百合子 2019-06-08 16:29:05 |
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「………………ただいま、戻りました」
妙に礼儀正しい挨拶をし、「十六夜」と表札の 掛かった屋敷の扉を引き開ける。
《おかえりなさい》
優しい、柔らかい声が聞こえる。
彼の母、十六夜 美夜子(いざよい みやこ)だ。
昔は凄腕の陰陽師であったが、今は病気で
寝たきりだ。
有沙「って事があったんです(今まであったことを父である有馬に話して)」
有馬「へぇ?十六夜家が...(少し興味があるるのか、仕事をやめ話を聞いている)」
「………………母上…お体は」
《今日は大丈夫よ、ありがとう》
母親の笑みに安心してか、彼の顔が緩む。
少女も嬉しそうに微笑んでいる。
有沙「それより...どうするんです?ケガレ退治(真剣な表情になって)」
有馬「まぁ、各自にちらばって倒すって感じかなー(笑いながら)」
《東?帰ってんのか?》
座敷部屋の奥から、張りのある若々しい声が
響く。
彼の兄、十六夜 出雲(いざよい いずも)だ。
《帰ってんなら、一緒にケガレでも
退治すっか?》
「…ん」
彼はこくり、と頷く。
《おう。んじゃ、行きますか》
兄は僅かな頷く音を聞いて満足げに微笑み、
部屋からのそりと出てくる。
両の瞳を固く閉ざし、真っ白な着物を
羽織っている。
彼ら兄弟は霧を引き連れ、ケガレの荒野へと…。
有沙「...そんなに強力なケガレが居るんですかねー?婆娑羅くらいの呪力は感じられませんけどねー?(あたりをキョロキョロと見渡して)」
天馬「捜索するしかねぇだろうよ(面倒なのか、顔を顰めながら)」
士門「確かに待っているよりかは、探しに行ったほうが良いだろう(何時もと同じで真面目な回答をして)」
有沙「えー、面倒だなー(ため息をつきながら、ケガレを探しに行く)」
《…東。俺たち以外に人が居るな》
出雲は耳を澄まし、眉間に皺を寄せる。
「………………」
《まあ、支障は無いだろうけど》
青年はこくりと頷く。
有沙「強いケガレの気配しないのに...(そこら辺のケガレを倒しながら文句を言い)」
天馬「知らねぇよ(歩きながら戦いを観戦しており)」
士門「真面目にしろ!(二人を見ながら叱り)」
有沙「ハァ...暇!てか、もう帰っちゃだめなの?(ため息をつきながら)」
士門「ダメだろ(呆れた顔で有沙を見て)」
有沙「だってさー、暇じゃん?(変な理屈を述べ)」
天馬「なんだそれ(少し笑いながら)」
《そんな警戒せんとってぇな。この前は
うちの弟が迷惑掛けたみたいで、ごめんなぁ》
出雲はあくまでも笑顔を崩さず、
温厚な口調で話し掛ける。
「………………………」
東は、ずっと押し黙っている。
有沙「弟...?あ、この前の(少しはてなマークを浮かべるが、直ぐに驚いた顔をして)」
士門「知り合いか?(首を傾げて)」
天馬「さぁな(はぐらかすように笑い)」
有沙「この前、ここら辺であった...人?(青年と共に居た座敷わらしを思い出し、周りをキョロキョロと見渡す)」
《俺はこいつの兄貴で、十六夜 出雲。
目は見えへんけど、他人を視んのは上手いで》
出雲は目を閉ざしたまま微笑む。
「…………………………」
『こんにちは!』
有沙「なる..ほど...?(何故かはてなマークを浮かべて)」
天馬「てか、何でココに居るんだ?(みたらし団子を食べながら)」
士門「十六夜家か...(少し目を伏せて)」
《自分で言うのもなんやけど、俺と弟は結構
強いで?》
くすくすと、悪戯っ子のような表情をする。
「……………………」
『そうです、いずもさまのいうとおりです!
あるじさまたちはつよいんですよ!』
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