御鏡 2019-03-23 18:45:40 |
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お久しぶりです。
短編小説
ホルマリン漬けの「カミサマ」
第一章 「カミサマ」って…信じる?
僕らの町に【ソレ】がやって来たのは、
本当に突然だった。
「私、神様なの」
そう嘯く彼女は、神を名乗るには随分と幼く、
かと言って神の使いと名乗るには、
幾分大人びていた。
『本当に?』
僕が問うと、彼女はにっこり笑ってこう言った。
「ううん、私は神様じゃない。
私は使いに過ぎないの」
そして、こうも言った。
「ねぇ、キミ。連れてってあげよっか。
私の「カミサマ」の所」
僕はその誘いに乗り、手を引かれるまま
奥へ奥へと導かれた。
研究所のような、全体的に青白い施設。
その最深部で僕が見たものは…。
ホルマリン漬けにされた、ワンピースを
まとった真っ白い少女の姿であった。
「これが、私の「カミサマ」」
僕は、その容器に手を伸ばす。
強化ガラスに指が触れる。
「彼女」は、僅かに瞳を開いた。
〔……あ…なた…誰?〕
「「カミサマ」、この子は私が連れてきたの」
僕と「彼女達」の奇妙な夏は、始まりを告げた。
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