はるまき 2019-04-04 20:45:50 |
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明るく染まればフワフワと溶けていく。甘い綿菓子の様だった。
「坊主…帽子好きか?」
「…うん!」
おじさんに驚きながらも、声を張り上げた。すると、おじさんは笑った。
その笑顔は、怖そうなおじさんから想像する事は不可能だ。俺にも、こうやって人を楽しませたい、夢をみさせたい。そんな思いが芽生えた。
その日から、俺の人生は、ガラリと変わった。変わり果てると、それは楽しい人生で。帽子の事を勉強したり、実際に作ってみたり。喜びと輝きで溢れた毎日だった。
ただ、一つだけ問題が残っていた。それは、俺が帽子を作り続けていけるのか、ということだ。俺は、昔から飽きっぽかった。だから、作り続けるのは難しいだろう。そう感じていた。
「なぁ、母さん。俺が帽子職人になれると思う?」
「無理よ。食って行けないわ、しかもあんたは、諦めが早いでしょ?」
やっぱり。親なら応援してくれても良いのでは?なんて思うが、母さんの言ってる事は最もだ。売れるのはごく一部、一握りの人。誰もが売れる訳ではない。
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