罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>榊
(「いい子」か。目の前の救急班の部下をぼんやりと眺めながら胸中で彼の言葉をなぞる。あぁ、そう言えば彼の前で悪い子になったこともあったかな、と上の空で思い出す。どうやら自分が飲んだのは遅効性の毒物に近いものらしい、そんな大切な思い出を振り返る途中でも、じわじわと横隔膜のあたりから痛みや麻痺感がせり上がってくるような感覚が出て来るが、致命的なものではない。しかし、厄介なのは致命的でないにしてもじわりじわりとした僅かながらも確かな症状が呼吸器以外にも、目眩、頭痛、吐き気等と複数みられること。風邪の初期程度の軽い感覚だが、飲んだだかの種類や解毒剤が分からない以上、自分にできるのは解毒が先か死が先かを待つだけ。一応救急班の部下には体調の変化を伝えた直後に聞こえた爆発音と部下からの牽制。情けない、右腕を名乗るからにはいつ何時でも、最後の瞬間まで彼をサポートするのが自分の役目だろう。あわよくば、あの男らしくも美しく伸びる手が刀を握り、縦横無尽に振るう様を見られたのならばそれが人生の最後の瞬間になるのならそれもいいだろう。そんなことを考えて、申し訳なく思うが咄嗟に部下をベッドに拘束し外へ飛び出そうとするも、部下の片手とベッドの柱を拘束したところでふらついて床に膝をついてしまい。
「なぁ、親愛なる元部下くんも言ってやりな?『武器を降ろしてくれないと爆発しちゃいますよ?』ってなぁ!」一方牢屋前では調子付いた男が件の部下の肩に手を回しニヤニヤと下品な笑みを強くする。その肩を抱かれた部下は罪悪感や恐怖、不安からカタカタと小さく震えているが、家族を思う気持ちと比例するかのようにぎゅ、とスイッチを握りしめている。騒然とする中、件の部下と特別仲が良かった部下の一人が「どうしてこんなことを!お前はそんなことする奴じゃないだろ!先代や娘さんが見たら悲しむぞ!」と集団から一歩前に出て声を上げると「…っ!煩い!煩いですよ!爆発されたくなかったら足のつかない車と、金、人質を用意してください!…早く!」と家族のことを出されたせいか、ひどく取り乱した様子でそう要求して。)
>>梔
(調子付く男に苛立ちを覚えながらも何とか平常心を保ち、可愛そうなくらい震えて怯える件の部下を見る。その様子は明らかにおかしく自発的に男達の味方につくならもっと堂々としていてもいいはず。そして件の部下と親しかった仲間の言葉に漸く先程辿り着きかけた可能性に行き着き。なぜもっと早く気付かなかったのかと己の愚鈍さを恨みつつ、頭の中では次の構想を練っており刀の柄からは手を離さずに件の部下を見て「人質?…馬鹿言わないでよ。俺は“ファミリー”を見捨てるような真似はしない。一人としてね。誰かを人質にするなら俺が“何とかする”よ。」とやや不自然な物言いながら慎重に言葉を選び場の緊張感に似合わない緩やかな笑みを浮かべ。普段自分は部下を“ファミリー”とは呼ばない。だいたいは“仲間”と形容する。件の部下に此方の意志が通じたかはさておき、言葉通り“何とか”するため男達からは死角、自分の背に手を回して指の動きである指示を出す。『人質となる家族の救出』と。背後の部下ではなく監視カメラにだ。不幸中の幸いか此処は牢屋前の廊下、監視カメラが設置されておりその向こうの監視室に今は人がいる。更には今日休暇を出した部下達が『久々にクライムの中心部に行く』と言っていた。運が良ければすぐにでも家族の身の安全を確保できるはずだ。とは言え危機的状況は変わらない。男は此方の言葉に違和感を覚えながらも手は出せないと思っているのか距離を詰めてきて「何とかするって状況分かってんのか?」と嘲笑を浮かべ。それに対し態と困ったように笑いながら、戸惑う件の部下の動向を窺いいつでも刀を抜けるようにして。
そして救護室、片手を捉えられた部下は崩れ落ちる相手に「梔さんっ!!」と叫び、小さく舌打ちすると空いてる手で通信機器を使い救援を呼びつける。救援に駆けつけてきた一人は仲間の拘束を解き、もうひとりは相手の状態を見て表情を歪めて「この状態で動いても薬の回りが早くなって悪化するだけです。ボスなら大丈夫です。…これ以上無理をするなら失礼ですが眠って頂きますよ。」と相手を支えてやりながら今知りえる戦況を話すと眠剤の入った注射器を出して相手の腕にあてがい)
>>榊
(しん、と張った水面下のような状況では彼の言葉はよく響く。それ故に彼の言葉の違和感は件の部下だけならず、その場にいる部下達、挙句カメラの向こうの部下にまで波紋のように伝わってゆく。その小さいながらもおかしな波紋の下から現れた指示を見逃さなかったのは偏に彼の人望のなせる技だろう。そこからはトントン拍子にクライム中心街の部下まで指示が通る。クライム中心街に数人のグループで出かけていた部下は早速件の部下の家族が暮らすアパートの一室へ訪れると、出て来たのは顔を知らない男女で「部屋違いだ」と言う。しかし、部屋の奥からくぐもった悲鳴が聞こえると瞬時に部下達はこれが罠だと見抜き、その二人を制圧、部屋へと突入するとそこには御頭の予想通り件の部下の家族二人が囚われており、救出に成功した旨を監視カメラの前の部下に伝える。それと時を同じくして睨み合いにしびれを切らした男が「いつまで待たせてんだ?お前らが出来るのは要求を飲むことだけなんだよ。」とイライラしながら声を荒げ、それにビクリと部下が怯えたように反応する。
一方、救護室では腕にあてがわれた注射器の針の感覚に体の動作を止めて、「…分かった。すまないが手を貸してくれないか?」と支えてもらいながらも立ち上がり。悔しいが、部下達の言うことは最もであり、上手く体が言うことを聞かなくなってきた。息を整えようと一旦ベッドに腰掛けると、自責の念とこみ上げてくる悪寒を俯いてやり過ごそうと。)
>>梔
(痺れを切らした男が苛立ちを見せ時間稼ぎも限界かと思われたとき、外部から連絡を受けた部下が駆け付ける。男は「はっ、やっと準備が出来たか?」と鼻で笑うも部下が口にしたのは「…“何とか”なりましたよ。」と吉報。それを機に場の流れが一転。不安要素が無くなれば此方の陣地内で傷を負った男達など袋の鼠。あっという間にその身柄を拘束し何やら爆弾の事や人質のことで喚かれるが、件の部下も状況を察してか男達に従うことはなく大人しく爆破装置を仲間に渡して手錠を嵌められる。再び牢屋へ連れられる男達を横目に震えて萎縮する件の部下の元へ行き「…貴方の処分は追って伝えるから。悪いけど今は自由にはさせられないよ。」とやや声色は柔らかいながら瞳は冷たく、牢屋ではなく別室に監視付きで隔離しておくよう命じて。と、往生際の悪い男が牢屋に入る寸前に取り押さえられながら此方に顔を向け「おい、これで終わりだと思ってねぇよな?お前んとこの右腕、あの毒薬飲んだんだろ?お綺麗なのに可愛そうになぁ…そろそろあの世にコロッと逝っちまうんじゃねぇか?」とデタラメを言い下劣な笑みを浮かべる。男を捕える部下が「黙れ!」とナイフを男の喉元に突きつけるも男は笑うだけ。男の挑発、分かってはいるが彼を想うと荒れ狂う感情の波が抑えられず男との距離を詰めるとその襟首を掴み上げ「解毒薬は…?あるなら今すぐ在り処を言ったほうがいいよ?」と刀に手を掛ける。男は依然嘲笑を浮かべ「んなもんねぇよ。俺に構う暇があったら別れを惜しみに行ったほうがいいんじゃねぇか?」と。全ては男の憂晴らしによる虚言なのだがその真偽は確かめようがなく、それ故に解毒法を知り得る男を殺めることは出来ずに。ニヤつく男を冷たく見据えて掴んでいた襟首を突き放すと牢屋に入れるよう部下に命じ身を翻してその場を後にして。
そして真っ直ぐに向かった救護室、男達の前でこそ平静を取り繕ったが焦燥や相手を失うかもしれない恐怖で余裕なんて欠片もない。バタンとやや荒っぽく扉を開くとすぐに力なくベッドに腰掛ける相手に目が行く。薬品の片付けをしていた救護班に少しの間席を外すように言うと救護班が出ていき扉が閉まる前に相手の元へ行き僅かに眉を下げその頬に触れる。伝わる体温は低く、白い肌は青白い上に綺麗な瞳の下には隈が。呼吸も乱れており本当に今にも枯れゆきそうで。今自分がすべきは彼の不安を取り除き解毒法をいち早く探しだすこと。しかしそれすら気が回らなくなっており「…騒動は片付いたよ。君も大丈夫だから。」と言うも言葉だけで声は微かに震え、切羽詰まった表情を見られないように相手の頭に手を回すと自分の方へ引き寄せて。その時、ノックの後すぐ扉が開いて息を切らした薬の解析にあたっていた部下が入ってきて、身振り手振りで薬に致死性はないと伝えるも相手にばかり気がいく自分にそれを構う余裕はない。部下の必死の伝言も背を向けていたため気付かずに「…まだ入ってきて良いとは言ってないよ。」と相手の髪をそっと撫でながら低声で。)
(/背後が失礼します。毎度ダラダラ長くなって本当に申し訳ありません…。今回あまりに長くなってしまったのでご挨拶に参上しました。読み辛い上に見苦しい点も多々あるかと思います。分かりづらい点などありましたらご指摘いただけると幸いです。そして今更ですがここでは確定ロルは控えるようにとされていますが自分は大丈夫な人なのでもし展開を進めるに至って必要であれば惜しみなく使用してくださいませ。いつも駄文にお付き合い頂き感謝です。)
>>榊
(少し霞んできた視界の中でも変わらず眩しく見える彼が、扉を開いて部屋の中に入って来たのを何処か他人事のように眺める。低くなってきた自分の体温は、彼の温もりがよく感じ取れて少しだけ得した気分になる、なんて冗談は怒られそうなので口には出さないでおこう。「流石榊さん、今回もお見事な手腕でした。」ふ、と少しばかり困ったように笑むと、彼の心遣いが嬉しくてついその背に手を回してしまいそうになる。彼の優しく凛とした声が引き絞られた弓の弦のように微かに震えるのも、理知の輝きを潜めた目元が焦燥を僅かに滲ませているのも、自分のせいかと思えばその嬉しさに私欲が混ざる。自惚れてしまう、自分のために彼が心乱れているのだと思えば尚更。そんな薄汚い感情が蠢く脳内を沈めたのは、再び開かれた扉と視界に入った部下の姿。何やら必至に説明しようとしてくれている部下をなんとか目を凝らしていると、すぐ側の彼の喉から直接腹に響くような声が聞こえたことに驚き、欲望と毒薬の症状で混乱する頭もすっ、と落ち着きを取り戻したようだ。かわいそうに、聞いた事のないような御頭の低い声にさっ、顔を青くした部下へ彼の背中越しに『大丈夫、分かったよ』というようなジェスチャーを送り、それを受け取った部下がおずおずと部屋を出ていくのを見届け、彼の背に今度こそ手を回す。ざり、と髪の間に指を通される感覚は擽ったく、少し身動ぎするが、それが彼の細く形のいい彼の指から生み出されているのだと分かると目元と頬を緩めるが、何時迄も彼に心労をかけるわけにもいかない。そっと彼の頬に手を添えて此方の方を向かせる。彼の瞳がいつもより焦りや不安を含んで水膜を張ったように見えるのは、自分の症状の進行のせいか、それとも慢心のせいか。それを振り払い「榊さん、御心配をかけてすみません…大丈夫です…。さっき、薬を…解析して、くれた部下が…致死性は…ない、と…。」と、途切れながらもゆっくりと部下から伝えられたことを言葉にする。体は症状が進行し、不調が増えてきたが、自分も多少毒には耐性があるので、少し休めば大したことはないだろうと命の危機が無くなったことにより余裕が出て、小さく笑みを浮かべる。少しでも彼に安心してもらいたいがため、彼の両手を取り、ゆっくりと撫でながら「本当に…すみません、榊さん…でも、まだ…自分は枯れません…。なのでどうか…また、いつもみたいに…笑ってください。」と彼の両目を見据えて話し。)
(/此方こそいつも亀更新な駄文にお付き合い頂きありがとうございます!榊さんの背後様の文は多様な文章表現や、素敵な言葉回しにいつも楽しませていただいております!長い文章だと楽しみに読み進めるうちにあっという間に文章を読み終えてしまいます。むしろ私の文こそ要領を得ず、何を伝えたいのかわからないまま長文になってしまい申し訳ないです…また、分かりづらい等ございましたら、お申し付けくださいませ!確定ロルについても了解しました!できるだけロルを回していけるよう努力しますね!)
>>梔
(余裕のない今の自分は部下を不要に怯えさせてしまったことも相手とのやり取りにも気付くことなく、力なく背に回される腕に胸を痛める。彼はきっと己を責めることはないがどうしても彼をこんなにも弱らせてしまったことに自責の念を感じてしまい。そんな時に彼から途切れ途切れに紡がれる言葉。苦しげな吐息を混じえながら告げられる声が耳から脳内へすとんと落ちて意味を理解してから反応を示すのに少し時間を要した。彼が助かる…、今も苦しむ彼を目の前に安心するのは不躾であるが胸につかえていた焦燥が消えてゆき、その代わりに浮上するのは情けなさと余裕のない自分を見られたほんの少しの気恥ずかしさ。彼の髪に手を添えたまま戸惑いに似た表情で相手を見返し「そうなの?……良かった。…さっきの子には悪いことしちゃったな。後で謝っておかないと。」とまだ完全に安心したわけではないものの自然と少し照れの混じった笑みが零れ、彼の望む表情が出来ただろうかと。「…情けないところを見せたね。こっちは大丈夫だから君は横になって休んで。それで今度は君が元気な笑顔見せてよ。」と彼の身体を支えてやりながらベッドに横たわらせると胸元の上辺りまで布団を掛ける。鍛えてるとはいえ線の細い彼の身体、幾分軽く感じては心身の負担を危惧する反面、保護欲のような慈しい気持ちが生まれ優しい眼差しを向けながら額に掛かる前髪を避けて整えて。「このまま眠っていいよ。…眠るまで傍にいてあげる。」なんて本当は自分が彼の傍を離れたくないだけ。つい先程まで彼を失う不安を抱いていただけにそのしこりがまだ残っているのもある。だがそれ以上にただ彼と時間を共有したいだけでもあり、眠りに誘うように頭を撫で続けて。)
(/いえいえ、自分も返信頻度まばらですし返して頂けるだけで幸せです!そして梔さん背後様のロルが駄文だなんてとんでもない。とても読みやすく多彩な表現力にはいつも感服させられおせじ抜きに飽きずにいくらでも読めてしまいます。読む分にはいくらでも読めてしまうので伸び伸びと回して頂けたら嬉しいです。ではまた背後はこの辺りで失礼しますね。こちらは蹴って頂いても大丈夫です!)
>>榊
(彼の少し照れたような笑みは、まるで春の到来を告げる穏やかな風のように暖かな気持ちを運んでくれる。自分のためにその口元が緩められたのだと思うと、彼の特別な存在になれたのかと錯覚してしまう自分がいる。彼は表立っては飄々としているが、その裏では仲間な対する責任感、重圧等の数えきれないストレッサーがその双肩にかかっているのだろう、部下を気遣う些細な言葉や、普段の振る舞いとは違う彼の一面にそれを再認識する。「…やはり、貴方には笑顔が似合います…。」いつか、彼がそんな荷物を降ろせるように、心からの笑顔を見られるように、と密かに思いを馳せながらベッドに沈む。そんな中、彼の瞳が感情を通して多彩な色、輝きを見せる様を横たわりながら目にするとついまじまじと見惚れてしまう。その目を縁取る長い睫毛を、緩く曲線を描く形の良い瞼を、蛍光灯を反射させ様々な色を移す瞳を、それら全てを慈しみという感情で縛り表現するその表情を。自分の前髪を触れる彼の腕と平行するように自分の腕を彼の目元へ添わせ、その目尻の付近に指を触れると「…貴方の為なら、是が非でも。」と返答を。彼の言葉も、撫でる手も、何もかにもが暖かい。羊水の温度を知り得た事はないが、きっと似ているのだろうと重たくなってきた瞼の奥で思い付く。「…ありがとう、ございます…。」せめても、とそう言葉を紡いだつもりであったが、それは彼に届いただろうか。夢と現実の区切りがあやふやになり、上下の感覚も無くなってきた体では分からないが、きっとこの眠りはよく眠れるのだろうと直感したと同時に意識を手放した。
ぐっすりと睡眠をとったあと、少し軽くなった頭を抑えて視線だけで周りを見ると、どうやら日付を超えたお日様が窓から差し込んでいるらしい。そして自分が寝付くまで側に居てくれた彼はどこかと探す為ベッドを降りてから、自分の体内の毒物が大方薄まり、調子が戻ってきたことに気付く。それもとりあえずは報告せねば、と逸る気持ちを落ち着かせ、足に靴を引っ掛けたまま廊下へ出ようと。)
>>梔
(朝と昼の丁度間ほどの時間、相手が廊下に出ようとしたまさにその時、ノックもせずにバーンと効果音でも付きそうなほど勢いよく救護室の扉を開く一人の男が。男の名は“イチ”と言うが本名かは定かではない。榊と同じスラム出身で、榊と時を同じくこのマフィア入りをした。歳は25で相手と同い年であるが身長165㎝と低い上に童顔、礼儀も敬語も知らないがその人懐っこさ故に懐に飛び込むのが上手くその奔放さを誰も咎めずに先代さえも呆れさせ黙らせた。そんな彼は今は救護班の一員で、ベッドから立ち上がる相手を見るや否や「あー!」と大声を出し「ダメダメ、まだ寝てないと駄目だって!」と相手の胸あたりを押してベッドに押しやろうとし「あ、誠なら今問題起こした部下の家族のとこ行ってていないぜ。それより梔が起きるかもしんないからって誠が粥作っていったんだ。食欲あんなら食うか?」とニッと笑い馴れ馴れしく相手の額に触れて「熱は下がったみてえだな。」と。その粥と言うのも相手が目覚めたらじっとはしていなさそうだと榊が相手に少しでも休んで貰うよう考慮した上で用意したもの。そして男はと言うと組織に入った時から相手の容姿端麗もさることながらその華麗な敏腕に惚れ込んでいて相手と居れるこの時間に上機嫌になっており。相手をベッドに座るよう促しながら口は忙しなく動いていて「しっかし誠も梔寝込ませるようじゃまだまだだよな。…んで粥は食べるの?」と調子よく笑い首を傾けて。
その頃、榊は一人の部下を連れて件の部下の家族に謝罪と今後の成り行きについて説明する為クライム中心部へと訪れていて。用事はこの一件だけ、事が終わったら早々に相手の様子を見に行こうと。まだまだ問題は山積みだと言うのに気を抜くと相手のことばかり。昨日彼が寝てからも暫くその場から離れず静かに眠るその花を見詰め、確かに彼が其処に存在することを感じてその額に口付けを落としたのは己だけの秘め事。責務を漫ろにするつもりはないが彼を想う気持ちが歩調を速めていて。)
(/脇キャラさんが出しゃばっていますが特に設定は考えていないので自由に動かして頂いて大丈夫です!)
>>榊
あー…イチか。(けたたましいドアの開く音に、誰がやったのか大体の見当がつくものの、小動物のように動く本人を見ると見つかったか…と想像していたにもかかわらず少し落胆する。彼は救護班の中でも指折りの実績に加え、人望も厚い。また、自分と同い年ということもあり、組の中でも気兼ねなくタメで話せる数少ない人間である。個人的には榊さんと同じ場所で育ち、同時期に組に加わった人材という事も気になる点ではあるが、イチという人物の中で一番気になるのは我らが頭を下の名前で呼び捨てしているという事だ。羨ましくないといえば嘘になる。否、正直とても羨ましい。「…!食う!」そんなことを思っていたからか、彼の名前が出たのを耳聡く聞き取り、やや食い気味に返答する。自分と違い、彼の作る料理はどこか懐かしく、優しい味がする彼の料理は人を思いやる彼そのもののよう。きっと彼がこれを作ったのも思いやってのことなのだろうと予測すれば、その相手は必然的に自分だと気付いて頬を緩ませる。その返事にやれやれ、と首を振った相手が「ほらよ、ゆっくり食えよな?」と少し温めたお粥をテーブルに置けばスプーンを手にしてどうしようかとイチを前に食事の為にマスクを外すか否かで少し迷い。
その頃、クライム中心街では共に行動をしていた部下が何かを察して相手に「榊さん、何か付いてきてます。」と告げ口をこそりと。街角から付いてきている相手はマフィアなどではなく、ただの一般人だがその人種は所謂ストーカーと言われるもの。時たま中心街に現れる彼の、目の覚めるような美貌と人柄に惹かれるも声をかける勇気なく、ダラダラと後をつけることが恒例となってしまった男である。その男は勿論一般人であるため、気配を消すことが上手くない上、戦闘経験も皆無であるが故に無理矢理彼を襲うことはないのだが、そんなことは通じるはずもなく、付いてきた部下が「…黙らせましょうか?」と不審に思った男への指示を伺い)
>>梔
おー、どうした?食わねえなら俺が食っちまうぜ?
(榊の作った粥に釣られる相手の姿は可愛いものだが正直、幼い頃から一緒にいる榊の良さはイチには分からない。あんなへなちょこ野郎より相手の方が魅力に溢れている。美しく気高い、深淵の森の中に咲く花。輝く木漏れ日を浴びながらも何処か影があり、その影は一層彼の魅惑的にさせる。まあそんな彼は自分の手の届かぬ場所にいるのだがとイチはひっそり落胆しながら、相手がなぜ粥をすぐ食べ始めないのか理解しうた上で前述をからかい混じりの笑みを浮かべて言う。本当は自分の前でも気兼ねなくその相貌を晒してほしい。そんな我情を抱きつつ好意を寄せる相手を困らせたくはなく「ジョーダンだよ。あっち向いて薬の準備しってからさっさと食え。」と吐き捨てるように言うとくるっと向きを変えて薬棚へ向かい相手が食後に飲む薬の準備をしがてら棚の片付けを始め。そして手先を動かしながらふと口を開き「そーいやあさ……、誠と何かあった?なんつうか、その…前より距離、近くね?」と少し前から感じていた二人の間の微妙な空気の変化を、さも今思いついたかのように滅茶苦茶気にしている癖に何でもないように問うて、振り返りたい衝動を押さえ意味もなく薬瓶を手の中で回し。
一方、街。部下の言葉に、あー、またかと内心で嘆息しながら「必要ないよ。」と一言告げそのまま足を進める。視線は気にはなるが殺意も敵意もなければ男は一般人。害がない以上此方から態々けしかけることもないだろう。それに今は部下も一緒、男二人で部下の家族の家に訪問しているところを見られても仕事と理解して可笑しな詮索はしないはずだ。そうして抜かり無く件の部下の家族との話を終えてアジトへの道を行く。そこでも視線を感じて暇人だなぁと呑気に思いながら歩いていると店先である物を見つけると少し迷ってそれを購入し包んで貰って。「…贈り物ですか?」と部下に聞かれて、んー、と考える素振りをし「…秘密。」と含み笑いを漏らして再び歩みを再会する。中心街を抜けたところで視線が無くなったのを確認しながらアジトへの道を急いで。)
>>榊
(揶揄い混じりの笑みを浮かべるイチを見ると、そのコロリとした大きな目が細められる様はまるで子供のようで加護欲を誘うが、自分はそこへこの場にいない彼の穏やかな海のような笑顔を重ねて見てしまう。「迷惑かけてすまない…ありがとう。」此方側に背中が向くと安心してマスクを外し、一口目の粥を緩く咀嚼する途中にイチの口から飛び出た質問に危うく息を詰まらせる。自覚はしている、彼へ対して抱える感情は、今や一部下が上司に抱くものではなくなっているのだと。彼は、皆に優しさを振りまき、皆もまたリーダーとしての彼と、榊誠としての彼を認め、欲している。あの微笑みを、あの暖かい掌を皆渇望し、自分は皆が望むそれを独り占めしたいと願う。だからこそ、そんな質問が飛んでくると自覚している後ろめたさから動作を止めてしまい。しばらく動きを止めて静かに何かを思案していたものの「…いや、何もないさ。ただ…俺は彼に…誠さんに、もっと近付きたい。」と簡単に呼吸に混じる二酸化炭素のように嘘を吐いて。信頼しているイチに対して嘘をつく罪悪感から後半部分は本音を告げるがこんな気持ちを誰かに話せるはずもなく、そのあとは黙々とお粥を咀嚼する作業に移り。
一方、男は中心街をぬけた榊の背中を小さくなって見えなくなるまで眺める。自分は凡人故に彼のテリトリーで迂闊なことはできないし、そんな度胸もない。しかし、口元には確かにニタリと粘着質な笑みを浮かべていた。一マフィアの御頭という高嶺の彼は手に届かないが、有名故に、何処に咲いているかということは分かり易く…つまりは手の伸ばし方次第、等と自分勝手で低俗な思い上がりを男に持たせてしまう。
アジトに戻った榊を出迎えた部下達は皆思い思いに挨拶をして行く。「おはようございます!」、「お疲れ様です。」等の言葉の中「榊さん、お手紙が届いてます!」と新人と思わしき男が彼にそこそこな厚さにまとめられた封筒やハガキを手渡しする。「いつもは梔さんがこういった手紙のチェックとかするんすけど、今日はいないので。」勿論新人もその手紙の類をチェックしているものの、中身までは見ておらず、危険物がないものをセレクトしただけである。なので、まさかその手紙の中に相手のストーカーから盗撮写真が送られて来ているとはつゆ知らず。)
(/返信遅くなってしまい申し訳ありません!)
>>梔
(イチは背後から感じる相手の心の揺らぎを敏感に察知して静かに紡がれる言葉に手の中で弄んでいた薬瓶を軽く握る。“誠さん、か”と心の中で一息吐くと振り向くことなくニッと笑顔を作り「じゃあさ、俺が誠の好物とか秘蔵話、教えてやっから今度買い物付き合えよ。」と悪戯交じりの明るい声で調子良く言い、前を向いたまま食後に飲む錠剤を相手に向かって投げる。薬は綺麗に弧を描き相手の手元へ飛んでいき。
(男の所業など知るよしもなくアジトへ戻り部下達に笑顔で挨拶を返していき、渡された封筒を礼を述べて受け取り歩を進めながら一通一通差出先だけ確認していく。そして例の封筒に行き着いたところで手を止めて。それは知らない住所。勿論この住所は男が適当に書いたホクにある廃墟の住所でデタラメ。何となく不審感を抱いて廊下の隅に立ち止まって封筒を開封しては中身を確認し、出てきた写真の数々に瞠目して。写真はどれも見るからに隠し撮り、中心街の物が主だがヤマトにある自宅や酒場、ホクに出向いた時のものまであり中には梔と写っているものもあって。……なんだこれ。と普段は緩々の表情も険しくなり、すぐに他に手紙や文面がないか確認するも一切文字らしきものはなく。…単なるイタズラ?もしくは何らかの脅迫か。一体誰が…、と男には結び付かずに。気色は悪いが“組織絡み”とは思えず、その瞬間から写真への興味は薄れて写真を封筒へ戻すと他のハガキ等と一緒に上着のポケットへしまい。写真が全く気にならない訳ではないが今は相手の事の方が気になった。今朝は顔を見られなかったし体調が回復に向かっていれば今頃起きて粥を食べているころか。先程購入した小さめの紙袋を手に持ったまま相手の居る救護室の前まで来ると小さく息を整えてから軽くノックをし「…入るよ。」と声を掛けてから数秒待って扉を開いて。)
(/いえいえ、決まりはないですし背後様のペースで大丈夫ですよ!此方の返信が早くてもし急かしてしまっているようでしたらすみません汗)
>>榊
(自分の手元へ降ってきた錠剤を掌で受け止め、逃げ出さないように軽く握り込むが、正確なコントロールについ、イチの方向を見てノールックで投げたのかと確認して舌を巻く。「あぁ、楽しみにしてる。」イチからの誘いは願っても無いこと。あまり出歩く事のない出不精な性格も相成り、人と出かけるのは楽しいと思う。更にそこへ自分の知らない榊誠の一面を聞かせてくれるというなら尚更だ。錠剤を飲み込むと新しいマスクを付けて「すまない、待たせたな。」と笑んだ後に耳に届いた彼の声。喧騒な街中でもその透き通った音を響かせる風鈴を彷彿とさせるその声は壁を容易にすり抜けてやってくる。件の部下の家族に会いにいったと聞いて、部下が付いているとはいえ内心不安が渦巻いていた。最近は彼宛に盗撮写真やストーカーじみた手紙を送ってくる輩も出てきており、連日の戦闘等の疲労も考えると地に足がつかない心地だったが、扉の向こうから見えた彼の姿にホッと安心し「おかえりなさいませ、榊さん。ご無事でなによりです。」と頬を緩ませる。容姿端麗なその立ち姿には凛とした美しさが指すものの、目元に浮かべられた慈愛が優しさを滲み出させている彼は、紛う事なき誰もが振り返る美人。美しい花には余計な虫が近寄るが、彼もそうなのだろう。自分の目に届く範囲はそれらは排除してきたが、ふと今日は手紙のチェックができなかったな、と思い出して。)
(/ありがとうございます!いえ、そんな事ありません!榊さんの背後様のロル、いつも楽しく拝見させていただいており、今度はどんな素敵な文章が出て来るのだろうと心躍らせております!こちらこそ駄文な上に遅筆で申し訳ありません…!また何かございましたら何なりとお申し付けください!こちら蹴り可です!)
>>梔
(扉を開いてまず目に飛び込んできたのはベッドに上体を起こして座る相手の姿。ベッドテーブルの上に乗る粥の器を見るに食べられるだけの体力は回復したようで安堵する。今は相手の方が心配される側だと言うのに彼らしいと言うべきか…、たとえ挨拶の延長線上の言葉だったとしても此方の無事を気遣う言葉に呆れ半分の笑みを零し「ただの報告だったから。…それよりお粥、食べてくれたんだね。」と相手が既にストーカーの件について知り得ているとは知らず呑気に返せば、空になった器を見て目尻を緩め嬉しそうに微笑み彼へと歩み寄ろうと、したところで小さな影が目の前に立ちはだかる。『おい誠、俺に気づいてて見えないフリしてるだろ。挨拶くらいしろ!』と小さい影、ことイチが吠えながらビシィと指をさしてきて。それに対し「あー…うん。おはよ。……用がないなら出てってくれる?」と大半の部下にはまず取らない面倒くさげな雑な態度を取ると扉へと小さな背中を押す。勿論イチは黙っておらずキャンキャン子犬のように騒いでいたがハイハイと軽くあしらい扉を開けて強制退場させ。それでもめげないイチ、去り際に『わぁったよ!邪魔者はこれで退散すっから!…でもいいもんね。俺、今度梔とデートすっから』とニッと対抗心を含ませた笑いを向けてきて此方が聞き返す間もなく走り去っていき。「何なの…。」と小声でごち、すっかり静かになった廊下を見て一息吐くと扉を閉ざして相手に向き直り「…ごめん、あの子煩くなかった?」やや眉を下げて苦笑を零してベッドへと歩み寄りベッドサイドにある椅子に腰掛けてテーブルに持っていた包みをトンと置いて。幾分顔色の良くなった彼、昨日までは青白かった肌も色がさしている。その温度を確かめたくて緩慢な動作で彼の頬に掌を添えるとじんわり伝わる温かみに目元を緩め「…気分はどう?」と。すりっと親指の腹で相手の細やかな肌を撫でながらその質感を楽しむもフと湧いた先刻のイチの言葉。嫉妬する立場でもないのは重々承知している。それでも気になってしまうのは彼への思慕があるからで。「…ところで、デートって何?」と緩い笑顔のままオブラートに包むことなく直球で、部下の世間話でも聞くように楽しげに尋ねつつじっと相手から視線は外さずに。)
(/此方こそいつも楽しませて頂いております。どれも自分には勿体無い言葉ばかりで痛み入ります。此方のぶっ飛んだロルもいつも綺麗にまとめて頂いて感謝してもしたりません…。そして今回ですがロルの表記上のことでお伝えしたいことがありまして…。当方のロル、やたら脇役が多く今後も出てくると思われます。今まではどちらの台詞も「 」で統一していましたが、これからは榊の台詞を「 」、脇役の台詞を『 』で表記していきたいと考えております。見づらい点や分かりづらい点などあれば何なりご指摘くださいませ。では背後はこれにて失礼します。こちらも蹴り可です!)
>>榊
…またご馳走になってしまいましたね。ありがとうございます。(彼の料理を食べると、不思議と笑みが溢れる。それは、彼が丁寧に手間と暇を掛け、食べる人へ対して愛情を込めて作ってくれるからだろう、と微笑みを浮かべる彼を見てそう思う。笑顔になれる料理。なんて彼らしくて素晴らしい響きなんだろう。そんなことを思い浮かべる自分もまた笑みを深くしたが、マスクの下でその笑顔はそっと影をひそめる。羨ましい。まったく浅はかな感情であるが、自分が埋めることのできない時間が彼らの間にあることを痛感してしまうと、それは止められない。そんなの当然のことだ、これは身勝手な邪な心だ、と良心が咎めるのを気にする余裕もなく只々その景色を見つめる。眩しい、なんて思いながら。「いえ、イチは可愛いヤツですし、自分の方が構ってもらったくらいです。」それでも、相手が隣に座ってくれただけでさっきまでの鬱々とした感情は何処かへ四散してしまう。安心感と、ほんのひとつまみの優越感。「体調は良好です。あと数刻もすれば万全でしょう…ご心配をおかけしました。」彼の親指が頬の上を滑るとその経過点がじわりと熱を持つ様な感覚になる。その暖かな動作にかかれば、仕事も溜まってしまっているな、という憂鬱な気分も晴れるというもの。彼の指の美しさは、単なる容姿のみならず、優しさや温かさのこもった動作を通じてのものなのだろう。しかし、日向ぼっこの様な心地よさに目を細めたのも一瞬。蛇に睨まれた蛙になった気分で「…イチの提案で今度買い物に行く事になりまして、その事を揶揄したジョークのひとつかと。」本人を前に、相手の様々なことを教えてもらおうとしていた、と言える様な度胸は無く、内心罪をなすりつけたイチに謝りつつ苦し紛れにそう話す。「…誠さんは、誰かと出掛けるのはお好きですか?」少しだけできた沈黙を気まずく思い、浅く息を吸うと、ふと思いついた疑問を口にする。その際、イチへの対抗心からか、それとも自己顕示欲か、恐る恐るながらも彼の下の名前で問いかけてみて。)
>>梔
(お粥に対するお礼と体調の良好具合を彼の口から直接聞いて昨日から募らせていた不安も大分薄れる。自分のせいで相手に負担を掛けたというのに相手の澄んだ声とマスクに隠された微笑みを見るだけで浮かれたような気分になる自分は存外単純。今だって彼からイチの発言はジョークだと聞いたのに面白くないと嫉妬してしまっている。それもイチが相手に抱く感情を何となく察しているからでもあるが、それで機嫌を損ねたことが相手に知れれば引かれてしまうかもしれない。自分はこんなに嫉妬深かったかな…と惑いつつ相手を捉えていた視線を細め「買い物か…。こき使わされるかもしれないけどよろしくね。まあ久々に羽根を伸ばして楽しんでおいでよ。」とあくまで二人が出掛けることに対し気にしない素振りで微笑めばくしゃりと艷やかな濡羽色の髪を撫でて。そんな時に相手から紡がれた問いかけ。何でもない問いだが確かにその中に聞きれないフレーズが耳に届き、聞き間違えかと思うがそんなはずはなくて。一瞬相手の髪を撫でていた手が止まり、表情が固まってしまうもすぐにその表情を綻ばせて「好きだよ。出掛けると言うよりは呑みに行くのがだけどね。……で、急にそんな呼び方して、それは俺とのお出掛けのお誘いと受け取ってもいいのかな?」“好き”とまるで相手に向けるようなニュアンスをほんの微かに声に滲ませて言い楽しげに言葉を続けながら、急に変わった呼び方について突くことを忘れない。相手の真意がどうであれ嬉しくないはずがないわけで。なにせ相手は元々自分を“榊様”と呼ぶほど畏まっていた。調子に乗ってしまう…と言葉通り彼の髪を撫でていた手をその頬から顎先に移動させ人差し指で顎を軽く持ち上げると声色は優しく、瞳には甘く少しの怪しい光を滲ませ首を傾けて。)
>>榊
(自分の頭を撫でる彼の手は、ずしりと暖かく、この場に居てもいいと言葉無しに語ってくれる。暖かい碇の様な存在だ。そんな優しい掌が自分の髪の間を通り抜ける感覚に春の海を思い出す。彼は暖かく、大きく、優しくそこにいつもあり、途方も無い安心を生み出すのだ。時には冷たく、牙を剥く時もあるが、彼の聡明な双眸に荒々しい怒りが、彼の唇から漏れ出す吐息に冷酷な鋭さが滲む時、自分はそれをも嬉しく思う。そんな海が一瞬凪いだ。それが自分の言葉一つのせいだとわかるや否や、脊髄が歓喜に震え、血が沸き立つ様な熱を体内で感じ取る。体内で燻る火種は、彼の瞳に宿る光によって燃え上がる。心の奥底にしまってあった欲望を糧に、大きく燃え上がった炎は自分の手を熱く、咄嗟的に動かせるだけの力を持った。自分の顎を掬い上げた美しく整った指先を包み込んで此方側へ軽く引く。軽く体勢を崩した相手の肩を抱き、囁く様に「…本当は、貴方と共に居たいだけの口実です。貴方と共に時間を過ごしたい。他の誰よりも長く。」と小声でそう伝える。熱に浮かされ漏れ出た本心はもう戻すことはできない。彼に拒絶されたらどうしよう、とそんな不安よりも今回は彼がどんな反応をしてくれるかが気掛かり。どんな反応であろうと全て目にしたい、と彼の美しい横顔をじっ、と眺めて)
>>梔
(彼はきっと戸惑いながらも可愛らしい反応を見せてくれる…と予想していたのだがその予想は大きく外れる。彼の形の良い手が自分の指先を包んだかと思えば触れ合うぬくもり、そして鼓膜を揺るがす甘美な声と言の葉。距離が近いせいか彼が言葉を囁く度に耳元に吐息が掛かり背筋がゾクゾクと震えて、それは彼の掴む指先にまで伝わりピクリと小さく反応してしまい。心拍は急激に上がり熱がじわじわと胸を焦がして顔にまで熱が上がってくるのを感じるとその顔を見られまいと横に逸らそうとする。しかしこの距離では隠すのは無理だろうと観念して、気持ちを落ち着かせるために小さく一息吐いたあと少しだけ身を離して相手と目を合わせ「…ずるいなぁ。もっと可愛い反応が見られるかと思ったけどかっこいいんだから。君はあまりこういうこと慣れてないと思ったけど実は慣れてるのかな?」と余裕がないなりに少しおどけた緩い微笑みと声色で返し最後だけ嫉妬を滲ませた一歩踏み込んだ問いを冗談っぽくして。そして未だ燻る熱を抑えられないまま自分の指を掴む彼の手に空いている手を重ねて包み込むようにし「でもそんなに言ってくれるなら、イチの後でもいいから俺とも一緒に出掛けて欲しいな。仕事抜きで、君と過ごしたい。」と強要はしない何歩か引いた問いかけをする。それはボスとしてではなく一人の人として同じ立場で相手と過ごしたいから。“仕事抜きで”と強調させて言えば重ねた手に僅かに力を込めて目を逸らすことなく熱い視線を送って。)
>>榊
(彼の高く通った鼻筋に髪の毛がかかる様は、なんとも言い難い色気を感じる。ぱさ、と乾いた毛束が動く時に鳴る特有の音が課される程度に聞こえたと思えば彼の澄んだ黒い眼と視線が絡む。その熱い視線に続く彼の問いに「ありがとうございます。勿体無いお言葉です。」といつも通りの反応を見せるが、続いた言葉に少し驚く。今までにそんな会話はなかったから。少し困ったように笑いながら「…お恥ずかしい限りですが、自分が今まで口説いたのは一人だけです。」これは本当。忍者たるもの弱みを作ってはダメだ、罠の可能性もある、と何かにつけて厳しかった師匠を思い出す。そんなことを頭の中から振り払うと、視線を下げ彼の両頬を両手で包んで「貴方です。誠さん。」とまっすぐに彼の目を見る。 「ありがとうございます。…俺は、貴方との時間を一番大切にしたい。」彼からのお誘いに思わず顔が綻ぶ。こんなに我儘を言ってしまったのに、彼はそれを受け入れてくれる。そんなことを意識すれば、自惚れてしまいそうになるが、そこは何とか笑みで誤魔化し。「…ところで、出掛ける為には時間が必要ですが、今回の件の残り仕事…いえ、他の事も合わせてどれほど仕事が溜まっていますか?」その話がひと段落ついたと判断すると、おずおずと気になっていた仕事のことを口にする。彼と出掛ける為には一刻も早く仕事を片付けなければ、と近くの机の上に置いていたファイルに手を伸ばして。)
>>梔
(相手の凛と澄んだ声から紡がれる言の葉、そのどれもが甘く雅やかで己の欲する言葉を齎してくれる。歳上の自分がリードしたいのに悔しいが今回は彼が上手なようで、頬に彼の手が触れて再び名を呼ばれてしまえば目を離せなくなり心拍数は増すばかりでまともな返答もできない。もっと名前を呼んでほしいなんて我欲に染まっていると続く彼からの問いにすぐ気持ちの切り替えができず一瞬間が抜けてしまって。忘れていたわけではないが彼との関係にはっきりした名はまだない。浮かれていた自分が恥ずかしくなるも仕事の話をするにはまだ早い。と、彼の手がファイルに届く前にヒョイとそのファイルを掬い上げ彼の手の届かぬ棚の上に置いてしまい。「待って。君と出掛けるためだし仕事の話も大事だけどその前に渡しておきたいものがあるんだ。」と穏やかな声色で緩く笑むとベッドテーブルに置き去りにされていた小ぶりの紙袋を手にとって彼の足の上にトンと置いて。その中身は腕時計。数日前から彼の腕にいつもつけられていた時計が無くなっていたのに気付いて買ったもの。決して高価ではないがそこそこの値段。シンプルなデザインで文字盤は見やすく軽量なため戦闘時つけていても邪魔にならない。特質してお洒落な訳ではないがひと目見た時に彼の雰囲気に合うと感じて。「余計なお世話かなとも思ったんだけどね。…日頃頑張ってくれてるし今回無事で居てくれたことの報奨だと思って受け取って。」と何でもないよう微笑む。言っていることに偽りはない。ただそこに自分が贈ったものを相手が身につけてくれたら…という我欲はあるが。「開けて見て?」と開封を促せばゆったりその時を待ちつつ相手の反応を窺って)
>>榊
(今までの経験から、自分は口が上手ではないと思いつつも彼の為にない語彙力を必死にめくって探した言葉。その言葉に彼は何も言わないが、彼の瞳が物語っている。春の透き通った湖水に小雨が波紋を作るように、言葉を受け止めてくれる度にチカチカと半透明な光が広がる様だ。いつまでも見てしまいたいと切に願うが、それはひょい、と彼の軽い動作ひとつで手元から離れていったファイルに掻き乱され、「あっ。」と随分気の抜けた一文字しか声に出なかった。そして自分へ渡したいもの、と手渡された紙袋を受け取った時も気の抜けた顔をしていたと思う。最初はまた食べ物を作ってくださったのか?と内心ワクワクしながら紙袋から出てきた小ぶりな箱を見るといつの間にか張った食い意地も驚いて腹の底へ帰っていった。箱の大きさからなんとなく中身が予測できてしまうが、いざ箱を開けてみるとその中に鎮座している腕時計に、やはり息を飲む。「…これを、自分に?」恐る恐るその腕時計を手の平に乗せて、また散り散りになった語彙力で何とか質問をする。彼の洞察力は鋭敏なので、きっと自分の左腕から前の腕時計が消えた事に気付いていたんだろう。その事にまず嬉しく思う。どこぞの村娘にでもなった気分だが、そんなことを考えている余裕は今はない。シンプル且つ機能的。しかし決して安い買い物ではない。到底物の鑑定などできないが、それの良し悪しくらいはわかる。いや、鑑定など到底できない者にでも良いものとわかる品だ。飾り過ぎず、余白の中に美を見出すそれは、彼の落ち着いた大人の優美さと酷似し、これは彼が選んでくれたものなのだと改めて実感する。胸の奥がきゅう、と締め付けられるように痛くなった。「…俺がいただいてもいいんですか…?」手の中で秒針が時を刻む音より鼓動が早く鳴る。感謝、自惚れ、驚き、恋慕…頭の中がキャパオーバーだ。いや、心臓が持たない方が先だろうか。しかし、彼の微笑みに自然と笑みがこぼれ、「ありがとうございます…!大切にします。」と感謝の言葉を。)
>>梔
勿論、君にと思って選んできたものだから。…気に入って貰えたみたいで良かったよ。
(いきなり贈り物なんて重いかと懸念もあったが彼の反応から引かれてはいないことにまず安堵し、花咲くように微笑む彼を見て心から時計を贈って良かったと思えて。嬉しさに表情を綻ばせ「…ちゃんと使ってね?」と大切にと言って棚の中で保全されるよりは彼が身につけ共にありたいなんて願い調子付いてニコリと笑んで。そこで今度こそ仕事の話をしようとファイルに手を伸ばして相手に差し出し「それで話を戻すけど…、今溜まってる仕事は大きくは今回の一件でのアジトの修繕だけどそれは今他の子たちがしてくれてる。因みに騒動起こした男達は裏ルートを使って警察の牢に投獄。山瀬くん(件の部下)は熱りが冷めるまで自宅謹慎にしたよ。正直彼を許せない子達もいて断罪にすべきだって意見もあったけど彼は先代の時から頑張ってくれていたし何より本人が此処に残ることを強く望んでる。…今回は彼の意志を信じることにしたよ。反対してた子たちにも納得はしてもらった。」と現状況を淡々と話していくも後半は僅かに声のトーンが落ちる。山瀬のことは自分も許せない部分はあった。なにせ相手を危険に晒した人物。彼に全責任があるわけではないが組織と仲間を売ったことには変わりはないのだ。だが今回の結論は山瀬と時間を掛けて話した己の判断。自宅謹慎は彼の心労を休め、働いていては滅多にとれない家族との時間を過ごしてもらうため、そして反対派の不平不満の熱を冷ますためでもある。「ただ…、やっぱり今回の件でアジト内の不審感が高まってて空気が悪くなってるかな…。一人内通者がいたとなればもうひとり二人いてもおかしくないってね。…時間が解決してくれれば良いんだけど。あー、ごめん。ちょっと湿っぽくなったね。…それで他の仕事だけど書類整理くらいで大方は済ませてあるからあとは君が最終確認をしてくれれば安心かな。普段君に任せっきりだから一日二日ですごい量溜まってて驚いたよ。」とついぽろりと弱音を吐いてしまい苦笑を零し謝れば話を戻して、やっぱり君がいないと駄目だなぁと呑気に笑ってみせて。)
>>榊
(自分に選んでくれた。自分がいないところでも、彼が自分を意識してくれる、という喜びが今己が掌の上に形を成している。これは、自分だけのものだ。「…嬉しいです。誠さんがそばにいてくれるようで…。これからも精進せねばなりませんね。」ぱち、と自分の左手首に早速収まったそれは軽やかな音を立てて光り、新しい玩具を与えられた子供のように笑む。冷たいはずの金属パーツが、暖かく感じた。しかしそれも甘いひととき。彼の口からの現状を聞くとできるだけ素早く通常運転へ切り替える。つもりだったが、内心浮かれていたのは事実。だから、きっと、彼のこぼす弱音と苦笑いに体が動いたのだろう。それを目にした途端、彼がひどく疲弊し、何処かへ消えてしまいそうなか弱さを感じ、思わず無理やり体を動かして彼を抱きしめていた。「…申し訳ありません。自分が不甲斐ないばかりに…!」彼は責任感が強いので、きっと今回の件でも多くのものを背負い、傷ついてしまったのだろう。今回は特に自分の無駄な行動が彼に心労を加えてしまった。浮かれていた心は消え去り、ただ後悔ばかり。「あとは自分が。榊さんも休んでください。…心労は、気付かずとも溜まるものです。自分は貴方に笑顔でいてほしい。」彼も毒を刺されての交戦後、更に立て続けにこの事件だ。きっと休んでいないのだろう。彼の端正な顔に疲れの色が差している。根本的な解決はまだ時間がかかるものの、少しでも体を休めてほしい。彼を失うかもしれない恐怖はもう感じたくない、言動には出さぬが少しだけ彼の身体に回した腕に力を込める。「大丈夫です。貴方は間違ってないのですから、部下もみんな分かってくれます。」そう言うと体を離して、ベッドから立ち上がり部下が用意してくれていた着替えに手をつけようと一度背を向けて。)
>>梔
(彼の左手首に光る時計と紡がれる言葉に擽ったい気持ちになり、心は満たされるのにもっと彼の近くに、奥深くまで寄り添いたいと貪欲に思う自分がいて。人との関わりは友好的でありながら何処かで一線を引いていた。だが彼とは違う。違ってきている。だからつい弱音を零したのかもしれない。常の緩い雰囲気を纏い誤魔化そうとするもどうやら彼には通じなかったらしい。突然の、予想外の抱擁に驚いて彼の腕の中で小さく肩を揺らすも彼の人を気遣う優しい心と言葉に大人しく腕の中に収まり胸がいっぱいになりながら困ったように笑い「君は何も悪くないでしょ?謝る必要なんてないの。」と。休すむようにと続く言葉も大丈夫と笑って流そうとした。が、回された彼の腕に力がこもり次に紡がれた言葉を聞いた瞬間、取り繕おうとした言葉が喉奥に引っ込み、鼓動がトクリと跳ね上がる。“大丈夫”、“間違ってない”と彼の声が、言葉が耳から胸に染み渡り秘めていた不安を軽くしていく。それはどんな名高い特効薬よりも良く効いて心までを熱くし、込み上げてくる想いで喉が鳴りそうになるのを寸でのところで息を飲み込み堪えて。それからは突発的に身体が動く。ベッドから立ち上がる相手を目で追うまでもなく自分も椅子から立ち上がると着替えに手を伸ばそうとする彼を後ろから抱き締め腕の中に閉じ込めて。「そのまま、じっとしてて。」と小声で零すと彼の肩口に額を押し当てて動かなくなり。時間にして30秒、たっぷり彼と体温を分けったところでゆっくり身を離すも彼の右肩に手を置いたままで顔を俯かせ「ありがとう、元気出た。…君も病み上がりなんだから無理はしないで。」とやや恥じらいの含んだ静かな声色を彼の背に向けて零すとつい甘えるような行動をした恥ずかしさから相手の顔がまともに見られれずに逃げるように相手の横を通り過ぎ扉に手を掛けて。)
>>榊
(彼の体温が背中越しに伝わる。いつも凛然と胸を張り、部下を慈愛と威厳で率いる彼だって一人の人間なのだ。その逞しい背中に隠れた顔は何を思って今まで耐えてきたのだろう。自分はその背中を支える存在でありたいと切に願う。右腕としてではなく、梔と言う一人の男として。長いようで短いたった30秒の熱は、離れた彼を追い掛けさせるには十分だった。ここで逃してはならない。そう囁いた自分の第六感を信じて扉に掛けられた彼の手の上に必死の思いで自分の手を重ねる。引かれただろうか、と一瞬不安がよぎるもここまで来ては後戻りはできない。するつもりもない。彼が部屋を出る前に間に合ったことに安堵しつつ彼の隣に並び「…こんな俺ですが、いつでも甘えてください。…いえ、甘えさせてください。」と言葉がつっかえながらもそう伝える。控えめに彼の手を自分の手で下から掬い上げると、その甲へ口付け「…梔としての、お願いです。」と告げ、そっと彼の手を降ろし、自ら扉を開いて彼へ道を譲って。
その後、着替え終えるが、ふと自分の武器がないことに気付きさっと顔を青くする。そんなまさか、いつから?自分の身につけていた暗器は全てテーブルの上にある。しかし短刀が、『酒盗』と『酔鯨』だけが見当たらないのだ。彼の話に出てきた内通者が一瞬頭を過るが、該当する人物は思い浮かばない。彼をこれ以上心配させる訳にもいかず、とりあえず自分のお抱えである、ごく身近な者にだけ捜索を願い、自分も書類を片付けつつ探そうと部屋を出て)
>>梔
(救護室を後にした足で書類整理をするためアジト内にある仕事部屋に向かい、浮足立つ気持ちを抑えて大きく頑丈な机に向かいペンを取るも先刻の相手の表情や声が頭に浮かんで集中できずに。これではどこぞの初な若い娘のよう…と相手の身に起きたトラブルなど知るよしもなく先刻の余韻に酔いしれうつつを抜かしており。まあそれでも仕事は進めねばならない。苦手な執務仕事に取り掛かりペンも軌道に乗ってきたころフと上着のポケットにしまっていた写真を思い出してもう一度確認するため封筒の中から取り出して見てみる。脅迫、宣戦布告にしては他に何も無さ過ぎる。本当に一体誰が、と思考を巡らせ最近自分を付け回す男の存在を思い出し。…あの男が?だとすれば一般人にしては中々の行動力。それでもこれといった実害もなく男の要求が掴めない以上、今は事を荒立てることもないかと。結局男が一般人ということもあり深くは考えず薄気味悪い写真は机の引き出しの中に閉まってペンを取り直して。
大方の書類整理が片付き相手に確認を取って貰うためファイルにまとめ終わると軽く伸びをして。組織内の問題が全て片付いたわけではないものの繁忙時に比べれば落ち着いて来てはいた。となれば出るのが己の悪い癖。彼とのことで浮ついていたこともあり少しくらい呑んでもバチは当たらないだろうと。附言すると自分の少しは常人のそれではない。彼を誘おうかとも考えたが病み上がりの人間を飲みに誘うのも野暮だと、大人しく酒だけ買って帰り此処で呑むことにし出掛ける準備をして部屋を出て。)
>>榊
(部下の数名に武器の詮索を任せ、一度自分は現在出来上がって提出されている書類に目を通し始める。書類の訂正箇所に赤ペンで訂正をする中、部下の一人が相手の部屋の中を調べ始める。幸いにも、本人は先程書類仕事がひと段落ついたらしく、この部屋には誰もいない。部屋をグル、と見渡したところで、相手の机が目に入る。周りを確認してからその引き出しを開けると、そこにあったのは武器ではなく数枚の写真。どれも相手を写したものだが、目線が全て外れており、隠し撮りであることがすぐにわかる。そういえば、と部下は上司である梔が、榊宛にストーカーらしき相手から手紙を送られているので、もしじぶんがそれを見逃しても彼の目に入らないように、と言われていたことを思い出し、すぐに写真のことを梔に伝えようと部屋を飛び出て。
一方、街の酒屋には例の榊をつきまとう男がいた。そもそもこの男は酒屋の従業員。表立った店員ではなく、はいたついんや裏方なので顔を知られることは少ない。しかし、男からはよくくる榊が店の裏から丸見えであり、ひょっとすると今日も来てくれるのではないかとカメラまで用意して店の奥に潜んでいて。)
>>梔
(梔の部下は相手の元に来ると先程見たことを伝えて『武器は見当たりませんでした。ですが代わりに…』と引き出しの中にあった写真のことを耳打ちし『恐らく本人はあまり気にしてはいないかと。…それよりも梔さんの問題を優先すべきです。あまり長引かせて他の者に知れれば組織内の不審感が更に高まってしまいます。それに闇市にでも回れば手元に戻ることは難しくなりますよ。……お心あたりはないのですか?』と。梔は相当の手練れ、彼がここ数日床に臥していたとはいえ彼の愛刀を盗み出すなど考える輩はそういない。もし盗み出せるとしたらやはり身内か親しいものか。部下は梔の直属の者。相手を信頼し優先するのは当然で、彼と親しい者の中に榊も数に入れ疑っていて。
一方、酒屋、榊は顔なじみの店主とにこやかに言葉を交わしながらおすすめの酒を勧められ購入しており男の存在には気付かずに店を後にして。暗い夜道、時間帯も遅いせいか人通りも少ない。冷たい風が心地よくこんな静かな時間が続けばいいなと呑気に宵空を仰ぎ買ったばかりの酒瓶を片手に小さく揺らしながらアジトへと歩を進めていて。)
>>榊
…そうか。(彼の手に写真が渡ってしまったことを知ると眉間を手で押さえ、小さく、低く零す。この部下は自分の部下の中でも頭の切れる物静かな者故に最も信頼しており、言っていることも的を得ている。それでも判断が鈍ってしまうのはこの問題が彼に関わることだから。頭を抱えて悩んだ末、彼の部下に護衛を強化するように電話で連絡を入れる。最初は不思議がっていた者も自分の名前を出して、詳細は追って連絡する、と言えばなんとか納得してくれたよう。気がかりではあるが一旦彼のことは部下に任せて自分は愛刀の問題を片付けなくてはならない。寝ている時には身につけていなかったのは確かだが、いつ武器を外したのか記憶が曖昧だ。丁度書類上の文字を追うのも疲れてきたところだった。古びたパイプ椅子から立ち上がり、部下には新しくアジト内の不審点が無いかの捜索を指示し、自分は記憶を辿っていこうと先ずは救護室へ足を運んで。
一方でアジトへと向かう榊の前方の街頭の下に人影がひとつ。その人影は街頭の明かりで相手が榊だとわかるや否や『…榊の坊じゃありませんか!久しいですね。』と相手の肩を叩く。榊より少し背の高いこの男、今でこそ組にはいないが、以前までは忍の部隊の一員として組に属した者であり名を茉莉花(マツリカ)、年は相手より3つ上の30歳。そして何より問題なのは梔の兄であり、兄弟揃って彼を…榊を狙って喧嘩中である。喧嘩の理由は皆は知らないが、二人がもう少し若い頃の喧嘩自体は中々有名なものであった。瞳は似ているものの、飄々とした雰囲気の茉莉花は馴れ馴れしく相手の肩を抱き『こんな夜に護衛も付けず危ないですねぇ?感心しませんよ。どこぞの虫に食われてしまうやもしれない。』とニッコリ笑むもその目は決して笑うことなく、後をつけてきたストーカーの男を狙い、牽制する。その男が去ったことを確認するも、肩を離すことはなく『どれ、アジトまで送りましょう。』なんて調子のいいことを続けて。)
(/いつも駄文にお付き合いいただきありがとうございます!今回、勝手にモブを増やしてしまいましたが、どうぞご自由にお使いください!また、私も榊さんの背後様に習ってモブのセリフは『』で閉めることとしましたので、一応ご報告の程を、と…。何か不都合などございましたらなんなりとお申し付けください!此方蹴り可です!)
>>梔
(救護室、相手が訪れてから暫くしてそのドアを開く一人の男が。その男はイチで調達してきた備品を棚にしまいに来たところ。先に部屋にいた梔の姿に目を瞬かせるも好きな相手と居れる嬉しさにすぐに人懐っこい笑みを浮かべて『おー、こんな遅くにどうした?病み上がりはさっさと寝たほうがいいぞ。』と相手の体調を気遣いながら手にしていた薬や包帯を棚に戻していき。それから何か思い出したのかくるっと相手に向き面白げに口端を上げて『そう言えばさぁ…』と勿体振ってから『さっき街から帰ってくるとき久々にお前の兄貴見かけたぜ。今行けば会えるかもな。』といらない気をきかせ『あー確か誠も街行くっつってたかなぁ。……んで、なんかあったの?』とブツブツ零したあと再び此処に来た理由を尋ね。
そして夜道、酒屋を出て暫く、後方から自分をつけてくる気配にまたかと肩を落とすも気にせず足を進め、前方に見えてきた人影におやと思う。此方が誰かと気付くのとほぼ同時に話しかけられ愛しい彼の面影を持った、それでも彼とは似て非なる魅惑を纏う男との再会に「久しぶりだね、茉莉花。元気にしてた?」とゆるりと笑んで挨拶を返し。男は組織を抜けた人間。全く警戒していないと言うと立場上も踏まえ嘘になるが、梔の兄でもあり、過去に何度か目撃している兄弟喧嘩も微笑ましく見ていたこともあって警戒心は薄く。相変わらずの馴れ馴れしさも咎めず回された腕もそのままにさせておくが、ふと男の飄々とした態度の中に冷たく鋭い刃が光る。その研ぎ澄まされた瞳や空気に触れた瞬間“あー、似てるな”と思い。相好こそ違うがその裏に潜むものは底知れず兄弟揃って“侮れない”なと。後方の気配が去っていくのを感じながら何も気付かない素振りで男の軽口に小さく笑って「俺はそんなやわじゃないよ。それに万が一のときは貴方に似た優秀な部下もいるからね。」と気を遣ってそれとなく男の弟、梔の無事を伝える。その表情と声は梔を想い無意識に優しさや慈愛がこもるが自分では気付かずに、続く男のやや強引な申し出にも嫌な顔はせず「貴方に送って貰えるなら何が起きても心配いらないね。でもその前に一杯どうかな?」と特に裏のないような軽いノリで誘えば片手に持つ酒瓶をチャプンと揺らし緩やかに微笑んで。)
>>榊
(人懐っこい笑みを浮かべるイチを見ると可愛い子犬のようだ、なんて思いつつ少し笑みを浮かべていたものの、兄の名前が一度会話に出るとその笑みは固まる。自分より要領も、頭の出来も良い兄はいつも自分の欲しいものを持って行ってしまう。兄が任務中の怪我で引退せざるを得なくなっていなければ、右腕の座も兄の物になっていただろう。もしかしたら彼も。更にまずいことにあの自由人、組は抜けたものの、彼自体を諦めていない。街に行ったのも多分彼の単独行動を狙ってだろう。「そうか…あのクソ兄貴この国に帰ってきたか…。」武器の喪失に加え胃の痛みがどうしてこうも増えるのか、と小さく唸り声を上げて眉間を抑える。「あぁ、すまない。俺が寝てる間に忘れ物して無いか、と邪魔してるわけだ。」そこでは、とここに来た理由を思い出してひょっとして何か知らないだろうか、とイチに問う。
夜道でもきら、と輝く黒い瞳に懐かしさを覚えつつ、再会を喜ぶ男は彼につきまとう男が消えるのを確認できると『坊が可愛いのは変わらんね。いや、また一段と綺麗になってしもうてからに…。』スラスラと立て板に水を流すかのように浮ついた言葉を口にする。しかし、これが嘘でも誇張でもなく、本心から出たのだから仕方ない、と本人は開き直り『あぁ、まだ愚弟がお世話になってるのかな。飽きたらいつでも代わりになるよ。』と。無意識なのだろう。彼が弟の名前を出す際、その優しい目元が部下に対する優しさだけで無い、何か暖かな感情が込められているのがひしひしと伝わってくる。それが気に食わず、つい言葉の端々に棘を込めた。彼へではなく、弟に。『おや、大変嬉しいです。坊からお誘い頂けるなんて…では、お言葉に甘えて。』何であれ、彼がこちらに興味を示してくれるのは気持ちがいい。彼のあの麗しい瞳が、優しい心がこちらを見るのは何より心地よい。どれ、彼等を少しばかり掻き乱してみようかと密かに思い、彼の手を引いて。)
>>梔
(相変わらずの兄、茉莉花を毛嫌いする相手の物言いにイチは喉をクツクツ鳴らして笑い『兄弟だろー、折角の帰国なんだから喜んでやれよ。』と相手の渋い顔を面白がって。それでも“忘れ物”と聞けば何のことか分らずとも深い事情があることを察し、んーと喉元に手をあて唸りながら真剣に思考を巡らせ。『多分此処にはねぇと思うぜ。誰かが間違って持っていったにしてもここんところバタバタが続いて怪我人も多くでたから救護室の人の出入りが多かったからなぁ。正直俺も誰が此処に立ち入ったかまでは把握しきれてねーんだよ。あーそれか荷物整理んときに紛れてどっか仕舞われちまったとか?』と“忘れ物”が不特定多数の誰でも移動させることが可能だったことを示唆し、『にしても梔が“忘れ物”なんて珍しいよなぁ。もしかしてお前のこと好きなやつがコレクションとして持ってたんじゃねぇの?』と自分でもやりかねない、むしろ相手のものなら私物化したいと本気で思いつつ冗談半分に笑い飛ばし『まあ俺に協力できることなら何でも言ってくれ。』と相手の胸をポンポン叩いてニッと笑い。
一方、夜道。流暢な褒め言葉に「兄弟揃っておせじがうまいねえ。」と茉莉花の気など知りもせず本気にしないでのんびり笑って返しながら、弟に対するやや棘のある言葉も兄弟喧嘩の延長、むしろ可愛い弟を気にかける不器用な愛情表現と勝手に受け取って「梔は俺には勿体無いくらい働いてくれてるよ。飽きて捨て置くことなんてないから心配しないで。」と緩く笑み。と話している間に一件の奥まった場所にあるこじんまりとした木造の居酒屋にたどり着く。そこは席代さえ払えば自前の飲み物を持ち込んでも良い店。人の出入りも少ないことから何度か足を運んでいる場所で。カウンター席に並んで座ると店主が用意してくれた酒坏に兄のものから酒をついで「…今更だけどアジトで飲んだほうがよかったかな。貴方が行くときっとみんな喜ぶだろうけどゆっくりはできなくなるだろうと思って此処にしたけど。…弟の顔は見たかったよね。」と配慮が足りなかったことに申し訳なさげに眉を下げ微笑み。今からでも梔を呼び出すか…いやでも病み上がりだしと悩みつつもポケットから携帯を取り出し「…呼ぶ?」と兄である茉莉花の意志を確認して。)
( / お久しぶりです、主でございます。この度長らく留守にしてしまい本当に大変申し訳ありません...そしてこのトピにて長く長くおふたり様にお話して頂き大変有難く思っております。主という立場でありながらも、仕事が忙しくなりお返事を返さずにそのまま...と言う時を過ごし、今更戻っても申し訳ないという気持ちでまた戻ってくる事が難しくなってしまいました。本当に、ごめんなさい。そして、こうしてゆるっと戻って来てしまったことも、申し訳ないです。もし、良ければなのですがこちらのトピを再建したいなと、思っております。ですがずっとここに残って下さっていたお二人に許可も入れずに再建するのもいかがなものかと思いましたので...良ければお二人様の意見をお聞かせいただければと思います。勿論、お二人様の個室移動も無問題ですのでその辺も含めて、いかがでしょうか? )
>>主様
(/お久しぶりです。またこうしてお話できること嬉しく思います。お返事の件は誰しもリアル優先ですし間が開くと顔を出しづらくなるのは自分も同じでお気持ちは分かるので気になさらないでください!むしろ主様のトピックにも関わらずスペースをお借りしていて申し訳ないくらいです。本題の再建の件ですが、自分は構いません。ただその場合は自分もそちらの再建トピに移動したほうがよろしいでしょうか?私事ですが、自分の力量不足故に今お相手して頂いている梔さん背後様との文章量と同じだけ、今後再建トピに参加される方々にバランスよく返信していくのが難しいかと思われます…。ワガママを言わせて頂くと再建トピにも参加したい気持ちも少しあります。ただその場合再建トピとは別に梔さん背後さまと1:1のトピと同時進行で参加させて頂くことが可能であればなと思います。勿論、今後参加される方々のお気持ちもありますし、主様のご意向が第一ですのでそれに沿いたいと考えております。自分のワガママは戯言程度に置いておいてください。また梔さん背後さまのお気持ちも大事にしたくそちらの意見をお聞きしてからまた考えを改めたいと思いますのでよろしくおねがいします。態々お声掛けて頂き有難う御座います。最後に拙い文故に分かりづらい点があればご指摘くださればと思います。長文失礼致しました。)
>榊誠本体様
( / 優しいお言葉が大変胸に染みております...本当にありがとうございます。そして、1:1トピと再建トピでの同時進行ですが私は再建トピを建て、もし日本のマフィアのボス、右腕として来て下さるのであればそのつもりでおりました!数ヶ月長らくお二人様で、ずっとここで絡んでくださっていたのですから...お互いが特別な存在として居るのは承知しております。私はお二人様のその感情を最優先に考えたいと思っております。勿論、梔様のご意見を聞いてからとなりますが...梔様が再建トピに来られる場合は勿論その場所を空けておきますので、ご安心くださいませ。気遣いをありがとうございます。しかし、梔様が再建に反対であれば私は建てないつもりでおりますので、どうか宜しく御願い致します。それでは梔様の意見を待ちたいと思います。)
>>榊
(に、と軽やかに笑う同僚にふ、と小さく息を吐くことで兄の話に区切りをつける。そして詳細を離さずともはなしの大半を汲み取ってくれるイチの配慮に流石だな、と内心舌を巻く。有難い。医療チームは気が効く部下が多く、間違っても自分の武器を無言で何処かへしまう事はしないはず。ならば、他に此処へ訪れた者を教えてもらおうか、と思ったがそれも難しそうだ。そんな中イチの口から出た仮定にそんなものだろうかと疑問が湧く。一瞬の間。思い浮かんだのは自分の思い人でもある彼。彼の愛刀を自分のものにできるとしたら?…成程、少し仮定の意味がわかった。不安要素が増えた事と胃痛の人物が帰ってきていた事に顔が曇るが、ぽん、と優しい拳と言葉を受け取ると、「ありがとう、イチ。頼りにしてる。お前こそ無理するなよ。」なんて感謝の言葉と笑みを返して、相手の頭をひと撫でしてから救護室を出る。さて、どうしたものか。こんな時に限って何故帰国するものだ、と兄の突然の帰国に頭を抱えたが、ふと背筋に冷たい汗が流れる。兄が「こんな時に限って」ではなく、「この時を待っていた」のだとしたら?あの男ならこのアジトの構造も、人物の家庭関係も熟知している。そう考えた瞬間足は勝手に動いてくれる。あの2人がいるであろう街へ向かって。
夜の居酒屋は昼とは雰囲気が変わる。木造のそこは、ぼんやりと暗い夜の帳の中で彼の暖かさのように光を灯していた。ゆったりと彼に向き合うと明るい店内の照明に照らされ彼の静かな、しかし人の目を惹きつけ離さない魅力が晒される。やはり彼は素晴らしい。雰囲気、気遣いだけでなく、彼の話し方。話の質だけでなく、選ぶ言葉ひとつひとつにも彼らしさが散りばめられ、次は次は、と欲張ってしまう。「坊はまっこと可愛らしなぁ?いつかどっかの虫につまみ食いされそうで兄さん心配になるわ。」他の人のことを考えてくれる健気さに思わず彼の頭を撫でながらそんなことを。「せっかくの坊の提案やけど、俺は坊と二人で飲みたい思うてます。いかんやろか?」と彼の手元にある電話を柔らかく取り上げ、困ったように笑いながらそっと彼の手の届く範囲に伏せて置く。彼は優しいのでこういった表情の人に弱いはず。こんなに上手いことスムーズに二人きりになれたのだからこの場に人は入らせない。特にこの目の前の彼に心酔している弟には。彼と二人だけで話したいことがあるのだから。)
>>罪様
(/主様お久しぶりです!こちらこそ榊さんの背後様とこんなに長くお話をしていただけるのは、とても素敵なこのトピックでこそです。そして、仕事が多忙で参加しづらい中、お声がけいただき深く感謝致します!私は亀更新で、ロルも幼稚ですが、それでもこんなに長くお話できるのは有難くもいつもお付き合いしていただける榊さんの背後様のおかげです。再建、個室の移動はどちらでも私は大丈夫ですが、ひとつご質問が。再建トピに現キャラで移行しなかった場合、違うキャラとしてご参加させていただく事は可能でしょうか?また、最後になりましたが、主様もご多忙だと思いますし、あまり無理なさらないでくださいね!)
>梔本体様
( / お久しぶりでございます、そう言って頂き大変有難く思います...質問に関しましては私としましては大歓迎でございます。梔様でなくても他の創作伽羅を作って頂いても全然大丈夫ですので、是非ご参加下さいませ。そしてお気遣いの言葉をありがとうございます、梔様もご無理をなさらずに... )
>榊誠様、梔様
( / 最後に、確認と言うことでお二人様に確認してから建てさせて頂こうと思っております。再建トピに関しましては賛成という形でよろしいでしょうか?また、勿論榊誠様に関しましても別の伽羅で参加して頂いても構いませんしそのままの榊誠様でも構いません。お手を煩わせますが是非ともお答え頂けたら幸いです。 )
>>榊様、罪様
(/亀更新故にお二人の会話を見ていないまま返信してしまい申し訳ありません!お二人ともから温かい言葉をいただきありがとうございます。私も榊様と同意見でございます。主様もご多忙ということもあり、お二人がよろしければ個室はこちらで建てさせていただこうかと考えております。また、図々しい考えではありますが、再建トピで人数が空いておれば他キャラとして参加させていただければな、と思っております。素敵なトピですから、きっと他の参加希望者様もいらっしゃると思いますので、その方々の意見と主様の意見を第一に考えたいですし、あまり古株が出張るのも良くないかな、と個人的に考えています。勿論私の我儘ですので何より主様のご意見を第一に考えたいです!問題やご意見がございましたら、喜んで承りますので、何なりとお申し付けください!)
>>罪様
(/何度もすれ違いになってしまい申し訳ありません。質問へのお早い御返答とお気遣いの言葉をありがとうございます!再建トピについては勿論賛成です。主様のご配慮と新しいトピへの勧誘、そして勝手な我儘にもかかわらず申し出を受けてくださり本当にありがとうございます。また主様の息子さんとお話ができることを楽しみにしておりますね!)
>>梔様、主様
(/再建トピに関して勿論賛成です。そして梔様のご意見に賛同し、再建トピにお邪魔させて頂く際は他キャラで参加したいと思います。素敵な世界観で自分とは別の人物像が描かれていくのを見てみたくなりました。そして個室に作るに至ってまた図々しいお願いなのですが、過去のお話を遡って確認することがあるので出来れば此方のトピックは残して頂けると幸いです。残しておくと不都合もあるかもしれませんので問題があるようでしたら主様のお考えを優先してくださいませ。そして梔さん背後様、至らない背後と愚息でよろしければ今後も個室にてお相手頂ければと幸いです。)
>榊誠様、梔様
( / 御二方様、お答え頂き大変ありがとうございます。とても丁寧に対応して下さり、暖かい気持ちに包まれております...榊誠様のお願いは勿論此方のトピもお二人様に中々不都合だと思われるので残しておくつもりです。どうぞ私の事はお気になさらず、どうぞお二人様は個室でゆっくりお過ごし下さいませ。
申し訳ありませんがもう一つお聞きしても宜しいですか?私の我儘として受け取っておいて欲しいのですがお二人様の枠は必ず開けておくつもりでいますので急で申し訳ありませんが良ければお二人様が考えている所属場所等をお聞かせいただけたら幸いです。勿論今すぐじゃなくても大丈夫です、再建にも少し時間が掛かりますので...どうぞ宜しくお願い致します )
>>主様
(此方のワガママを聞いてくださり有難うございます。次回のトピックでの参加枠についてですが、次に参加される方々の希望などを優先したい気持ちがあるので自分は空いている枠か人数制限のない枠で参加出来たらと考えております。勿論トピックの形態の変更などもありましたらそちらに合わせていくので、どうか此方のことはお気になさらず伸び伸びとお考えになって頂けたらと思います。細やかなお気遣い感謝致します!)
>>284 梔
(手元から携帯がふわりと宙を行き、ことりとカウンター台の上に置かれる、その一連の動作と音さえも男の織りなす声、空気と一体化し蠱惑的な世界を作り上げる。男の紡ぐ言の葉の訛りは耳に心地よく、その困ったような笑顔がこちらの心理を上手く扱われていると理解していても首を縦に降らせるだけの魅惑があり。「そんなふうに貴方に言われたら断れないよ。…それじゃあ今夜は二人で。」すっと目を細めると自分のお猪口にも酒を注いで台の上に置かれる男のお猪口にカツンと軽く当てて。小さくお猪口を傾け酒を口にしながら話せる範囲で近況の報告をし合い、ふと思い出したように口を開いて「それにしても貴方は俺を高く見過ぎだよ。虫がどうって言ってたけどそれは梔の方。あの子はあまり表立って街には出ないみたいだけど俺が街へ行くときはまずあの子のことを聞かれるからね。綺麗な花は姿が全て見えなくても甘い香りが溢れてしまうんだろうね。」と片肘を付きながらお猪口の酒を回して柔らかな声色で話し、また酒を口にする。ゆっくり飲んでいるように見えてもう一人で酒瓶の半分を開けている。顔色は一切変えないで、そう言えば彼、梔の訛りは聞いたことがないなと。きっと彼の澄んだ声は川がせせらぎ、小鳥が囀るように色を成すのだろう。と想い人のまだ聞いたことのない言詞に思いを馳せ口元を微かに緩ませていて。
一方街ではあまりお目にかかれない相手の姿にキャッチやあぶれてしまった男や女たちが相手が急いでいることなどお構いなしに逓わる話しかけており、その中の一人の女が『色男さん、一人なんでしょ?うちのお店来ない?』と豊満な胸を押し付け相手の腕に絡みついていて。)
(/背後が失礼します。今回の再建トピックと個室への移動の件に関してなのですが、今お話している件が落ち着くまでは此方に返信させて頂く形を取らせていただきました。個室への移動も一度梔さん背後様と一度相談と確認をしていけたらと思います。返信の際は上記の本文は後回しにして頂いて大丈夫です。)
>>主様、榊様
(/返事が遅くなり申し訳ありません。私も榊様同様に人数制限のない枠、所属に関しては、願わくば皆さんのバランスを見ての参加希望を出させていただきたいと思っております。変更点等もあると思いますが、主様の作られる世界観を楽しみにお待ちしております。
榊さんの背後様、毎回亀更新な駄息と背後にお付き合いいただきありがとうございます。個室の件、了解です。お気遣いいただきありがとうございます。榊さん背後様がくださるお返事がいつも楽しみで、個室でもお相手していただけるなんて感激です。まだまだ未熟故に迷惑をかけてしまうこともあると思いますが、またその時にはご指摘いただけると幸いです。これからも引き続きよろしくお願いします!)
>榊誠様、梔様
( / 心遣いが垣間見える素敵なお言葉をお二人様ありがとうございます...本当に感謝と観劇で胸がいっぱいです。また、再建トピを作るまでこちらのトピをご使用になりたいとの事ですが、何も問題はございませんので是非こちらのトピをご自由にお使いくださいませ。世界観はそのままで、募集要項や規約等々を少しずつ変えさせて頂きたいと思っております。そしてこの度は此方のトピへ参加して頂いた事、お二人様がずっと使ってくださっていた事で私も再建しようと思えた事、そして再建した後も参加して頂けると言う事。お二人様の暖かく素敵な心を大切にして行きたいと思います。本当にありがとうございました、そしてこれからもどうぞ宜しくお願い致します。では再建まで此方のトピにてお待ち下さいませ... )
>>榊
坊の時間を独り占めできるなんて、光栄だよ。(彼の目が細められた途端、弦のピンと張った琴を思い浮かべる。しなやかでありつつも、その中に潜む厳格さが内面で姿を見せぬまま、美しさを奏で、魅せる。柔らかい音色はきり、と引かれた厳格な弦にしか出せない魅力。熟す前の彼は魅力的だったが、どうだろう。今目の前の熟した彼は更に魅力的。否、まだ熟していないのだろう。たわわに実った果実は、熟れる前に虫や獣に食われてしまうこともある。そんな危うさが、またその魅力を引き立てる。『…おや?隠さなくっていいんよ?坊。本当は気付いてんのやろ。アイツは虫の方だって。アイツは坊にいつ喰らい付こうかと舌舐めずりしてる毒虫さね。毒虫は甘い匂いを被る時もあるから、騙されたらいかんよ、坊。』正直驚いた。自分も酒は強い方だと思っていたが、彼は顔色ひとつ変えない。その凛とした目元に、鼻筋に、?に、朱が指したのならどれ程美しく映えるのだろうと楽しみにしていたが、彼の飲み方は依然として優雅。しかし、その優雅さの中にふと気を許したかのように緩やかな動作が混ざってくると、その艶やかな動作を自分だけが見ることを許されたかのようで酒だけではない熱が己の目元に溜まる。そんな時に目にとまるのは彼の緩められた口元。それに目を奪われ、本当の目的を口にする。『…なぁ、坊?そがな毒虫や部下をを率いるのってしんどない?上に立ち続けるプレッシャーとか、責任とか。俺は、部隊トップってなだけでしんどかった。…な、無理してんのとちゃう?坊は優しからなぁ…。』さりげなく距離を詰め、ゆっくりと彼の背中を撫でながら甘く囁くように。
しまった。街中で思いのほか目立ってしまっていた自分に思わず内心舌打ちをする。いっそ武装した勢力だったならまだマシだっただろう。それでも相手をしたいわけではないが。ともかく、今は急がなくてはならない。すまない、大切な人を奪われたくないんだ。…通してもらうよ。」一応相手は女性だ。一言つげてから行動を起こす…彼女がもたれかかってきたのは好都合だった。柔道でよく使う体重移動の要領で一度体を離し、声をかけてきた他の男に女性の体重を移動させる。あとは二人で仲良くやってくれるといい。それからは脇目も振らず人々の間を縫うように走る。大体のめぼしい店は回った。あとは多分あの店だろう、内心で呟きながら地面を蹴る足に力を込め、息を上げながらもまたアスファルトを蹴り出し。)
>>主様
(/こちらのトピの使用許可していただき、ありがとうございます!こんな亀更新の背後ですが、ここまで楽しく続けさせていただけたのは榊様や他の皆様、そしてこのトピじたいも素敵な世界観で、過ごしやすいからこそだと思います。戻って来づらい環境のなか、声をかけていただけた主様の優しさに、背後も応えられるよう再建トピをお待ちしております。お仕事も多忙だと思いますし、休日をゆっくり過ごされる日も必要だと思います。主様のペースでご無理をなさらないようにしてくださいね!こちらは蹴り可です。)
>>梔さま
(/いえいえ、梔さんも背後さまも私には勿体無いくらいのお相手様でいつも恐縮しっぱなしです。今後も個室にてお相手できること心から嬉しく思います。そして個室への移動ですが如何致しましょう…。再建トピックと混雑してしまうとご迷惑をおかけしてしまうと思うのでそろそろ移動しようかと考えているのですが…。その場合トピックは1:1のカテゴリで作る形になるのでしょうか…。未熟故に質問ばかりですみません…。また再建トピックが立ち上がった場合、此方はなるべく下げ進行でお話したいと思います。そして素敵な本文のほうはまた後ほどじっくり返信させて頂きますね。)
>>梔
…毒虫?…ふ、ふふ、可愛い弟に随分な言いようだね。
(隠すも何も本心を言ったまで、茉莉花の出した例えに目を瞬かせるも一呼吸置いた後、小さく肩を揺らして笑い、皮肉めいた言葉も軽い冗談と受け取って久々に兄弟の“戯れ”に触れた気がして微笑ましくなれば楽しげに目元を緩め。しかしふと遠くを見るような目で手に持つ酒杯の中の水面に視線を落とし「でも、梔が毒虫なら喰らいつかれた花は本望だろうね。」とうっそり呟いて。そう、もし彼が毒虫だとしてもその姿は花よりも美しく、花は毒があると分かっていてもその毒に溺れて、自ら喰らいつかれることを望み誘うだろう、と。花が自分とは言わない。ただ、ついぽろりと零してしまった心の内側。茉莉花の前では昔からそうだ。彼が歳上だから、だけではない。その纏う空気と雅量。そこはかとなく灯る瞳の奥の怪しい光でさえ心を捉え、いつのまにか彼の纏う空気に取り込まれてしまう。だから、彼の手が背に触れて撫でられるのに誘発さるように瞳に微かな影を落とし小さく口を開いて胸中を零しかける。息を吸いまさに言葉を紡ごうとしたときだった。酒杯の水面に映る照明の灯りが、いつか彼と、梔と宣誓を交わした宵の月と重なったのだ。それを見てふっと小さく笑むと水面の光をゆらりと揺らして「本当に兄弟そっくりだね。言うことが似てる。」と目を細めていつも己の心身を気遣う右腕の存在を想い酒を口にして。「まあ、しんどくないと言ったら嘘になるだろうね。上に立つ者が責任を担うのは突然のことだから。でも辛いのは俺だけじゃない。それにどんなに辛くてもその痛みが優秀で大事な部下たちの上で成り立っているものと思えば俺はそれを誇りに思うよ。」と穏やかな声色で話す。かと思えばさらっと常の緩い笑顔を纏い「俺が組織に入りたての時は貴方に散々迷惑かけたけどね。」とまだ組織に対して疑心暗鬼で独断行動が目立っていた頃を思い出し小さく笑って。その時、カウンターの上に伏せて置いてあった携帯がブウウと震える。話している時に見るのは憚られたが緊急の場合もあるので「ちょっとごめんね。」と断りを入れてやや離れた場所に置かれた携帯に手を伸ばし。その体勢が、携帯が茉莉花寄りの場所に置かれていたこともあり傍から見ると榊が茉莉花に丁度寄りかかるかたちに見えなくもなくて。)
>>榊様
(/恥ずかしながら私も初心者故にまだ手探り状態ですが、よろしくお願いします!確認はするのですが、間違い等ございましたら申し訳ありません…!個室の件ですが、僭越ながら、こちらで「日ノ本に残花 〆」というトピ名の1対1の場を構えさせていただきました。下げ更新についても了解しました。)
(彼はふとした瞬間に魅力の色を変える。まるで万華鏡。きらきらと光を吸い、輝き方を変える彼からひと時も目を離せない。うっとりと細められた瞳は遠く、ここでは無い何処かの男を見ているのだろうと容易く想像がつく。彼は、食われても構わないのだろうか。彼の名の通り、小さく、儚く、しかしとて淑やかに、真っ直ぐと咲く榊の花を彼の姿と重ね合わせる。きっと、口を開けば一口で収まってしまいそうな可憐な姿。それでも、彼は弟ならいいと呟いた。昔から彼がふと本音を口にすることはあったが、この動作もそれに通ずるものがある…では、これも本音なのだろう。悔しいかな、こんなにも二人が近づいているのだとは。彼の背中の手に自然と力がこもるが、まだ、自分のペースは崩れていない、と内心ほくそ笑む。しかし、それも長くは持たなかった。彼の瞳の中に見えた影は、いつも美しい彼の瞳とは違う色彩を写し妖艶さを増すが、それも一瞬。もっと見たい、と思った瞬間、何かが彼の中で影の邪魔をした。おや、と顔を曇らせたが、返ってきた彼の答えに息がつまる。眩しい。昔はもっと彼は幼く、自分は無意識のうちにそれをずっと重ねていたようだ。本当は、自分に『日本のマフィアの情報をよこせ』と捕まった武器商人達の仲間から依頼があったために、彼と数名のお気に入りだけ引き抜いておこうと声をかけにきたのだが、見当違いだったようだ。一人でいた頃の彼では無い、リーダーとしての彼。あの頃、彼の頭に置いた自分の手は、今はもうその背中にすら届かない程彼は強くなった。そして、自分は道を違えたのだと実感した。『…坊。』自分の方へ寄りかかるような彼の肩に手を伸ばしかけると、ガラリとやけに大きく、開いた店の扉の音。
「…榊さん…!」ぜぇ、と肩で息をしながらとある店の扉を開く。するとそこには愛しい彼の姿があったが、その体は自分の兄に預けられているように見えた。その瞬間、無意識に足が動き、ズカズカとその二人との距離を詰め、無理やり二人の間を割ろうと腕を出し「榊さん、ご無事ですか?」と榊にだけ話しかけ。)
>>梔さま
(/個室への移動ありがとうございます。早速そちらへ返信させていただきました。引き続きよろしくお願い致します!蹴り可です。)
>>主さま
(/この度は此方の素敵な場を使わせて頂いたことや新たな場所への参加許可など本当に感謝しております。そして個室への移動が完了しましたが、此方のトピに報告頂けるようなのでその際はまたよろしくお願いします。ゆったりお待ちしておりますのでどうかお体やお休みを優先なさってくださいませ。ではまたお話できるのを楽しみにしております。此方は蹴り可です。)
( / こんばんは、お二人様。この度お二人様の意見を聞き、そして再建へと至った訳ですが、その再建のトピを建てさせていただきましたので是非ともお越しいただればとおもいます。どうぞ、お待ちしております。尚こちらは下げでお伝えさせて頂きました。 )
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