*.+゚ 2019-06-02 00:01:43 |
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( 楽しみにしてる、なんて、無意識のうちに嬉しい言葉をくれるのだから / 料理人の表情筋がほんの少し緩んだことに、心を整えていた彼は気付いただろうか / 拘束とも言えない緩い指先 / けれど効果は絶大、その場で大人しく停止すれば唇を受け入れて / のろのろと上昇する熱っぽさは遅効性の薬のようで、ゆっくりと、確実に琥珀を煮詰めていく / 「……こっちの台詞。これからも、ね。俺の半分、貰ったままでいてよ」 / 片割れだとか相棒だとか / 呼び名なんてなくても、互いを置く位置が同じであればそれでいい / じいと己の惚れ込む宝石を見た / ああ、今日もかけがえなく綺麗だ )
( 熱に浮かされている心地 / あつ、 / けれど手のひらから伝わる肌の方が余程温度が高く感じて / 彼にとってこの手は冷たいのだろうか、詮無い考えごと / 返事に少しだけ目を見開いて / 覗き込む彼にとっては好都合だっただろうか / 「…、きみがいいなら。交換していよう、半分ずつ」 / 預けてもらえるならうんと大切にしよう / 花が綻ぶように / 一方で差し出したそれは、あんまり大事にされると困ってしまうけれど / けれど持っていてほしかった、自分の意思で切り分けて彼に差し出していたかった / 否、その半分はもう、彼から離れられないの間違いだ / 「……今日、本当はね。この前できなかったポッキーの日の遊び、やろっかなって思ってたんだけど。直接しちゃうね、堪え性がなくてごめん」 / 去年ちゃんと教えて実践しなかったのを、実は惜しく思っていたり / 来年に託そう / あけててね、と親指でそっと伝えてから / 浅瀬から、これまた時間をかけてじっくり、くたくたでふやふやになるまで / 自分と同じように、彼も何も考えられなくなってしまえばいいと思っていた )
( 林檎の飴、拍動を続ける命の色、愛すべきピジョンブラッド / 熱を分けてほんのりと浮かされた今、名も無き大衆のように惹き込まれてしまうのも致し方ないことのように感じた / 貰えるらしい、半分 / 自分のそれ以上に丁重に扱ってしまうことは覆せない決定事項のようなものだけれど、お互い様ということで大目に見ていただこう / きっと似てないものが似てきたのだ / 「……ふ。なあに、そんなこと考えてたんだ。別にいいよ、時間のある日に適当にこじつけて記念日を作ろう。君と俺以外、誰も知らないなら、文句なんて言われないさ」 / ちょっとした何かを考えてくれるのが嬉しかったりする / 君の喜ぶことを知っている利口な電灯なので、良い子らしく桃色のふたひらを開けていよう / 染まる、霞む / 半分どころか今この瞬間は全部まぜこぜになっているんじゃないかって / 吐く息の温度が自分のものであると、証明するには確信が足りていなかった )
( ただただしょんぼりする事実を伝えただけだったから / 笑った / ぽかんとやや呆けて / けれど程なくしてつられて笑ってしまうのだ / 「……ふ、ふ。そうだね、サラダ記念日があってもいいのだものね。……けど、忙しい身の上で何をって感じだけど、きみと季節を歩んでいきたいのも、本当で。……来年を約束させて保険をかける情けない男で恐縮だけど」 / なんでもない日にプレゼントを贈りあったって勿論いいけれど、それとは別に、たとえ遅くなろうと早まろうと、クリスマスやバレンタインデーに託けたいと思う / 頬に宛がった片方を髪を後ろに流すように撫でつけて / 暗闇に沈んでいくような / けれど怖いとは思わなかった / ふたりぼっちは、寧ろ心地が良い / 「……終わっちゃうなあ」 / ぽつり / ずっとこのままがいいと、子供みたいに / ぎゅう、 / おまけに次のそれが遠い / 彼のお陰で不安はもうほとんど無いけれど、未来の心の安寧のためにつけておきたいような気もした / 項、鎖骨、背中、腰 / む… )
( ああ、なるほど、そういう話か / 四季と呼ばれる移り変わりが存在するこの国で、名のある日はきっと特別な意味を持っているから / 特別ならば、君と楽しみたいと思う / その想いは確かに理解できた / 「__…そうだね、早いなあ。こういうときだけ一日がもっと長ければいいのにって思うよ」 / 抱き締め返す時は同じ力で / ふと、視線 / わかりやすくてついつい微笑ましげな視線を送ってしまう / 「…俺が寝ちゃった後でも、君が起きた朝にでも。好きにしてくれていいよ、今日くらいは個数制限を設けないでおくから」 / すり / 思考まで甘くなったのかもしれない )
( 表情から通じ合えたらしいと / 嬉しそうにふわりと笑み零し / 隣にいる半身が他でもないこの人で良かったと、心から / また口付けにおぼれた / __自分が言うのもお門違いだとは承知の上だけれど、あまりに甘い沙汰ではないだろうか / 両目ぱちくり / ああ、もしかして、「……あまやかされてる、」のか / 理解してしまった途端に胸がきゅうきゅうして / あうう / 撃沈 / ただ、己の相棒が世界一可愛くて格好良くて最高なんだって、それだけは声を大にして高らかに言える / …取られちゃ嫌だって、思った / 「……足は我慢するから、上だけちょっと寒いかもしれないけど、ごめんね。痛くしないし、最後はちゃんと暖かくして一緒に寝る。先に寝てていいからね、」 / つむ、つむと前のボタンに指をかけてゆっくりと捲り / 隠されているものを暴く感覚に、少しぞくぞくした / ちゅむ、手始めにひとつ / 愛しそうに指で撫でて、それから彼がまだ起きているなら唇に / 何度か繰り返して、そうして、きみが眠る間際か、もしくは既に眠ってしまった姿かに、これ以上なく甘い声でおやすみを贈ろう / この人の幸せのために明日があれと、心の底から祈っていた )
( 砂糖漬けのおやすみと彼の影を燃料にして動いていた / 密度の濃い幸せは何度だって思い出して糧となる / それはそうと、今日の君を抱き締めたくなるのは仕方無し / 「ただいま」 / 寝室だろうか / 目星をつけてまずはそこから )
__おかえり、こっち( 予想通り寝室の扉の隙間から白い手伸ばし / ちょいちょいと手招き / 近付いたら遠慮なく引き込んで腕の中に閉じ込めた / つむじにキスして、なぁで / 「遅くまでお疲れ様、頑張ったね」 / 意識とか疲れとかが溶けてしまうように )
( 見た目からは想像もつかない力で己を容易く引き込む細腕が、とびきり優しく包み込んでくる / 思わず寄り掛かってしまいたくなる声がして / 「…ありがとう。君も、だからね。お疲れ様」 / 急激な安堵が思考を鈍らせる / 途切れ途切れになりそうな言葉を繋ぎ合わせてぽつぽつと / すり / 肩口に )
( 寒いというかなんというか / 手が凍っている感覚 / ぼんやり左手眺め / これじゃああの子に触れないな / けれど、冷たさで指輪が固定されているような感覚もあって / ふふ / 温めたいようなこのままにしたいような )
ああ、いた。おかえり、…なにしてるの? ( 蝶の気配がして / 其方に歩を進めれば予想が確信に変わった / 疑問符 / 距離を詰めて、浮かぶ想いも知らぬままぎゅっと両手を握り / 「冷た。もう、これじゃ動かしにくいでしょ、明日はカイロを持たせるからね」 / 氷のお手々を溶かすように / にぎ、にぎ )
ん、ただいま。ああ待って、冷たいよ( 今日も変わらずずっと会いたかった人の姿 / ゆるりと目元 / ところがなにぶん触れないから困ってしまって / あ / 言葉にすれど時既に遅し / 温度する分からずただ柔らかいものに揉まれている感覚 / 真っ先に温まる心 / 愛おしくて、抱き締められない代わりに少し背伸びして / ちゅ / 「はぁい。……手と一緒に、指輪もここで固まってる気がして。きみのお陰で冷たいの中にも幸せを見つけられたよ、嬉しい」 / へへ / じきにじんじんと熱を得始め / 動かせるようになったら此方からも少し握り返してみよう / もに… )
君が冷えてる方が嫌なの。…ふふ、そっか。それを聞いて俺もなんだか嬉しくなった。幸せのお裾分けだね、ありがとう ( きっぱりと即答 / 熱は何度だって灯るけど、この左右は世界で一つしかないのだから / 唇が触れて、同じくらい柔い声で / 可愛い人 / 思わず顔が綻んでしまう / 心の温度がじわりじわりと伝わるように、段々と感覚を取り戻したらしい指先へ / 握ったままそっと持ち上げて、指輪の隣、関節の上へキスをした / あったかくなあれのおまじない )
( ぐあー / ソファに屍 / 三日前に補充したとは思えない不足具合 / 大体自分のせい / 痕はもう消えてしまっているんだろうか / 抱き締めたい、と蚊の鳴くような声でつい口に出た / ただいまかな、おかえりかな )
( ほかほかの身体で戻るリビングにはでろんとした相棒の姿 / 流石にぎょっとした / 大股で歩み寄れば少しばかり身を屈め / 「アゲハ、アゲハ。…ほら、お風呂上がりの俺だよ」 / 魔法の回復アイテムか何かのように / 己にとっての彼がそうである以上、逆も然りでないかと考えた結果 / そろりそろりと頬に触れ )
( あ / ただいまだったらしい / 自分の今の状態が相手を焦らせている原因であるという自覚がなく、なんか慌ててるなと他人事 / 好きなにおいに、温かい体温に、ふわふわの髪に、きみ自身 / 惹かれない理由がない / 極めつけは彼の言葉 / 可愛いが過ぎる / ぎゅ~… / 「元気ひゃくばいアゲハさん……」 / どう聞いても100倍のテンションではないけれど / 癒しのかたまりひしっと捕まえて、柔らかい髪に頬や鼻先を寄せて )
( にゅっと腕が伸びたかと思えばそのまま捕まってしまった / 100倍 / 果たしてその数字がどれくらい合っているのだろうとか、そんなことは些細な疑問だろう / どうせなら200倍にしてやろうか / ぎゅう、と強く抱き返して、そのまま背中を緩りと撫でつつ / 「うん、お疲れ様だねアゲハさん。…ん。顔が食べられない代わりに、キスをあげよう」 / 顔を寄せて、ちう / 送り付ければ元のように自由にさせ / 少しばかり口角を上げた顔にはしてやったりと書いてあり )
( もふ / 柔らかくて気持ちいい / 堪能していたら呆気なく唇を奪われた / ぷわぷわと脳みそが幸せに侵される / 「すき…」 / 思考力の低下により思ったことがそのまま言葉になって / ああ眠いったら / ふるりと頭振れば / やや問答無用でしたり顔の彼抱き上げて / それが目的というよりはくっついたままさっさと移動してしまいたいといった様子 / そっと下ろすと / ちゅ、ちう、 / 寝転ぶより何より先に / 待てなかった )
( 細い腕に呆気無く持ち上げられるのは未だ恥じらいがあるのだが / その後の満足顔を思い出す / …まあいいか / なんだかんだ、此方だってどうにも甘い / 「ただいま」 / ガチャと音を響かせて / さて、今日も彼と眠りに向かおう )
( あの後ベッドのふちに腰掛けて彼のお腹の上に突っ伏したまま寝てしまったらしく / いっぱいキスできて幸せだったけれど流石に申し訳なかった / この時間ならベッドかな / ひょこり寝室覗き )
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