梔 2019-05-10 21:27:49 |
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>>梔
(オヤジは榊の名が出た時に相手の瞳がほんの微かに揺らいだのを見逃さなかった。しかし油断は出来ない。少しの攻防を交えただけでも相手の戦闘レベルは侮れないと悟り、洞察力もかなりのものと伺えた。正直、マフィアのいざこざは興味無かったが報酬を既に得ている以上、それなりの仕事をせねばと問われた問いにフンと鼻で笑うと内ポケットからジッポーを取り出し扉横のランプに火を灯す。ランプはジーと音を立ててジトリと室内を薄暗く照らし、それによってより鮮明に見えた梔の秀麗な瞳にオヤジは薄く笑み零し『アイツは俺の子分みたいなもんだった。いや金づるってのが近いな。』と喉で笑うと自身が榊に手解きしたことやその見返りに報酬を得ていたことを話して、『俺はアイツが此処に来た小童のころから知ってるが、そんときからヘラヘラしてていけ好かねぇ野郎だった。親に捨てられたってのにケロッとしてやがるし、つい昨日まで仲良く同じ釜の飯を食ってたやつが死んでもいつも通り盗みに出かけられるようなやつだった。あー、でも待てよ。一回だけキレてたときあったな。』いつだったかなァと短剣を片手で回しながら白々しい演技を挟んで『あー、そうだ。アイツが可愛がってた妹分がマフィアの連中の紛争に巻き込まれて殺されたときだよ。相当マフィアを恨んでたから俺はてっきりヤマト入りを断ると思ってんだけどな。ボスにまでなっちまうんだからほんと何考えてんのか分かんねぇよ。』とケラケラ笑い饒舌に話す内容は全て真実。マフィアに恨みを抱いていた、その真実さえ話せれば茉莉花の命じた“榊に疑念を抱かせる”条件を満たしているだろうとオヤジは相手の反応を伺いニヤリと口端を上げて。『んで、他に聞きたいことはあるか?…ま、これ以上聞くってならそれなりのものは頂くけどよ。』と一歩二歩と相手に近づいていき距離を詰めると相手の顎先を指で摘んで堅い親指の腹で顎下を撫でて厭な笑みを浮かべて。)
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