*.+゚ 2019-06-02 00:01:43 |
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( 唸りを上げる掃除機のスイッチをオフにして / よし / 少しばかり早く帰れたこんな日には彼と自分の帰る場所を綺麗にしておこう / 電気を消した暗闇の中でも居心地の良さが伝わるくらい / 玄関に物音が増えたなら思いっきり抱き締めて、労って、それから言葉の続きを返さねば / 少しでも重石を取り除くには / あれこれ考えながら黙々と手を動かして )
( ぐっ、 / 前方に腕伸ばし左右に首倒して / ぼきり / うわ / 早く周セラピーを受けなくては / 手を洗って探索タイム / 靴があったからいるはずだけれど )
( 耳の捉えた音にはっと顔上げて / 帰ってきた、 / 扉開けて廊下に出るとちょうど己を探す彼と鉢合わせ / 「っ、おかえり、」 / 考えるより先に体が動いた / ぎゅうと固く抱き寄せればそのままぴとり、密着させ )
( お / 開けようと思ったらその先に / ぱちりぱちり瞬いている間に / 歓迎されるってこんなに嬉しいのか / これだけで張り詰めていた糸が緩む心地 / そっと添えるように此方からも腕回して / 「うん。ただいま」 / 特に思考を伴わずに、なんとなく撫でてなんとなくキスした / 身体が動作を覚えているようだった )
んん…ごめん、寝ちゃって、ふっと目が覚めたから伝えるだけ。忙しくなるのは君のせいじゃないんだから、謝らないでね。お返事のこととか、帰りのこととか、どうしても気になっちゃうとは思うけど。俺は極論、君が毎日健康でいてくれればそれで安心できるから、…もちろん会えると嬉しいのは前提として、だけど。何となく察しがついてるかもしれないけど、俺の方もここ最近は少しだけ忙しくて。今日だってそうだ、あんまりお話できなくて、自業自得ではあるけどやっぱり…うん、寂しいね。君とのお話で元気を貰ってるものだから、わりと深刻な問題だったり。時間が限られるぶん君に贈る言葉も貰う言葉もひとつひとつ大切にしたいなあって思うよ。…駄目だ、なんだか変なこと言ってる気がしてきた。分かりにくければまた頭の回る時にでも伝えるね。おやすみアゲハ、愛してる。どうかゆっくり休んで。
( 微睡みながら聞いた言葉思い出して目元緩め / 言葉自体も、その内容も / 彼に想われていると思えば何だって乗り越えられる気がした / ただ、深く眠れていないことは心配だけれど / がちゃり「ただいま」 / さてきみはいるだろうか )
あ。おかえり、( 扉の音が蝶を運んでくる / ふっと顔を上げて、立ち上がろうとしたところで先に姿が現れた / 歩み寄る歩幅は無意識に広く / 数歩で目の前に辿り着くと / ぎゅ、 / 「お疲れ様。…会いたかった」 / ほっと心と体が弛緩するような感覚 )
( ぎゅう / 体重をこちらに預けさせるよう背と頭を軽く上から引いてくるように / 周りの音が少なくて、彼の鼓動の音がよくきこえた / 「きみもね。……うん、俺も会いたかったよ」 / ちゅ、何度か / 温もりを分けてもらって、少し暖かくなった頃に / 本当は抱き上げたい気分だったけれど、片手を取って / 隣 )
( 唇が触れるたび、温かいものが増えていく気がした / 混ざり合ってぬるくなる / 指と指をひとつずつ絡めて解けないように / そもそも解く気も解かれる気もないのだけど / 横並び、ふわふわに沈む / 布団の下に膨らみを増やし / すり / 優しく頬を撫でて、二つ嵌まった真赤を見つめた / 今日も綺麗だ )
( さら、さらり / …よし / きっと撫でたくなる髪の完成 / さて、あとは何をしようか / 微妙な時間 / 思い付かないから、何となくきみのことを考えてリラックスする時間にしよう / ぐいーっと身体伸ばして )
ただいま ( 扉を開けば見慣れた玄関 / ちら / 横目でさり気なくチェックした飾りはそろそろハロウィン仕様になったりするのだろうか / てきぱきと片付け済ませて彼の所へ / 「アゲハ、……お。」 / ひと目で分かる濡れ羽の光沢 / 引き寄せられるように近付いて )
( うと… / 人形抱えて深夜のニュースを他人事みたいに眺めていた / 物音 / のろりと頭もたげると、会いたかったその人が / 瞬きを数度、意識を覚醒させて / 持っていたそれを隣に座らせて / 御役御免、ありがとね / 「おかえり。今日は髪が会心の出来だよ」 / むぎゅ / 撫でるがよいとぐいぐい )
( 眠気でこっくりと深まる瞳の色が色付く紅葉を彷彿とさせた / ふと、視界に映る己の代理 / 貰うね / 軽く目配せして、今度は自身が腕の中に / 抱き締めた瞬間抗い難い良い香りが漂って / 「ああ、これは確かに上物だ。…髪の毛綺麗にするの、もちろん君自身のためだっていうのは分かってるんだけど、少なからず俺のためでもあるでしょう。だから嬉しいし、好き」 / さらりさらり / 夜色の絹を梳きながらぽつぽつと / 口許に寄せた一房には勿論口付けを贈って / こんなにも愛しい )
( 横に寝かせると肌色に髪が掛かる / カーテンみたいなそれを丁寧に横へ退けて、健やかな寝顔がよく見えるように / なあでなで / いつまでもなぞりたくなる掌もそろそろ我慢の時間 / 「おやすみ、アゲハ。いい夢を。…そうだなあ、君の髪の毛みたいに、綺麗でいい香りのするところに行けるといいよね。」 / 二人、手を繋いで / 朝日が迎えに来るまでのんびりと / 瞳を閉じる間際の口付けだけは本物にしよう )
( ぐぬぬ / おやすみが言いたい、寝顔が見たい、愛しい、好きだとたくさん伝えたい / 欠乏というより不満なのは一重に彼のお陰でしかないから / 「ただいま、」 / てきぱき身支度解いて手洗いうがい )
( 胸の内が明るくなるような物音に導かれて / 「おかえり」 / 顔を覗かせた先に会いたいと浮かべた人がいるのはなんて幸せなんだろう / 身軽になった頃合いに腕を回して / ぎゅっと / 考えるより先に頭を撫ぜていた )
( あ / 思わず手が止まる / 全部終わったあとのご褒美、目標にしていたものが目の前にあって / 待っていてくれるようだから、投げ出して抱き着きたいのを振り切って / 「……周」 / 包まれて、撫でられて / …ふにゃ / 少しずつ力が抜けていく / 指先を軽く引っ掛けるみたいに肩に手を添えて / すり、 / 好き / ほっぺた同士寄せてくっつけたあと、唇をスタンプみたいにふにっと押し付けて )
( いちいち動作が柔らかいのは力が抜けた証拠だろうか / 揺らせば呆気無く剥がれてしまいそうな指先を何処かに遣る意図はない / 相変わらずふんわりもっちりと心地良い頬と、それに負けないくらいの唇の感触 / 「うん、俺だよ、アゲハ。…ふふ。幸せって書いてある」 / 反対の頬をそっとなぞってやりながら / お返しの唇は揃いの桃色に / もうすっかりと秋だけれど、穏やかな春の日を思い出した )
( そろそろと頬を滑る細い指先の擽ったいような感覚すら、きみから与えられたものというだけで酷く心地いい / このまま溶けていけそうな気がした / 「うん。俺、今世界でいちばん幸せ者だとおもう」 / へへ / おかえりって迎えてもらって、抱き締めてキスまでしてもらって / 嬉しいって伝えるみたいに少し腕に力込めて、肩口に額を押し付けた / さて、この温かい腕の中で眠り転けてしまう前に向かわなくては / なけなしの理性で短いデートの準備 )
( 世界でいちばん / そんな台詞を臆面もなく言ってのける彼のことも、最高を引き出したこの時間も大好きで、大切で / とはいえこの箱庭を世界と捉えた場合にはたったの二票で総意となるのだけど / 当たり前に絡めた指先を時折握りながら / 沈み込む綿雲の上 ) __君がそうやって笑ってるのを見ると、一日が夜に集約されるかんじがする。…夢中になってるの、バレバレだよね ( 収めた腕の中、さらさらと髪を梳きながら / 二人でいる今が好き / すり、顔を寄せるともっと近くなった )
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