*.+゚ 2019-06-02 00:01:43 |
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( してやったりの裏、頭の中では呑気にパンケーキが焼けていた / 休日の朝ごはんにするのもいいかもしれない / だからこそ、むんずと掴まれた腕に何かを告げる事もできずその背に付いて歩くばかりで / 横になってから心臓が一回二回、血を送る間に彼が上になる / 何か返そうと口を開いたのがいけなかった / するり、潜り込んで、じわりじわり熱が伝う / 「ん、ん……いい顔してるね、まったくもう」 / ふっと息を継ぐと半分にした光の色で見つめ返し / するり / 顔の形をなぞるついでに軽く頬を摘んでみよう / 齧ったお餅 )
( 勿体ないところで眠っちゃったなあ、なんて / 明日があると自分に言い聞かせていた一日 / やっと帰ってこられた / 「ただいま、」 / あとのことは彼を抱き締めてから考えよう / きょろ )
( きっとそのうち辿り着くであろう寝室にて / 差し込む廊下の明かりか、はたまた聞き慣れた足音か、なにかに導かれるよう緩やかに目蓋を開いたなら / 「……アゲハ。おかえり?駄目だね、少し眠ってたみたいだ」 / ぼやける脳味噌を動かすようにふるりと頭を振って / ん / 抱き締めるために腕を伸ばした )
( いた / 「ありゃ。ただいま、起こしちゃったかい」 / 眉尻下げ / そっとベッドに乗り上げ、両腕でふわりと優しく包み込むように / きみのところに帰ってきたよ / なで、 / あわよくばもう一度眠りへと誘わんと / 「駄目じゃないさ、ゆっくり休んで。……俺の腕の中でそうしてくれたら、もっと嬉しいのは本当だけどね」 / ふふ / 此方の肩へ頭の重さ預けさせるように )
( 収まれば反射で抱き返し / この冷たさがなかなか落ち着いたりする / 毛髪へ触れる手はきっと睡魔を呼び戻そうとしているのだと / ずるい / せめてもの仕返しにぐりぐり、肩口へ額を擦りつつ / 「…君も一緒に休んで。べつに、君の腕から逃げる理由もないんだから、存分に喜んでくれてかまわないよ。…んん、先に言っておくね、おやすみアゲハ。明日のこと考えるだけで、嬉しくなる」 / ぎゅっと服の皺を増やして横になり / 瞼の限界を感じる / 浮かんだ言葉をそのまま伝えるうち、きっと眠ってしまうのだろう )
……ん、( 寝てしまった / 睡魔への耐性がまたなくなってきている気がする / 一先ず目の前にいるはずの彼を抱き直し / いいにおい、あたたかい、好き / すりり )
……絶対にお昼だね、この明るさ。おはよう、アゲハ ( ゆったりと浮上する意識 / 目蓋を半分ほど押し上げて映り込んだ世界は太陽の色に染まっていた / 隣に回していた手でぽんぽん、軽いリズムを贈り / 囁くように顔を寄せて )
( 穏やかなリズム / おきた? / んん、と唸ってから「おはよ」 / 寄ったお顔から温かい温度を感じる / なんだか擽ったくて、小さな笑い声零してからむにりと頬を押し付けた )
( ころころと鈴がなるように / 笑った声がなんだかとても綺麗で大切なものに思えて、抱き締める力を密かに強くした / 「ん。…目覚めの、ね」 / 双眸を細めつつ此方が押し付けたのは唇で / ふにり / ゆっくり、時間をかけて触れ合わせて、それからふっと微笑んで )
( あ、ちゅーされてる / 脳内麻薬で飽和して何も考えられなくなる感覚 / 今、ここだけ無重力だ / そっと離れていった彼の表情が本当に素敵で、自分が彼に想われているんだって分かってしまって / これはだめだ / あ う / 逃げるみたいにきみの身体と布団の中に潜っては / 「……ふわふわする、消えちゃう、から、まって」 / もぞ…、ぎゅ / 掴まって、どこかへ行ってしまわないように )
( それこそ何十回と繰り返したそれも、未だ新しい見方があるらしい / 巣穴に潜る小動物のような蝶々の呟きが、きゅっと心の臓器を絞り上げた / 消えちゃうらしい / それは困るとなあでなで / ああ、もう、 / 「……可愛いね、君。いいよ、今日一日は君と俺の時間だし、いくらでも待たせて」 / 旋毛にキスでもしてしまおうかと思ったけれど、持ち前の優しさがそれを留めた / 腕の中に閉じ込めて / 鍵を掛ける代わりに濡れ羽へ頬を擦らせた )
( 可愛いとかそういうことではないと思ったけれど、口を開く余裕もなくて / ただ、頭の形をかたどる手が、己の存在を確かなものにしてくれるような気がした / 沸騰してどうにかなりそうだったのが落ち着いていって / いつだって拙い俺に合わせてくれるから、やっぱり少し申し訳なくて / ほう、と息吐き出してから / …すり / 巣穴から顔を出しては手のひらにまた甘え / 「貰うの、未だに下手っぴだね、ごめん。それとも、きみが魅力的すぎるのかなあ」 / ぎゅむ / 捕まえて、ほっぺにちゅ / 謝罪の意味合いと、自身の調子を戻すためと )
( 少しずつ、少しずつ / 小分けにして注ぐ愛もきっといつしか山になる / 塵なんて吹いて飛ぶようなものではないけれど / 甘える仕草も、小さな口付けも、温かくて満たされる / 「まあ、慣れないことをしているんだもの。そうなるのも頷けるし、それは決して恥ずべきことじゃない。…なんでも出来るように見せられる君がこんなになっちゃうの、結構優越感を感じたりもするしね」 / 柔い頬にするりと指先で触れ / 立て直さずとも愛しいものの、彼がそれを望むなら静かに寄り添おう / 優しい時間、落ち着く温度 )
( 気遣いと優しさの塊が此方を慈しんでいた / 分不相応な気がしてならなくて、思わず眉八の字に / この人はなんで俺を選んでくれるんだろう、って / 「物好きだなあ、きみも。……この際だしついでに聞いておくね。気になってることとか、言いたいこととか、ないかい」 / 分からないから / 別にそこまで強い不安に駆られたわけではないのだけれど / 穏やかな時間の延長線上で / けれど、頬に宛てがわれた手を逃さないように、上からそっと手のひら重ね )
( あ、考えすぎてる顔だ / 見覚えのあるその表情から零れる次の言葉は、なんとなく予想がついていて / 「そうだなあ。…じゃあ、一つだけ教えて。最近食べて美味しかったもの、思い浮かばなければ俺の好きなところ。なんでもいいよ」 / きっと望まれる回答ではないのだろう / それでも、何もないと事実を述べるだけではどうにも寂しく感じて / 掌の触れる顔と少しばかり距離を詰めれば緩やかな眼差しで / ゆっくりでいいからね )
( しょ、 / ちがう… / 顔に書いてある / 近づいた顔にどきりとする暇もなく / 多分ないってことなんだろうけど / けれど質問は質問 / 目の前のことを考えることで少し気が紛れる気がした / ううん、 / 唸 / 「思い浮かばない、……食べたいものならあるけど。好きなところ……ひとつだけ……んん、」 / どちらも別方向に難問 / ひとつもないのとありすぎるのと / …ぷす / 頭から煙 / こつん、額合わせ / きゅうけい )
( 会話の手掛かりに用いられるような簡単な質問だって、解答者によっては途端に難問と化してしまう / あ / 合わさった額を感じて、こういうところは不器用だよなと密やかに / 「ふふ、難しいかな。それなら食べたいものを教えて。もうひとつの方については、そうやって考えてくれるだけで嬉しいから」 / よしよし / 余計なものを逃がすようにのんびりと背中を擦り / ふと、 / 「……逆に。言いたいこと、聞きたいこと。あるとしたら、なんでも答えられる今のうちに聞いておいて」 / そっと鼓膜に問い掛けよう )
( 優しい手 / これに何度救われたことか / 今も例に漏れず / 僅かに両目細めて / 「きみの作ったごはん。できたらお味噌汁がいい。あと、ちょっと違うけど、美味しいもの食べてるきみの顔が見たい。……聞きたいこと、」 / 即答 / 忙しいときずっと考えていたこと / ううん、 / さっき訊いたばかりだけど / 少し考えてから / 「キスしてもいいかい」 )
( 彼の言葉で形作られる頭の中の光景 / 湯気の立つお味噌汁、主菜副菜に至るまでたっぷりと使われた野菜たち、そうしてとびきり幸せそうに笑う愛しい人 / ものの数秒でずらりと並んだ冬野菜のリストに、我ながら苦笑を零してしまいそうだった / 考えることは同じなのかもしれない / それから、後づけされたもうひとつの言葉には / 「……もし、ごはんを作り過ぎちゃった時に、消費を手伝ってくれるんなら。いいよ、いくらでも」 / ちゅ / 軽くて柔い許可を出した / 触れる手はそのままに )
( また先を越されてしまった / きゅっと心臓が絞られる感覚 / 死んでしまいそうだと思った / 回数を重ねたところで慣れなどしないのかもしれない / 彼が如何に順応が得意なのかがよく分かる / はあ、と重く熱いため息 / 落ち着こう / 「……うん、いつでも、いくらでも。楽しみにしてるね、__」 / まだ耳元が赤いままだけれど、心臓の鼓動が何とか落ち着いたので / 両腕を伸ばして、頬の両側からそっと固定 / 許可が出たから / 触れて、離して、また触れて / きっと本当にゆっくりと、けれど確実にエスカレートして / 能動的に行えることに安堵していた / 「……きみのこと、好きでいさせてくれて、ありがとうね、周」 / 救われている / 感謝と愛しさ滲ませたとろりとした赤色で )
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