匿名さん 2018-12-14 21:52:55 |
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>理人さん
―――噂。…それってどんな?
(すれ違う同年代と思われる学生を横目に歩みを止めることなく幾度も通った道を進み、相手の声に耳を傾ける。噂と聞いて少しどきりとしたもののその声色からして少なくとも悪い噂ではなさそうだ、そう判断すると俄然興味が湧いてきて。隣を歩く彼の方へ視線を戻せばわくわくした様子を隠すことも無く問いかけて)
雪沢先生の弟さん。
(予想通り話に食い付いてきたその声に好奇心が滲んでいるのを感じて気分良く微笑みながら、直接問われる他様々な角度から耳に入って来る、生徒達による“先生とよく一緒に居る謎の青年”についての考察を一つ口にし。しかしもう一つ、一部の物好きな生徒が色めき立って語っていた内容を思い出すと意味あり気に目を細めて横目で彼を見遣り)
……あと、年下のカレシ。
>理人さん
(そう言われてみれば男同士で同じ部屋に帰るのだから兄弟というのはしっくりくる。なるほどね、なんて呟くと彼の視線にまだ何かあるのかと首を傾げて。その口から続けて出てきた意外な“噂”に面食らいつつ「想像力豊かでらっしゃいますねぇ、センセ」などと軽口を叩いてみせ。そういった噂が好物の学生もいるのだろう、自分にとってみれば好都合な噂であり思わず頬が緩んでしまう)
その噂、広めとったらいいんやない?
ん……俺も、聞かれてもなんも言わねえ事にしてる。
(茶化すような軽口に思わず喉の奥でくっくと笑うと、マフラーに益々顔を埋めるようにして頷き。そう会話を交わしていれば真新しくもこじんまりとしたアパートが見えてきて、黙々と自室の扉の前までやって来ると鍵を取り出し扉を開け。招き入れなくとも入って来るだろうとまるで客人を迎える風な素振りも無く先に部屋に入ると、新しく買い足した本やら文献を漁るべくして崩れた本のタワーがそのまま放置された正しく足の踏み場の無い中を掻き分けエアコンのスイッチを入れ)
>理人さん
(彼の返答から思うに既に一部ではそういうことで定着してしまっているのではないだろうか、そんな無駄な想像を膨らませながら相手に続いてまるで自宅に帰ってきたかのごとく部屋に入り込み、後ろ手で鍵を閉める。ものが増えているように思えるのは以前来た時よりも歩けるスペースが無いからか。とりあえず簡単に積み上げられそうなぶんを積み上げ、空いたスペースに荷物を置きキッチンへと進み。冷蔵庫を開けて中身を確認すると適当な野菜を取り出すと冷凍庫の中にひき肉があるのを見つけてくるりと相手の方へ振り返り)
理人さん、ロールキャベツってどうやろか。今日寒かったし。
あー……良いな、美味そう。
(炬燵の前に辛うじてぽかりと穴の如く開けたスペースに立ち身に纏ったマフラーやら手袋やら無駄なまでに厚着した上着等を1枚ずつ脱いでは散乱した本の上に放っていた最中、キッチンの方から聞こえた声にピクリと反応して其方に視線を向け。想像するだけで恐ろしいまでの空腹に襲われる程度には胃が空の状態。自然と表情を綻ばせながら頷いて答えると、今度は散らばる本を大胆に隅に押しやり炬燵の周りに2人は座れる程度の場所を強引に作り始め)
>理人さん
じゃあさっさと作っちゃうから机の上だけ開けとってくれる?
(その返答が聞こえれば決まりだ、と手際よく材料を用意し始めて。ふと机の上を見れば床ほどではないものの書類やら本やらが占領しているようで、さすがにその上に料理を乗せるのは良くないのではないだろうかと声を掛け。相手の片付けを待つ間に下準備を済ませたそれを煮込みはじめ、煮込む間に少し温まろうと相手の待つ炬燵へ入るとふぅ、と息を吐いて)
あったかい…、もう出たくないわぁ。
んー。
(学校で関西出身の生徒がちらほらと零す関西弁とは違い随分と柔らかな響きを持つ相手の声に促されれば、素直に頷いてから至極適当に机上を占領する物を床へ移し。何処か遠くから聞こえるような料理をする音に微かな眠気を催し、平素より眠たげな瞼を一層垂らしながらロールキャベツの登場を待ち侘びていたが、先に手ぶらでやってきた相手を見遣るとその口から零される言葉に軽く眉根を寄せ。炬燵の上にぺたりと頬を付けて突っ伏すと、じっと視線を相手へ注いだままぼそぼそと呟き)
……出てくんねぇと俺が餓死しちまうだろ。
>理人さん
(今、眠たそうだったな。そんな事をぼんやりと思いながらその瞳を見つめてみれば“餓死”なんて日常会話では到底使いそうにもない単語が耳に入ってきて思わずにやけてしまう。彼を殺すわけにはいかないが今は自分も足を温めていたい。「もうちょっと」等と言っているとちょうどいい時間になったようで。炬燵のぬくもりを惜しみつつキッチンへ戻れば深めの皿に二人分のロールキャベツを添えて再び彼の元へと戻ってくる。そして数分前に発せられた言葉に返すような一言と共に皿をてテーブルに乗せて)
はい、どうぞ。理人さんに餓死されたらたまらんかったから頑張りました。
(文句を口にしつつも絶妙な距離感で相手の側に居るのは何処か心地が良く、結局はそれ以上口を出す事はせずに炬燵に頬を付けたままじっとしていて。穏やかな安心感が流れる中再び眠気に襲われ掛けていた時、不意に立ち上がりキッチンへ向かった彼が今度こそロールキャベツを伴って戻ってきたのを見ると起伏の少ない表情の中に僅かばかりの歓喜を浮かべ。最早相手からの軽口に答えている暇はなく、逸る気持ちを何とか抑えながら相手を急かし)
うわ、良い匂い……。早く食おうぜ。
>理人さん
ほんと、作りがいあるわ。…お先にいただきます!
(彼の反応は毎回自分の中の何かを満たしてくれるような気になる、思わずぽつりと呟くと相手の目の前に箸を置き。今まで働いていたので腹は減り、作っている最中にエアコンが効いてきたとはいえ冬の室内はまだ肌寒く感じてしまう。そうなれぱもちろん自分も目の前のそれを食べずにはいられず、相手を待たずに両手を音が出る程勢いよく合わせれば皿の中のロールキャベツを口に運び)
ん、いただきまーす。
(箸を手にすれば待ちきれないとばかりにロールキャベツへ箸を伸ばし、一口大に切り分けてから口元へ運び。入念に息を吹きかけ冷ましたところで満を持して口に入れるが、じゅわっと溢れる肉汁が旨味と共に強烈な熱感を舌に伝え。「あっふ、」と声を漏らして僅かに眉根を寄せはするものの、それを上回る美味に目を細め歓喜が溢れるような吐息を漏らし)
んー……。
>理人さん
…理人さん、かわいい。
(熱かったのだろう、眉をしかめる姿を見ると自然と笑い声が溢れて。彼の幸せそうに食べてくれる姿を見るのはとても好きで、その表情を見るために箸を進めながらも相手の事を見つめてしまっていた。一部始終を見れば思わずそんな言葉が漏れてしまい、特に取り繕うことなくまた一口自分の作ったそれを口に運び)
……歳上に可愛いなんて言うもんじゃねぇぞ。
(ロールキャベツを頬張って舌鼓を打っていた最中、二人きりの静かな部屋でやけにはっきりと聞こえた呟きには口の中の物を咀嚼しながら不満の色が滲んだ視線を向け。しかしそれに噛み付く程の反論をする気は無く、一言ぼそっと返すのみに止め。あまりの空腹に苛まれた体に温かさと美味しさがじんわり効いていくのを感じつつ口内が空になれば次の一口と、緩慢な動きながらも忙しなく箸を動かす合間にぽつ、と揶揄いっぽく言葉を零し)
──こんな料理上手くなって、どっかに嫁ぐ予定でもあるわけ。
>理人さん
はぁい、すんません。
(返された言葉は自分の言葉が気に入らなかったことを告げていて。自分の素直な気持ちだったそれを告げたことに反省をする様子はなく、しかし相手が不満であったのならばと謝罪の言葉を述べ。ほんの数秒の心地よい沈黙の後、相手の口から飛び出た言葉を「まさか、俺フリーターなんよ?」と自分を指さし呑気に笑い飛ばし。ふと思いついたように悪戯っぽい笑みを浮かべれば言葉を続けて)
――貰い手見つからんかったら理人さんに貰ってもらおかな。
……俺が相手じゃ苦労するぞ。住み込みの家政婦みてぇになるだろうな。
(口先ばかりの謝罪であるのは声色を聞けば明らかだが、それについて文句を返すよりも今は腹を満たす事に意識が向いており無言で咀嚼を続け。此方の戯れ程度の言葉に返ってきた笑い声にはつられて小さく笑いを零しているが、その後に続けられた言葉を聞くと何やら悪戯に微笑む彼へと視線を向けて。直前に頬張ったロールキャベツを咀嚼する間無言で相手を見詰めていたが、やがてそれを飲み込むと早くも再度箸でロールキャベツを切り分けながら軽口を返し)
>理人さん
それは大変やんなぁ。理人さん、そんなん言うたら将来結婚できるん?
(家政婦のつもりではないが、住み込みになるという点を除けば今と変わる部分はあまり無さそうに思えるなぁ、なんて思いつつ少なくなりつつある料理にまた手を伸ばし。そんなことよりもそう豪語する彼に余計なお世話ではあるだろうがふとした疑問がわき出てくる、そもそも自分と同じようにそういったことは考えていないのかもしれないと思いつつ純粋な疑問をなげかけて)
今の時代結婚なんて無理にするもんでもねぇだろ。大体、俺みてぇな奴の事受け入れられる相手探すのがかなり面倒臭そうだし。
(何だかんだと周囲を振り回しがちな上に時によっては研究一直線の己に愛想を尽かさずに居られる女性をこれまでに見た事が無く、実際その存在が無くとも何不自由無い状況であるのだから、そんな事に骨を折るなら一冊でも多くの本が読みたいのが本音のところ。腹が満たされ満足感を得れば今度は少しずつ睡魔が顔を出して来るのを感じながら答えると、不意に少しの間無言で相手を見詰め)
……まぁわざわざ探す必要も無いしな、今のところ。
>理人さん
(贔屓目を抜きにしても彼であれば引く手数多なのではないだろうか、とふんわりしたイメージがあったのだが結婚となればまた違ってくるのだろう。そんなものなのかと黙って聞いているうちに彼の瞳が眠気を帯びてきているのに気が付き。このまま炬燵で寝てしまう前に布団を敷いておくべきか思案しているところに思わぬ言葉が投げ掛けられると面食らったように瞳を開き、またすぐに笑みに変えて)
…じゃあ、理人さんがこの先結婚する事にならない限りは俺がお世話をしてあげよう。
俺は前からそのつもりで居たけどな。お前、俺の事放って置けないだろ。
(じっと注視していれば相手の表情に驚きの色が浮かんだことには直ぐに気が付いたが、満更でも無さそうな反応を目の当たりにすると満足げに微笑んで視線を外し。声色にも微かな眠気を滲ませて普段よりも幾分かのんびりとした口調で言葉を続けると、ロールキャベツを綺麗に食べ終えた更に箸を立て掛けて律儀に両手を合わせ。「ご馳走様」と一言食後の挨拶を口にしたかと思えば、此処で眠ってしまうつもりなのか直ぐに炬燵に頬を乗せて瞼を下ろしてしまい)
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