嵐の夜に、君と出会った。

「おや、無理をしない方が良いよ。
特に、熱ならね」

(シラベが後を追い、レイの肩に手を置く)

ゆっくり行けば大丈夫だろ。何だったら付いて来てくれると嬉しいけどな。
(相手の手を自分の額に当て、一息ついてから再び歩き出し)

「はは、構わないさ」

ありがとな。
(若干ふらつくがゆっくりと歩いて行き、氷嚢を手に取り。疲れたのかその場に座り、額に氷嚢を当て)

「ふむ、辛そうだね。
無理はしない方が良いかもね」

(シラベはしゃがみ込むと、背負うような
格好になる。)

え？いや、無理だろ。座っててくれよ。
(流石に無理だと感じたのか相手の肩を掴んで座らせようとして)

「これならば、良いかい？」

(いつの間にかシラベの身体が20代くらいの
青年になっており、後ろを振り向いて笑う)

もう…理解を諦めて良いよな？
(暫く相手を見つめたまま固まり、念の為自分の頬をつねってみて)

「小生の姿は、一定ではないのさ。
移ろい、揺れる者だからね。姿も揺れ動く。
操ることくらいは簡単になのさね」

(シラベは青年の顔でにっこりと笑う。
端正な顔立ちが大人び、更に作り物のような
美しさを醸し出す。)

もう…何でもありなんだな…。
(唖然として固まりつつ相手を見つめ、思い出したかのように部屋へ戻ろうと、よろりとしながらも立ち上がり再びふらふらと歩き出し)

「おや、この姿ではご不満かい？」

わざわざ友達の手を借りるまでも無いだろ。
(言葉は元気なのだが、ふらふらとおぼつかない足取りで歩き続け)

「足元が覚束ないようだが…」

休憩挟んで行けば大丈夫だって。
(一度座り込んで息をつき、相手を見上げてそい言い)

「そうかい。無理はしないようにね」

(シラベは心配そうに言う。)

何だか出会った時と逆だな…。
(氷嚢を額に当てながら相手を見上げ苦笑のような笑み浮かべ)

「おや、言われてみればそうだね。
出会った時は君が小生を心配して
いたんだった」

まさかあの時はこんな事になるとは…思いもしなかったぜ…。
(呆れたように呟くと相手を見つめ、子供扱いして悪かったな…と苦笑しつつ謝り)

「ははは、構わないよ。
少年の姿は楽なのさ」

(どこか乾いたような笑い声を上げ)

だったらそんな格好じゃなくていつもの格好に戻っても大丈夫だぜ？俺は大丈夫だし。
(再び立ち上がると先程と同じように覚束ない足取りで歩き出し)