DR9 2019-07-14 06:40:06 |
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「____NO.001。これより、夢世界を創造する____実験を開始する。」
暗く、殺風景の実験室に、一人の男の声が響く。実験台となるのは______
わずか6歳の子供、その母親が、悲しげな顔で我が子を男に差し出す。
「お母…さん…?」
実はこの子供、幼いがこの会社の正式な社員だった。なので、実験台となるのは義務______
見守る他の社員はそう思うしかなかった。
「実験開始、5秒前____」
「グスッ…!ごめ…んね…!!」
母親の嗚咽と謝罪が実験室に響く。子供は、その嗚咽を上の空で聞いていた。
「____実験開始。」
子供を、睡魔が襲った。子供は素直に睡魔に従って寝てしまい、子供の寝息が小さく音をたてる。
「____成功…か。」
男がニヤリと口元を緩ませる。
あとは、子供がどんな夢の世界を作ってくれるかだった。
社員達は、実験室を後にし、職場へと戻った。
「んぅ……」
暖かな春風が子供の頬を撫でる。子供は起きて辺りを見渡す。
____間違いない…ココは、プププランドだ!
子供の心に喜びが咲く。と、同時に、自分の周りに誰も居ないとゆう寂しさも咲いた。
「へい、へい、へーい。」
ボールに乗って一人の道化師が子供に近寄る。子供は勿論名前を知っていた。ナゼなら、子供は星のカービィのマルクとカービィが好きだからだ。この子はマルクだろう。
「………あなた、だあれ?」
直ぐにその名を呼びたかったが、初めて会ったのに名を呼ばれるのも警戒されそうなので、子供はキョトンとして名前を訊く。
「ボクはマルクなのサ!キミは?」
「……わからない。」
と名前を訊かれるも、子供は、キョトンとするばかりだった。マルクはビックリして、ボールの上で高く飛び上がる。
「まさか、自分の名前すらわからないのサ?!」
「うん。」
んー…とマルクは暫く考え、ポンッと閃いた。
「じゃあ、ボクが名前を付けてやるのサ!そうだなぁ…顔がノヴァっぽいし……ホシユメってどうなのサ?!」
「のば…?ほしゆめ…?」
「うん!ノヴァは、皆の願い事を叶えてくれる、銀河の果ての大彗星なのサ!だから、ホシユメ。」
マルクはニコニコ笑顔で名付けを説明する。途端に、子供はパアッと顔を明るくさせた。
「ノヴァ!ホシユメ!わたし、ホシユメ!ありがとう!マルク!!」
「どういたしましてなのサ!今日からボクとキミは友達なのサ!!」
「ともだち…?ともだち!わたしとマルクともだち!!」
子供……ホシユメは舞い上がる。それも、ニコニコ笑顔で。マルクはその様子を暫く見つめ、言葉を放つ。
「…これから、カービィ達のところに行くけど、ついてくのサ?」
「うん!いく!!」
マルクとホシユメは、カービィのところへと向かった。
「へい、へい、へーい!」
「グフゥ?!」
マルクがカービィに体当たりを喰らわせ、カービィは2m先まで吹っ飛んだ。
「だいじょーぶ?」
ホシユメはカービィに駆け寄ると首をかしげて訊いた。
「あー、うん。大丈夫だよ。いつもの事だし…僕はカービィ!君は?」
「わたしは、ホシユメ!カービィ!きょうからおともだち!よろしくね!」
カービィが立ち上がるとホシユメはカービィの手を掴み、ブンブン振って笑顔で言う。
「うん、よろしく。で、マルク。僕に何の用?」
「ホシユメの家を作ってほしいのサ!」
カービィは少々苦笑いし、マルクに用事を訊いた。マルクは家を作ってほしいとの事だ。
カービィは露骨に嫌そうな顔をする。
「えぇ…マルクの住んでるデデデ城に住ませれば良いじゃん……」
「それもそうなのサ。よし!善は急げなのサ!ホシユメ!行くのサ!」
「わかった!じゃあね、カービィ!」
マルクはお城目がけて走って行く。ホシユメはカービィに別れを告げて、マルクの後を追いかけた。
「「だーいおー!!」」
マルクは王座の間の扉を飛び蹴りで開け、ニコニコ笑顔でポップスターの自称大王、デデデへと軽い足取りで近づく。マルクに続いてホシユメも軽い足取りでデデデに近づく。
「ブフッ!…な、何の用だ?」
デデデは紅茶を吹き出しかけ、口腔の紅茶を飲み込むとマルク達を見つめた。
「実は~、ホシユメの部屋を貸してほしいのサ!」
「わたし、ホシユメ!だいおー!よろしく!!」
「…………わかった。でも、部屋の掃除は自分でしろ!良いな?!」
デデデは、二人の様子にう~む…と少し考えるも、しぶしぶ部屋を貸してくれた。すると、デデデはマルク達を王座の間からつまみ出した。
「部屋を貸してくれるのは良いけれど……客人の扱いが酷すぎるのサ!」
マルクはぶつくさ言いながら立ち上がり、ホシユメも立ち上がった。
「さ!ホシユメ!!部屋を探しに行くのサ!」
「うん!」
こうして、マルク達はそんなに汚れていない部屋を探し、マルクの部屋の隣の部屋に決めた。
そんなに埃などを被ってはおらず、家具も綺麗で揃っているからだ。時計の針は、お昼頃を指していた。
「「カービィ!!」」
「あ、マルクにホシユメ。良い部屋見つかった?」
二人はカービィに駆け寄った。カービィは微笑みながらそう訊く。二人はニコニコ笑顔で力強く頷いた。
「でね!だいおーが、そうじはじぶんでしろって、いってたからね、カービィにてつだってほしいなって!」
「えぇ…う~ん……しょうがないなぁ…」
カービィは嫌々ながらも手伝ってくれるそうだ。
「じゃ、早速城に向かうのサー!」
三人は城へと向かった。
「ふぅ…じゃあ、掃除を始めようか。」
「「はーい(なのサ)!」」
カービィ達は掃除の準備をして、丁度掃除をするところだった。
そんなに汚れてはいなかったため、雑巾で拭くくらいで大丈夫そうだ。
3人は掃除を始めた。特にホシユメは、鼻唄を唄いながらウキウキ気分で掃除をしていた。
すると、ホシユメは1つの女性の絵画を見つけた。
「マルク!カービィ!!これなあに?」
ホシユメはカービィとマルクに絵画を見せた。すると、
絵画がパアッと輝き、絵画の女性が出てきた。
「「「?!」」」
三人はビックリした。そんな三人を見て、女性はクスクス笑う。
「フフッ、驚かせてしまって、ごめんなさいね。私はドロシア ソーサレス。ドロシアで良いわ。」
「ドロシア!わたしはホシユメ!よろしく!!」
「ボクはマルクなのサ。」
「ボクはカービィ!」
「ホシユメにマルクにカービィね。…そう言えば、此処を掃除するなんて…此処に住むって事かしら?そうなれば、私は此処からおさらばしなきゃね……」
ドロシアは悲しそうな顔をする。そんな女性にホシユメはニコッと笑ってみせて答える。
「なら、わたしとココでいっしょにすもうよ!」
「え、良いの…?」
「うん!」
ドロシアは半信半疑で訊いてくる。ホシユメはニコッと笑ったまま頷く。
ドロシアは顔をパアッと明るくしてニコッと笑う。
「ええ、ありがとうね。そうさせてもらうわ。」
「よし、掃除再開するよ!ドロシアは少し絵画の中で待ってて!」
「「うん!(わかったのサ。)」」
カービィの一声で掃除が再開された。
_____暫くして____
掃除が終わり、部屋の印象はガラリと変わった。暗くて、どんよりとする雰囲気から、明るく、如何にも女子の部屋と化した。
「凄く綺麗になったわね。私とホシユメの為にありがとう。カービィ、マルク。もう少しで、暗くなるわ。早めに帰りなさいよ。」
「うん!じゃあね!ホシユメ、マルク、ドロシア!!」
カービィは自分の家へと向かって走り去った。
「じゃあななのサ。ホシユメにドロシア。」
マルクも自分の部屋へと帰った。
「ふぅ…ドロシア。わたしつかれたから、もうねるね…」
ホシユメはベッドに突っ伏しると直ぐに寝てしまった。
そんな彼女にドロシアは掛布団を掛けてあげ、電気を消して自分も絵画の中で眠ったのである。
********
ドロシア姐さんキャラ崩壊した気がする…
ドロシアファンクラブの皆様すみません…!(>< )
「んぅ……」
ホシユメが目を覚ましたのは、丁度6時30分ぐらいだろうか。窓から日差しが降り注ぎ、ホシユメを目覚めさせる。
「あら、おはよう。ホシユメ。」
「!ドロシアすごーい!」
ドロシアは此方にニコリと微笑む。彼女はリンゴの絵を描く。すると、
リンゴが絵の中から飛び出してきたのだ。ホシユメも思わず感心し、手を叩いて拍手する。
ドロシアは照れくさそうに微笑みながら、椅子に座ってと言う。ホシユメは椅子に座って朝食を待つ。
数分後、テーブルの上にはご飯、お味噌汁、焼き魚、リンゴが置かれた。
「「いただきます。」」
早速、ホシユメは焼き魚を食べてみる。
食べるとまず、口の中で魚の身が解れ、とても優しい味が口の中いっぱいに広がる。また、醤油と大根おろしで少し辛くても優しい味になった。
次に、お味噌汁を飲む。
これもまた、お味噌と出汁の風味が豆腐や若芽といった具材と良く合っていた。
ご飯も格別だった。
白く光輝くお米を食べると、口の中でほんのりと甘く感じられた。手間隙かけてご飯を炊いたような、一級品の味だ。
リンゴもとても美味しくて、ウイスピーウッズのリンゴくらい美味しいのではないだろうか。
「ごちそうさま。」
ホシユメはあっという間に完食して、満足そうな顔をする。そんなホシユメを微笑ましそうにドロシアは見つめる。
「…ねえ、ドロシア。これから散歩行かない?」
「ええ、行きましょう。」
二人は身支度を済ませると、戸締まりをして部屋へと出た。
隣のマルクは爆睡中のようだ。外から微かに寝息が聴こえる。ホシユメとドロシアは起こさないよう、そおっとマルクの部屋の前を通った。
そして、外に出ると、フワッと今日の風がホシユメとドロシアの体を撫でるように吹く。お日様がサンサンと輝き、お城の庭の花壇は、水やり直後なのか花から水が滴り落ちてた。花から滴り落ちる滴は、お日様で光輝く。
ホシユメとドロシアは庭の隅々を探索したり、遊んだりして、7時ぐらいまでお城の庭に居た。
ホシユメは7時頃、部屋に戻って漢字や、美術等をドロシアから教わっていた。
_そして、ドロシア達が遊んでる頃にマルクはドロシア達の声で起こされ、不機嫌だった事は数時間後に知るドロシアとホシユメであった。
「こう?」
「そうそう。上手よホシユメ。」
ホシユメはドロシアから美術を教わっていた。今はリンゴの絵を描いているところだ。実物のリンゴとにらめっこしながら描いているリンゴは、本当に小さい子供が描いたのか疑う程の出来栄えだった。ドロシアに教わっているからなのか、それとも、ホシユメの実力なのか…とにかく、綺麗なリンゴの絵だ。
「……今日は、これくらいにしておきましょう。おやつを用意するわ。」
「うん!ありがとうドロシア!」
リンゴの絵を描き終わり、ドロシアはそう言うと絵筆とスケッチブックを取り出す。ホシユメは笑顔で礼を言うと、リンゴを描いたスケッチブックを机に仕舞い、テーブルを拭いた。
ドロシアはお菓子や紅茶を描いて、実体化させた。紅茶のいい香りが部屋いっぱいに広がる。
「「いただきます。」」
ドロシアとホシユメはお菓子を頬張ったり、紅茶を飲んだりして楽しくお喋りをした。
___そして、二度寝しようとしたマルクの眠りをドロシアとホシユメの喋り声で遮られ、マルクがもっと不機嫌になったことも後々知るドロシアとホシユメであった。
「ふぅ……」
メタナイトは城のパトロール中だった。城の廊下にコツ、コツ、コツと足音が響く。
「へえ、それでどうなったの?」
「でね~!」
ドロシアとホシユメが楽しくお喋りしながら城の廊下に現れる。どうやら、メタナイトに気づいていないらしい。
「おい、そこのお前たち。」
メタナイトは初対面だった為、一応ギャラクシアをいつでも出せるような構えをしてドロシアとホシユメを呼び止めた。ドロシアとホシユメはビックリしたような顔をした。
「な、なんですか?」
「お前たちは、何処から来た?返答次第には斬るぞ。」
ドロシアは少し警戒しつつも用を訊く。メタナイトはギャラクシアを抜いて訊いた。ホシユメは「え?そこのお部屋!」と指を指しながら答えた。ホシユメが指したのは、借りている部屋だ。メタナイトはギャラクシアを仕舞い、頭を下げた。
「私の早とちりで…すまない。」
「んーん!大丈夫だよ!わたしはホシユメ!アナタは?」
「メタナイトだ。」
「メタナイト!メタナイトよろしく!!」
「ああ、よろしく頼む。それでは、私はパトロールの続きをする。じゃあな。ホシユメ殿、ドロシア殿。」
と言うとメタナイトは再び歩き出し、去っていった。
「あれ?私メタナイトに名前なんて教えたかしら…?」
とドロシアは疑問を持つ。
簡単に説明すると、ドロシアは元々デデデ城にあった有名な絵画で、メタナイトも知っていたのだ。
「ドロシアー!先行くよー!!」
ホシユメは歩き出した。
「……まあ、良いか。」
ドロシアは開き直ると、ホシユメの後を追った。
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