*.+゚ 2019-06-02 00:01:43 |
通報 |
『
……伝えたいことがたくさんあるのだけど、まずは。最高の誕生日プレゼントをありがとう、周。ライブをプレゼントされたのなんて生まれて初めてだ、あの子と何かしようとしてたのは知っていたけど、まさかこんなに粋な企みだとは思わなかった。本当に嬉しくて、嬉しいんだけど、……なんだか感慨深くて。きみは相棒で彼女はプロデューサー、それは2年の頃からそうだったし、そのときからそうやって接するようにはしてたけど、立派に成長した今でもやっぱりきみたちは俺のかわいい青虫ちゃんだからさ。俺の誕生日の時期も悪いんだろうけど、卒業シーズンにこのサプライズはちょっとこみあげてくるものがあって。本当にありがとうね。明日二人まとめてハグするから覚悟しておいて。
二人で桜を見に行ったこと、きみの中でも大切な思い出になってるのも嬉しかった。あのあと皇帝サマに連絡入れて、遠回しに環境保全オツカレサマって笑われた過去の俺も報われるよ。……なんか今になって腹立ってきたな、考えるのやめよう。
それじゃあ、こっちまだかかりそうだから先に寝てて……え、デザート? ……ふふ、そっか。じゃあ一緒に食べて共犯になろう。できるだけ早く帰るよ、待ってて。それじゃあ。
』
(星の冴える寒空の下で鼻を赤くしながら、伏し目がちに入れた一本の電話。)
( ぱちり、瞬き / 起きたというより起きてしまった / 隣の寝息をそっと手繰り寄せる / 同い年の君 / 何かが変わったようで、何も変わらないようで / ただ愛しさだけは以前に増して / 「……よかった」 / ぽつり、呟いたならもう一度夢に溶けよう )
( むにゃ / 目の前に胸板 / 顔を上げるとふわふわちゃん / かぁい / ってあんまり言うと拗ねるけど / なあでなあでと手のひら滑らせながら、食べちゃいたいほっぺを時折つつき )
( 朝日が登ってからも一度目が覚めたのだけど / 軽く伸びて、今度こそ完全な覚醒を / 腕の中には此方の体温がうつって生温くなった蝶々 / よし / いつも通りに安堵して、その旋毛へ口付けを / 「おはよう。誕生日、おめでとう」 / やはり直接言っておきたい / 聞き飽きた、は今だけ我慢してもらおう )
( あ、伸びた / 同じようにぐうっと身体伸ばして / 起きてからずっと腕の中に収まっていても苦じゃないのは不思議だ / のそのそと木に掴まるコアラみたいにまた腕回し / 落ちてきたキスに小さくきゃあと悲鳴 / 「おはよう周。ん、ありがと」 / 律儀なの / ぬるい両手でまろい両頬を包み / 鼻の先にお返し / ちゅ )
( 楽しそうだなって / 転がる鈴の音に微笑みを / 君が触れた先から温かな春に染まるような / 「喜んでもらえるか少し不安だったから。…お揃いの期間の方が短いなんて、少し面白いよね。」 / あいも変わらず美しい濡れ羽色を透過する日差しに翳してみた / 綺麗なものに惹かれてしまう )
( 穏やかに凪いだシトリン / ずっとこうして笑っていてほしいと思う / 親指で目の下をなぞるように動かして、今度は瞼に口付けて / 「電話も帰りも遅くなっちゃったもんね、ごめん。あのあとすぐに言うつもりだったんだけど、上手くいかなくて。本当に嬉しかったんだよ」 / ぎゅう / 自分より温かいのがよく分かる / すり、と頬擦らせながら / 甲斐性のない当日の自分の代わりに、いっぱいありがとうを伝えておこう / 「ええと、8ヶ月くらいかな。…けど、ずっと一緒にいるなら、8ヶ月の差なんて実質同い年みたいなものだよ、多分。……俺の髪、まだ好き?」 / 希望的観測から、ほんの、ほんの少しだけ現実に寄った“ずっと一緒” / 口が滑ったのは少し眠いのもあるかもしれない / 指で掬ってお日様に透かす姿が、不思議なことに何かとても素敵な習慣をしているように見えた / 少し遠い眼差しをした己のお日様になんとなく問いかけ )
( 拇指の合図を受け入れて目を閉じれば、瞼越しの陽気を柔いふたひらが擽って / 甘えのように密着する体躯へ掌を乗せてやる / ぽん、ぽん、 / 「ううん、むしろ主役が早帰りしてたら怒ってた。じっくり噛み締めてくれたんならいいよ、計画した甲斐があるってものだ。…多分ね、ふふ、まあそれもそうか。」 / 事実、上だとか下だとかを意識した覚えはなし / 記号のようなものなんだろう / ふと視線を感じる方向を向けば、願いの篭もるルビーに射抜かれた / くすり / 「ずっと好き。」 / 一言を返すのと同じペースで掬うそれに口付けて / 同じ顔になってくれるかな )
( 何もかも理解して受け入れてくれるように閉じられた瞳も、ぴったりのリズムで背を叩く指も / とにかく、どうしようもなく心地が良くて / 眠い、何もせずにずっとこうしてたい / 怠惰 / 「この先ひと月はずっと噛み締めることになるよ、…ふぁ。ねえ、きみの傍ね、凄く息がしやすくて、眠いんだけどね。俺がこのまま寝ちゃうのと、目覚めのキスするのだったらどっちがいい?」 / 離れてベッドから出る選択肢はないらしく / むにゃむにゃいいながら首元に顔埋めて / あ、見てるの気付かれた / 隠すつもりも更々なかったけれど / 「そっか。じゃあ、まだ切れないなあ」 / 少しだけ困ったような、けれどそれ以上に幸せで仕方ないというような笑み / きみの気持ちが分かるかなって、柔らかな相手のそれを同じように掬って口付けた / 結果ただ愛しい / うーん )
( 眠たいのならば寝ればいい / と、気遣いたい反面、この美しい宝石をできるだけ永く眺めたい気持ちもあり / ううむ / 「…寝るのは構わないよ。その場合、勝手にキスさせてもらうけど」 / なんだか我儘っぽくなった / その時はきっと、埋まる顔を少しだけ持ち上げて / 浮かぶ顔には願った通りの花が咲いていて、そんなことでいちいち安心してしまう / お返しというより反復か / 思考が漏れるのを期待して、頭の横をくっつけてみた )
( 眠るに眠れない返事 / 「それ、寝ちゃうときみだけずるいやつだ」 / ぐぬ…と唸り声あげて葛藤 / やがていそいそ頭を上げると / ちむ / 唇に吸い付いて、少しだけ甘噛み / 離れて、けどまだ眠いのでもう一度 / 王子様に起こしてもらおう / 傍にきた好きな人のお顔 / すり、 / 「俺がきみの髪にキスするのと、何か違うなって。きみの口付けの方が素敵な気がするんだ。どうしてだと思う?」 / さら、近くの髪のひと房に指を通しながら )
( 気付いたようだ / 逡巡の末此方へ向いた顔と重なる柔らかさが答えだろう / 浅く当てられる硬質な白の感触は痛みの代わりに微笑ましさを齎してくれる / 戻っていく、その既でやんわりと頬を包み / こっち向いて / 目立たないリップ音を添えたお返しを / 「どうしてって、それは判定するのが君だからでしょう。俺にとことん甘いんだから。気付いてない?」 / 指の腹でふにふにと、揶揄うように頬をつついてみた / 此方からすればその評価は真逆になる / なんて、そこまでは零さないまま )
( 何度食べても今ひとつ眠たい / むむ / 一旦引っこもうと戻りかけたらその手に捕まって / キスに夢中だったから、ようやっとまともに彼の目を見た / 甘く、愛しいと伝えてくる金眼 / あ、と思った瞬間に重なって / 重さなんて全くないそれだったけれど、十分だった / 「…どうしよう、え、周俺のことすきなの……?」 / 軽度な混乱と少しずつ赤くなる頬 / ふとした瞬間正気に戻って好きな人が想いを寄せてくれていることに堪えられなくなる / 多分何回でも繰り返す / さっきとは違い逃げるように肩口へ / 頭から湯気 / 完全に起きた / 「ううん、そうかなあ……? 俺の場合さ、ただハートマーク飛んで好き好きーって感じだけど。きみがやるとなんていうか、綺麗で神聖で、貴ぶべきものみたいで、それでいてスマートさもあって、でも可愛いし好意も込められてるじゃない」 / 首捻りながら / 納得がいかないらしい / 相棒は誰の目から見てもどこまでも魅力的だと信じて疑わない男なので / つつかれたのでぷくっとしておいた / もち )
ただいま。また少し冷え込んできたけど、疲れと相まって体調崩したりしてないかな。俺は防寒してたから平気だよ、撮影で山に行ってね。寒かったけど梅がとても綺麗だったんだ、今度見て。それじゃあ、面倒かもしれないけど温かいお湯に浸かって俺の隣まで辿り着いてから眠るんだよ。おやすみ。
……体調は大丈夫かい、心は? 便りがないのはいい便りとは言うけれど、それでも心配してしまうのが過保護の性ってやつでさ。きみがどうか無事であるようにと、祈ることだけは許しておくれ。年度末で忙しいだろうし、難しそうなら無理に顔出さなくても大丈夫だからね。ただ、……明後日には会えるかな、会いたいなって、それはつい、考えてしまってはいるけど、……それも、難しそうなら構わないから。きみはきみを大切にすることを一番に考えて。…もし来られるようなら、長い言葉も凝った表現もいらないから、難しいことは何も考えずに、気楽においで、ね。
__眠るときがきたんだね。ゆっくり、どうか安らかにお休み。……まだ、ちゃんと受け入れられた訳ではないのだけどね。生きていかないといけないって、俺より身体の方がよく知ってて、眠る度にきみのことを記憶のより奥底へしまい込むんだ。お陰で、思ったよりよくやれてるよ。時折、なんていうのかな、上手く言えないけど、前後左右の地面が全て失せてしまってそこから一歩も動けなくなるような瞬間が金縛りのようにふっとやってきたり、戻ってはいけない正気に戻ったように胃の中のものを全て吐き出して泣き出したくなったりしてしまって、どうしようもなく怖くて厄介だけど。でも、それがあるから、嗚呼俺はまだきみを忘れてないって安心もできる。
心中も全く吝かじゃないけど、今はやるべきこととやりたいことが残り過ぎてて。ごめんね。いつ死んでもいいようにしていた筈なのにな。でもずっと傍にいるよ、……いや、離れられないの間違いか、気持ち悪いね、ふふ。気持ち悪いくらいきみのこと好きだからしょうがないんだ。もしかしたら何かの拍子にきみが起き出してくるかも、って期待も、うん、ある。それも含めて、まだ踏み切りがつかないから。覚悟と精算が済んだら、俺もそっちへ行くよ。気が向いたら待ってて。
……反応しようか迷ったんだけど、ずっともやもやしそうだから返事することにするよ。
ええと、見たところファンの子かな。口調は俺の後輩に少しだけ似ているけど。応援ありがとう、嬉しかったし少し元気が出たよ。俺の言葉がもし周以外の人も幸せにできていたのなら、それはとても幸運なことだと思う。……けど、そう考えるのは俺だけかもしれないし、一対一のところに支援のメッセージは考えた方が良いかもしれないね。今は俺ひとりだから別に良いかと思う心の方が大きいけど、そんな俺ですら“他人に踏み込まれた”って感覚がない訳ではなかったから。きみはきっと俺たちを短くない期間見守って応援してくれていて、今回も純粋な気持ちで言葉を残してくれたんだろうって、分かっててもね。……俺たちとは違う形や状況の場所もあるだろうし、一概には言えないけど。気を悪くしたならごめん。態々立ち入り禁止の立て看板を無視してまで言葉を伝えにきてくれた心優しいきみだからこそ、伝えておきたいと思ったんだ。
きみは、周は今どうしてると思う? 俺も色々考えてみるんだけど、最近は異世界転生したんじゃないかって思ってるんだよね。ふふ、そうそう、今流行りの。ああいや、この場合は転移というのかな、憑依? 分からないけど。……ふ、あっはは! 真に受けてる、冗談だよ。
さて、大したもてなしもできずに悪いとは思うけど。返事はいらないから、こんな辺鄙で鬱蒼としたところなんて覗いてないで、明るい場所へ行って楽しんでおいで。ほら帰った帰った! __きみにも、…俺たちを愛してくれた全ての人たちにも、願わくば素敵な幸運がありますように。
夢で凄く険しい顔をしたきみを見た気がするから、余計だと思うけど気休めになればいいなと思って言うね。
そんなに深刻にならなくても大丈夫。上手に言葉が出てこなくても、言葉にする元気が足りなくても、世界が終わったり誰かが死んだりしないよ。俺のことは幾らでも待たせておいていいから、ちゃんと寝て美味しいもの食べて、深呼吸することを優先して。焦らなくて大丈夫だからね。
トピック検索 |