匿名さん 2019-06-10 15:59:22 |
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【新緑+初夏+電車+田園+入道雲+燕】
(新緑の眩しい初夏。人が疎らの昼間の電車に揺られながら窓から見える田園風景を眺めていた。電車が自宅近くの最寄り駅に到着すると下車。目の前には若苗が植えられた田んぼ、入道雲が浮かぶ青い空が広がっている。空を燕が横切った。もうすぐ大好きな季節がやって来る。そう思うと胸が高鳴った。↓)
【魔法使いの休日】
やあ、もう店じまいの時間かな。それともいよいよ閉業かい?……いや何、ちょっとした冗談だよ。君がそうして趣味の皿洗いに耽っていられるのだって、我々魔術師が西の水脈のウンディーネ共を口説き落としたお陰じゃないか。多少の軽口くらいは大目に見てほしいものだね。
( 街中にすっかり明かりが灯り、火の妖精が羽虫のようにじゃれ合う時刻。肩にちらちらと降りかかる火の粉を片手で払いのけながら、古びた喫茶店のドアを開けば、いつもと同じコーヒーの香りと店主の姿が現れる。相も変わらずせかせかと両手を動かし、泡とスポンジという原始的なやり方で皿洗いに取り組む変わり者に挨拶代わりのジョークを贈りつつおなじみのカウンター席へ。コート掛けを勧める言葉は「コーヒーをひとつ」というこれもまたおなじみの言葉で黙殺する。ネクタイを緩めさえすれば、コートも帽子も我が家のクローゼットへひとりでに戻る。そういう"しくみ"になっているのだと何度教えれば覚えるのだろう。手を洗い、拭き、食器棚の前まで歩き、カップを取り出し──もはや変態的ともいえる非効率極まりない行動を見ていると語る気力すら消え失せて、ただ頬杖をついてその奇行を眺めることにした。
オールドファッションと言えば聞こえは良いが、今や魔術も技術も十二分に発展し、凡人どころか犬猫でさえ魔法を扱えてしまう時代。反魔法主義者が好んだ『人間らしさ』や『人の手のあたたかみ』などというフレーズもとっくに飽きられて久しい世の中で、こんな風に時間と労力を浪費する者は奇人変人に他ならない。その証拠に、店はいつだってガラ空きだ。自分以外の客など見たことがない。だからこそ、こうしてシャツ一枚のラフな姿で悠々と羽を伸ばせるのだが。 )
君の懐古主義を通り越した異常性癖はともかく──この静けさは悪くない。心地良いと言ってもいい。何より他人を使役する快楽を得たいなら、此処より相応しい場所は無い。指先一つ呼吸一つで済むことへわざわざ懇切丁寧に時間をかける、そんな『真心』が人の心を癒すというのが反魔法主義者の言い分だったかな。真偽はともかく、君の限りある人生を浪費させる愉しさは否めないよ。朝な夕な国に消費されている労働者の身分としてはね。食いものにされている人間には、誰かを食いものにする時間が必要なのさ。
( この店ではあくび代わりの戯言すらよく響く。魔法とは切っても切り離せない精霊共がいないせいだろう。お喋りなシルフに邪魔させることのない軽口を存分に楽しめば、これもまた貴重な休日を此処へ費やす理由かもしれないと人知れず口角を吊り上げて。弧を描いた唇のまま、ようやく運ばれてきたコーヒーへ口をつけ、やはりそうだと声には出さずに浅く頷く。うんざりするほどの手間と時間を費やして出来上がった飲み物は、だからといって格別の風味や美味を備えている訳でもなく、己が一呼吸の間に作り上げるそれと何ら変わりない味をしている。此処へ自分の足を運ばせるのは、無味無臭無価値の『真心』とやらが売りのコーヒーでは決してない。改めてそのことを実感しつつも、かの変人が店主らしい顔で味の感想などを尋ねてくれば、チップ代わりにささやかな嘘を吐いてやり )
……"普通"に美味しいよ。あぁ、あくまで"普通に"ね。
(/素敵なお題&スペースをありがとうございます!長文、ファンタジー、ひねくれ者の無自覚デレなど挑戦したいものをギチギチに詰め込ませていただきました。冗長なロルと魔法使いですが、お返事をいただけたら泣いて喜びます…!お目汚し失礼致しました!↓)
>>148様
まさかお題提供の方に見て頂けるとは…!わざわざありがとうございます!励みになります…!
*
【お題提供】
添い寝
お気に入りのぬいぐるみ
召喚
魔女に拾われた
メイドのわたし、一人称「俺」
「もう、探さないで」
これが最後のキス
2人でひとつの傘
【召喚】
「地へと轟き邪を穿て!いでよ雷竜!」
『下されるは雷槌、裁きたるは天の理!夜を貫き暁を示せ!』
「ぎゃはははは、なかなか合わね。制御効いてないぞ」
『まあ合うわけないよな。実際に出せるわけじゃないし、効いてない』
「な~」
(それはいつもと変わらぬ、男子中学生の俺と戦友(とも)の、くだらない戯れの一コマ。今日は戦友から『雷呪文撃ちに行こうぜ』と誘われた。実際伝説の龍が乱心なのかというほど空模様は大荒れだったので俺はその話に乗った。故に今学校の裏山にある高台まで出てきて、制服をびしょ濡れにしながら即興呪文を唱えるに興じている。といっても、内容はタイミングを見計らい、呪文を唱えた直後に雷が落ちてくるのを待つだけ。呪文を唱えている最中だったり、唱え終わった10秒後に雷が落ちてくるとかそんなことばかりでどうにもタイミングが合わない。しかしながら、合わないこと自体もそれはそれで面白いので、奇跡と渾身の一発に期待しながら、戦友とバカ笑いし呪文詠唱を続ける。それに、こういうのは引き出しとセンスが同時に問われるから、結構面白いのだ。そう、これはいつもと変わらぬ悪ふざけ。それは俺も戦友も分かっていた。だから、今日はどちらかが奇跡の一発が入ったらそのまま帰り、びしょ濡れになって帰ったのを母親にそれはそれは正しく雷の如くこっぴどく怒られ一日は終了…となるはずだった。その時が訪れるまでは。)
「汝よ唸り怒れ、集え無慈悲の理の下に!圧せ、穿て、貫け、焼きつくせ!雷鉄槌龍(トール)!」
ドゴォォォォン!!!!
「う、うぉおおお!すげぇ!!」
『うおおおお!!やるじゃん!!これでお前はもう立派な雷魔法使いだな!』
「うおおお!!ふん、俺の才能がまた花開いてしまったか。」
『って…やばい、そろそろ帰るぞ戦友よ!さっきの雷で街が停電起こしやがった!冗談抜きでこのまま外にいるとヤバい!』
「フン、またやってしまったか…ってそれどころじゃない!間に合ってくれよ…!うわああああ!!」
(その時は訪れた。再び渾身の叫びで呪文(笑)を唱えると、視界の空の向こうで雲を裂いて龍を象ったような雷が猛スピードで急降下し、真下にあったビルの避雷針にその身が叩きつけられたのが見えた。その様を見届けるなり偶然の一致に2人は興奮が一気に込み上げて叫んでは、喜びあってハイタッチ。とんでもない偶然にお互いを称え合う。それまではよかったのだ。だが放たれた雷があまりに強く、それに伴う過剰な電圧は凄まじい速度で伝搬し、街4つ分ほどの範囲の全てで停電を起こさせた。それからは流石に、本格的にマズいと思ったらしい戦友に警告され、そのままお互い死にものぐるい、一目散にそれぞれの方向へ走り出して逃げるように家路についた。ほどなくして、高台で人の声はなくなり雨の降る音と時折地に叩きつけられる雷の音だけになり。今日の遊びは終わり。それはそうと、先程唱えた呪文が実は本物で、本当に雷竜を召喚してしまったことは、2人は知る由もない。)
>151さん
(/冗長なんてとんでもない、とても素敵なロルで感動しております!この度はお題を使用して下さりありがとうございました!)
【竜の独り言】
「…………暇だ。」
(くぁ、と漏れ出た間抜けなあくびとそれに続いた言葉が、湿って淀んだ空気を揺らす。自らが三体に分裂すれば埋まってしまうような半球状の地下牢には、明かりらしきものはない。当然だ、見張りの兵士は久しく来ていないのだから。奴らが来なくなった頃に頭上の足音も消え去ったから、きっと地上にあった城や王国は滅んだのだろうと、あくびの主は想像していた。)
「"これ"も無くして逝ってくれたらよかったんだが……無駄に内包魔力が多いから今後千年は稼働するだろうし、本体は地上にあるから破壊することも叶わんな。
あぁ、退屈だ。」
(劣化を防ぐ魔術加工済みの鎖がついた長い尻尾を、地面にビタン、と力なく叩きつけて、深緑の鱗に覆われた巨体は考える。もうずっと、翼の一つも広げていない。身体は循環する魔力で作られているため腐ることはなかったが、その力が確実に衰えていることはわかっていた。ついでに、独り言が増えていることも。)
「だいたい奴ら、何百年も己の国を守っていた守護竜を占いごときで封じ込めるってなんなんだ、阿呆なのか、痴呆なのか……それは奴らから離れなかった私もか。
あぁ、それにしたって暇だ、退屈だ、もううんざりだ、外に出たい!」
(ビタン、ビタン、バシンと苛立ちを込めて尻尾を壁に打ち付けるが、石造りの壁は揺れはすれど、崩れる気配は微塵もない。それら一つ一つに緻密な防御魔術が刻まれていたことは、数百年前に大暴れした際にわかっていた事だった。)
「……無駄、か。あぁわかっている、これ以上考えていたら気が狂いそうだ。寝てしまおう。そうだ、それがいい。」
(亡国の城跡、荒れ果てたその地下で、拘束魔術具と床を埋め尽くす正の字に囲まれて。その竜は再び眠りにつこうとしていた。)
【お気に入りのぬいぐるみ】
( 使い魔がいた。御伽噺のような遠い昔に。道端に打ち捨てられていたものを拾ったのはただの気まぐれだった。修業はサボってばかりのくせして、つまみ食いだけは一人前の泣き虫猫。なんとか使い魔としても一人前に育てきったけど、番を作って子孫を残したらあっという間に死んでしまった。あまりにも呆気なくて嫌になったので、そいつらは使い魔を欲していた魔女に譲ってやった。勝手に送られてくる絵葉書によれば、何十代目かの子孫もそれなりに元気にしているらしい。それから使い魔契約を新たにすることはなく暮らしてきたので、あれが最初で最後の使い魔ということになる。そう、何故こんなことを思い出したのかと言えば。ガラスの向こうのぬいぐるみがあいつにそっくりだったからだ。もう動かないくせにじっと見てくるそれを、無視することもできずに立ち止まる。一拍、二拍、三拍。気がつけば両手には丁寧にラッピングされた猫が握られていた。扉が閉まってベルが鳴った時にようやく気がついたほど、無意識だった。そうだ、買ってしまったものは仕方がない。いそいそとリボンを箒に括り付けようとすれば、背後から駆け足の音が聞こえる。振り向けば、ショーウィンドウの前に小さな影が二つ。おそらくは兄妹だろう、ガラスの中をキョロキョロと覗き込んでいる。妹の方は今にも泣きそうだ。兄からは握られた大量の銅貨からどうにも細々と貯めたことがわかる。ここまでくれば大体察しはつく。目の前まで移動してぺりぺりと紙とリボンを外してみせれば、反応が返ってきたので確定だ。ああ、本当にタイミングが悪い。──そして自分は泣かれるのにはとんと弱いのだ。しゃがんで一呼吸。これで本当にお別れだ。黒く美しい毛並みのぬいぐるみに祝福の呪文を吹き込んだら、そっと手渡して)
──いい友達になれるといいね。どうか大切に。
( / リハビリ失礼します。素敵なお題とスペースありがとうございました!〆 )
*
【紫陽花+雨上がり+傘】
…おっ……?雨上がったか…。っておい!!濡れた傘振り回すなよ!
(梅雨による気温の変化で肌寒い日々が続く今日この頃、世間は期末試験期間中であり本日も学科試験を2つ済ませ、時計の針は大小共々頂点を指そうとしており。それに伴い腹時計も素直なものでグウッと音を立て、居所が悪い様子が伺え。同じクラスの幼馴染でもあり此方の初恋の相手に下校の誘いで声を掛けられ、内心ウキウキが止まらず足早に相手と一緒に学校を後にし、のんびりと世間話をしながら歩を進めていると先程まで降っていた雨が徐々に上がり、空に晴れ間がさし始めたことに気付き、自前の紺色の傘から顔を覗かせ空と相手を交互に見比べ。久しぶりの晴れ間に喜びを隠せない相手が傘を閉じ、ぶるぶると震わせ水滴を此方に飛ばし、相手の急な行動に驚きながらも好意がある人物である為嫌悪感は抱いておらず、相手の後ろに咲いている紫色や青色の紫陽花にも水滴が飛び散っており、益々輝きを放っている花々を見ながらフッと笑みを零し)
(/素敵なお題提供ありがとうございました。約7~8年ぶりのロルでした。お目汚し申し訳ありません。スペース感謝です!〆)
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【好きと伝えたかった+大好きで大嫌い+最後のキス】
ーーーもう二度と貴方には会えないんだね。
ーーーねえねえ、あの、えっと、sす、す、…やっぱ何でもないや。
約2年前の夏が終わるころ、わたし、スミレは彼氏である蓮を看取っていた。彼氏といっても、ずっとお互いの関係性は曖昧なままだった。蓮はいつも優しかった。だが、それがかえって嫌になってしまうことが当時は多かった。蓮は優しすぎるのだ。反対に私はひねくれもので冷たすぎた。いつも彼は私にこう言っていた。
「もっと素直になった方がいいよ。俺みたいにね(笑)」
本当にその通りだった。あの日、あの瞬間私がもっと素直に自分の気持ちを伝えられていたら。きっとこの何ともやるせない気持ちは少しマシだったのだろうか。
単刀直入に言ってしまうと蓮はALSだった。数年間その不治の病と闘っていたが、もう彼の体が音を上げて、限界だった、。ALSとは小さなことからできなくなり、行く行くは自分で呼吸をすることができなくなってしまう病だ。もちろん、食べることもできない。喋ることもできない。そんな中、私が彼に小さなことでイラついてしまい、八つ当たりをしてしまったことも何度かあった。でも、謝れなかった。何故かというと、やはり彼は優しすぎるのだ。私がどれだけムカついて、ひどい言葉を彼にかけてしまっても
「俺が病気になったのが問題だ。スミレがイラつくのもわかる。本当にごめん、苦労ばっかり掛けてしまっているね。」
と、少し、苦しそうで悲しそうな顔をして言うのだ。それでも私が俯いて何も言えなかったら
こんな俺を許してくれ、と言わんばかりに私を抱きしめてくる。力がなくなってしまってそれでさえもできなくなったら私に顔を近づけるように言い、頬にキスをするのだ。
そんなことをされたら誰でもイライラが吹き飛んでしまうだろう。私もそうだった。いつも彼が私を笑わせてくれた。
しばらくたったある日を境に蓮はほとんど寝たきりになってしまった。私は寂しくて悲しくて、たくさん泣いた。それと同時に、後悔の波が押し寄せた、彼がいつも私に言ってくれていた言葉をもっとたくさん言えばよかった。
「 蓮、 … 大好き。 ごめん。 ほんとに、ごめん。。」
「…。」
ふとつぶやいた。蓮は意識が朦朧としながら何も言わずに私の顔を見つめた。そして一筋涙を流した
やっぱりずるい。蓮はほんとうにずるい。なんでこんなに私をおかしくさせるのかな。もっともっと期待しちゃうじゃん。ずっと一緒にいたくなっちゃうじゃん。これじゃ、いつまでたっても覚悟が決まらない。彼が死ぬということに。
「やっぱ嫌い。」
少し意地悪をしてみた。でも、予想外だ。彼は泣き笑いをうっすら浮かべたままにこにこしていた。そのにこにこが前よりずっと弱弱しく、悲しそうになっていることは一目瞭然で、私まで泣きそうになった。
お医者さんから、「心の準備をしておいてください。」と言われた。もう彼は長くはもたないということだ。確かに、最近は全く起きれていない。ずっと目をつぶっている。目を開けていても、焦点が合わず、私のことも見えていないようだ。だが、私が話しかけると表情にはもう出ないが、微かに嬉しそうな顔をする。それが感じられることの幸せにやっと気づいたころにはもう遅い。もうこれ以上彼との思い出や良い記憶は残らないのだから。
彼の心臓の動きが時折止まる。
もうダメなのか。
わたしはもう半分パニックになっていた。
もう彼は死んでしまうのか。
そんなの嫌だ。
彼は死んで終わりだけど、残された私はどうすればいいのか。
咄嗟に出た言葉は
「ありがとう」
今まで、つらいはずなのに頑張って生きてくれてありがとう。
いつも私を笑わせてくれてありがとう。
わたしがどれだけ冷たくて、ひねくれていても見捨てずに優しくしてくれてありがとう。
生まれてきて、私と出会ってくれてありがとう。
今日までそばにいさせてくれてありがとう。
沢山のありがとうが胸にあふれてきた。彼は本当にずるい。急に彼が今まで以上に憎らしく、でもいとおしく思えた。涙が私の頬を伝った。
「 ねえ、大好き 」
最後にいつも彼が私にしてくれたようにキスをした。いつもは甘酸っぱくてそれが心地よかったが、今は苦くて涙が混じってしょっぱい。だけど、それでいいのだ。
私と彼の最後の思い出になれば。
記憶が一つ増えてくれれば。
一瞬彼が笑った気がした。気のせいだろうか。最後の力を振り絞ってくれたのか。本当にそうだということを願う。
わたしと彼の最後の思い出。
最後のキス
蓮、あのね。いつもあなたのことが好きで、大好きででも素直になれない自分がいた。
本当は好き。でもあなたはいつもずるいから、少し嫌い。
ーーー大好きで大嫌い。
この言葉がぴったりだ。
(/ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。こんな駄作に興味を持ってくださってありがとうございます。まだまだ、初心者で、表現も何もかも下手ですがとても良いトピとお題を見つけ、とっさに書きたくなってしまいました。お題を書いてくださったかた、本当にありがとうございます!)
〆
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