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No.1
by 例えるならば人 2019-05-04 00:02:42
▽退廃6区って結局なあに
端的に言うならば、都市伝説、それ以上でもそれ以下でも無い。コンクリート製のビル群が広がる地帯で、朝と夜の区別も無く日がな一日灰色の雲に覆われている、そんな場所。暗がりは何が潜んでいるのか分からない恐ろしさを孕んでいるし、人が集まる開けた場所は大体叫び声や奇声が上がってる。喧嘩や奪い合いは日常茶飯事、自分の身を守るのはそれこそ自分だけ。三大欲求が薄れ、食事を取らずとも平気になり、真っ当な生を謳歌させない。無論、食欲や性欲が無くなった所で行為自体が行えない訳ではないんだけどね。
嗚呼、特筆すべきは此処では化け物が生み出されるという事だよね。この言葉には2つの意味があってさ、一つは迷い込んだ人間が化け物へと変貌するパターン。何が理由で迷い込むかは個々人それぞれ、それでもじわじわと水が土に侵食するように不安を煽られ恐怖に駆られ、少しずつ狂気に齧られていって最後は会話も不可能な狂人奇人__化け物といっても差し支えない生き物となってしまう、大体皆そんな顛末。極たまに理性を保っている住人もいるみたいだけれど、それこそ感覚に問題が有るんじゃないかなって思うんだよね。もう一つは、言葉のまんま。元々が人間である前者と違って、純粋培養の化け物だって生み出されているみたい。君もよく知っている鬼神がその最たる例だよね。比較的話の通じる相手が多いのは此方だけれど、端から異次元の存在だから常識が通じない事は変わらないみたい。
▽歩き回るには地図が必要
中心部:セントラルエリア
6区で最も開けた区画。水の出ない噴水の周りに落書きのなされたベンチが数台。更にその周りを無人の露天がごみごみと連なっていたりする。商品に手を出そうとすると何処からともなく自称店主がやって来て盗人扱いされるので注意が必要。人気は多いがその分怒号や悲鳴、奇声など騒がしい。
北部:アンマンドエリア
密集したビル群と、それにより常時影を落とす細い路地が集合したエリア。その名の通り最も人気が無く閑散としており、ただでさえ生を感じさせない6区において墓場の様な様相を呈している。人が寄り付かない訳は不明。
東部、西部:ハイドエリア
密集したビル群と、それにより常時影を落とす細い路地が集合したエリア。暗がりや路地の先に何かが潜んでいる気配がするのに、姿は見えない。細い泣き声や笑い声、ヒソヒソとした囁きが聞こえるのに姿は見えない。殺気を感じて背後を確認しても何も無い。東部西部合わせて6区中最大を誇るエリアであり、多くの住人がねぐらとするエリアだけあって不気味な雰囲気。
南部:フレンジーエリア
密集したビル群と、それにより常時影を落とす細い路地が集合したエリア。と、まあ結局どのエリアも見た目には大差無い。立ち入りは自己責任、最も危険で最も栄えるエリア。薬から春、人体や武器まで何でもござれ。情報だって売り物である。その代わり此処では何が起こるか予測不可能、腕をもぎ取られても命を奪い取られても文句は言えない。頭のイカれた奴らの集まる吹き溜まり。