女子 2019-03-26 04:11:15 |
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・・・まだか、な?
(春の陽気に包まれた空はまるで「卒業」という晴れやかな舞台を飾るに相応しい程。先程までの堅苦しい式は何時もならば気だるそうに聞いているものも多かったであろう、だが今回ばかりは最後の高校生活を締めくくるもの。一人一人呼ばれる点呼。「退場」という学年主任の先生の掛け声と共に涙腺はプツリと。涙が溢れ、留まることなど知る由もなく。中には嗚咽混じりに涙声を漏らすもの。そんな者を見つめ、更に涙を流す者がチラホラと。教室では最後のSHR。担任の言葉は熱いものである。「最後の宿題は、皆でまた集まって幸せな話を一人一つ話してくれ」。そこでもまた、嗚咽声は教室中に響き渡る。起立、礼。HR長の最後の掛け声。もう二度と聞くことの無い掛け声を胸に刻み、高校生活3年間を過ごした仲間、担任に別れを告げる。「写真撮ろう!」所謂ラストJK。何人かで集まった後、スマートフォンを上に掲げ、お揃いで顎にピースを当てながら自撮りをする。行事、記念の度に皆で撮っていたこの習慣も無くなるのかと思えば名残惜しくもなるのだが。数人と写真を撮り終えるとジャケットのポケットに閉まっていたスマートフォンがバイブレーションで通知を伝えた。画面にはメッセージアプリの通知が一件。上記には彼の名前。「図書室集合」短い文面からは少し不器用さが滲み出ているように感じて。足早に進む足はきっと会いたいという気持ちの表れであろう、古めかしい「図書室」と書かれたプレートの下、歩みを止めると左胸の心臓の加速音を緩やかに戻していく。冷たい無機質な金属製の取っ手に手を這わせ、ゆっくりと手前に引けば古本と木棚の懐かしい香りが鼻を掠めるようで。司書さんにお辞儀で挨拶し、一歩一歩辺りを見渡しながら彼の姿を追いかけるもののどうやら姿を表している様子はなく、1人で呟いた言葉は方をがっくりと下げつつも奥の方の椅子へと腰を下ろす。木と木が擦れ合う音。図書室の妙な静けさと開いている窓から聞こえる嬉声はこれまた春の訪れを胸に染み込ませていく)
(/一応ロルとして投下させて頂きます。まだまだ下手くそです。どうか練習がてら甘いお心で接してくださる方募集しております。よろしくお願いします)
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