情報屋 2018-12-09 19:31:53 |
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( /了解しました、気長にお待ちしております!
是非紫藤さんの動きたいように動いて頂ければと思います…!お気遣い有難う御座います。今後此方も気になる事あればお声掛けさせて頂きますね!)
ん…?なんだ、僕が何か言ったか?…まぁ潜入捜査を楽しんでくれているなら問題ない
(こちらから理不尽な文句を投げつけたのに相手に浮かんだのは緩い笑みだった。そもそも共感性に乏しいのに他人の変化球の感情には全くついていけず、相手の意図が分からなくて怪訝な顔を浮かべた。相手が『次』を意識したことなど露知らず、裏の感情のないあの笑みからとりあえず今を楽しんでいるのだろうと解釈する。『楽しんでいる』何て言えば相手はまた文句のひとつも言うのだろうがその様を見るのも自分の楽しみであるし、不可解な反応を見せたことの仕返しにもなるから良しとしよう。)
…完璧だ。よし、あとは厨房にいってグラスとワインクーラー、台車を取りに行けば準備は完了だな、行こう
(先ほどの表情を誤魔化すように押し付けられたワインを受けとるとラベルを確認し、満足げに笑む。相手が一瞬見せた隙のような笑顔も、潜入を成功させるための鍵を手に入れた興奮の方がすぐに上回ってしまったらしく、意識はもう次へと向いていた。この男が何よりも優先するのはいつでも捜査のことらしい。顎でワインセラーを出ようと促すと厨房へと足を進めていった)
(/ありがとうございます。どうしてもゆったりとしたペースになってしまいますが、これからも楽しんでいきましょう!/こちら蹴り可です!)
ああ、そうだ。悪いんだけど、厨房にこのコックが居たらなるべく俺の顔が見えないよう配慮して欲しい。
( こういった部分において、相手の興味の対象が至極単純で良かった。上手く有耶無耶に出来たことに安堵したのも束の間、厨房に足を向ける姿にふと懸念を思い出し、後を追いながら少々慌てたように一枚の写真を取り出した。写真には四十代前後の恰幅のいい男性が写っている。何方かと言えば此方が個人的に抱えている問題で、相手に伝えるべきかをずっと迷っていたのだが、結果として不安要素は共有しておくに越したことは無いと判断したのだ。)
この男は周辺の麻薬売買組織に関わっててね。別件で何度か探りを入れて、間接的にだけど販売ルートを潰した事がある。それを根に持って関わった情報屋を調べていると聞いたから、俺の顔が割れてる可能性が高いんだよ。
( 仕事柄、恨みを買う対象は多かった。一帯ではそこそこに名の知れた情報屋であるし、扱っている情報の質も高い。深い場所まで知る事は大きなリスクを背負う事と同義だ。この男の存在は、彼が情報屋として背負ったリスクの一つ。別の組織から太い販売ルートを潰された事は彼にとって相当な痛手だったようで、怒りの矛先は不利益な情報を流したであろう人物へと向けられた。随分必死に正体を突き止めようとしていたそうだから、とっくに顔と名前程度なら知られている筈だ。今後同じ過ちを犯さぬようにと此方を始末する積もりで居るらしい事も知っていたが、ここまでの事情説明は今回の潜入において必要無いだろうと言及しなかった。今回の潜入さえ支障が無ければ良いのだ、自身の存在さえバレなければそう大事にもなるまい。)
( /またしても長らくお返事お待たせしてしまいすみません…;今年も終わりということで、此処までお付き合い下さり有難う御座います。来年も宜しければどうぞよろしくお願い致します…!良いお年をお迎え下さい。 )
(/いえいえこちらもゆっくりになってしまっていますので…こちらこそ申し訳ないです;そして本日はお返事できそうになくご挨拶だけ…昨年はお世話になりました。本年も楽しくストーリーを紡いでいければと思っていますので、よろしくお願いします!)
( /ご丁寧に有難うございます…!あけましておめでとうございます。至らない部分も多いかとは思いますが、今年も睿くん共々よろしくお願い致します。)
…麻薬取引の巣窟となればそれに関わる人間もそこら中にいるわけか。君も随分人気者になったものだな。安心しろ、君にはかすり傷ひとつつけない約束だ
(いつになく切羽詰まった様子で出された一枚の写真、事情説明を受けつつその写真に写った男の顔を脳内に保存しておく。相手の信条は誰であろうと金を払えば精度の高い情報を提供すること、すなわち多方面から恨みを買う生き方だ。コックの恨みのほどは知らないがここは相手の望み通り相手を隠すよう動いた方が良さそうだ。無駄な騒ぎを起こすのを避けるのはもちろんだが、ここで相手を匿えば次に捜査に連れ出す時の口実にもできる。わざとらしい笑みを浮かべ発つ前にした約束を反復しつつ厨房へと向かった)
さて、台車とワインクーラーはあそこだな──左手奥に例のコックがいる。そっちは見るなよ
(厨房に到着し自然な動作でなかを見回すと目的のものはすぐに見つかった。だが同時に厄介なものも視界に入り相手にだけ聞こえる声で例のコックの存在を知らせる。相手とコックの間に立ってコックの視界を遮りつつまっすぐ台車の方へと向かう。世話しなく人々が行き交う厨房、おかしな動きさえしなければ誰も二人が部外者だとは気づかないだろう)
(/遅くなって申し訳ありません;;正月はゆっくりできるはずなのですがなにかと予定が入ってしまいました…)
…助かるよ。調理中のようだし、影に隠れてさえいれば気付くことも無さそう。
( 自身を隠す形で立ち位置を定める相手に今回ばかりは甘える他なく、礼は言わずとも少しだけ殊勝な言葉を投げる。自然と俯く形を取りかけて思いとどまったのは、“背筋を張り必要以上に周囲へ視線を向けない”という先程の指摘を思い出したからだった。改めて背筋を伸ばすと平然と視線を目的の方向へ定め、知らされた方向には意識だけを向けておく。隠れるのでは無く溶け込むのだと教えてきたのはいつの事だっただろうか、相手の言いなりになるのも癪だと変に反発したこともあったが、経験を重ねるにつれその意味を正しく理解する事が増えていた。これまで以上に神経を張り詰めた状態で隣を歩き、目的の台車がもう目前という時、厨房内に通る声が響く。先程から指示を出し合う声が幾度となく飛び交っていたせいで特別違和感を覚えること無く聞き流したが、数拍置いてその意味を理解し、思わず縋るように隣を見た。)
──どうやら絶望的に間の悪い男が居るようだけど。どうする?
( 厨房に入ってきた男が放った言葉は1502号室へ持っていく料理や酒は用意出来ているかと問うもので、彼が今の自分たちと同じ制服を身に纏っているのを見てもこれからあの部屋へ給仕に行くつもりなのは明らかだった。本来なら代わりに仕事を請け負う形で彼の介入を阻止すればいいのだろうが、変に注目を浴びてあのコックに気付かれてはいけない。今は普段以上に慎重な行動をする必要がある。この場合の最適解はなんだと問うのは、現場における相手の判断が最終的に最適解と成り得ぬ事など無かったからで、少なくとも潜入という仕事上では最たる信用を置いているからだ。)
( /気付くのが遅くお待たせ致しました…!今後は1日~2日の間にはお返事出来るかと思いますが、3日以上日が空きそうであればご連絡致します。此方は気長にお待ちしておりますので、お気遣いなく…!ゆったりやっていきましょう!)
君もいい加減僕と捜査するときの要領を得てきたみたいだな。──いや、むしろあれは幸運と言える。大丈夫だ、僕に任せろ
(件のコックに意識を向けつつも厨房内を進んでいると、相手は一瞬だけ体を縮め、しかしすぐにウェイターらしく背筋を伸ばした。いまだ文句を言われることは多いが捜査を重ねるにつれ相手もそこそこ潜入板についてきたようだ。無理やり連れ出されているのにこちらの指示を巧みにこなす相手の様子に気分は上がり調子で口の端で笑みを浮かべる。直後耳に入ってきた取引部屋に向かうであろう本物のウェイターの声、まずいと身構える相手に対して探偵は薄く笑みを浮かべる。縋るような視線に対しては自信たっぷりの目線を返す。こんな危機的状況でさえどうしようもなく胸はスリルと興奮で満ち溢れてしまう、当然この危機を切り抜ける算段は頭の中でついていた。例のコックが料理を盛り付けるのに目を下に向けているのを確認したあと、手にしていたワインを相手に預けて静かにその場を離れ、どこかの部屋に運ばれるであろうミートスパゲティーの皿を手のひらにのせた。あたかもこれからそれを部屋へ運びにいくように厨房の出口方向に向かう、ただしウェイターの男とすれ違うルートを選んだ。そしてウェイターとすれ違おうとした瞬間、ミートスパゲティーの皿はバランスを崩し、傾いた皿はウェイターの方向へと倒れトマト色がウェイターの白いシャツにベットリと広がった。もちろん態とだ)
あぁ…!すみません!大丈夫ですか?!本当にすみません…これは着替えないと…はい、僕が1502室に料理を運んでおきます。すみません、気をつけます
(床に落ちる皿、直後放たれる怒号、その一幕に厨房の視線は一気に探偵へと集まった。例のコックも何事かと探偵へと目を向ける。隠したいものがあるなら別のものに注目させるだけ、相手をコックから隠すためにわざと視線を自分へと集めたのだ。例のコックを含めた厨房の人々は騒ぎを起こしたウェイターを意識しても、その隣にいる人物に注目することはないだろう。怒るウェイターに平謝りの演技をしつつまんまと料理を運ぶ役目を担うと着替えに向かったウェイターを見送った。相手を人々の意識の外へ追いやり、さらに取引部屋に潜入する正式な手段を手に入れる、まさに一石二鳥だ。得意気な笑みを浮かべたくなるのをなんとか殺しつつ、台車の近くにいる相手にウィンクを投げて合図を送った。それを持ってこいとの意味らしい。近場にいた人間に1502室に運ぶ料理を聞きつつ、台車とワインの到着を待っていた)
(/いえいえもともとこちらが遅れていましたので、お気になさらないで下さい!こちらも今後は1~2日に一回はお返事できそうです。同様にそれ以上あきそうな場合はご連絡させていただきますね!毎回とても楽しくやり取りさせていただいておりますので、ゆっくりペースですが長くお付き合いさせていただければと思っております…!)
流石、頭と口だけはよく回る男だ。ここまで有用な悪知恵だと立派な才能だな。
( 上機嫌な笑みを一つ、手にしていたワインと一緒に自信に満ちた言葉を残して此方に背を向けて行ってしまう相手に一体何をするつもりだと首を捻った。この時には先程覚えた不安は遠くに消え去っていて、今はただ事の行く末を見守るに徹している。何処からか拝借したらしい料理を態とらしさの欠片も感じさせぬ自然な動作で例の男へ向けて散乱させたのを見て、成程と唸った。彼に比べれば些か器用さには欠けるが此処まで見せられても尚察せぬほど馬鹿では無い。時間にしてたった一瞬、此方が背負っているリスクすら歯牙にもかけぬといったスマートさで全て丸く収める事に成功していた。奴からすれば此方が感じた不安など無用な物でしか無いのだろう、途端に言い知れぬやるせなさを感じて、愚痴の代わりに嫌味混じりの賞賛を口元で呟く。一通り事を終わらせた相手が合図してくるのに小さく舌を出して反抗的な態度を取るも、意味を正しく汲み取った男は先程押し付けられたワインをワインクーラーへ入れると大人しく台車を押し始めた。)
……お見事。俺が持ち込んだ問題なんて、探偵サマに掛かれば些細な事だったようで。お前の隣にいると、大体の心配は杞憂に終わるね。
( 先程問題を起こした彼の隣に立って尚、危惧していたコックから此方に意識が向けられる事は無かった。矢張り此処まで計算の内だったと、察してはいたのだが全てが彼の手のひらの上である事が腹立たしくも感じる。こういう時漠然と黒い靄が胸の奥に広がるのは、先程の男やコックと同じように自身もまた彼から見れば思惑通り動く駒の一つなのだと思い知らされるからだった。顔を合わせて第一に発した言葉の語気はほの暗い感情を霧散させるように意図せず棘を含む。ほんの数分前にはこの男の確固たる自信に信頼を置く様子さえ見せたというのに随分矛盾した態度だと自嘲を零すが、相手が別段気にするとも思えない。予定外の料理で手が塞がった相手の代わりにそのまま台車を押す役目を担うと従業員用のエレベーターがある通路へ足を向けた。)
( /これまであまり長期お相手して下さる方に出会える事が無かったので、そう言って頂けると大変嬉しいです…!!お互い無理のないペースで進めていきましょう!/此方蹴可です)
>53様
( /はじめまして。
此方のトピに興味を持って頂いたこと、大変嬉しく思います。
しかし、此方は非募集トピとなっておりますので、申し訳ありませんが交流を目的とした書き込みは御遠慮ください。
このトピに限らず、非募集とされている1対1トピックでは交流目的の第三者の介入を不快に思う方も多くいらっしゃるかと思うので、もしお相手をお探しであればお相手募集専用板に書き込むか、ご自分で新しくトピックを作ることをお勧め致します。
ご期待に添えず申し訳ありません。>53様に良いご縁がありますよう、心より願っております。)
…何がそんなに気に入らないんだ?君の憂いを晴らしてやったのに。喜ばしいことだろう?少しは感謝したらどうだ。
(ウィンクを投げた後舌を出されるまではいつもの嫌味であろうと受け止めたが、厨房を抜け通路を歩いても相変わらず相手の不機嫌な態度は直らなかった。突き放すような物言いで、しかし自暴自棄の空気も含む言葉。その意味を正確に捉えることはできずに眉をひそめて、こちらもその反抗的な態度に対抗して語気を強める。厨房で渡された料理が盛られた皿を今はバランスを崩すことなく両手にのせながら、エレベーターの前へとたどりついた)
あんな危機的状況に陥って何事もなく厨房を離れられたのは僕のおかげ。僕の天才的な頭脳の恩恵に預かれるのは一緒に捜査をしている君だけだ、もう少しありがたく思ってもらわないと困る
(傲慢とも取れるが意図せず相手の胸のうちの考えを否定するような言葉を口にした。自身の刺激を求める心を満たすために捜査をやっている、そして嫌がらせのために相手を連れてきている。しかしだからといって、相手は自分以外のその他大勢に分類されているわけではない。情報屋として信頼を置き、自分を裏切らないと確信しているから連れてきているのだ。エレベーターを呼び出し機体に乗り込みながらお前は特別だと意識せずに口にするが、その口から出てくるのは相変わらず傲慢な言葉ばかりだった。)
(/お待ちいただきありがとうございます!お待たせいたしました!)
さっきのは確かにお前のお手柄だし、その件に関しては有難く思ってるよ。でも 俺は、お前に無理矢理連れ出されてるだけで、好き好んでお前の隣に居る訳じゃない。……俺を振り回してるのは、お前だろ。
( 堂々と放たれた自分勝手な言葉の中で自身の存在を他とは違う場所に位置付けられた気がして、そんな些細な言葉に安堵してしまう自分が憎らしい。この探偵と一緒に居ると、普段は制御出来ている筈の感情を無遠慮に掻き乱される。冷静な筈の自分が感情に振り回される感覚はマフィアに居た頃と酷似していて、良い気分はしなかった。機体が上昇し始めたのに合わせて大きく息を吐くと、自身に言い聞かせるかのように当初から何も変わらぬ関係性を繰り返す。ワインクーラーの中の氷が溶けて全体のバランスが僅かに音を立て崩れるのを眺めながら、一拍置いて相手への恨み節を呟いた声は思ったよりも消耗していた。相手には届かなかったかもしれないと思ったが、伝えたことで何になる訳でも、どうして欲しい訳でもない。このまま何も変わらなければいいと思っているのに、時間と共に溶けていく氷の様に、同じ形を保つ事が出来ないのは自分だけだった。)
……余計な事言ったね。さっきのはただの八つ当たり、お前には関係のない事だった。ごめん。
( 階数表示が切り替わる度に、少しずつ頭が冷静さを取り戻していく。これからいよいよ目標に接近するというのに私情を持ち込んでいる場合では無いだろうと自分を心の中で叱咤することで、どうにか気分を上向きに軌道修正した。幼い頃から自分を取り巻く人間は皆上司か部下という関係で、今関わる人間といえば大抵が客でしかないのだから、その枠に収まらないこの男との接し方は難しかった。取り繕わずに話す相手など数えるほどしか居ないせいかたまに内面を出しすぎるのが良くない。今回ばかりは身勝手な振る舞いだったと素直に謝罪を述べたが、その打ち切り方は言及されるのを恐れているからでもあった。あまり顔を見られたくなくて僅かに下を向くのも、自分と相手の他に誰も居ないこの空間でだけは許してほしい。あとほんの数階、目的の階に辿り着けば自分も不自然無く振る舞えるし、この居心地の悪い空間も無条件に終わらせられるのだ。)
そうだな、君の言うことは間違ってない。僕は好んで君を無理やり連れ出してる。僕は君と潜入したり捜査するのが楽しくて仕方ないが、君は…僕にさながら駒のように振り回されるのが気にくわないといったところか。僕は君の能力を買っているし、そうじゃなきゃ一緒に捜査には連れてこない。そうだな…
(こちらに投げつけられる言葉の数々、そこには相手の様々な感情が混じりあって浮き沈みしている。自分がここにいる意味を、探偵と一緒に捜査をする意味を相手は見いだせずにいる、そんな気がした。借りを返せとこちらが無理やり手を引いているのは確かだ、そして相手を連れ出す理由は自分が楽しいからなんて限りなく自分勝手なものでしかない。だが凡人を隣に据えたところで任務に失敗するのは目に見えている、このスリルと危険に満ちた場所に連れてきても問題ないどころか自分の助けとなると分かっているから相手を連れだっているのに、目の前の男はいまいちそこを理解していないようだ。相手が現状に満足しないならこの状況を変えるまで、とある案を思い付くと楽しげにまた口角があがった。機体は目的の階に到着し、先に降りるとくるりと相手の方へ振り替える。)
それなら今から君は僕の相棒になれ。正式に、僕と捜査をするパートナーだ。まぁ、嫌だと言うなら今のままでもいい。その場合は今日こそ僕に借りを作らないように努力する必要があるが
(唐突で、やはり自分勝手な要求、それどころか命令に近い。それでも今の双方の関係を新たに定義づけるとしたら、『相棒』というたち位置がしっくりくるだろう。顔をうつむけたままの相手に二択を迫る。相棒としてエレベーターを降りるか、今のまま情報屋としてエレベーターを降りるか。時間は少ない、なにせエレベーターのドアが閉まる前にどちらかを選択して機体から出なければならないのだから。探偵はただ笑みを浮かべて相手を見ているだけだった)
( この不可解な感情を引きずる事の無いよう会話を打ち切ったというのに、こんな時に限って言葉を続けてくる相手に苛立ちが募る。今何を言われた所で黒の絵の具が塗り重なるだけだと言葉を聞き流していると、相手が何かを言いかけると同時に漸く機体が目的の階へ辿り着いた。後はやるべき事をこなし、いつもの様に事件を終わらせればいい。そうすればこんなやり取りも忘れて、お互いいつも通りに戻るだけだ。そう頭の中で繰り返す最中、自身の耳に届いたのは思いもよらぬ誘いだった。驚いて顔を上げ、見開いた瞳に映ったのは憎らしいほど整ったいつもの笑みで、これだからこの男には敵わないのだ。口調こそ命令的だが彼は此方に選択権を委ねていて、その事が元より鈍っていた思考を完全に停止させてしまう。あれこれ考える時間など与えてはくれず、扉が二人を分かつ前に自然と身体が前に出た。)
紫藤、…俺の事、裏切らないって、約束して。………破ったら俺は、お前を、…殺すと思う。
( 扉の閉まる音を背負いながら、絞り出すように名前を呼んだ。今まで殆ど口にしなかったその音は彼なりの意思表明の一つで、遠回りをしないと素直な感情を伝えられないこの男の精一杯の近道だった。瞳の奥に迷いが揺れるのは、隣に居る事を選ぶのに酷く怯えているからでもある。一つ保険をかけるように続けた願いは一見脅迫じみていたが、縋るような声色からは切望の色が滲んでいた。冗談でも脅しでも無く、今自身が命を狙われているのと同じように、今までずっとそうして生きてきたのだ。自分にとっては当たり前の事のはずが、今は目前の男を殺す事が何処か恐ろしく感じるのは裏社会から一歩足を遠ざけた弊害なのかもしれない。これで怯むような男ではないと知っていて、それでも少しは相棒として隣に置くと言ったことを後悔すれば良いと思ったが、結局苦しくなったのは自分のように思える。つまりはそれ程までにこの男の隣に在る事を望んでいると言ったも同然なのだが、それに気付けるだけの余裕は無かった。)
( /ごめんなさい、大変お待たせしました…;;
紫藤さんがあまりにイケメンすぎて睿と共に背後まで動揺してしまって文章を纏めるのに時間を要してしまいました、、、(?))
なんだそんな簡単な約束でいいのか?まぁ僕もまだ死にたくない、──その約束を必ず守ろう、睿
(相手が狼狽えるのは想定の範囲内だった。驚き見開いた目は今までに見たこともない驚愕の色に満ちていてその表情もなかなか面白い、思わずまた口角があがる。続く相手が口にした約束には少々驚いたが、相手のこれまでの境遇を思えば可笑しな要求でもない。生まれた時から裏社会で生き、その組織から逃亡してその後は命の危機と否応なく隣り合わせの日々なのだ。最初に出会った時もこの男はまさに殺されようとしていたのだから。その後もあらゆる人間と一定の距離を置いて情報屋として生きてきたのだ、いつ裏切られ命を奪われるともわからない立場、そんな状態から隣に並び立とうという男が現れたのだからこんな物騒な約束を突きつけるのも理解できる。だが自分にとってはそんなもの、造作もないことだ。そもそも相手が自分を裏切らないから捜査に連れてきているのだ、同様に自分も相手を裏切ることなんてない。こちらもほとんど口にしたことのない名前で相手を呼ぶ。少々歯がゆい気もするが、それよりも相手が相棒という立場を選んだことが妙に嬉しくて、口に浮かぶ笑みはいつもよりも少し柔らかいものになっていた)
(/こちらこそ遅れてしまい申し訳ありません…突拍子もない展開でしたが、気に入っていただけて何よりです)
本っ…当に、お前の考えてる事はよく分からないなあ。俺が抱えてる危険まで一緒に背負い込むって分かってる?何度も言うけど、痛い目見ても、…後悔しても、知らないからね。
( 生死にすら関わる約束を持ちかけたと言うのに、対する相手は簡単だと言ってのける。今までの経験上ある程度予想は付いていたものの一瞬の迷いすら見せぬ様には呆れを覚えたが、しかしその様子から元より裏切る積もりなど無いことは見て取れた。捻くれてはいるが発言は素直な男だ、嘘に揉まれて生きてきた自分には眩しく思える程に。お互いの意思確認を経て今度こそ二人の関係は彼の言う“相棒”へと静かに変化したのだと、名前を呼ばれた事でそれが明確になった気がした。胸の奥から様々な感情が込み上げる中で向けられた笑みがいつもより優しげに見えてしまって、顔に熱が上がりかけるのを誤魔化す為咄嗟に顔を逸らす。続いて言葉を紡ぐのは照れ隠しの一貫だったが、その内容は自身が最も危惧している事だった。此方が相手を傷付けずとも自身の命を狙う人間が居る以上安全は保証出来るものでは無く、二人の関係に名前を付けることはマフィアを敵に回す事と同義となる。最初の一件があるからこそこれ以上巻き込む事は本意では無かったし、課せられるリスクを楽しむ性質である事は知っているが、命を危険に晒してまで自身を傍に置く選択を取る相手の事がどうしても理解出来なかった。)
ごめんね、一度落ちてるスレを上げること、許して欲しい。少し気になった事があってさ。
単刀直入に言うね。中華マフィア出身で、俺と同じ名前の男が人を探しているのを目にしたんだけど、背後は同一人物では無いということだけ表明させて欲しくて書き込ませて貰った。
特別咎める意図は無いんだけど、……なんて言ったらいいかな、その。俺は此処でのやり取りをしてくれた相手を、相棒って呼んでくれた彼奴の事を……まあ、それなりに大切に思ってるから。ただ、どっかで彼奴が見てた時に勘違いされたら嫌だなって思っただけ。
容姿や募集内容は全然違うものだし、俺の気にし過ぎで、ただの偶然なのだろうと思う。この表明は、ちょっとした俺の我儘だと思って、受け流してもらえればいい。
……言うタイミング失ってたし、ついでだから最後にもう一つ。
紫藤。あの時、俺の手を引いてくれて、ありがとう。もう見てないだろうけどさ、さっきも言ったけど、お前と居た時間の事、……大切に思ってるから。それだけ言いたかった。
一方的に言いたいことだけ言う感じになっちゃったな、長々とごめん。
それじゃあね、また何処かで。おやすみ。
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