年下彼女。 2019-03-29 07:22:27 |
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──…!( 教室に入れば模擬店の内装は荒れており、他校の不良たち数名が机に座ってふんぞり返っており、客や生徒が萎縮していて。思わず漏れた言葉をぼそりと )なんだ、これ…。
──あ、あの…他のお客様のご迷惑になっていますのでそういった迷惑行為は辞めていただけませんか?もし、此方の要望に応えられないと言うのであれば──!( そこに居たのは不良ばかりがいるという有名な高校の生徒で、恐れながらも深呼吸すればゆっくりと近付き生徒会長としてきちんと注意をしたものの、1人の不良に目をつけられてしまえば腕を掴まれ半ば強引に引き寄せられてしまい )
──離してください。…会長、後ろに。( 酷い有り様となった教室に呆然としていたが、隣にいたはずの彼女が教室に入り絡まれ触れられているのを見れば居ても立ってもいられず、怒気を孕みながら不良から引っペがし。気に食わない様子の不良が舌打ちし殴りかかるが、それを眉一つ動かさずに避ければ腕を捻り上げて )──…会長、大丈夫ですか?
だい…じょうぶ…。ありがとう。( 不良達の勢いに圧倒されていれば、すかさず助けに入ってくれた彼に不良の1人が手を挙げそうになり思わずギュッと目を閉じるも、落ち着いた声の彼にそっと視線を向ければ彼の意外な一面にただ驚きの表情を浮かべていて )
よかった。( 彼女にちらと視線を投げた後に今度は不良と対峙していたが、誰かが呼んだのか「おい、何があったんだ!」と教師たちが駆け付けると不良たちは「クソッ、ずらかれ!」と慌ててその場から走り去っていき。めちゃくちゃになっていた教室を黙々と直して )
──よし、とりあえず元通りにはなったけど…。どうしてこんな事になったのか説明してもらえる?( 数名の生徒達と片付けを済ませ再び元の賑やかな教室に戻れば、そのクラスの代表である生徒に話を聞いていて )
………。( 教室の隅にいた女子生徒が彼女の前へ向かうと、「べ、別に何もしてないんです…。ただ、彼らは文化祭をめちゃくちゃにしようとしてる感じで…たまたまこのクラスが目に入ってなのかな」と話しながら項垂れるのを見れば、考える素振りをして教室を出て )
…そう。だけど今回は誰も怪我人が出なくて良かったけど、もう少し早めに報告に来てくれてたらここまでの被害は免れてたんじゃないかな。なんて、私達も早めに見回りに来てれば良かったんだけど…。( 項垂れている彼女の背中を優しく撫でながら此方の落ち度も反省し。ふと教室を出る彼の姿に気づけば彼女から離れ後を追い掛け )植野くん、どうしたの?
──……。( 無言のままズンズンと歩いて人気のない廊下へと向かえば彼女の手を離し。長い沈黙のあとに向き直ると、じっと見つめて )会長。後先考えずに突っ走るのは得策ではありません。ああいうのはやめてください。
だけどあのまま放っておいても誰も何も言えなかったじゃない。だから私が会長として責任を持って行動しただけで…。──どうして植野くんにそこまで言われなくちゃいけないの。( 確かにあの場合は得策ではなかったのだが、周りの男子生徒も誰一人として動く者がおらず、そのままにしておくと更に状況が悪化するのではと先を見越した行動だったのに、と負けじと言い返し )
──それで自分が危険な目に遭ってもいいと?…それじゃあ何のために一緒に見回りしていたのかわかりません。( 詰め寄り彼女を壁へと追いやって手をつき苛立ちを覚えた様子ではありわかりにくくはあるものの、少なからずも心配からの言葉だったらしく、視線が次第に落ちて切なげに )彼氏でもないくせに…でしゃばりましたね。頼りにならなくてすみませんでした。
それは──っ…。( 所謂壁ドン状態に一瞬ドキッとしたものの、彼の言葉から苛立っている事を察すればつい言葉に詰まってしまい。何も言い返せずにただただ彼に視線を向けていたが、悲しそうな表情浮かべつつ彼から離れ )…こっちもごめんなさい。ちょっと頭冷やしてくる。
…わかりました。( 気まずい雰囲気が流れるも、遠ざかる彼女を引き止めることはできず、そう答えて反対方向へ歩いて行ってしまい )
……はあ──。これでため息つくの何回目だろ…。そろそろ戻らないといけないのになんだか戻りづらくなっちゃったな。( 無意識にため息を何度も吐けばポツリと独り言を呟いて。1人になった事で多少は頭は冷やせたのだが、戻りづらい状況に自然とその場に座り込み )
……。( 反対方向へそのまま歩いていき、階段に腰を掛けるとため息を零し。まざまざと複雑な感情が渦巻くのを感じていたが、時間の経過と共に落ち着きを取り戻すと彼女を探しに行きしゃがんで話しかけ )──会長。座り込んでどうしたんですか。
──なんでもない。ちょっと自己嫌悪に浸ってただけだから。そろそろ後夜祭が始まる時間だよね?早く行って準備しないと。( 依然として顔を上げないまま答えるとゆっくりと立ち上がり。携帯で時間を確認すると文化祭の最大のイベントが始まる時間になっていて。よし、と気持ちを入れ替えると「さっきはごめんね」とだけ告げると足早に会場へと向かっていき )
……。( 彼女の背中を切なげに見つめていたが、次第に文化祭の後片付けに取り掛かる生徒たちの会話や窓から差し込む夕陽に自分も後夜祭の会場へと向かい。準備は滞りなく進められ、打ち合わせ通りに後夜祭が始まると彼女の隣で立ち止まり報告し )──会長、花火の準備はできてるみたいです。
…分かった。この花火を見ながら告白して結ばれるカップルが今年は何組いるんだろ──って私には関係ないか。じゃ、いつもの場所で花火見よっか。( 数分後に打ち上げられる花火の下で告白すれば、必ず結ばれるというジンクスは校内で有名になり、毎年数組のカップルが誕生しており。ふとぽつりと独り言を呟けば何事もなかったかのように定位置に向かっていき )
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