ともその後何事も無く、初々しさ故に少しだけ気まずいような雰囲気が流れていたが、それも惚気られる程度には心地が良かった。問題はその翌日であり、起床するなり昨日からずっと抜けない倦怠感と頭痛に襲われ、身体を起こすのも億劫で。身を締め付ける和装をする気にもなれず、Tシャツに学生の頃のジャージを履き、再びの睡眠を誘う寝具の横を通り過ぎて隣室の襖へと。歯切れ悪く襖越しに彼を呼び、返事を聞く前に手を掛け顔を覗かせ。想い人たる彼にだらしない格好を見せるのは憚られるが、今日ばかりは致し方ない。眉を下げて笑い、申し訳なさそうに肩を竦め。)
その、ちょっぴり具合が悪くて。今日のお仕事、こんな格好でもいいかな…。
→ 日和
…嫌、じゃないよ。触れ合いは好きだから。
( 直ぐ傍から聞こえる笑い声に、人の気も知らないでとこっそり頬を膨らませるも、ふと彼の腕が緩むと密着し過ぎた身体を僅かに離し。突然の事で混乱していた頭も少しずつ落ち着きを取り戻していく。それでも慣れない距離感に対する羞恥は抜け切らず、火照りの残る顔は上げられないまま、服を握る手が彼の大きな手と絡み合うと軽く身動ぎ。緊張で強張っていた身体を解しながら首をふるふると横に振る。意中の相手に抱き締められて嫌な筈がない、寧ろその逆だからこそ困っているのだが。冷静な彼とは対照的に取り乱してしまった事に一つ息を吐き、もっと余裕を持たなければと繋がった手を控えめに握り返し )
……燭台切は、こんな主で幻滅したりしないのかな。
→ 膝丸
…主?
( 名残惜しくも目が覚めた後は、互いにただの主従関係として務めていたものの、惚気た雰囲気が全て抜け切ったわけでもなく。何処か浮ついた気分を含みつつ残りの時間を過ごし。一夜明けた今、未だ甘さの残る腑抜けた己が感情に蓋をして、全力で彼女を支えなければと気を入れ直す最中、不意に隣室から歯切れ悪く名を呼ばれては襖へと視線を投げ。いつもより声色が沈んでいるように感じて首を傾げる。返事をする間も無く襖が開くと腰を上げて其方へと歩み寄るも、文字通り体調が芳しくない様子の彼女に眉を顰め。何処か弱々しく感じる笑みに目を細めながら腰を屈めては、服装云々は大した問題ではないと返事を返しつつ、彼女の額へと片手を宛てがい )
ああ、それは構わないが──…顔色が悪いな、熱があるのではないか?
燭台切:
少し抜けてて頑張り屋で、自分のことに無頓着で、怖がりで、……手のかかる、可愛い主だよ。
( ぴんと張っていた緊張の糸が段々と緩み始め、仕草にも柔らかさが取り戻されていくのが分かる。安心して腕を完全に解き、握り返された羽二重肌を壊さないように優しく包み、空いた片手で彼女の耳付近の髪をそっと撫でて耳に掛け。そのまま円を描くように顎のラインに指を沿わせ、くっと顔を上げさせ。丸い大きな瞳と視線を通わせ、眼帯に隠れた金色ごと目を細めて笑い。矢張り己からの好意が信じられないのだろうか、問いに対しくすくす笑い、愛猫を愛でるように喉を軽く擦り、冗談を織り交ぜて答え。きっとこの本丸の皆がそう思っているのではないだろうか。手のかかる子の方が可愛いとはよく言ったものだ。)
───まあ、少し呆れたりすることはあるけど。
霖:
熱、は───…ない、と思うけど。ちょっぴり頭が痛いのと、身体が重いだけ。
( 思考が鈍っているのか、見えた彼の姿にぽやんと見惚れてしまう。否、これは昨日から継続的だっただろうか。額に手を宛てがわれ発熱を確認しているだけなのに、触れられているという状況に緊張し、あの甘い午睡が思い出され、言葉に詰まり。熱というならばずっと彼に熱を上げているわけだが、そんな馬鹿な返答はぐっと奥へ押し込み、努めて落ち着いた様子で答え。しかし触れられたままでは気が置けず、彼の手を取り下ろさせると、ふっと深く息を吐いて。実を言うと原因は何とはなしに分かっているのだが、これを言うのは余りに情けない。先程よりも幾分か明るく笑みを作ると、照れ臭そうに肩を竦め。)
だから、今日は失敗しちゃっても、大目に見てね。
→ 日和
っ、──う"う、なんだろう、…心当たりがあり過ぎて胸が痛い…。
( 漸く解かれた腕にほっと脱力し、再び一定の距離をと思考するものの、それでまた先の様な事をされては心臓が持たない。今は下手に動かない方が賢明だろうか。うずうずと移動したくなるのを堪え、耳に掛けられる髪に目を細めたのも束の間、顎のラインを辿った指先に俯かせていた顔を上げられては目を丸め。未だ冷めきれない火照りがじわりじわりと増していく。加えて彼からの見解には刺さるものがあり、恥ずかしさと喉元を刺激する擽ったさから逃れるようふいっと顔を背けつつ、あまり褒められた主人ではないと眉尻を下げ。度々情けない面を見られているが、彼が特に呆れている所は何処なのだろう。悩ましげに逡巡しながら絡み合う手を地味に緩め )
→ 膝丸
──…承知した。だが、無理は禁物だぞ。悪化しては元も子もないのだからな。
( 彼女の肌に触れて発熱の確認をする最中、邪心が割って入るのは昨日のせいか。主人が体調を崩しているというのに何という体たらく。自分自身に呆れながらも、やはり手では正確な体温を測れないかと小さく息を吐き。額に当てていた手を取られるまま大人しく下ろす。頭痛と気怠さ、風邪の症状だろうか。何処かぼんやりとして見える彼女を普段通り業務に就かせるのは心配だ。しかし、休めと言った所で真面目な彼女は聞く耳を持たないだろう。ならば無茶をしないよう普段より一層気に掛けておけば良い。一先ず主人の言葉には頷きを返しつつ、彼女の事が絡むと過保護気味になってしまう己に苦笑を零し。近侍として出来る最大限の手助けはするつもりだが、せめて少しでも負担を軽減出来ないものかと首を傾け )
本日の業務、減らす事は出来ないのか?
燭台切:
そういうところ。ほら、今はその話じゃないよね?
( 白い半紙に墨が垂れ滲みゆくように、じわりじわりと白い肌を紅潮が埋めていく様を愉しげに眺め。ぷいと拙く顔を背けられると苦笑を零し、顎に添えた手も、緩められた絡まった手も解き。想い人との恋路よりも審神者としての評価の方が大事なのだろうか。風采はそのままに、少しだけ拗ねた内面を言葉に浮かばせ。離れた手で柔い頬をむにりと軽く抓り、背を丸めて視線の高さを合わせ。職務に対し真っ直ぐに向き合っているのは素晴らしいとは思うが、今は己とのことのみを考えて欲しい、というのは幼稚な我儘だろうか。不恰好な自身を客観視してぱっと離れ、冗談らしく笑みを作り。)
霖:
…じゃあ、鍛刀と刀装はやめておこうかな。…遠征も出陣も、遠くに行かせるのは不安だし、…。
( 此方の言い分を固辞するわけではなく、尊重しつつも気を遣ってくれる彼の優しさが身に染みる。折角の心配りを無碍にするわけにもいかず、小首を傾げる近侍に甘えてぽつりぽつり、零し始め。大本の原因は恐らく霊力の枯渇なのだから、これ以上霊気を分散させることは控えた方が良いだろう。また、過去へと遡り遠い地へと離れている中で、主人の不手際で人の身を維持できなくなったとしたら大問題だ。演練も同様、他の審神者に迷惑をかけるわけにもいかない。ふと口を噤み、表情を顰め。この本丸も業務も全て審神者の霊気で回っているのだから当然だが、これでは何も出来なくなってしまう。ぶんぶんと首を振り、貫く痛みに側頭部を押さえながら背筋を正し。)
駄目、これじゃ何もしなくなっちゃう。少しくらい平気だから心配ないよ。
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