ピタン……。ピチョン……。
ほの暗い部屋の中で、荒い息が続く。ガラスが割れた窓から覗くのは大きく輝く満月。月明かりに照らされて見えたのは一枚の紙。
滴が床に落ちる音が異様に大きく聞こえた。
「これが……貴方の決断だというのか……神よ……」
激しく脈打つ鼓動。何度酸素を取り入れても足りない。焼けつく身体から流れるは赤黒く見える何か。急激に奪われる魂の力。
最後の力を使って、その者は目の前に落ちている紙に触れた。
「……どうか……私の力を……」
その者の魂の力を吸い取るように輝き始めた紙。力尽きたその者の側に近づいてきたのは幼い足。輝きが収まった紙を拾い上げて子供は静かに目を閉じた。
「君の遺志を僕が継ごう。……大丈夫、君は僕の中で息づく……」
子供の声に呼応するように紙がスゥ……と消え去った。それと同時に力尽きて倒れた者も空気に溶けるように消える。
「始めよう……愚かなる神をかの地へ引き摺り下ろす闘いを……」
すると、子供の背後に消えたはずの者が姿を見せたのだった。
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