匿名さん 2019-05-17 01:14:06 |
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( ついこの間まで自分が最上級生だったから先輩という存在を失念していた。いや、元々中学の頃から目上の人間を敬う気持ちなど持ち合わせていなかったけれど。忠告されてそういえば彼も先輩なんだったなあと散々先輩と呼んだくせにぼんやりと思う。図体と同時に態度もでかくなってしまったとはこういうことなのだろう。会って間もない自分にぶっきらぼうながらも忠告してくれるなんて良いヤツなのかも、なんて思ってみる。聞いていないわけではないけれどふーん、と気の抜けた返事でも返しておく。彼のみに適用される特別ルールならその権限譲ってくれと思い問いかけた質問はそんな筈がないと一刀両断される。成る程、彼もサボりなのかと漸く理解する。しかし彼は自分より相当計算高い男のようだ。次から見習ってみようか、なんてまた要らない事を学習していれば何だか話し声が聞こえてきた。なんだ今日は屋上が人気スポットなのだろうか。そんなことを呑気に考えて扉の方に向けた視線を彼に戻そうとした瞬間首元を引かれたのか首元が苦しくなる。急なことで抗うことも出来ず、彼に引かれるままに足も其方に歩みを進めた。)~~~ッ!何っ!(シーツの裏に連れてこられて直ぐ、首元を引く彼の片手首を捕まえてやれば反射的に大声で言ってしまって。 )
──っ、静かにしてろ!
( 相手の大きな声に咄嗟に自分の手でその口を塞いで小声で言いつける。あれ、何でこんな必死になってんだ?と疑問に思ったが声の主達はすぐそこまで来ていて、とりあえず手振りと口パクで“そこにいろ”とシーツの影を指差し、屋上の扉が開くのと同時に相手の口元から手を離して。『あれ、桝田じゃん。…何、お前もサボり?』と3人引き連れズカズカと登場したのは茶髪のガラの悪いタメ。ちなみにこの4人は新入生の入学早々に一年からカツアゲする騒動を起こし既に一年の間でもそこそこ顔が知れている、らしい。視線で“出てけ”と牽制され、普段ならハイハイと従っていたが相手を置いてはいけないという変な正義感が働き「いや、まだ用事終わってないから…」とカゴに残っているシーツに目配せし。そう言えば相手を隠してからのこと考えてなかったなぁと今更失態に気付きつつ不良達の刺さる視線を浴びながら相手に出てくるなよと目だけで訴えて。 )
( / 本体が失礼します!勝手にモブを出してしまいましたが適当に使って頂いて大丈夫です!あと二人の通う高校は共学にしますか?男子校にしますか?
共学だと今後女子との絡みも出来て話が広がるかなぁと思ったのですがどうでしょうか? )
( ちょっと一服しに来ただけなのに一体何なんだ。大声を反射的にとはいえだしてしまったことに静かにしろと言葉と行動で示される。彼の慌て具合でなんだかマズいことだけは理解できるが、どれほどマズいのかいまいち理解できずにいれば相手は自分から手を離してシーツの裏から出ていった。屋上の扉が開かれる音がして先ほどの話し声の原因が入ってきた。上級生だろうか、シーツの隙間から見える上履きが彼と同じことから判断する。桝田じゃん、との声に彼の名前を初めて知る。桝田って言うんだ、なんて呑気に考え事をする。この手の不良には慣れているので彼がここまで必死になっている理由が理解できなくて、ちょっと様子が見たいというただの好奇心でシーツからひょっこり顔を覗かせてみる。リーダー格のような男とそれに群がる3人の男。そういやクラスメイトが標的になっただかって言ってたっけ。こいつらのことなのかなあと本能的に察してしまえば心の声が思わず漏れた。)…ださ。(ふと放った一言に彼と話をしている茶髪と目があった気がした。 )
( ありがとうございます◎!今回上手く使えなかったので次から使わせていただきますね;;
共学設定で大丈夫です◎此方も共学のつもりで話勧めていました…( 笑 ) )
…っ、
( 4人の不良達をどう誤魔化そうか対峙してたところシーツの影から聞こえた相手の声、
声出すなとキッと相手を睨むのと同時に靡くシーツ。そうだ、今日は風が強いんだった、と気付くも時既に遅く…。不良の一人が相手に気付き物凄い目付きで此方を睨んで来て『あ、誰だよソイツ?』『一年じゃね?』と騒ぎ始め此方に近づいて来た。どうどうと両手を胸の前に上げて不良共を落ち着かせようとするも彼らは標的を完全に相手に変えたらしい。ドンッと肩を押されてゴミのようにどけられてよろめいてしまう。そうする間に4人は相手の退路を塞ぐように立ちはだかりリーダー格の青年が前に出て『お前さ、今オレ等のこと馬鹿にしたよな?つーか、一年?…誰の許可取って此処使ってんの?』『一年の癖にその頭生意気』と突っかかり始めリーダー格が相手をシーツの間から引っ張り出すために胸ぐらを掴もうと腕を伸ばして。自分はその様子をやや距離を置いて見守る。なにせ喧嘩らしい喧嘩なんてしたことがない。相手を置いてとんずらすることも出来たがそれは間違っている気がしてせめて止められるタイミングをと、動向を伺っており。 )
( / 共学了解です!モブについても有難うございます!桝田を含め確定ロル使って雑に扱って頂いて大丈夫です笑 ではではまた背後は失礼します。蹴り可です!)
( 声が漏れたのに気づいたのは既に彼が対峙しているその不良が此方へ歩みを進めている時だった。あ、ヤバ。今度は心の中で言葉を仕舞っておく。どんっ、と勢いよく押された彼を見て少々の怒りを覚えながらもやいやいと何かを言いながら此方へ歩いてくる不良を見つめる。生意気。そう発された直後に髪の毛を強引に掴まれる。度胸はあるものの、そこらの少女漫画でもあるまいし喧嘩が得意というわけではない。掴まれた髪の毛に痛みを覚え少々苦痛に顔を歪めていれば「先輩に向かって調子乗りすぎじゃね?」なんて。元々短気な方ではないけれどそこまで温厚なわけでもない。苛立ちを抑えきれずに遂に声を発してしまう。)そういうのがダサいって言ってんだ…よっ!(蹴り上げた足は自分を掴む茶髪の股間に命中した。自分だったら悶絶するなあなんて無駄に状況に慣れてしまった脳味噌で考えては咄嗟に離れた髪の毛に今しかない、と彼のもとへと駆け寄る。)逃げるぞ!(自分の様子を見守っていただろう彼の手を掴んで引く。戸惑う不良を他所に屋上の扉を開ければ階段を駆け下りた。ここからだったら空き教室が一番近いだろうか、彼の様子を確認することもなく夢中で目的地だけを目指した。 )
( 茶髪が相手の髪を掴んだとき、これは駄目だ止めなければと地面に根付いた足を叱咤しようとしたとき、相手の長い足が茶髪の股にクリーンヒット。自分が蹴られたわけでもないのに思わず表情を歪め、案の定蹴られた本人は地面に膝をついて悶絶している。すご…なんて呑気に感心していると腕を引かれて )おい、ちょっ…( と抗議の声を上げよろめきながらも何とかついていく。背後で『逃げんなよ!』『顔覚えたからな!』と恐ろしい声が聞こえた気がしたが今は転ばないようにすることに集中して足を急がせた。そして止まったのは空き教室前。普段運動なんてしないものだから膝に手をついて荒くなった息を整えながらチラと相手を見て ) お前…、足、速い。……てか、完全に目ぇつけられたな…( と漸く息が整い始め大きくハァと息を吐き出して姿勢を正し、今一度相手を見るとその金髪にぽんと手を乗せ )痛くないか?結構な強さで掴まれたけど…、( こうなったのも多少は自分に非がある気がして申し訳なさそうに頭に置いた手で相手の頭を撫でて。 )
( 空き教室の前で足を止めると相手の息が荒れていることにやっと気がついた。そういや相手のことを気にせずに走ってきてしまったなと少し反省をする。昔から何かと絡まれてきたので絡まれることへの抵抗は特にないけれど関係のない人を巻き込んではいけないと思ったのは些細な正義感からだろうか。相手の呼吸が落ち着くと相手は自分の頭に手をやり、心配の言葉をかけてくる。その言葉と撫でられた手に妙なむず痒さを覚え違和感に少し停止したあと。)痛くないわけ無い。…けどまあこうやってしてくれるならもう治った。(なんて少し冗談めかして言ってみる。彼から視線を外して空き教室のドアをガララ、と音を立てて開けては中に入るよう促した。)ここならバレないでしょ。(ニッと笑って相手に安心感を与えるように落ち着いた声色で言う。物置部屋と化した空き教室。人通りもそれほど多くないしそれ程目立った場所でもない。今後どうなるかの保証はできないけれど取り敢えず今のうちは安全だろう。今はもう使われていないであろう椅子に腰掛ければふとその存在を思い出した。)そういや、シーツって大丈夫…?(シーツを干すように頼まれていたのは彼なわけで。それがもしちゃんとされていなかった時怒れられるのも彼である。元凶は屋上にあるとはいえ、あそこまで面倒になったのは自分の所為である。あの不良よりも其方を気にかけては彼の返答を待ってみた。 )
( 相手の冗談めいた言葉に本当に大丈夫なのだろうかと眉を潜めつつ、ニッと人懐っこい笑みを浮かべる相手に、大丈夫そうだなと勝手に自己判断する。そして相手に続いて空き教室に入り、相手の前の席の椅子を引いて後ろ前で座ると問われたことに、あー…と忘れていたような気の抜けた声をだして ) まあ…大丈夫だろ。今日使うものじゃないって言ってたから万が一シーツが使い物にならなくなっててもとりあえず今日困るやつはいない…と思う。…てかシーツより自分の心配しろよ。彼奴等絶対しつこいぞ。また絡まれても知らねえからな( 自分の身よりもシーツの心配をしてくれる相手に意外だなとまた失礼なことを思いながら、不良共のタチの悪さとしつこさを懸念して。それでもあの場で相手の機転が利いていなかったら今頃自分も痛い目にあっていたかもしれない。じとりと相手を見て ) まあ助かったよ。俺置いてでも逃げられたのにさ。…にしてもすげえキックだったな。…あーいうこと慣れる、とか?( とつい相手の髪をチラッと見てしまい、いやいや偏見はよろしくないと心改め、相手との間にある机に両腕をついて返答を待って。 )
( シーツ。そう言えば、と自分も相手を巻き込む形であの屋上から出ていきながら忘れていたことを思い出した。大丈夫だったのかと問いかければ相手も忘れていたような反応を見せる。その反応を見るからに一応大丈夫なのであろうことを理解すれば彼自身の口からも大丈夫だろうと言葉が発せられた。良かった、とこちらが言葉を発する前に自分の心配をしろとの言葉。元々行け行けドンドンな性格ではあるのでそんなこと考えてもいなかった。そう言われてみればそうだなあと驚きの表情を浮かべてみる。ぶっきらぼうに見えても自分を心配してくれたことに口角を緩めてみればお礼の言葉に付け足すように質問が投げかけられる。)あー…まあそれなりに?(派手な髪の毛、それに加え初対面の時は煙草を吸っていたなんてそう思われても仕方が無いし、実際間違って居ないので否定はできず。自分の行いが先程の彼らと変わらないのではないかと思うとなんだか申し訳なくなって彼から少し視線を外してそう答えた。)ってか!あんたこそ何で逃げなかったんだよ。今日は運良く逃げれたから良かったものの、俺場馴れしてるだけで喧嘩だって特別強いわけじゃないんだからな。(じとりと相手を見つめれば無防備な額にデコピンでもしてやる。 )
へぇ…それなり、ね
( ピッキングも出来てそれなりに動けるとは、やはり相手は自分がこれまで関わって来なかった人種ではないらしい。ただ先程の不良共と同じ括りではない気がした。視線を外す相手にそれ以上詮索することはなく、話すことなくなったなぁとぼんやりしていると突然の額への衝撃。いたっ、と声を上げ額に手を当てると恨みがましげに相手を見返すも何やら心配してくれている様子に小さく息を吐き ) シーツ干すの手伝ってもらったし、一応一年だろお前。絡まれてるの見てほっぽって後で何かあったら後味悪りぃし。( やや気怠げに額をさすりながら言ったとき、丁度5限目の終業チャイムが鳴る。流石に2限連続サボるのは気がひけるためさっさと席を立ち扉に向かい去り際に) あ…今度俺の前で煙草吸ってたら今度チクるから( と言い残しポケットに入っていた飴を相手に投げつける。それは手伝ってくれたお礼とそれで口寂しさを紛らわせと意味合いを込めたもの。相手がキャッチするのを見届けることなく空き教室を去っていき。 )
( その日の放課後、結局シーツは無傷で無事に部長に届けることができた。しかしどうだろう。今目の前には先刻の不良共が進路を塞いで何やら相手の素性や関係を聞いてくる。場所は昇降口で丁度下校するたくさんの生徒たちの遠巻きの視線が痛い。ただ助けてくれる者はおらず皆素通りするだけ。まあ当然だよなぁと他人事のように思いながら『で、あいつ誰なんだよ。どこいんの?』と聞かれるが名前も何も知らないので答えられるものは何もない。知っていても言うつもりはないので「…知らないし、後輩いじめもほどほどにしたら?」と軽く注意をして「じゃあな。」と隙を見てさっさと退散させて貰い。が、それで納得するような連中でもなく相手をしめないと気が済まないのか一年の下駄箱で相手を待ち伏せていて。 )
( パチン、と音を立てて命中したデコピンに少し顔を歪めて相手は此方をみる。その様子に少し笑っては心配の言葉をかけた。先輩らしいお言葉を頂いたその後数秒も経たない内に5限目終了の知らせであろうチャイムが鳴り響いた。そういえば授業中だったとその存在を思い出していれば目の前のシルエットが動いた。2度目はない、と投げかけられた煙草への忠告と自分に向かって飛んでくる飴。それを上手に受け取った後、彼はもう教室から出て行っていた。なんだか興味深い人に会ったなあ、と上機嫌で貰った飴を胸ポケットに忍ばせれば、机の上に伏せるようにして目を閉じた。 )
( 聞き慣れた音。もうそんな時間になっただろうか、ズボンのポケットから携帯を取り出せば6限目の終了時刻。成る程先ほどの音は終業の合図だったわけだ。人通りが少ないとはいえ、いつもよりも騒がしくなった廊下にそろそろ帰る時間かと荷物を取りに教室へと足を運ぶ。 )
( 荷物も取りに帰って担任に捕まり説教されて何とか開放された頃には友人らは自分を置いて帰宅しており、なんだ薄情者めと思いながら階段を降りる。ふとすれ違ったクラスメイトに下駄箱今は行かない方が、なんて忠告されたけれど何かあったのだろうかと思いながらも帰宅したいので歩みを止めることはなく。漸く辿り着いた下駄箱には見知った物騒な顔ぶれが並んでいた。暇かよ、なんて悪態を吐きながらこれ以上面倒になるのを避けるためにも心の内に秘めておく。さっきはどーも、なんて典型的な言葉。あーやだやだ、これだから不良ってこわーいなんて挑発じみた言葉をかけてみる。プライドが高いんであろう彼らはすぐに此方へ向かって手を出してくる。これだから無駄にプライドが高い馬鹿は、なんて内心彼ら不良に舌を出していれば殴られた反動で下駄箱に頭をぶつけた所為なのか若干額から血が滲む。誰か教師呼んできてくれないかなあなんてまるで他人事のように考えていれば思った通りにすぐに教師がやってきた。此方は手を出してないし大丈夫だろうと平然とした様子で帰り支度を始めていれば、担任が笑顔でやってきた。事情をきくからちょっと来い、と。ちなみに目の奥は笑っていない。自分の計画では自分はお咎めなしですぐに帰れる予定だったのに、あれれ。なんて作戦はから回ってしまい、担任に連れられるように保健室へと向かった。 )
( 担任教師は保険医の手によって治療を受ける相手をニコニコ見守り治療が終わるや否や逃さないとばかりに相手の前に椅子を持ってきてどかりと座り『それで宮下、何やらかしたんだ?』と相手が不良共に何かした前提でいきなり話を始める。『さっきサボったの注意したばっかだよな?』から始まり関係ない髪のことまでくどくど注意し始め。と、そこへガラガラと保健室のドアが空き不良側の副担任が入ってきて『…その彼らが言うにはA組の桝田という生徒から宮下くんが煙草を持っているというのを聞いて注意していたと話しているのですが…』と。無論、桝田は誰にも煙草のことは言っていない。不良たちがでっち上げた嘘である。それを聞いた担任は相手をじっと見て『そうなのか?…煙草あるなら出せ。』と手のひらを相手に突き出して。 )
( そのころ自分はというと、濡れ衣を着せられたことなど露知らず、相手のことは既に頭から離れていてバイト先であるコンビニに居て。コンビニの制服に着替えてレジに立ち、愛想笑いもすることなく手だけは手際よく動かし淡々と業務に勤しんでおり。 )
( 自分にしては上手くやったつもりだったのだが、所謂どうしてこうなったってやつだ。一歩どころか数歩足りない、そして荒い作戦のおかげで怪我を負い担任に話を聞かれてしまっている。それもこれもあいつらの所為だと治療しながら説教を垂れる保険医にははーなんて笑みを浮かべながら内心舌打ちを打っていた。治療が終わって第2ステージ、今度は担任の説教が始まるかと思うと気が遠くなりそうだ。こんなことになるなら初めから裏門から逃げていればよかったかもしれない、否、でもこんなにも執拗に追ってくる彼らのことだ、面倒ごとが先延ばしになるだけかもしれないとまあ終わったことを考えても仕方がないと担任の説教を空返事で流しながら聞いていれば知らない教師が保健室へ入ってくる。何やら神妙な面持ちで担任に話しかければ担任が此方へ視線を戻して手を差し出した。どうして、たった一言それだけの疑問が浮かび、胸の奥がつっかえるような気持ちになる。ただはっきりとしているのは担任に煙草がバレたこと、これから謹慎を受けること。)…はい、どーぞ。(クソみたいな一日だなあとぼんやり、憤りを通り越した感情を覚えればポケットに忍ばせていた黒い箱とライターを曇った瞳で笑みを浮かべて嘲笑するかのように差し出した。治療も済み、此処で話すのはと生徒指導室に連れて行かれる。保健室を出る直前、いつだかに貰った飴玉をごみ箱にほおり投げれば保健室を後にした。 )
( 生徒指導室、担任と生徒指導の教師は相手の言い分をあまり聞かずにみっちりと説教をする。ただあの下駄箱で手を出したのは不良共だけ。それだけは理解したのか今後一切煙草を吸わないことと下手な真似はしないことを言いつけ、謹慎期間中のたっぷりの課題プリントと反省文の紙を渡し、日が暮れて空が暗むころに漸く相手を解放する。はっきり言って話した内容は数分で終わる内容だった。ちなみにあの不良共も謹慎になったが、一切反省はしておらず懲りずに相手を付け狙おうと目論んでおり。 )
( 一方コンビニ、高校生が働けるのは22時前まで。今日はシフトをギリギリの時間まで組んで貰っている。終わるまでまだ時間あるなぁ、腹減ったなぁとおにぎりやサンドイッチを棚に陳列しながら呑気に考えていて。ふとそう言えば帰りに昇降口にいた不良共は相手に手出ししていないだろうかと今更心配になってきて。それでも今確認する方法はなく明日屋上に行けばまた会えるだろうか…と思考を巡らせつつ手を動かして。 )
( 翌日。一週間謹慎期間を受け、出された課題に取り掛かるのも面倒なので中学の頃の友人に招集をかける。「課題、手伝え。」たったそれだけの文章を送りつければ今は授業中であろう時間帯なのに既読がよく付く。さすがと言って良いのだろうか、呆れ混じりにフっと思わず笑ってしまえば友人らの到着を待つ。持つべきものは友人だなあなんてしみじみと思いながらだらだらと課題に取り組んでいれば家のインターホンが鳴る。やっときたか、と階段を駆け下りて扉を開けると玄関に群がる友人たち。謹慎受けるの早くね?なんて笑われながら家に招き入れ、慣れた様子で自分の部屋に皆入っていく。皆が入った後、自分も自室に入れば課題を振り分けていく。まじ助かるわーなんて言いながら適度に手を動かす。 )
( そろそろ良い時間だろうか。各々与えられた課題をしたり、ゲームをしたり漫画を読んだり。疲れない程度に課題に取り組んでいた。ふと誰かが言ったゲームセンターへ行きたいとの要望で皆がそれに賛成し、大体片付いた課題を机の上に広げたままゲームセンターへ向かった。すれ違う人々の視線を気にせずゲームセンターに辿りつけばパンチングマシンの前で足を止めた。「隼人これしかなくね?」からかうように言ってくる友人のノリにノるように100円玉を投入した。グローブをはめて勢いよくマシンを殴りつける。平均点を悠に上回った記録に友人たちからの歓声と次俺がやるとの声にグローブを友人に預ける。盛り上がる友人を他所にゲームセンターの外にある自動販売機へと向かい、ゲームセンターを出た。 )
( ゲームセンター前、不良共は謹慎を長い休みが取れた、ラッキーとしか思っていなく当然のようにゲームセンターに訪れていて。そしてばったり自販機に飲み物を買いに来た相手と鉢合わせる。茶髪はニヤリと笑むと相手を4人で囲んで『よう一年、偶然だなぁ?』『お前のせいで謹慎食らったんだけど』と酷い言いがかりをつけて笑いながら相手の手首を掴んで路地裏に引きずり込もうとして『金出したら許してやってもいいけど?』なんてベタな脅しをしはじめて )
( その頃、屋上。一応、一応だ。と相手の無事を確認するため金髪を探しに来てみたが当然相手の姿はない。一瞬焦るも、まあ二日連続でさぼる時間が重なることはないかと諦めて教室に戻ろうとしたとき、廊下にいた不良共の仲間の会話から嫌な話が小耳にはいる。『さっきメール来たんだけどアイツ等、あの一年ゲーセンで見つけたらしいぜ。』『あー俺にも来た。招集くらったけど流石に謹慎くらいたくないから断ったわ』と。続く会話の内容から相手のことだと察しがついてヒヤリと冷や汗が流れる。いやいや…別に俺関係ねーし、てか行っても何もできねーし、と頭の中で言い訳するも人の窮地を知って放おっておける性格ではない。くそっ、と悪態吐くと教室に戻って自分の鞄を引っつかみ『あれ、帰るのー?』と声をかける友人に「わるい、担任にてきとーに言い訳しといて」と早口に謝り教室を飛び出して。 )
( ジュースでも買ってこようかとでてきたゲームセンター。この運の悪さは一体なんなのだろう。時間にすれば数時間前自分が殴られた相手が目の前に居る。ニヤニヤと笑って此方へと近づいてくる。)丁度良かった。俺もちょーっと用あったんだよ、相手してよ、ね。センパイ。(にっこりと笑みを浮かべて先輩方とともに薄暗い路地裏へと入る。路地裏へ入るや否やすぐさま顔面を思い切り殴られる。あ、これ、デジャブ。なんて呑気なことを考えては此方も腸が煮えくり返っているのでやられっぱなしではいられない。相手のまっさらな顔面を思い切り殴ってやれば簡単に相手は吹き飛んだ。しかし相手は四人、流石に勝てる見込みはないな、なんて思いながら喧嘩をしていれば地面に柔らかな感覚。パッと下を見てみれば先程までニヤニヤと自分をみて笑みを浮かべていたうちの一人が倒れていた。「ヒーロー参上!」聞き慣れた馬鹿っぽい声に振り向くと、友人の内の1人がそこにいて。そういや自分も不良出身だったなあなんてしみじみと思う。調子に乗んなと叫んだ先輩がどこからか持ってきた鉄の棒のようなものを自分に向かって振り下ろすのを右腕で受け止めては相手を思い切り蹴り飛ばす。 )
( そこからはもう泥試合のようなものだった。スタミナ勝ちと言ったところだろうか。大量の血を頭から顔から流しながら何とか生還し、路地を出る。「腹減ったー!」隣で喧嘩後とは思えない言葉を発する友人に溜息をつきながら。 )
( 息を切らして辿り着いたゲームセンター付近、なんだか昨日も走ってた気がするなと思いつつ、とりあえずゲームセンターの中でも覗いてみるかと軽く息を整え歩みを再開しようとした時だった。路地裏から出てきた2人の青年…、内一人は探していた人物、なのだがその姿は普通ではなかった。は…?と自分の目を疑う。何があったかは先程学校で聞いた会話から予測できたが何分見慣れない光景に頭がついてこない。一瞬、面倒くさいから関わるのはよそうと尻込みしてしまうが、此処まで来てそれはないかと葛藤した後、路地から出てきた相手の腕を掴んで。 )おい待てよ。…お前その傷、あいつ等にやられたのか?てか…謹慎中って聞いたけど何でこんなとこいんだよ。( 路地裏で伸びている不良共にはまだ気付かずに現状把握をしようとやや早口に尋ねる。相手の隣にいた友人が『何コイツ。さっきの奴らの仲間?』と警戒の眼差しでこっちを見ながら相手に問いかけ。そんな友人も随分酷い怪我を負っている。これでは悪目立ちしてしまうと思い相手の腕を掴んだまま手を引いて )ここだと目立つし、とりあえずその怪我どうにかするぞ( と人気がない場所へ移動しようとして。 )
( こんなに喧嘩したのいつぶりだろうか、特に自分から流れた血を気にも止めずに呑気な友人と裏路地から表へと出る。先程まで薄暗い場所に居たからなのか心なしか明るく見えるような気がして僅かに目を細める。腹が減ったと騒ぐ友人の隣にいるとなんだか自分もお腹が空いてきたような気がした。他の友人はさておいて、気にしていないとはいえ頭も顔も体もジンジンと痛む。さて帰ろうかと歩みを進めようとした途端突然腕を惹かれたことに驚いたように目を丸める。ふと、その衝撃の原因を見ようと
振り返れば見知った顔。息を切らしているのを見るのは初めてじゃないなと既視感を覚える。どうして、彼の問い掛けに自分より先に友人が絡む。自分が声を発しないのに展開はどんどんと進んでいく。惹かれた手に嫌悪感を抱けばフッと相手の手を振り払った。)何?そーゆーのウザイんだけど。(今更何を、なんて言うかのように相手を睨みつけた。帰宅路へともう一度歩みを進め始めると、)謹慎中だから帰るわ、(相手を見ることなく相手に向かって手を振った。 )
──おいッ!
( 敵意に似た嫌悪感を向けられ手を振り払われれば唖然とし、手を振り去っていく相手を一度は引き留めようとした。しかし、自分は相手の友人でも無ければ名前も知らない昨日会ったばかりの他人。余計なお節介だと煙らがられても当然である。相手の不機嫌の本当の理由は知るよしもなく小さくなっていく背中を見送っては、スマホで時間を確認して再び学校への道をゆっくり進んで。その一部始終を路地裏から不良共に見られていたことには気付かなかった。 )
( 翌日の夕方、スーパーに買い出しに来ては野菜売り場を物色しつつ、ふと相手はあの後本当にあの怪我で大丈夫だったのかと気になって。まともに話した訳でもない、しかも苦手な部類の人間を此処まで気にするのはおかしいかもしれない。それにいくらこっちが勝手にお節介を掛けたとしても、昨日の相手のあの態度は少々失礼なのではないか…と今更イライラしてきて。だめだだめだ、もう忘れようと今晩の夕食に使う白菜を手に取って。 )
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